「好き」と言いたい。2
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#1 [あんみつ]
「好き」と言いたい。の続きになります

「好き」と言いたい。
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/5027/
初めての方はこちらから読んでくれると嬉しいです

前回は放置気味になった時もありましたが、今回はなるべく早めの更新を心掛けて頑張ります

>>2感想板

⏰:08/09/06 14:22 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#2 [あんみつ]
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/
読んでくれた方は、コメントくれると嬉しいです
至らないところもあると思いますが、よろしくお願いします

⏰:08/09/06 14:24 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#3 [あんみつ]
アンカーつけときます
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/09/06 19:46 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#4 [あんみつ]
23、「好き」と言いたい。


ずっと、ずっと一緒にいた。

絶対に失したくない、大切な存在。

これからもずっと、ずっと変わらないと思ってた。



……………健二's side…


.

⏰:08/09/06 19:48 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#5 [あんみつ]
 

「あの子、健二の彼女??」

高校に入学したばかりの頃、よく聞かれた。

「いや、ただの幼なじみ」

俺は、決まってこう答える。

.

⏰:08/09/06 19:49 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#6 [あんみつ]
 

本当は、「ただの」なんて言葉はふさわしくない。

ねこは「大切な」幼なじみだ。

クサいようだけど、本当にそう思う。

恥ずかしくて言えないけど。

.

⏰:08/09/06 19:51 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#7 [あんみつ]
 

「健二、帰ろー」

「おう」

今日もねこが教室に来た。

お互いに用事のない日は、一緒に登校して、一緒に帰るのが当たり前みたいになってる。

小学校の時から、ずっとそうだった。

.

⏰:08/09/06 19:52 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#8 [あんみつ]
 

ねこといると楽しい。

ねこのいない世界は考えられない。

大袈裟みたいに聞こえるけど、本当にそうなんだ。

けど、それはきっと家族愛みたいなもの。

いや、家族愛よりも上かもしれない。

それでも、今更それが恋愛感情に変わることなんてないと思ってた。

ねこにとっても、それは同じだと思ってた。

.

⏰:08/09/06 19:54 📱:D904i 🆔:4GM.ZowQ


#9 [ちゅん]
あげ〜っ(_・。)

⏰:08/09/10 22:49 📱:SH905i 🆔:3E4EFBfw


#10 [あんみつ]
ちゅんさん
あげありがとうございます

⏰:08/09/13 11:32 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#11 [あんみつ]
――――――――


幼なじみだからって、知らないことや、言いたくないことはある。

それは分かってる。

けど、実際にそれをねこに態度で見せられたとき、ひどくショックだった。

.

⏰:08/09/13 11:34 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#12 [ちゅん]
まぢこの小説ずっと
読んでました

⏰:08/09/13 11:34 📱:SH905i 🆔:8DNfMBaU


#13 [あんみつ]
 

あの七夕の日。

ねこが少し遠くなった気がした。

何か悩んでいることは分かった。

だから、聞いてやりたかった。

少しでも、心を軽くしてやりたかった。
.

⏰:08/09/13 11:35 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#14 [あんみつ]
ちゅんさん
ずっとですか
めっちゃ嬉しいです
よかったら感想板の方にも来てくださいね

⏰:08/09/13 11:39 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#15 [あんみつ]
 
誰にも言えなくても、俺になら話してくれると思ってたから。

聞いてやれるのは俺だけだって、自惚れていたから。

・・・結局、ねこは泣くだけで何も話してはくれなかった。

.

⏰:08/09/13 11:41 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#16 [あんみつ]
――――――――


佐古と二人で出かけた日、俺は洋平といたと嘘をついた。

なぜだかよく分からないけど、本当のことをねこに言うのは気が引けたから。

なぜだか分からないけど、言いたくなかったんだ。

.

⏰:08/09/13 11:43 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#17 [あんみつ]
 

『・・・ねこには関係ねーじゃん』


本心じゃない。

けど、俺の言った一言に、ねこは今にも泣き出しそうな顔をした。

.

⏰:08/09/13 11:45 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#18 [あんみつ]
 

今思えば、俺はすねていたのかもしれない。

すねていた、なんて言うと子供みたいだけど。

ねこが何も言ってくれないことが寂しくて。

自分ばっかりが、ねこを大切に思ってる気がして寂しくて。

とにかく・・・ねこが離れていく気がして、寂しかった。

.

⏰:08/09/13 11:46 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#19 [あんみつ]
 

けど、それが原因で喧嘩したんじゃ意味がない。

『健二には・・・関係ない!!』


俺が言ったのと同じ意味のねこの言葉は、俺の心に重くのしかかった。

.

⏰:08/09/13 11:48 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#20 [あんみつ]
 

俺たちは幼なじみ。

それだけ。

分かっていたはずなのに、俺は何を求めてたんだ?

・・・何かなんて分からない。

けど、俺と同じようにねこも傷ついたのかと思うと胸が痛んだ。

ねこの泣きそうな顔が忘れられなくて、死ぬほど後悔した。

.

⏰:08/09/13 11:49 📱:D904i 🆔:fhhtH2K2


#21 [ぷぅ子]
書いてほしいです
ぉもしろい

⏰:08/09/15 08:27 📱:F906i 🆔:2v/oUYGs


#22 [ゆん]
おもしろーぃ
楽しみにしてます

⏰:08/09/15 08:46 📱:SH706i 🆔:Nz2.6DXo


#23 [あんみつ]
ぷぅ子さんゆんさん
ありがとうございます
今から少し更新します
よかったら感想板の方にも来てください

⏰:08/09/18 13:13 📱:D904i 🆔:kSAZvkfA


#24 [あんみつ]
――――――――


・・・ねことは、あれから話していない。

チャンスは何度もあったはずなのに、俺は何度もそれをやり過ごした。

多分、俺は待っていたんだと思う。

ねこから話しかけてくれるのを。
.

⏰:08/09/18 13:16 📱:D904i 🆔:kSAZvkfA


#25 [あんみつ]
 
やっぱり健二がいなきゃダメ。

そう言って欲しかった。

こんなに大切に思ってるのは、俺ばっかりだと思いたくなかった。

.

⏰:08/09/18 13:17 📱:D904i 🆔:kSAZvkfA


#26 [あんみつ]
 

(・・・あ、ねこ)

大掃除の時、渡り廊下を歩いていた俺の視界の端に、ねこが映った。

たとえ視界の隅でも、ねこだというのはすぐに分かる。

太陽の照りつける裏庭で、なんでか一人、花に水をやっている。

.

⏰:08/09/18 13:18 📱:D904i 🆔:kSAZvkfA


#27 [あんみつ]
 

今?

今なんじゃないのか?


心の中で誰かが言った。


変な意地をはってるって分かってる。

ねこがいないとダメなのは自分だってことも。

だけど・・・かける言葉が見つからない。

.

⏰:08/09/18 13:19 📱:D904i 🆔:kSAZvkfA


#28 [あんみつ]
 

俺は、前を向いたまま渡り廊下を歩き続ける。

(・・・?)

バッ!!

視線を感じて、俺はねこの方を見た。

が、ねこは相変わらず、黙々と水やりを続けている。

(・・・気のせい、か)

太陽の光で、髪が茶色がかって見える。
.

⏰:08/09/18 13:22 📱:D904i 🆔:kSAZvkfA


#29 [あんみつ]
 
そんなねこの姿だけが、色とりどりの花の中でとても綺麗に見えて、思わず目を細めた。

俺はもう一度、頭をフル回転させて仲直りの言葉を探す。

けど、やっぱり見つからない。

ごめん、悪かった、そんな言葉じゃないんだ。

俺は、ため息を一つ残してその場を去った。

.

