人生の案内板
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#1 [幸]
『凄いわねぇ〜
またかなちゃん、学年
で1位なのねぇ。』

『本当〜。あんな子を
持つ親は羨ましいわ』




小さい頃から教育熱心だった母。
私はいつも母に誉められるために
頑張ってきた。

⏰:08/12/07 21:36 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#2 [幸]
『やっぱ無理だわ!!』

『鮎川に学力で勝てる奴いねーよな』




小、中とずうっとそう言われ続けてきた
全ては母さんのため

私は母さんが勉強しろ
って言われるから
今までしてきた。

⏰:08/12/07 21:42 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#3 [幸]
今、私は高校3年生
受験生だ。
しかし、今年の4月。
母さんが交通事故で亡くなった。



そのため父さんと2人暮らしだ
兄はいるが就職のため
兄は一人暮らしをして
いるので家にはめったに帰ってこない。

⏰:08/12/07 21:46 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#4 [幸]
父さんは母さんより
教育熱心ではない。
いたって普通の父親だ



それにしても家事は大変だ
今まで勉強しかしてなかったから
家事なんてしたことなかった。

ご飯を作って、皿洗って、洗濯物して、アイロンして…
おまけにそうじもして
正直それだけで疲れてしまい、
昔ほど勉強をしなくなった。

⏰:08/12/07 21:49 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#5 [幸]
今は7月。
母さんが亡くなって
私たち家族は放心状態だった。

口うるさい母さんだったが大好きだった

父さんが一番絶望的な
顔をしていた。


しかし今は皆、現実を受け止めようとしている

泣いたって母さんは帰ってこない

⏰:08/12/07 21:53 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#6 [幸]
だいぶ昔のように元気
になってきたが、
私の学力は下がる一方だ


『鮎川さん!!どうした!?
お前はT大学に行くんじゃなかったのか!?』

うぜー先生。
お前、私が今までどれほど
苦しんだと思っているんだ

⏰:08/12/07 21:56 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#7 [幸]
『かな!!』
『ちなみ。。』
『今はまだ大丈夫だょ
家事で大変だと思うけど
かなならまた成績伸びるよ。』



ちなみ……
本当に優しいなぁ
ちなみが唯一の私の友達

⏰:08/12/07 21:58 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#8 [幸]
私が帰るときにそう励ましてくれた。

『久しぶりにどう?』
ちなみにマックへ行こうと誘われたが
私は昨日は家事ばっかりだったので
勉強できなかったから
今日はその分図書館で
勉強すると言い、断った


今日、父さんは夜遅い
夜ご飯は一人で外食しよう。

⏰:08/12/07 22:20 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#9 [幸]
私はそう思い、図書館である程度勉強したら
レストランへ行くと予定した。




学校から徒歩15分。
それにしても…ここの図書館は
私と同じ高校の奴ら多いなぁ。
まぁ、しょうがないか…

⏰:08/12/07 22:22 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#10 [幸]
私の高校は毎年T大学
に向け、勉学に励んでいる

県内ではトップクラスだ
遊んでる奴なんていない



みんなこの図書館にきて勉強している。
私だって負けていられない!!
母さんのためにも
私はT大学に行くんだ!!

⏰:08/12/07 22:24 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#11 [幸]
カリカリ……
シャーペンが動いている音

この音……好きだなぁ
例え、答えが間違っていても
勉強してるっていう気になれる。

1時間半勉強したら
休憩として、10分間
本を読む。
これが私の勉強法だ

⏰:08/12/07 22:27 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#12 [幸]
その勉強法を何回か
繰り返してみると、時間
があっという間に過ぎていた。



気づけば7時半だ。
私はレストランへ向かった

⏰:08/12/07 22:29 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#13 [幸]
ガヤガヤ…
レストランで会話しながら
ご飯を食べている。
この声、好きだなぁ。

みんな栄養を楽しく取っているんだなぁ。



私はパスタを頼み、
待っている間、数学を解いていた。

⏰:08/12/07 22:31 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#14 [幸]
『鮎川さん?』
後ろから声がした。

振り返ってみると
そこにはあの小早川君がいた。



『こ…小早川君……』

なんでこんな所に…
ヤバい……
なんて話したらいいか…

⏰:08/12/07 22:33 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#15 [幸]
そう…私は小早川君の
こと好きっていうか
憧れています!!


“小早川きい”
彼は凄い人なんです
スポーツも凄くて
頭もいい。
おまけに私好みの顔

私の高校のアイドル的
存在。



…が、なぜここにいる?

⏰:08/12/07 22:39 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#16 [幸]
『鮎川一人?』
小早川君はそう聞くと
私の向かい側に座った



おいーっっ!!
なんで座るの!?
なんでそこに座るの!?

小早川君も一人で来た
のかなぁ。
まさかね。友達がいる
に決まってる
それか、彼女かもしれない

まぁそんなこと、どうでもいい!!
問題は“なぜ小早川君は
私の向かい側の席に座ったのか”だ。

⏰:08/12/07 22:43 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#17 [幸]
もしかして。
私が一人でいたから
寂しそうだなぁって
思って情けでそこに座ってくれてるかもしれない。

だとしたら私は寂しそうな行動したんだ。
ぁぁ、なんて私は馬鹿
なんだろ
どうして思ったことを
すぐ顔とかに出るのかなぁ。



『おーい。聞いてる!?』
『えっ?……
ああーうん。聞いてるよ』

⏰:08/12/07 22:46 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#18 [幸]
いけない。
私ったら。
本当にダメだわ。
慣れてない人から話し
かけられると深く考えちゃう
癖がある。



『ほらー鮎川は今一人なの?』

小早川君は優しい声で
そう聞いた。

『うん…』
私は小さな声でそう言った。

⏰:08/12/07 22:48 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#19 [幸]
『そうなんだ。
俺も一人なんだぁ。
よかったら一緒に食べない?』

えっ?
えぇぇぇ!?!
なんだろう。この気持ちは
後ろ振り向いたらお化けがいて
びっくりしてるくらい
心臓の動きが速い。
落ち着け
私。

相手はお化けじゃない
人間だ。

『うん。』
私は精一杯の笑顔で答えた。

⏰:08/12/07 22:52 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#20 [幸]
『よかったぁ。
ん?数学かぁ。』

小早川君は私のノート
を見てそう聞いた。

『うん。数学だけが
足ひっぱているからね』


『鮎川は数学嫌いなの!?』

『…うん。』
『へぇ。意外。数学の
偏差値いくつよ?』

⏰:08/12/07 22:54 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#21 [幸]
…ヤバい……
今…てか、さっきから
“鮎川”って呼び捨て
だよ。
呼び捨てで呼ばれるの好き。。。



『この前の模試は69
だったよ。』

『69で足ひっぱている
のかよ。』
『えっ…』
『負けたよ。俺65だったんだぁ。
やっぱ鮎川には勝てないなぁ。』

⏰:08/12/07 22:57 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#22 [幸]
『そんなことないよ
下がってきてるんだ
成績が…』

私は下を向いて話した


『でも鮎川なら余裕だろ
他の教科でカバーすれば』

『日本史が70前半だったんだぁ。
それで今日、先生に叱られちゃった。』

『鮎川が…信じられね
俺だって80越えたぞ
簡単だったじゃん。』

⏰:08/12/07 23:01 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#23 [幸]
私はその言葉を聞いて
ショックを受けた。



『まぁ、たまには
そういうこともあるよ』
小早川君はサラっと言い
ドリンクを飲んだ。


小早川君もメニューを
頼み、私と一緒に数学
の問題を解いていた

⏰:08/12/07 23:38 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#24 [幸]
そして料理が運ばれ
政治経済について話した
お互いに政経が得意
なのでその話しで大いに盛り上がった。



小早川君と話してると
日本が小さく見えた
小早川君は日本の経済
だけではなく、外国の
経済にも興味があるからだ。

正直、凄いなぁって
感心した。

⏰:08/12/07 23:41 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#25 [幸]
ご飯を食べ、小早川君
と別れた。



レストランから家まで徒歩30分。
結構遠いのだ。

……にしてもここは
こんなに暗かったっけ?

いつもは車が結構通るのに
今日だけ少なかった。
やけに不気味に感じた

⏰:08/12/07 23:44 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#26 [幸]
ザザっ…


『きゃっ!!』
…ーなんだよ。
風の音かよ

風の音でびっくりして
しまった。
私は開き直り、歩き始めた。



ドサッ!

⏰:08/12/07 23:45 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#27 [幸]
『いやぁぁぁ!!』
白い物体が突然目の前
に倒れてきた。

私は怖くなって、
その場から足が動けなかった

どうしよう。
警察に連絡しようかな
でも、襲われてないし
そんなことを考えていた


しかし
『はぁ…はぁ…』


白い物体の息が荒いのが分かった

⏰:08/12/07 23:56 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#28 [幸]
私は恐る恐る白い物体
に近づいてみた。



『大丈夫ですか?』
私はそう聞きながら
白い物体を触ろうとした
しかし、手を掴まれ
凄い目で私を見た

⏰:08/12/07 23:57 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#29 [幸]
怖くて怖くて…
声が出なかった。


なんて目……
人間ってこんな目もやればできるんだ



一気に手が震えだした



しばらくその白い物体
と見つめ合っていた

怖くて怖くて、
目が動かなかったからだ

⏰:08/12/08 00:01 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#30 [幸]
ぐるるるー…


お腹の音が鳴った
しかし私のお腹ではない
するとその白い物体は
私の手を放し
お腹を押さえた。



なぜだろう。
今思えばそう疑問を持つ
なぜあの時私は走って
おにぎりとジンジャエールを
買ったのだろうか。

⏰:08/12/08 00:28 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#31 [幸]
『はい。はぁ…はぁ』
私はおにぎりとジンジャエール
を白い物体にあげた。



その白い物体は暫く
私の顔を見ると、最初
はためらったが、一気に
袋の中からおにぎりを
取り出し下を向きながら食べた。

⏰:08/12/08 00:35 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#32 [幸]
『…うめぇ…さんきゅ』

その白い物体はそう言うと
おにぎりをぺろっと食べ
ジンジャエールをガブガブ飲んだ。



人って食べる時、
笑いながら食べるのだとばかり思っていた
しかし彼を見ると
そんなことは決してない
そう感じさせた

⏰:08/12/08 00:38 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#33 [幸]
『ふー』


満腹を感じたのか、
とても幸せそうな顔で
座っていた。



私は今まで人は話しながら食べると
ご飯がおいしくなると
思っていた。
また幸せだと感じると
思っていた。
でも彼は違う。

彼は生きるためにご飯を食べ
生きるために幸せを感じる
凄く、生きるのに一生懸命なのだ。

⏰:08/12/08 00:42 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#34 [幸]
『あの、もっと食べる?』


あのときの恐怖はどこ
にいってしまったのか
普通に話しをかけた。


『いや、平気だ。
わざわざすまなかった


っっー…』

⏰:08/12/08 00:46 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#35 [幸]
彼は足をおさえていた
私が彼の足を見てみると
そこには痛々しくすり傷があった。



私はいつも常備している
オロナインをカバンから出した。

⏰:08/12/08 00:48 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#36 [幸]
『先、水で洗って。』
私は彼にハンカチを
渡した。

『…いらねえよ
そんなもん。』



彼はそう言い、自分で
公園まで歩いて行った

ここから公園はさほど遠くない。
私も彼に付いて行った

⏰:08/12/08 00:50 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#37 [幸]
私は彼が足を洗うのを
終わるのを待っていた



今まで彼がしゃがんでいたから
小さく見えたせいか、
実際立ったら大きいんだなぁ


彼は足を洗うのが終わって
私の方へ来た。

⏰:08/12/08 01:02 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#38 [幸]
私はハンカチで膝から浸ってくる
水を拭いた。
そしてオロナインを塗った


『痛っ!』
『ご、ごめんなさい』

とは言いつつ塗り続けた。

⏰:08/12/08 01:04 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#39 [幸]
『もういい、ありがとう』



彼はそう言い立ち上がった


『あの、』
私は疑問に持ったことを聞いた
『どうしたんですか?
家は!?』

⏰:08/12/08 13:52 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#40 [幸]
『…家は……いや、
家出した。』

『はっ!?』
金も何も持たずに家出したの?
ただのバカでしょ
絶対嘘だなぁ。


『嘘じゃねーよ』

こいつ…私の気持ちを読んだの!?
なんでその言葉が出てくる

⏰:08/12/08 13:55 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#41 [幸]
『…だとしたらあなた
相当頭悪いよね。』
なんてことを言ったんだ!!
私………


『もっとバカな話し
聞きたい?』

私は何も言わずに首だけ“うん”と答えた


『弟を殺した』

⏰:08/12/08 13:57 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#42 [幸]
『えっ…』
何を言ってるの?
この人。。。


私はなんて反応したらいいか分からず
ただ驚くばかりだ。

だたそこには夏なのに
冷たい風が吹いていたことが
はっきりと覚えてる

⏰:08/12/08 14:00 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#43 [幸]
“弟を殺した”
そう言った彼の顔は私をからかおうとしたのか
笑っていた。
しかし私には目だけが
泣いているように見えた


それよりも彼はそんなことをなぜ私に言ったのか?
私が彼を助けたから?

さすがにそのことは聞けず、
ただ吹いてきた冷たい風が当たるばかりだった

⏰:08/12/08 14:03 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#44 [幸]
『…それで逃げてきたの?』



『自首したよ』


じゃーなんでここにいるんだよ!?
『…ムカついたから。』
彼はボソッと話した

コイツは一体何をしたかったの?

⏰:08/12/08 14:07 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#45 [幸]
『お前…馬鹿だな。
人殺しの俺に握り飯
なんてあげちゃって。』

彼は笑いながらそう言った。
しかし私には泣いているようにしか見えなかった。


『お腹一杯になったから別にいいじゃん』

私はただそう言うしかなかった

⏰:08/12/08 14:12 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#46 [幸]
『…何言ってんの?
人殺しをお腹満腹させたら……』


『私が助けたいと思ったから助けただけだ!』



暫く見つめ合った。
彼の顔が月の明かりで
見えてきた。

やっと彼の顔がはっきり見えた

⏰:08/12/08 14:15 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#47 [幸]
彼の顔は薄汚れていた。
しかし目だけがギラギラ
と輝いていた。




『ねぇ、なんで弟を殺したの?』

普通は警察に通報するのに
私は違った。
“なぜ?”という疑問しかなかったからだ。

⏰:08/12/08 14:19 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#48 [幸]
『あんたに言って何になるんだ?』

『聞いちゃダメ?』
『あんた面白いね』
『答えてくれないの?』



彼は急に大人しくなった

⏰:08/12/08 14:21 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#49 [幸]
しかし暫くすると
『だから、あんたに言って
何かいいことあんのか
って聞いてるの』


彼は少し面倒くさそうに聞いた。

『あなたは何をしてもらいたいの?』

『……てめぇで考えろ』



知るかよ

⏰:08/12/08 14:24 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#50 [幸]
『お前…その制服から
すればK高校だろ?』


いきなり彼が言ってきた


『……で?』
『頭いいんだな。
勿論T大学を目指してるの?』

淡々と話してくる。
私は一つひとつの質問に鮮明に答えた

⏰:08/12/09 18:02 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#51 [幸]
まず、その質問に対しては
首を頷くだけだった
しかし、次の質問には
思わず口が止まってしまった。


『T大学に行ってさぁ
何になるの?』
『え………』

⏰:08/12/09 18:04 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#52 [幸]
何になる……?



私は何になりたいの?

わからない。
私はただ、母さんの気持ち
に答えるだけだった。



彼の質問されて
初めて気付いた。

私はなぜT大学を目指してるのか?

⏰:08/12/09 18:07 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#53 [幸]
『なんでだろう…』

私はそう呟いた。
さっきまでギラギラしてた彼の目だったが
今はとても優しい目をしている。



『…わからねーなら、
なんのために必死に高校で勉強して
T大学を目指してるんだよ
金の無駄じゃん!?』

⏰:08/12/09 18:10 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#54 [幸]
無駄………?
今まで必死に勉強してきたことが
無駄ってこと?


なんで?



『私は…母さんのため
に今まで必死に勉強してきたの
それなのに無駄って何よ…?』

悔しさがこみ上げてきた
今まで遊ぶのも我慢してた
それだから中学の時は
友達があまりいなかった

⏰:08/12/09 18:13 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#55 [幸]
『母さんのため…か…
お前もT大学に行きたいの?』


何なの!?この男。



『い……行きたいよ』
『行ってどうするの!?
何を勉強するの?
まさか大学に行くのに
それさえわからないの?』

⏰:08/12/09 18:16 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#56 [幸]
『五月蝿い!!
あなたこそ、弟を殺して
何をしたかったの!?』


はぁはぁと、息つがいが荒くなった。

彼は暫く黙っていたが
ようやく口を開いた。

⏰:08/12/09 18:18 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#57 [幸]
『俺も…母さんのため』


何言ってんの?
コイツ………


彼は驚いている私の顔を見て
フッと鼻で笑い、話を続けた。



『俺の弟、障害を持ってるんだ。

⏰:08/12/09 18:20 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#58 [幸]
生まれつきの障害で、
自閉症って言うんだ。
自閉症って知ってる?』


私は首を横に振った。
障害を持ってる人なんて
私の周りにはいないので
会ったことがなかった

⏰:08/12/09 18:23 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#59 [幸]
『自閉症は人それぞれ
なんだけど、すごく
こだわりが強いんだ。
怒ることとか、
自分の感情をコントロールできないんだ。』


ゆっくり話しだす彼の顔は
どこか寂しそうな顔をしてた。
私はその顔に強く心を打たれた

それと同時に“障害ってなんだろう”
という疑問が生じた。

⏰:08/12/09 18:27 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#60 [幸]
『例えば…いや、これは弟の場合だけど
弟は自分がうまくいかないとき
すごく暴れるんだ。
家の中とか、メチャクチャにして
泣いて暴れ出し、
母さんが怒るとさらに
酷くなり…
母さんは次第にアルコールを頼るようになった


父親は障害のことを理解
してくれなくて、
いつも喧嘩ばかりしてたよ』

⏰:08/12/09 18:40 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#61 [幸]
風がどんどん冷たくなってきた

私は先程にも言ったが
障害のことがよくわからない

誰だって、自分の思い通りにならなかったら
イライラする。
暴れ出す時もある。
でも、その暴れ方が異常だから
困っているんだ。
そう想像するより仕方なかった。

⏰:08/12/09 18:44 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#62 [幸]
『俺…まぁ普通に母さん
が好きだよ。
でも弟によって母さん
がどんどん崩れてく…
だんだんやせ細ってきて
母さんもストレスで
胃がやられたり
それなのに父さんは
仕事ばかり……
まぁ、浮気をしてない
だけましだけど

俺も弟のせいでかなり苦しんだ

⏰:08/12/09 18:47 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#63 [幸]
クラスのやつに馬鹿にされ
すごく苦しかった。
弟をなるべく外には
出さなかった。
出したらまた、クラスのやつに
馬鹿にされるし。
でも弟は外が好きだから散歩とかしたがる
だから家の中で暴れる

弟のせいで…家族がおかしくなった…』

⏰:08/12/09 18:51 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#64 [幸]
母さんだったらどうする?
こんなことを言われたら
私は何もできなかった



なんて言ったらいいの?

私はただ彼の話に耳を傾けるしかできない

⏰:08/12/09 18:53 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#65 [幸]
『ある日……
母さんが弟を叱った
まぁ、いつものことなんだけど
それは異常だった。
その日は殺気を感じた……。

う゛っ…』



彼は突然、息が荒くなった

『大丈夫?
おい、しっかりして!!』
私は彼の背中をさすった

⏰:08/12/09 18:55 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#66 [ゆー]
すごい作品だ‥☆

ハマりました!

⏰:08/12/09 22:15 📱:W52S 🆔:IS/kphik


#67 [幸]
>>66
うわぁ



ぁりがとぅござぃますx
かなり励みになりました~

⏰:08/12/09 23:28 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


#68 [幸]
『はぁ…はぁ……』



彼は凄く震えてた。
こちらが怖く感じる程

『き…救急車…』
私はそう言いながら携帯
を持った。
しかし
『救急車……だけは
やめてくれ…』

彼は私の携帯を掴み
そう言った。

⏰:08/12/10 01:25 📱:W53H 🆔:Ji6xjSfs


#69 [幸]
『なんでよ!?
あなたの体は悲鳴をあげてるのよ!?』

『やめろって言ってんだろっっ!!』



ー…っっ
彼の怒鳴った顔はとても怖かった。

お化けと比べものにならないくらいに




私は彼の迫力に負け、
救急車を呼ぶのを止めた

⏰:08/12/10 01:28 📱:W53H 🆔:Ji6xjSfs


#70 [幸]
しかし、こんな所で
苦しんでいる彼を見捨てることなどできない


とりあえず、公園の
ベンチの上に寝かせた




今まで冷たかった風が
この時だけ妙に生ぬるかった

夏らしい感じがした

⏰:08/12/10 01:31 📱:W53H 🆔:Ji6xjSfs


#71 [幸]
『なぁ…』
彼が仰向けになりながら
細い声を出した


『俺をどうするつもりだ?』
『…警察の所に行かせる』

私にはそれしかできない

⏰:08/12/10 14:02 📱:W53H 🆔:Ji6xjSfs


#72 [幸]
『…行きたくない…』

彼の声は子どものような声だった
多少つっぱりな口調の方がまだましだった

そのような声を聞かされると
すごく耳の奥まで滲みてくる。

⏰:08/12/11 02:19 📱:W53H 🆔:XQUbQhts


#73 [幸]
しかし相手は殺人犯
そんなことを言ってはいられない


『なんで?』

その代わり理由を聞きたかった



彼はつぶらな瞳で私を見、
弱々しく言った。

⏰:08/12/11 02:21 📱:W53H 🆔:XQUbQhts


#74 [幸]
『俺の話、聞いてくれねーし
信じてもくれない。
しょせん警察は殺人犯となったら
そういう態度を取る奴らばっかだ』



その弱々しい声の裏には
憎しみも含んでいたように聞こえた


『じゃあ、こうしよう
私が警察の人に伝えてあげる


私はわざと元気な声で言った
もう、彼のその弱々しい声を
聞きたくなかったからだ

⏰:08/12/11 02:26 📱:W53H 🆔:XQUbQhts


#75 [幸]
『何やってんだ?』



ザッザッと足音が近づいてくる
誰だろう?
私はそれしか思わなかったが
彼は驚いた顔をしていた

近づいてくる度にだんだん顔が見えてくる

⏰:08/12/11 02:29 📱:W53H 🆔:XQUbQhts


#76 [幸]
『あっ……お前…』
その言葉を聞いてやっと分かった

警察の人だ。
彼は逃げようとためらったのか、
足がピクッと動いた。
しかし諦めたかのように
警察の方へゆっくり足を動かした



『例の男性、発見しました』

⏰:08/12/11 02:31 📱:W53H 🆔:XQUbQhts


#77 [幸]
その警察は無線機でそう言った。



『この方をどうするんですか?』
私は彼の前に立ち、
そう聞いた。

『君はその子と、どういう関係なの?』

と、逆に聞かれた

⏰:08/12/11 02:33 📱:W53H 🆔:XQUbQhts


#78 [幸]
『なんでもありません』
彼は私を手でどかし
そう言った。
そして警察の人がまた連絡を取ってる間に

『お礼はちゃんと言う
だが、これ以上つっこむな』


そう私に言い
警察の人と一緒にゆっくりと
闇の中へ消えていった。

⏰:08/12/12 15:25 📱:W53H 🆔:HRrnrFEE


#79 [幸]
私は彼の言う通り
それ以上何も言わず
彼が警察の人と一緒に
闇の中へ消えていった
後ろ姿をただ見ていた。



私は何とも言いようのない思いで
しぶしぶと家に向かった

⏰:08/12/12 18:46 📱:W53H 🆔:HRrnrFEE


#80 [幸]
家に着いて風呂へ入った。
その後はテレビを見ながら
勉強した。
今日のこの時間だけ
みたいのがあるからだ

⏰:08/12/12 18:47 📱:W53H 🆔:HRrnrFEE


#81 [幸]
好きなドラマが始まった
最初は勉強しながら
見ていたが、やはり
いい場面になると、
どうしても見入ってしまう



好きなドラマも終わり
テレビを消そうとしたが
映っていたニュースに
目が止まった

⏰:08/12/12 19:23 📱:W53H 🆔:HRrnrFEE


#82 [幸]
‘えー障害者の子どもが一昨日殺害されました

犯人が電話で自首したんですが
調査してる最中に逃亡しました
しかし見つかり、今もまだ
聞き取り調査をしてる最中です’



これって……
彼のこと?

⏰:08/12/13 09:13 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#83 [幸]
‘その犯人はなんと
お兄ちゃんなんです
13才の未成年なので
名前は放送できません
なお、母親はショックで
精神科へ行っています’


13才!?
私はテレビを消し、
彼のことを思い出した

⏰:08/12/13 09:16 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#84 [幸]
まだ少年じゃない…
同情しているのか、
涙がでてきた。
最初に会った彼のあの
ギラギラした目が、
ずうっと目に焼き付いていた


少年のくせにあんな目
をして…
もっと、少年らしい人生を送りなさいよ

私は何度も心の中で叫んだ

⏰:08/12/13 09:20 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#85 [幸]
『ただいま』
父さんが帰ってきた

私は涙を拭いて父さんに
ご飯を食べさせた




翌日、私は先生の中でも
親しみがある先生に
“自閉症”って知ってますかと聞いた

⏰:08/12/13 09:22 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#86 [幸]
先生は少し困った顔をしていた
『昨日のニュースのことかい?』

私は先生を見ながらコクッと頷いた


『まぁ、ドラマでやってたから
知ってるけど、鮎川は
そんなことを知って
どうするの?』


先生は優しく聞いた
私は昨日のことを全て話した

⏰:08/12/13 09:25 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#87 [幸]
『そんなことがあったのか…
で、鮎川はそいつをどうしたい?』

『えっ…
いや、その……』
私は昨日泣いた時
心の中から感じたことを口にした

『助けてあげたい…』


先生は初めは驚いていたが
また優しくなった

⏰:08/12/13 09:28 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#88 [幸]
私はその顔を見たとたんに
思ったことをすべて言った。

『なぜ、13才の少年が
あんなに苦しい思いを
しなきゃいけないのか
私にはわかりません
彼が悪くないのに…
同級生にイジメられ、
大好きな母親も壊れていき
なぜ今まで彼を助けてくれる人がいなかったのかと思うと
同情なのか、涙が出てくるんです』

⏰:08/12/13 09:32 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#89 [幸]
先生は頷きながら聞いてくれた
そして先生がこう言った。
『日本国憲法で、生存権がある
鮎川なら知ってるよな
みんな等しく生きる権利があるんだよ
でも、この事件を聞くと
そんな権利があるとは思えない。』

『先生…それでも日本は
外国と比べれば公共施設が立派です』

⏰:08/12/13 09:37 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#90 [幸]
弱々しく私は答えた
しかし、先生は少し怒った口調で

『どんなに公共施設が
よくても、周りの人が
助けようと思わなければならない
例え公共施設がなくても
そういう気持ちがあれば障害者にとっての生存権は成り立つじゃないかな』



私は先生の言葉に強く胸に打たれた

⏰:08/12/13 09:40 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#91 [幸]
鐘が鳴った。

私は先生にお礼を言い
教室に戻った



そして、授業が始まった

⏰:08/12/13 09:43 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#92 [幸]
私は授業に集中できなかった
ただ、彼は今どうしてるのかと
ひたすら思ってるだけだった。

今の私には彼の存在が大きかった



『おい、鮎川。
鮎川!!』

ちなみにシャーペンで
つつかれ
やっと私は授業にを受けてる
ことに気づいた

⏰:08/12/13 09:46 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#93 [幸]
『はいっ!』
私は冷や汗が出てくるほど
仰天した
今の私にはありえないことだったからだ


『ボーっとするな』
『すみません』

⏰:08/12/13 09:47 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#94 [幸]
授業が終わりLHRの時間になった


その後は普段と変わらず、
学校に出て家に帰って家事をした

⏰:08/12/13 10:00 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#95 [幸]
その後の私はいつもと変わらなかった。
しかし、授業が暇になる度に
彼のことを思っていた



そして“なんのために勉強をするのか”
私はずうっと考えた
この答えをだすのは非常に難しい。
数学よりも難しい。
なぜ解けないのか
わからなかった

⏰:08/12/13 10:03 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#96 [えぬ◆ENU..Li./2]
おもしろー

⏰:08/12/13 12:34 📱:P905i 🆔:2/FYIF3U


#97 [みーち]
おもろー

⏰:08/12/13 12:50 📱:W61SH 🆔:VyCLgZVY


#98 [幸]
>>96
>>97
ぁりがとぅござぃますx


これからも頑張らせていただきます。

⏰:08/12/13 18:05 📱:W53H 🆔:A19tsGtQ


#99 [幸]
ある日のこと
それは突然だった。
学校でちなみと昼食を取ってる時
校長室に呼ばれた


みんな物珍しそうに私を見た

校長室に呼ばれたことなど一度もない
なのになぜこの時期に?

⏰:08/12/15 23:42 📱:W53H 🆔:Fgji37To


#100 [幸]
校長室に入ると警察の人が何人かいた


何か悪いことしてないよね…
私はそう自分に言いかけながら
ゆっくり空いてる席に座った

⏰:08/12/16 20:51 📱:W53H 🆔:hiSBvrqI


#101 [幸]
『この人を知ってますよね?』


そう警察の人が言いながら
一枚の写真を出した。
その写真は可愛らしい笑顔の少年の写真だった


しかし、その少年に違和感を感じた

⏰:08/12/20 23:21 📱:W53H 🆔:fuNbPEIo


#102 [幸]
…どこかで見たことのある顔。

私はまじまじと見た。
すると警察の人が

『障害の持った弟を殺害
した兄貴の写真だよ』

と、不機嫌な顔して言った。



私はその警察の人を
不快に感じたままもう一回
その写真を見た

⏰:08/12/20 23:23 📱:W53H 🆔:fuNbPEIo


#103 [幸]
確かに、こういう顔していたな。
そう感じ、ゆっくり首を
縦に動かした。

⏰:08/12/20 23:24 📱:W53H 🆔:fuNbPEIo


#104 [幸]
『やはりあなたか。』

警察がそう呟くと
周りにいた先生が険しい顔をして、
話を聞いた

⏰:08/12/21 11:25 📱:W53H 🆔:4/aH5P5A


#105 [幸]
『あなたは殺人犯を
警察から逃がそうとした…』



驚いた。
なぜそのような話になるのか?
私はそんなつもりで
おにぎりをあげたんじゃない!!


