しゃにむに
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#1 [〇◆f9snfTF/yQ]
てきとーなお話です。

⏰:08/11/08 22:56 📱:SH905iTV 🆔:Q3ZyyceY


#2 [〇◆f9snfTF/yQ]
『はぁー、今日も仕事か』
溜め息混じりにつぶやきながらチャリンコを漕ぐ男・亮介(22)フリーター。

亮介『だりぃー』

今日も近所の職場のスーパーへ向かう。

⏰:08/11/08 23:07 📱:SH905iTV 🆔:Q3ZyyceY


#3 [〇◆f9snfTF/yQ]
亮介『おはよござまーす』
亮介は一応2年働いたベテランだ。
今日もいつものように適当に仕事をこなす。

そして夜11時、仕事を終え家に帰る。
その繰り返しだ。

⏰:08/11/08 23:18 📱:SH905iTV 🆔:Q3ZyyceY


#4 [〇◆f9snfTF/yQ]
そんな亮介の楽しみは休日にいつものつるんでる友達三人と遊ぶことだ。

22、3歳にもなると就職する人も増え、なかなか友達と遊べなくなるものだが、その亮介の友達三人は大学生とフリーターだけで休みを合わせて遊ぶ日にしている。
[息抜きホリデー]と名付けて。

⏰:08/11/08 23:27 📱:SH905iTV 🆔:Q3ZyyceY


#5 [〇◆f9snfTF/yQ]
と、いうのも彼女のいない男共の集まりだから成立しているのだ。

亮介『お疲れっしたー!』

店長『元気あり余ってんな!もうちょい働いてってもいいんだぞ』

亮介『無理っす!お先っす!』

そう、今日は“息抜きホリデー”

