本当にあった×××な話
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#460 [ゆーちん]
「相手の方はなんて?」
「まだどうするかは話し合ってなくて…待合室にいるんですけど。」
「そう。じゃあちょっと呼んできて?」
先生は近くにいた看護士にそう告げた。
:08/12/07 20:34 :SH901iC :JoXzO7f2
#461 [ゆーちん]
「失礼します。」
幸くんが入ってきた。
「青木幸太さん?」
「はい。」
「座って?」
私の隣に腰掛けた幸くんの顔が見れない。
だって、もし産むなって言われたら…。
:08/12/07 20:35 :SH901iC :JoXzO7f2
#462 [ゆーちん]
「由美さん妊娠してますね。12週目でちょうど3ヵ月目です」
「そうですか。」
「どうされますか?」
「もちろん出産希望で。」
…え?
なんか…感動もクソもなかった。
あっけなく答えた幸くんに少し拍子抜け。
先生は私に優しく笑いかけてくれた。
「由美さんも、もちろん希望ですよね?」
「あ…はい!」
:08/12/07 20:36 :SH901iC :JoXzO7f2
#463 [ゆーちん]
こうして病院を後にした私たち。
車はゆっくり私の家に向かう。
帰りの車内、私たちはほとんど話をしなかった。
家につき、また私の部屋に入った。
「由美。」
「ん?」
「病院で、出産希望だって最初に言わなかったのか?」
「…うん。」
「なんで?」
「だって…幸くんが嫌だったら産めないし。」
「…なんだそれ。」
:08/12/07 20:36 :SH901iC :JoXzO7f2
#464 [ゆーちん]
「だって…」
その瞬間、フワっと幸くんの腕に包まれた。
「ごめんな。俺が最初に言っときゃ、よかったんだよな。」
「…。」
「俺と由美の子供、産んでくれる?」
「…うん。」
涙が出た。
こんな優しい幸くん、反則だよ。
ほんと悪魔みたいな天使だ。
:08/12/07 20:38 :SH901iC :JoXzO7f2
#465 [ゆーちん]
怒ってると思ったら、いきなり抱きしめながら謝ってきて嬉しい言葉をくれる。
そんな器用な幸くんが大好き。
だからさ、ずっと離さないで。
「俺のお嫁さんになってくれる?」
:08/12/07 20:39 :SH901iC :JoXzO7f2
#466 [ゆーちん]
答えは決まってる。
「よろしくお願いします。」
プロポーズは、もっとロマンチックな場所がよかった。
よりによって私の部屋?
でも、もう何でもいいや!
幸くんが離れていかないなら、なんだっていい。
:08/12/07 20:40 :SH901iC :JoXzO7f2
#467 [ゆーちん]
■□■□■□■
宝物
■□■□■□■
:08/12/07 20:43 :SH901iC :JoXzO7f2
#468 [ゆーちん]
学校は退学した。
お互いの両親は、私たちの結婚に反対しなかった。
だから、どんどん話が進んで、いつの間にか私の苗字が変わり、幸くんと同じ住所に。
左手の薬指には光るものが輝いていた。
:08/12/07 20:45 :SH901iC :JoXzO7f2
#469 [ゆーちん]
冬を越え、春を迎えた。
温かい町を、大きなお腹で夕飯の買い物のためにのんびりと歩く今日この頃。
「由美ちゃん?」
声を掛けられて振り返ると、懐かしい顔が笑っていた。
「先輩!」
飯田先輩だった。
「え、何?妊娠したの?」
相当驚いているみたい。
:08/12/07 20:45 :SH901iC :JoXzO7f2
#470 [ゆーちん]
「うん。もうすぐ生まれんの。男の子か女の子かはわかんないけど…早く会いたい!」
「すげーな。知らなかったし。」
「エヘヘ。てか先輩、ちゃんと進学できたの?」
「ギリギリ。」
少しカッコよくなった先輩は、大学の制服であるスーツがよく似合っていた。
:08/12/07 20:47 :SH901iC :JoXzO7f2
#471 [ゆーちん]
「てゆーか先輩、こんなとこで何してるんですか?学校は?」
公園のベンチに座りながら黄昏れるキャラでもないのに…。
「午後から学校休みだから、これからおデートちゃん。」
「マジ?彼女できたんだ!おめでとう!」
「待ち合わせが公園とか可愛い彼女だろ?」
「アハハ!」
:08/12/07 20:47 :SH901iC :JoXzO7f2
#472 [ゆーちん]
「先輩、大学楽しい?」
「うーん、まぁまぁかな。大学厳しいけど、支えてくれる彼女いるし?」
「惚気んなー!」