しかし、心で叫ぶだけでは
相手には伝わらず。
警察の話はさらに続いてく。

⏰:08/12/21 11:53 📱:W53H 🆔:4/aH5P5A


#106 [幸]
『相手が殺人犯だと
分かりながらも
おなかすかせていたからといって
おにぎりを差し上げ…『違います。』



私は最後まで話を聞かずそう言った

その声は男よりも低く
恨みもこもっていた

⏰:08/12/21 11:57 📱:W53H 🆔:4/aH5P5A


#107 [幸]
はぁ、と警察はため息をした


そして
『じゃあなんで野郎に
飯をあげたんだぁ!?』
大きな声で怒鳴った。


なぜそんなに怒鳴るのか?
結局はあの子は自主したじゃないか

なんで私が怒られなきゃならないんだよ

⏰:08/12/22 15:04 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#108 [幸]
私は何も悪いことしていない


悔しい。
なんて悔しい。



『この子は優しい子
なんです。』

優しい声が聞こえた
この声は、私の親しみがある先生の声だ。

⏰:08/12/22 15:20 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#109 [ちきん]


凄く惹き付けられました…!どんな展開になるか凄く楽しみです。
頑張ってください(*´∇`*)

⏰:08/12/22 15:27 📱:P01A 🆔:5DxdqBxA


#110 [幸]
『この子は人殺しとか
関係なく、困ってる人
を見かけたら
助けてしまうんです』


……先生…
この声が私の憎しみにそまった心が
綺麗に流れた。

⏰:08/12/22 15:34 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#111 [幸]
>>109サン
ぁりがとうござぃますx
頑張らせて頂きます

⏰:08/12/22 15:35 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#112 [幸]
『そもそも、なぜあなた達は
この子を怒鳴るんですか?
この子はそんなに悪いことなど…』



気がつけば当たりが
暗くなっていた。
校長室の窓は小さいせいか
暗くなっていたなど
気づかなかった

⏰:08/12/22 15:40 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#113 [幸]
『………』
警察の人は何か言いたげな顔をしたが、
また不機嫌な顔に戻った



『今日の所は失礼します
しかし、またあなたに尋ねたいことがありますので
またご協力お願いします』

⏰:08/12/22 15:42 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#114 [幸]
そう言い、ドアを激しく閉めた。



何がしたかったの?
そんな疑問しかなかった
ほとんどの先生たちは呆れていた

⏰:08/12/22 15:46 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#115 [幸]
『お前は間違ってないよ』



私が一人で帰ろうとした時
最も親しみのある先生がそう言った

『なぜ……?』


私は小さな声で聞いた

⏰:08/12/22 15:48 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#116 [幸]
『お前この前あの少年を
助けたいって言ったよな?
なぜそう思った?』



先生は優しい顔で聞いた
私は下を向いていた顔を上げ
まじまじと先生の顔を見た

⏰:08/12/22 15:53 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#117 [幸]
先生は女みたいに高い声だ。
顔や体は男なのに。



『…分かりません
ただ、気付いたら
おにぎりを買ってたんです
気付いたらあの少年に
あげてたんです。
頭で何も考えてなかった
気付いたら、そんな行動をとってた。

私、何事も考えてから
行動しろ。と母から
言われていたのに
あの時だけ…
何も考えず……。』

⏰:08/12/22 15:59 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#118 [幸]
ゆっくりと話した。
先生は最後まで私の顔を見て
聞いてくれた



『それはね、あなたが
本当に守りたいと思ったからだよ』


『えっ!?
初めて出会ったのに!?』
『好きとか、嫌いとか関係なく、
ただ、その少年を守ってあげたいって、
強く思ったからだよ』

⏰:08/12/22 16:04 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#119 [幸]
私が……?
なんで?


『お前はそういう奴だからじゃん?』


先生はそう言い、私の頭を撫でた



そして私は先生と別れ
家に向かった。

⏰:08/12/22 20:38 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#120 [幸]
私は家に着き、家事をした。
そして夜ご飯の準備をし、

いただきます

と、手を合わせて挨拶をし、食べ始めた



ただいま

と父さんが帰ってきた

⏰:08/12/22 20:41 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#121 [幸]
私は学校であった事を
父さんに相談した


すると、父さんは
何かを思い出すように
語りだした



『お前の母さんはなぁ
そういう警察の人、
嫌いそうだなぁ。』

⏰:08/12/22 20:49 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#122 [幸]
『母さんが?』
『ああ、お前の母さんは
なんだろうな…正義感がある人だったよ

イジメとか見かけると
イジメられてる人を
助けようとする人だよ

でもさぁ、イジメって
人生に一度は必ず見かけるだろ?』

⏰:08/12/22 20:51 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#123 [幸]
私は黙って父さんの話
を聞いた


『母さんと同じ仕事場
でイジメにあってる子
がいたんだ。
特別仲は良くなかったが
嫌いではない人だったらしくてな

お前も知ってると思うけど
お母さん、頭よくないだろ。
だからその子がイジメられてることに気づかなかったんだ。』

⏰:08/12/22 20:55 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#124 [幸]
『それって、頭良い
悪い関係なくない!?』

『……お母さんは大学
まで進学してないだろ
昔は大学進学っていったら
たいしたもんだったんだよ

だから、お母さんは
イジメのことを知らなかった
自分を責めていた』


私はたまらない気持ちになった

⏰:08/12/22 20:57 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#125 [幸]
さらに、父さんは語り続ける

『その子は……自殺を
したんだ
まぁ、命には大事なかったが
その子は仕事を止めた』



母さん…
私は無性に母さんを抱きたかった

でも、その母さんは今はいない。

⏰:08/12/22 21:00 📱:W53H 🆔:CJ9uPbk2


#126 [幸]
『“私が…気づいてやれなかったからだよね
なんで私は馬鹿なんだろう
頭…悪すぎだよ”
って母さんが付き合っていた
俺にそう言った。
俺はイジメた奴が悪い
って言ったけど…

やっぱりそういう事に
気づく事は頭悪い奴
はそう簡単に気づかないと思う
って……

頭が良いなら、早く
その子の気持ちを察して
助けられる

だから…今まで教育熱心だったんだよ』

⏰:08/12/23 12:58 📱:W53H 🆔:qB6pGs66


#127 [幸]
『お前は母さん似だな
そういう性格がそっくりだ』


父さんはそう言うと、
ビールをグッと飲んだ
仕事の終わりにはビールが似合う
と笑い、私の顔を見た

『お前も、優しい人間になったな』

と、父さんが私の頭を撫でた

⏰:08/12/23 23:53 📱:W53H 🆔:qB6pGs66


#128 [幸]
『父さん…』
『なんだ?』
『私、弱い人っていうか…
人の気持ちを察してあげられる
人間になるっっ』


きっと
“何になりたい?”
と、聞かれたらこう答えるだろう
私のこの気持ちは誰にも負けない

⏰:08/12/23 23:55 📱:W53H 🆔:qB6pGs66


#129 [幸]
『いいことじゃないか』


父さんはそう呟き、
また私の頭を撫でた

⏰:08/12/23 23:56 📱:W53H 🆔:qB6pGs66


#130 [幸]
翌日。
学校に行く時だった。
駅に募金をしている大人がいる


『盲導犬の〜……
目の不自由な方のために……

ご協力お願いします』


途切れ途切れであったが
私はすぐに反応し、
募金をしている方へ目を向けた。

⏰:08/12/23 23:59 📱:W53H 🆔:qB6pGs66


#131 [幸]
お金を入れる箱に
“障害者”と書かれてある
文字に目が入った。



気づかなかった…
こんな近くに障害があるなんて

そうだよ…
普通の顔をしてる障害者
だっているんだよ。
健常者と全く変わらない

⏰:08/12/24 00:02 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#132 [幸]
私は障害者と健常者は
顔が違うと思っていた


だってダウン症とか、
そうでしょ?
本で調べたんだから。


しかし、身体障害者とか
目、耳の不自由な人は
一見、健常者と変わらないんだよ

⏰:08/12/24 00:05 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#133 [幸]
こんなことを言ったら
差別になるかもしれないけど


この人は健常者と少々
違うと区別できる人は
健常者もその人に対して
優しく接しなくてはいけない
だって障害を持っているんだもの。
色んな面で不自由を感じているに違いない
だったらその気持ちを察して、
接した方がいいでしょ?

⏰:08/12/24 00:08 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#134 [幸]
私はボ〜ッと立っていた
すると、
『あなた、何してるの?
どいてあげなさいよ』


と、募金をしている大人に言われた
“何をしてる”って…?
私は疑問に思ったまま
言われた通りどいた。

⏰:08/12/24 00:11 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#135 [幸]
『いや〜ありがとね』

後ろからおじさんの声がした
おじさんは杖を持っていた
そして、その杖を黄色のブロックに当てながら
歩いて行った。


『すみません』
私はそう言った。
するとおじさんは後ろを振り返り
私に可愛い顔でニコッと笑ってくれた

⏰:08/12/24 00:13 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#136 [幸]
あのおじさん、
“ありがとね”って言ったよね?

なぜ?
私が悪いのに。
この黄色のブロックは
唯一目の不自由な人が
歩ける限られた範囲内
なのに。
そこを邪魔をしたのは私
なぜあのおじさんは
わざわざお礼を言ったのか?

⏰:08/12/24 00:16 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#137 [幸]
身近にいないと思っていた
障害者のことを。
でも違う。
そんなことない
私が視界に入れさせなかっただけだ



身近にいるのに、
私は……



一気に暗い気持ちになった
暗い気持ちのまま
学校へ向かった

⏰:08/12/24 00:19 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#138 [幸]
『かな〜!』

教室に着くと、ちなみ
が走ってきた


『どうしたの?』
『この前の判定Aだったの』

ちなみが嬉しそうにそう言った。


『まじで?よかったじゃん!
ちなみは何学部だっけ?』

⏰:08/12/24 00:23 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#139 [幸]
『かなが目指してる学部
より低いけど医学部だよ』


低いって……(笑)
まぁT大は医学部は他の学部より低い


『ちなみってさぁ、
夢とかあるの?』
私は興味津々で聞いた

⏰:08/12/24 00:25 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#140 [幸]
『うん、看護婦さん
私ナイチンゲール
みたいな、看護婦さん
になりたいんだぁ
勉強もして、より早く
治るように治療してあげたいの』



嬉しそうに言うちなみを見て
羨ましいと思った

“夢”があるんだぁ。
だからT大を目指してるんだぁ。


私は?

⏰:08/12/24 00:27 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#141 [幸]
私は…
なりたい職業なんてない。
どうすればいいの?
どうやって決めるの?


そう考える度に
あの少年に言われた事
が脳裏に浮かぶ。



しかし鐘が鳴った途端に
私は、はっと我に返り
席に座った

⏰:08/12/24 20:35 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#142 [幸]
『もうすぐ夏休みだ!
でも、夏こそ勉強だっ。
みんな!!志望校に向いて
効率のいい勉強をするんだぞ』



伊勢のいい担任の声。

その声がとても胸ぐそ悪くて
しょうがなかった。

⏰:08/12/24 20:40 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#143 [幸]
私は、T大学に入るため
この高校に来た。
じゃあ、なぜT大学に行くのか?



…お母さんが…
違う違う!!
私が入りたいと思ったから。

いつそんなこと思った?
いつ…
母さんに言われた時?


違う!!なぜ母さんが出てくる!!

⏰:08/12/24 20:43 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#144 [幸]
…頭がおかしくなりそうだ。



『鮎川!?』

その声にはっと気づく。
どうやら私はまた1人の世界に入ってたようだ。

『えっ?なあに!?』

⏰:08/12/24 20:45 📱:W53H 🆔:5tzWFXiw


#145 [我輩は匿名である]
今一気に読みました
頑張って下さい!

⏰:08/12/24 22:12 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#146 [幸]
>>145
本当にぁりがとぅござぃますx


とても励みになります

これからも頑張らせていただきます

⏰:08/12/26 17:25 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#147 [幸]
『何回呼んでも無反応
だったから。』


そう言ったのはあの
小早川きいだった。


『こっ…小早川君!?』
私は自分で分かるくらいに
あたふたしていた。

⏰:08/12/26 17:57 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#148 [幸]
『鮎川、国語得意だったろ?
今日さぁ、またあの
レストランでやらない?』


小早川君はそう誘い
座ってる私の椅子に左手を、
私の机の上に右手を置いた。


さらに私の目線に合わせる
ように、顔を近づけた。

⏰:08/12/26 18:01 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#149 [幸]
か…顔近すぎ……
なんでそんなに近づくの?
私そんなに焦点づれてたのかな?


どうしよ〜
キスするときって、
こんなに近くに相手の顔
が見れるの!?
ってなんでキスっていう言葉が!?

別に小早川君とキス
しないから!!
それより、レストランって…
どうしよ〜。

⏰:08/12/26 18:04 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#150 [幸]
考え込んでる時、
ある声が聞こえた。


『鮎川さん、器量がよくないのに
小早川君と二人きりで
勉強とかひくわ〜。』

『本当。勉強で見返してやる!!』



もろ聞こえてんだよ!!
てめーら嫉妬か!?
コラ!!なめんなよ

心の中でそう叫んだ

⏰:08/12/26 18:07 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#151 [幸]
『鮎川?どうするの?』

小早川君の声に気づき

『ごめん、今日は無理なんだ』

と、とっさに言ってしまった



何言ってんだ?私。
なんで素直になれないの!?
思っていたことと、
全く逆の言葉が出てくる

⏰:08/12/26 18:09 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#152 [幸]
『そっか、じゃあ
今度は鮎川が都合のいい日で』


『……うん!!』

精一杯の笑顔で返事した。
すると小早川君も笑顔で返してくれた。

そして小早川君は
教室を去った。


キャーと叫びたくなる
ような笑顔だった。
あの笑顔は反則だよ。

⏰:08/12/26 18:12 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#153 [幸]
『かなぁ〜』
ちなみが走ってきた。



『なによ?』
私は少しだるそうにして聞いた

『ひど!!小早川君には
あんなに優しい声で話してたのに』
『そ…そんなことないよ。』


きっと。

⏰:08/12/26 18:47 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#154 [幸]
『かな、小早川君のこと…?』

ちなみはニヤニヤしながら聞いてきた


『…知らん!!』
『自分の気持ち、
伝えたら〜?』
『ちなみはどうなん?』

するとちなみは、
『私は無理みたい。』

⏰:08/12/26 18:49 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#155 [幸]
笑顔でそう言ったが
声は寂しそうだった。
無性に悲しかった。




私はちなみに、
家事が終わったら
レストランに行こうと誘った。

今度は嬉しそうな声で
返事した。

⏰:08/12/26 18:53 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#156 [幸]
私は家事を終え、
レストランに着いた。
約束の時間の5分前に
椅子に座った。


『かな〜。』
ちなみの声が聞こえた。
私たちは暫く、好きな
アイドルの話で盛り上がった。


そして私はドリアを、
ちなみはパスタを注文した。

⏰:08/12/26 18:58 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#157 [幸]
『ちなみ、何かあったの?』


私は注文してすぐそう聞いた。
ちなみは少し深呼吸をし話し出した。


『陸って知ってるよね?』

⏰:08/12/26 23:58 📱:W53H 🆔:5QU1jOMg


#158 [幸]
陸…。
ちなみの彼氏。
ちなみと同じ中学で、
今は男子校に通っている。


『陸君がどうかしたの?』

『べージェクト病なの』

ちなみはとても深刻そう
に言った。
しかし、私はさっぱり
わからなかった。

⏰:08/12/27 00:01 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#159 [幸]
『目が…見えなくなっちゃうんだって。
別れようって言われちゃったぁ。』


ちなみの目には、たくさん
涙がたまっていた。
きっと、私の顔が見れないくらいに。

⏰:08/12/27 00:55 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#160 [幸]
『目が見えなくても、
私は陸を支えてあげたい…
別れたくない…』



たまっていた涙を
一気に流した。
ちなみは泣きながら、
苦しんでいたと思う。

この苦しみを私は
とうてい味わうことなどできない。

私はそこまで恋に溺れたことがないからだ。

⏰:08/12/27 01:27 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#161 [幸]
『陸の目になってあげたいのに。』


ちなみは何度もそう言った。
その涙が、何よりも
その思いが伝わってくる

⏰:08/12/27 01:28 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#162 [幸]
『ちなみならできるよ。
優しいじゃん?
ちなみは。』


『…ありがと……』



本気で思った。
優しさがあれば、相手にもその
優しさが伝わり、支え
になることができるって。

でも、実際は違う。
そんなこと、ただの
綺麗事だ。
そう分かったのは、
後の話になるが。

⏰:08/12/27 01:34 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#163 [幸]
夏祭り。
今日は年に1回の夏祭り。


勉強ばかりなので、
たまには羽でも伸ばすかぁ!!

そう思い、
中学の友達と
地元の夏祭りに行った。

⏰:08/12/27 01:37 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#164 [幸]
あれから、警察も来ない。
彼は一体、どうなったのだろう。



今は以前ほど、そこまで
疑問に思わなくなってきた。

⏰:08/12/27 01:39 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#165 [我輩は匿名である]
今日始めから一気に読みました。
この小説すっごく好きになりました
頑張って(・ω・´*)

⏰:08/12/27 01:48 📱:SH905i 🆔:IVh/BtIs


#166 [幸]
>>165
うわ
好きになったなんて…
めっちゃ嬉しいです
ぁりがとぅござぃますx

⏰:08/12/27 10:01 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#167 [幸]
『かな〜あんず!!』

中学の唯一の友達、
あきがあんずを食べたいと言った。



『食べる!』
私はそう言い、
お金を出そうとした。

⏰:08/12/27 10:03 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#168 [幸]
しかし、人ごみのせいで
400円を落としてしまった。



『やば…』
私はしゃがんでお金を
拾った。

すると、大きい影が
こちらに近づいてきた。

⏰:08/12/27 10:06 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#169 [幸]
誰……?


『はい、これで400円だろ。』

そう言って100円をくれた。



『小早川君!?』

大声で叫んでしまった。

⏰:08/12/27 10:08 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#170 [幸]
『おう、何?鮎川1人?』


小早川君の格好は上は
ワイシャツ、下は黒の
スーツっぽいズボンを
はいていた。
シンプルな格好がとても
似合っていた。


…かっこいい……

⏰:08/12/27 10:10 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#171 [幸]
『鮎川?』


はっ!!
いけない、また…
いや、今度は見とれてただけ!!



『地元の友達と…』
私は目を反らし、そう言った。

⏰:08/12/27 10:12 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#172 [幸]
『そうなんだ。』

小早川君はニコニコ笑っていた。

なんでそんなに笑うのだろう。
あなたの笑顔を見ると
心が癒される…



『かな〜』

あきの声だ。

⏰:08/12/27 10:13 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#173 [幸]
『あき…』

の後ろに男性もこっちに来た。



『つばさ!?』
『きい?きいじゃないか』



…え〜と、お二人さん
は知り合いなのかな?

⏰:08/12/27 10:15 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#174 [幸]
『鮎川、こいつ俺と同じ中学の
つばさ。』


小早川君が丁寧に教えてくれた。

『そして私と同じ高校』

あきも丁寧に教えてくれた。



なんか、凄い出会い方。
私は心の中で笑った。

⏰:08/12/27 10:18 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#175 [幸]
『なあ、4人でまわらない?』


つばさ君がそう言った。
賛成と、いうことになったので
4人でまわることになった。



歩いていると、あきの
顔が赤くなっている事
に気づいた。

⏰:08/12/27 10:21 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#176 [幸]
は〜ん。
なるほど……


『ねえ、ごめん!あき
私トイレ行きたくなったの。
一緒についてくれない?』


私はあきの前に立ち、
そう言った。

あきはいいよと言ってくれたので
小早川君たちは時計の
下で待っててくれた。

⏰:08/12/27 10:24 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#177 [幸]
私とあきの2人きり。
私はあきに問いただした。


『つばさ君のこと…』 『うん…』



やっぱり。


『かな、まさかそのために?』

⏰:08/12/27 10:25 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#178 [幸]
『えへ』
あきの顔がみるみる赤く
なった。



かわいいやつ。




私たちは小早川君たち
の所へ戻り、
再び歩き始めた。

⏰:08/12/27 10:27 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#179 [幸]
……
どのタイミングで上手く
2人きりにさせるか…



私は結構悩んでた。
すると、突然右手を引っ張られた。



『あれ?かな?』
『きいもいねーし』

⏰:08/12/27 10:30 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#180 [幸]
2人の声が遠く聞こえた。


一方、私はまだ引っ張られていた

人ごみをさけ、誰もいない道に出た。



『鮎川…』

小早川君!?

⏰:08/12/27 10:32 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#181 [幸]
小早川君、ナイスだよ。
そう思った。



『悪いな、突然こんなことして。』

『ううん…』



暫く沈黙が続いた。

⏰:08/12/27 10:34 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#182 [幸]
『つばさのやつ、
鮎川の友達のこと…』

『え?まじ!?あきもなんだよ』



うわー両思いだったのかあ!!
小早川君と笑いあった。
彼の笑顔…好きだなぁ。

⏰:08/12/27 10:36 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#183 [幸]
って、何思ってんだ!?
私……。



『こんな俺だけど、
一緒にまわってくれる?』

『うん。』


嬉しいよ。小早川君。
こんなって言う、顕著
な所がもういい!!

⏰:08/12/27 10:38 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#184 [幸]
あなたのことが

好きです。



心の中でそう呟いた。





『ただいま〜』

って言っても誰もいない。

⏰:08/12/27 10:40 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#185 [幸]
夏祭りも終わり、
私は途中まで小早川君
に送ってもらった。


やばかったね。
いや、本当に。
私は部屋着に着替え
ベッドの上で携帯を持った。

⏰:08/12/27 10:42 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#186 [幸]
メール受信の音。
きたぁぁぁ!!


…ん?
あきだ。


私はあきからのメール
を読んだ。
最初は、途中で2人とも消える
からびっくりした
だって!!かわいい。

⏰:08/12/27 10:44 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#187 [幸]
そして最後の行には、
付き合ったっていう文字が…


うわぁ!!おめでとう!!




暫くあきとメールをしてた。

その内、寝てしまった。

⏰:08/12/27 10:46 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#188 [幸]
翌日。


父さんが電話だぞ。
と起こした。


『まじ!?誰から?』



私は目をこすりながら
聞いた。
父さんは低い声で

『警察から』


と言った。

⏰:08/12/27 10:47 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#189 [幸]
あの少年のことか。
私はそう思い、
電話を代わった。


『もしもし?』
『鮎川かなさんですか?』


『はい。』
『当時の様子を伺いたいので
〇〇警察署まで来て頂けません?』

⏰:08/12/27 14:36 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#190 [幸]
私はしぶしぶ返事をし、
洋服に着替えた。



カレンダーをふと目に
入った。
今日は日曜日。
だから父さんがいたんだぁ。

⏰:08/12/27 22:40 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#191 [幸]
『あの少年のことか?』

父さんが靴ひもを結ぶ
私にそう聞いた。



『うん…』
『お前の気持ちを伝えろ。
お前は母さんと違って
頭がいい。
相手を納得できるような
説明しろよ。』

⏰:08/12/27 22:42 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#192 [幸]
『わかった!!』


私は笑顔で家を出た。




警察は、あの少年をどうするつもりなのか?


そういえば、あれ以来
ニュースとか報道されてない。

⏰:08/12/27 22:44 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#193 [幸]
『鮎川さんですね?』


警察署に着いた。
私は警察の人たちと
一つの小さな部屋で
話した。


『あなたは、どこで
会ったんですか?』

『〇〇公園の近くの
路地裏です。』

私はあの日のことを
1から10まで話した。

⏰:08/12/27 22:47 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#194 [幸]
警察の人は、時々頷きながら
聞いてくれた。
この人は、きっと話を
ちゃんと理解してくれる。


そう感じた。



『あの少年がね、
なんで君が俺のこと
助けてくれたのか、
わからないって。
会ってみない?』

⏰:08/12/27 22:50 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#195 [幸]
『えっ?』
『自分の口から本人に
伝えた方がいいでしょ?』



何かが救われた気持ちになった。

彼に会えば、私の今までの
考えをかき消してくれるような
気がしたからだ。

なんのため勉強するか
という、難問に。

⏰:08/12/27 22:52 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#196 [幸]
『どうぞ。』


警察の人に案内され
前にあった椅子に座った。



あのドアの向こうに
彼が来る……



ガチャー

⏰:08/12/27 22:53 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#197 [幸]
彼が来た。


私はまじまじと彼の顔
を見た。
彼の顔は、あの日と同じ
目だけがギラギラしていた。



『なんで来たんだよ?』

⏰:08/12/27 22:54 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#198 [幸]
彼が椅子に座る当時にそう聞いた。


『私、あなたに言われてから
考えるようになった。
なんでT大学に行くのか。
またはなぜ勉強をするのか。
考えたけど、無理みたい。
私にはなりたい職業がない。
あれば、また違ってたかもしれないのに。』

⏰:08/12/27 22:57 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#199 [幸]
『まだ気にしてんのか?
忘れろ!!
俺は妬いてたんだ!
俺、受験なんてまだまだ
だけどK高校に行って
L大学に行って、心理学
を学びたかったんだ。
でも行きたくても
俺は無理なんだ。
金がないから…。

それなのに、夢も
学びたいこともない
あんたが大学に進学して
ずるいよ…
だったら、俺と交換しろよ。
そう思っただけだ。
だから妬いてただけなんだよ。』

⏰:08/12/27 23:02 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#200 [幸]
彼の声は…
震えていた。


悔しさがひしひしと
伝わってくる。



『俺のせいで、あんたが
苦しんだならごめん。
だから、もう俺にかまわなきて
いいよ。』

⏰:08/12/27 23:04 📱:W53H 🆔:nlA3ocY.


#201 [幸]
ねぇ…なぜ?
なぜあなたはそんなに……


『…我慢するの?』



かまわないでって。。
そんな嘘、誰だって見破れる。
あなたは本当は…


助けてほしいくせに。
なぜ我慢するの?

⏰:08/12/28 23:49 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#202 [幸]
『我慢なんてしてねーから。』

『嘘だ!!
我慢してる!!』



私は力強く言った。
彼は少し驚いていたが
また口を開いた。



『あんたに俺の何がわかるんだ?』

⏰:08/12/28 23:51 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#203 [幸]
まただ…


『我慢してるって、
世の中我慢しなきゃ
生きていけねーんだよ!!
俺は弟のことで何度も
耐えてきた。。
我慢すればこの苦しみから解放されるって
信じて……
障害者と関わりのない
あんたには俺の気持ちが分かるかっ!!』

⏰:08/12/28 23:53 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#204 [幸]
彼の声は部屋中に響いた。
また…震えてる声だった。




障害者と関わりのない?
そうか…だから私は彼の気持ちが
わからないのか。。。


だからといって、
私は彼をほっておきたくない。

⏰:08/12/28 23:55 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#205 [幸]
『なんで…面会に来たの?』



心細い声で彼が聞いた。

『なんで来たの?
ほっとけばよかったじゃねえか。
俺のことなんて…
ほっといて、大学に向けて
受験すればいいじゃねか。
あの時おにぎりを渡してくれた。
それだけで十分だ…』

⏰:08/12/28 23:59 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#206 [幸]
言葉がでなかった…
私はただ、おにぎりを
あげただけなのに。



彼がそこまで感動するとは
予想外だった。
今まで、優しくされたことが
なかったの…?
今まで、彼を誰も
支えてくれなかったの?
今まで、彼の周りにいた人たちは
何をしてたの?

⏰:08/12/30 00:13 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#207 [幸]
強く叫びたかった。
訴えたかった。




『ありがとう…』


彼はそう言って、
私の前から消えた…。

何が‘ありがとう’なの?
なぜあなたが感謝するの?

⏰:08/12/30 00:15 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#208 [幸]
疑問を持つだけの私。



警察の人が外にどうぞと
導いてくれた。
私は八つ当たりをしたのか、
思いっきりその警察の人
を睨みつけた。

⏰:08/12/30 11:26 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#209 [幸]
私はゆっくりと歩いて帰った。



彼を助けたい…
彼は被害者だよ。


頭を使え…
私は頭がいいんだから。


私は今まで以上に頭を
使った。
ひねった。考えた。

⏰:08/12/30 11:28 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#210 [幸]
なんで…!!

なんでわからないの?
私は頭良いって言われてきたのに。
なんで彼を救う方法を
考えられないの!?




自分を責めたい。
初めて思った。


私って…馬鹿なんだ。と

⏰:08/12/30 11:30 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#211 [幸]
学力がよくたって…
アイデアが浮かばなかったら
意味がないんだよね。



ははは…そうか……
だからなぜT大学に行って
何を勉強するのかも
わからなかったんだ。

⏰:08/12/30 11:33 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#212 [幸]
悔しい……
悔しい…!!!




私はその場にしゃがみこんだ。
涙がたくさん出てきた。
周りからどういう目で
見られてるかな?
変な人って思われてるのかな?

⏰:08/12/30 11:35 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#213 [幸]
ああ…そうか。
障害者って健常者から
‘変な人’って思われてるんだ。


だからその兄弟の彼の
ことも変だって、断定
するんだ。




はは…なんて虚しい。
悲しい。悔しい…。

⏰:08/12/30 11:37 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#214 [幸]
私は人目気にせずに泣いた。



すると、私の目の前に
ハンカチが出てきた。

私はびっくりして顔をあげた。



すると、優しい男の顔
が現れた。

⏰:08/12/30 11:39 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#215 [幸]
『……//』



恥ずかしかった。
思いっきり泣いてる顔を
しかもアップで…。



私はハンカチを取り、
『借ります。』


と言い、ハンカチを使った。

⏰:08/12/30 12:11 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#216 [幸]
男は私の髪を撫でながら
優しく微笑んだ。




何かに許された気がした。
何に?
わからないが、そんな気がした。

⏰:08/12/30 12:13 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#217 [幸]
私は立ち上がり、
優しい顔の男を見た。


私は男の優しさに吸い込まれそうだった。
すごい心が暖かい。



私は思わず笑ってしまった。
すると男は、私の顔を
一時見、歩いていってしまった。

⏰:08/12/30 12:17 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#218 [幸]
『あのぉっ、すみません!!』



大声で叫んだつもりだったが
聞こえなかったのか、
男は一度も振り返らず
そのまま歩いていってしまった。



ハンカチ…どうしよ。

⏰:08/12/30 12:19 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#219 [幸]
そのハンカチには、
独特な匂いがした。
柔らかく、私を包み込む
優しい匂い。




家に着いても私は
ハンカチから手放さなかった。

勉強するときも
かぎたくなったら
ハンカチをかいでいた。

⏰:08/12/30 12:23 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#220 [幸]
変態だ。私。
でもその匂いをかがないわけにはいかなかった。




私は予備校に行ってないので
わからない問題があったら、
学校に行き先生に聞いていた。

⏰:08/12/30 12:30 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#221 [幸]
私がだいたい学校に行く時間と
あの男に会った時間が同じだ。
だから少し早く家を出、
初めて会った場所で
ハンカチを持って待っていた。




しかし、ほぼ毎日来ても
なかなか男と会わなかった。

⏰:08/12/30 12:53 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#222 [幸]
夏休みの終わりの頃。
私はいつも通りの生活をしてた


流れてあった、あるニュースに
目が入った。



‘え―7才の女の子が
実の母親に殺害されました。
その女の子は小学校で
特別学級に通っており
母親は育てるのに
疲れたと述べていました’

⏰:08/12/30 13:00 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#223 [幸]
障害者……胸が痛かった。



最近、こんな事件ばかりだ。
健常者と共生なんて
できないのかな。


悲しくなってきた。

⏰:08/12/30 13:02 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#224 [幸]
あの少年はどうなったのかな?