⏰:08/11/08 23:39 📱:SH905iTV 🆔:Q3ZyyceY


#6 [〇◆f9snfTF/yQ]
ぶぉんっ…


ぴんぽーん…

亮介『ちぃーす!』

『あがってこいよー』

ガチャ

亮介『おじゃましまーす!』

⏰:08/11/08 23:44 📱:SH905iTV 🆔:Q3ZyyceY


#7 [〇◆f9snfTF/yQ]
いつもたまり場になってるのは亮介の友達のひとり、英二の家だ。

英二『おー、早かったな!』

英二は地元東京から出てきて、一人暮らしをして、こっちの大学に通っている。
亮介『おっ、まだ二人とも来てないのか。』

英二『も少しで着くってさっ』

亮介『おっけー』

⏰:08/11/08 23:51 📱:SH905iTV 🆔:Q3ZyyceY


#8 [〇◆f9snfTF/yQ]
ぴーんぽーん

英二『おっ、噂をすれば、』

英二はインターホンの受話器をあげて、亮介の時と同じように言った。

『うぃーす!おつかれー』
亮介『おっ、髪型変えたなー、秀』

秀『どーよっ』
フワフワのパーマ頭を触りながら入ってきた男・秀、フリーターだ。

英二『顔濃いし頭モジャモジャだし外人みてーだな』

秀『うっせっ』

⏰:08/11/08 23:57 📱:SH905iTV 🆔:Q3ZyyceY


#9 [〇◆f9snfTF/yQ]
ぴーんぽーん

英二『ハイハイ、上がってこーい』

『ふぅふぅ、おつかれー』
両手に袋をぶら下げてやってきた男・正隆、酒屋の息子で、いつもビールやつまみを沢山持ってくる役目だ。

亮介『おつかれー、いつもわりーねー!』

正隆『きにすんなー!』

⏰:08/11/09 00:05 📱:SH905iTV 🆔:yGmNtWBo


#10 [〇◆f9snfTF/yQ]
英二『じゃ、冷蔵庫いれてくるわー』

英二はテーブルに缶ビールをC缶、ポテチを置き、キッチンへ向かう。

テーブルを囲み、三人は座る。

この風景が19歳の時から変わらない。

⏰:08/11/09 00:09 📱:SH905iTV 🆔:yGmNtWBo


#11 [〇◆f9snfTF/yQ]
もともと亮介と秀と正隆は高校時代からの友達で、秀のバイト先で知り合ったのが英二だった。

英二『っしゃー!息抜きホリデーはじまりだなー!』
プシュッ
プシュッ
プシュッ
プシュッ

一斉に缶を開けて、

『かんぱーい!』

ガコンッ

息抜きホリデーはこうして始まる。

⏰:08/11/09 00:12 📱:SH905iTV 🆔:yGmNtWBo


#12 [〇◆f9snfTF/yQ]
四人はビールを飲みながら他愛もない話で盛り上がる。

亮介『いやー今日も店長はハゲ散らかしてたなー』

秀『どーよ俺のニューへアスタイル!』

正隆『うちの親父もハゲ散らかってるわ』

英二『店長職てはげんのかもなっ』

秀『な、どーよ俺のヘアスタ…』

亮介『マサも遺伝でハゲるなこりゃ』

正隆『ま、まだ大丈夫だろ!』

秀『・・・。』

⏰:08/11/09 00:26 📱:SH905iTV 🆔:yGmNtWBo


#13 [〇◆f9snfTF/yQ]
三時間後…

テーブルの上には空き缶が溜まり、四人は赤らんだ顔でいた。
それでもまだまだ息抜きホリデーは続く。


秀『英二、進路どーすんよ』
タバコをふかしながら真面目な質問をした。

亮介『そうだ、来年卒業だろ?』
そっと秀のタバコを一本もらい火をつけながら亮介が言う。

正隆『バリボリ…ポテチ、んめー』

英二『進路ねー…』

タバコの煙をはきながら、つぶやいた。
溜め息混じりにも見えた。

⏰:08/11/09 00:32 📱:SH905iTV 🆔:yGmNtWBo


#14 [〇◆f9snfTF/yQ]
英二『実家に戻ろうとおもってさー』

一瞬時が止まった気がした。

秀『実家て、東京!?』

秀は思わず声を高らかに聞いた。

英二『んー、』

亮介『なんでまた』

冷静に亮介は問い掛けた。

⏰:08/11/09 22:48 📱:SH905iTV 🆔:yGmNtWBo


#15 [〇◆f9snfTF/yQ]
英二『俺、一人っ子だからさ、親の面倒みなきゃいけないしさ』

正隆『英二んち、片親だもんなー。ムシャムシャ』

亮介『まじか…来年の春か。』

………。

しばらく沈黙は続いた。

⏰:08/11/09 22:56 📱:SH905iTV 🆔:yGmNtWBo


#16 [〇◆f9snfTF/yQ]
亮介『…行くか。』

秀『どこいくん?』

亮介『東京』

亮介は満面の笑みで言った。

秀『はあ?お前東京行ってどーすんだよ。』

亮介『いやいや、みんなでさ』

・・・・。

再び沈黙が続く。

⏰:08/11/10 22:50 📱:SH905iTV 🆔:MwemUdn6


#17 [〇◆f9snfTF/yQ]
正隆『いーね!』

秀『おいおいおい!んな簡単に決めんなよ!』

正隆『いーじゃん、楽しそーだし。』

亮介『だろ?いこーぜ!』

秀『行ってどうすんだよ』
亮介『んー、まあ好きな事やりゃあいーだろ!』

⏰:08/11/10 23:01 📱:SH905iTV 🆔:MwemUdn6


