春の希望と･･･【ＢＬ】

　
石田の後ろを歩いて
まるで死刑台に連れて
行かれる囚人の気分だ。

早く帰りたい･･･

自分より遥かに背の高い
石田の後頭部に目を
向けて、歩いていると
一つの部屋の前で
立ち止まった･･･
　

　
石田がポケットに手を
入れて何かを探り出した。

プラスチックの様な
緑色っぽい鍵･･･

明らかに寮の鍵には
見えないが、それで
目の前の部屋の扉を
開けてしまった。
　

　
なんかヤバイ気がする。

僕は石田が扉を開けて
すぐに階段がある方へ
体を向けた。

そのまま走り出そうと
した時、強い力で
石田に腕を掴まれて
引きもどされる･･･
　

　
この時、始めて後悔した

誰にもここに来るって
言わなかった事･･･

石田と二人きりで
会うって事。

望｢ぃゃｯ･･･ぁ･･ｯ｣

石｢馬鹿だなお前･･･｣
　

　
部屋の中に引きずる様に
入れられ、パタンと
扉がしまった･･･

振りほどこうとしても
力が全然敵わない。
それがこんなに怖いなんて始めて感じた。

扉が遠のいていく･･･
奥の寝室へ投げるように
入れられて、出口は完全に見えなくなった。

　
寝室には使われて無い
ベッドがポツンとある。
でも、いつでも使える
ようにベッドメイクは
されていた･･･

その横に小さい棚もある

部屋の構造を見るかぎり
１･２年用ではないので
３年の一人部屋と同じ
造りになってるんだろう
　

　
石田に引きずられ
ベッドの近くまで来ると
棚の中から細いロープを
取り出した。

何でそんな物が･･･
石田が事前に用意してた
とでも言うのか？

僕は唖然と石田の顔を
見上げた。
　

　
石田もこちらに目線を
移し、無表情のまま
見下ろしてくる･･･

次の瞬間、掴まれていた
腕をいきなりベッドの上へ引っ張られてしまった。

抵抗をしても体が完全に
ベッドに乗り上げて
しまう･･･
　

　
そのまま腕だけベッドの
上にあるパイプ部分に
ロープで縛りつけられた

僕の中で恐怖がいよいよ
形となって現れた･･･

自然と喉が震えて
鳴咽が出てくる。

視界までぼやけて
目頭が熱い･･･
　