私は学校に行ってから警察署に寄った。





私は彼と面会はせず、
彼の担当の警察の人に
話を聞いた。

⏰:08/12/30 13:04 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#225 [幸]
『彼はどうなるんですか?』


『一応、人殺したからね。』

『そんな…彼は母親の
ために…』


『相手は殺人犯だぞ?
そんなこといちいち
受けとめていたら私たちだってやっていけないよ。』

⏰:08/12/30 13:08 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#226 [幸]
『あなたの気持ち、
わからなくもないよ?』

『彼をそこまで追い詰めたのは
彼の周りにいた大人の
せいですよ!?』



私の声は震えていた。


警察の人は困っていた。

⏰:08/12/30 13:14 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#227 [幸]
『あなた、あの少年に
おにぎりを渡したんですよね?』



警察の人は困ってた顔から
何かをひらめいた顔に
変化した。


『はい…』
『あなたなら、心を開いて
くれるかもしれない。』

⏰:08/12/30 13:17 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#228 [幸]
『しかし、以前面会した時
かまわないでと言われた
ばかりなんです。
嘘だと感じるのですが…』


『はい、私どももそう思います。
私もあの時いたんです。
しかし彼、私と話す時
よりあなたと話す時の
方が話しやすいと思うのです。』

⏰:08/12/30 13:21 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#229 [幸]
ちょっと嬉しかった。
さらに警察の人は話し出した。


『私の考えでは、あの少年は
嘘をついている。』


『はい?』
『殺したのはあの少年
ではないと思うのです。』



想像もしてなかった。
そんなこと……

⏰:08/12/30 13:24 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#230 [幸]
『なぜ?』
『こちらの、犯罪心理学者が
鑑定したところ、
例え母親のためとは
言えども人を殺めた時
パニクるのですが、
あの少年はそのようなことを
しなかったのです。』



私は彼と初めて話したことを
思い出そうとした。

⏰:08/12/30 13:27 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#231 [幸]
……
あの出来事が走馬灯の
ように頭をよぎった。




『大丈夫かね?』

警察の人の声に我に返った。


『何か思い出したら
また来てくれるかな?』
『はい…』

⏰:08/12/30 13:30 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#232 [幸]
警察署に出た。
また暗い気持ちになった。



そして初めてあの男と
出会った場所に足を止めた。



この時間帯にいないよね。

⏰:08/12/30 13:36 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#233 [幸]
明けましておめでとうございます

⏰:09/01/04 15:06 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#234 [幸]
>>232つづき…



そう思い、家に帰ろうとしたとき
あの優しい匂いがぷ〜んと
匂ってきた。


胸が弾む気持ちになった。

⏰:09/01/04 15:08 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#235 [幸]
私は必死にあの男を探した。
ふと、あの匂いが私の前に来た。



……見つけた…。


『あっ、あの…』


声が小さいせいか、
なかなかこちらに気づかない

⏰:09/01/04 17:55 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#236 [幸]
『まっ、待って!!』


私はとっさにその男の腕を掴んだ。



男は驚いた顔でこちらを向いた。



……なんて綺麗な目。
見とれてしまう。

⏰:09/01/04 17:57 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#237 [幸]
『あっ、あのハンカチ
ありがとうございました。』


私はそう言い、ハンカチを出した。



男は微笑みながら、会釈した。



ど、どうする私?
こんな素敵な出会いは
めったにないぞ。

⏰:09/01/04 18:00 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#238 [幸]
このまま一気にメアド
を聞いてしまうか。
それともこの出会いは
これで終わりか!?

こんなのやだ!!


向こうから聞いてこないかなぁ。
でも向こうはそんな気ないよね。

あああ、やっぱり私から
聞いた方がいいよね

⏰:09/01/04 18:53 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#239 [幸]
『あの、メアド教えて
下さい!!』



うわ〜言った!!
…やっぱ無理かな。
初対面なのに教えてくれないよね。

⏰:09/01/04 18:57 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#240 [幸]
男の顔が赤くなったのがわかった。
そして男はバックから
ノ―トとボ―ルペンを
取り出し何か書き始めた。



‘僕は耳が聞こえません
こんな僕でもメールを
しても楽しいことないですよ’



えっ……

⏰:09/01/04 19:02 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#241 [幸]
↑すみません
‘こんな僕でも’
ではなく
‘こんな僕が’です

⏰:09/01/04 19:04 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#242 [幸]
男は悲しい顔をした。
私はノ―トとボ―ルペン
をその男から奪い、


‘それでもいい。
あなたとメールをしたいんです
あなたが嫌なら諦めます’


と、書いた。

⏰:09/01/04 19:07 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#243 [幸]
男はノ―トを読むと
悲しい顔から笑顔になった。
クシャッと笑った顔が
とても可愛く思った。




私たちは赤外線をし、
アドレスを交換した。

⏰:09/01/04 19:09 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#244 [幸]
そして彼は
‘これからバイトなので
これで。
またメールでね’


そう書き、走って行ってしまった。



その時また匂いがした。

⏰:09/01/05 00:19 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#245 [幸]
素敵……
なんて素敵なのかしら


その時メールが来た。




小早川君からだ。


えっ!?
なぜに!?

⏰:09/01/05 00:20 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#246 [幸]
‘メール遅れてごめんなぁ
小早川きいのアドレス
登録よろしくなぁ’



ああ、夏祭りの時
小早川君のアドレス聞いたなぁ。


私は了解とメールをし、
家へ帰った。

⏰:09/01/05 00:22 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#247 [幸]
私は家事を終わらせ
勉強をしてた。

11時に携帯の受信音が鳴った。


私は携帯を急いで見た。


‘よぉ。かなちゃん
よろしくなぁ!!’

⏰:09/01/05 16:37 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#248 [幸]
かなちゃんだってぇ!!
どうしよう!!


私は久しぶりに興奮した。



‘こちらこそ
バイトだったんですか?’

送信。

⏰:09/01/05 16:39 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#249 [幸]
‘そだよ。’



私は携帯が鳴るたびに
勉強を途中で止め、
メールに夢中になってしまった。


男の名前はかける。

かけるはずるい。
こっちが質問したくなるようなメールばかりだ。

⏰:09/01/05 16:41 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#250 [幸]
翌日。
午前中は勉強に集中し
午後は家事をしながら
かけるとメールをした。

メールで分かったことは
かけるはL大学生の1年生。


あの少年が行きたがっていた大学だ。

⏰:09/01/06 00:17 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#251 [幸]
私はL大学のことが気になった。


家事を終わらせ、パソコンで
L大学について調べた。


L大学は心理学の名門校だ。
心理学部だけ偏差値が高い。

⏰:09/01/06 00:19 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#252 [幸]
T大学と同じくらいだ。結構意外だ。



‘何学部なの?’

私はかけるにメールを送信した。


‘文学部だよ
一応小説家を目指してる’


と来た。

⏰:09/01/06 00:21 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#253 [幸]
小説家!?
凄い…と思った同時に
夢があるんだぁ、という
関心を持った。



そのメールの下の文に

‘かなちゃんは?
夢とかあるの?
K校だからありそう(笑)’


と書かれてあった。

⏰:09/01/06 00:23 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#254 [幸]
…ない。
ただ、こういう大人になりたいだけで
なりたい職業なんてない。



‘ないよ。早く見つけなきゃ!!’


と、送信。

⏰:09/01/06 00:25 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#255 [幸]
‘別に焦る必要ないよ
なりたいじゃなくて
興味のある職業とかないの?’




と、来た、


私はそのメールにすごく
励まされた。
また、別の観点から職業を
探すということに気づいた。

⏰:09/01/06 00:27 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#256 [幸]
私はメールを止め、
自分の興味を探した。


何が好きかな?
国語!?
いや、国語から職業探すの大変だろ。


いざ自分の興味は?
と聞かれると、なかなか答えられないもんだ。

⏰:09/01/07 23:57 📱:W53H 🆔:mOdiFZ8M


#257 [幸]
…そういえば
あの少年、心理学を
学びたいって言ってたな。
心理学ってなんだろ?



インターネットで調べてみるのも、
なかなかいい答えが見つからない。


そうだ。
L大学のオ―プンキャンパスに行こう。

⏰:09/01/08 00:00 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#258 [幸]
私は早速L大学の
オ―プンキャンパスの日程を調べた。




えっ……
もう、終わっちゃった…?


少しショックを受けた。

⏰:09/01/08 00:02 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#259 [幸]
夏休みも終わり2学期が始まる。



私は始業式当日早起きをし、
英語を勉強した。
そして朝ご飯を食べながら
テレビを見た。


星座占いが場面に出てきた

⏰:09/01/08 00:07 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#260 [幸]
‘てんびん座のあなた
2つの選択肢をちゃんと考えてから
選ぶようにしましょう!!’



私は腹が立ち、リモコンで
テレビを消した。

⏰:09/01/08 00:10 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#261 [幸]
テレビなんかに私の気持ちが
わかるか!!
こんな占い信じるか!!
信じてるから当たるもんなんだよ。
所詮、占いはそんなもんさ。



そう思い、家を出た。

⏰:09/01/08 00:11 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#262 [幸]
『鮎川!!』


歩いていると後ろから
声がした。


この声は…
『こっ小早川君!?』



『久しぶりだな。
祭り以来?』

⏰:09/01/08 00:12 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#263 [幸]
『そだね。』

『今月の模試、必ず
鮎川に勝つからな!!』


『こっちだって負けないよ』



元気のいい会話だった。
前まではこんなスラスラ
話せなかったのに。

⏰:09/01/08 00:14 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#264 [幸]
『最近、小早川君
みょうにかなに近づこうとしてない?』



教室に入った瞬間、
ちなみにそう言われた。

『だって、私のこと
ライバル視してるし。』
普通に答えると、
ちなみは驚いた顔をした。

⏰:09/01/08 00:16 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#265 [幸]
『な、なによ?』

『かな、もう好きじゃなくなったの?』



はい!?
私ちなみに、小早川君のこと
好きなんて言ったっけ?
いや、絶対言ってない!!

『…好きなんて言った?』


焦りながらも、
なんとかそう聞いた。

⏰:09/01/08 00:18 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#266 [幸]
『だいたい、かなの顔を見れば
わかるよ〜』



『そ、そう?』

私ってそんなに顔にだすタイプ?


『もう勉強一筋になったのか?
それか他に好きな人が…?』


ちなみはニヤニヤしながら聞いた。

⏰:09/01/08 00:20 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#267 [幸]
ちなみに好きな人と言われた時
脳裏に浮かんだのは
かけるだった…。

待て!!待て。私。
夏祭りのとき、小早川君が好きだって
思ったじゃん!!


もしかして…二股!?
私が!?


そう考える度に
あの占いが頭の中に蘇ってくる。

⏰:09/01/08 00:23 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#268 [幸]
『お〜い。
かな、大丈夫かぁ?』


『…ちなみ、私二股かも。』


『はぁ?』


私はかけるのこと、
夏祭りに小早川君と同行
したことをちなみに話した。

⏰:09/01/08 00:25 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#269 [幸]
『…匂いって、あんた
犬か?』




ちなみの第一声はそれだった。

そして、
『でも私、かなはその
かける君の方が好きだと感じる。
かける君のことを話す時
嬉しそうだし。
小早川君のことは…
なんだろ、先生って感じに聞こえる。』

⏰:09/01/08 00:29 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#270 [幸]
と、言われた。


それは言えてるかも。
私も納得してしまった。
気づいたらかけるのことを考えてる。
…一目惚れってやつ?



『そ〜いや、ちなみは?』


私たちは、恋愛話で盛り上がった。

⏰:09/01/08 00:31 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#271 [幸]
『陸ったらひどいんだよ?』



…どうやら陸君はベ―ジェクト病ではなかったらしい。

ちなみが勉強ばかりだから
恋に関わる心理テストをしたらしい。


そして、それがこれか。
これは心理テストって言えるのか?

⏰:09/01/08 00:35 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#272 [幸]
まぁ陸君、無事でよかったよ。



…心理テスト…
そうか、それだけで人の心が分かるんだ!!

やばい!!
おもしろい!!



私は始業式が終わった後
資料室へ向かった。

⏰:09/01/08 00:38 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#273 [幸]
そこに、私の親しみのある先生がいるからだ。



『先生〜?高城先生!?』

3回目でやっと返事がした。
声の高い、男の先生が
やってきた。

⏰:09/01/08 00:41 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#274 [幸]
私は心理学について話してみた。


『心理学に興味を持ったか〜』

先生は困った顔をした。

『鮎川、お前は馬鹿じゃない、
心理学で最も有名な大学
調べたろな?』

『L大でしょ?
なんで?そこの大学やばいの?』

⏰:09/01/08 00:45 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#275 [幸]
『ん〜お前も知ってると思うが
うちの高校は進学校なの。
そんなL大に合格したって
なんの得にもならないんだよ。』



『でも心理学部は凄いじゃん!!』

『大学生からすればな。
だが中学生の受験生が
L大に合格って格下
だと思われるだろ!!』



先生の言い方に憤りを感じた。

⏰:09/01/08 00:49 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#276 [幸]
『私は心理学を学びたいの!!
T大はL大より特別
よくないじゃん!!』


『お前はT大に受かる
ためにこの高校に来たんだろ!?』




凄く胸に響いた。
そうだ…T大に行くために
来たんだ……。

私は無言で資料室から出た。

⏰:09/01/08 00:52 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#277 [幸]
…夢…
私は夢なんてない。
しいて言えばT大に合格
することだなぁ。

なんてちっぽけな夢。
その先の事も考えずに。


私って…本当に馬鹿だなぁ。

⏰:09/01/08 00:55 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#278 [幸]
『鮎川…』


私が資料室から出て
廊下を少し歩くと
小早川君が立っていた。


『こ、小早川君…』
『お前、L大に行きたいの?』


予想外の質問をされた。
私は驚き何も言わずに歩こうとした。

⏰:09/01/08 17:57 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#279 [幸]
『待てよ!
なんでL大なの?
T大は?』



ここで何か言わなきゃ
前に進まないような気がした。

『わ…私、心理学を学びたいの。
だからT大止めようかなって…。』

⏰:09/01/08 17:59 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#280 [幸]
『なんだよ、それ。
みんなお前を目指して頑張ってきたんだよ!?

鮎川はいつも1番だから
俺のいや、みんなの目標なんだよ?』



小早川君の声はいつもより
低かった。
それがとても怖かった。

⏰:09/01/08 18:02 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#281 [幸]
『私ね、夢なんてない。
だからT大に行っても
何を勉強すればいいか
分からなかったの。

でも、心理学に興味を持ったの。
だから大学に行ったら
心理学を勉強したいの!!
T大よりL大の方が心理学は有名なの。
だから…』



小早川君…!?
私がまだ全部を話してないのに
気づいたら小早川君の腕の中にいた。

⏰:09/01/08 18:06 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#282 [幸]
『こっ…小早川君…?』



突然の包容に驚愕してしまった。

私はどうすればいいか分からず
ただ、ここに人が来ないようにと
祈っていた。

⏰:09/01/09 16:30 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#283 [幸]
『あっ…悪い…』

小早川君はそう言うと
スッと立ち去った。




…はっ初めて抱きしめられた!
あの小早川君に!?

小早川君、身長大きいから
私の顔が丁度小早川君の胸あたりだったなぁ


…かけるだったら―…?

⏰:09/01/09 16:33 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#284 [幸]
って。
何かけるのこと想像してんだよ?
私……。





翌日。
気が晴れないまま学校に登校した。

⏰:09/01/09 16:35 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#285 [幸]
確か…5時間目が始まる休み時間だった。



『鮎川!!』

うざい担任に呼ばれた。
どうやらあの少年と
警察が来てるらしい。


なぜわざわざ学校に来るんだよ?
私はそう思いながら
校長室に向かった。

⏰:09/01/09 16:37 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#286 [幸]
校長室に入ると、
3人の警察と少年、
高城先生と教頭先生がいた。



私は昨日のことを思い出し
高城先生の顔をあまり見れなかった。


『たびたびすみません。』

⏰:09/01/09 16:39 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#287 [幸]
そう言ったのは、
私が夏休みに警察署に行った
あの雰囲気のいい警察だった。

⏰:09/01/09 16:40 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#288 [幸]
『いえ、この度はどういう用件で?』


丁寧に聞くと、
少年が

『最後にあんたに
お礼を言いたいんだ。』
と、ギラギラした目で言った。


『最……後?』

⏰:09/01/09 16:47 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#289 [幸]
『ええ、この子は
田舎に預けられること
になったんだ。
精神的なこともあるし

それに親戚の人はみな……』




言葉が出なかった。

すると、
『2人で話したい。
席を空けてくれ。』


少年はそう言うと、
校長室に私と少年の2人きりになった。

⏰:09/01/09 16:50 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#290 [幸]
『…田舎に行くの?』


私から最初に切り出した。

『ああ。』
『なぜ?父親は?』


少年は暫く黙っていた。

⏰:09/01/09 16:51 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#291 [幸]
『…父親1人じゃ、
俺を育てる自信がないんだと。

だから寺のお坊さん?
みたいな人に預かって貰えるんだ。


一回、面会した時
すんげぇ感じのいい人でさぁ。』


最初はイキイキして話していたのに
最後は悲しげな口調になった。


『…私もね。あなたに
お礼言いたいんだ。』



話しをずらした。

⏰:09/01/09 16:55 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#292 [幸]
『お…俺に?』


少年は嬉しそうな、
驚いているような声をだした。


『私ね、興味を持つようになったの。』

『興味?』
『心理学に。』


少年は“おおっ”と
声をあげた。

⏰:09/01/09 16:57 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#293 [幸]
『心理学を勉強したら
人のちょっとした行動で
相手の気持ちが分かるようになるんだよ?
私、そう思うともう
ワクワクしちゃって…

まだ将来の夢は決まってないけど
興味のあるものを勉強して
それに導くような職に就きたいの。』



少年の顔が少しだけど
笑った。

私もつられて笑ってしまった。

⏰:09/01/09 17:00 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#294 [幸]
『…なぁ、前から聞きたかった。
なんで俺を助けたの?』

『…わかんない。』



私は笑顔で答えた。


『はっ?』

⏰:09/01/09 17:01 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#295 [幸]
『その質問にはまだ
答えられない。』


すると少年はふっと
鼻で笑い、

『じゃあ、また今度聞くよ。』

と言った。

⏰:09/01/09 17:03 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#296 [幸]
沈黙が漂った。
私は何か話そうと思ったが
なかなか話題が出てこない。



『俺…』

少年はいきなり
こう言った。

⏰:09/01/09 17:05 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#297 [幸]
『本当は行きたくない…
ここを離れたくない…』


少年の目には涙がたまっていた。

私はいたまれない気持ちになった。

⏰:09/01/09 17:07 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#298 [幸]
『こんなこと言うの
勝手だけど…
また家族揃って一緒に生きたい…

ただそれだけなのに…
当たり前のことなのに

俺が弟を殺さなければ
家族、バラバラにならずにすんだのかな?

俺は…あの時の俺は
ただ、母さんを守りたかったのに。
実際、守れてなかった…。』



『なんで、あの日殺そうと…?』


私はそう質問した。

⏰:09/01/09 17:10 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#299 [幸]
母さんのため…
もし、それが本当なら









弟を殺せるはずがない。
前にあの警察の人が言ってた…
この少年は殺してないかもと。

⏰:09/01/09 17:12 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#300 [幸]
“実際、母さんを守れてない”

少年はそう言ったよね?
殺すことによって
お母さんが救われるなど
思わないはずだ。



私は一番最初に会った
少年の話しを思い出した。

⏰:09/01/09 17:14 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#301 [幸]
……。
もしかしてこの子…。



『私もね、前から聞きたかった
ことがあるの。』

『なんだよ…?』


『あなた、本当に弟を殺したの?』



少年は驚いた顔で私を見た。

⏰:09/01/09 17:16 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#302 [幸]
『…だからここにいるんだよ』


『母さんのため…?
笑わすなよ。
弟を殺した方が…『俺が殺したんだよ!!』


少年はそう言い張った。

『ねぇ、正直に話せば?
お母さん、あなたが
行きたくない場所に
行かせる方がより嫌な思いするよ?』

⏰:09/01/09 17:44 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#303 [幸]
私がそう言うと
少年は大粒の涙を流した。


少年の涙はとても綺麗だった。


『あなた、私と一番最初に
会った時、なんて会話したか
覚えてる?

“あの日だけ、弟を叱る
には殺気を感じた”って
言ってたよね?』

⏰:09/01/09 17:47 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#304 [幸]
『…止めろ』


弱々しく少年はそう言ったが
私は話しを続けた。


『本当は、お母さんが
弟さんを殺害して、
あなたはそれを…
『やめろって言ってんだろ!!』



やはり少年でも男だ。
声変わりをしている、
低い声。
その低い声で怒鳴られると
余計に怖い。

⏰:09/01/09 17:50 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#305 [幸]
『…これ以上、母さんを
苦しまないでくれ…
もう十分苦しんだよ。

弟が産まれて、
自分の両親や夫にも
見捨てられ、ボロボロ
になっていく母親を
もう…

見たくないんだ…。
母さんは頑張ったよ。
頑張って子育てしたよ。』



これが優しさというの?
…言うんだよね
この少年にとって…

⏰:09/01/09 17:55 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#306 [幸]
さらに少年は話を続ける。


『…あんたは身近に
そういう人いないだろ?
だから綺麗事が言えるんだよ。


あんたさぁ、“障害者独立支援法”って
知ってる?』

⏰:09/01/09 17:58 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#307 [幸]
授業で聞いたことがあった法律だ。


『障害者のカ―ドを
健常者が悪用して
お金を取らせないようにするために
作られた法律…。』

『表向きはな。
でも実際、全く違うんだよ。』

⏰:09/01/09 18:00 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#308 [幸]
『どういう意味?』




少年は私の顔をじっと見つめた。

『あんたが言う通り
障害者手帳って言うんだけどね、
それを使用禁止とか
言われたら障害者はとても困ってしまうんだよ。』


『例えば?』

⏰:09/01/16 11:46 📱:W53H 🆔:pMK1Q/zQ


#309 [幸]
『ん―、例えば
耳の不自由な人がさぁ
普通に今まで通り
一定の給料を貰って
働いてたとするじゃん?
それがさぁ、給料が減らされて
しまうんだよ。』



私の胸に何か重りが乗ってるみたいな気分だった。


支援っていう法律なのに
全然支援になってないじゃん。

⏰:09/01/16 11:51 📱:W53H 🆔:pMK1Q/zQ


#310 [幸]
『なんで…?』

こんなこと、授業や
参考書などに載ってるはずがない。
私が知るはずない!!


そう思ったが、


『…ニュース見てないの?』


少年にそう言われ、
気づいた。

⏰:09/01/16 11:53 📱:W53H 🆔:pMK1Q/zQ


#311 [幸]
『障害者が働いている
会社に政府はお金を
余分に与えてるんだ。
ここの会社はバリアフリー
だから…みたいな…

だけど今まで通り与えてた
お金が減らされたんだ。
だから給料も減らされて…

今、“この法律を撤廃せよ”って
デモ行進がすごいじゃん?』



授業でやってなくても
テレビや新聞を見れば
分かるんだよ…。

⏰:09/01/16 11:57 📱:W53H 🆔:pMK1Q/zQ


#312 [幸]
ははは…
私は世の中のこと
全然わかってないじゃん。


じゃあ、なんのために
勉強してたの?
受験するため?

じゃあ、今まで勉強してたことは
世の中に全く通用しないってことなの……?

⏰:09/01/16 11:59 📱:W53H 🆔:pMK1Q/zQ


#313 [幸]
『ねぇ。』


少年が話してきた。

『なんで母さんが弟を
殺したと思ったの?』



『…そう思ったから。』


私は一切、警察の人と
話したことを言わなかった。

⏰:09/01/18 11:41 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#314 [幸]
『証拠がないのに?』



『証拠があれば認めるの?』


『世の中そうだろ』



…やはり母親が……

暫く沈黙が続いた。

⏰:09/01/18 11:43 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#315 [幸]
『おい、もうそろそろいいか?』



警察の声で少年は
深々とおじぎをし、
部屋を出て行った。



私たちは、少年がここから去るのを
見てるしかなかった。

⏰:09/01/18 11:46 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#316 [幸]
『先生―…』


隣に立っていた、高城先生に
話をかけた。


『同じ人間なのに
なぜこんなに差があるのですか?』



答えがほしい…
答えが。

⏰:09/01/18 11:48 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#317 [幸]
『簡単だよ。
それはね、平等じゃないからだよ。』


『えっ?』



高城先生は悲しそうに笑った。



丁度そこで運よく
5時間目の始まりの鐘が鳴った。

⏰:09/01/18 11:50 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#318 [幸]
平等……
昔は身分の差別があった。
今は昔よりはそれがなくなった。



でも金持ちとの差が激しい。
それは資本主義社会だから。


じゃあ‘子供’は?
障害者の子供がいると
いないだけで
こんなにも差があるのか?

⏰:09/01/18 11:53 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#319 [幸]
…おかしいね。
子供はみんな同じなのに。




授業なんて受けたくなかった。
授業中、それしか考えなかった。

⏰:09/01/18 11:55 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#320 [幸]
『あっ鮎川!!』




帰り道、小早川君に声をかけられた。

『なに?』



『俺さぁ見ちゃったんだよね。』

⏰:09/01/18 11:57 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#321 [幸]
『何を?』
『あの少年。テレビで
やってた。
障害の弟を殺害したんだろ?

なんでそいつが鮎川に?』




小早川君ならどうするかな?
この難問をあなたなら
解いてくれるのかしら?

⏰:09/01/18 12:00 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#322 [幸]
『障害者なんていなければいいのに…』



小早川君はあまりにも
サラッと言ったから
私は‘もう一回言って’と
言いたくなった。


『…なんで……?』


いなければいい…
つまり、死ねっていうこと?


死ねって、そんなに
サラッと言うもの?

⏰:09/01/18 12:55 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#323 [幸]
『その少年だって
障害者がいるから殺害
したんだろ?

じゃあ、いない方がましだよ。』



私は何も言えなかった。
さらに小早川君の話しは続く。

⏰:09/01/18 12:57 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#324 [幸]
『障害者を支えなければ
いけないじゃん?
俺ら……いや、働いてる人は。


しかも今は障害者の数が
増えてるしね。
真面目に働いてる人は
これから大変になる。
障害者の他に高齢者もいるしね。

負担者を殺害すればいいのに。

そうすれば、不景気の時
障害者も高齢者も苦しまないじゃん?』




小早川君がこういう考えを持ってたんだ…。

⏰:09/01/18 13:00 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#325 [幸]
『そ…それじゃあ
憲法に反する!!
25条の生存権に……』


何か言い返したかった。
そうしなければ
小早川君の言うことを
納得してしまう自分が
怖かったからだ。

⏰:09/01/18 13:03 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#326 [幸]
『綺麗事なんだよ…
憲法に反することとか…
今まで日本はしてきたから。
てか、時には破らなければ
どうにもできないことが
あるだろ?

世の中は全て綺麗事じゃ通らないんだよ!!』




…これが…現実か…
私は‘ごめん’と言い
その場から走り去った。

⏰:09/01/18 13:07 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#327 [幸]
想像しなかった。
小早川君があんな事を
言うなんて……

死ねだなんて…。



お腹の中にずうっと
育てられ、生まれたら
障害を持ってたら
殺せ………

なんて勝手なんだよ…

でもそれに対して何も言えない
私はもっと……

⏰:09/01/18 13:10 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#328 [幸]
死角の曲がり角を曲がった時、
走ってたせいか、激しく
ぶつかった。




おでこを触ると
漫画のたんこぶのように
腫れていた。

いったぁ…
涙がでてきた…


なぜだろう。
おでこより胸が痛いのは。

⏰:09/01/18 13:13 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#329 [幸]
‘会うたびに泣いてるね’

そう書かれたノートが
目の前に現れた。



顔を上げてみると
かけるがいた。

恥ずかしくなって
下を向いた。

⏰:09/01/18 13:15 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#330 [幸]
ひょいと、かけるの顔
が現れた。


びっくりして、一歩退いた。



普通人が下向いてる時
覗くかぁ!?

私がそう思っていると、
ノートがでてきた

⏰:09/01/18 13:18 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#331 [幸]
‘すごいたんこぶだね
どうしたね?’


……
あんたのせいだ!!


と、私は乱暴に書いた。

するとかけるは
自分の手提げの袋をあさり、

‘ああ、楽譜かぁ。
いやぁごめん。’

⏰:09/01/18 13:20 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#332 [幸]
と、ノートに書いた。



楽譜……
ピアノ弾けるのかな…?

そう思った。
するとかけるは私の手を掴み、

‘ついて来て’
と口パクで言った。

⏰:09/01/18 13:22 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#333 [幸]
タッタッタッ…
走る音。

私はおどおどしながらも
かけると走った。



なぜか周りのことなど
気にしなかった。
2人だけの世界にいるみたいだった。

⏰:09/01/18 13:25 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#334 [幸]
知らないレストランに入った。
そこは高級感が溢れてた。


すると、40代くらいの
男性が出てきた。

『やあ、かける君。
ん…隣の女の子……
もしや…』


男性は手話をしながら声をだして話した。

⏰:09/01/18 13:27 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#335 [幸]
‘まさか’


かけるは手話でそう言った。
当時、手話もできない私には
なんて言ったのか
全く分からなかった。



『すごいたんこぶだね。
かけるくん、女の子には
優しくしなきゃ。』


そう男性が言った。


‘俺のせいじゃない。’

⏰:09/01/18 13:30 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#336 [幸]
『でも、手当てぐらいは
してきなさいよ。』


‘もうすぐ仕事なんだよ
だからじじさんが代わりに
手当てしてよ’


『そのためにこの子と
一緒に来たのかよ。』


‘まあね、
じゃあ着替えてくる’

⏰:09/01/18 13:32 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#337 [幸]
かけるは楽譜を持って
奥の方に行った。


『やあ、いらっしゃい
さっき手話でね、
かけるに手当てしてって
頼まれたから手当てするか。』



男性はそう言うと
救急箱を取り出し
私のおでこに湿布を貼ってくれた。

⏰:09/01/18 13:34 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#338 [幸]
『じゃあ、これで失礼します。
湿布、ありがとうございました。』


私はそう言うと、


『せっかくだから
かけるのピアノ聞いたら?
かけるのピアノは凄いよ〜

それに、俺の楽譜が
あなたに傷を負わし
ちゃったからお詫びに
おごってあげるって。』

と男性が言った。

⏰:09/01/18 13:47 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#339 [幸]
ピアノ……
するとかけるがス―ツ
みたいな洋服を着、
楽譜を持って現れた。




そして優しく、強く
弾いた。

レストランの中にいた客は
ゆっくり、その音楽に
耳をすましていた。


『きれぃ……』



思わず口に出した。

⏰:09/01/18 14:04 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#340 [幸]
『かけるは一時期、
音大にスカウトされたんだ。

でも、小説を書きたいって言って
音大を蹴ったらしいよ。
ちなみにこの曲は
かけるが自分で作曲した…
“耳なしほういち”だよ』



『そうなんですか…』

⏰:09/01/18 14:08 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#341 [幸]
男性がこれしき何も
言わずに仕事をした。


ああ、なんて綺麗なのだろう。

私の濁った心が綺麗に
洗い流されるよいな…



私はずうっとこの曲を聞いていた。

⏰:09/01/18 14:10 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#342 [幸]
『何時まで平気なの?』

男性がそう聞いた。
この声に我に返った。

気がつけば7時を回っていた

『あっ…まぁいいや…』


私はそう言い、
同時にここでご飯を食べたら
帰ろうと思った。

⏰:09/01/18 14:12 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#343 [幸]
『はい、これかけるの
大好きなもの。
ちなみにかけるのおごり。』



そう男性に言われたので
一応男性にお礼を言い
食べた。

⏰:09/01/18 14:15 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#344 [幸]
『やぁかける、ありがとね。
今日はどうしても耳なしほういち
を聞きたいって客から
リクエストされたからね』



私は料理の半分食べ終わると
かけるがやってきた。


‘この時間帯ならなんとか’

⏰:09/01/18 18:04 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#345 [幸]
『でも、もうすぐ大学の
テストじゃないのか?』

‘なんとかなるよ’




かけるは私の隣に座り

‘かなちゃんはいつテストなの?’