⏰:08/09/18 13:24 📱:D904i 🆔:kSAZvkfA


#30 [あんみつ]
 

戻りたい。

戻りたいに決まってる。

ずっと一緒だったんだ。

16年間一緒に過ごしてきて、こんな終わり方はない。

こんなんでダメになるような、もろい関係じゃないはずだろ?

.

⏰:08/09/18 13:26 📱:D904i 🆔:kSAZvkfA


#31 [あんみつ]
 

「・・・竹本先輩!!」

廊下を歩いていると、呼び止められた。

部活に入っていない俺のことを、先輩と呼ぶのは一人しかいない。

振り向くと、思った通りの顔。

「先輩、どこの掃除ですか?」

一年の佐古。

一ヶ月ほど前、俺は佐古に告白された。
.

⏰:08/09/22 12:49 📱:D904i 🆔:kAr3NuZA


#32 [あんみつ]
 
「昇降口。もう済んだけどな」

俺が答えると、それだけで佐古は、とても嬉しそうに笑う。

(・・・かわいいじゃん)

そんなことを思った自分に驚いた。

.

⏰:08/09/22 12:51 📱:D904i 🆔:kAr3NuZA


#33 [あんみつ]
 

正直、俺は初め、佐古のことがうっとうしかった。

断っても断っても、懲りずにまとわりついてくる。

いつも、俺に素直な気持ちをぶつけてくる。

俺の目に映る佐古は、いつだって真っ直ぐだった。
.

⏰:08/09/22 12:53 📱:D904i 🆔:kAr3NuZA


#34 [あんみつ]
 
うっとうしかった、はずなのに。

いつしか、俺の中で佐古は、しつこい奴から真っ直ぐな女に変わっていた。

俺を見つけては駆け寄ってきて、必死で会話を繋げようとする佐古を愛しくも感じたし、話してて楽しいとも思った。

・・・好きだと思ったんだ。

.

⏰:08/09/22 12:57 📱:D904i 🆔:kAr3NuZA


#35 [あんみつ]
 

思えば、今まで俺は、ねこばっかりだった。

彼女が欲しくなかったわけじゃないし、かわいいと思う子がいなかったわけでもない。

けど、いつもかわいいと思うだけで終わりで、付き合いたいと思う子はいなかった。

俺のかわいいと思う気持ちは、いつも、大切な幼なじみへの気持ちより下だった。

.

⏰:08/09/22 13:52 📱:D904i 🆔:kAr3NuZA


#36 [あんみつ]
 
けど、今。

佐古に対しての俺の気持ちは、今までのとは違う。

そう感じた自分を、その気持ちを、信じてみようと思った。


8月の初め。

俺は、佐古と付き合うことを決めた。

.

⏰:08/09/22 13:54 📱:D904i 🆔:kAr3NuZA


#37 [のあ]
この物語大好きっ
頑張って最後まで
更新お願いします

⏰:08/09/26 09:38 📱:SH905i 🆔:.l6w8O7w


#38 [あんみつ]
のあさん
ありがとうございます
すごく励みになります
更新遅いですが、完結目指してがんばりますね

⏰:08/09/26 14:30 📱:D904i 🆔:7xTSTCD.


#39 [あんみつ]
――――――――


洋平が、ねこのことを好きだと言った。

驚いたけど、洋平がねこを好きになったことには、何も疑問を感じなかった。

ねこはいいやつだ。

ずっと一緒にいた俺が言うんだから間違えない。

洋平もいいやつだと思う。

ねこが好きになろうと、不思議はなかった。
.

⏰:08/09/26 14:34 📱:D904i 🆔:7xTSTCD.


#40 [あんみつ]
 
だから、祭りの日。

洋平からかかってきた電話の内容は、洋平がねこのことを好きだと知った日から、心のどこかで予感していたんだと思う。

{ねこちゃんと付き合うことになった}

佐古を駅まで送って、家に帰る道。

いつになく嬉しそうな声で、電話越しに洋平が言った。
.

⏰:08/09/26 14:35 📱:D904i 🆔:7xTSTCD.


#41 [あんみつ]
 
「おめでと。よかったな」

口ではそう言ったけど、すんなりと受け入れられない自分がいるのを、俺は否定できなかった。

俺の隣には佐古がいて、ねこの隣には洋平がいる。

こんな風に、俺とねこは離れていくんだ。

そう思ったら、胸が痛んだ。

.

⏰:08/09/26 14:37 📱:D904i 🆔:7xTSTCD.


#42 [あんみつ]
 

ねことは相変わらずで、時間だけがむなしく過ぎていた。

壊したのは、俺。


電話を切って空を見上げると、綺麗な月が見えた。

まん丸ではないけれど、黄色く光る綺麗な月。

のどの奥からこみ上げてくる熱い何かを振り切るように、俺は目線を前に戻した。
.

⏰:08/09/27 18:05 📱:D904i 🆔:3imYfts6


#43 [あんみつ]
 
家への最後の曲がり角を曲がる。

(・・・あ)

ねこだ。

俺の家より少し手前にあるねこの家。

その門の前にねこが座っていた。


今?

今なんじゃないのか?


心の中で、いつかと同じように誰かが言った。
.

⏰:08/09/27 18:06 📱:D904i 🆔:3imYfts6


#44 [あんみつ]
 
それでもやっぱり、俺の足は止まらない。

俺は前を向いたまま歩き続ける。

ねこがこっちを見たような気がした。

けど俺は、そのままねこの前を通り過ぎる。

「っ・・・健二!!」

ねこが俺の名前を呼んだ。

瞬間、俺の足は止まる。
.

⏰:08/09/27 18:08 📱:D904i 🆔:3imYfts6


#45 [あんみつ]
 
(・・・ねこ)

久しぶりに聞くその響きは温かかった。

「・・・おせーんだよ、たこ」

ねこの方を振り向いて言った。

それは、素直にはまだ程遠いセリフ。

だけど、泣き出したねこを見て、今なら俺も素直になれるような気がした。
.

⏰:08/09/27 18:10 📱:D904i 🆔:3imYfts6


#46 [あんみつ]
 
「俺・・・ねこには、幸せになってほしいって、思ってるから」

照れくさいけど、本当の気持ち。

他にも伝えたいことはたくさんあるけど、全部言い出すと俺まで泣きそうな気がして止めた。

それに、上手く言葉にする自信もなかった。
.

⏰:08/09/27 18:11 📱:D904i 🆔:3imYfts6


#47 [あんみつ]
 
「・・・私もだよ!!」

ねこの言葉、本当に嬉しかった。

ねこも、俺と同じなんだ。

そう思ったら、なぜだかすごく安心できた。

.

⏰:08/09/27 18:56 📱:D904i 🆔:3imYfts6


#48 [あんみつ]
 

なぁ、ねこ。

ごめんな。

素直になれなくて、傷付けて。

ありがとな。

変な意地ばかり張ってしょうもない俺のこと、見捨てないでいてくれて。

ありがとな。

もう一度、俺の名前を呼んでくれて。

.

⏰:08/09/27 18:58 📱:D904i 🆔:3imYfts6


#49 [あんみつ]
 

強めのデコピンは照れ隠し。

だけど、たくさんの気持ちがこもってる。

まだまだ素直にはなれそうにないけど、こんな風に、少しずつ伝えていけばいい。


なぁ、ねこ。

俺たち、もう大丈夫だよな?

.

