Fantasy Story
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#21 [英]
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「必要だらか“向こう”に連れて行ったのに直ぐ帰すと思います?」

「……思わない」

「ふふ、安心して下さい。用が済めばこちらにちゃんと帰しますので……まぁ、当分先の話ですけどね。お兄さんも、貴方も…」


気付けば彼女の笑みは息がかかる程近くにあった。

薄紫の大きな瞳に映ったのは僕の顔ではなく、見た事もない世界が何処までも広がっていた。その世界は彼女の姿同様、ファンタジーの世界にあるようなモノばかりだった。

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⏰:08/09/16 00:54 📱:W53T 🆔:uMH/FQRM


#22 [英]
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「――“向こう”へ行けばお兄さんに会えるでしょう……ですが今までのように簡単にはいかないですが――」



それはどう言う意味なのだろうか。行けば直ぐ会えるわけじゃないのか?


そう聞きたかったが思うように口が開かなく、声を出す事が出来なかった。次第に身体も動かせなくなり、重たくなった瞼が勝手に落ちていく。

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⏰:08/09/16 15:38 📱:W53T 🆔:uMH/FQRM


#23 [英]
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薄れる意識の中、もう一度彼女を見たら先程までの妖しい笑みはどこにも無く、そこには辛そうな…悲しそうな顔があった。



そして僕の視界は真っ暗となった――。




next...第一章

⏰:08/09/16 15:44 📱:W53T 🆔:uMH/FQRM


#24 [英]
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・お知らせ・
第一章からは主人公視点から三人称視点となります。読みにくいかもしれませんがまた主人公視点に戻る時もあると思います…。
申し訳ないです;;

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⏰:08/09/17 19:09 📱:W53T 🆔:W0ycFVR2


#25 [英]



朝、目覚し時計が鳴っても眠り続ける僕を起こしに来る母さん。

リビングに行けば新聞を読みながら「おはよう」と言ってくれる父さん。

自分の分だけじゃ足らなく、僕の朝ご飯まで食べようとする兄貴。



これが僕にとって当たり前の生活で…当たり前過ぎて幸せだとか分からないけど、この生活がとても温かく感じられるんだ。


⏰:08/09/17 21:25 📱:W53T 🆔:W0ycFVR2


#26 [英]

だけどそんな温かな風景に、どこからともなく闇が滲み出て来る。


その闇から聞こえて来るのは家族の話し声や笑い声ではなく、鼓膜を破るような金属音と人々の悲痛な叫びと悲鳴だった――



―Fantasy Story.01―

⏰:08/09/17 21:32 📱:W53T 🆔:W0ycFVR2


#27 [英]
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「うわああああ!!!……あ、あれ…?」



夢から覚めれば透は悲鳴に近い叫びと、間抜けな声をあげた。


「へ…夢?そ、そっか…僕寝ちゃったんだ…」


視界に広がる青は学校の屋上から見える空と同じ色で…だけど今寝転がっている地面は屋上とは違った。


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⏰:08/09/17 22:14 📱:W53T 🆔:W0ycFVR2


#28 [英]
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手を探るように動かしてみれば、そこにあるはずのない土と地面から生えた草が透の指に触れたのだった。


「…どうして土が…」


…あるんだろうか?
そう言葉を発する前に、風と共に流れてくる草木や土の匂いに気付いた透は空を眺めるのを止め、ガバッと効果音がつく程勢い良く上半身を起こした。

それと同時に周囲を見回せば、冷や汗が額から流れ出てくる。


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⏰:08/09/18 01:49 📱:W53T 🆔:0TIpl6QI


#29 [英]
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「――も、森…?」



広場のように空いた場所の中心に透は居た。

緑色の短い草が敷き詰められていて、広場は奥が見えない程沢山の木々に囲まれている。よく見て見れば、真上にある青空はその高く伸びた木々によって狭いものとなっていた。


「森だなんて入った覚えないんだけど…」


呆然としていると、屋上で起こった出来事を思い出した。

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⏰:08/09/18 18:55 📱:W53T 🆔:0TIpl6QI


#30 [英]





『“向こう”に行けばお兄さんに会えるでしょう』





「ああ…此処があの子の言っていた“向こう”なのか…」


屋上で会った少女の言葉を全て思い出した透は深い溜め息をついた。

こんな鬱蒼とした森に水人は居るのか…。もし居たとしても、森の中を一人で歩く勇気なんてない。

そう心で呟く透だが、ずっと此処に座ってるわけにもいかず、重たい腰をあげた。


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⏰:08/09/18 21:43 📱:W53T 🆔:0TIpl6QI


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