とノートに書き、見せた。

⏰:09/01/18 18:07 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#346 [幸]
『私はまだ先だよ』

と言い、書いた。



‘へえ―’


かけるは私の食べてる
残りのご飯を見た。
そして

‘これおいしいだろ?’

と言った。

⏰:09/01/18 18:10 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#347 [幸]
『うん、ありがとね。
なんかおごらせて貰って。』



するとかけるは驚いた顔をした。

そして男性に手話で話しかけた

‘おい、じじさん!!’


『それくらいいいだろ』


男性はそう言いながら笑っていた。

⏰:09/01/18 18:13 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#348 [幸]
『では、今日はありがとうございました。

おいしいご飯に綺麗な音楽。
最高でした。』


私は食べた後、そうお礼した。



『1人で帰るの?
危険だよ。
かける送ってあげなよ。』

男性は手話をしながら
そう言った。

⏰:09/01/18 18:23 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#349 [幸]
‘えっ?なんで俺!?’


『お前が連れてきたんだろ。

借りたものは返すんだよ。』


‘しょうがねぇなあ。’


次にかけるはノートに

‘俺が食べ終わるまで
待ってろ’

と書いた。

⏰:09/01/18 18:25 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#350 [幸]
『そんな、平気だよ』


私はそうノートに書いたが
押しに弱い私はかけるに
送ってもらうことになった。




内心、嬉しかったかも。

⏰:09/01/18 18:27 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#351 [幸]
2人だけでいると
周りの雑音が大きく聞こえる。



“なんで泣いてたの?”

かけるは自分の携帯で
そう打ち、私に見せた。

私は言いたくなかったので
下を向いた。

⏰:09/01/19 12:48 📱:W53H 🆔:stkJuNbg


#352 [幸]
“言いたくない?”



本当にかけるはずるい。
そんな顔で聞かれると
言うしかない。


『13才の少年が障害の弟を
殺害した事件を知ってる?』


と聞いた。

⏰:09/01/19 12:51 📱:W53H 🆔:stkJuNbg


#353 [幸]
“ああ〜あの事件がどうかしたの?”


私は少年のことを話した。

かけるは私が打った文字を
黙って読んだ。

⏰:09/01/19 12:54 📱:W53H 🆔:stkJuNbg


#354 [幸]
“君が泣く必要ないよ
君のせいじゃないから

君は自分がやりたい事をすればいいんだ。”



とても嬉しかったが
私は納得できなかった。

『私ね、夢とかないんだ。
だから人のためになる仕事をしたい…

でもこんな私でも心理学
に興味を持ったの
だから心理学に関わる仕事をしたいんだ。』

⏰:09/01/20 12:54 📱:W53H 🆔:k.nwwmC2


#355 [幸]
するとかけるは私の前に立った。

いつもの優しい顔ではなかった。
見下ろして私を見てたから
余計怖かった。




“かなちゃんは人のために
生きてるの?
違うだろ。”


胸がズ―ン…と鳴ったみたいだった。

⏰:09/01/20 12:59 📱:W53H 🆔:k.nwwmC2


#356 [幸]
図星だったからだ。



かけるは私の本当の気持ちを
察してくれた。

⏰:09/01/20 13:03 📱:W53H 🆔:k.nwwmC2


#357 [幸]
自分も認めたくはないが
そうだと思った。



でも知られたら無性に
腹が立ってきた。
私の何を知ってるの?

何も知らないくせに…

⏰:09/01/21 17:33 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#358 [幸]
『私の勝手でしょ…
これは私の勝手な生き方なの!!』



知ったような口調で言わないで…


“俺は思ったことをただ…”



かけるは驚いてた。
そりゃそうだよね。

⏰:09/01/21 17:35 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#359 [幸]
『…ごめんなさい。
ここでいいよ。
家近いし。
じゃあ、ありがとう。』


そう言って私は走った。

母さんのため…
私は母さんのためにT大
に行こうとした。

自分の人生なのに…。

⏰:09/01/21 17:38 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#360 [幸]
“人ために生きてるの?”


その言葉が邪魔で仕方なかった。




私のこと何も知らないくせに…

私は暫くそう頭で言い続けてた。



すると、あの少年が脳裏に浮かんだ。

⏰:09/01/21 17:40 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#361 [幸]
あっ…
あの少年も私に言われた時
そう思ったのか…。


何も知らないくせに…



今の私と同じ気持ちだったのね。

⏰:09/01/21 17:42 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#362 [幸]
家に帰っても誰もいない。


ついこの前は母さんが
笑ってたのに。




RRR…
突然、電話が鳴りだした。

その音で、母さんの笑顔が
私の頭から消えた。

⏰:09/01/21 17:45 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#363 [幸]
『もしもし?』
『おう、鮎川か!?』


この声は……


『高城先生?
どうしたんですか?』

『L大に行きたいんだろ?
あそこはお前の嫌いな
生物重視だから勉強しときなさい!!』

⏰:09/01/21 17:47 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#364 [幸]
『高城先生……』
『私もね、鮎川と同じ
夢がなかった。

でも、名の知られてる大学さえ卒業すれば
就職するとき、
就職する範囲が広くなるだろ?

でも、鮎川は夢ができた…。
その夢に向かって頑張りなさい。』



…先生……。

⏰:09/01/21 17:50 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#365 [幸]
『はい、ありがとうございます!!』



私は思わず体を深々と下げた。


『諦めるなよ?』
『はい!おやすみなさい』



生物かぁ〜
頑張ろう!!

⏰:09/01/21 17:52 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#366 [幸]
電話を切って、
早速生物を勉強しようとした。



『かな、電話で頭下げても
相手には見えないよ。』
いきなり父さんが現れた。

⏰:09/01/21 17:53 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#367 [幸]
『いつからいたの?』

『今さっき。
ご飯は?』



あっ……
『ごめん、作ってない。』

『え〜』

⏰:09/01/21 17:55 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#368 [幸]
翌日。

『え〜次の模試のため
この時間に志望校を
記入して。』



HRの時、先生にそう言われ
私は第一志望校をL大にした。

⏰:09/01/21 17:58 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#369 [幸]
『おい鮎川。』


休み時間、担任の先生に呼ばれ
相談室に入った。



『お前の頭ならT大に行ける。
なぜL大なんだ?』

こいつは高城先生みたいに
理解してくれなさそう…。

⏰:09/01/21 18:01 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#370 [幸]
『心理学を学びたいんです。』


でも、一応説明をした。


『心理学ぅ!?
まぁ、あそこは有名だからな。
でも心理学ならT大にもあんだろ。
T大じゃダメなの?』

⏰:09/01/21 18:03 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#371 [幸]
『だってL大の方が有名だもん。』


『あのな!!もし論文で
聞かれたらそう答えるのか?』



『論文?』
『あそこは国語がない
代わりに論文なんだよ。』



えええ!?

⏰:09/01/21 18:05 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#372 [幸]
『調べとけよ。
狙ってんだろ?』


『はい!!』



結構理解してくれるじゃん!!

うれしくなった。

⏰:09/01/21 18:07 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#373 [幸]
放課後だった。
ちえみがいつもと違う
雰囲気で私に話しかけたのは…。



『なに?』

私は屋上に呼ばれ
重たい足で登ってきた。

⏰:09/01/21 18:13 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#374 [幸]
『かな…T大に行かないの?
なんで!?あんなに行きたがってたじゃん!?』



『T大より、行きたいと
思った大学があったから…。』


ちえみは何かを言いたさげな表情だった。

⏰:09/01/21 18:15 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#375 [幸]
『ちえみ……?』


『私、かなは羨ましいと思ってた。
いや、嫉妬してた…。

頭いいし、家族仲いいし、運動凄いし…

だから勉強だけは負けたくなかった。
でも、私がどんなに努力しても
かなにはかなわなかった。』


嫉妬………
そんなこと思ってたの?

⏰:09/01/21 18:19 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#376 [幸]
『かなを目標として
今まで勉強してたのに
そのかながランク下げてL大…?
なめてんの?


L大はT大と違って
倍率が低いから入りやすいんだよ。
だからかなならすぐ受かるわ。』



『ちえみはいいよね…。』


言われっぱなしの私じゃない。
言い返してやった。

⏰:09/01/21 18:24 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#377 [幸]
『ちえみは夢があって、
自分の夢のためにT大
を目指して…
でも私は違った。

自分のためにT大を目指してた
わけじゃないの。

でも、ようやく夢見つかったの。
私はその夢のために
L大に行くの。
別に逃げ出したわけじゃないから!!』



ちえみはさらに怒り出した。

⏰:09/01/21 18:28 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#378 [幸]
『私も看護という夢があるわ!!
でもT大を受験する…

私はね、かなと違って
小、中、高ってスライドだったの。

だからT大に入らなきゃいけないの!!』



『でも大学を選ぶにも
最優先したのは小さい頃からの
スライドでしょ?』


外は日が暮れてて
鳥が1羽、速く飛んでいた。

⏰:09/01/21 23:19 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#379 [幸]
『なっ……』
『ちえみはそこまで
看護婦にはなりたいとは
思ってないんじゃないの?』




ここで、こんなところで
友情ってなくなってしまうもんなのかな?

⏰:09/01/21 23:24 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#380 [幸]
かと言って、
ここで私が謝ったら
さっき言ったことが
説得力ないって思われそうだったから

何も言わず去った。




……意見が違うって
大変なんだなぁ。

⏰:09/01/21 23:25 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#381 [幸]
もし、この出来事で
前みたいに話せなくなったら
どうしよう。。。
でもちえみはそんな奴じゃないと思うけど。




かけるも、小早川君も…
なんか最近、ケンカばかりだなぁ。

⏰:09/01/21 23:27 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#382 [幸]
そんなことを考えながら
図書館に行った。



1時間勉強したが、
いつもより集中できなかった。

気晴らしに本を読もうとした。

⏰:09/01/21 23:32 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#383 [幸]
すると“手話”という
文字が見えた。


手話……
手話をできるようになったら
かけると話せる…。



私が振った話のせいで
ケンカになったんだから
私から謝らなきゃ。

⏰:09/01/21 23:33 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#384 [幸]
さっそく席に着き、
やってみた。



おはようございます
こんにちは
さようなら


日常会話をまず覚えよう。

⏰:09/01/21 23:35 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#385 [幸]
私は手話に没頭してしまい、
どんどんページをめくった。



すると、“好き”という文字が目に入った。



こうやって告白するんだなぁ…
と、改めて理解できた。

⏰:09/01/21 23:37 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#386 [幸]
“好き”という言葉は
〜したいという言葉と
同じ動作をする。



へぇ〜…
じゃあもし私がかけるに
告白するとき………


って、私何考えてんだっ!?

⏰:09/01/21 23:38 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#387 [幸]
とりあえず、この本を
借りようと思い、
席を立ったとき

小早川君が私の後ろにいたことに気づいた。




『あっ…鮎川…』
『へっ?』

⏰:09/01/21 23:40 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#388 [幸]
『何してんの?』
『えっ……あっ、そ…』


どうやら私は変な行動をしてたらしい。


私はその本を借り、
小早川君と一緒に帰った。

⏰:09/01/21 23:41 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#389 [幸]
『鮎川!!』


沈黙の中、切り出したのは
小早川君だった。



『この前はごめん!!
俺……』

『違うの…私の方こそ
ごめんなさい…。』

⏰:09/01/21 23:43 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#390 [幸]
『人の意見を勝手に
拒否って…
私の意見が正しいわけじゃないのに。』



そう言って私は歩き出した。

すると小早川君は笑顔で

『これで仲直りだな』


と答えた。
私も笑顔で返事した。

⏰:09/01/21 23:45 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#391 [幸]
『あのさぁ、手話の本を借りて
習得したいの?』



小早川君の突然の質問に驚いた。
でも、なんとか答えた。

『うん、勉強の気晴らしに
手話の本を読んで
日常会話くらいは覚えたいの。』


『なんで?』
『手話で話したいから!!』

⏰:09/01/21 23:48 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#392 [幸]
私は笑顔で言った。


『……誰と?』




小早川君は足を止めて聞いた。


『ん〜私が怪我をした時
ハンカチをくれた人と。』



さすがに本当のことは
言えなかった。

⏰:09/01/21 23:50 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#393 [幸]
『そっかぁ。』


小早川君は再び歩き始めた。



そして、そのまま別れた。

ふと携帯を見てみると、
メールが来ていた。

⏰:09/01/21 23:52 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#394 [幸]
相手はかけるだった。



“今すぐあのレストランに恋。”



うれしかったが
なぜ来いっていう字が恋なんだか。

私は急いでレストランに向かった。

⏰:09/01/21 23:55 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#395 [幸]
『はぁはぁはぁ…。』



レストランの看板には
“準備中”と書いてあった。


私は気にせずに入った。


『やぁ、かなさん。
いらっしゃーい!!』

と、またあの男性がいた。

⏰:09/01/21 23:56 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#396 [幸]
『かけるに呼ばれたんですけど…』


『かけるが聞いてほしいって。』




奥を見ると、かけると
目があった。

その途端、ピアノの演奏が始まった。

⏰:09/01/21 23:59 📱:W53H 🆔:M3EENPQc


#397 [幸]
とても綺麗だった…
イライラしてた気分が
一気に忘れさせてくれる。


かけるのピアノ好きだなぁ。




かけるのピアノは
どこまでも続いていた。

⏰:09/01/22 00:00 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#398 [幸]
かけるは弾き終わると
私に手話で話しかけてきた。



『‘昨日わごめん!!
このピアノで許して?’だって。』

男性が手話を通訳してくれた。



『平気だよ。
素敵な音楽、ありがと』

かけるは私の口で読んだのか、
ゆっくり笑顔を見せた。

⏰:09/01/22 00:04 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#399 [幸]
そしてまた手話をした。


『‘家まで送る’だって』


『えっ?いいよ。』

『‘少しぐらい格好つけさせろ’だって。』


『じゃあ、お言葉に甘えて。』

⏰:09/01/22 00:06 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#400 [幸]
2人でずうっと笑いあってた。
この時間がとても愛しく思えた。



『ごめんね〜。
今日は定休日だったし
かけるがいきなりピアノ
貸してって言うからさ―
ご飯ないの。』



と、男性が言った。

『いいえ、ピアノを
聞くために来たんですから。』


本当はかけると話したかっただけだけど。

⏰:09/01/22 00:11 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#401 [幸]
『ならよかったぁ。
気をつけてね。』


『はい!!』
『あれ?かなさん、
少し顔、赤くない?』


『そうですか?
走ってきたからだと
思いますよ。』



多分……。

⏰:09/01/22 00:13 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#402 [幸]
そういえば、あの人も
私のこと名前で呼んでるんだから
私も名前で呼ばないと。


『すみません、名前
なんて言うんですか?』
『ああ―源蔵。
変な名前でしょ?
だからかけるみたいに
“じじさん”って呼んで?』


『…じじさん…』

私は口にだした。

⏰:09/01/22 00:16 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#403 [幸]
『いやだ…?』

『いえ、店の主人と
こういうあだ名で呼び合う
って凄いうれしいっていうか…』


『そうかい、じゃあね。』



じじさん……
本当にいい人だなぁ。
改めて思った。

⏰:09/01/22 00:18 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#404 [幸]
私は歩きながら携帯で
文字を打って、
かけると話した。



じじさんとの関係など
色んな話をした。

“両親が亡くなったらしく、
俺の育ての親なんだ。
でもじじいみたいだから
俺がじじさんってあだ名考えたんだ。”



かけるはじじさんの話をするとき
子供のようにはしゃいでいた。

⏰:09/01/22 00:22 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#405 [幸]
…それにしても暑い。
まだ秋だからかな?
今は温暖化だし。

さっき走って、今歩いてるせいか…?




ああ…かけるが一生懸命
携帯打ってる。
まだ話したいことがあるんだ…。

でも………

⏰:09/01/22 00:24 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#406 [幸]
そう―。
かけるは耳が聞こえないんだ。


だから私が倒れてた音が聞こえなかった。

おまけに携帯打ってる のに集中してるから、
なおさら――。

⏰:09/01/22 00:25 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#407 [幸]
隣で歩く気配がない…。
あれ?
かな……?



ようやくかなが倒れてることに気づいたかけるは、

慌てて来た道を戻った。

⏰:09/01/22 11:48 📱:W53H 🆔:ORnfeSKs


#408 [幸]
かな!!
かな!!

心の中で叫んでも
誰も気づかないし、
返事も聞こえないこの世界。



かけるはこんな自分を
どう思ったのだろうか?

⏰:09/01/23 19:59 📱:W53H 🆔:ORM6OE96


#409 [幸]
一方、私は頭はボ―っとしていて
体も熱かった。



か…かける…。

世の中は酷いなぁ。
人が倒れてるのに
知らんふりかよ。

⏰:09/01/23 20:01 📱:W53H 🆔:ORM6OE96


#410 [幸]
誰もタスケテクレナイ…


自分しか、守れないんだ。
自分で立ち上がらなきゃ…。



ザザっと音がした。
誰かが私の前に立っていた。

⏰:09/01/23 20:04 📱:W53H 🆔:ORM6OE96


#411 [幸]
顔を踏ん張ってあげてみる。



かける……?
かけるだ…

息が荒い、かけるの吐息が
頬に当たる。



必死に人差し指を左右に振っている。

⏰:09/01/23 20:06 📱:W53H 🆔:ORM6OE96


#412 [幸]
たしか…その手話は…



私は少し上半身をあげ
左右の胸の少し上を
片手でタッチした。


‘大丈夫だよ……’




その後のことは覚えてない。

⏰:09/01/23 20:10 📱:W53H 🆔:ORM6OE96


#413 [幸]
柔らかい匂い。
ああ、私この匂い好き。


なんだろ?
なぜこんなに癒されるんだろ?



母さん…?

⏰:09/01/24 00:50 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#414 [幸]
母さんがスタスタと歩いてる。
私は必死に追いかけた。


『母さん!!』

やっと追いつき、
母さんの腕を掴んだ。


『…かな。』


母さんは少し悲しい顔で振り向いた。

⏰:09/01/24 00:51 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#415 [幸]
『どうしたの?』


私がそう聞くと、母さんは
さらに悲しい顔をした。


『あんた……L大に行くんでしょ?』

『えっ……?』



母さん………?

⏰:09/01/24 00:53 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#416 [幸]
『私が死んだ日、
誓ってくれたわよね?
絶対T大に行くって…』

『ごめん……
でも私、L大に行きたい…。
約束破っちゃうけど、

違う……母さんとの約束を破ってまで
L大に行きたい…。』



こんなに自分の意見を主張したことがなかった。

⏰:09/01/24 00:55 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#417 [幸]
母さんはどう思ってるのかな?


少し心配になったので
母さんの顔をよく見ようとした。


すると母さんは

『そう…。ならなんで
母に言わなかったの?

最近、私寂しいの。
あなたが仏壇に来てくれなくて。』

⏰:09/01/24 00:58 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#418 [幸]
と、また悲しい顔をした。


『春の頃はよく仏壇に
来て、話しかけてくれたのに。


私との約束を破ってまで
行きたい大学ならそれてよい。

しかし、私にちゃんと
言ってほしかった…。
あなたは私の子どもなんだから。。。』



そう言いながら抱きしめてくれた。

『母さん……。
ごめんね。これからは
ちゃんと話しかけるから…。』

そう言った。

⏰:09/01/24 01:01 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#419 [幸]
『かな。
人の心のわかる人になってね…。』


そう母さんが言うと
私から離れようとした。

『待って!!
なるから行かないで!!
私を置いてかないで!!』


とっさにそう叫んだが
母さんは消えてしまった。

⏰:09/01/24 01:03 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#420 [幸]
『母さん!!』


そこで目覚めた私。



夢……。
んだよ、夢かよ…
てか、ここは…?


見覚えのない風景。
私は記憶を遡ってみる。

⏰:09/01/24 01:05 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#421 [幸]
時計は…!?


携帯で時間を見てみると
7時を回っていた。




『しっ…7時!?』


私は起き上がろうとしたが
体がふらついてしまって、そのままベッドに倒れた。

⏰:09/01/24 01:32 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#422 [幸]
‘こら〜ちゃんと寝なきゃ。’



この文字がいきなり現れた。
かけるの字だ。


かけるが私の顔に近づいてきた。



な…なになになに〜?
心臓が速く動いているのがはっきりわかる。

⏰:09/01/24 01:34 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#423 [幸]
『も、もう大丈夫ですカっっラ…。』



そんなに顔を近づけられると
何を話せばいいのか解らなくなってくる。


かけるは急いでノ―ト
に何かを書き出した。

⏰:09/01/24 01:36 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#424 [幸]
‘熱を計らせて頂いたよ’


『えっ…?』

‘8度もあれば倒れる
てか、俺がもう少し早く
気づいてやれば…’



かけるは悲しい顔をしていた。
その顔が夢の中で出てきた
母さんととてもかぶった。

⏰:09/01/24 01:38 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#425 [幸]
『ううん……
てか、私の話してる事
わかるの?』



今まで普通に話してきたのに…。
そう疑問を持った。

本当はこの話しを反らしたかっただけだが。



‘今、補聴器をつけてるからね
多少聞こえる。’

⏰:09/01/24 01:40 📱:W53H 🆔:x4n0L59A


#426 [幸]
『そうなんだぁ。』



すると、お粥が出された。

『作ったの?』


‘当たり前だろ
食べないと元気でないからな’



私は一口一口、味わいながら食べた。

⏰:09/01/25 23:49 📱:W53H 🆔:9aEmbiE.


#427 [幸]
『おいしい…』
‘誰が作ってもそんな味だよ’



かけるはそうノ―トに書くと
薬の水を出した。


ううん…
かけるが作ったと
わかっているから余計
嬉しくて元気がでるんだよ。


そう心の中で言った。

⏰:09/01/25 23:52 📱:W53H 🆔:9aEmbiE.


#428 [幸]
‘明日も学校だよな?
休んだ方がいいよ’

明日は土曜日。
いつも通り学校はある。
しかし、私はL大合格
を目指している。
時間を無駄にしたくない。

⏰:09/01/25 23:56 📱:W53H 🆔:9aEmbiE.


#429 [幸]
『嫌…。私、一応受験生だし。』


‘風邪治してからの方が
頭に入るよ?’


『嫌。』




かけるは顔で会話してるかのように
表情が豊かだった。

話さなくても、
かけるの言いたいことが分かる。

⏰:09/01/26 14:44 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#430 [幸]
かけるは悲しそうな顔をした。
なぜか私がイジメてるみたいだ。


『わかったよ!!
学校には行かないから
私ん家まで送ってほしいんだけど…。』


‘いいよ。
車に乗れよ’



車!?
えっ…まじ!?

⏰:09/01/26 14:48 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#431 [幸]
かけるはすぐさま、
車の鍵を持って行ってしまったので

私はしぶしぶかけるの車に乗った。



ふと、車の横の建物を見た。
大きな綺麗なアパートがある。

⏰:09/01/26 14:52 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#432 [幸]
ここの二階の一番左に
かけるの部屋があった。

私はかけるがいつも寝ているベッドで…
キャ―と叫びたくなった。
かけるの匂いが体にしみてるかのように
覚えてる。



今乗っている車も
少しだけかけるの匂いがする。

⏰:09/01/26 14:54 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#433 [幸]
そう思ってる時、
かけるが運転席に乗り
隣にいる私に携帯で文字を打ち、
聞いた。


‘かなさんの家の近くに何がある?’

私も携帯で文字を打ち


『〇〇ラ―メン屋がある』
と言った。

⏰:09/01/26 14:57 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#434 [幸]
‘了解’
かけるはそう手話でし、
カ―ナビで〇〇ラ―メン屋を調べ、
そこに向かってアクセルを踏んだ。




運転中の時は話せない。
ちょっと寂しかったが
信号で止まるたびに、
かけるがその時にしか
見せない笑顔で私に微笑みかけてくれた。



その瞬間が無性にかわいくて
頭が重いはずなのに、
忘れてしいそう。

⏰:09/01/26 15:01 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#435 [幸]
そして私の家に到着。



さきほどよりフラフラ
しなくなったが
頭がまだ痛い。


かけるは私の部屋まで
寄り添いながら私を運んでくれた。

さっきはそんなこと
しなかったくせに。

⏰:09/01/26 17:04 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#436 [幸]
‘おれん家にあった風邪薬
ここに置いとく。’



かけるはそうノ―トに書き
私の机の上に薬を置いた。


『ありがと…。』

確か、ありがとの手話は…。


よく思い出しながら
私はお礼の手話をした。

⏰:09/01/26 17:07 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#437 [幸]
するとかけるはとても
嬉しそうに笑った。

‘手話できるの?’



『ううん。挨拶しか…』

‘でも上手だよ
〈大丈夫〉も上手だった’

⏰:09/01/26 17:11 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#438 [幸]
『えっ…えへっ』


‘なに照れてんの?’


『べっ、別に照れてないし。』


‘はいはい。
でもなんで手話を?’



言えるか―!!?

⏰:09/01/26 17:15 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#439 [幸]
絶対言いたくない。
言ったら調子こくもん。
私はしばらく黙っているとかけるは


‘まぁ、別にいいけど’
そうノ―トに書いた。


なぜか寂しかった。


するとかけるは私の机
にあったL大の赤本を取った。

⏰:09/01/26 17:19 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#440 [幸]
‘かなさん、L大目指しているの?’


『うん…
心理学を学びたくて。』

‘ふ〜ん。推薦で?’



…推薦。

⏰:09/01/26 17:21 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#441 [幸]
‘でも心理学部の推薦
はむずいよ
全部論文だし。’




『私はセンターで受験するつもりだけど…』

‘あっ、そうなんだ。’


一般入試の論文をさけるためにね。

⏰:09/01/26 17:23 📱:W53H 🆔:yU/awDHY


#442 [幸]
‘そなんだ。
じゃあ、頑張れよ
待ってっから。’



自分の顔が熱くなってるのが
よくわかった。


『早くかえれ!!』

と叫び、布団にもぐった。

⏰:09/01/28 11:26 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#443 [幸]
ツンツンと、綺麗な指で
つつるかける。



『なに?』

‘熱あがったんじゃん?
さっき顔が赤かった。’


『いいから早くかえれ!!』


と、叫びながら玄関まで
かけるの背中を押した。

⏰:09/01/28 11:29 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#444 [幸]
ガチャ―

玄関の開ける音。



『かな?』
『父さん!?』


父さんがこちらをびっくりした顔でみていた。



『だっ……だっ…』

顔をピクピクさせながら
そうきいた。

⏰:09/01/28 11:31 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#445 [幸]
『父さんこの人は…『お前は黙ってろ!!』



私が言おうとした瞬間、
父さんが怒鳴った。



‘娘さんの友達です。
娘さん、風邪気味だったので
家まで送りました。

では失礼します。’



かけるはそうノ―トに書くと、
私に会釈して帰った。

⏰:09/01/28 12:06 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#446 [幸]
『なんだよ。ノ―トに
こまこま書きやがって。
そんで俺が来た途端に
逃げやがって。
情けない男。』



私は父のその一言がすごく傷ついた。

それと同時に憤りを覚えた。


『そんなこと言わないで!!
彼は耳が聞こえないの
話さないんじゃない!!
話せないの!!

なんで気づかないの?』

⏰:09/01/28 19:05 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#447 [幸]
怒鳴り声をあげた私と裏腹に
父は静かな声で言った。


『世の中にはな、かな
みたいな人ばかりじゃないんだよ。

俺みたいに鈍感なやつもいるんだよ。』



そして父は速やかにテレビのスイッチを押した。

⏰:09/01/28 19:07 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#448 [幸]
一言、謝ればいいのに。
そう思いながら布団に入った。




翌日。
熱もすっかり下がったので
学校に行った。

⏰:09/01/28 19:12 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#449 [幸]
『かな!!』


ちえみの声に反応してしまった。



いつもなら喜ぶのに。


『ちえみ……』
『私はT大を目指す。
だから…お互い頑張ろ。
あなたは私の友達。
そしてライバル。
私はずうっとこの関係でいたいんよ。』

⏰:09/01/28 19:18 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#450 [幸]
私はちえみの言葉を決して
忘れないだろう。

こんな友達、初めて。




『私も……。』


私がちえみの立場だったら
こんなことが言えるのか?


いや、ちえみの性格だからこそ
言えるのだ。


そういう所が尊敬してしまう。

⏰:09/01/28 19:21 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#451 [幸]
もうこの時期になると
休み時間の時でもみんな
勉強している。

勿論、私も。そしてちえみも。





しかし私は休み時間に
なった時必ず携帯をチェックする。

⏰:09/01/28 19:24 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#452 [幸]
メール……来てません。

一応かけるに謝罪のメールをしたが
返ってきません。

怒ってるのかな…。




ああ〜…
かけるのばか!!
返事よこせ!!

⏰:09/01/28 19:30 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#453 [幸]
弁当の時、
ちえみが話しかけてきた。



『さっき落ち込んだ顔してたでしょ?
どうしたの?』


弁当の時しか、こういう話をすることができないので、
私は一気に話した。

⏰:09/01/28 19:31 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#454 [幸]
『向こうはね、大学生よ。
そんな早く来るかな?』


『だって!!』
『かな〜。
あなたって、かける君
がいなきゃだめなのね!』

『んなことない!!』



ちえみは卵焼きを、
私は梅干しを食べていた。

⏰:09/01/28 19:34 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#455 [幸]
『鮎川!!
何ボ―っとしてる!?』



授業中、数学の先生に怒られた。


『一応、問題解いてますから。』


『その顔でか!?』



カチンときたので、
今まで解いてたノートを見せた。

⏰:09/01/28 19:37 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#456 [幸]
『いや〜失敬。
鮎川は顔に似合わずやってるんだなぁ。』



クラスがざわっと笑いだした。



弁当の時、
ちえみは卵焼きを一口
くちに入れて聞いた。

⏰:09/01/28 19:40 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#457 [幸]
『どうしたの?
本当に数学の先生時、
変な顔してたよ。』


『だって…
あれから一週間もメール来てないんだよ!?

絶対嫌われた…。』



…………。
かける……。

⏰:09/01/28 19:43 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#458 [幸]
『男はメール嫌いじゃん』

『私とのメールに飽きたの?』


『いや、…てか付き合ってないじゃん
かなたち。』


『だって、かけるは電話
できないんだよ?
メールしか連絡取れないんだよ?』


『うん…そだけど…』 『てことは…私と連絡取りたくないんだぁ!!』

⏰:09/01/28 19:50 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#459 [幸]
『わ…私だって陸から
メールこないときあるよ!』



と、ちえみは言った。


『でも一週間はないでしょ!?』

『あのね―!一応私たちは
つき合ってるからね。』


テンションが低いこの頃。

⏰:09/01/28 19:55 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#460 [幸]
そして帰りのHRに模試の結果が配られた。



お……L大A判定だ!!
さすが私。(笑)


『T大もAだし。
この調子で頑張れ!!』

担任にそう言われ、
ますます気合いがわいてきた。

⏰:09/01/28 20:58 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#461 [幸]
今日は父さんはご飯いらないってメールきたし、
あのレストランに行くぞ!