⏰:08/09/27 18:59 📱:D904i 🆔:3imYfts6


#50 [リな]
あげ〜っ(。・_・。)ノ
早く続きみたーいっ

⏰:08/10/05 12:37 📱:SH905i 🆔:0/5iKk5M


#51 [我輩は匿名である]
あたしも
はよ見たい

⏰:08/10/10 19:19 📱:P905i 🆔:0a7Vkxqs


#52 [あんみつ]
りなさん匿名さん
ありがとうございます(´;ω;`)
更新遅くて申し訳ないです
明日少しですが更新予定です
よかったら感想板にも来てくださいね

⏰:08/10/12 23:01 📱:D904i 🆔:LF3Hmpos


#53 [あんみつ]
――――――――


俺は、まわりが見えていなかった。

ねこといると、あまりに楽しかったから。

ねこの手が、あまりに温かかったから。


・・・俺にとって、ねこの存在は絶対だった。

.

⏰:08/10/13 11:08 📱:D904i 🆔:/.29.oE.


#54 [あんみつ]
――――――――


俺は、間違っていたのかもしれない。

借り物競争で、お題の紙を開いて中の文字を見た途端、ねこの顔が浮かんだ。

ゴールして洋平を見た時、初めて自分のしたことに気付いた。

「大丈夫だよ」

ねこはそう言って笑ったけど、その笑顔は不安げで、俺は胸が締め付けられる気がした。

.

⏰:08/10/13 22:19 📱:D904i 🆔:/.29.oE.


#55 [あんみつ]
 

その日佐古は、ねこのことには触れなかった。

当たり障りのないことを話す佐古の笑顔は、どこか無理をしているようで俺は何も言えなくなった。

そんな俺に気付いて、佐古も口を閉ざす。


『ねこはただの幼なじみだ』


今まで何度も言ってきた言葉が、その時はどうしても言えなかった。

.

⏰:08/10/13 22:20 📱:D904i 🆔:/.29.oE.


#56 [あんみつ]
 

ねこの顔が浮かんだから、ねこのもとに走った。

ねこの手を引いて走った。

けど、俺の考えなしの行動は周りの人を傷付けた。

それでも、その時はまだ、ねこと離れるなんて選択肢は俺の中にはなくて、どうしたら佐古に分かってもらえるか、どうしたら洋平に分かってもらえるか、そればかり考えてた。
.

⏰:08/10/13 22:21 📱:D904i 🆔:/.29.oE.


#57 [あんみつ]
 
けどいくら考えても答えなんかでなくて、佐古とは気まずい日々が続く。

どうしたらいいか分からなかった。

だからせめて、佐古に自分の正直な気持ちを伝えようと思った。

できる限りのことをしてから、ねこと話そうとも。
.

⏰:08/10/13 22:23 📱:D904i 🆔:/.29.oE.


#58 [あんみつ]
 
ねこもきっと、洋平に分かってもらおうとしているだろう。

責任は俺にあるのだから、何か少しでも俺にできることがあれば。

そんなことを考えていた。


ねこと、ずっとこのままでいたかった。

いられると思ってた。

.

⏰:08/10/13 22:24 📱:D904i 🆔:/.29.oE.


#59 [あっちゃん]
いつも楽しくみてます
更新楽しみに待ってます

⏰:08/10/23 13:15 📱:SH905i 🆔:vlW07cX2


#60 [§柚§]
ぁげ



この小説ぉもしろぃッャ
頑張って

⏰:08/10/24 18:14 📱:911SH 🆔:MuS8I66w


#61 [匿名]
次いつ更新ですか?

⏰:08/10/27 18:10 📱:SH906i 🆔:gvjyGuek


#62 [あんみつ]
あっちゃんさん
§柚§さん
匿名さん
ありがとうございます
更新遅くてすみません
基本は少しずつの遅更新になります
暇ができたら大量更新しようと思います
長い目で見ていただけると嬉しいです

⏰:08/10/27 21:03 📱:D904i 🆔:xxLSfJCY


#63 [あんみつ]
――――――――


佐古のことを好きかも。

そう思ったから、付き合うことに決めた。

佐古と付き合っても、ねことはずっと一緒にいられると思ってた。

けど俺は、本当のことなど何も分かってなかったんだ。

周りの人の気持ちも、自分の気持ちでさえ。

.

⏰:08/10/27 21:05 📱:D904i 🆔:xxLSfJCY


#64 [あんみつ]
 

真剣に向き合ってるつもりだった。

けど、そんな曖昧な気持ちだったから、つもりだけで、本当は目をそらしていただけなのかもしれない。

俺はいつも、甘くて、弱虫だった。

.

⏰:08/10/27 21:07 📱:D904i 🆔:xxLSfJCY


#65 [§柚§]
ぁげ??

頑張って

⏰:08/12/11 02:35 📱:911SH 🆔:AuB6OZlQ


#66 [あんみつ]
§柚§さん
あげありがとうございます
少しですが更新します

⏰:08/12/30 22:32 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#67 [あんみつ]
――――――――


待ち合わせは十一時半。

佐古の家の近くの公園。

俺は柄にもなく、三十分前にはそこにいた。

待ち合わせの時間は守る方だけど、普段は5分前がいい方。

三十分前とか・・・ほんと柄でもない。
.

⏰:08/12/30 22:34 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#68 [あんみつ]
 
佐古が来るまでの間、何度も頭の中でシミュレーションした。

けど、やって来た佐古はすでに泣きそうな顔をしていて、シミュレーションのかいなく、俺は上手く笑えなかった。

.

⏰:08/12/30 22:35 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#69 [あんみつ]
 

「ねこのこと・・・すげー大事なんだ」

佐古に、俺のねこに対する気持ちを伝えた。

これだけじゃなんの解決にもならないのは分かってる。

それでも、どうしても分かってほしかった。
.

⏰:08/12/30 22:35 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#70 [あんみつ]
 
「けど・・・ねこは幼なじみで、それだけだよ」

幼なじみ。

言い慣れた言葉のはずなのに、なぜか少し、胸が痛んだ。

佐古の顔を見れない俺は、意気地なしだ。

.

⏰:08/12/30 22:36 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#71 [あんみつ]
 

「・・・根宮先輩なの?」

沈黙の後、佐古が消えそうな声で言った。

ねこの名前。

「え?」

ちゃんと聞こえたにもかかわらず、俺は反射的に聞き返す。

その時、話しを始めてから初めて、佐古の方を見た。

佐古はじっと前を向いている。

目尻が少し光って見えた。
.

⏰:08/12/30 22:37 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#72 [あんみつ]
 
「先輩の気持ち・・・分かろうとした。大切な幼なじみだって」

言った後、佐古は少しうつむいた。

伸びてきた髪が横顔を覆う。

「けど・・・根宮先輩と一緒にいるのを見る度ほんとは・・・すごく不安だった」
.

⏰:08/12/30 22:38 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#73 [あんみつ]
 
風が吹いて髪がなびいた。

佐古の横髪もなびいたが、少し浮き上がっただけで、表情までは読み取れない。

それでも、想像はつく。

佐古の泣きそうな顔が頭に浮かんだ。

俺は何も言えずに、ただ佐古の言葉を待つ。
.

⏰:08/12/30 22:39 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#74 [あんみつ]
 
「付き合ってるのは私でも・・・健二先輩にとっての一番は、本当は・・・根宮先輩なんじゃないかって」

膝の上で握り締められた佐古の手に、水滴が落ちるのが見えた。

(・・・あ)

何か言わなきゃ、そう思った。

だけど、その何かが分からない。

考える間もなく、佐古は立ち上がって公園の出口に向かっていく。
.

