人生の案内板
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#350 [幸]
『そんな、平気だよ』
私はそうノートに書いたが
押しに弱い私はかけるに
送ってもらうことになった。
内心、嬉しかったかも。
:09/01/18 18:27 :W53H :D39xBK4k
#351 [幸]
2人だけでいると
周りの雑音が大きく聞こえる。
“なんで泣いてたの?”
かけるは自分の携帯で
そう打ち、私に見せた。
私は言いたくなかったので
下を向いた。
:09/01/19 12:48 :W53H :stkJuNbg
#352 [幸]
“言いたくない?”
本当にかけるはずるい。
そんな顔で聞かれると
言うしかない。
『13才の少年が障害の弟を
殺害した事件を知ってる?』
と聞いた。
:09/01/19 12:51 :W53H :stkJuNbg
#353 [幸]
“ああ〜あの事件がどうかしたの?”
私は少年のことを話した。
かけるは私が打った文字を
黙って読んだ。
:09/01/19 12:54 :W53H :stkJuNbg
#354 [幸]
“君が泣く必要ないよ
君のせいじゃないから
君は自分がやりたい事をすればいいんだ。”
とても嬉しかったが
私は納得できなかった。
『私ね、夢とかないんだ。
だから人のためになる仕事をしたい…
でもこんな私でも心理学
に興味を持ったの
だから心理学に関わる仕事をしたいんだ。』
:09/01/20 12:54 :W53H :k.nwwmC2
#355 [幸]
するとかけるは私の前に立った。
いつもの優しい顔ではなかった。
見下ろして私を見てたから
余計怖かった。
“かなちゃんは人のために
生きてるの?
違うだろ。”
胸がズ―ン…と鳴ったみたいだった。
:09/01/20 12:59 :W53H :k.nwwmC2
#356 [幸]
図星だったからだ。
かけるは私の本当の気持ちを
察してくれた。
:09/01/20 13:03 :W53H :k.nwwmC2
#357 [幸]
自分も認めたくはないが
そうだと思った。
でも知られたら無性に
腹が立ってきた。
私の何を知ってるの?
何も知らないくせに…
:09/01/21 17:33 :W53H :M3EENPQc
#358 [幸]
『私の勝手でしょ…
これは私の勝手な生き方なの!!』
知ったような口調で言わないで…
“俺は思ったことをただ…”
かけるは驚いてた。
そりゃそうだよね。
:09/01/21 17:35 :W53H :M3EENPQc
#359 [幸]
『…ごめんなさい。
ここでいいよ。
家近いし。
じゃあ、ありがとう。』
そう言って私は走った。
母さんのため…
私は母さんのためにT大
に行こうとした。
自分の人生なのに…。
:09/01/21 17:38 :W53H :M3EENPQc
#360 [幸]
“人ために生きてるの?”
その言葉が邪魔で仕方なかった。
私のこと何も知らないくせに…
私は暫くそう頭で言い続けてた。
すると、あの少年が脳裏に浮かんだ。
:09/01/21 17:40 :W53H :M3EENPQc
#361 [幸]
あっ…
あの少年も私に言われた時
そう思ったのか…。
何も知らないくせに…
今の私と同じ気持ちだったのね。
:09/01/21 17:42 :W53H :M3EENPQc
#362 [幸]
家に帰っても誰もいない。
ついこの前は母さんが
笑ってたのに。
RRR…
突然、電話が鳴りだした。
その音で、母さんの笑顔が
私の頭から消えた。
:09/01/21 17:45 :W53H :M3EENPQc
#363 [幸]
『もしもし?』
『おう、鮎川か!?』
この声は……
『高城先生?
どうしたんですか?』
『L大に行きたいんだろ?
あそこはお前の嫌いな
生物重視だから勉強しときなさい!!』
:09/01/21 17:47 :W53H :M3EENPQc
#364 [幸]
『高城先生……』
『私もね、鮎川と同じ
夢がなかった。
でも、名の知られてる大学さえ卒業すれば
就職するとき、
就職する範囲が広くなるだろ?