「アハハ。そういう由美ちゃんは?」
「楽しいよ?結婚生活、最高!」
「惚気んなー!」
しばらくすると、
「雅志ー!」
と言いながら女の子が駆け寄ってきた。
:08/12/07 20:48 :SH901iC :JoXzO7f2
#473 [ゆーちん]
「れいか!」
優しくほほえむ先輩は幸せそうだった。
先輩の彼女は私に一礼し、笑いかけてくれた。
「お友達?」
「あぁ。高校の時の後輩。」
「初めまして。雅志の彼女のれいかです。」
人なつっこい先輩の彼女は、私より1つ下の高校3年生。
:08/12/07 20:50 :SH901iC :JoXzO7f2
#474 [ゆーちん]
「はじめまして。由美です。」
「由美さん、妊娠してるんですか?」
「あ、うん。」
「触ってもいいですか?」
「いいよ。」
お腹を触るれいかちゃんは嬉しそうに笑っていた。
可愛い子。
:08/12/07 20:54 :SH901iC :JoXzO7f2
#475 [ゆーちん]
好きだった人の彼女にお腹触られてるなんて…。
なんか笑っちゃう。
れいかちゃんは、もちろん私と先輩が過去にどうこうなんて知らないと思う。
もし知った時が来ても、先輩を嫌いにならないで。
そう願うしかできない。
「元気な赤ちゃん産んでくださいね!」
「うん、ありがと。」
:08/12/07 20:55 :SH901iC :JoXzO7f2
#476 [ゆーちん]
「じゃあ行くか。」
先輩はれいかちゃんの手を取った。
「じゃあね。」
「由美さん、さよなら!」
「バイバイ。」
先輩とれいかちゃんは、私に背を向けて歩き出した。
:08/12/07 20:57 :SH901iC :JoXzO7f2
#477 [ゆーちん]
幸せそうに笑い合ってる二人を見ると私まで幸せ。
先輩が卒業式に言った言葉の意味がわかる。
好きな人が幸せだと私も幸せだ。
だけどね、心のどこかでチクリと痛むものがあるんだ。
でもきっとこの痛みはイイ痛み。
私を、また1つ成長させてくれるもの。
先輩、ありがとう。
:08/12/07 20:58 :SH901iC :JoXzO7f2
#478 [ゆーちん]
家に帰り、家事をこなす。
ご飯を作り愛おしい旦那を待つ。
「ただいまー。」
「おかえりなさい!」
海外にはまだまだ行けないかも知れないけど、お嫁さんになる夢は叶ったよ。
先輩のおかげ!
あの第二ボタン、今でもちゃんと持ってるよ。
ボタンのおかげだ。
ありがとう。
:08/12/07 20:59 :SH901iC :JoXzO7f2
#479 [ゆーちん]
「由美。」
「ん?」
口づけをそっと交わしながら私は誓った。
誰もが羨むほど幸せな女性になるんだ…って。
:08/12/07 20:59 :SH901iC :JoXzO7f2
#480 [ゆーちん]
私が今までやってきた、たくさんの事は後悔なんかしていない。
後悔に勝る幸せがあるから。
はるちゃん、飯田先輩。
本当にありがとね。
:08/12/07 21:01 :SH901iC :JoXzO7f2
#481 [ゆーちん]
幸くん。
珍しい出会い方だったけど、私は後悔してないし恥ずかしくもない。
あなたにはありがとう何回言っても足りないから一言だけね?
愛してる。
END
:08/12/07 21:01 :SH901iC :JoXzO7f2
#482 [ゆーちん]
■□■□■□■
あとがき
■□■□■□■
:08/12/07 21:03 :SH901iC :JoXzO7f2
#483 [ゆーちん]
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この続編は、全く考えていなかったので思い付いたままに書きました。
文才の無さに改めて気付かされました(:_;)
:08/12/07 21:04 :SH901iC :JoXzO7f2
#484 [ゆーちん]
『本当にあった×××な話』が小説初挑戦だったので、わからない事だらけでした。
この小説を完結させて、自分自身、成長したのかはわかりませんがこれからも作品を書こうと思います。
応援よろしくお願いしますm(__)m
:08/12/07 21:04 :SH901iC :JoXzO7f2
#485 [ゆーちん]
次は『双子の秘密』を書いていきます。
トピ建てたら、ここにも貼るので、また暇潰しにでも読んでみてください(^^)
ではまた!
:08/12/07 21:05 :SH901iC :JoXzO7f2
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