⏰:08/12/30 22:40 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#75 [あんみつ]
 
「待てよ、佐古!!」

俺は追いかけて、佐古の手首をつかんだ。

「っ・・・やだ!!」

佐古は振りほどこうとするが、俺の手には一層力がこもる。

今ここで離したら、ダメだ。

そう思ったから。
.

⏰:08/12/30 22:41 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#76 [あんみつ]
 
「健二先輩が根宮先輩といるとこ・・・もう見たくない!!」

佐古が泣きながら言った。

今までため込んでいたものを吐き出すように。

その言葉に、俺の手は一瞬ゆるんだ。

同時に、佐古が力なくしゃがみこむ。

逃げ出してしまうと思っていた俺は、呆気にとられた。
.

⏰:08/12/30 22:41 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#77 [あんみつ]
 
何がなんだか分からないまま、しゃがんで佐古の顔を覗き込む。

その顔は、青白かった。

「・・・佐古!?」

俺の声に佐古は、ギュッとつむっていた目を開いた。

「・・・大丈夫です・・・ただの貧血」

そう言って立ち上がろうとする。

が、バランスを崩した。
.

⏰:08/12/30 22:43 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#78 [あんみつ]
 
俺は慌てて佐古の肩を支える。

「・・・無理すんなよ」

「・・・すいません」

佐古は小さくうずくまる。

俺は、公園の入り口付近に立つ時計を見上げた。

・・・十一時五十分。

佐古の肩から俺の手に、しんどそうに深く息をするのが伝わってくる。
.

⏰:08/12/30 22:43 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#79 [あんみつ]
 
「・・・家まで、送る」

俺が言うと、佐古は顔を上げて、涙のたまった目で俺を見た。

俺は、おぶうために佐古に背を向ける。


『健二!』


ねこの声が聞こえた気がした。

.

⏰:08/12/30 22:44 📱:D904i 🆔:0WToEP8A


#80 []
書かないん

⏰:09/02/02 05:58 📱:P905i 🆔:/juP43NA


#81 [我輩は匿名である]
書いてほしいです

⏰:09/02/03 17:42 📱:P905i 🆔:.wAW7Dss


#82 [愛読者]
主さん続き気になりますお時間できたら書いてください~お願いしますx

⏰:09/02/09 15:14 📱:W53CA 🆔:TdPXJ2KU


#83 [我輩は匿名である]
続き待ってますx

⏰:09/06/22 18:15 📱:W61T 🆔:5liqgDD2


#84 [あんみつ]
長い間放置ですみませんでした
少しですが更新します

⏰:09/07/22 11:16 📱:D904i 🆔:e12wLzPk


#85 [あんみつ]
――――――――


佐古をおぶって家まで送る。

徒歩3分の道のりが、ものすごく長く感じた。


背中の佐古は力なくぐったりしている。

『健二先輩が根宮先輩といるとこ……もう見たくない!』
.

⏰:09/07/22 11:17 📱:D904i 🆔:e12wLzPk


#86 [あんみつ]
 
佐古の言葉が頭の中にこだまする。

……ここまで追い詰めていたんだ。



その日俺は、「幼なじみ」であるねこより「彼女」である佐古を選んだ。

それが当然で、それが正しいと、その時は思ったんだ。

.

⏰:09/07/22 11:18 📱:D904i 🆔:e12wLzPk


#87 [あんみつ]
――――――――


ねこの夢を見た。

夢の中で俺たちは、くだらない話をして笑い合った。

話の内容は覚えてないけど、本当にくだらない話だったと思う。

けど、話の内容なんかより、ねこが笑ってくれることが嬉しかった。

一緒にいることが、嬉しかったんだ。

.

⏰:09/07/22 11:19 📱:D904i 🆔:e12wLzPk


#88 [あんみつ]
―――――――


次の日、俺はいつもより早く家を出た。

今ねこと顔をあわすわけにはいかない。

会うときっと、流されてしまうから。

一緒にいたいと思ってしまうから。

それだと何の解決にもならないから。

ねこの家の前で足を止めて、玄関を見つめた。
.

⏰:09/07/22 11:20 📱:D904i 🆔:e12wLzPk


#89 [あんみつ]
 
『健二おはよー』

今にもドアが開いて、ねこが出てくる気がしてならない。

そんな思いをかき消して、俺は再び足を動かし始める。

ねことの距離は、近いのに……遠い。

俺は、幼なじみという立場すらなくしてしまった。

.

⏰:09/07/22 11:21 📱:D904i 🆔:e12wLzPk


#90 [あんみつ]
――――――――


9月の最後の日、教室を出ようとする俺を、洋平が呼び止めた。

「健二、ちょっと」

それだけ言って歩き出す洋平に、俺は無言でついて行く。

洋平は分かりやすい。

なにか真剣な話があるのだろう。

中庭に着いてベンチに座った洋平の横に、俺も腰を下ろした。

.

⏰:09/08/09 08:09 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#91 [あんみつ]
 

……まだ暑い頃、ここでねこを見た。

仲直りのきっかけが欲しくて、振り向いてくれればと切に願った。

今はあの時より、なんとなく花も色褪せて見える。

.

⏰:09/08/09 08:18 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#92 [あんみつ]
 

「……健二」

洋平が口を開く。

「ん?」

「……俺、

……ねこちゃんと別れた」

.

⏰:09/08/09 08:30 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#93 [あんみつ]
 

…………は?

今……なんて……


言葉の意味が分からず、俺は洋平を見る。

洋平は前を向いたままだ。

「うぬぼれんなよ。健二が理由で別れたわけじゃない。……原因は、俺だ」

頭が回らずに呆然としている俺に洋平が言った。

.

⏰:09/08/09 08:32 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#94 [あんみつ]
 

……ワカレタ?

洋平とねこが……

……別れた。



「……なんで」

理解した俺がやっとの思いで口にしたのはその一言。

「俺が振られたんだよ」

洋平は淡々と答えた。

.

⏰:09/08/09 08:34 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#95 [あんみつ]
 

俺はふと洋平の手を見た。

膝の上で固く握りしめられている。

……平気なわけないんだ。



「俺は、ねこちゃんの一番にはなれなかった」

洋平の言葉に、俺は視線を洋平の横顔に戻す。

.

⏰:09/08/09 08:46 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#96 [あんみつ]
 

『付き合ってるのは私でも……健二先輩にとっての一番は、本当は……根宮先輩なんじゃないかって』


佐古の言葉が頭に浮かんだ。

「ねこの……一番って?」

俺が言うと、洋平はこっちを向いて少し不機嫌そうな顔をした。
.

⏰:09/08/09 08:49 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#97 [あんみつ]
 
「自分で考えろよ。以上、報告終わり」

それだけ言うと洋平は立ち上がり、さっさと校舎に向かって歩いていった。

裏庭には、ハテナマークを頭に浮かべた俺だけが取り残された。

.

⏰:09/08/09 08:51 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#98 [あんみつ]
――――――――


洋平に、ねこと別れたことを聞いてから一週間。

正直この一週間、俺はねこのことばかりが気がかりだった。

自分から振ったからって、はいさようならって割り切れるようなやつじゃないのは知ってる。

相手を傷つけたら自分も傷つくようなやつなのも知ってる。

なぁ、ねこ……

お前は今、どんな気持ちでいる?

.

⏰:09/08/09 08:52 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#99 [あんみつ]
 

『俺は、ねこちゃんの一番にはなれなかった』

洋平はそう言った。

ねこ、お前の一番ってなんだ?