そう思い、急いで学校をでた。

⏰:09/01/28 21:00 📱:W53H 🆔:vvhWMjeI


#462 [幸]
一週間ぶりにきたあのレストラン。


思い切って中に入った。

『やぁ、かなさん。』 じじさんが優しい声で
迎えてくれた。

⏰:09/01/29 10:55 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#463 [幸]
『じじさん、かけるって
生きてるの?』


『いきなり凄いこと聞くね。
生きてるよ。』




そう話してると、ピアノの音が聞こえた。


私はかけるだと思い
見てみたが、違う人だった。

⏰:09/01/29 10:57 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#464 [幸]
『かけるがどうかしたの?』


『…メールが来ないんです。』



私はじじさんに話すと
じじさんは腹を抱えて笑っていた。


そんなに笑うことかな?


『んでここに来たと。
でもかなさん、今日は
かける、バイトじゃないんだよ。』

⏰:09/01/29 11:01 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#465 [幸]
『そうですか…』


私は失礼しましたと言い
レストランをでた。



レストランを出て、
暫く歩いて気づいた。

ご飯食べるんだった…と。

⏰:09/01/29 11:03 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#466 [幸]
『鮎川!!』


振り向くと、小早川君がいた。


『小早川君…。』
『鮎川!!
国語教えて!!』


私は正直、小早川君と
勉強をしたくなかった。

⏰:09/01/29 11:07 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#467 [幸]
『なっなんで?』
『俺、今日返ってきた模試
悪くて……。

だからお願い!!』




家に帰ってもかけるから
メール来ないし、
別にいいか。


そう思い、小早川君の頼みを承諾し、
小早川君の後を歩いた。

⏰:09/01/29 11:13 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#468 [幸]
私は今まで1人で家に
いたことがない。

1人になると、勉強も
スムーズにできないからだ。

1人になると、必ず図書館などで勉強をする。



でもかけると知り合って、
家でも勉強をできるようになった。

勉強すれば、かけるからメールが来るからだ。



なんて単純な理由…。

⏰:09/01/29 11:16 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#469 [幸]
『鮎川…?』

小早川君がいつもより
低い声で私の名前を呼んだ。


『なあに?』
『図書館、この時間帯
開いてないから
俺んち、来ないか?』



『…いい……。』

⏰:09/01/29 11:19 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#470 [幸]
なんか…嫌だった…。


『頼むよ…。
俺、国語さえよければ
いいんだよ…。
鮎川っ!!手伝ってくれよ。』


小早川君はだんだんと
大きい声をあげ、
私の肩に手をかけた。




『T大に行きてぇんだよ!!』


小早川君が大声で叫んだ。

⏰:09/01/29 11:24 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#471 [幸]
『わかったよ…。』
『鮎川っ!!ありがと!』



承諾しちゃった…。
大丈夫だよね…
小早川君は勉強のことしか
頭にないよね……?


私はそう言い聞かせながら
小早川君の家へ向かった。

⏰:09/01/29 11:26 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#472 [幸]
『大きい…。』
小早川君の家に到着。


にしても、大きい…。




『俺の部屋。』

そう小早川君に誘導され入った。


参考書でいっぱいの部屋だった。

⏰:09/01/29 11:29 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#473 [幸]
『模試の見直しやろう!』

小早川君はそう言って
準備をし始めた。




…私、なに勘違いしてたんだ…
ちょ―恥ずかしい…。

そう思いながら私も
準備を始めた。

⏰:09/01/29 11:31 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#474 [幸]
『これさぁ、なんでこうなるの?』



小早川君の質問に私は
丁寧に答えた。

また、私は政治経済が
わからなかったので
お互いに質問し、答えてた。


2時間、模試の見直しをした。

⏰:09/01/29 11:33 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#475 [幸]
『じゃあ、私そろそろ…』


気づけば8時。
お腹すいたし、帰りたかった。


私が帰ろうとした時
小早川君が私の腕を掴んだ。



『鮎川……』
小早川君の顔がゆっくりと
近づいてくる。

⏰:09/01/29 11:36 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#476 [幸]
『こっ小早川君…。』

『鮎川って、好きな人いるの?』



その質問に戸惑った。
暫く何も言わなかった。

『いるんだ…。』

⏰:09/01/29 11:38 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#477 [幸]
『かっ帰るね…。』



私は小早川君の腕を振り払った。
そして逃げるように去った。



『よう、今暇なの―?』

見知らぬ男にからまれた。

⏰:09/01/29 11:43 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#478 [幸]
時計は8時半を指していた。

私は今までこんな夜に、
1人で出歩いたことがなかった。



だからこんな経験も初めて。


『すみません…。』


そう言って逃げようとしたが
囲まれていた。

⏰:09/01/29 11:45 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#479 [幸]
何か話しているが、
全く耳に入らなかった。

怖い……
怖い。。

嫌…

『かける―!』


思わず、叫んでしまった。

⏰:09/01/29 11:49 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#480 [幸]
『かっ…かけるだとぉ!?』

『やべーよ、この女。』
『逃げるぞ。』



と、逃げていった…。



………?
なぜに?

⏰:09/01/29 11:51 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#481 [幸]
私はなるべく大通りを
通って帰った。




玄関に誰かがいた。

『かける……?』


かけるがこっちを振り返った。

⏰:09/01/29 12:02 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#482 [幸]
‘今日、じじさんの所
に行ったらかなさんが
来たって言われて…’



携帯でそう打たれていた。

私も携帯で打った。

『私の父さんがご迷惑
をおかけしました。』

⏰:09/01/29 12:04 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#483 [幸]
‘娘思いのいい父親だよ’


『そうかな?』
‘ああ。’



なぜか、かけるといると
自然に笑いがこみ上げてくる。

⏰:09/01/29 12:06 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#484 [幸]
‘テストだったからメール
できなかった。
ごめんな。’


『大丈夫だよ。』
‘本当に?’
『本当だよ!!』



なんだ…テストだったのか。
今までの私、なんだったんだ…。

⏰:09/01/29 12:08 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#485 [幸]
『と、言うわけなんです。』



翌日、学校でさっそく
ちえみに話した。
小早川君のことを除いて。


『あんたも早とちりなんだから。』

ちえみは笑いながらそう言った。

⏰:09/01/29 12:10 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#486 [幸]
『てか、文化祭来るの?』


ちえみがワクワクしながら聞いてきた。

文化祭……。
ここの文化祭は主に
2年生がメインだ。

3年生は受験なので…
だからカップルはよく
一緒に回っていた。

⏰:09/01/29 12:14 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#487 [幸]
『ちえみは?』
『陸が来てくれるんだぁ!!』



幸せそうに笑うちえみ。
私もかけるに聞いてみよう!!

⏰:09/01/29 12:15 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#488 [幸]
私はその夜、メールで
かけるに文化祭のことを言った。



‘いいよ。
高校の文化祭懐かしいな。’


と来た。
いやっったぁぁ!


私は今まで勉強と両立して手話も勉強してた。

文化祭の日までなるべく
携帯を使わないでかけると話せるようになる!!

と決めた。

⏰:09/01/29 12:39 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#489 [幸]
文化祭当日。


『陸くん、いる!?』



私はちえみに聞いた。

『ちえみ!!』


その時、金髪の男がそう叫んで
こっちに来た。

⏰:09/01/29 15:01 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#490 [幸]
『陸…』

ちえみは恥ずかしがっていたが
嬉しそうだった。



『あなたがかなさん?
ちえみがいつもお世話に
なってます。』


外見怖いのに、すごく
礼儀のある人でした。

⏰:09/01/29 15:02 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#491 [幸]
『いえ…こちらこそ。』

私も挨拶をした。




『かな!!かけるさんが
来たらメールしてね!!』

ちえみはこう言うと
陸くんと一緒に回った。

⏰:09/01/29 15:05 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#492 [幸]
予定より5分遅れている。

暫く待つことにした。




突然ツンツンと突かれた。

この匂い…かけるだっ!!

振り向くとかけるが笑っていた。

⏰:09/01/29 15:07 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#493 [幸]
『遅い〜!』
‘悪い悪い…’



私たちも歩き始めた。


‘手話うまくなったね’

『だって頭いいから』


‘言ったよ〜この子。’

⏰:09/01/29 15:09 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#494 [幸]
かけるとの会話が楽しかった。


私が手話を勉強したので
さらに楽しいと感じた。



‘クレ―プ食べたい’

『じゃあ並んでるね』

⏰:09/01/29 15:13 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#495 [幸]
かけるって甘いもの好きなんだ!


するとかけるが千円を私にくれた。



『えっいいよ。』
‘いいから。’



まだ曖昧な手話なのに
かけるは嬉しそうに手話で話してくれた。



会話することがこんなにも
楽しいことがわかった。

⏰:09/01/29 15:17 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#496 [幸]
あっ…
『かける!何がいい?』

と手話で聞いた。


‘チョコで’
『わかった』


かけるは本当に表情が豊か。


でもかけるの心の中までは
わからなかった。

⏰:09/01/29 15:20 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#497 [幸]
『おいし〜』

‘食べすぎると太るよ’

『太らないよ。』




何かの視線に気づいた。
ふと周りを見てみると
みんな私たちのことを見ていた。

⏰:09/01/29 15:24 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#498 [幸]
もしかして…私たちの
手話を見て―?



私はかけるの顔を見た。
かけるはその視線に最初から気づいていたのか
寂しく笑っていた。



『無理に手話をしなくても…』


私は小さい声で話した。

⏰:09/01/29 15:27 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#499 [幸]
‘別にいいさ。
俺は。慣れてる。
こういう目で見られてるの。’



かけるは携帯でこう打った。


どうすればいいかわからなかった。

今まで私に見せた笑顔は
偽りの笑顔だったのか?
それさえ疑問を持つようになった。

⏰:09/01/29 15:32 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#500 [幸]
『本当に?』

私は手話で聞いた。



‘かなさんは人目を
気にするの?’

かけるも手話でこう聞いた。

⏰:09/01/29 15:34 📱:W53H 🆔:WAe8sHqk


#501 [幸]
『…時と場合によるかな…?

でも、かけるがいいなら
よかった。』




もし、私がかけると出会う前に
手話しているカップルがいたら
どんな目で見ていただろうか?

⏰:09/01/30 14:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#502 [幸]
おかしいの?
なぜみんな笑ってるの?



ただ話してるだけじゃん!?
それを笑ってるの!?


トントンとかけるに叩かれ
我に返った。

⏰:09/01/30 14:21 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#503 [幸]
‘場所を変えよう’


そう言われ、あまり人がいない
図書室へ行った。




すごく静かだった。
外にはありの集団のような人ごみ。

⏰:09/01/30 17:07 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#504 [幸]
『次どこに行く?』


私はワザと明るいふりをした。



‘なぁ、俺と一緒にいて
楽しい?’




かけるからそんなことを聞かれ
とてもショックを受けた。

⏰:09/01/30 17:09 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#505 [幸]
『楽しくなきゃ一緒に
回ろうなんて誘わないから。』



‘なんか…今のその顔
つまらなさそう。’


『なんで!?』
‘俺は耳が悪い分、
人の顔を人一倍よく見る。

かなさんの顔、つまらなさそう。’

⏰:09/01/30 17:12 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#506 [幸]
『そんなことない!!
それは被害妄想じゃないの!?』



私が言った途端、かけるは
とても怖い顔をした。

‘かなさんは分からないんだよ!!
俺の気持ちが。

被害妄想してしまうほど
しょっちゅう笑われてたんだよ!!’

⏰:09/01/30 17:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#507 [幸]
やっぱり…無理なのかな?


健常者と障害者が仲良くなるって。




自然に涙が出てきた…


かけるは私の涙をみて
ぎょっとした顔をしてた。

⏰:09/01/30 17:17 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#508 [幸]
『トイレに行ってくる』

と手話で言い、私は
トイレで大粒の涙を流した。




『はぁ〜』
鏡を見てみると目が赤かった。

⏰:09/01/30 17:21 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#509 [幸]
『あれ?ここの高校だったの!?』



トイレから出てみると
あのチンピラのグループがいた。



なんでこんな所にいるんだぁ!?
普通いなくね?

泣いてた顔が一気に青白い顔になった。

⏰:09/01/30 17:23 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#510 [幸]
『お前、かけるって叫んだろ?
叫んでも来るわけね―だろ!』

『本当だよ。
かけるは耳聞こえなくなったんだからなぁ』




今度はチンピラの言葉が
しっかりと聞こえた。

⏰:09/01/30 17:25 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#511 [幸]
『脅かしやがって…』



よく私の顔覚えてるな…



そう思い、逃げようとした時、
誰かにぶつかった。

⏰:09/01/30 17:27 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#512 [幸]
『なに逃げようとしてんだよ!!』


そう1人が叫び、
近くにあったゴミ箱を蹴った。




『かける…』

私がそうつぶやいた。

⏰:09/01/30 17:28 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#513 [あすか]
がんばってください

この小説大好きです!

⏰:09/01/30 18:22 📱:P703i 🆔:iv0qlvd.


#514 [幸]
>>513
ありがとうございます


かなり励みになります~

⏰:09/01/30 20:13 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#515 [幸]
>>512から


そう呟いた時、見覚え
のある人差し指が現れた。


‘どうした?’


顔をあげてみる。


かける……なんで?

⏰:09/01/30 20:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#516 [幸]
『うっ……かける兄…』

1人の男がそう呟いた。


かける…兄!?

…兄!?


『かっ…風見先輩っっ』

他の人たちもみな、言葉を失った。

⏰:09/01/30 20:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#517 [幸]
『知り合いなの?』


私は手話で聞いてみる。しかしかけるは黙っていた。




『姉ちゃん!!通訳してくれ。』

チンピラの1人がこう頼んだ。
私は黙ってうなずいた。

⏰:09/01/30 20:22 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#518 [幸]
かけるはチンピラたちを
見ながら手話を始めた。


『‘もうお前らと話すことはない。
早く俺の前から消えろ。’と…。』


『かける兄!!
俺ら…あんたに謝りたくて…』


私は一生懸命通訳をする。

⏰:09/01/30 20:27 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#519 [幸]
『‘嫌、あの時は俺の
方が悪かった。
すまなかった…。
だから早く俺の前から
消えろ。

さもないと、俺の体が
耳がてめえらを許さない。’と…。』




『すみませんでした!!』

と、チンピラは大きな声をあげながら
消えて行った。

⏰:09/01/30 20:30 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#520 [幸]
かけるはゆっくり歩き始めた。


『かけるっ!!』



私は必死にかけるの腕を
掴もうとした。

しかし、かけるはくるっと振り返った。



そして手話をし始めた。

⏰:09/01/30 20:33 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#521 [幸]
‘さっきはごめん…
八つ当たりしてた。

やっぱ羨ましかった。
かなさんが。’



『ううん…私の方こそ
ごめん…。
かけるさんの気持ち
わからなくて。』



その時あの匂いがした。
柔らかい、私の大好きな匂いが…。

⏰:09/01/30 20:37 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#522 [幸]
文化祭も終わり、
かけると一緒にレストランへ向かった。



私はそこで勉強をし、
かけるはピアノを弾いていた。



じじさんが私の方に来て
『今日は何かあったの?』

と聞いてきた。

⏰:09/01/30 20:39 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#523 [幸]
『今日は私の高校の
文化祭だったので一緒に
回ったんです!!』


私はウキウキして答えた。



『楽しかったのかい!?』

じじさんが優しく聞いた。


『はいっ!』


私は笑顔で答えた。

⏰:09/01/30 20:42 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#524 [幸]
『ちょっと話して大丈夫かね?』


『大丈夫ですよ。
休憩しようと思ったんで。』



するとじじさんが
コ―ヒ―を一口飲み、
ゆっくりと語り始めた。

⏰:09/01/30 20:44 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#525 [幸]
かけるはY高校の
不良……だったんだ。
この辺でも有名でね。

あっ、不良っていっても
いきがってる程度でね。


いつも通り、喧嘩をしてたんだって。

でもその喧嘩は激しくて…
そこでかけるは聴力をなくしたんだ。

⏰:09/01/30 20:49 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#526 [幸]
「聞こえねー聞こえねー!!
なんでだ!?
なぜ音が聞こえねーんだぁぁ!?」


裏の倉庫で叫びながら泣いてた。
私はかけるとそこで初めて出会った。


私はかけるをこの店に呼んで
しばらく話たの。

⏰:09/01/30 20:54 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#527 [幸]
話したっていっても筆記でね。


「病院に行こう?
私が連れて行くから。
親は?」


「知らない。」

「なんで?」


「親は金だけ置いて行く。」




なんかね…ショック受けたね。
あの時は。

⏰:09/01/30 20:58 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#528 [幸]
それでね一旦かけるの家に戻って
お金と保険証を取りに来たんだ。


いや―封筒の中に20万あったのは
びっくりしたね。




それで病院に行った…。

⏰:09/01/30 23:05 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#529 [幸]
私もかけるも、喧嘩で
鼓膜が切れただけかと思った。

でも違った…。



神経に障害があったんだ。
その障害のせいで
かけるの耳は奪われたんだ。


手術しても治らない…。

⏰:09/01/30 23:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#530 [幸]
『今まで、聞こえてたんだ…。』



自分がいつ、不自由になるかわからない。


五体満足の人たちは
その有り難さがわからないだろう。

自分が、あるいは周りにいる人たちが
五体不満足になったら
初めて実感する……。



私はそうだった。

⏰:09/01/30 23:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#531 [幸]
『私がなぜかなさんに
この事を話したかというとね、

……かけるが笑ったんだ。』



『えっ?』


かけるのピアノが静かに
流れていた。

⏰:09/01/30 23:34 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#532 [幸]
『かなさんから文化祭
一緒に回ろうって誘われた!

耳が聞こえなくなってから
初めて女に誘われたって
喜んで私の所に来たよ。』



じじさんも、まるで
かけるを息子のように
可愛がっているせいか、
嬉しそうに話していた。


…そうか……。
だからここはこんなにも
暖かいんだぁ。

⏰:09/01/30 23:37 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#533 [幸]
『なんでもじじさんに
話すんですね。』


私はそう言い、水を一気飲みした。



『そりゃ、かけるは私の子。
…だと思って育ててるもん!』

じじさんは少し強調して言った。

⏰:09/01/30 23:43 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#534 [幸]
『じじさん!!
私今ね、手話覚えてる
最中なの!

じじさん、私と会話してる時も
なるべく手話で話してくれませんか?』




じじさんが羨ましかった。
かけるは私には何も話してくれないし。



って……嫉妬!?

まさかね。相手は男なんだから……。

⏰:09/01/30 23:46 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#535 [幸]
『いいよ。じゃあ今から
始めよう!』



にもかかわらず、じじさんは
笑って答えてくれた。

⏰:09/01/30 23:48 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#536 [幸]
月日は流れ、12月。


クラスメートはみな、
模試の結果で大学を決めてるので、
前よりさらにカリカリしてた。


一方私は1、2年生より
勉強してない。

でも、本当に行きたい
大学が決まったせいか、
家事をしながらの勉強の方が
頭に入る。

⏰:09/01/30 23:52 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#537 [幸]
『かな!』
『ちえみ!!』


今年最後の模試の結果が
配られた。



『A判定だった!!』
『私も!!』


ちえみと一緒にA判定が取れて
嬉しかったというより
ホッとした。

⏰:09/01/30 23:55 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#538 [幸]
『かなはセンターでL大でしょ〜?
頑張ってよ!!』


『オッス!!』



私はセンターのみで受験する。
ちえみはセンターの8割
を取らないと一般を受験
させてもらえないらしい。


でも、お互い頑張らなきゃ!!

⏰:09/01/30 23:57 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#539 [幸]
『かなは〜まだかけるさんと
付き合わないの〜?』


『ブッ!!』



私がパンを食べてる時に
ちえみがそんなことを
言うから、びっくり
して吐いてしまった。


『うわ―!汚い!!』

『ちょ…ちえみのせいでしょ!!』

⏰:09/01/30 23:59 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#540 [幸]
『かなから先に告白
した方がいいと思うけどなぁ。』


『ゴホッ…なんで?』

『障害がある人って
なかなか自分に素直になれないと思う。

もしかなが本当に好きなら
告白したら〜?』



ちえみの言うとおりかも…。

⏰:09/01/31 00:02 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#541 [幸]
『いいこと言うね!!』

『ちえみ様だから!』



ちえみはこうなんだから…。
でも、それがちえみのいいところ……。


告白…かぁ。。。

⏰:09/01/31 00:04 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#542 [幸]
告白……。

しばらく考えこんだ。


『むっ…無理!!』



ガタンと音をたてながら
座っていたイスから立ち上がった。


ちえみも、クラスメートも
驚いた顔で私を見た。

⏰:09/01/31 00:25 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#543 [ぽぽ]
この小説、一番好き
頑張って下さいね

⏰:09/01/31 01:17 📱:F01A 🆔:5XQ2sksE


#544 [幸]
>>543
本当にありがとうございます



頑張らさせていただきます

⏰:09/01/31 01:41 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#545 [幸]
ここ最近、
私はかけるがピアノを弾く日は
必ず私も勉強をしながら
演奏を聞いていた。



そして終わった後、
私を家まで送ってくれる。

それが当たり前のようになっていた。
でも、その当たり前があって
本当に嬉しかった。

⏰:09/01/31 01:44 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#546 [幸]
かけるがピアノを弾いている日は
月、水、金曜日。

火、土曜日は普通にあそこで
バイトをしてる。



私は正直、かけるの過去も今も知りたい…。

でも、この前、じじさんから聞いた
かけるの過去。

⏰:09/01/31 01:46 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#547 [幸]
私には両親亡くなったって
言ったくせに……。



この疑問が今になっても消えない。

…私もまだ聞きたくないのかもしれないが……。

⏰:09/01/31 01:47 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#548 [幸]
『明日から冬休みだ!!

いいなっ!!受験生の
クリスマスとお正月は
3月だっ!!

3月にクリスマスツリーや
鏡餅を飾りなさい!!』




『んな奴いねーよ。』

伊勢のいい声をあげる先生と
どっと笑うクラス。


あと少しでセンター試験。

⏰:09/01/31 01:51 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#549 [幸]
やはり、かけるに告白なんてできない。


だって、今センター試験の勉強なんだもん!!




今日は金曜日。
私は6時まで学校で勉強し、
かけるのレストランへ行った。

⏰:09/01/31 01:53 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#550 [幸]
『やあ、かなさん。』
『じじさん、こんちは。』


私はいつもの席に座った。

『クリスマス、かけると過ごすの?』

じじさんにいきなりそう聞かれ、
驚く私。

⏰:09/01/31 01:55 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#551 [幸]
『な…なぜですか?
そんなこと、言われませんよ。』


『そ―かい。ん〜…』


じじさんはしばらく考えこんでいた。


『どうしたんですか?』


と、聞いてみた

⏰:09/01/31 17:46 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#552 [幸]
『いや、聞いてみただけ。
センター、頑張ってな!!』



じじさんはそう言うと、
仕事を始めた。


クリスマスね…
そりゃ、かけると過ごしたい…。

でも無理だよね。

⏰:09/02/01 12:35 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#553 [幸]
私はいつも通り、
かけるの綺麗なピアノを聞きながら
勉強をした。





‘帰ろう’

かけるにそう言われ
いつも通り一緒に帰った。

しかし、いつもとは違う雰囲気だった。

⏰:09/02/01 12:38 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#554 [幸]
いつもならくだらない会話で盛り上がるのに、

今日は会話など全くしない。




『どうしたの?』

聞いてみた。
するとかけるは頭をかいて
ゆっくり手話を始めた。

⏰:09/02/01 12:40 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#555 [幸]
‘明日も勉強するの?’

『うん…。』



心臓の音が五月蝿い。
なんでかけるだと
こんなにも心臓が騒ぎだすのか?

⏰:09/02/01 12:42 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#556 [幸]
‘夜ご飯だけ…時間とれる?’




いつもとは遅いペースで
手話をした。



きた―!
よしっっ!!

『うん!!』


と、返事をした。
今、私はどんな顔をしてるのかな?

かわいい顔ならいいんだけどなぁ。

⏰:09/02/02 00:15 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#557 [幸]
‘まじで!?’

かけるの手話がいつもより
早くなった。


『まじで。』


この会話が筆記だったら
ハ―トをつけたい気分だった。

⏰:09/02/02 00:17 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#558 [幸]
クリスマス当日。
私は朝早く起きて勉強をした。


そして、家事をし
父さんの夜ご飯を作った。




慣れない化粧のせいか、
予想以上に時間がかかった。


集合は6時。
初めて出逢った所に。。

⏰:09/02/02 00:20 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#559 [幸]
私は早めに家を出た。
ゆっくりと歩き出す。



10分前に到着してしまった。

ここで、初めて出逢ったことを思い出した。



私が泣いてて…
いきなりハンカチだしてきて…。

⏰:09/02/02 00:22 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#560 [幸]
私からアドレスを聞いて…。


…あの少年と出逢ったからだ。
そして自分の愚かに呆れて
泣いたんだ。


あの少年に出逢ってなかったら
かけるに会うことはなかったんだ…。



あの少年は元気なのかな…?
うまくやってるのかな?

⏰:09/02/02 00:24 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#561 [幸]
あの少年のおかげで
心理学を学ぼうと思った。


今の私がいるのは…
あの少年のおかげ……。

そ―いやなんで私はあの時
おにぎりをあげたのかな?

⏰:09/02/02 00:26 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#562 [幸]
ツンツンと優しくつつかれた。


後ろにかけるがいた。
私は現実に戻り、
今ここにある幸せを感じた。



‘待った?’
『大丈夫だよ。』

⏰:09/02/02 00:28 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#563 [幸]
するとかけるはいきなり
私の右手をとった。
そして優しく繋いだ。




ドキッと心臓が大きく動いた。
そして小さくドキドキと
リズムに合わせて動き始めた。


‘だいぶ待っただろ?
手冷たいよ!’

⏰:09/02/02 00:31 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#564 [幸]
『じゅっ…10分くらいだけだよ』


急に恥ずかしくなり
手を離してしまった。



なにやってんだよ!?
私………
馬鹿か!?
こんないいチャンスを。

‘場所はどこがいい?’

⏰:09/02/02 00:34 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#565 [幸]
『かけるのピアノが聞きたい!』


私は慌てながら言った。

‘いつも聞いてるだろ’
『“耳なしほういち”
を聞きたいの!』




するとかけるは怒った顔で

‘ダメだっっ!!’


と手話をした。

⏰:09/02/02 00:37 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#566 [幸]
『…かける…?』


なんでそんなに怒るの?


かけるは少し慌てた様子で

‘俺ん家で聞かせるから’

と手話をした。

⏰:09/02/02 16:38 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#567 [幸]
『場所なんかどこでもいいから…』


‘そうか。’



なんであんなに慌てるのかな?



私たちはかけるの家へ目指した。

⏰:09/02/02 16:40 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#568 [幸]
かけるの家で“耳なしほういち”
を聞いた。


この曲を聞くと、本当に
他のことがどうでもよくなってくる。

⏰:09/02/03 11:04 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#569 [幸]
弾き終わった時
かけるが話をかけてきた。


‘耳なしほういちっていう話
しってるだろ?’

『確か、師匠さんが
とりつかれている坊主に
呪文を書いたが
耳だけ書かなかったから
耳だけ取られた…』



‘ああ’

⏰:09/02/03 11:07 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#570 [幸]
かけるは私の側に来て
また話し始めた。



‘俺もそんな気分だったよ
…あの時。

普通に生活してある日
突然……。’



なぜ人はみな普通の、
健康な体にはならないのか?

なにかしら障害があるのか?

⏰:09/02/03 11:11 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#571 [幸]
‘文化祭のとき変な奴ら
いたろ?

あいつらと昔連んでたんだ。


んでその中の1人な、
障害者の金を取ったんだ。
俺らみんなでそいつを
殴った。
弱い者から金とっても
うれしくね―って感じで。

そのケンカで耳が聞こえなくなった…’

⏰:09/02/03 11:18 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#572 [幸]
‘俺、最初パニクって
半殺し程度に棒でそいつを
殴っちゃって…。


それから学校も辞めて
通信に通ったんだ…。’


かけるが全部話した後
私を見た。
私はかけるの話の内容が
グロすぎて青くなっていた。

⏰:09/02/03 11:21 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#573 [幸]
‘だっ…大丈夫か?’


『かけるって…凄い
高校生活だったんだね。』



しばらく見つめ合った。
どんなに変な話の内容でも
かけるがいれば笑いたくなる。

しばらく見つめ合った後
笑いあった。

⏰:09/02/03 11:26 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#574 [幸]
夜ご飯はかけるが作った
パスタを食べた。



誰にでも作れるような
パスタだったが
頬が落ちる程おいしかった。


食後にケ―キも食べた。

⏰:09/02/03 11:29 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#575 [幸]
ケ―キもおいしかった。

かけると一緒に食べると
なんでもおいしいと感じるのはなぜ?



なんて幸せ。
この幸せがこの先ずうっと続いたら……。

⏰:09/02/03 11:32 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#576 [幸]
翌日。
クリスマスも終わったから
今日からはずうっと勉強だっ!!



そう気合いを入れ
机に向かった。



12時に昼ご飯を作って食べて
また勉強を再開した。

⏰:09/02/03 11:35 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#577 [幸]
7時頃。
私が夜ご飯の最中に
かけるからメールが来た。

メールを開いてみた。

‘勉強お疲れ様。
元旦、一緒に初詣に行かないか?’

⏰:09/02/03 11:39 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#578 [幸]
が…元旦!?
うわっ……
ちょ―嬉しい!

好きな人と初詣なんて。。。
来年は絶対いい年になるっっ!!



‘はいっ!’


送信……。

⏰:09/02/05 23:48 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#579 [幸]
元旦まであと5日!!
真面目に頑張るっ!!

