「好き」と言いたい。2
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#154 [あんみつ]
目の前には、健二がいた。
ブランコに座る私を、優しい目で見下ろしている。
額は汗ばんで、短い前髪が少し張り付いていた。
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:09/08/10 15:07
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#155 [あんみつ]
「……やっと見つけた」
言いながら健二はもう片方のブランコに腰を下ろす。
(……なんで)
訳の分からない私は、ただただ健二の姿を目で追う。
健二は袖で額の汗を拭うと、私の方を向いた。
夕日のせいか暑いのか、健二の頬は赤く火照って見える。
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:09/08/10 15:09
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#156 [あんみつ]
……なんだかずいぶん久しぶりな気がする。
こうして向かい合うの。
健二の目は真剣で、私は目を離せなかった。
その目に吸い込まれるような気さえした。
「……俺」
健二が口を開いた。
「……佐古と、別れた」
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:09/08/10 15:10
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#157 [あんみつ]
……え
何?
今、なんて……
……別れた?
なんで?
本当に?
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:09/08/10 15:11
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#158 [あんみつ]
声が出ない。
聞きたいことはたくさんあるのに。
「……気付いたんだ」
健二は続ける。
(……何に)
風が吹いた。
砂埃が舞って、私は思わず目を閉じる。
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:09/08/10 15:12
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#159 [あんみつ]
カシャンッ
ブランコが揺れた。
風が止んで、私は目を開ける。
そして気付いた。
ブランコが揺れたのは風のせいじゃない。
目の前には、私を覆うように夕日を背に立つ健二。
健二の両手は、私の座るブランコの鎖を握っている。
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:09/08/10 15:13
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#160 [あんみつ]
同時にもう一つのことに気付く。
健二の頬が赤いのは、夕日のせいでも、きっと暑いからでもない。
それは……
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:09/08/10 15:14
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#161 [あんみつ]
健二の口が動いた。
私にはまるでスローモーションのように見えた。
「俺は……
……ねこが好きだ」
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:09/08/10 15:15
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#162 [あんみつ]
好 き だ
そう聞こえた。
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:09/08/10 15:16
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#163 [あんみつ]
「……佐古とは別れたばっかだし、俺は……ねこを突き放した。けど……」
健二が言葉を詰まらせる。
一度息を吐いて、意を決したようにまた口を開いた。
「……俺の一番はねこなんだ」
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:09/08/10 16:25
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