ハテナマークと共に、ねこの言葉が、表情が、頭に浮かんでは消える。

十六年間一緒にいて、俺はねこの何を見てたんだ?

.

⏰:09/08/09 08:53 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#100 [あんみつ]
 

ブーブーブー

ズボンのポケットの中の携帯が震えた。

――――――――
10/7 16:35
From 佐古 泉
Sub 無題

一緒に帰りませんか?
昇降口で待ってます。
――――――――

メールを見て携帯をポケットに戻し、俺は立ち上がった。

.

⏰:09/08/09 08:54 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#101 [あんみつ]
――――――――


下駄箱にもたれて佐古は待っていた。

「……悪い」

俺が言うと、佐古は力なく笑った。

佐古といると俺は、すべてを見透かされているような気分になる時がある。

「帰りましょうか」

俺たちは並んで歩き始めた。

.

⏰:09/08/09 09:12 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#102 [あんみつ]
 

俺たちはぎこちない。

もうずいぶん前から。

二人の間に流れる空気が、以前のそれとは違うことをお互いによく分かってる。

けどお互いに何も言わなかった。

時々一緒に帰って、たわいもない話をする。

そんな日々が続いていた。

原因が俺にあるのは痛いぐらい分かってる。

けど、もうどうすればいいのか分からない。

分かってるのは……もうダメなんだろうなってこと。

.

⏰:09/08/09 09:14 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#103 [あんみつ]
 

(……あ)

昇降口を出ると、前の方にねこの後ろ姿が見えた。

ねこの隣には、誰もいない。

夕日に照らされるその背中を、俺は目を細めて見つめた。

小さくて、どこか寂しげなその背中に、俺は駆け寄りたい衝動にかられた。

.

⏰:09/08/09 09:16 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#104 [あんみつ]
 

ねこを突き放したのは俺。

それがお互いのためだと思ったから。

けど……

ねこは今独りだ。

昔からこんな時、自ら駆け寄ってねこの隣を歩くのが俺の役目だった。

……今の俺にそんな資格はない。
.

⏰:09/08/09 09:18 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#105 [あんみつ]
 
俺の隣には佐古。

ねこを突き放したのは俺。

俺は佐古の彼氏。

ねこと俺は……幼なじみ。

……そうだろ?

なぁ、ねこ。

.

⏰:09/08/09 09:20 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#106 [あんみつ]
 

俺はぎゅっと手を握りしめた。

爪が手のひらに食い込んで、小さな痛みが走る。

我に返った俺は、隣に佐古がいないことに気づいた。

少し後ろを振り返ると、佐古が立ち止まっている。

「……佐古?」

呼びかけに答えず、じっと俺を見る佐古。

その目は今にも泣きそうだった。
.

⏰:09/08/09 09:22 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#107 [あんみつ]
 
それに気付いたのに、俺は足はその場から動かない。

風が吹いて佐古の髪がなびく。

「……別れてください」

その風に乗せて、吐き出すように佐古は言った。

.

⏰:09/08/09 09:23 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#108 [あんみつ]
――――――――


いつか、こんな日が来るんじゃないかって思ってた。


「別れてください」

何も言わない俺に、佐古はもう一度言った。

さっきまでの泣きそうな目じゃない。

真剣な目で俺を見る。
.

⏰:09/08/09 09:24 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#109 [あんみつ]
 
……あぁ、もう終わりなんだ。

「健二先輩が悪いんじゃない……私が弱かっただけ」

そう言うと佐古は、少し目を伏せた。

「佐古……ごめん」

俺はそれだけ言うのが精一杯だった。

「ちょっとー!謝らないでくださいよ!振ったの私なんですから」

佐古は笑いながら近づいてきて、俺の腕を叩く。
.

⏰:09/08/09 09:27 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#110 [あんみつ]
 
そして、言い終わると同時に、俺の腕を叩いていた手を力なくおろした。

「……最後に、もう一度だけ聞いてもいいですか?」

俺を見上げて佐古が言う。

「……なに?」

精一杯の優しさを込めて俺は聞いた。

「健二先輩にとっての一番って誰ですか?」

.

⏰:09/08/09 09:28 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#111 [あんみつ]
 

……一番?

俺にとっての一番?

佐古のでも洋平のでも

ねこにとっての一番でなく。

俺の……

俺にとっての一番は……


.

⏰:09/08/09 09:36 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#112 [あんみつ]
 




『健二!』




.

⏰:09/08/09 09:37 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#113 [あんみつ]
 

「……あ」

その瞬間気付いた。

誰にとってのでもない、俺にとっての一番を考えた時、真っ先に頭に浮かんだのは……ねこの顔だった。

「やっと気付きましたか?」

そんな俺の心を見透かしたかのように佐古が言う。

頷く俺を見て佐古は微笑んだ。
.

⏰:09/08/09 09:38 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#114 [あんみつ]
 
「……私きっと、根宮先輩の隣にいる健二先輩を好きになったんです。根宮先輩の隣にいる健二先輩が、一番かっこよかった」

独り言のように言って、佐古は再び俺の腕を叩く。

「今ならまだ近くにいるはずですよ!」

「……佐古」

叩きながら佐古はうつむいた。
.

⏰:09/08/09 09:40 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#115 [あんみつ]
 
「だからっ……早く……」

小さくなる佐古の声。

力が弱くなる佐古の手。

「っ……早く行って!!」

最後に佐古は、力強く俺を押した。

.

⏰:09/08/09 09:43 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#116 [あんみつ]
 

……最後まで傷つけてばかりで、ごめん。

けど、佐古と付き合って見つけたものはたくさんあった。

だから……


「ありがとう」

そう言って俺は走り出した。

後ろは振り向かなかった。

.

⏰:09/08/09 09:44 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#117 [あんみつ]
――――――――


ずっと、ずっと一緒にいた。

絶対に失したくない、大切な存在。

これからもずっと、ずっと変わらないと思ってた。


.

⏰:09/08/09 11:27 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#118 [あんみつ]
 


俺は走った。

何度もねこと歩いた学校から家までの道を。

郵便局の角を曲がって、庭に大型犬のいる家の前を通り過ぎる。

通い慣れた道。

あの背中を探して、走った。


.

⏰:09/08/09 11:29 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#119 [あんみつ]
 

『健二には……関係ない!』


『……ごめん、ね』


『佐古さん大事にしてあげなよ!』


ねこの声が表情が、頭に浮かんでは消える。

.

⏰:09/08/09 11:30 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#120 [あんみつ]
 


なんで気付かなかったんだろう。

あの時も、あの時も、昔からずっと。

俺の一番は、ねこだった。

考えてみれば簡単なこと。

俺にはねこ以外いないのに。

ねこの存在だけで、世界はこんなに違うのに。


.

⏰:09/08/09 11:31 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#121 [あんみつ]
 

ねこの家の前に着いて、一か八かでチャイムを押してみる。

が、案の定返事はない。

そりゃそうだ。

俺の足なら、ねこが家に着く前に追いついたはずなんだ。

「……はぁ……くそっ」

(……どこ行ったんだよ)

俺は息を休める暇もなくまた走り出した。


.

⏰:09/08/09 11:33 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#122 [あんみつ]
 


『……私もだよ!』


『ばーかっ!』


『はぁ!?何、猫目って!』

.

⏰:09/08/09 11:35 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#123 [あんみつ]
 

いろんなねこを思い出すのは簡単だった。

泣きそうな顔。

怒った顔。

笑った顔。

すべてがびっくりするぐらいしっかり、俺の中に焼き付いている。


.