でも、鮎川は夢ができた…。
その夢に向かって頑張りなさい。』
…先生……。
:09/01/21 17:50 :W53H :M3EENPQc
#365 [幸]
『はい、ありがとうございます!!』
私は思わず体を深々と下げた。
『諦めるなよ?』
『はい!おやすみなさい』
生物かぁ〜
頑張ろう!!
:09/01/21 17:52 :W53H :M3EENPQc
#366 [幸]
電話を切って、
早速生物を勉強しようとした。
『かな、電話で頭下げても
相手には見えないよ。』
いきなり父さんが現れた。
:09/01/21 17:53 :W53H :M3EENPQc
#367 [幸]
『いつからいたの?』
『今さっき。
ご飯は?』
あっ……
『ごめん、作ってない。』
『え〜』
:09/01/21 17:55 :W53H :M3EENPQc
#368 [幸]
翌日。
『え〜次の模試のため
この時間に志望校を
記入して。』
HRの時、先生にそう言われ
私は第一志望校をL大にした。
:09/01/21 17:58 :W53H :M3EENPQc
#369 [幸]
『おい鮎川。』
休み時間、担任の先生に呼ばれ
相談室に入った。
『お前の頭ならT大に行ける。
なぜL大なんだ?』
こいつは高城先生みたいに
理解してくれなさそう…。
:09/01/21 18:01 :W53H :M3EENPQc
#370 [幸]
『心理学を学びたいんです。』
でも、一応説明をした。
『心理学ぅ!?
まぁ、あそこは有名だからな。
でも心理学ならT大にもあんだろ。
T大じゃダメなの?』
:09/01/21 18:03 :W53H :M3EENPQc
#371 [幸]
『だってL大の方が有名だもん。』
『あのな!!もし論文で
聞かれたらそう答えるのか?』
『論文?』
『あそこは国語がない
代わりに論文なんだよ。』
えええ!?
:09/01/21 18:05 :W53H :M3EENPQc
#372 [幸]
『調べとけよ。
狙ってんだろ?』
『はい!!』
結構理解してくれるじゃん!!
うれしくなった。
:09/01/21 18:07 :W53H :M3EENPQc
#373 [幸]
放課後だった。
ちえみがいつもと違う
雰囲気で私に話しかけたのは…。
『なに?』
私は屋上に呼ばれ
重たい足で登ってきた。
:09/01/21 18:13 :W53H :M3EENPQc
#374 [幸]
『かな…T大に行かないの?
なんで!?あんなに行きたがってたじゃん!?』
『T大より、行きたいと
思った大学があったから…。』
ちえみは何かを言いたさげな表情だった。
:09/01/21 18:15 :W53H :M3EENPQc
#375 [幸]
『ちえみ……?』
『私、かなは羨ましいと思ってた。
いや、嫉妬してた…。
頭いいし、家族仲いいし、運動凄いし…
だから勉強だけは負けたくなかった。
でも、私がどんなに努力しても
かなにはかなわなかった。』
嫉妬………
そんなこと思ってたの?
:09/01/21 18:19 :W53H :M3EENPQc
#376 [幸]
『かなを目標として
今まで勉強してたのに
そのかながランク下げてL大…?
なめてんの?
L大はT大と違って
倍率が低いから入りやすいんだよ。
だからかなならすぐ受かるわ。』
『ちえみはいいよね…。』
言われっぱなしの私じゃない。
言い返してやった。
:09/01/21 18:24 :W53H :M3EENPQc
#377 [幸]
『ちえみは夢があって、
自分の夢のためにT大
を目指して…
でも私は違った。
自分のためにT大を目指してた
わけじゃないの。
でも、ようやく夢見つかったの。
私はその夢のために
L大に行くの。
別に逃げ出したわけじゃないから!!』
ちえみはさらに怒り出した。
:09/01/21 18:28 :W53H :M3EENPQc
#378 [幸]
『私も看護という夢があるわ!!
