【特別企画】１日限りの恋愛短編祭り！【投下スレ】

え…？あっ…そっか
発表昨日だったんだ…
でも私…雅也から何も聞いてない

「雅也には今度おごって貰わなくちゃなぁ！
今日だってワザワザ、シフト交換してやったんだし！雅也も休みだし、これから二人でお祝い？」

は………？
シフト交換した？
だって雅也…今日バイトだってメール………
　

　
「おっと！バイトに遅れる！！じゃあ雅也に宜しくなぁー」

そうして佐々木さんはその場を去って行った
私はすぐ雅也の携帯に電話をかけるが
何度コールしても出ない

あぁ……そっか
私避けられてるんだね
　

　
私は雅也の携帯に留守電を残した

『あの場所で待ってます今日来なかったら…
…もう終わりにしよう』

待ってるうちに雨が降り出した。時計を見ると約束の時間からはすでに２時間過ぎており
時計の針は１５時を指していた
　

　
やっぱり…ダメなんだ
そう思っていると
フワッと後ろから抱きしめられる

「……え……？」

振り向くと
そこには、息を切らした
雅也の姿があった

「雅也…」
　

　
「亜由美！！！
身重なのに雨に打たれて何やってんだ！？」

雅也の怒鳴り声が頭に響く

「……て…今日バイトじゃないんでしょ？
……私と会いたく…なくて………嘘…」

全部を言い終わる前に
私は再び雅也の腕の中にいた
　

　
「あぁーもう！！こーれ！これ買ってたの！！」

そう言って
差し出されたのは
小さいけど
ピカピカに輝く
ダイヤの指輪だった

「え……？だって…結婚は無理って……」
　

　
「…だから、それは！未熟者で中途半端な俺じゃ結婚は無理だから！」

そう言って濡れた頭を
ガシガシとかくと
今度は少し拗ねた様に

「…だから必死に頑張ってデビューも決まって、賞金で指輪も買ったから今日ビシッと決めようとしたのに……お前は…」

と言うと
優しく唇を重ねた
　

　

「俺にはお前と赤ちゃんが必要なんだ。亜由美…俺と、結婚してくれ」

シンプルだけど
雅也らしい素敵な
プロポーズだった

気付いたら
あんなに降っていた雨は
すっかり止んでいた
　

　
ねー雅也。
私思い出したよ
雅也が雨を好きな理由

雨が降ると虹が見えるからだよね？

虹は大きく大空に
弧を描き
私達を祝福してる様だった
　

　

私達は昔の様に
手を繋ぎながら歩いた

左手の薬指には
キラキラのダイヤの指輪
空には鮮やかな虹

「雅也幸せになろーね」
　