⏰:09/08/09 11:36 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#124 [あんみつ]
 


大切な幼なじみだった。

ずっと変わらないと思ってた。

……けど、違った。


.

⏰:09/08/09 11:37 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#125 [あんみつ]
 



『健二!』



.

⏰:09/08/09 11:38 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#126 [あんみつ]
 

どうしても手放したくなくて、逃げて。

傷つけて、傷ついて。

突き放して、立ち止まって、迷って。

……それでも、最後にはねこに辿り着く。

俺にとってねこは……

たった一人の大切な女の子。

ねこの隣にいたいんだ。

ねこに隣にいてほしいんだ。

.

⏰:09/08/09 11:39 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#127 [あんみつ]
 

周りの人を傷つけて、遠回りをしてやっと気付いた。

そんなどうしようもない俺を、ねこはまだ見捨てないでくれるだろうか?

ねこにとって俺は、ただの幼なじみだろうか?

……不安はたくさんある。

けど、もう……

……この足は止まらない。


.

⏰:09/08/09 11:40 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#128 [あんみつ]
 

「……はぁ……はぁ」

俺は、公園の前に立っている。

ちょうど三ヶ月前の七夕の日、ねこと花火をした公園。

隅にあるブランコに、見慣れていたはずの姿があった。

ずいぶん久しぶりな気がする。

俺は深く息を吸って、吐いた。

「……ねこ!」

そして、呼んだ。

.

⏰:09/08/09 11:42 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#129 [あんみつ]
 




今、君に

「好き」と言いたい。




.

⏰:09/08/09 11:43 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#130 [あんみつ]
23話目の健二目線やっと終わりました!

放置していてすみません

次の24話目はねこ目線に戻ります
そして多分、次が最終話になります!

⏰:09/08/09 11:47 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#131 [れいちゅん]
ふわエx

ちょっとーぅトe
めっちゃいいとこで終わってるしcホ
今日の午前中に更新}してほしいなっ(・ω・)_

わがままゆってごめんよケ
れいちゅん早く読みたいの(^ω^)
更新待ってるからあとちょっと頑張ってx

⏰:09/08/10 08:59 📱:W65T 🆔:AZ/6/cWU


#132 [あんみつ]
れいちゅんさん

読んでくれてありがとうございます
午前中には無理でしたが、今から最終話更新します(´ω`)!
よかったら感想板の方にも来て下さい

⏰:09/08/10 14:42 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#133 [あんみつ]
24、「好き」と言いたい。


夢の中で、健二とくだらない話をして笑い合った。

話の内容は覚えてないけど、本当にくだらない話だったと思う。

けど、話の内容なんかより、健二が笑ってくれることが嬉しかった。

一緒にいることが、嬉しかったんだ。

.

⏰:09/08/10 14:43 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#134 [あんみつ]
――――――――


健二のいない日々は、着実に過ぎていった。

近所でも学校でも、びっくりするぐらい会うことはない。

……こうやって離れていくのかな。

なんて、考えると胸が痛んだ。


.

⏰:09/08/10 14:44 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#135 [あんみつ]
 


十月初め、昇降口を出ると秋を感じさせる風が吹いていた。

少しだけ肌寒さを感じて、腕まくりしていた長袖を伸ばす。

(……帰ろ)

校門を出て、いつもは右に行くところをまっすぐ進む。

なんとなく、気分を変えたかった。
.

⏰:09/08/10 14:45 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#136 [あんみつ]
 
細い路地を抜け階段を上がると、一気に視界が開けた。

そこは、夏祭りのあった川原。

あの時の賑わいとは打って変わって、今は静かだ。

風、水、草木、自然の音がすんなりと私の耳に入ってくる。

ぼんやりと川を見ていると、私と同じ階段から老夫婦が上がってきた。
.

⏰:09/08/10 14:45 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#137 [あんみつ]
 
おじいさんは柴系の犬を連れていて、おばあさんは寄り添うようにして歩く。

「こんにちは」

挨拶されて、私も笑顔で返した。

二人と一匹は、私が行こうとするのとは逆の方向に歩いて行った。

なんだか微笑ましい。

私も歩き始めた。


.

⏰:09/08/10 14:46 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#138 [あんみつ]
 


あの日、夜空に咲く花に祈った。

私の選んだ言葉が、行動が、進む道が、間違っていませんように。

その願いはきっと、叶わなかった。

どうしたって私は……

健二のことが好きだった。

昔からずっと、私にとっての一番は健二だった。

.

⏰:09/08/10 14:47 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#139 [あんみつ]
 

たくさん遠回りした今なら分かる。

健二しかいない。

健二がいないだけで私の世界は色褪せるの。

健二の隣にいたい。

健二に隣にいてほしい。


.

⏰:09/08/10 14:49 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#140 [あんみつ]
 

気付いたら近所の公園に来ていた。

隅にあるブランコに座る。

ちょうど三カ月前の七夕の日。

健二と花火をした公園。

……健二に「好き」と言おうとした公園。

あの時「好き」と言っていたら、なにか変わっていたのかな?

.

⏰:09/08/10 14:50 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#141 [あんみつ]
 




『ねこ!』




.

⏰:09/08/10 14:51 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#142 [あんみつ]
 

健二の声が聞こえた気がした。

思い出して、想っては視界が滲む。

「……っ……ひっ」



……ねぇ、健二。


好きだよ。


大好きだよ。

.

⏰:09/08/10 14:52 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#143 [あんみつ]
 


周りを見たら健二がいる気がして、目を閉じたら瞼の裏に健二がうつる。

眠ろうとすると健二の声が、頭の中でこだまする。

そのたびに、好きの気持ちが大きくなっていく。


.

⏰:09/08/10 14:53 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#144 [あんみつ]
 

……健二。


ねぇ、健二。


好きだよ。


苦しいよ。


「好き」と言えないのは、苦しいよ。


隣にいられないのは、苦しいよ。

.

⏰:09/08/10 14:54 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#145 [あんみつ]
 


「っ……けん……じ」

涙が落ちて、スカートに小さな染みを作った。


.

⏰:09/08/10 14:55 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#146 [あんみつ]
 


『十六年の付き合いなめんなよ』


『これやるよ、たこ』


『いつまで泣いてんだよ!』


健二の言葉が、表情が、頭の中に浮かんでは消える。


.

⏰:09/08/10 14:56 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#147 [あんみつ]
 


『俺……ねこには幸せになってほしいって思ってるから』


『ほら、行くぞ』



『ねこ!』


.

⏰:09/08/10 14:58 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#148 [あんみつ]
 


健二……

……好き。


止められない。


溢れ出す。


私、健二に「好き」と言いたい。


.

⏰:09/08/10 14:59 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#149 [あんみつ]
 


どうしても手放したくなくて、逃げて。

傷付けて、傷付いて。

追い掛けて、立ち止まって、迷って。

……それでも最後には君に辿り着く。


.

⏰:09/08/10 15:03 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#150 [あんみつ]
 




今、君に

「好き」と言いたい。




.

⏰:09/08/10 15:03 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#151 [あんみつ]
 


「……ねこ!」


健二の声が、聞こえた気がした。

低くて優しい、健二の声。

それは私の中に、心地良い余韻を残す。

私は目を閉じて、その心地良さに身をゆだねる。


.

⏰:09/08/10 15:04 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#152 [あんみつ]
 


……ザッ……ザッ

砂のこすれる音がした。

それはだんだんと私に近付いてきて、止まった。



「……ねこ」


.