でもT大を受験する…
私はね、かなと違って
小、中、高ってスライドだったの。
だからT大に入らなきゃいけないの!!』
『でも大学を選ぶにも
最優先したのは小さい頃からの
スライドでしょ?』
外は日が暮れてて
鳥が1羽、速く飛んでいた。
:09/01/21 23:19 :W53H :M3EENPQc
#379 [幸]
『なっ……』
『ちえみはそこまで
看護婦にはなりたいとは
思ってないんじゃないの?』
ここで、こんなところで
友情ってなくなってしまうもんなのかな?
:09/01/21 23:24 :W53H :M3EENPQc
#380 [幸]
かと言って、
ここで私が謝ったら
さっき言ったことが
説得力ないって思われそうだったから
何も言わず去った。
……意見が違うって
大変なんだなぁ。
:09/01/21 23:25 :W53H :M3EENPQc
#381 [幸]
もし、この出来事で
前みたいに話せなくなったら
どうしよう。。。
でもちえみはそんな奴じゃないと思うけど。
かけるも、小早川君も…
なんか最近、ケンカばかりだなぁ。
:09/01/21 23:27 :W53H :M3EENPQc
#382 [幸]
そんなことを考えながら
図書館に行った。
1時間勉強したが、
いつもより集中できなかった。
気晴らしに本を読もうとした。
:09/01/21 23:32 :W53H :M3EENPQc
#383 [幸]
すると“手話”という
文字が見えた。
手話……
手話をできるようになったら
かけると話せる…。
私が振った話のせいで
ケンカになったんだから
私から謝らなきゃ。
:09/01/21 23:33 :W53H :M3EENPQc
#384 [幸]
さっそく席に着き、
やってみた。
おはようございます
こんにちは
さようなら
日常会話をまず覚えよう。
:09/01/21 23:35 :W53H :M3EENPQc
#385 [幸]
私は手話に没頭してしまい、
どんどんページをめくった。
すると、“好き”という文字が目に入った。
こうやって告白するんだなぁ…
と、改めて理解できた。
:09/01/21 23:37 :W53H :M3EENPQc
#386 [幸]
“好き”という言葉は
〜したいという言葉と
同じ動作をする。
へぇ〜…
じゃあもし私がかけるに
告白するとき………
って、私何考えてんだっ!?
:09/01/21 23:38 :W53H :M3EENPQc
#387 [幸]
とりあえず、この本を
借りようと思い、
席を立ったとき
小早川君が私の後ろにいたことに気づいた。
『あっ…鮎川…』
『へっ?』
:09/01/21 23:40 :W53H :M3EENPQc
#388 [幸]
『何してんの?』
『えっ……あっ、そ…』
どうやら私は変な行動をしてたらしい。
私はその本を借り、
小早川君と一緒に帰った。
:09/01/21 23:41 :W53H :M3EENPQc
#389 [幸]
『鮎川!!』
沈黙の中、切り出したのは
小早川君だった。
『この前はごめん!!
