人生の案内板
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#333 [幸]
タッタッタッ…
走る音。
私はおどおどしながらも
かけると走った。
なぜか周りのことなど
気にしなかった。
2人だけの世界にいるみたいだった。
:09/01/18 13:25 :W53H :D39xBK4k
#334 [幸]
知らないレストランに入った。
そこは高級感が溢れてた。
すると、40代くらいの
男性が出てきた。
『やあ、かける君。
ん…隣の女の子……
もしや…』
男性は手話をしながら声をだして話した。
:09/01/18 13:27 :W53H :D39xBK4k
#335 [幸]
‘まさか’
かけるは手話でそう言った。
当時、手話もできない私には
なんて言ったのか
全く分からなかった。
『すごいたんこぶだね。
かけるくん、女の子には
優しくしなきゃ。』
そう男性が言った。
‘俺のせいじゃない。’
:09/01/18 13:30 :W53H :D39xBK4k
#336 [幸]
『でも、手当てぐらいは
してきなさいよ。』
‘もうすぐ仕事なんだよ
だからじじさんが代わりに
手当てしてよ’
『そのためにこの子と
一緒に来たのかよ。』
‘まあね、
じゃあ着替えてくる’
:09/01/18 13:32 :W53H :D39xBK4k
#337 [幸]
かけるは楽譜を持って
奥の方に行った。
『やあ、いらっしゃい
さっき手話でね、
かけるに手当てしてって
頼まれたから手当てするか。』
男性はそう言うと
救急箱を取り出し
私のおでこに湿布を貼ってくれた。
:09/01/18 13:34 :W53H :D39xBK4k
#338 [幸]
『じゃあ、これで失礼します。
湿布、ありがとうございました。』
私はそう言うと、
『せっかくだから
かけるのピアノ聞いたら?
かけるのピアノは凄いよ〜
それに、俺の楽譜が
あなたに傷を負わし
ちゃったからお詫びに
おごってあげるって。』
と男性が言った。
:09/01/18 13:47 :W53H :D39xBK4k
#339 [幸]
ピアノ……
するとかけるがス―ツ
みたいな洋服を着、
楽譜を持って現れた。
そして優しく、強く
弾いた。
レストランの中にいた客は
ゆっくり、その音楽に
耳をすましていた。
『きれぃ……』
思わず口に出した。
:09/01/18 14:04 :W53H :D39xBK4k
#340 [幸]
『かけるは一時期、
音大にスカウトされたんだ。
でも、小説を書きたいって言って
音大を蹴ったらしいよ。
ちなみにこの曲は
かけるが自分で作曲した…
“耳なしほういち”だよ』
『そうなんですか…』
:09/01/18 14:08 :W53H :D39xBK4k
#341 [幸]
男性がこれしき何も
言わずに仕事をした。
ああ、なんて綺麗なのだろう。
私の濁った心が綺麗に
洗い流されるよいな…
私はずうっとこの曲を聞いていた。
:09/01/18 14:10 :W53H :D39xBK4k
#342 [幸]
『何時まで平気なの?』
男性がそう聞いた。
この声に我に返った。
気がつけば7時を回っていた
『あっ…まぁいいや…』
私はそう言い、
同時にここでご飯を食べたら
帰ろうと思った。
:09/01/18 14:12 :W53H :D39xBK4k
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