私は朝ご飯も食べずに
勉強を始めた。



恋をすると人は異常に
頑張れる気になる。

最近の中高生は恋愛に
はまっている。
彼氏がいないと馬鹿にされる。
私はそうだった。

だから勉強ばかりな私には
恋なんて馬鹿みたいだと思ってた。

⏰:09/02/05 23:53 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#580 [幸]
でも違うんだね。
やっぱり恋はいいと思う。


特に勉強ばかりしていた私にとって。

⏰:09/02/05 23:59 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#581 [幸]
元旦―。



‘9時に神社で待ち合わせ’

と、メールが来たので
行ってみる。

初詣は今まで友達と
行ったことがあったので
そのたびに母さんが
着付けをしてくれた。


でも今年は無理だ。

⏰:09/02/06 00:02 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#582 [幸]
「悪いな、着付けできなくて…」


そう謝ってくれた父さんが
とても愛くるしかった。


私は私服で電車に乗った。
みんな可愛らしい着物を着ていた。
羨ましかったけど、
私は我慢しなきゃ。

父さんに悪いから…。
ガキじゃないし…。

⏰:09/02/06 00:04 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#583 [幸]
‘やぁ!!’
『かける!!』


かけるは私より先に神社に来ていた。
かけるも私服だった。



‘さぁ、お祈りに行きましょう’
『うん!!』


それにしても凄い人だ。

⏰:09/02/06 00:08 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#584 [幸]
当たり前か。
みんな考えてることは
私と一緒だもん。




いざ、お祈りへ。
かけるは自分の財布から
5円玉を投げ、手を2回
誰よりも大きく叩いて
祈った。



とても真剣に…。

⏰:09/02/06 00:10 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#585 [幸]
私は100円を投げようとしたが、
それを見たかけるに止められた。


‘100円も?’
『え…駄目?』
‘別にいいけど。’


私は100円を投げ
手を2回叩いて祈った

⏰:09/02/06 00:13 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#586 [幸]
私たちは神社の周りを
散歩した。
そしてかけるに

‘手話上手くなったね’
と、誉められた。


『勉強したもん!!』
私は鼻を高くして言った。

『ねえ、なんでさっきは100円投げようとしたら、止めたの?』

ついでたからそう聞いた

⏰:09/02/06 00:17 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#587 [幸]
‘いや…俺は神様とか
信じないから…かな?

金やればいいことするのかよ
って思って、
神様は賄賂してんのかよ
って感じてたからさぁ。’


かけるはちょっと照れくさそうに話した。

私は思わず笑ってしまった。

⏰:09/02/06 00:19 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#588 [幸]
『あはっ!賄賂って…』
‘だってそうじゃん?’


『でも、そのわりには
真剣に祈ってたじゃん?
手もあんなに大きく叩いて。』


‘じゃあ、神様ってどこにいると思う?’


突然の質問に私は口止まってしまった。

⏰:09/02/06 00:23 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#589 [幸]
『ん〜天の上…?』


‘神社の中の神様は
後ろを向いてるんだ。
しかも戸も閉まってる。
だから人と同じような
音の大きさで叩いても
神様だって気づかないだろ?
だから人よりも目立つことをして
神様にわからせてあげなきゃ’



『へぇ〜』

知らなかった…

⏰:09/02/06 00:27 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#590 [幸]
『なんでそんなに詳しいの?』

‘一応大学生だからね。
文学部に入れば教えて貰えるよ。’




やはり、大学はそんな
細かい所も勉強して
凄いと感じた。

⏰:09/02/06 00:29 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#591 [幸]
『ん…?
てことは、やっぱりかけるだって
神様信じてるの?』

‘信じてねーよ。
俺から誘ったんだから
祈らなきゃじゃん!?’


『じゃあ神社に行こう
なんて誘わなきゃよかったじゃん?』



するとかけるは、
私の肩を両手で掴み…

⏰:09/02/06 00:33 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#592 [幸]
‘そんなの、お前と会うための
口実だよ’

と話した。



ドキッと大きく心臓が動いた。

私の手話の読みとり方
間違ってないよね?

そう自分に説いきかせながら
真剣な目のかけるを見続けた。

⏰:09/02/06 00:35 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#593 [幸]
‘かな…’


かけるはおそらく
指文字で手話をしたのか、
私には分からなかった。

ただかけるの後ろから
自転車のベルが鳴っていた。

⏰:09/02/06 00:38 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#594 [幸]
私はとっさに
『危ない!』

と言い、かけるの二の腕を取り
精一杯の力で私の方に
引っ張った。


なんとか自転車と
ぶつからずにすんだが、
私とかけるとの距離が短くなった。

⏰:09/02/06 00:41 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#595 [幸]
‘ありがと’


かけるは一歩後ろに下がり
礼を言った。
その顔はとても悲しそうだった。



‘そろそろ帰ろうか?
勉強頑張らなきゃだし。’

かけるはそう話すと歩き出した。

⏰:09/02/06 00:43 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#596 [幸]
やめてよ。
そんな顔、嫌い…。
私の前では笑ってよ。
私の大好きなあなたの笑顔を見たい。



しかし、そんな私の願いは叶わず
かけるは私の家に送るまで
ずうっと、所々暗い顔をしていた。


もしかしたら、この一年、
最悪な一年になるのかもしれない…

⏰:09/02/06 00:48 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#597 [幸]
『聞いたよ。
かけると一緒に初詣に
行ったんだって?』



私はじじさんの所で
勉強をしていたらそう聞かれた。


『はい…
でもその前に、
明けましておめでとうございます。』

『あっ、おめでとうございます』


新年の挨拶をした。

⏰:09/02/06 00:53 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#598 [幸]
『どうだった?』

じじさんは興味津々に
聞いてきた。


『別に…。
てか!今気づいた!!』

私は思わず立ち上がってしまった。

『なにを?』
じじさんは驚いてた。

⏰:09/02/06 00:55 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#599 [幸]
『かけるって、ある日
突然耳が聞こえなくなった…
てことは、しゃべれるじゃん!?』



するとじじさんは
“それか…”と呟き
アイスティ―を飲んだ。

聞いちゃいけなかったかな?

そんな雰囲気がした。

⏰:09/02/06 00:58 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#600 [幸]
『自分の話してる声が
聞こえないから
どのくらいの音量で話せばいいか
わからないんだよ。

それでもかけるは試そうとしたけど
余計にだめで…
さらには精神的な問題で
話せなくなったんだ…。』



風が強い日だった。
窓がその強い風のせいで泣いていた。

⏰:09/02/06 01:01 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#601 [幸]
>>592
すみませんホホ

手話の読みとり方

ではなく、

口パクの読みとり方でしたm(_ _)m

⏰:09/02/06 01:05 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#602 [幸]
あと2日でセンター試験に迫った。



私はそれまで、一生懸命勉強した。



かけるは初詣の日以来
どこか私には不自然な態度をとっていた。

メールでは普通なのに…。

でも、だからといって
落ち込んでる暇はない。
と、いうより私は
その悲しみを勉強にぶつけていた。

⏰:09/02/06 01:23 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#603 [幸]
学校は、もう1月の始業式から
家庭研修で休みだ。


私は週に2、3回は
じじさんの所で勉強をしていた。



かけるの綺麗な音楽を聞くために。
しかし本当はかけるに会うために…。

⏰:09/02/06 01:25 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#604 [幸]
今日は家で勉強。
明日じじさんの所に行って
本番を迎えよう!!

そう思い、勉強に励んだ。





翌日。

⏰:09/02/06 01:27 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#605 [幸]
『おっ?頑張ってますね〜』

と、じじさん。



『明日なんで。』


辺りを見回すがかけるの姿は
見えなかった。


『あの、かけるは?』

恐る恐る聞いてみた。

⏰:09/02/06 01:29 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#606 [幸]
『なんか、大学の教授と
面談だから来れないって。』


『えっ…そうですか…。』



まじ‥‥
かなりショック。

⏰:09/02/06 01:31 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#607 [幸]
私はその夜、早めに寝ようと思い、
いつもより早くベッドに行った。


〜♪〜♪
メール着信音。
この着信音はかけるからだ…。


私は急いでメールを見た。



動画つきだった。

⏰:09/02/06 01:52 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#608 [幸]
再生……。

かけるが手話で話してる動画だった。




‘ちゃんと勉強しとるか?
本当は今日渡したかったけど
教授に呼ばれて渡せなかった。

明日、早起きしたら渡すから。


じゃあ、明日は頑張れよ!
おやすみ’

⏰:09/02/06 01:56 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#609 [幸]
……『ありがとう…』

嬉しい…なんでこんなにも
嬉しいのだろう。


かける、本当にありがとう。


‘動画ありがとう!
まじ頑張る!
だから明日早起きしてほしいな〜’



そう送信して、眠った。

⏰:09/02/06 01:59 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#610 [幸]
翌朝、玄関の所に行くと
ス―パ―の袋がぶら下がっていた。



袋の中身はキットカットと
ホッカイロと手紙だった。

感謝しろよ


手紙の内容はそれだけだった。

⏰:09/02/06 02:01 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#611 [幸]
2日間の試験を終え、
次の日学校で自己採点をした。



『かな〜!』
『ちえみ!!』
『かな、大丈夫?
かなの場合、センターだめだったら…』


ちえみは聞きずらそうに聞いてきた。

⏰:09/02/06 02:04 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#612 [幸]
『大丈夫!!』

私はそう断定した。
だって、父さんの手作り弁当と
兄さんのポッキーと
かけるのキットカットが
あったからだもん!!



先生と面談をし、
センターの点数を大学に
速達した。

⏰:09/02/06 02:07 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#613 [幸]
『お疲れ様』

早速、じじさんの所へ行った。
そこに、かけるもいた。



『ありがとうございます!!』

私はそう答えた。

⏰:09/02/06 02:09 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#614 [幸]
‘結果はいつ?’
『まだ先だよ』


‘輸送?’
『電話だよ。』



かけるはソワソワしていた。
そのせいでじじさんに怒られていた。


‘なんでお前はそんなに
冷静なんだ?
俺は一般だったけど
そんな冷静じゃなかったぞ’

⏰:09/02/06 02:12 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#615 [幸]
かけるはそう聞いた。

『自信あるから。』
私は自信満々に答えた。



そして結果発表の日がきた。

家には誰もいない。
1人で見る。
自信満々とは言え、
やはり緊張はするもんだ。

⏰:09/02/06 02:14 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#616 [幸]
私は深呼吸をすると
一気に開けた。









合格

の字が見えた。

⏰:09/02/06 02:15 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#617 [幸]
いやったぁぁぁ!!
私は早速、父さんに電話、
兄さんにメールを送った。



そしてじじさんとかけるには
この紙を見せに行った。

⏰:09/02/06 02:16 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#618 [幸]
『よかったね!』
『おめでとう』


この言葉が返ってきた。




学校にも報告し、父さんと一緒に
手続きをした。

⏰:09/02/06 02:18 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#619 [幸]
ここまで、順調だったのに…。




不幸は突然訪れる。

人は誰だって、人生最後まで
幸せなはずがない。

それはそうだ…。

でも、納得できない!
私たち人間はどうしても
他人との幸せを比べてしまう生き物だからだ。

知能があるだけ、そうしてしまうのだ。

⏰:09/02/06 02:21 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#620 [幸]
>>614
すみませんホホ


『電話だよ』

ではなく

『そうだよ』

ですm(_ _)m

⏰:09/02/06 09:41 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#621 [幸]
2月の中旬だった。
とある、普通のニュースを見ていた。


学校はもう休み。
受験には無事合格したので
朝はゴロゴロしていた。



「昨年の7月。
障害を持っていた弟を
殺害容疑で兄が逮捕されたんですが
精神的ショックを受け、
記憶を失っていた母親が
昨晩、自白したということが
明らかになりました。…」

⏰:09/02/07 00:28 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#622 [幸]
えっ……?



私はある程度家事をしてから
警察署に向かった。

警察署の前は報道陣でいっぱいだった。

⏰:09/02/07 00:30 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#623 [幸]
私はどうしていいか分からず
その場にずうっと立っていた。




『鮎川さん…?』

私の名が呼ばれたので
振り返ってみた。
そこには、あの時の
雰囲気のいい警察官がいた。

⏰:09/02/07 00:33 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#624 [幸]
『あの少年は!?』

私はすぐに聞いてみた。

『あの少年の母親が…
あなたと話したいそうだ。。。

いいかね?』

『なっ…なぜ?』

『それは…話したときに
聞いてみるがいい。』


そう言い残し、私の前から消えた。

⏰:09/02/07 00:36 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#625 [幸]
おそらく…あの時のお礼かな?

私はあまり深く考えなかった。



私はあまりにもの、
かけるへの思いに
あの少年のことを助けたいという気持ちを
忘れていたことに気づいた。

⏰:09/02/07 00:38 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#626 [幸]
私って、口だけの女だ……。



その日の夜、
かけるからあの少年の話しを切り出した。


メールだと話しが長くなるので
次の日に会うことになった。

⏰:09/02/07 00:40 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#627 [幸]
翌日。
会う場所は……
初めて出会った場所だった。




『かける!』
‘やぁ。’


かけるはどう思ったのかな?
そしてこれからも……

⏰:09/02/07 00:43 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#628 [幸]
しばらく沈黙が続いた。
『警察の人にね…
今度、少年の母親に会ってほしいって。』



私はいきなり話しを切り出した。

‘そうか…’

かけるは素っ気ない返事をした。

⏰:09/02/07 00:45 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#629 [幸]
また沈黙が続いた。
いつもと違う空気が流れた。


‘会うの?’



今度はかけるから切り出した。



『そう頼まれたからね。』


するとかけるは一気に話し出した。

⏰:09/02/07 00:47 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#630 [幸]
‘中途半端な優しさ
やらねー方がいい。

もし本当にその少年たちを
救いたいならよく考えてから
行動しろよ。’


『なんで…?』

‘障害を持っていた子どもの
家族だからだ。’

⏰:09/02/07 00:50 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#631 [幸]
『そんなの関係ない!!』

私はそう言ったが
かけるは怖い顔で手話ひし始めた。



‘障害を持ってる人や
その周りの人は
人の優しさに惚れてしまうんだよ
そしてやがてはその
優しい人に頼ってしまう…’


『それは別にいいじゃない!!
人はお互いに支えあいながら
生きてくんだから…』

⏰:09/02/07 00:54 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#632 [幸]
‘あなたは何もわかっていない!!
支えあうなんて無理だ!!
いづれ健常者は障害者に
嫌気をさしてしまう!!
それが当たり前なんだ。
健常者なんだから…。
だから障害者の気持ちなどわからない!!


あの家族は今まで助けてくれる
人がいなかった…
だから殺害をしたんだ

ところがあなたが出てきた
とても嬉しかったと思う。

でも、だからこそ…’



『言ってる意味がわからない!!』

⏰:09/02/07 00:58 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#633 [幸]
かけるは困った顔をしていた。
その顔がさらに私を苦しめる。



‘……あなたは本当に
あの少年を助けたいの?’

『…私はあの少年のおかげで
心理学に興味を持った。
心理学に関わる仕事をしたいと思った。

でも何よりも……
あの少年のようなことを
繰り返しに起こしたくない。』

⏰:09/02/07 01:07 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#634 [幸]
かけるは黙って聞いてくれた。

『私は何のために勉強
していたのか分からなかった。

でも、あの少年のように
苦しんでる人がいるなら
その人たちのために
私はなにをできるか?

そのために勉強したい…
だから心理学の有名な
L大学に受験した…。』

⏰:09/02/07 01:10 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#635 [幸]
‘夢…あったんだね……。’


かけるの顔がいつの間にか
優しい顔になっていた。

『でも、これってさぁ
どういう職業なの?』

‘カウンセラー…かな?’

⏰:09/02/07 01:12 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#636 [幸]
カウンセラー…


‘話ができてよかったよ’

かけるは笑顔で話した。


『なんで?』
‘絶対悩んでるって思ったから。


実は俺、あなたに話したいことがある…。’


かけるの顔が真剣な顔になった。

⏰:09/02/07 01:15 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#637 [幸]
『なあに?』

とは聞いたのも、実際は
聞きたくなかった。


なぜか、嫌だったからだ。



‘俺………、



アメリカに行く……。’

⏰:09/02/07 01:16 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#638 [幸]
えっ……?
今、 何て言った?



‘じじさんの所で
ピアノ弾いてたら、
偶然そこにいた客が
アメリカで修行しないかって
誘ってきて。

小説の夢は諦めてない
でも俺、ピアノ弾きたいんだ…。

そして……歌いたい……。’

⏰:09/02/07 01:20 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#639 [幸]
涙が出てきた。
かけると もう会えないの?



‘初めてあなたの前で
ピアノを弾いたとき
気持ちよかった…

耳を傾けてくれる。
俺の音楽…思いを聞いてくれるって思うと、
ワクワクして…’


なんでそんなに嬉しそうなの?

⏰:09/02/07 01:29 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#640 [幸]
かけるにとって私は
何だったの?



‘…どうした?’

私が泣いてることを
ようやく気づいたかける。



何も話したくなかった

かけるは私のことなど
どうでもいいのね。


私はかけるに背中を向いて去った。

⏰:09/02/07 01:32 📱:W53H 🆔:jdZX7Qp2


#641 [我輩は匿名である]
頑張ってください

⏰:09/02/07 15:49 📱:P703i 🆔:FsufpeMA


#642 [幸]
>>641
ぁりがとうございますx
頑張りますメ

⏰:09/02/08 12:43 📱:W53H 🆔:rl7D203I


#643 [幸]
がしっと、掴まれた私の左手。


‘どうした?’



…どうした?じゃねぇ〜!
その気持ちもあったが
悲しみの方が上回ったみたいだ。


涙がどんどんでてくる。

⏰:09/02/09 00:20 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#644 [幸]
気がついたら私はかけるの腕の中。



されるがままの私。
涙はまだ流れていたが
大好きなかけるの匂いに
酔ってしまいそうだった。



なぜこんなにも落ち着くのか?

⏰:09/02/09 00:23 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#645 [幸]
そしてかけるは私をゆっくり離し
私の流れた涙を親指で
拭いた。



‘本当は行きたくなかった…
でも、耳が聞こえなくなる前からの夢だったんだ。

俺の音楽をみんなに聞かせることが…’



私は黙ってかけるの手話を見つめた。

⏰:09/02/09 00:27 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#646 [幸]
『小説は耳が聞こえなくなってから…?』


‘そうだよ’




……本当に?
かけるは表情が豊か。
なぜか本当のことを言ってないような
気がする。


私の、いや!女の感。

⏰:09/02/09 00:29 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#647 [幸]
『…いつアメリカに
行っちゃうの?』



‘2月の最後の日。’


もうすぐじゃん…
なんで私はドラマのような
素敵な恋ができないの?
なんでこんな困難が訪れるの?

⏰:09/02/09 00:38 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#648 [幸]
‘14日、暇?’


かけるがいきなり聞いてきた。



『…わかんない。』
‘会えない?
てか、会おう!?’



本当にかけるがアメリカに行ってしまいそうで
悲しかった。

⏰:09/02/09 00:40 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#649 [幸]
14日。


結局会うことになった私たち。
最初は2人で散歩をした。
そして写真をたくさん撮った。

この時間と感情は決して
忘れてはいけない。

⏰:09/02/09 00:43 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#650 [幸]
ポツンと雨が降り出した。


『うわ〜最悪…。』

‘風邪ひくぞ。一旦
雨宿りしよ’



私たちは近くにあった
神社に行った。

⏰:09/02/09 00:45 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#651 [幸]
‘結構雨凄いな…。’

『…うん…』



しかし、この雨は私の
今の本当の気持ちを表してくれている。


止みそうにない、この雨が。

⏰:09/02/09 00:47 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#652 [幸]
‘らちあかねぇ!
俺ん家行こう!?
タオルでちゃんと拭いた方がいい’



『大丈夫なの?』
‘風邪ひかれたら困るからな’



私は別にこのなみだなら
濡れてもいい…。


そう思ったが、くしゃみが出たので
かけるの家に行くことになった。

⏰:09/02/09 00:50 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#653 [幸]
『お邪魔します…』


私はかけるの部屋を見渡した。
この光景が2週間後には
なくなると思うと胸が
キシキシと痛くなる。



‘風呂先入れ。
着替えは置いとくから’

かけるにいきなり言われ
戸惑う私。


『でも…』

⏰:09/02/09 00:53 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#654 [幸]
‘下着は濡れてないだろ?’


『うん…』
弱々しく答えた。

かけるの聞き方がいつもより
あまりにもキツかったから
少し怖かった。



私は黙ってお風呂に入った。

⏰:09/02/09 00:55 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#655 [幸]
ザ―っと聞こえる雨。
どうやら私はまだ泣いているようだ。
しかも大量に、声をあげて。




風呂から出ると、着替えがあった。

着てはみたが、ブカブカ。
鏡に映った私を見て
思わず笑ってしまった。

雨はさっきより弱くなっていた。

⏰:09/02/09 00:58 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#656 [幸]
‘何笑ってんだ?’

かけるが鏡の中に現れた。


『いつからいたの?』
私は驚きながら後ろを向き、聞いた。


‘今さっきだよ’
『だって私、着替えてた!!』

⏰:09/02/09 01:00 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#657 [幸]
‘俺が覗いたとでも言いたいの?’


『別にそんなんじゃ…』



するとかけるは近寄ってきた。

無性に恥ずかしくなって
思わず下を向いてしまった。



‘次は俺が風呂入るから
どいて。’

⏰:09/02/09 01:03 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#658 [幸]
そう話すと洋服を脱ぎだした。

その時ぐぅ〜っと、
かけるのお腹が泣き出した。



かけるは恥ずかしそうに
私を見た。

私は思わず笑ってしまった。
するとかけるもつられて笑ってしまった。

⏰:09/02/09 01:05 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#659 [幸]
『しょ―がないから
なんか作るよ。』

‘作れるの?’


『一応ね。』




かけるは風呂に、
私は台所へ向かった。

⏰:09/02/09 01:06 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#660 [幸]
冷蔵庫の中を見た。
焼きそばがあったので
焼きそばを作った。



テ―ブルに運ぶとき
ズボンのすそが長かったので
ぐいっと折り曲げた。


トントンと肩を叩かれた。


‘うまそうじゃん’
かけるは笑いながら話した。

⏰:09/02/09 01:10 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#661 [幸]
『じゃあ、食べようか。』


いただきます

と言い食べ始めた。


食べ終わった時
かけるがあまりにも
かわいい顔で
‘うまかった’

って話すから思わず涙が出てしまった。

⏰:09/02/09 01:12 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#662 [幸]
かけるは呆れながらも
私の隣に来て、涙を拭いてくれた。


しばらく見つめ合った。



そして優しくキスをした。

初めてのキスは焼きそばの味。



顔を離すとかけるも泣いていた。

⏰:09/02/09 01:15 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#663 [幸]
‘かな……’


初めて…私の名前を手話で
呼んでくれた。


しかし、私の名前を呼んだかけるの顔を見て
なんだか切ない気分になったので
あまり嬉しくなかった。

かけるは手話を続けた。

⏰:09/02/09 01:18 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#664 [幸]
‘悪い…勝手にキスしちゃって…’


かけるはそう話すと
2人分の食器を台所に運んだ。




かける……

その時、ちえみが話した事を思い出した。


「障害者ってなかなか自分に
素直になれないと思う」

⏰:09/02/09 01:21 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#665 [幸]
かけるは私にキスをしてくれた。

じゃあ私は……。



私はかけるの方へ行き
後ろから抱きついた。


するとかけるはばっと
私の方を向いてもう一度
抱きしめた。

⏰:09/02/09 01:23 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#666 [幸]
優しい匂い。
大きな手。
茶髪の綺麗な髪。
優しい目。
広い背中。


全てが私を狂わしてく…。




私は一度、かけるを離してから
手話で話した。



『好き』


と。

⏰:09/02/09 01:26 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#667 [幸]
かけるはしばらく黙っていた。
私と目も合わせなかった。



私は心配になって

『かける…?』

と聞いてみた。



かけるはため息をつき
話した。

⏰:09/02/09 01:28 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#668 [幸]
‘俺みたいな男を?
他にいっぱい男がいるだろ!?

かなも見る目なさすぎだよ!!

俺なんて…
例えば車が後ろからきた時
気づかなくて事故る
しょぼい奴だし。

後は…’



また見つめ合った。

⏰:09/02/09 01:32 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#669 [幸]
『かけるといると
まるで、自分が酔ってるみたいに
癒されるの……。

全てが…好きなの。


アメリカに行くって言われて
会えなくなって、
……辛いよ。

毎回会うだけですごく嬉しがる
自分がいる……

それなのに……。』



今の感情を全て言葉に表した。

⏰:09/02/09 01:36 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#670 [幸]
するとかけるはまた私を抱きしめた。

抱きしめられると
かけるの匂いがもっと
嗅ぐことができる。
もっと一緒にいたいって
いう気持ちになる…。




‘もう…我慢できない…’


かけるは一旦、私を離し、手話で話した。

⏰:09/02/09 01:39 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#671 [幸]
『えっ……?』

かけるは私をお姫様だっこをし、
ベッドまで運んだ。



すると、かけるは私に
近寄ってきた。

『こっ、怖い…』

思わず言ってしまった。

‘……ごめん…頭冷やしてくる’

⏰:09/02/09 01:42 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#672 [幸]
…かける……
なにやってんだよ私!!
もう会えなくなるのに…

でもやっぱり怖い!!
でもこのまま帰りたくない!!





かける…

⏰:09/02/09 01:44 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#673 [幸]
ねぇ、もしかけるが
耳聞こえてたら普通に
好きって言えたのかな?

誰だって恋はするのに
自分の気持ちを伝えられないのは
悲しいね……。






むくっと起きた。
時計を見ると4時になっていた。

⏰:09/02/09 01:48 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#674 [幸]
はっ……?
寝てた?


‘やっと起きたかよ’

かけるは引っ越しの準備をしてたのか
ダンボールがいくつかあった。




『ごめんなさい…』

⏰:09/02/09 01:50 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#675 [幸]
‘本当だよ…’


私は思い切って大胆な
行動をとった。

自分からかけるにキスを
した。



かけるは最初、戸惑っていたが
だんだんと深くなってきた。


‘いいの?’

かけるに聞かれ
こくっと頷いた。

⏰:09/02/09 01:53 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#676 [幸]
かける……


かける……




あなたに出会えて良かった。
こんなに嬉しいことを
味わうことができた。

他の男じゃ、かけるの代わりにならないんだよ。

かけるじゃないと私が
嫌なんだよ…。

⏰:09/02/09 01:56 📱:W53H 🆔:jQ/U2XNo


#677 [幸]
‘平気か…?’


かけるは私を腕まくらをし
右手で私の髪を撫でながら聞いた。



『……うん』

幸せ……。

⏰:09/02/11 00:10 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#678 [幸]
次の日の夕方。
じじさんの所へ行き
チョコを渡した。



『いや〜初めてもらった』

じじさんはとても嬉しそうだった。


初めてだったんだ…

じじさんは確かにおじさんみたいな顔立ちだが
目が女みたいにくりっとしている。

だからチョコぐらい一回は
もらってると思ってた。

⏰:09/02/11 00:16 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#679 [幸]
そこへかけるが来た。


『昨日、渡すの忘れてた。』


と言い、かけるに渡した。

‘大事なこと忘れるな’

『うるさいな〜』




こんな日が続いたらいいのに。

⏰:09/02/11 00:18 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#680 [幸]
いつも通りかけるに家まで送ってもらった。

そして別れる時は…
おやすみのキス。




受験が終わっても、
勉強は続けている。

勉強しなきゃ一般を受験
する人たちとの差が開くからだ。


私は勉強をし、深い眠りに落ちた。

⏰:09/02/11 00:21 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#681 [幸]
刻々と、かけると別れる日が近づいてくる。

でも私たちは、1日1日を
大切に過ごしてきた。



21日。



一本の電話がかかってきた。

⏰:09/02/11 00:23 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#682 [幸]
『もしもし!?』
『鮎川かなさんですか?』


あの警察官からだった。

『あなたにお会いしたいって
前に話してたことを
覚えてる?』

『はい……』

『28日でお願いします
って言われたんだけど…。』



えっ………? 28日………。

⏰:09/02/11 00:26 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#683 [幸]
『その日じゃないと
ダメなんですか?』


『ええ、どうしてもって…。』





神様………
あなたはどうしてこんなにも
意地悪なのか?

⏰:09/02/11 00:28 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#684 [幸]
『その日は無理です!!
日にちを変えることは
できないんですか!?』

私はそう強く聞いたが
答えはNOだった。



『…考えさせて下さい…』

私はそう言い、電話を切った。

⏰:09/02/11 00:30 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#685 [幸]
私はじじさんの所へ
走って行った。


バンっと乱暴に開け
私は涙目でじじさんの腕を掴んだ。




『かける、今日の午後
暇だから大学に行ってみな!?』


じじさんにそう言われたので
L大に行った。

⏰:09/02/11 00:33 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#686 [幸]
私はメールで
“そっちに行くから待ってて”

と送信し、門に行った。


門にはかけるがボ〜っと
立っていた。



‘勝手に来てどうした!?’

かけるは私に気づき、
そう聞いた。

⏰:09/02/11 00:36 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#687 [幸]
『…ねぇ、どうしよ……』



私は警察官からの電話の事を話した。

するとかけるは真剣な顔で
手話をし始めた。


‘俺の見送りなどいい!!
そっちの方へ行け…’


『……やだ』

⏰:09/02/11 00:38 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#688 [幸]
‘かな!!’
『やだよ!!ちゃんと
かけるを見送りたい…』

‘あの少年を救いたいんじゃないのか!?
救いたいんだろ?

中途半端な覚悟じゃないんだろ?’



『……でも…でも』

涙が私の頬に流れてきた。

⏰:09/02/11 00:41 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#689 [幸]
『かけるが……好きなの!!』

私は大声で言った。
周りのL大の生徒たちに
聞かれたのか、こっちを
何人か見ていた。



‘かな…

男を追いかける女になるな!!
かなは、夢に向かって
走れ!!’

⏰:09/02/11 00:44 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#690 [幸]
『かける……』


泣いてるせいで
うまく話せなかった。



‘俺も夢に向かって
アメリカへ行く…。

かなもそうしろ…。
夢に向かって生きろ。
そこで恋愛をするんだ!!


…俺より素敵な人と。’

⏰:09/02/11 00:48 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#691 [幸]
『かける!?』
‘やっぱ無理だ…。

俺たちは障害者と健常者。
つりあえなってない…。
俺……が……
かなに支えられると
惨めな気持ちになるんだ。
どうしても。’


かけるの顔も悲しい顔をしていた。

⏰:09/02/11 00:53 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#692 [幸]
‘かなは、ただ耳が聞こえないだけと
思ってるだろ!?

でも、こっちは大きな問題なんだ。
障害者はこの問題を
一生背負って生きてく。
この気持ちと覚悟、
健常者じゃ決して分からない。


障害者と恋愛をするって
こういうことなんだよ。
普通に恋愛すると…
普通になりたいって思ってきて
惨めになってくるんだ’

⏰:09/02/11 00:59 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#693 [幸]
『……なんで!?』


時間が止まったように
感じた。



‘健常者は偏見な目で
障害者…俺を見てるから。

例えば、駅の切符売り場で点字を
読んでる人を偏見な目で
見下してる。

知的障害者がいれば
その人をからかう子供や大人。

俺は耳が聞こえなくなって
気づいたんだ……。’

⏰:09/02/11 01:04 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#694 [幸]
『…私を…信じてなかったの?』


‘かなみたいな人、
めったにいないよ…。

かなはカウンセラーの
仕事をしてみたいんだろ?
このチャンスを生かして
健常者に障害者のことを伝えてほしい’

⏰:09/02/11 01:08 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#695 [幸]
『…え?』
‘伝えてほしい…
少しでもいいから、
障害者のことを理解してほしい。’


かけるは空を見上げた。


‘助けてあげてとは言わないけど
偏見はしない…
そんな都合のいい世界には
なれないと思うけど

理解してほしいんだ。
俺たちはただ、それを
願ってる。’

⏰:09/02/11 01:17 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#696 [幸]
‘かなには、そういう人
になってほしい。

いや、別にならなくてもいいけど…



とにかく、俺のために
自分の夢が遠ざかる事は
よしてくれ’



私は手で自分の顔を覆った。
そして14日の雨のように泣いた。

⏰:09/02/11 01:20 📱:W53H 🆔:nFnq5eKM


#697 [幸]
かけるは私のその姿を
黙って見ていた。




何もしてこないかけるを見て
私はもう無理なんだと思い
かけるの横を通って
ふらふらと歩いた。

⏰:09/02/14 01:11 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#698 [幸]
私……
もう一度聞いてみるよ…
そして、なんとかかけるの見送りに
行くよ………。



そう何度も思った。


しかし、電話で聞いてみたが
母親は精神的な病気
なので無理だった。

⏰:09/02/14 01:14 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#699 [幸]
私は自分の部屋に着き
ベッドに寝転んだ。





2月最後の日。
28日が刻一刻と迫ってくる。

⏰:09/02/14 01:18 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#700 [幸]
‘27日。会いたい’


私は思い切ってかけるに
メールをした。





…これでかけると会うのは
これで最後だ。


そう自分に言い聞かせた。

⏰:09/02/14 01:20 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#701 [幸]
27日。
私がかけるの家に行くことになった。



これで最後……。


これで最後。。。


私はなるべく笑顔で
かけると話した。
かけるは静かに笑っていた。

⏰:09/02/14 01:22 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#702 [幸]
『知ってる?
ゴリラは大人になると
笑わなくなるんだって!!』


‘それCMのやつだろ?’


