【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#49 [◆BBhDve0Trg]
 

『・・・優子に感謝しなきゃな』


その時、さっき美穂の言っていたことが頭をよぎった。

(・・・こいつ)

中井が俺の顔をちらりと見て、観念したようにひひっと笑った。

「美穂とはちゃんと話せた?」

そして、心配そうに言う。
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⏰:08/09/14 13:48 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#50 [◆BBhDve0Trg]
 
(あぁ・・・中井のお陰なのか)

俺は、中井を見て笑った。

「・・・ありがとな」

言いながら俺は、部屋に向かって歩き始める。

そんな俺を見て、中井は少し驚いた顔をした後、嬉しそうに笑った。

「どういたしまして!!」

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⏰:08/09/14 13:49 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#51 [◆BBhDve0Trg]
――――――――


ガラッ

部屋のドアを開けると、みんな一斉にこっちを見た。

「サンタと中井どこ行ってたんだよー!!遅刻コンビ!!」

「何かゲームやるぞ!!」

そんな言葉に、俺は手を合わしながら謝る。

向こうの方で、美穂が笑っているのが見えた。
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⏰:08/09/14 13:50 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#52 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・ふ」

(・・・ふ?)

小さく笑い声のした方を見ると、中井が肩を震わせて笑っていた。

「・・・何そんな笑ってんの?」

俺が聞くと、中井は自分の口元で手招きした。

俺はかがんで、自分の耳を中井の口元に近付ける。
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⏰:08/09/14 13:51 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#53 [◆BBhDve0Trg]
 
「あのね・・・サンタと中井、だって!!」

中井が俺の耳元に手を添えてこそっと言った。

「・・・?」

言った後また中井は笑ったが、俺にはさっぱり何のことか分からない。

そんな俺に気づいて、中井は少しすねたような顔をした。

「だーかーらー」

そう言って、もう一度口を近づける。
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⏰:08/09/14 13:52 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#54 [◆BBhDve0Trg]
 
「サンタ・トナカイ!!」

そして、今度は分かりやすく、区切って言った。

(・・・あ)


本当だ。

言われて初めて気づいた。

サンタとトナカイなんて・・・今日にぴったりだな。

嫌だったはずのそのあだ名が、急にくすぐったく感じた。

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⏰:08/09/14 13:54 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#55 [◆BBhDve0Trg]
 

なんだか可笑しくて、俺も笑えてきた。

中井も満足げに笑う。

「何こそこそ話してんだよー!!早く座れ!!」

さっき「サンタと中井」と言った奴が言って、俺たちは顔を見合わせてまた笑った。

この様子だと、周りの奴らも言った本人も気づいてないようだ。

「行こっ!!」

中井が自分の席に向かって歩き出す。
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⏰:08/09/14 13:54 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#56 [◆BBhDve0Trg]
 
「あ!!おい、雪!!」

その時、進藤が窓の外を指さして言った。

空から白い結晶がパラパラと舞い降りている。

「え、うそ!?」

「わー!!」

みんな口々に言いながら窓に近づく。

「雪!!」

中井も目を輝かせて、窓の方へ向かう。

途中、中井が俺の方を振り向いた。
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⏰:08/09/14 13:55 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#57 [◆BBhDve0Trg]
 
「ほら、サンタ!!」

そう言って、本当に嬉しそうに笑った。

その笑顔は、美穂に負けないぐらいまぶしくて、輝いて見えた。

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⏰:08/09/14 13:57 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#58 [◆BBhDve0Trg]
 

・・・その瞬間、俺の中で中井が、一人の女の子に変わった。

けど、そのことに俺自身が気づくのは、まだもう少し先の話・・・。


・・・明日はクリスマスだ。

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⏰:08/09/14 13:58 📱:D904i 🆔:☆☆☆


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