俺……』
『違うの…私の方こそ
ごめんなさい…。』
:09/01/21 23:43 :W53H :M3EENPQc
#390 [幸]
『人の意見を勝手に
拒否って…
私の意見が正しいわけじゃないのに。』
そう言って私は歩き出した。
すると小早川君は笑顔で
『これで仲直りだな』
と答えた。
私も笑顔で返事した。
:09/01/21 23:45 :W53H :M3EENPQc
#391 [幸]
『あのさぁ、手話の本を借りて
習得したいの?』
小早川君の突然の質問に驚いた。
でも、なんとか答えた。
『うん、勉強の気晴らしに
手話の本を読んで
日常会話くらいは覚えたいの。』
『なんで?』
『手話で話したいから!!』
:09/01/21 23:48 :W53H :M3EENPQc
#392 [幸]
私は笑顔で言った。
『……誰と?』
小早川君は足を止めて聞いた。
『ん〜私が怪我をした時
ハンカチをくれた人と。』
さすがに本当のことは
言えなかった。
:09/01/21 23:50 :W53H :M3EENPQc
#393 [幸]
『そっかぁ。』
小早川君は再び歩き始めた。
そして、そのまま別れた。
ふと携帯を見てみると、
メールが来ていた。
:09/01/21 23:52 :W53H :M3EENPQc
#394 [幸]
相手はかけるだった。
“今すぐあのレストランに恋。”
うれしかったが
なぜ来いっていう字が恋なんだか。
私は急いでレストランに向かった。
:09/01/21 23:55 :W53H :M3EENPQc
#395 [幸]
『はぁはぁはぁ…。』
レストランの看板には
“準備中”と書いてあった。
私は気にせずに入った。
『やぁ、かなさん。
いらっしゃーい!!』
と、またあの男性がいた。
:09/01/21 23:56 :W53H :M3EENPQc
#396 [幸]
『かけるに呼ばれたんですけど…』
『かけるが聞いてほしいって。』
奥を見ると、かけると
目があった。
その途端、ピアノの演奏が始まった。
:09/01/21 23:59 :W53H :M3EENPQc
#397 [幸]
とても綺麗だった…
イライラしてた気分が
一気に忘れさせてくれる。
かけるのピアノ好きだなぁ。
かけるのピアノは
どこまでも続いていた。
:09/01/22 00:00 :W53H :ORnfeSKs
#398 [幸]
かけるは弾き終わると
私に手話で話しかけてきた。
『‘昨日わごめん!!
このピアノで許して?’だって。』
男性が手話を通訳してくれた。
『平気だよ。
素敵な音楽、ありがと』
かけるは私の口で読んだのか、
ゆっくり笑顔を見せた。
:09/01/22 00:04 :W53H :ORnfeSKs
#399 [幸]
そしてまた手話をした。
『‘家まで送る’だって』
『えっ?いいよ。』
『‘少しぐらい格好つけさせろ’だって。』
『じゃあ、お言葉に甘えて。』
:09/01/22 00:06 :W53H :ORnfeSKs
#400 [幸]
2人でずうっと笑いあってた。
この時間がとても愛しく思えた。
『ごめんね〜。
今日は定休日だったし
かけるがいきなりピアノ
貸してって言うからさ―
ご飯ないの。』
と、男性が言った。
『いいえ、ピアノを
聞くために来たんですから。』
本当はかけると話したかっただけだけど。
:09/01/22 00:11 :W53H :ORnfeSKs
#401 [幸]
『ならよかったぁ。
気をつけてね。』
『はい!!』
『あれ?かなさん、
少し顔、赤くない?』
『そうですか?
走ってきたからだと
思いますよ。』
多分……。
:09/01/22 00:13 :W53H :ORnfeSKs
#402 [幸]
そういえば、あの人も
私のこと名前で呼んでるんだから
私も名前で呼ばないと。
『すみません、名前
なんて言うんですか?』
『ああ―源蔵。
変な名前でしょ?
だからかけるみたいに
“じじさん”って呼んで?』
『…じじさん…』
私は口にだした。
:09/01/22 00:16 :W53H :ORnfeSKs
#403 [幸]
『いやだ…?』
『いえ、店の主人と
こういうあだ名で呼び合う
って凄いうれしいっていうか…』
『そうかい、じゃあね。』
じじさん……
本当にいい人だなぁ。
改めて思った。
:09/01/22 00:18 :W53H :ORnfeSKs
#404 [幸]
私は歩きながら携帯で
文字を打って、
かけると話した。
じじさんとの関係など
色んな話をした。
“両親が亡くなったらしく、
俺の育ての親なんだ。
でもじじいみたいだから
俺がじじさんってあだ名考えたんだ。”
かけるはじじさんの話をするとき
子供のようにはしゃいでいた。
:09/01/22 00:22 :W53H :ORnfeSKs
#405 [幸]
…それにしても暑い。
まだ秋だからかな?