#18 [〇◆f9snfTF/yQ]
秀『好きな事って…』

亮介『秀もマサもやりたい事ねーの?将来の夢とか』

正隆『俺は自分の店出したいな。飲食の。』

亮介『じゃ、向こうでやろうぜ?秀は?』

秀『俺は、…グラフィックかな。』

亮介『なら向こうの方があるだろ仕事!』

⏰:08/11/10 23:09 📱:SH905iTV 🆔:MwemUdn6


#19 [〇◆f9snfTF/yQ]
秀『ま、まあな。』

亮介『きまりだな!』

秀『金は?金はどーすんの?住むとこは?』

亮介『今10月だろ、4月まで4ヶ月間、貯める!』

正隆『まあ、三人の稼ぎ貯めれば何とかなるかもな!』

亮介『ってことで、英二!……って、』

⏰:08/11/10 23:13 📱:SH905iTV 🆔:MwemUdn6


#20 [〇◆f9snfTF/yQ]
英二『Zzz…』

亮介『寝とんかーい』

正隆『俺も寝るわああ…』
あくびをしながら正隆は横になった。

秀『ふあぁー』

秀もあくびをして横になった。

亮介『…なんだよ、まだまだビールあるのに。』

プシュッ

亮介は一人残ってるビールを飲みながら、ぼけーっとテレビを見ていた。

⏰:08/11/10 23:19 📱:SH905iTV 🆔:MwemUdn6


#21 [〇◆f9snfTF/yQ]
亮介『げふぅ…』

亮介は考え事をしていた。

亮介『(俺は何やりたいんだろ。)』

亮介は高校の進路の時も、何も思い付かず、結局進学も就職もせず卒業した。

秀は絵の勉強をするため、専門学校へ進学したが、辞め、今のアルバイトに就いた。
正隆は実家の酒屋を継ぐつもりで高校卒業後、実家の手伝いをしながらバイトをしている。

⏰:08/11/10 23:32 📱:SH905iTV 🆔:MwemUdn6


#22 [〇◆f9snfTF/yQ]
亮介『ぐびぐび…』

ビールを飲みながらテレビを見ていた。


『ジャカジャーン!今日のゲストはUKロックの大型新人!HEATERです、さっそくLive映像を…』

『♭♪♪♯¢℃§*£∫Å♪♪♪』

亮介『げふぅ、何言ってんのかわかんねーけど、やっぱかっけーなー。』

・・・・・・・・・・


気付けば亮介も寝ていた。

テレビの音楽チャンネルの音だけが賑やかに鳴っていた。

⏰:08/11/10 23:43 📱:SH905iTV 🆔:MwemUdn6


#23 [〇◆f9snfTF/yQ]
亮介『ふあぁあー……』

何時だろうか。

亮介『あれ?』

みんないたはずの部屋には亮介以外誰もいなかった。

『ぎゃはは………』

外から微かに聞き慣れた声が聞こえ、反射的に亮介は窓から外を覗いた。

⏰:08/11/13 00:36 📱:SH905iTV 🆔:k7UHQUng


#24 [〇◆f9snfTF/yQ]
すぱんっ!

秀『ナイスボール!』

外では秀と正隆と英二がキャッチボールをしていた。

亮介『お前ら元気だなー。』

窓を開け、亮介はみんなに言った。

秀『おー、亮介もやるかー?』

亮介『いや、俺はいーや。頭いてーし。英二ー!風呂借りるわー。』

英二は夢中にキャッチボールをしながら手を挙げて、亮介に了承の合図をした。

⏰:08/11/13 00:40 📱:SH905iTV 🆔:k7UHQUng


#25 [〇◆f9snfTF/yQ]
シャーー……

シャワーを浴びながら亮介は昨日の事を考えていた。

亮介(あいつら昨日の事、冗談だと思ってんな。まじなのに…。)

ちょっとへこみながら亮介は20分ほどでシャワーを終わらせ部屋へ戻って行った。

部屋へ戻ると、既に三人は部屋でくつろいでいた。

⏰:08/11/13 00:44 📱:SH905iTV 🆔:k7UHQUng


#26 [〇◆f9snfTF/yQ]
英二『おう、今日どーするって話してたんだけど。どっかいくか?』

部屋のドアを開けてすぐに英二は亮介に問い掛けてきた。
無意識に亮介は時計を見た。

亮介『12時かー。みんなは?なんか案出た?』

いつも亮介は自分ではあまりやる事を決めない。
…が、

秀『紅葉も綺麗だし登山とかは?!』

亮介『俺革靴だしきびしーなー。』

人の意見が気に食わない時はスッパリ断る。
いわゆる面倒臭い奴だ。

⏰:08/11/13 00:55 📱:SH905iTV 🆔:k7UHQUng


#27 [〇◆f9snfTF/yQ]
正隆『紅葉も綺麗だしって、秀おじいちゃんかよ!』

亮介『あはは……』

亮介は笑いながら安心して胸を撫で下ろした。

正隆『じゃあさ、ちょっと楽器屋行きたいんだけど』

英二『楽器屋?何でまた?』

⏰:08/11/14 00:02 📱:SH905iTV 🆔:Vfl/OYn.


#28 [〇◆f9snfTF/yQ]
秀『あ、英二は知らないっけ?俺ら一応高校ん時バンド組んでたんよ。』

英二『へー、みんな何してたの?』

秀『俺ドラム』

正隆『俺はベースで、亮介がギターボーカルだよ』

亮介『あ、うん(自分で言いたかった…)』

英二『へえー、みんな行きたいなら行くか。』

正隆『よっしゃ!』

⏰:08/11/14 00:20 📱:SH905iTV 🆔:Vfl/OYn.