他愛もないこの時間が
愛しく思えた。

こんな会話をしてる時
かけるが急に私を抱き寄せた。

⏰:09/02/14 01:24 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#703 [幸]
あぁ…この匂いだ。
私は一番最初にこの匂いに惚れた。




もう明日になったら
かげなくなるの?


するとかけるが一旦
私を離し手話を始めた。

⏰:09/02/14 01:27 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#704 [幸]
‘かな……
今、この世界は障害者と
健常者は共存できてないと思う。

それは昔も今もそうだと思うけど、
なかなかこの差別を乗り越えて
生きていけないと思う。

かなみたいな頭がいい人もいれば
俺みたいに…自分が障害者
になって初めて気づく
馬鹿な人もいる’

⏰:09/02/14 01:30 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#705 [幸]
私はかけるのこの姿を
目に焼き付けた。


‘だから……
かなはその差別を少しでも
なくなるような世界にしてほしい。

カウンセラーとして
あの少年みたいな子を
救ってほしい……。

そしていつか、障害者と
健常者が共存できるように
してほしい……。’

⏰:09/02/14 01:34 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#706 [幸]
…かけるがなぜアメリカへ行くのか
なんとなくわかったような気がした。


でも私はあえてかけるに聞かず
かけるに抱きしめた。




深く…身も心も絡み合った。

⏰:09/02/14 01:38 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#707 [幸]
終わった後、
ベッドでかけるとたくさん話した。



‘二年で戻ってくるから
大学で会えるよ。’

『うん…』



‘本当はアメリカに行きたくない…’

⏰:09/02/14 01:45 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#708 [幸]
口パクでかけるがそう言ったのを
私はわかった。


『なんで?』



そう聞いてもかけるは
優しく私の髪を撫でるだけだった。


‘今のはうそ。’

と手話で話して……。

⏰:09/02/14 01:47 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#709 [幸]
28日。

私は病院へ行った。




『鮎川さん、どうぞ』

看護婦さんに案内され
個室に入った。

そこにはやつれた、
白髪ばかりで、
しわの多い女性がいた。

⏰:09/02/14 01:53 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#710 [幸]
『あなたが…鮎川さんですか?』


かすれた声で聞いてきた。
また警察官の人に支えられながら
一歩ずつ私に近よった。


『はい……』

私は静かに答えた。

⏰:09/02/14 01:55 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#711 [幸]
『あの事件の真相を
話してください。』
警察官がそう言うと、
その女性が呟いた。



『私には、2人の…
息子がいました。
一番上が心の優しい子
でして、いつも障害者を
持ってた弟のことを
優先に考えてくれました。』

⏰:09/02/14 01:57 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#712 [幸]
『私は二番目が障害者だなんて
初めは信じられませんでした。
でも上の子とは違う。

そうわかってきました。

しかし親戚からも親からも…
しまいには夫からも
私のしつけが悪いと言われ続けてきました。

違う……この子は障害者なの…
しつけで治らないの…



あっ、失礼しました、
弟の方は自閉症という
障害で、見た目は普通ですが
おかしな行動をとる障害なんです。』

⏰:09/02/14 02:02 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#713 [幸]
かすれた声をだしながら
話しは続いた。



『事件当日。私は相談をする
相手もいなくて……
二番目を殺そうと思ったの。

例え、育ててもこの子は
幸せにはなれない、
1人では生きていられない…。

そう思って………。』



やつれた女性は涙を流してた。

⏰:09/02/14 02:06 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#714 [幸]
『二番目を殺害した時の
あの驚きの顔……

「どうして……?」

っていう顔をしてて……
最後に「お母さん」って
言うんですのも…。

私も死ななきゃと思った……


でも上の子に止められ…
上の子は火を放したの。』

⏰:09/02/14 02:10 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#715 [幸]
…これが現実なの……?

‘障害者のことを何もわかってない!!’

かけるにそう言われたことが
脳裏に浮かんだ。



『上の子が火を放した時
私はまだこの子がいる。
育てなきゃ……
そう思って2人で逃げたんだけど

あの子…気づいたらいなくなってて。


それで私はおかしくなって
病院でずうっと入院してたの。』

⏰:09/02/14 02:14 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#716 [幸]
『そうだったんですか…』

私はそう言った。
涙が出てきた。



『あなたが、上の子に
食べ物をあげたと聞いたので
一度お礼をしたくて…
それにね、あの子、
本当のことを警察に言うなって……

でも私がやっと普通になれたから
私から本当のことを言っちゃった。』

⏰:09/02/14 02:21 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#717 [幸]
『息子さんは…
本当にお母さんのこと
好きだったんです…。
だから……』


『それじゃあ駄目。』



私はなんとかフォローを
しようとしたが
お母さんの一言で、できなかった。

⏰:09/02/14 02:24 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#718 [幸]
『私は二番目の息子を
殺してしまったわ。
だからその罪を背負って
償わなきゃいけない…。』



『…あなたがいなくては
息子さん、どうするんですか?』

私は思わず叫んでしまった。

これは周りにいた人たち
みんな驚いていた。

⏰:09/02/14 02:27 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#719 [幸]
『気持ちは嬉しいけど…
私はちゃんと罪を償わなうわ。』



『近所の人たち、みんな
知ってたんですよね?
あなたの息子さんが
障害を持ってることを。
なのに…なぜ誰も助けてくれなかったの…?

あなた1人のせいでは
ありません!!』



私はそう言った。
言ってしまった。

⏰:09/02/14 02:32 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#720 [幸]
『鮎川さん!!』

警察官にそう言われたが
私は引き下がらなかった。



『だって可笑しいでしょ!?
周りにいた人たちだって
この親子に対して差別を
してたんですよ!?


聞いたんだから…
あの少年に…。』

⏰:09/02/14 02:34 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#721 [幸]
『鮎川さん……』


お母さんが泣きながら呼んだ。

するとバッグから本を
取り出した。



『この本、知ってる?』

見たことがない本だったが
作者の名前には見たことがある名前があった。

⏰:09/02/14 02:38 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#722 [幸]
そこには、
風見かける


と書かれてあった。



かける……?
いつ本なんて……



『この本、どうしたんですか!?』

思わず聞いてしまった。

⏰:09/02/14 02:41 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#723 [幸]
『この本ね、実は
販売されてないの。』



目の前が真っ暗になった。


『この小説ね、障害者の
苦悩の話しなの。
でも…内容が国民的に
良くなかったのかもね…
“障害者独立支援法”反対!!
っていう内容だったの。』

⏰:09/02/14 02:45 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#724 [幸]
『ちょっ……ちょっと待って下さい!!
なんで!?
それじゃあ表現の自由に反してますよ!?』


私の声は震えていた。
自分でもよくわかった。


『ましてや、難聴だったからね。
この作者。
だから余計潰せやすかったのよ。

聞いた話し、この作者は
ピアノは上手いらしいけど
プロ並みではない。』

⏰:09/02/14 02:50 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#725 [幸]
ちょっと腹がたったが
黙って聞いた。


『それなのに、ピアノの推薦で
アメリカで修行してこいと
大学側からも言われ
多額のお金をあげたの。
この作者のご両親、
つい最近営業に失敗して
お金に困ってたからね…。』



…かける…
私はその場で暴れたかった。

⏰:09/02/14 02:53 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#726 [幸]
『んで、私は知り合いに
内緒で本を印刷してって
頼んだの。』




“……馬鹿らしい…”


思わず呟いた。

⏰:09/02/14 02:55 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#727 [幸]
『えっ……?』


『上の連中が違法してるのに、
国民には法律を守れってか…
上の連中が守らないのも
国民が守るかって…』

⏰:09/02/14 02:58 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#728 [幸]
『最近の子どもは…って
よく大人は言うけど
違う……

大人がそういう汚いことをするから
子どもだって…

…悔しい…』



私はそう言いながら
何度も心の中で
かける
と叫んだ。

⏰:09/02/14 03:01 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#729 [幸]
『あなたが…子どもたちに
教えればいいじゃない。』


『えっ?』



『あなたが、子どもに
大人は汚い。でも
あなたたちはそういう
大人になるなって…』


私はしばらく黙り込んだ。
そして、あることを決心し、
こう話した。

⏰:09/02/14 03:03 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#730 [幸]
『そうします…
私、カウンセラーになって
相談に来た人たち、子どもに
このことを教えます!!


そして人生に迷った人たちの…
案内板になってあげたい…

こういう道がありますって。
でも最終的に決めるのは自分。


そしてあなたの息子さんのような
子どもをもうだしたくない!!

だから案内板になります…



人生の案内板に……』


END

⏰:09/02/14 03:08 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#731 [幸]
完結しますたぁホホ


誤字が結構ありましたことを
お詫びしますホ

すみませんホ


最後まで読んでくれた方
ありがとうございました。

⏰:09/02/14 03:10 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#732 [我輩は匿名である]
お疲れさまです
それぞれの"その後"も気になるので.書いて欲しいです

⏰:09/02/14 09:48 📱:SH906i 🆔:GaH4wDHg


#733 [我輩は匿名である]
続き気になります!

⏰:09/02/14 13:47 📱:W51S 🆔:znqH8BVI


#734 [幸]
>>732
>>733

コメントありがとうございましたx


では、リクエストにお答えしますN

次の作品もよろしくお願いしますm(_ _)m

⏰:09/02/14 14:30 📱:W53H 🆔:v0nXhjkM


#735 [我輩は匿名である]
主さんありがとうございます楽しみにしてます

⏰:09/02/14 15:47 📱:SH906i 🆔:GaH4wDHg


#736 [ちぃ]
>>1ー200
>>201ー400
>>401ー600
>>601ー800

⏰:09/02/18 20:43 📱:D705i 🆔:/RyWQVQE


#737 [ちぃ]
>>1ー200
>>201ー400
>>401ー600
>>601ー800

ごめんなさい

⏰:09/02/18 20:45 📱:D705i 🆔:/RyWQVQE


#738 [翼]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500

⏰:09/02/18 22:05 📱:SO706i 🆔:BEthy1Jo


#739 [我輩は匿名である]
>>501-600
>>601-700
>>701-800

⏰:09/03/13 09:23 📱:SH905i 🆔:XdT7dI4s


#740 [我輩は匿名である]
>>2->>50
>>51->>100
>>101->>150

⏰:09/09/21 17:35 📱:auKC3O 🆔:lhhQffoc


#741 [我輩は匿名である]
>>2-50
>>51-100
>>101-150
>>151-200
>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400
>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600
>>601-650
>>651-700
>>701-750

⏰:09/09/21 17:40 📱:auKC3O 🆔:lhhQffoc


#742 [ん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/27 04:57 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#743 [ん◇◇]
>>1-40

⏰:22/10/27 05:42 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#744 [ん◇◇]
>>710-740

⏰:22/10/27 05:58 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#745 [ん◇◇]
>>1-350

⏰:22/10/27 06:05 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#746 [ん◇◇]
>>350-750

⏰:22/10/27 06:06 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#747 [ん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/27 06:27 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#748 [ん◇◇]
考えさせられました。

⏰:22/10/27 06:42 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#749 [ん◇◇]
>>760-800

⏰:22/10/27 06:50 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#750 [ん◇◇]
>>800-900

⏰:22/10/27 06:50 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#751 [ん◇◇]
>>900-999

⏰:22/10/27 06:50 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#752 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/27 19:35 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#753 [ん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/10/27 23:45 📱:Android 🆔:DE5DdzBs


#754 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/29 20:48 📱:Android 🆔:KebuLim6


#755 [ん◇◇]
<Font size“1”>あああ</font>

⏰:22/11/01 15:39 📱:Android 🆔:JA5ZEyfo


#756 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/11/02 18:48 📱:Android 🆔:v6aTTZj2


#757 [わをん◇◇]
私は何も言わなかった。
すると亮は続けた。

「ナナシさんはもっと幸せに生きるべきだと思います」

『……は?』

何言ってんだ、こいつ。

⏰:22/11/03 18:49 📱:Android 🆔:DPKzmpdw


#758 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/11/05 14:35 📱:Android 🆔:kpts6zww


#759 [わをん◇◇]
>>800-999

⏰:22/11/05 14:35 📱:Android 🆔:kpts6zww


#760 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/11/17 17:00 📱:Android 🆔:.aPzzgpE


#761 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/11/21 19:08 📱:Android 🆔:.FGKzkPw


#762 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/11/23 17:07 📱:Android 🆔:yR7K92nk


#763 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/11/27 19:11 📱:Android 🆔:R320V.AE


#764 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*

⏰:22/12/06 02:32 📱:Android 🆔:uo62Tj4s


#765 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/12/09 12:54 📱:Android 🆔:uLIljJ1w


#766 [わをん◇◇]
>>800-999

⏰:22/12/15 21:21 📱:Android 🆔:dLXCEA1c


#767 [わをん◇◇]
>>900-999

⏰:22/12/15 21:21 📱:Android 🆔:dLXCEA1c


#768 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑ag

⏰:22/12/17 17:02 📱:Android 🆔:gTMgoNuA


#769 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/12/24 21:39 📱:Android 🆔:eoKo7kno


#770 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑(∩゚∀゚)∩age

⏰:22/12/24 21:54 📱:Android 🆔:eoKo7kno


#771 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/12/26 23:39 📱:Android 🆔:K0o6YEWM


#772 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:22/12/27 23:52 📱:Android 🆔:5IKnmUnY


#773 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/01 20:43 📱:Android 🆔:2rUS2lJ.


#774 [わをん◇◇]
>>800-999

⏰:23/01/01 20:48 📱:Android 🆔:2rUS2lJ.


#775 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑a

⏰:23/01/02 13:26 📱:Android 🆔:jK5SBgKM


#776 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:23/01/03 20:39 📱:Android 🆔:5SH1cbfQ


#777 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑(∩゚∀゚)∩age

⏰:23/01/03 20:41 📱:Android 🆔:5SH1cbfQ


#778 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/03 20:42 📱:Android 🆔:5SH1cbfQ


#779 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/05 20:00 📱:Android 🆔:0U.saURM


#780 [わをん◇◇]
>>850-999

⏰:23/01/05 20:00 📱:Android 🆔:0U.saURM


#781 [わをん◇◇]
>>900-999

⏰:23/01/05 20:00 📱:Android 🆔:0U.saURM


#782 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:23/01/05 20:01 📱:Android 🆔:0U.saURM


#783 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)

⏰:23/01/05 20:02 📱:Android 🆔:0U.saURM


#784 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/05 20:16 📱:Android 🆔:0U.saURM


#785 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑(∩゚∀゚)∩age

⏰:23/01/05 20:16 📱:Android 🆔:0U.saURM


#786 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/06 18:40 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#787 [わをん◇◇]
「もう、何か喋りなよ。わたしなんか死んでから独り言ばかりだよ?猫しか遊び相手いないし、つまんない」

⏰:23/01/06 18:41 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#788 [わをん◇◇]
愚痴を言いながらも、わたしはわずかに微笑んでいた。孝の隣は居心地が良い。悪ふざけをしない孝は悪いもんじゃないなと、あの屋上でのひと時以来しばしば感じていた。沈黙すら楽しんでいる。

「二時三十分か」

⏰:23/01/06 18:41 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#789 [わをん◇◇]
公園の時計を見て呟くと、孝の声とぴったり重なった。驚いて隣に視線を向ければ、孝も携帯電話の時計を見ていた。カチカチと、無造作にボタンを押す孝。先程の電話の件もあってつい画面を覗き込んだ。

「孝、何考えてるの?」

⏰:23/01/06 18:42 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#790 [わをん◇◇]
画面にはわたしの名前と電話番号が映っていた。しばらく停止した後、孝は通話ボタンを押した。ゆっくりと耳に近付けると、呼び出し音が響く。三回.......四回.......。

⏰:23/01/06 18:42 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#791 [わをん◇◇]
出るはずがない、と確信しながら、孝の行動の意味を考えていた。結論、理解不能。八回目を過ぎると、孝は電話を切った。溜め息を吐く孝を横目に、少し気まずさを覚えた。孝が、教室で黙祷(もくとう)の時に見せた、わたしの机を見つめていた時のあの目をしていたのだ。

⏰:23/01/06 18:42 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#792 [わをん◇◇]
何を考えているのか……わたしにはわからない。そう、思っていた。孝の漏らした言葉を聞くまでは。


「千恵。おまえはもう帰ってこないんだな、本当に、」

⏰:23/01/06 18:42 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#793 [わをん◇◇]
不意打ちだった。


 有り得ないと思っていたことが現実に起きた瞬間、わたしは顔に熱が昇るのを感じた。かああっ、と頬が熱くなる。孝は、わたしを想ってくれていたのだろうか。

⏰:23/01/06 18:42 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#794 [わをん◇◇]
張り合い相手がいなくなったのを、寂しがってくれていたのだろうか。初めて見た、孝のそんな姿を。九年前に反発しだした関係が、九年ぶりに修復に向かった気がした。よくわからないが、気恥ずかしさでいっぱいになる。この感覚は知っていた。昔、体験したことがある。

⏰:23/01/06 18:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#795 [わをん◇◇]
ランドセルを落としたあの放課後の時と同じだった。自らの熱と、場の空気と、何より恥ずかしさに耐え切れなくなったわたしは、逃げるようにその場を離れた。

⏰:23/01/06 18:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#796 [わをん◇◇]
わたしは走った。顔の熱は冷める兆しはなく、走るスピードを上げてみる。しかし。息切れはしないし、全力疾走なのに思うように速くない。夢の中の全力疾走のような感じだ。それでも。わたしは走った。息切れはないが、疲労感が込み上げてくる。

⏰:23/01/06 18:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#797 [わをん◇◇]
からだが脱力しきって走るのを止めたとき、空を見上げれば茜色の夕空が夜を待っているところだった。嗚呼、不思議だ。わたしは死んだ。なのに。生きていたときより、こころが躍っているような気がする。

⏰:23/01/06 18:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#798 [わをん◇◇]
わたしは怖かった。道標がない未来に怯えていた。突然、影のように闇に紛れて消えてしまうんじゃないかと。突然、煙のように空気に混ざって溶けてしまうんじゃないかと。だけど、いまは違う。わたしは、怖くない。

⏰:23/01/06 18:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#799 [わをん◇◇]
からだが熱い。実際の所、死んでから体温や気温などを感じる機能は遮断されていた。だから熱い、というよりは熱い気がするの方が正しいと思う。どちらにせよ、わたしはいま、赤面しているだろう。

⏰:23/01/06 18:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#800 [わをん◇◇]
わたしのからだを取り巻く熱が引くまでに、かなり時間が掛かった。


 とっぷりと暮れた夜空の下、公園のベンチにいた。さっきの公園とは違う公園。いまにも切れそうな街灯に視線を送りながら、あたまを抱える。

⏰:23/01/06 18:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#801 [わをん◇◇]
>>800-999

⏰:23/01/06 18:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#802 [わをん◇◇]
>>900-999

⏰:23/01/06 18:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#803 [わをん◇◇]
>>950-999

⏰:23/01/06 18:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#804 [わをん◇◇]
変わっていない。九年前と。あの頃は子供だった、なんて、笑ってしまう……わたしは、いまも子供だ。変わっていない。九年前と。九年前に、気持ちを置いてきてしまったのかもしれない。だけど、気付いてしまった。

⏰:23/01/06 18:45 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#805 [わをん◇◇]
九年もの間、全く気付かなかったことに、わたしは、気付いてしまった。じわりじわりと熱が蘇ってくる。


 わたしは、

 孝が、

⏰:23/01/06 18:45 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#806 [わをん◇◇]
満天の星空の下、わたしはこころの奥底に秘めた気持ちを隠した。暗い暗いこころの奥に。二度と上がってこないように。気付いてしまった以上は、仕方がない。わたしは死んだのだ。わたしにはもう、道は残されていない。希望はないのだ。失望することがわかっている以上、封印してしまおう。

⏰:23/01/06 18:45 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#807 [わをん◇◇]
それが良い……そうしよう。その日、わたしはベンチで夜を明かした。



 月曜日の朝になった。

 退屈とは拷問に近い。

⏰:23/01/06 18:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#808 [わをん◇◇]
孝がいるから学校に行く気もしないし、家に帰る気もしない。わたしはいつか消えるのだろうか。その時は、昨日の気持ちも消えていくのだろう。その先には、天国か地獄があるのかな。その時は、昨日の気持ちも一緒に持って行くのだろう。

⏰:23/01/06 18:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#809 [わをん◇◇]
そこで、初めて自分が女々しいことに気付いた。こうした考えを巡らすのは、隠したはずの気持ちが漏れだしている証拠ではないか。振り出しに戻った気がして。こころが空っぽになった気もした。膝をぱんっ、と叩いて立ち上がる。

⏰:23/01/06 18:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#810 [わをん◇◇]
「わたし、これからどうしようかな」

気が重いが、とりあえず家に帰ろうか。ふらふらと家の方角に歩き出した。家の前に着いた。玄関先には父と母の姿があった。

「じゃあ、行ってくる」

⏰:23/01/06 18:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#811 [わをん◇◇]
スーツ姿の父が、鞄を下げて手を上げる。

「行ってらっしゃい」
「今日は早めに帰るよ」

父がそう言うと母は笑った。

「早く帰りたい、でしょ?」
「まぁ、そうだな。じゃ、そろそろ行ってくる」

⏰:23/01/06 18:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#812 [わをん◇◇]
「はいはい。私もこのまま出ますよ」
「良枝。これから、頑張ろうな」

微笑む父に母はまた笑った。その様子に何故か違和感を覚えたが、父に「いってらっしゃい。頑張ってね」と、届かない声を掛けると玄関に向かう。リビングに上がると違和感が一気に増した。

⏰:23/01/06 18:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#813 [わをん◇◇]
あれ。違う。何かが違う。仏壇にわたしの写真がない?母の笑顔があたまにちらつく。父の言葉があたまを過ぎる。


「頑張ろうな」


頑張ろうな?

⏰:23/01/06 18:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#814 [わをん◇◇]
昨日から何かが変だ。前向きだが、何かが違う。わたしは母が家に入って来ないことに気付いた。母の声が再生される。


「私もこのまま出ます」

 出る?

⏰:23/01/06 18:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#815 [わをん◇◇]
何処へ?何故、一昨日帰ってこなかった?何故、一昨日普段着だった?

 何かに弾かれたように家を出る。キョロキョロと辺りを見渡せば、彼方に母の後ろ姿が見えた。わたしは走って後を追う。おかしい。人間のあたまで考えるのも変だが、どうもおかしい。わたしは死んだ。それならば。消滅するのはいつだ?

⏰:23/01/06 18:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#816 [わをん◇◇]
三途の川はどこ?そこにはいつ行くの?それに、まだ見ていない。わたしという死者が存在しているのに、わたし以外の死者の姿を。


 わたしは何だ?

⏰:23/01/06 18:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#817 [わをん◇◇]
ひとつの希望があたまに浮かんだ。希望を断たれた時に傷付くのは嫌だが、往生際が悪いのはわたしの性格だ。だが、それに賭けてみたかった。わたしは死んでしまった。だけど、夢くらいは見ても罰は当たらないだろう。希望くらいは持っても、神様は許してくれるだろう。

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#818 [わをん◇◇]
母の隣を歩き、やがてある建物に着いた。ここは、


「病院?」

 白に統一された建物を見て、気持ちは高鳴った。落ち着け、わたし。まだ早い。答えは母について行けばわかるだろう。

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#819 [わをん◇◇]
施設に入ると、内部を一瞥(いちべつ)してから母は受付を済ました。エレベーターで三階に上がると、廊下を通り抜け、ある病室の前で立ち止まる。母がドアを開ければ、中は個室になっていた。室内を見て、目を丸くした。

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#820 [わをん◇◇]
「なんで?」

そこには。病室のベッドに身を埋めて眠る自分の姿があった。口元には呼吸を助けるためなのか、規則正しい音を出す機械が伸びている。呆然とするわたしの前で、母は、せっせと世話をし始めた。

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#821 [わをん◇◇]
花瓶の水を変えている母を眺めていたら、ふと我に返る。即座に病室の前の名札を見に行けば、桜井千恵と書かれていた。間違いない……わたしだ。もう一度目を向けると、ベッドの上の自分は眠るように胸を上下させていた。予想は当たっていた?わたしは死んでなかった?

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#822 [わをん◇◇]
夢を見ているのではないか。喜びと同時に疑問も溢れた。母や父が元気になった理由は頷ける。


 しかし、自分の葬式は確かにあった。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#823 [わをん◇◇]
ならば。いつ、わたしは生き返ったのだろうか。いやそれより、何故、わたしは肉体に戻れないのだろうか。これは意識不明の昏睡(こんすい)状態というものか。それとも植物状態というものか。それより。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#824 [わをん◇◇]
問題は“からだ”に戻れないこと。何度試しても、映画のように魂が肉体に戻ることはなかった。これじゃあ、生き返ったなんて言えない。肉体は生き返っても、わたしのこころはこうして死んだままだ。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#825 [わをん◇◇]
でも、悲しくはない。ようやく希望が見えた。生きているとわかったその時から、わたしのこころの中心は、あるカンジョウに支配されていた。あの時、奥深くに封印したはずの想いが、いつの間にか溢れ出していた。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#826 [わをん◇◇]
孝。

 この数日、孝は悲しんでいただけかも知れないけど、わたしは変わったと思う。孝には悪いけど、わたしはもう止まれない。例え希望が断たれても、突き進むと決めた。まだやり残したことがある。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#827 [わをん◇◇]
孝の気持ちを聞いていない。盗み聞きはよくないと思うが、いまじゃなきゃ、出来ないのも事実だ。わたしはまた走っていた。学校に行ってみたが今日は孝はいなかった。ならばと、家まで押しかけたが、生憎(あいにく)の不在。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#828 [わをん◇◇]
だったら、と、次の場所にすぐさま向かう。脱力感は最高潮に達していた。だって。もしあそこにいなかったら、しばらく動けなくなるに違いない。

⏰:23/01/06 18:50 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#829 [わをん◇◇]
一歩進む度に、孝に近付いているのだろうか。鎖(くさり)が巻き付いたような重い足を踏み出しながら、歩を進める。やがて足は動かなくなり、そして完全に停止した。


「も、動けない」

⏰:23/01/06 18:50 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#830 [わをん◇◇]
膝に手をつきながら顔を上げる。


「けど……間に合ったっ!」

正面にはあの公園。そしてベンチには大嫌いだったあの男。わたしは微笑みながら足を引きずって、隣に座った。

⏰:23/01/06 18:50 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#831 [わをん◇◇]
「あんたさあ、いい加減にしてよね。死んでからもわたしをいじめる気?」

笑ってみせるが、やけに清々(すがすが)しい。孝は静かに正面を見据えつつ、足を組んでいる。馬鹿馬鹿しい。わたしがこんなに一生懸命になるなんて、生きてた時は思ってもいなかった。

⏰:23/01/06 18:50 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#832 [わをん◇◇]
だが、悪い気分ではない。

「今日はいつもみたいに、退かないからね。答えを聞くまで、粘るよ」

ベンチに身を委ねて空を仰げば、隣から声が響く。

⏰:23/01/06 18:50 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#833 [わをん◇◇]
「不思議な気分だ」
「……え?」
「千恵がいなくなってから、たまに千恵を近くに感じる時がある」

 屋上や公園でのことだろうか。

「いまも」
「うん」

⏰:23/01/06 18:51 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#834 [わをん◇◇]
しばらく沈黙が続く。ちいさく息を吐いて次の言葉を待った。

「なぁ、」

孝を横目でみる。孝は相変わらず同じ姿勢を保っている。今日はやけに独り言が多いね。いつもより饒舌ではないか。少し黙った孝にわたしは視線を送り続けた。

⏰:23/01/06 18:51 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#835 [わをん◇◇]
「俺はおまえが嫌いだったよ」


 うん。それはわかっていた。世界は灰色に変わる。悲しみも衝撃もない。でも大丈夫。わたしは、気付いてしまったから。


「……で?」

 気付いたから、違うんだと、いまは信じれる。

⏰:23/01/06 18:51 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#836 [わをん◇◇]
「嫌いだって、思ってた。いや、思い込んでた」

 ほらね、信じることが出来る。


「あの日の延長線、」

孝は、ひとつひとつ言葉を落としていく。きっとわたしの高鳴りは最高潮に違いない。

⏰:23/01/06 18:51 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#837 [わをん◇◇]
「格好悪いって躊躇(ためら)っていたら、後戻りが出来なくなっていた」

⏰:23/01/06 18:51 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#838 [わをん◇◇]
まただ。またあれが来た。気恥ずかしさがこころを埋めていく。一刻も早くここから去りたい衝動に駆られ、少しずつからだが熱を帯びていく。

⏰:23/01/06 18:52 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#839 [わをん◇◇]
「でも、いまになって俺は、」

 でもね、もう大丈夫。逃げ出したりはしないよ。何より大切なものを見付けたから。

⏰:23/01/06 18:52 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#840 [わをん◇◇]
「好きなんだって、気付けたんだ」


そう言い終えた孝は、切なそうな視線を空に映した。

⏰:23/01/06 18:52 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#841 [わをん◇◇]
「孝……」

 わたしもね、気付いたんだ。孝が、好きみたいだって。だけど、ここまでだよ。わたしは初めから知っていたのかも知れない、こうなることを。

⏰:23/01/06 18:52 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#842 [わをん◇◇]
間に合って良かった。最後に、答えを聞けて良かった。

⏰:23/01/06 18:52 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#843 [わをん◇◇]
>>850-999

⏰:23/01/06 18:52 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#844 [わをん◇◇]
>>850-950

⏰:23/01/06 18:53 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#845 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 18:53 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#846 [わをん◇◇]
>>600-630

⏰:23/01/06 18:53 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#847 [わをん◇◇]
>>630-660

⏰:23/01/06 18:54 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#848 [わをん◇◇]
>>660-700

⏰:23/01/06 18:55 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#849 [わをん◇◇]
>>700-720

⏰:23/01/06 18:56 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#850 [わをん◇◇]
>>700-730

⏰:23/01/06 18:57 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#851 [わをん◇◇]
>>730-760