今は温暖化だし。
さっき走って、今歩いてるせいか…?
ああ…かけるが一生懸命
携帯打ってる。
まだ話したいことがあるんだ…。
でも………
:09/01/22 00:24 :W53H :ORnfeSKs
#406 [幸]
そう―。
かけるは耳が聞こえないんだ。
だから私が倒れてた音が聞こえなかった。
おまけに携帯打ってる のに集中してるから、
なおさら――。
:09/01/22 00:25 :W53H :ORnfeSKs
#407 [幸]
隣で歩く気配がない…。
あれ?
かな……?
ようやくかなが倒れてることに気づいたかけるは、
慌てて来た道を戻った。
:09/01/22 11:48 :W53H :ORnfeSKs
#408 [幸]
かな!!
かな!!
心の中で叫んでも
誰も気づかないし、
返事も聞こえないこの世界。
かけるはこんな自分を
どう思ったのだろうか?
:09/01/23 19:59 :W53H :ORM6OE96
#409 [幸]
一方、私は頭はボ―っとしていて
体も熱かった。
か…かける…。
世の中は酷いなぁ。
人が倒れてるのに
知らんふりかよ。
:09/01/23 20:01 :W53H :ORM6OE96
#410 [幸]
誰もタスケテクレナイ…
自分しか、守れないんだ。
自分で立ち上がらなきゃ…。
ザザっと音がした。
誰かが私の前に立っていた。
:09/01/23 20:04 :W53H :ORM6OE96
#411 [幸]
顔を踏ん張ってあげてみる。
かける……?
かけるだ…
息が荒い、かけるの吐息が
頬に当たる。
必死に人差し指を左右に振っている。
:09/01/23 20:06 :W53H :ORM6OE96
#412 [幸]
たしか…その手話は…
私は少し上半身をあげ
左右の胸の少し上を
片手でタッチした。
‘大丈夫だよ……’
その後のことは覚えてない。
:09/01/23 20:10 :W53H :ORM6OE96
#413 [幸]
柔らかい匂い。
ああ、私この匂い好き。
なんだろ?
なぜこんなに癒されるんだろ?
母さん…?
:09/01/24 00:50 :W53H :x4n0L59A
#414 [幸]
母さんがスタスタと歩いてる。
私は必死に追いかけた。
『母さん!!』
やっと追いつき、
母さんの腕を掴んだ。
『…かな。』
母さんは少し悲しい顔で振り向いた。
:09/01/24 00:51 :W53H :x4n0L59A
#415 [幸]
『どうしたの?』
私がそう聞くと、母さんは
さらに悲しい顔をした。
『あんた……L大に行くんでしょ?』
『えっ……?』
母さん………?
:09/01/24 00:53 :W53H :x4n0L59A
#416 [幸]
『私が死んだ日、
誓ってくれたわよね?
絶対T大に行くって…』
『ごめん……
でも私、L大に行きたい…。
約束破っちゃうけど、
違う……母さんとの約束を破ってまで
L大に行きたい…。』
こんなに自分の意見を主張したことがなかった。
:09/01/24 00:55 :W53H :x4n0L59A
#417 [幸]
母さんはどう思ってるのかな?
少し心配になったので
母さんの顔をよく見ようとした。
すると母さんは
『そう…。ならなんで
母に言わなかったの?
