本当にあった×××な話

私は１番後ろの自分の席に座った。

「それじゃあ始めるよ！」

はるちゃんが授業を始めた。

だけど、さっきの事がフラッシュバックして、はるちゃんの授業も聞かずずっと俯いていた。

…あれ？

机の中に白い紙が入っている。

そっと取り出してみた。

【誰にも言わないよね？】

…えっ！？

心臓が波打った。

はるちゃんの字だ。

私が覗いていた事、バレてる！

どうしよう…。

どうしよう…。

とりあえずその紙は自分のポケットにしまった。

私、校長に呼び出されたりしないよね？

それで『よくも覗いたな！』とか言って暴力振るわれたりしないよね？

無理無理無理！

絶対ヤダ！

てゆーか何で校長とはるちゃんがSEXなんてしてたんだろ。

まさか、はるちゃん…校長に脅されてるとか？

きっとそうだよ！

はるちゃんみたいな美人が、あんなオヤジとSEXしなくても相手なんてたくさんいるはずだもん。

そうだよ、きっと…。

そんな事ばかり考えていると授業が終わった。

「はーい。じゃあ今日はここまでね。起立！礼！」

いっきに教室が騒がしくなる。

他の生徒はぞろぞろと教室を出て行ったり、はるちゃんに話かけたりしていた。

「亜紀、教室帰ろう。」

「うん。」

早くここから…この場所から去りたくて、私は早足で教室の出口に向かった。

「あ、石田さん！」

…えっ！？

後ろから、はるちゃんの声が私を呼び止めた。

ゆっくり振り返ると笑顔のはるちゃんが私を見ている。

「…はい？」

「約束してた本、持ってきたよ。ちょっとこっち来てくれる？」

約束？

本？

何それ…

訳のわからないまま、はるちゃんの顔を眺める。

あぁ…わかった。

口実だ。

私を呼び止める為の嘘なんだ。

ここは素直に従うべき…

なのかな？

「亜紀ごめん。ちょっと待っててくれる？」

「私、隣のｸﾗｽの子に用があるから先戻ってるね。ごめん！」

「そっか、わかった。こっちこそごめん。じゃあまた後でね。」

亜紀は一人で教室から出て行った。

私は、はるちゃんの方に近寄った。

「あっちの準備室にあるの。来て？」

準備室？

なんでわざわざ…。

はるちゃんは周りにいた生徒にバイバイし、私を準備室まで誘導した。

ガチャン…

ドアが閉まる。

なんか生々しくって、すごく戸惑う。

二人っきりの準備室は、ひんやりと涼しい。

「石田さん。」

「はい？」

「見たよね？」

はるちゃんはなぜか笑顔だった。

逃げられない。

逆らえない。

嘘つけない。

そう思わせるような自信に満ち溢れていた笑顔だった。

「…はい。」