先生の言うとおりB
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#251 [あお☆まる]
 
「た、達也!」


「ん?どうした?」


「…麗子さんと秀人さんが見えてるけど…」


「お!そうか!」



そう言って
私の所に来てくれた

ほっとする自分が
とっても嫌だった…
 

⏰:09/02/20 02:25 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#252 [あお☆まる]
 
「あ…美幸ちゃんも、顔出しに来ない?」


「いえ…。私はここに。」


「分かった。じゃあ…お願いね」



私は、達也と二人で
店に戻る



「おっそいわよ!!達也、いつまで待たせる気?」
 

⏰:09/02/20 02:28 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#253 [あお☆まる]
 
「店長〜この人かなり酔ってて大変だったんすから!どうにかしてください!」


麗子さんの相手を
してくれていた遊馬くん

結構手を焼いたみたい


「遊馬くんありがとう」



こそっとお礼を言うと
いつもの笑顔で答えてくれた
 

⏰:09/02/20 02:31 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#254 [あお☆まる]
 
「ケーキ屋のオープンセレモニーで泥酔するか?普通。はぁ…。アコ、俺こいつ送ってくよ」


と言って麗子さんの
腕を持って
体を支えようとする


しかしそれを
秀人さんが止める



「…達也さん。私が麗子さまをお送りします。」
 

⏰:09/02/20 02:35 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#255 [あお☆まる]
 
「秀じい…でも」


「まだセレモニーの途中でしょ?大丈夫ですよ。“私が”麗子さまをお送りします」


にこりと笑う秀じぃ
けどその微笑みは
最初のものとは違う気がする

…あれ?
もしかして秀じいって
麗子さんを…?
 

⏰:09/02/20 02:38 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#256 [あお☆まる]
 
私のその
淡い期待が当たるのは

もう少し後の事だ



なんだか色々あったけど

セレモニーは
順調に終わっていった


明日は休みで
その次の日にいよいよ
お店のオープンになる。
 

⏰:09/02/20 02:41 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#257 [あお☆まる]
 
朝起きると
すでに横には達也は
居なかった



休みなのに
もう起きてるの?



ゆっくりと体を起こす
 

⏰:09/03/03 01:25 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#258 [あお☆まる]
 
居間に向かう
けど、達也はいない



あれ?いない?
あ、もしかして…



私は、達也がいつも
仕事をしたりするのに
使っている部屋に向かう

案の定達也の姿があった
 

⏰:09/03/03 01:29 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#259 [あお☆まる]
 
達也は何かを
真剣に書いていて

こちらには
気付いていない



なに…してるんだろう

ケーキの試作品でも
考えているのかな?
 

⏰:09/03/03 01:31 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#260 [あお☆まる]
 
そう思って、
体を動かし様子を
伺っていた私の気配に

達也は気付いて
その書いていた紙を
慌てて隠す



「あ、アコ?!」
 

⏰:09/03/03 01:33 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#261 [あお☆まる]
 
「何書いてたの?ケーキの試作とか考えてたなら、私見たい!」



その問いに、
言葉を濁す達也



「…アコは見なくていいから。気にしないで」



そう言って
その紙を見えない様に折ると、オレンジ色のクリアファイルに入れる
 

⏰:09/03/03 01:37 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#262 [あお☆まる]
 
「俺、ちょっと出てくる」


「え?何処に?」


「すぐ帰るから」



そう言って
達也は、行き先を告げず
何処かに出て行ってしまった
 

⏰:09/03/04 17:17 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#263 [あお☆まる]
 
達也はその後
確かに早く帰って来たけど


その行動は私の心に
小さな、
不安の種を植た



そんな小さな不安を
抱えたまま
いよいよ、お店の
オープンを迎える
 

⏰:09/03/04 17:21 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#264 [あお☆まる]
 
オープンは
中々のお客さんの入りで

設定していた
売り上げ目標も上げる事が出来た



「沢山お客さん来て良かったな!」


いつもの
無邪気な笑顔の遊馬くん
 

⏰:09/03/06 01:08 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#265 [あお☆まる]
 
遊馬くんの無邪気な笑顔に癒される


「そうだね。これからもっと増えればイイね」



自然と笑顔が出る



心の中が少し
温かくなっていくのを
感じた
 

⏰:09/03/06 01:11 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#266 [あお☆まる]
 
店の片付けや
レジ締めも終わり

達也を呼びに厨房に入る



すると、達也と美幸ちゃんが何か話していた



「達也…?」
 

⏰:09/03/06 01:13 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#267 [あお☆まる]
 
二人は
私の存在に気付くと


さっきまで話していた
会話をピタリとやめる…



私に聞かれたら
ダメな話しなの…?



