「好き」と言いたい。2
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#90 [あんみつ]
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9月の最後の日、教室を出ようとする俺を、洋平が呼び止めた。

「健二、ちょっと」

それだけ言って歩き出す洋平に、俺は無言でついて行く。

洋平は分かりやすい。

なにか真剣な話があるのだろう。

中庭に着いてベンチに座った洋平の横に、俺も腰を下ろした。

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⏰:09/08/09 08:09 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#91 [あんみつ]
 

……まだ暑い頃、ここでねこを見た。

仲直りのきっかけが欲しくて、振り向いてくれればと切に願った。

今はあの時より、なんとなく花も色褪せて見える。

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⏰:09/08/09 08:18 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#92 [あんみつ]
 

「……健二」

洋平が口を開く。

「ん?」

「……俺、

……ねこちゃんと別れた」

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⏰:09/08/09 08:30 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#93 [あんみつ]
 

…………は?

今……なんて……


言葉の意味が分からず、俺は洋平を見る。

洋平は前を向いたままだ。

「うぬぼれんなよ。健二が理由で別れたわけじゃない。……原因は、俺だ」

頭が回らずに呆然としている俺に洋平が言った。

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⏰:09/08/09 08:32 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#94 [あんみつ]
 

……ワカレタ?

洋平とねこが……

……別れた。



「……なんで」

理解した俺がやっとの思いで口にしたのはその一言。

「俺が振られたんだよ」

洋平は淡々と答えた。

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⏰:09/08/09 08:34 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#95 [あんみつ]
 

俺はふと洋平の手を見た。

膝の上で固く握りしめられている。

……平気なわけないんだ。



「俺は、ねこちゃんの一番にはなれなかった」

洋平の言葉に、俺は視線を洋平の横顔に戻す。

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⏰:09/08/09 08:46 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#96 [あんみつ]
 

『付き合ってるのは私でも……健二先輩にとっての一番は、本当は……根宮先輩なんじゃないかって』


佐古の言葉が頭に浮かんだ。

「ねこの……一番って?」

俺が言うと、洋平はこっちを向いて少し不機嫌そうな顔をした。
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⏰:09/08/09 08:49 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#97 [あんみつ]
 
「自分で考えろよ。以上、報告終わり」

それだけ言うと洋平は立ち上がり、さっさと校舎に向かって歩いていった。

裏庭には、ハテナマークを頭に浮かべた俺だけが取り残された。

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⏰:09/08/09 08:51 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#98 [あんみつ]
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洋平に、ねこと別れたことを聞いてから一週間。

正直この一週間、俺はねこのことばかりが気がかりだった。

自分から振ったからって、はいさようならって割り切れるようなやつじゃないのは知ってる。

相手を傷つけたら自分も傷つくようなやつなのも知ってる。

なぁ、ねこ……

お前は今、どんな気持ちでいる?

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⏰:09/08/09 08:52 📱:D904i 🆔:wmR599IM


#99 [あんみつ]
 

『俺は、ねこちゃんの一番にはなれなかった』

洋平はそう言った。

ねこ、お前の一番ってなんだ?

ハテナマークと共に、ねこの言葉が、表情が、頭に浮かんでは消える。

十六年間一緒にいて、俺はねこの何を見てたんだ?

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⏰:09/08/09 08:53 📱:D904i 🆔:wmR599IM


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