最近、私寂しいの。
あなたが仏壇に来てくれなくて。』
:09/01/24 00:58 :W53H :x4n0L59A
#418 [幸]
と、また悲しい顔をした。
『春の頃はよく仏壇に
来て、話しかけてくれたのに。
私との約束を破ってまで
行きたい大学ならそれてよい。
しかし、私にちゃんと
言ってほしかった…。
あなたは私の子どもなんだから。。。』
そう言いながら抱きしめてくれた。
『母さん……。
ごめんね。これからは
ちゃんと話しかけるから…。』
そう言った。
:09/01/24 01:01 :W53H :x4n0L59A
#419 [幸]
『かな。
人の心のわかる人になってね…。』
そう母さんが言うと
私から離れようとした。
『待って!!
なるから行かないで!!
私を置いてかないで!!』
とっさにそう叫んだが
母さんは消えてしまった。
:09/01/24 01:03 :W53H :x4n0L59A
#420 [幸]
『母さん!!』
そこで目覚めた私。
夢……。
んだよ、夢かよ…
てか、ここは…?
見覚えのない風景。
私は記憶を遡ってみる。
:09/01/24 01:05 :W53H :x4n0L59A
#421 [幸]
時計は…!?
携帯で時間を見てみると
7時を回っていた。
『しっ…7時!?』
私は起き上がろうとしたが
体がふらついてしまって、そのままベッドに倒れた。
:09/01/24 01:32 :W53H :x4n0L59A
#422 [幸]
‘こら〜ちゃんと寝なきゃ。’
この文字がいきなり現れた。
かけるの字だ。
かけるが私の顔に近づいてきた。
な…なになになに〜?
心臓が速く動いているのがはっきりわかる。
:09/01/24 01:34 :W53H :x4n0L59A
#423 [幸]
『も、もう大丈夫ですカっっラ…。』
そんなに顔を近づけられると
何を話せばいいのか解らなくなってくる。
かけるは急いでノ―ト
に何かを書き出した。
:09/01/24 01:36 :W53H :x4n0L59A
#424 [幸]
‘熱を計らせて頂いたよ’
『えっ…?』
‘8度もあれば倒れる
てか、俺がもう少し早く
気づいてやれば…’
かけるは悲しい顔をしていた。
その顔が夢の中で出てきた
母さんととてもかぶった。
:09/01/24 01:38 :W53H :x4n0L59A
#425 [幸]
『ううん……
てか、私の話してる事
わかるの?』
今まで普通に話してきたのに…。
そう疑問を持った。
本当はこの話しを反らしたかっただけだが。
‘今、補聴器をつけてるからね
多少聞こえる。’
:09/01/24 01:40 :W53H :x4n0L59A
#426 [幸]
『そうなんだぁ。』
すると、お粥が出された。
『作ったの?』
‘当たり前だろ
食べないと元気でないからな’
私は一口一口、味わいながら食べた。
:09/01/25 23:49 :W53H :9aEmbiE.
#427 [幸]
『おいしい…』
‘誰が作ってもそんな味だよ’
かけるはそうノ―トに書くと
薬の水を出した。
ううん…
かけるが作ったと
わかっているから余計
嬉しくて元気がでるんだよ。
そう心の中で言った。
:09/01/25 23:52 :W53H :9aEmbiE.
#428 [幸]
‘明日も学校だよな?
休んだ方がいいよ’
明日は土曜日。
いつも通り学校はある。
しかし、私はL大合格
を目指している。
時間を無駄にしたくない。
:09/01/25 23:56 :W53H :9aEmbiE.
#429 [幸]
『嫌…。私、一応受験生だし。』
‘風邪治してからの方が
頭に入るよ?’
『嫌。』
かけるは顔で会話してるかのように
表情が豊かだった。
話さなくても、
かけるの言いたいことが分かる。
:09/01/26 14:44 :W53H :yU/awDHY
#430 [幸]
かけるは悲しそうな顔をした。
なぜか私がイジメてるみたいだ。
『わかったよ!!
学校には行かないから
私ん家まで送ってほしいんだけど…。』
‘いいよ。
車に乗れよ’
車!?
えっ…まじ!?