「あの、仕事終わったんだけど…。」
 

⏰:09/03/06 01:15 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#268 [あお☆まる]
 
「そう。じゃあ、二人上がってイイよ。」


「…私、達也が終わるの待ってていい?」



そう言うと
困った様子でこちらを見る達也



「…ちょっと、美幸とケーキの事で詰めた話ししたいし、遅くなるから。先帰ってて」
 

⏰:09/03/06 01:18 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#269 [あお☆まる]
 
「…分かった」



私、上手く笑えてる?


胸がざわめく

だって…


美幸ちゃんの呼びかたが

【深沢】から、
【美幸】に変わってた

 

⏰:09/03/06 01:20 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#270 [あお☆まる]
 
ただそれだけ


けど、私には
大きな変化だよ…



「愛子?どうした?」



遊馬くんが私の顔を
覗き込む
 

⏰:09/03/06 01:22 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#271 [あお☆まる]
 
「…な、なんでも。帰ろうっか!」


「…二人はまた残るの?」


「う、うん」



遊馬くんは、ふぅーん
て言うと厨房の方を見る


「まぁイイや。帰ろうか」
 

⏰:09/03/06 01:25 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#272 [あお☆まる]
 
暗い夜道を
遊馬くんと並んで帰る



「愛子、」


「ん?なに?」



振り返ると
真剣な顔の遊馬くん



「店長と上手く行ってないの?」
 

⏰:09/03/06 01:32 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#273 [あお☆まる]
 
「…なっなんで…。
前も言ってたけど、私たち結婚するし、上手くいってなくなんてないっ」



思わず声がでかくなる



「…俺にはそうは見えない。俺は、愛子が幸せになるならイイって思ってた……けど………」



そう言うと、遊馬くんに
腕を掴まられる
 

⏰:09/03/06 01:37 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#274 [あお☆まる]
 
またあの目だ

前もこの目に捕らえられて動けなくなった



真剣な切ない瞳に

捕らえられそうになる



掴まれた腕
その手の力が強くなった時

聞き慣れた声が響く
 

⏰:09/03/06 01:41 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#275 [あお☆まる]
 
「愛子ちゃーん!」



その声に反応した様に
遊馬くんがパッと
手を離す



「れ、麗子さん。」


「あら?こないだの…」


「遊馬です。…じゃあ、用が有るみたいだし俺は先に帰るね。またね、愛子」
 

⏰:09/03/06 01:47 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#276 [あお☆まる]
 
「あ、うん。また明日ね」



そう言って
遊馬くんの背中を見送る


「…あのこ…」


「え?」


「ううん。少し…話せる?ちょっと気になる事があって」
 

⏰:09/03/06 01:52 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#277 [あお☆まる]
 
「…話し?」


「達也と、美幸って子だったけ?
その事でちょっとね…。まぁ、まずファミレスでも入ろう!ね!」


「…は、はい」



達也と
美幸ちゃんの話し?



麗子さんの顔から
あんまりよくない話しな気がする
 

⏰:09/03/06 01:58 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#278 [あお☆まる]
 
麗子さんに促され
近くのファミレスに入る

飲み物を注文して
届くまで少しの沈黙…



「お待たせしました〜」



注文した飲み物に
口をつける
 

⏰:09/03/09 00:33 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#279 [あお☆まる]
 
麗子さんを見ると
難しい顔をしている



「あの…話しって?」



こちらを見る麗子さんの
眼差しが真剣すぎて

胸が張り裂けそうになる
 

⏰:09/03/09 00:35 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#280 [あお☆まる]
 
「セレモニーの次の日って、店休みだったでしょ?」


「…昨日の事ですか?」


「そう。私、見たのよ」



その言葉に
胸が締め付けられる

…まさか
 

⏰:09/03/09 00:37 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#281 [あお☆まる]
 
「達也と、美幸ってこが一緒に歩いてるの」



嘘でしょ…?
確かにあの日、
達也は出掛けたけど

美幸ちゃんに会う為に?



「まぁ、もしかしてさ?仕事の事で会ってたのかもしれないけど…」
 

⏰:09/03/09 00:40 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#282 [あお☆まる]
 
麗子さんは
また、顔をしかめる



「…けどね、あのこ達也の事好きよ。目が恋してる目してたもの。だから、用心しなさい。」



麗子さんの言葉が
中々頭に入ってこない

達也は何の為に
美幸ちゃんに会ってたの?
 