⏰:23/01/06 18:57 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#852 [わをん◇◇]
>>700-732

⏰:23/01/06 18:57 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#853 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:23/01/06 18:57 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#854 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/06 18:58 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#855 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑(∩゚∀゚)∩age

⏰:23/01/06 19:00 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#856 [わをん◇◇]
TITLE:「 終電の話 」

⏰:23/01/06 19:01 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#857 [わをん◇◇]
「かんぱーい♪」

 四方からグラスが当たる音がする。女の子独特の甲高い声が響いて、一方では女の子らしからぬ酒を手慣れたように"干す"光景。幹事のみきちゃんが立ったままで軽く挨拶をする。

⏰:23/01/06 19:02 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#858 [わをん◇◇]
「今日は本当にみんなお疲れ様!無事に終わることができましたぁ〜♪と、言うわけでみんな!たくさん食べて飲んで、楽しみましょう♪」

このクラスももう2年目。

⏰:23/01/06 19:02 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#859 [わをん◇◇]
何度か飲み会をしてるから、弱い子と強い子、だいたいを把握してる。初の飲み会は、半分が潰れるという大惨事。そんなんじゃあ、せっかくの楽しみも台無しなわけで‥

「あれー?」

⏰:23/01/06 19:02 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#860 [わをん◇◇]
席をたってこちらに出向いた芽衣ちゃんが、私の顔を覗き込む。

「どしたの?」

飲み干したグラスをカラカラと鳴らして応えた。もう何杯飲んだだろう。グラスが空けばすぐに満たされる。私の周りは酒豪が多い‥。

⏰:23/01/06 19:02 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#861 [わをん◇◇]
「さーちゃんって‥弱いんだっけ?」
「へ?弱くないよー。いつもみんなが酔っていく過程を見守ってるもん」

私も酒豪と呼ばれる1人かもしれない。これはたぶん父譲り。母はすぐに顔が赤くなる。けたけたと笑いながら答えた。

⏰:23/01/06 19:02 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#862 [わをん◇◇]
「‥見かけによらずだねぇ」
「芽衣ちゃんは見かけ通りだよ」

世間一般では、彼女を"サバサバ"していると言うだろう。細かいことにはこだわらないような、頼りがいがあるような‥さっぱりした人間。

⏰:23/01/06 19:03 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#863 [わをん◇◇]
「そりゃぁ、どーも」

皮肉たっぷりな笑顔を含ませて、芽衣ちゃんお得意の焼酎ロックがお出迎え。

「私、苦手なんだってばー」
「子供だなー」

水と同じ色をしてるのに、これは強烈。

⏰:23/01/06 19:03 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#864 [わをん◇◇]
昔、傷口に保健室の先生が塗ってくれた消毒液とまるで同じ。飲み物と呼ぶには無理がある。一口もらって、眉間にシワを寄せていると、早くもちらほら酔っ払いたち。陽気に歌い出し、抱き合ったり、自由な方々。

「酔っ払いって面白いよねー。可愛くってしょうがない」

⏰:23/01/06 19:03 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#865 [わをん◇◇]
"め〜い〜♪"と言って抱きついてきた幹事のみきちゃんを構いながら芽衣ちゃんは笑った。普段からどんな系統も着こなす彼女。今日と言う日にボーイッシュ。となれば、そこらの男性よりかイケメンなのかもしれない。

⏰:23/01/06 19:03 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#866 [わをん◇◇]
「なんかこう見ると、カップルみたいだよ?」

いや、本当に。素敵だと思う。

「女の子もいいと思うけどねー」
「‥え?」

「って、女子大にいたら出会いもないし‥最終手段的な?」

⏰:23/01/06 19:03 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#867 [わをん◇◇]
「あー‥なるほど。でも芽衣ちゃん女の子にモテそう」

だんだんと頭が重くなって、目の動きが鈍くなる。なんだか鼻歌を歌いたくなる。どうやら酒豪もさすがに‥

⏰:23/01/06 19:04 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#868 [わをん◇◇]
「よく言われるー。さーちゃんは羨ましいよ。彼氏いて。女子大生で彼氏持ちとか勝ち組だよ?」

「そかなー?ふふ」

むやみやたらに笑みがこぼれる。これ以上はやめておこう‥

⏰:23/01/06 19:04 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#869 [わをん◇◇]
「酔ってんの?」
「んー‥わかんない。んふ」

あー‥終電何時だったかな。
[終電の話/完]

⏰:23/01/06 19:04 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#870 [わをん◇◇]
>>880-920

⏰:23/01/06 19:04 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#871 [わをん◇◇]
>>920-999

⏰:23/01/06 19:04 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#872 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 19:04 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#873 [わをん◇◇]
>>1-40

⏰:23/01/06 19:05 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#874 [わをん◇◇]
 それは。
 突然やってきた。からだに暖かさを感じる。死んでから一度も感じなかった温もりだ。からだが小さく細かい光の粒に変わっていく。目に映る景色も白くなり始め、視界の端から崩壊していった。

⏰:23/01/06 19:06 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#875 [わをん◇◇]
それらの感覚はじわりじわりと、わたしのからだを侵食していく。少しずつ、少しずつ。もう、時間か。どうやら、ようやくお迎えがきたようだ。九年前に止まった時計は、九年の時を経て再び刻み始めた。

⏰:23/01/06 19:06 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#876 [わをん◇◇]
十八年間。

 短いようで長い人生だった。いまから行くのは天国だろうか、地獄だろうか。色々あったが、ようやくわたしの臨死体験は終わりを告げるようだ。

⏰:23/01/06 19:07 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#877 [わをん◇◇]
死んでから気付いた大切な人。



 もし、生き返ることが出来たなら、きっとわたしは告白することが出来るだろう。でも後悔するのは嫌だから、いま言えるだけ言っておこう。いままでありがとう。

⏰:23/01/06 19:07 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#878 [わをん◇◇]
あなたが大好きでした。そして最後に、



 さようなら。


 薄れゆく意識の中で、わたしはゆっくりと微笑んだ。

⏰:23/01/06 19:07 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#879 [わをん◇◇]
しんでから気付く大切な人

fin

⏰:23/01/06 19:07 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#880 [わをん◇◇]
>>890-930

⏰:23/01/06 19:07 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#881 [わをん◇◇]
>>930-999

⏰:23/01/06 19:08 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#882 [わをん◇◇]
>>930-960
>>969-999

⏰:23/01/06 19:08 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#883 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 19:08 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#884 [わをん◇◇]
>>1-40

⏰:23/01/06 19:08 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#885 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/06 19:08 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#886 [わをん◇◇]
TITLE「 終電の話 」

⏰:23/01/06 19:10 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#887 [わをん◇◇]
「何、最近彼女とうまくいってないの?」

 輪切りされたレモン、グラスに入った焼酎、スーパーで買った焼き鳥。

「んー‥そうでもないんだけど。何て言うか‥うーん」

⏰:23/01/06 19:10 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#888 [わをん◇◇]
レンジから取り出した串刺しのそれを、可能な限り口に放り込む……うまい

「倦怠期‥なのかなぁ?」
「なるほどー‥。まぁ長いもんな。何年?」

「高1からだから、4年?」

⏰:23/01/06 19:10 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#889 [わをん◇◇]
申し訳ないけど、今のこの微妙な関係にも何とも思わない。何とかなるような気もするし、なるようになればいいと思うし‥どっかにきっと安心感がある。だって沙耶乃は女子大。

⏰:23/01/06 19:10 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#890 [わをん◇◇]
インカレにも入ってないし、バイト先も年近い人はいないらしいし‥ナンパされるような派手さもない。自然が彼女を縛り付けてるようだ。

「4年かー‥すげぇな。
沙耶乃ちゃん、いいお嫁さんになりそうだな。料理もできるし、しっかりしてるし、一途そうだし」

⏰:23/01/06 19:11 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#891 [わをん◇◇]
沈んだレモンをぼんやり見つめて無心で潰す。うっすらと濁り出す。

「そうかなー。嫁とか‥気が早くない?」

早くも、哲は3杯目。なんか今日ペース早いな‥大丈夫か?

⏰:23/01/06 19:11 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#892 [わをん◇◇]
「いやいやいや。もうここまで来たらさ、今後自分にそこまで尽くしてくれる人は現れないと思うよ?いい女なんて‥そうはいないし」

ふと、哲のグラスを持つ左手に目がいく。何だか以前より、さっぱりしたように見える。全体的に細いから関節の出っ張りが目立つ。

⏰:23/01/06 19:11 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#893 [わをん◇◇]
女の子の好きそうな手。


「あれ?‥指輪は?」

薬指についていたシルバーの指輪。ひとつ上の彼女とのペアリングだと聞いた。

「あぁ‥」

⏰:23/01/06 19:11 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#894 [わをん◇◇]
そう言うと、哲はどこか寂しげに笑って頭を掻いた。そして"フラれた"と、さらっと口にした。やってしまった、と、はっとしても……最早手遅れ。なんて言葉をかけるべきか。イケメンが振られる世の中。こんな俺に彼女がいていいのか?

⏰:23/01/06 19:11 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#895 [わをん◇◇]
「あぁ‥そっか。まぁ、哲はイケメンだしモテるし‥もっと‥」

恐る恐る顔をのぞくと、目が虚ろ‥違う。酒が回ってるのか。哲は眠くなるタイプなんだー‥ありがたい

「哲ー‥?」

⏰:23/01/06 19:12 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#896 [わをん◇◇]
「弘夢、やべ」

しばらくしてやっと口を開いた。空っぽのグラスと散らばった串、レモンの絞り粕、何だか急に寂しくなった。

⏰:23/01/06 19:12 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#897 [わをん◇◇]
「どした‥?吐く?吐いちゃう?」

おろおろして辺りを見渡し、何か受け皿を探していると

「いや‥そうじゃなくて」

あぁ‥終電何時だっけ?

⏰:23/01/06 19:12 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#898 [わをん◇◇]
[もうひとつの終電の話/完]

⏰:23/01/06 19:12 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#899 [わをん◇◇]
>>920-950

⏰:23/01/06 19:12 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#900 [わをん◇◇]
>>950-999

⏰:23/01/06 19:13 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#901 [わをん◇◇]
TITLE「 終電の話 」


「何、最近彼女とうまくいってないの?」

⏰:23/01/06 19:15 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#902 [わをん◇◇]
輪切りされたレモン、グラスに入った焼酎、スーパーで買った焼き鳥。

「んー‥そうでもないんだけど。何て言うか‥うーん」

⏰:23/01/06 19:15 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#903 [わをん◇◇]
レンジから取り出した串刺しのそれを、可能な限り口に放り込む……うまい

「倦怠期‥なのかなぁ?」
「なるほどー‥。まぁ長いもんな。何年?」

⏰:23/01/06 19:15 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#904 [わをん◇◇]
「高1からだから、4年?」

申し訳ないけど、今のこの微妙な関係にも何とも思わない。何とかなるような気もするし、なるようになればいいと思うし‥どっかにきっと安心感がある。

⏰:23/01/06 19:16 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#905 [わをん◇◇]
だって沙耶乃は女子大。インカレにも入ってないし、バイト先も年近い人はいないらしいし‥ナンパされるような派手さもない。自然が彼女を縛り付けてるようだ。

⏰:23/01/06 19:16 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#906 [わをん◇◇]
「4年かー‥すげぇな。
沙耶乃ちゃん、いいお嫁さんになりそうだな。料理もできるし、しっかりしてるし、一途そうだし」

沈んだレモンをぼんやり見つめて無心で潰す。うっすらと濁り出す。

⏰:23/01/06 19:16 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#907 [わをん◇◇]
「そうかなー。嫁とか‥気が早くない?」

早くも、哲は3杯目。なんか今日ペース早いな‥大丈夫か?

⏰:23/01/06 19:16 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#908 [わをん◇◇]
「いやいやいや。もうここまで来たらさ、今後自分にそこまで尽くしてくれる人は現れないと思うよ?いい女なんて‥そうはいないし」

⏰:23/01/06 19:16 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#909 [わをん◇◇]
ふと、哲のグラスを持つ左手に目がいく。何だか以前より、さっぱりしたように見える。全体的に細いから関節の出っ張りが目立つ。女の子の好きそうな手。


「あれ?‥指輪は?」

⏰:23/01/06 19:17 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#910 [わをん◇◇]
薬指についていたシルバーの指輪。ひとつ上の彼女とのペアリングだと聞いた。

「あぁ‥」

そう言うと、哲はどこか寂しげに笑って頭を掻いた。そして"フラれた"と、さらっと口にした。

⏰:23/01/06 19:17 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#911 [わをん◇◇]
やってしまった、と、はっとしても……最早手遅れ。なんて言葉をかけるべきか。イケメンが振られる世の中。こんな俺に彼女がいていいのか?

「あぁ‥そっか。まぁ、哲はイケメンだしモテるし‥もっと‥」

⏰:23/01/06 19:17 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#912 [わをん◇◇]
恐る恐る顔をのぞくと、目が虚ろ‥違う。酒が回ってるのか。哲は眠くなるタイプなんだー‥ありがたい

「哲ー‥?」
「弘夢、やべ」

⏰:23/01/06 19:17 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#913 [わをん◇◇]
しばらくしてやっと口を開いた。空っぽのグラスと散らばった串、レモンの絞り粕、何だか急に寂しくなった。

「どした‥?吐く?吐いちゃう?」

おろおろして辺りを見渡し、何か受け皿を探していると、

⏰:23/01/06 19:17 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#914 [わをん◇◇]
「いや‥そうじゃなくて」

あぁ‥終電何時だっけ?


[もうひとつの終電の話/完]

⏰:23/01/06 19:17 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#915 [わをん◇◇]
>>930-960

⏰:23/01/06 19:18 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#916 [わをん◇◇]
>>960-999

⏰:23/01/06 19:18 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#917 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 19:18 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#918 [わをん◇◇]
>>1-40

⏰:23/01/06 19:18 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#919 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:23/01/06 19:18 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#920 [わをん◇◇]
TITLE「 心の奥底 」

⏰:23/01/06 19:21 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#921 [わをん◇◇]
「ひーくん!ひーくんってば!」
「んあ‥ごめん、どした?」

 何か思い悩んだように、遠くばかりみつめて。会話が続かない。なんだか素っ気ない気もした。

⏰:23/01/06 19:21 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#922 [わをん◇◇]
「‥体調でも悪いの?」
「あぁ‥いや。大丈夫」

せっかくのデートだと言うのに‥寂しいじゃない。"なら良いんだけど"と自分に言い聞かせるように呟いて、手を握る。少しだけソコに視線を向けて、もどかしそうにまた遠くを見た。

⏰:23/01/06 19:21 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#923 [わをん◇◇]
「あ、そうだ!ひーくん‥お願いがあるんだけど」
「‥何?」
「彼女いない友達を、3人くらい集めてほしいの」

⏰:23/01/06 19:21 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#924 [わをん◇◇]
「それって‥合コン?」
「うん‥まぁ、そうかな」

ひーくんの友達と私の友達がくっつけば、めでたさは2倍な気がした。マンネリ化してきた私たちにとって、他人の初々しい恋愛を間近で見守ることは‥たぶん多少なりとも刺激になるはず。

⏰:23/01/06 19:21 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#925 [わをん◇◇]
ややあって、ひーくんは2、3度頷いた。

「じゃあ、後々予定も立てていくから‥できたら来月までには、ね」

笑顔が引きつってるのだろうか‥ひーくんの笑顔も引きつっていた。壁は厚く、高くなる一方だ。

⏰:23/01/06 19:22 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#926 [わをん◇◇]
「ひーくん‥好きだよ?」

確認する意味でそう言った。"好き?"は、重すぎるし、余計に離れていくと思った。

「‥うん。俺も」

⏰:23/01/06 19:22 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#927 [わをん◇◇]
前までは、こんなに言葉にこだわらなかったのに‥ね。普段からあまり言わないのも、わかってる。それが彼なのに‥ものすごく孤独を感じたよ。目を閉じて、触れるだけのキスをした。

⏰:23/01/06 19:22 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#928 [わをん◇◇]
「 心の奥底 完」

⏰:23/01/06 19:22 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#929 [わをん◇◇]
>>940-970

⏰:23/01/06 19:22 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#930 [わをん◇◇]
>>970-999

⏰:23/01/06 19:23 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#931 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 19:23 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#932 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:23/01/06 19:23 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#933 [わをん◇◇]
TITLE「 心の奥底 」

「ひーくん!ひーくんってば!」
「んあ‥ごめん、どした?」

 何か思い悩んだように、遠くばかりみつめて。会話が続かない。なんだか素っ気ない気もした。

⏰:23/01/06 19:25 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#934 [わをん◇◇]
「‥体調でも悪いの?」
「あぁ‥いや。大丈夫」

せっかくのデートだと言うのに‥寂しいじゃない。"なら良いんだけど"と自分に言い聞かせるように呟いて、手を握る。少しだけソコに視線を向けて、もどかしそうにまた遠くを見た。

⏰:23/01/06 19:25 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#935 [わをん◇◇]
「あ、そうだ!ひーくん‥お願いがあるんだけど」
「‥何?」
「彼女いない友達を、3人くらい集めてほしいの」

⏰:23/01/06 19:25 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#936 [わをん◇◇]
「それって‥合コン?」
「うん‥まぁ、そうかな」

ひーくんの友達と私の友達がくっつけば、めでたさは2倍な気がした。マンネリ化してきた私たちにとって、他人の初々しい恋愛を間近で見守ることは‥たぶん多少なりとも刺激になるはず。

⏰:23/01/06 19:25 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#937 [わをん◇◇]
ややあって、ひーくんは2、3度頷いた。

「じゃあ、後々予定も立てていくから‥できたら来月までには、ね」

笑顔が引きつってるのだろうか‥ひーくんの笑顔も引きつっていた。壁は厚く、高くなる一方だ。

⏰:23/01/06 19:25 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#938 [わをん◇◇]
「ひーくん‥好きだよ?」

確認する意味でそう言った。"好き?"は、重すぎるし、余計に離れていくと思った。

「‥うん。俺も」

⏰:23/01/06 19:26 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#939 [わをん◇◇]
前までは、こんなに言葉にこだわらなかったのに‥ね。普段からあまり言わないのも、わかってる。それが彼なのに‥ものすごく孤独を感じたよ。目を閉じて、触れるだけのキスをした。

「心の奥底〜完〜」

⏰:23/01/06 19:26 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#940 [わをん◇◇]
>>960-999

⏰:23/01/06 19:26 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#941 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 19:26 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#942 [わをん◇◇]
>>1-40

⏰:23/01/06 19:26 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#943 [わをん◇◇]
TITLE「 愛想笑い 」 

⏰:23/01/06 19:31 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#944 [わをん◇◇]
「合コン?」
「そう!たぶんひーくんの事だから、イケメン揃えてくれるはず!‥どう?暇つぶしでいいからさー♪」

⏰:23/01/06 19:31 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#945 [わをん◇◇]
帰り道。もう辺りは真っ暗で、空気も冷たい。ちらほらと女の子。小さな路地にあちこち。

「んん‥まぁいいけど」
「よし決まり♪」

もともと、あまり話す機会のなかった芽衣ちゃん。あの飲み会以来、結構頻繁に話すようになった。

⏰:23/01/06 19:32 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#946 [わをん◇◇]
私は人見知りだから、話しかけてもらえるとすごく嬉しい。お酒の力って偉大。

「あたしなんか行っても、がっかりさせるだけだと思うけどねー」

本日の彼女は、女の子らしくロングスカートなんか履いて‥日によってホントに変わるから、時々なぜか戸惑う。

⏰:23/01/06 19:32 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#947 [わをん◇◇]
「芽衣ちゃん、美人さんだし、大丈夫だよーっ。すぐ食われちゃうかもよー?」

けたけたと笑いながら言うと、"何言ってんだか"と鼻で軽くあしらわれた。こういう姉御肌?な人って一緒にいてすごく楽。私自身、末っ子で甘えただから。

⏰:23/01/06 19:32 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#948 [わをん◇◇]
そんな話をしていたら、ぽつり、鼻先に滴が落ちてきた。そう言えば、夜から雨だって天気予報で言ってたっけ。

「芽衣ちゃん、傘持ってきた?」
「あ、うん。」
「さすがー」

⏰:23/01/06 19:32 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#949 [わをん◇◇]
「入れてほしい?」

にやりといじらしく笑って、大きく頷いた私に、仕方なく傘を傾けてくれた。

「ありがとー♪わ‥結構降ってるね」

⏰:23/01/06 19:32 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#950 [わをん◇◇]
傘に当たってるせいか何なのか、妙に滴の音が激しく感じる。どしゃ降りなんて聞いてない。前を歩いていた女の子たちも、足早に帰って行った。そして、人の気配もなくなってゆく。

「あ、芽衣ちゃん!傘のお礼と言っては何だけど‥」

⏰:23/01/06 19:33 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#951 [わをん◇◇]
雨音にかき消されないように、少しだけ声を張る。なぜか緊張した。

「今日、寒いしお鍋にしようと思うんだけどね?よかったら、芽衣ちゃんも一緒にどうですか!」

声を張るばかりに、語尾の疑問符は強調に変わる。何だか好きな人をデートに誘うようだ。

⏰:23/01/06 19:33 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#952 [わをん◇◇]
「いーねー♪‥さーちゃんって1人暮らし?」

その返事を聞いてほっとする。ひとりのご飯はとてつもなく寂しい。肌寒くなって、雨も降ってるとなれば、余計。駅について、身震いひとつ。

⏰:23/01/06 19:33 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#953 [わをん◇◇]
ポケットから冷えた手で携帯を取り出す。少しの期待をこめて溜まった受信メールを開くと、あっさり裏切られてしまう。全部メルマガ。ひーくんは、今日も連絡をくれなかった。自然消滅?そんなのってあり?いい子見つけちゃったかな‥。

⏰:23/01/06 19:33 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#954 [わをん◇◇]
浮気するくらいなら、きっぱり振ってからにしてほしい……なーんて。

「さーちゃん!電車来たよ」
「あ‥うん。早くお鍋お鍋♪」

⏰:23/01/06 19:33 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#955 [わをん◇◇]
隣にいてほしいのは、誰?

「完」

⏰:23/01/06 19:34 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#956 [わをん◇◇]
>>970-999

⏰:23/01/06 19:34 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#957 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 19:34 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#958 [わをん◇◇]
>>1-40

⏰:23/01/06 19:34 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#959 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age

⏰:23/01/06 19:36 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#960 [わをん◇◇]
TITLE「 なみだ 」

⏰:23/01/06 19:37 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#961 [わをん◇◇]
「合コン?」
「そう!たぶんひーくんの事だから、イケメン揃えてくれるはず!‥どう?暇つぶしでいいからさー♪」

⏰:23/01/06 19:37 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#962 [わをん◇◇]
帰り道。もう辺りは真っ暗で、空気も冷たい。ちらほらと女の子。小さな路地にあちこち。

「んん‥まぁいいけど」
「よし決まり♪」

もともと、あまり話す機会のなかった芽衣ちゃん。あの飲み会以来、結構頻繁に話すようになった。

⏰:23/01/06 19:38 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#963 [わをん◇◇]
私は人見知りだから、話しかけてもらえるとすごく嬉しい。お酒の力って偉大。

「あたしなんか行っても、がっかりさせるだけだと思うけどねー」

本日の彼女は、女の子らしくロングスカートなんか履いて‥日によってホントに変わるから、時々なぜか戸惑う。

⏰:23/01/06 19:38 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#964 [わをん◇◇]
「芽衣ちゃん、美人さんだし、大丈夫だよーっ。すぐ食われちゃうかもよー?」

けたけたと笑いながら言うと、"何言ってんだか"と鼻で軽くあしらわれた。こういう姉御肌?な人って一緒にいてすごく楽。私自身、末っ子で甘えただから。そんな話をしていたら、ぽつり、鼻先に滴が落ちてきた。

⏰:23/01/06 19:38 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#965 [わをん◇◇]
そう言えば、夜から雨だって天気予報で言ってたっけ。

「芽衣ちゃん、傘持ってきた?」
「あ、うん。」
「さすがー」

⏰:23/01/06 19:38 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#966 [わをん◇◇]
「入れてほしい?」

にやりといじらしく笑って、大きく頷いた私に、仕方なく傘を傾けてくれた。

「ありがとー♪わ‥結構降ってるね」

傘に当たってるせいか何なのか、妙に滴の音が激しく感じる。

⏰:23/01/06 19:38 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#967 [わをん◇◇]
どしゃ降りなんて聞いてない。前を歩いていた女の子たちも、足早に帰って行った。そして、人の気配もなくなってゆく。

「あ、芽衣ちゃん!傘のお礼と言っては何だけど‥」

⏰:23/01/06 19:38 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#968 [わをん◇◇]
雨音にかき消されないように、少しだけ声を張る。なぜか緊張した。

「今日、寒いしお鍋にしようと思うんだけどね?よかったら、芽衣ちゃんも一緒にどうですか!」

声を張るばかりに、語尾の疑問符は強調に変わる。何だか好きな人をデートに誘うようだ。

⏰:23/01/06 19:39 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#969 [わをん◇◇]
「いーねー♪‥さーちゃんって1人暮らし?」

その返事を聞いてほっとする。ひとりのご飯はとてつもなく寂しい。肌寒くなって、雨も降ってるとなれば、余計。駅について、身震いひとつ。ポケットから冷えた手で携帯を取り出す。少しの期待をこめて溜まった受信メールを開くと、あっさり裏切られてしまう。全部メルマガ。

⏰:23/01/06 19:39 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#970 [わをん◇◇]
ひーくんは、今日も連絡をくれなかった。自然消滅?そんなのってあり?いい子見つけちゃったかな‥。浮気するくらいなら、きっぱり振ってからにしてほしい……なーんて。

「さーちゃん!電車来たよ」

⏰:23/01/06 19:39 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#971 [わをん◇◇]
「あ‥うん。早くお鍋お鍋♪」

隣にいてほしいのは、誰?「 涙 完」

⏰:23/01/06 19:39 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#972 [わをん◇◇]
>>980-999

⏰:23/01/06 19:39 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#973 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 19:40 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#974 [わをん◇◇]
>>1-40

⏰:23/01/06 19:40 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#975 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑

⏰:23/01/06 19:40 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#976 [わをん◇◇]
TITLE「なみだ」

⏰:23/01/06 19:42 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#977 [わをん◇◇]
「あーこれこれ」

 結構な大きさのダンボール箱を取り出し、丁寧に口を開けた。

「うわ。結構立派なやつじゃん」
「これが、500円分のおまけってわけだ。不景気なのに、ご苦労様だな」

⏰:23/01/06 19:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#978 [わをん◇◇]
それをまた丁寧に口を閉じ、俺のリュックの隣に置いた。そして、少々の沈黙。

「あ、あれだよね。哲が酔ったとこって、あんまり見たことなかったよね……うん。なかった」

⏰:23/01/06 19:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#979 [わをん◇◇]
明らかに動揺してますよ、な口調で、1人で淡々と話し出してしまった。沈黙はどうも苦手。相手の心理を読もうと、無駄な労力を消費してしまう。ベッドの上に胡座をかいた哲は、何とも言えないような表情を浮かべ‥うつむいた。

⏰:23/01/06 19:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#980 [わをん◇◇]
「いや‥意識はあったから、そこまでは酔ってなかった。」
「あ、そうなんだ。でもいつもよりペース早かったし、いつもより酔っちゃったんだよな?」

⏰:23/01/06 19:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#981 [わをん◇◇]
自分はどんな答えを期待しているのか。笑い飛ばして肯定してくれたら、きっとなかったことになる。それがいい。今後を考えても、それが最善。だけど‥

「‥ごめんな」
「そんな、謝ることないって」

⏰:23/01/06 19:43 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#982 [わをん◇◇]
いけないんだ。いけないんだ。
 そう考えれば考えるほどに、深みにはまってしまって‥無意識のうちに人は、安定よりも刺激を求めてしまうのかな。

「あれくらいじゃ、俺‥酔わないからさ」

電気が走る。待っていましたと言わんばかりに、俺は‥

⏰:23/01/06 19:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#983 [わをん◇◇]
「弘夢、おいで」


何の躊躇いもなく、その温もりに飛び込んだ。「 なみだ 完」

⏰:23/01/06 19:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#984 [わをん◇◇]
>>990-999

⏰:23/01/06 19:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#985 [わをん◇◇]
>>1-30

⏰:23/01/06 19:44 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#986 [わをん◇◇]
TITLE「なみだ」

「あーこれこれ」

 結構な大きさのダンボール箱を取り出し、丁寧に口を開けた。

⏰:23/01/06 19:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#987 [わをん◇◇]
「うわ。結構立派なやつじゃん」
「これが、500円分のおまけってわけだ。不景気なのに、ご苦労様だな」

それをまた丁寧に口を閉じ、俺のリュックの隣に置いた。そして、少々の沈黙。

「あ、あれだよね。哲が酔ったとこって、あんまり見たことなかったよね……うん。なかった」

⏰:23/01/06 19:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#988 [わをん◇◇]
明らかに動揺してますよ、な口調で、1人で淡々と話し出してしまった。沈黙はどうも苦手。相手の心理を読もうと、無駄な労力を消費してしまう。ベッドの上に胡座をかいた哲は、何とも言えないような表情を浮かべ‥うつむいた。

⏰:23/01/06 19:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#989 [わをん◇◇]
「いや‥意識はあったから、そこまでは酔ってなかった。」
「あ、そうなんだ。でもいつもよりペース早かったし、いつもより酔っちゃったんだよな?」

⏰:23/01/06 19:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#990 [わをん◇◇]
自分はどんな答えを期待しているのか。笑い飛ばして肯定してくれたら、きっとなかったことになる。それがいい。今後を考えても、それが最善。だけど‥

「‥ごめんな」
「そんな、謝ることないって」

⏰:23/01/06 19:46 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#991 [わをん◇◇]
いけないんだ。いけないんだ。
そう考えれば考えるほどに、深みにはまってしまって‥無意識のうちに人は、安定よりも刺激を求めてしまうのかな。

「あれくらいじゃ、俺‥酔わないからさ」

⏰:23/01/06 19:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#992 [わをん◇◇]
電気が走る。待っていましたと言わんばかりに、俺は‥

「弘夢、おいで」

何の躊躇いもなく、その温もりに飛び込んだ。

⏰:23/01/06 19:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#993 [わをん◇◇]
「 なみだ 完」

>>1-30

⏰:23/01/06 19:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#994 [わをん◇◇]
>>1-40
>>30-60
>>60-90

⏰:23/01/06 19:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#995 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑ag

⏰:23/01/06 19:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#996 [わをん◇◇]
>>90-120
>>120-150
>>150-180

⏰:23/01/06 19:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#997 [わをん◇◇]
>>180-210
>>210-240
>>240-270
>>270-300

⏰:23/01/06 19:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#998 [わをん◇◇]
>>300-330
>>330-360
>>360-390
>>390-420

⏰:23/01/06 19:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#999 [わをん◇◇]
>>420-450
>>450-480
>>480-510
>>510-540

⏰:23/01/06 19:50 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#1000 [わをん◇◇]
>>540-570
>>570-600
>>600-630
>>630-660
>>660-730

⏰:23/01/06 19:51 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#1001 [我輩は匿名である]
このスレッドは 1000 を超えました。
もう書けないので新しいスレッドを建ててください。

⏰:23/01/06 19:51 📱: 🆔:Thread}


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