⏰:09/08/10 15:05 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#153 [あんみつ]
 


再び聞こえた声に、私はゆっくりと目を開いた。

そして、顔を上げる。



「……健……二」


.

⏰:09/08/10 15:06 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#154 [あんみつ]
 


目の前には、健二がいた。

ブランコに座る私を、優しい目で見下ろしている。

額は汗ばんで、短い前髪が少し張り付いていた。

.

⏰:09/08/10 15:07 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#155 [あんみつ]
 

「……やっと見つけた」

言いながら健二はもう片方のブランコに腰を下ろす。

(……なんで)

訳の分からない私は、ただただ健二の姿を目で追う。

健二は袖で額の汗を拭うと、私の方を向いた。

夕日のせいか暑いのか、健二の頬は赤く火照って見える。
.

⏰:09/08/10 15:09 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#156 [あんみつ]
 
……なんだかずいぶん久しぶりな気がする。

こうして向かい合うの。

健二の目は真剣で、私は目を離せなかった。

その目に吸い込まれるような気さえした。

「……俺」

健二が口を開いた。



「……佐古と、別れた」


.

⏰:09/08/10 15:10 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#157 [あんみつ]
 


……え


何?


今、なんて……


……別れた?


なんで?


本当に?


.

⏰:09/08/10 15:11 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#158 [あんみつ]
 


声が出ない。

聞きたいことはたくさんあるのに。

「……気付いたんだ」

健二は続ける。

(……何に)

風が吹いた。

砂埃が舞って、私は思わず目を閉じる。
.

⏰:09/08/10 15:12 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#159 [あんみつ]
 
カシャンッ

ブランコが揺れた。

風が止んで、私は目を開ける。

そして気付いた。

ブランコが揺れたのは風のせいじゃない。

目の前には、私を覆うように夕日を背に立つ健二。

健二の両手は、私の座るブランコの鎖を握っている。
.

⏰:09/08/10 15:13 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#160 [あんみつ]
 
同時にもう一つのことに気付く。

健二の頬が赤いのは、夕日のせいでも、きっと暑いからでもない。

それは……


.

⏰:09/08/10 15:14 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#161 [あんみつ]
 


健二の口が動いた。

私にはまるでスローモーションのように見えた。



「俺は……





……ねこが好きだ」

.

⏰:09/08/10 15:15 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#162 [あんみつ]
 


 好 き だ



そう聞こえた。


.

⏰:09/08/10 15:16 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#163 [あんみつ]
 


「……佐古とは別れたばっかだし、俺は……ねこを突き放した。けど……」

健二が言葉を詰まらせる。

一度息を吐いて、意を決したようにまた口を開いた。

「……俺の一番はねこなんだ」


.

⏰:09/08/10 16:25 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#164 [あんみつ]
 


嘘じゃない。

聞き間違えでもない。

健二の真っ赤な顔が、真剣な目が言ってる。


喉が熱い。

胸が震える。

……あぁ、夢じゃない。

自分の頬を涙がつたうのが分かった。


.

⏰:09/08/10 16:26 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#165 [あんみつ]
 

「幼なじみとしてじゃない……一人の女の子として、俺の隣にいてほしい。……好きなんだ」

言い切って健二は、不安の入り交じった、だけど愛おしそうな目で私を見つめる。



『一人の女の子として』


幼なじみとしてじゃない。

.

⏰:09/08/10 16:28 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#166 [あんみつ]
 


……私も健二に、ずっと言いたかった言葉がある。


ずっと言いたかった。


ずっと伝えたかった。


健二に聞いてほしかった言葉がある。


.

⏰:09/08/10 16:29 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#167 [あんみつ]
 


「……健……二」

声が上手く出ない。

「ん?」

そんな私を健二は、十六年間ずっと変わらない優しい瞳で見つめる。


.

⏰:09/08/10 16:30 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#168 [あんみつ]
 


あの七夕の日。

あの日、言えなかった言葉。

ずっと、言いたかった言葉。


.

⏰:09/08/10 16:31 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#169 [あんみつ]
 


「……好き」

健二が目を見開くのが分かった。

そんな健二に、私はもう一度言う。

「私も……健二が好き。ずっと……ずっと、好きだった」

言い終わったと同時に、視界が揺れた。
.

⏰:09/08/10 16:32 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#170 [あんみつ]
 

健二が、ブランコの鎖ごと私を抱き締める。

健二の体温を感じる。

涙が溢れた。


.

⏰:09/08/10 16:32 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#171 [あんみつ]
 


やっと、やっと言えた。


夢じゃない。


夢じゃないんだ。


健二も私を……


.

⏰:09/08/10 16:33 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#172 [あんみつ]
 


「っ……ひっ……健……二」

「……うん」

「……大好き」

「俺も」

健二が、さらに強く私を抱き締める。

私も健二の背中に手を回した。


.

⏰:09/08/10 16:34 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#173 [あんみつ]
 


ずっと、言いたかった言葉。

もう何度でも言うよ。

何度言っても足りないぐらい、健二のことが好きだから。


.

⏰:09/08/10 16:35 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#174 [あんみつ]
 




何度でも、君に


「好き」と言いたい。




.

⏰:09/08/10 16:36 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#175 [あんみつ]
 


「好き」と言いたい。




.

⏰:09/08/10 16:37 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#176 [あんみつ]


以上で「好き」と言いたい。完結です

書き始めたのが約2年前……
途中長い間放置していたにも関わらず読んで下さった方々、本当にありがとうございます

⏰:09/08/10 16:46 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#177 [あんみつ]


読んで下さった方、何か一言でも残してもらえると嬉しいです

感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/2685/


またちょっとした番外編や新作を書けたらと思うので、その時はよろしくお願いします!

⏰:09/08/10 16:53 📱:D904i 🆔:Jifnc1vs


#178 [*紫陽花*]
感動

⏰:09/08/17 16:35 📱:N02A 🆔:oWQYCCuc


#179 [あんみつ]


紫陽花さんありがとうございます

期間だいぶあいてしまいましたが番外編を更新していきたいと思います
またよろしくお願いします

⏰:09/12/28 10:12 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#180 [あんみつ]
 


あれは確か、小学三年生の時。


まだ俺だけが「ねこ」と呼んでいた時の話。


.

⏰:09/12/28 10:17 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#181 [あんみつ]
 


俺が「ねこ」と呼ぶのを聞いて、ねこと同じクラスだった男子一人が真似して呼び始めた。

それが始まり。

あっと言う間に「ねこ」という呼び名は浸透していった。

しかし、その時の俺はそれがとても不愉快で、つまらなかった。
.

⏰:09/12/28 10:19 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#182 [あんみつ]
 
自分だけがねこを「ねこ」と呼ぶ。

その特別な感じが良かったのに。

まぁ今思えばただのやきもちなんだけど。

それからしばらくの間、俺はねこを「ねこ」と呼ばなかった。


.

⏰:09/12/28 11:22 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#183 [あんみつ]
 


 **another story**
   **健二**


.

⏰:09/12/28 11:22 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#184 [あんみつ]
 


「たこって呼んでたよね」

コンビニを出て、マフラーを直しながらねこが言った。

「は?何の話?」

俺はコンビニ袋を左手に持ち替えながら聞く。

「急に思い出したんだけどさ。小三ぐらいの時。健二、私のことたこって呼んでたよね」
.

⏰:09/12/28 11:23 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#185 [あんみつ]
 
(……あぁ)


何という偶然。

つい先日、俺も同じことを思い出したばっかりだ。


けど、あまりその話に触れて欲しくない俺は、何も知らないふりをして言う。

「そうだっけ?」
.