#29 [〇◆f9snfTF/yQ]
ぶぉんっ

みんなで英二の車に乗り込み出発した。

車では英二の好きなヒップホップを遮って正隆の好きなOasisを聞きながら正隆のよく行く楽器屋へ向かった。

英二『みんな卒業してからも楽器やってんの?』

英二はどうやら自分だけ関わっていなかった事を気にしているようだ。

⏰:08/11/14 00:32 📱:SH905iTV 🆔:Vfl/OYn.


#30 [〇◆f9snfTF/yQ]
亮介『俺はちょこっと触るくらいかなー。最近触ってないからホコリかぶってるわ〜。』

秀『俺もドラムセットは物置の中かなー。』

正隆『じゃ、俺だけか。』
英二『マサはやってんだ。』

正隆『まーね。だから俺、今日新しいベース買いに行きたかったんだー』

英二『買うの!?やる気満々だなっ』

正隆『へっへっへっ』

怪しい笑いを見せながら、自己満足的に正隆は喋りながら目的の店についた。

⏰:08/11/14 00:50 📱:SH905iTV 🆔:Vfl/OYn.


#31 [〇◆f9snfTF/yQ]
‐楽器屋GREEN HILL‐

少しさびれた風貌で、デカデカとギターの形をした看板にネオン管でGREEN HILLと書いたお店の前には大量のギターやベースが飾られていた。

秀『久々だなー』

亮介『だな。3年ぶりか。』
そんな話をしながら店内に入る秀と亮介と英二だったが、何より早くに店に飛び込んだのは正隆だった。

⏰:08/11/14 00:56 📱:SH905iTV 🆔:Vfl/OYn.


#32 [〇◆f9snfTF/yQ]
正隆『おっちゃん!ちわっす!』

元気よく正隆が挨拶をするとカウンターからひょっこり髭を蓄えた30代後半くらいのおじさんが頭を出した。

『よう!マサ。』

このおじさんがGREEN HILLの店主、長田さんだ。
長田さんは20代の頃、PunkROCKのバンドを組んでいて、本人いわくかなりヤバかったらしい。

長田『ん?今日は秀も亮介も一緒か!珍しいな!』

秀と亮介のそばにきて、二人の肩をポンッと叩いて話した。

長田『ん?このイケメンは?』

英二に気づいた長田は秀達に聞いた。

⏰:08/11/14 23:51 📱:SH905iTV 🆔:Vfl/OYn.


#33 [〇◆f9snfTF/yQ]
ひとりぽつんと不安げに立っていた英二の肩に手を回して秀は紹介をした。
秀『こいつは俺らの友達で英二っていいます!』

英二『ども。』

ぺこりと会釈をした。

長田『おう。こいつらの本当の父親の長田だ。よろしくな!』

ガハハと下品な笑いをして手を差し延べ二人は握手をした。

長田の手はゴツゴツしていた。

⏰:08/11/14 23:55 📱:SH905iTV 🆔:Vfl/OYn.


#34 [〇◆f9snfTF/yQ]
正隆『あ゛ーー!!』


正隆の大声に四人はビクッとして声の方を見た。


正隆『お、おっちゃん!これ!!!!』

正隆は口をパクパクしながら慌てていた。

長田『ふぅ、さすがマサ、気付いたか。』

少しにやけた長田は正隆の方へ歩き、一本のベースを手にとった。

正隆はもちろん、四人の視線はそのベース一点だけに向いていた。

⏰:08/11/19 01:03 📱:SH905iTV 🆔:QZxzw/P6


#35 [〇◆f9snfTF/yQ]
正隆『おっちゃんスティングレイは入荷未定って言ってたじゃんよ!』

正隆は興奮のあまり、喜んでいるのか怒っているのかわからない口調で言った。

長田『んまーな、つい昨日入荷したんだよ。』

"スティングレイ"は正隆がベースを始めた頃から憧れのベースだ。

⏰:08/11/19 01:33 📱:SH905iTV 🆔:QZxzw/P6


#36 [〇◆f9snfTF/yQ]
長田『弾いてみるか?』

正隆『もちろん!』

正隆は待っていましたと言わんばかりに返事をした。

長田もそうなるだろうと、用意していたすぐにシールドとアンプをつなぎ、そしてベースにつないで正隆に渡した。

⏰:08/11/20 00:40 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#37 [〇◆f9snfTF/yQ]
生唾を飲み、そして少し手にかいた汗をズボンで拭い、指で軽く弦を弾いた。

