「好き」と言いたい。2
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#134 [あんみつ]
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健二のいない日々は、着実に過ぎていった。
近所でも学校でも、びっくりするぐらい会うことはない。
……こうやって離れていくのかな。
なんて、考えると胸が痛んだ。
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:09/08/10 14:44
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#135 [あんみつ]
十月初め、昇降口を出ると秋を感じさせる風が吹いていた。
少しだけ肌寒さを感じて、腕まくりしていた長袖を伸ばす。
(……帰ろ)
校門を出て、いつもは右に行くところをまっすぐ進む。
なんとなく、気分を変えたかった。
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:09/08/10 14:45
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#136 [あんみつ]
細い路地を抜け階段を上がると、一気に視界が開けた。
そこは、夏祭りのあった川原。
あの時の賑わいとは打って変わって、今は静かだ。
風、水、草木、自然の音がすんなりと私の耳に入ってくる。
ぼんやりと川を見ていると、私と同じ階段から老夫婦が上がってきた。
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:09/08/10 14:45
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#137 [あんみつ]
おじいさんは柴系の犬を連れていて、おばあさんは寄り添うようにして歩く。
「こんにちは」
挨拶されて、私も笑顔で返した。
二人と一匹は、私が行こうとするのとは逆の方向に歩いて行った。
なんだか微笑ましい。
私も歩き始めた。
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:09/08/10 14:46
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#138 [あんみつ]
あの日、夜空に咲く花に祈った。
私の選んだ言葉が、行動が、進む道が、間違っていませんように。
その願いはきっと、叶わなかった。
どうしたって私は……
健二のことが好きだった。
昔からずっと、私にとっての一番は健二だった。
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:09/08/10 14:47
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#139 [あんみつ]
たくさん遠回りした今なら分かる。
健二しかいない。
健二がいないだけで私の世界は色褪せるの。
健二の隣にいたい。
健二に隣にいてほしい。
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:09/08/10 14:49
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#140 [あんみつ]
気付いたら近所の公園に来ていた。
隅にあるブランコに座る。
ちょうど三カ月前の七夕の日。
健二と花火をした公園。
……健二に「好き」と言おうとした公園。
あの時「好き」と言っていたら、なにか変わっていたのかな?
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:09/08/10 14:50
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#141 [あんみつ]
『ねこ!』
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:09/08/10 14:51
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#142 [あんみつ]
健二の声が聞こえた気がした。
思い出して、想っては視界が滲む。
「……っ……ひっ」
……ねぇ、健二。
好きだよ。
大好きだよ。
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:09/08/10 14:52
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#143 [あんみつ]
周りを見たら健二がいる気がして、目を閉じたら瞼の裏に健二がうつる。
眠ろうとすると健二の声が、頭の中でこだまする。
そのたびに、好きの気持ちが大きくなっていく。
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:09/08/10 14:53
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