「好き」と言いたい。2
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#101 [あんみつ]
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下駄箱にもたれて佐古は待っていた。
「……悪い」
俺が言うと、佐古は力なく笑った。
佐古といると俺は、すべてを見透かされているような気分になる時がある。
「帰りましょうか」
俺たちは並んで歩き始めた。
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:09/08/09 09:12
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:wmR599IM
#102 [あんみつ]
俺たちはぎこちない。
もうずいぶん前から。
二人の間に流れる空気が、以前のそれとは違うことをお互いによく分かってる。
けどお互いに何も言わなかった。
時々一緒に帰って、たわいもない話をする。
そんな日々が続いていた。
原因が俺にあるのは痛いぐらい分かってる。
けど、もうどうすればいいのか分からない。
分かってるのは……もうダメなんだろうなってこと。
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:09/08/09 09:14
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#103 [あんみつ]
(……あ)
昇降口を出ると、前の方にねこの後ろ姿が見えた。
ねこの隣には、誰もいない。
夕日に照らされるその背中を、俺は目を細めて見つめた。
小さくて、どこか寂しげなその背中に、俺は駆け寄りたい衝動にかられた。
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:09/08/09 09:16
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#104 [あんみつ]
ねこを突き放したのは俺。
それがお互いのためだと思ったから。
けど……
ねこは今独りだ。
昔からこんな時、自ら駆け寄ってねこの隣を歩くのが俺の役目だった。
……今の俺にそんな資格はない。
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:09/08/09 09:18
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#105 [あんみつ]
俺の隣には佐古。
ねこを突き放したのは俺。
俺は佐古の彼氏。
ねこと俺は……幼なじみ。
……そうだろ?
なぁ、ねこ。
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:09/08/09 09:20
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#106 [あんみつ]
俺はぎゅっと手を握りしめた。
爪が手のひらに食い込んで、小さな痛みが走る。
我に返った俺は、隣に佐古がいないことに気づいた。
少し後ろを振り返ると、佐古が立ち止まっている。
「……佐古?」
呼びかけに答えず、じっと俺を見る佐古。
その目は今にも泣きそうだった。
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:09/08/09 09:22
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:wmR599IM
#107 [あんみつ]
それに気付いたのに、俺は足はその場から動かない。
風が吹いて佐古の髪がなびく。
「……別れてください」
その風に乗せて、吐き出すように佐古は言った。
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:09/08/09 09:23
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#108 [あんみつ]
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いつか、こんな日が来るんじゃないかって思ってた。
「別れてください」
何も言わない俺に、佐古はもう一度言った。
さっきまでの泣きそうな目じゃない。
真剣な目で俺を見る。
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:09/08/09 09:24
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#109 [あんみつ]
……あぁ、もう終わりなんだ。
「健二先輩が悪いんじゃない……私が弱かっただけ」
そう言うと佐古は、少し目を伏せた。
「佐古……ごめん」
俺はそれだけ言うのが精一杯だった。
「ちょっとー!謝らないでくださいよ!振ったの私なんですから」
佐古は笑いながら近づいてきて、俺の腕を叩く。
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:09/08/09 09:27
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#110 [あんみつ]
そして、言い終わると同時に、俺の腕を叩いていた手を力なくおろした。
「……最後に、もう一度だけ聞いてもいいですか?」
俺を見上げて佐古が言う。
「……なに?」
精一杯の優しさを込めて俺は聞いた。
「健二先輩にとっての一番って誰ですか?」
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:09/08/09 09:28
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