先生の言うとおり③

　
「…な、なんでも。帰ろうっか！」

「…二人はまた残るの？」

「う、うん」

遊馬くんは、ふぅーん
て言うと厨房の方を見る

「まぁイイや。帰ろうか」
　

　
暗い夜道を
遊馬くんと並んで帰る

「愛子、」

「ん？なに？」

振り返ると
真剣な顔の遊馬くん

「店長と上手く行ってないの？」
　

　
「…なっなんで…。
前も言ってたけど、私たち結婚するし、上手くいってなくなんてないっ」

思わず声がでかくなる

「…俺にはそうは見えない。俺は、愛子が幸せになるならイイって思ってた……けど………」

そう言うと、遊馬くんに
腕を掴まられる
　

　
またあの目だ

前もこの目に捕らえられて動けなくなった

真剣な切ない瞳に

捕らえられそうになる

掴まれた腕
その手の力が強くなった時

聞き慣れた声が響く
　

　
「愛子ちゃーん！」

その声に反応した様に
遊馬くんがパッと
手を離す

「れ、麗子さん。」

「あら？こないだの…」

「遊馬です。…じゃあ、用が有るみたいだし俺は先に帰るね。またね、愛子」
　

　
「あ、うん。また明日ね」

そう言って
遊馬くんの背中を見送る

「…あのこ…」

「え？」

「ううん。少し…話せる？ちょっと気になる事があって」
　

　
「…話し？」

「達也と、美幸って子だったけ？
その事でちょっとね…。まぁ、まずファミレスでも入ろう！ね！」

「…は、はい」

達也と
美幸ちゃんの話し？

麗子さんの顔から
あんまりよくない話しな気がする
　

　
麗子さんに促され
近くのファミレスに入る

飲み物を注文して
届くまで少しの沈黙…

「お待たせしました～」

注文した飲み物に
口をつける
　

　
麗子さんを見ると
難しい顔をしている

「あの…話しって？」

こちらを見る麗子さんの
眼差しが真剣すぎて

胸が張り裂けそうになる
　

　
「セレモニーの次の日って、店休みだったでしょ？」

「…昨日の事ですか？」

「そう。私、見たのよ」

その言葉に
胸が締め付けられる

…まさか
　