⏰:09/12/28 11:24 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#186 [あんみつ]
 
俺の言葉に、ねこはつまらなさそうな顔をした。

「ん」

そんなねこに、俺は空いた右手を差し出す。

ねこは一瞬きょとんとした後、へへっと笑いながら自分の左手でそれを握った。


.

⏰:09/12/28 11:25 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#187 [あんみつ]
────────



今日はクリスマスイブ。

世のカップルはイルミネーションなんか見に行ったりするのだろうが、俺たちは違う。

昔からクリスマスイブは、ねこの家でケーキを食べていた。
.

⏰:09/12/28 13:30 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#188 [あんみつ]
 
親が両方仕事をしていて留守がちな俺は、ねこの家にお邪魔してねこのお母さんの手作りケーキを頂く。

まぁ高校に入ってからは、コンビニのケーキですまされているが。

.

⏰:09/12/28 13:31 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#189 [あんみつ]
 

付き合い始めても、やっぱり昔からの習慣は残っていて、どちらからともなく今年も自然とこうなった。

これからねこの家に戻って、コンビニで買ったケーキを食べる。


.

⏰:09/12/28 13:32 📱:D904i 🆔:pyY4bziI


#190 [あんみつ]
────────



本当はしっかり覚えてる。

あの日もこんな寒いクリスマスイブだった。


.

⏰:09/12/29 11:27 📱:D904i 🆔:WP3anL/6


#191 [あんみつ]
 


「なんでたこって呼ぶの」

ねこの家でケーキを食べて自分の家に帰る途中、ねこが追いかけて来て言った。

俺は自分の中のもやもやした気持ちを言葉にできずに黙り込んだ。

ねこは涙をためた目で俺を見る。
.

⏰:09/12/29 11:28 📱:D904i 🆔:WP3anL/6


#192 [あんみつ]
 
今まで俺がたこって呼んでも大して怒りもしなかったのに。

本当は嫌だったのだろう。

そんなねこを見て、俺は口を開いた。

「……だって……みんなねこって呼ぶから」
.

⏰:09/12/29 11:29 📱:D904i 🆔:WP3anL/6


#193 [あんみつ]
 
やっとの思いで言った言葉に、ねこはきょとんとした顔をする。

そして言った。

「みんな、健二の真似してるだけでしょ?」

ねこは当たり前のように言った。


.

⏰:09/12/29 11:30 📱:D904i 🆔:WP3anL/6


#194 [あんみつ]
 


自分でも分かってた。

一番にねこと呼び始めたのは俺だってこと。

それは変わらないってこと。

けど、なんか納得いかなかった。


.

⏰:09/12/29 11:31 📱:D904i 🆔:WP3anL/6


#195 [あんみつ]
 


なのに、ねこの口から聞くとなぜだかそれはすんなりと俺の中に入ってくる。

そして俺を安心させた。

俺たちは何も変わらないんだって。



俺が再びねこと呼んだ時、ねこはとびきり嬉しそうな顔をした。


.

⏰:09/12/29 11:32 📱:D904i 🆔:WP3anL/6


#196 [我輩は匿名である]
頑張ってください@

⏰:10/01/11 23:10 📱:PC 🆔:pngj2pIo


#197 [我輩は匿名である]
放置wwwwwwwwww

⏰:10/02/04 23:10 📱:PC 🆔:PSHSLYLs


#198 [まりな]
書いてください

⏰:10/02/05 12:18 📱:SH904i 🆔:GMSPJghQ


#199 [あんみつ]


放置すいません
続き書きます!!

⏰:10/02/10 18:53 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#200 [あんみつ]
────────



「はぁー寒かった」

部屋に入るとねこは一番に暖房をつけた。

「ミルクティーでいい?」

「あぁ」

俺の返事を聞くと、マフラーだけをはずしてねこは一階に降りていった。
.

⏰:10/02/10 18:54 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#201 [あんみつ]
ねこが降りている間に、俺はコンビニ袋からケーキを取り出す。

俺のチョコケーキと、ねこのモンブラン。

この組み合わせも、去年と変わらない。

俺は上着を脱いで座った。


.

⏰:10/02/10 18:55 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#202 [あんみつ]
'


ねこと付き合い始めて2ヶ月ちょい。

お互いに気持ちは伝えあったが、相変わらず幼なじみの延長のような付き合い。

手はつなぐが、それ以上の進展はとくにない。


.

⏰:10/02/10 18:57 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#203 [あんみつ]
ねこが隣にいて幸せだ。

両思いになれて幸せだ。

が、不満がないと言ったら嘘になる。

けど何というか、今まで幼なじみやってきた分、そういうのが内心すごく照れくさい。


.

⏰:10/02/10 18:58 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#204 [あんみつ]
「お待たせー」

ねこが戻ってきた。

机にミルクティーを置いて、俺と並んで座る。

「食べよ食べよ!」

言いながらフォークを俺に渡す。

「いただきまーす」

無邪気なねこ。

俺もケーキを食べる。

甘いチョコの味が口いっぱいに広がった。

.

⏰:10/02/10 19:00 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#205 [あんみつ]
'

今日はクリスマスイブ。

隣には大好きな彼女。

部屋には……二人っきり。

.

⏰:10/02/10 19:01 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#206 [あんみつ]
'

「一口ちょうだい」

ねこが俺のケーキにフォークを伸ばす。

俺の前に身を乗り出すねこ。

鼻をかすめるシャンプーの匂い。

少しだけ触れた肩。

俺の心臓は跳ね上がった。
.

⏰:10/02/10 19:02 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#207 [あんみつ]
'
「……ねこ」

「ん?」

俺のケーキにフォークを刺しつつねこがこっちを向く。

顔の近さに驚くねこ。

だけど、じっと俺を見つめる。

俺はそっとねこの頬に手を添えて、顔を近づけた。

唇が重なる。

少し触れて離すと、ねこは顔を真っ赤にしてうつむいた。
.

⏰:10/02/10 19:16 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#208 [あんみつ]
'
そんなねこを見ていると、かわいくてかわいくて抱き締めたくなる。

が、実際に行動には移せない。

俺も、いっぱいいっぱいなんだ。

それを悟られないために俺は言う。

「あ、たこ」

「なんでたこよ」

「だって、お前顔真っ赤」

「健二だって!」
.

⏰:10/02/10 19:18 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#209 [あんみつ]
'
言われて初めて、自分の頬も熱を帯びてることに気づいた。

お互い恥ずかしさで黙り込む。



あぁなんていうか。

クリスマスイブってのは不思議だ。

こんな気持ちになるなんて。


.

⏰:10/02/10 19:19 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#210 [あんみつ]
'

「……奈子」

「……へ?」

ねこが目を見開く。

思えば、ちゃんと名前で呼ぶのは幼稚園以来な気がする。

俺は赤くなった顔を見られないように、ねこに背を向けた。

ねこが俺の背中に向かって明るい声で言う。

「なんで奈子って呼ぶの?」
.

⏰:10/02/10 19:21 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#211 [あんみつ]
'
「……みんなねこって呼ぶから」

俺の言葉にねこは笑った。

そして言う。

「みんな、健二の真似してるだけでしょ?」

.

⏰:10/02/10 19:22 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#212 [あんみつ]


健二の番外編以上です*
更新遅くなってすみませんでした
次の番外編は書け次第更新します

⏰:10/02/10 19:25 📱:P08A3 🆔:L4.CeHsM


#213 [○○&◆.x/9qDRof2]
>>1-100
>>100-200

⏰:22/10/02 17:49 📱:Android 🆔:Ltpo.xA.


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