:09/01/26 14:48 :W53H :yU/awDHY
#431 [幸]
かけるはすぐさま、
車の鍵を持って行ってしまったので
私はしぶしぶかけるの車に乗った。
ふと、車の横の建物を見た。
大きな綺麗なアパートがある。
:09/01/26 14:52 :W53H :yU/awDHY
#432 [幸]
ここの二階の一番左に
かけるの部屋があった。
私はかけるがいつも寝ているベッドで…
キャ―と叫びたくなった。
かけるの匂いが体にしみてるかのように
覚えてる。
今乗っている車も
少しだけかけるの匂いがする。
:09/01/26 14:54 :W53H :yU/awDHY
#433 [幸]
そう思ってる時、
かけるが運転席に乗り
隣にいる私に携帯で文字を打ち、
聞いた。
‘かなさんの家の近くに何がある?’
私も携帯で文字を打ち
『〇〇ラ―メン屋がある』
と言った。
:09/01/26 14:57 :W53H :yU/awDHY
#434 [幸]
‘了解’
かけるはそう手話でし、
カ―ナビで〇〇ラ―メン屋を調べ、
そこに向かってアクセルを踏んだ。
運転中の時は話せない。
ちょっと寂しかったが
信号で止まるたびに、
かけるがその時にしか
見せない笑顔で私に微笑みかけてくれた。
その瞬間が無性にかわいくて
頭が重いはずなのに、
忘れてしいそう。
:09/01/26 15:01 :W53H :yU/awDHY
#435 [幸]
そして私の家に到着。
さきほどよりフラフラ
しなくなったが
頭がまだ痛い。
かけるは私の部屋まで
寄り添いながら私を運んでくれた。
さっきはそんなこと
しなかったくせに。
:09/01/26 17:04 :W53H :yU/awDHY
#436 [幸]
‘おれん家にあった風邪薬
ここに置いとく。’
かけるはそうノ―トに書き
私の机の上に薬を置いた。
『ありがと…。』
確か、ありがとの手話は…。
よく思い出しながら
私はお礼の手話をした。
:09/01/26 17:07 :W53H :yU/awDHY
#437 [幸]
するとかけるはとても
嬉しそうに笑った。
‘手話できるの?’
『ううん。挨拶しか…』
‘でも上手だよ
〈大丈夫〉も上手だった’
:09/01/26 17:11 :W53H :yU/awDHY
#438 [幸]
『えっ…えへっ』
‘なに照れてんの?’
『べっ、別に照れてないし。』
‘はいはい。
でもなんで手話を?’
言えるか―!!?
:09/01/26 17:15 :W53H :yU/awDHY
#439 [幸]
絶対言いたくない。
言ったら調子こくもん。
私はしばらく黙っているとかけるは
‘まぁ、別にいいけど’
そうノ―トに書いた。
なぜか寂しかった。
するとかけるは私の机
にあったL大の赤本を取った。
:09/01/26 17:19 :W53H :yU/awDHY
#440 [幸]
‘かなさん、L大目指しているの?’
『うん…
心理学を学びたくて。』
‘ふ〜ん。推薦で?’
…推薦。
:09/01/26 17:21 :W53H :yU/awDHY
#441 [幸]
‘でも心理学部の推薦
はむずいよ
全部論文だし。’
『私はセンターで受験するつもりだけど…』
‘あっ、そうなんだ。’
一般入試の論文をさけるためにね。
:09/01/26 17:23 :W53H :yU/awDHY
#442 [幸]
‘そなんだ。
じゃあ、頑張れよ
待ってっから。’
自分の顔が熱くなってるのが
よくわかった。
『早くかえれ!!』
と叫び、布団にもぐった。
:09/01/28 11:26 :W53H :vvhWMjeI
#443 [幸]
ツンツンと、綺麗な指で
つつるかける。
『なに?』
‘熱あがったんじゃん?