⏰:09/03/09 00:44 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#283 [あお☆まる]
 
少しして
ファミレスを出る。


麗子さんは、近くに車を止めてるらしく

車で家まで送ってくれた



「…送ってくれて、ありがとうございました。」
 

⏰:09/03/09 00:47 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#284 [あお☆まる]
 
「いいのよ!可愛い愛子ちゃんの為だもの♪」


「…麗子さんったら。」



麗子さんの
おちゃめさに心が少し和む



「それじゃあ。」



車から降りようと
体をひるがえす。
 

⏰:09/03/09 00:50 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#285 [あお☆まる]
 
「…愛子ちゃん」


「?はい。」


「あの、遊馬って子…」



振り向くと
麗子さんはまた
神妙な面持ちだった



「遊馬くんがどう…?」
 

⏰:09/03/09 00:52 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#286 [あお☆まる]
 
「あの子、愛子ちゃんのこと…」


「え?」


「いや、なんでもない!あは☆気にしないでぇ〜!じゃあ、またね!」



さっきとは違って
明るいいつもの麗子さん


そのまま車は走って行った。
意味深な言葉を残して
 

⏰:09/03/09 00:56 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#287 [あお☆まる]
 
色々な言葉が
頭をぐるぐる回る

私は、無意識の様に
体をただ家に向かわせた



家に着くと
達也はまだ帰ってなく
頭の中の言葉が
私の不安を大きくさせる
 

⏰:09/03/13 04:07 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#288 [あお☆まる]
 



“私、見ちゃったのよ
 達也と美幸って子が
一緒に歩いてるところ”



 

⏰:09/03/13 04:09 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#289 [あお☆まる]
 
呪文の様に
繰り返えされる
それは、私の心を

締め付ける



電気をつけることなく

暗闇の中


真意を模索していた
 

⏰:09/03/13 04:11 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#290 [あお☆まる]
 
きっと、
麗子さんの言ってた事は
本当だろう……


あの日、達也は
美幸ちゃんに合いに
家を出たんだ



なんの為に…?
仕事?



でも…仕事なら
私に言ってもいいのに
 

⏰:09/03/13 04:15 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#291 [あお☆まる]
 
胃がつねられているみたいにギュと痛み

喉の奥に何かがつっかえているみたいに
息苦しい



また、まただ



こんな気持ちに
なりたくないのに…
 

⏰:09/03/13 04:18 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#292 [あお☆まる]
 
その嫌な感覚から
逃れたくて


どんなに

思考を変えようとしても



一度芽生えてしまった
疑惑から逃げる事は出来なかった
 

⏰:09/03/13 04:21 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#293 [あお☆まる]
 
ソファーに
体育座りの状態で座る


足を、腕で抱き抱え
顔を足に埋める



何時間
そうしていたのだろう



目の前が明るくなった
 

⏰:09/03/13 04:23 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#294 [あお☆まる]
 
「…アコ…?」



びくっと肩をならした後

顔をあげる。と、

達也が愛子の顔をのぞき見る様に
腰を屈めていた



「…達也…」


「どうした?電気も付けないで…」
 

⏰:09/03/13 04:26 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#295 [あお☆まる]
 
「あ、ごめん。私ご飯の準備してなくて…今すぐ支度するから」



立ち上がる
愛子の腕を達也が掴む



「いいよ。アコ疲れてるんだろ?何か頼もう。」
 

⏰:09/03/13 04:28 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#296 [あお☆まる]
 
その日は
店屋物を頼んで
二人で食べた



結局、
美幸ちゃんの事は
聞けずに、時間だけが
過ぎていった


その間、
達也は毎日の様に
美幸ちゃんと残業してから帰ってくる
 

⏰:09/03/13 04:48 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#297 [あお☆まる]
 
達也の車に乗ると


毎回、毎回

座席が移動していて


美幸ちゃんが
乗っている形跡が
残っていて

その事実は
私を一層不安にさせた
 

⏰:09/03/13 04:51 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#298 [あお☆まる]
 
今日のピークは
終わっていて

店の中はお客様が居ない


ホールには
私と遊馬くん二人だけ



「愛子?最近なんか目の下にクマできてない?」


「え…?」
 

⏰:09/03/13 04:55 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#299 [あお☆まる]
 
「元気もないし…もしかして、マリッジブルーってやつか?!」


「……」



冗談めかしに
遊馬くんが言うけど
今の私には
笑えない冗談だった



「何があった?」
 

⏰:09/03/13 04:57 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#300 [あお☆まる]
 
遊馬くんの
真剣な瞳に捕らえられる


嘘がつけなくて
黙って俯く



そんな私の頭に
遊馬くんの手が触れる

なにも聞かずに
頭を撫でてくれている



そんな気遣いが
暖かくて
泣いちゃいそうだよ
 

⏰:09/03/14 01:43 📱:812SH 🆔:☆☆☆


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