本当にあった×××な話

どうして私を買ったのかを聞くと『タマってるから。』と答えた。

わざわざお金を出さなくても、他にたくさん女がいるでしょ？

それが最初の疑問だった。

何歳？

お仕事は？

どこに住んでるの？

彼女は？

次々に浮かび上がる疑問。

だけどどれも沈めたまま、車はホテルへと向かって行った。

突然の出会いだった。

あの日、オヤジにドタキャンされていなかったら青木さんと会う事なんかなかった。

ホテルのつき、いつものオヤジのようにすぐに押し倒されるのかと思ったけど違った。

「少し話をしよう。」

そう言ってベットに座って話をした。

名前、学校、苦手な教科。

全て私に関する事ばかり話した。

青木さんの事はほとんど聞けないまま。

「由美ちゃん…援交って、辛くない？」

あの時の私は、寂しさを消す行為＝SEXだった。

「全然辛くないですよ。」

「そっか。どうして援交なんかしてるの？」

「今まで寂しくなれば、地元の子とSEXしてたんです。だけど、ある日、『俺とSEXすれば金をやる』って言う人に出会って…SEXしただけでお金が貰えるんなら、一石二鳥だなって思って始めたんです。」

「そっか。寂しがり屋なんだね。」

「金欠病になるのが嫌な怖がり屋なんですよ。」

ﾆｺｯと笑った私にキスをした青木さん。

ゆっくりベットに寝かされた。

「寂しいなら俺がいてあげるよ？」

「ｱﾊﾊ。ありがとうございます。」

笑って流した言葉。

社交辞令にしては嬉しい言葉だ。

「恋愛とかしないの？」

首元に舌を這わせて聞いてきた。

「…ｯ…しないです。」

「どうして？」

「恋って…よくわかんないから。」

「わかんない？」

「好きとか嫌いとか、わかんない。」

「…そっか。いつか恋愛できるといいね。」

「ﾝｯ…」

優しいSEXだった。

帰り際に『俺がいるから』って言ってくれた青木さん。

意味なんて考えなかった。

連絡先を交換して、満たされた欲望と財布を握り、私はホテルを後にした。

子供の私に、ほんの少しのまだ見ぬ光りを当てようとしてくれた人。

それが青木さんだった。

それから数ヵ月が経った。

青木さんが日本からいなくなって数週間。

毎日退屈な授業を受ける日々。

はるちゃんたちは順調だったので何も問題はなかった。

私と飯田先輩の関係は持続中。

青木さんがいなくなった寂しさは先輩が埋めていってくれた。

援交はしなくなった。

何かが一気に冷めてしまい、番号もアドレスも変え、今までのオヤジと連絡を取れなくしてやった。

今は先輩だけ。

お金はもらってない。

ゆうとくんはあれ以来あまり会わない。

たまに見かけるけど気にならない。

なんか、どうでもよかった。

今じゃすっかり抜け殻状態の私。