ボボー…ン

かなりボリュームが大きく店中に響いた。

気ままに楽器を見ていた亮介も秀も英二も、不意に音の鳴る方を見た。

⏰:08/11/20 00:46 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#38 [〇◆f9snfTF/yQ]
ボーンボボボ…
ベベベン…♪♪♪

店に何の曲かはわからないがちゃんとした曲を弾いていた。

亮介『…………。』

秀『…………。』

英二『…………。』

長田『…………。』

長田も含め、四人は無言で正隆の弾くベースを聞いていた。

それに気づいた正隆は恥ずかしくなったのか弾くのを止めてジロジロと満足げにベースを見ていた。

⏰:08/11/20 00:59 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#39 [〇◆f9snfTF/yQ]
長田『マサ、お前ベースうまくなったな!』

沈黙を破ったのは長田だった。

亮介『ほんとな、ちゃんとやってんだ。』

秀『うんうん、』

全くのシロートの英二はただ立ち尽くしていた。

英二『すげーな。』

正隆『…30万か。』

正隆がボソッとつぶやいたのを四人は聞き逃さなかった。

⏰:08/11/20 01:14 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#40 [〇◆f9snfTF/yQ]
秀『うそだろ?』

半笑いで秀は正隆に問い掛けたが、正隆は真剣な顔でスティングレイを見つめていた。


正隆『長田さん!』

来た…。

長田はそう思った。

正隆は長田のことを
[おっちゃん]ではなく
[長田さん]と呼ぶときは無茶な、お願いをするときだけだ。

⏰:08/11/20 01:19 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#41 [〇◆f9snfTF/yQ]
正隆『俺、通帳に20万あるんだ!まけてください!』
長田は正隆の提示した金額を聞いて吹き出すように笑い、そして真剣な顔で行った。
長田『27だな。』

正隆『うっ…、』

息詰まり、正隆は自分の財布の中を見て言った。

正隆『20万2千円…』

長田『25が限界だな。』

諭すように言い放ち、腕組みをした。

正隆『21万が限界っす…』
半泣きになりながら正隆は訴えた。

⏰:08/11/20 01:25 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#42 [〇◆f9snfTF/yQ]
………。


しばらく沈黙が続いた。

長田も険しい顔で黙っていた。

長田『…。』

そして重い口を開いた。

長田『わかった。21でいいぞ。』

正隆『まじで!?やったああぁぁぁああ』

長田『たーだーし!』

子供のように喜ぶ正隆に長田は言った。

長田『条件がある。』

⏰:08/11/20 01:28 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#43 [〇◆f9snfTF/yQ]
正隆『…何でしょう…?』

長田『実は来月、うちの店が主催のタイバンのライブがあるんだ。そのライブのチケット販売を頼みたい。』

正隆『………何枚?』

長田『50枚』

正隆『50!?』

ライブハウスでのライブ経験のある正隆には50枚という辛さは知っていた。

長田は黙って頷いた。

⏰:08/11/20 01:34 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#44 [〇◆f9snfTF/yQ]
返事に悩んでいた正隆をよそに予想外な男がその商談に口を挟んだ。

亮介『そのライブ俺ら出れないの?』

まさかの発言に他の男達は驚いた。

そして冷静に長田は返事をした。

長田『出たいか?』

亮介『うん。』

長田『…………わかった。ただし、チケット販売は70枚だ。』

亮介『オッケー。』

軽く返事をした亮介に正隆は抱き着いて喜んだ。

正隆『りょおおすけええ、ありがとおおお!!!』

秀『ちょちょ、ちょっと待てよ!マサはいいとして、亮介高校以来弾いてないだろ!』

亮介『うん。』

あまりの普通な返事に、キョトンとしながら秀は続けた。

秀『俺だって高校以来叩いてねーよ。』

亮介『大丈夫大丈夫』

亮介得意のなんとかなるさ精神の真骨頂だ。

そんなやりとりをしているうちに正隆は会計を終わらせて、ベースとチケットを持っていた。

稀にみる満足げの正隆が店の外に向かって歩いていた。

⏰:08/11/20 01:55 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


#45 [〇◆f9snfTF/yQ]
どうやら早く弾きたくて仕方ないらしい。

正隆『ほらっ行くよ!』

秀『へいへい』

しぶしぶ正隆について行き長田に会釈をして店を出た。

⏰:08/11/20 12:28 📱:SH905iTV 🆔:FiSCX2pQ


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