さっき顔が赤かった。’
『いいから早くかえれ!!』
と、叫びながら玄関まで
かけるの背中を押した。
:09/01/28 11:29 :W53H :vvhWMjeI
#444 [幸]
ガチャ―
玄関の開ける音。
『かな?』
『父さん!?』
父さんがこちらをびっくりした顔でみていた。
『だっ……だっ…』
顔をピクピクさせながら
そうきいた。
:09/01/28 11:31 :W53H :vvhWMjeI
#445 [幸]
『父さんこの人は…『お前は黙ってろ!!』
私が言おうとした瞬間、
父さんが怒鳴った。
‘娘さんの友達です。
娘さん、風邪気味だったので
家まで送りました。
では失礼します。’
かけるはそうノ―トに書くと、
私に会釈して帰った。
:09/01/28 12:06 :W53H :vvhWMjeI
#446 [幸]
『なんだよ。ノ―トに
こまこま書きやがって。
そんで俺が来た途端に
逃げやがって。
情けない男。』
私は父のその一言がすごく傷ついた。
それと同時に憤りを覚えた。
『そんなこと言わないで!!
彼は耳が聞こえないの
話さないんじゃない!!
話せないの!!
なんで気づかないの?』
:09/01/28 19:05 :W53H :vvhWMjeI
#447 [幸]
怒鳴り声をあげた私と裏腹に
父は静かな声で言った。
『世の中にはな、かな
みたいな人ばかりじゃないんだよ。
俺みたいに鈍感なやつもいるんだよ。』
そして父は速やかにテレビのスイッチを押した。
:09/01/28 19:07 :W53H :vvhWMjeI
#448 [幸]
一言、謝ればいいのに。
そう思いながら布団に入った。
翌日。
熱もすっかり下がったので
学校に行った。
:09/01/28 19:12 :W53H :vvhWMjeI
#449 [幸]
『かな!!』
ちえみの声に反応してしまった。
いつもなら喜ぶのに。
『ちえみ……』
『私はT大を目指す。
だから…お互い頑張ろ。
あなたは私の友達。
そしてライバル。
私はずうっとこの関係でいたいんよ。』
:09/01/28 19:18 :W53H :vvhWMjeI
#450 [幸]
私はちえみの言葉を決して
忘れないだろう。
こんな友達、初めて。
『私も……。』
私がちえみの立場だったら
こんなことが言えるのか?
いや、ちえみの性格だからこそ
言えるのだ。
そういう所が尊敬してしまう。
:09/01/28 19:21 :W53H :vvhWMjeI
#451 [幸]
もうこの時期になると
休み時間の時でもみんな
勉強している。
勿論、私も。そしてちえみも。
しかし私は休み時間に
なった時必ず携帯をチェックする。
:09/01/28 19:24 :W53H :vvhWMjeI
#452 [幸]
メール……来てません。
一応かけるに謝罪のメールをしたが
返ってきません。
怒ってるのかな…。
ああ〜…
かけるのばか!!
返事よこせ!!
:09/01/28 19:30 :W53H :vvhWMjeI
#453 [幸]
弁当の時、
ちえみが話しかけてきた。
『さっき落ち込んだ顔してたでしょ?
どうしたの?』
弁当の時しか、こういう話をすることができないので、
私は一気に話した。
:09/01/28 19:31 :W53H :vvhWMjeI
#454 [幸]
『向こうはね、大学生よ。
そんな早く来るかな?』
『だって!!』
『かな〜。
あなたって、かける君
がいなきゃだめなのね!』
『んなことない!!』
ちえみは卵焼きを、
私は梅干しを食べていた。
:09/01/28 19:34 :W53H :vvhWMjeI
#455 [幸]
『鮎川!!
何ボ―っとしてる!?』
授業中、数学の先生に怒られた。
『一応、問題解いてますから。』
『その顔でか!?』
カチンときたので、
今まで解いてたノートを見せた。
:09/01/28 19:37 :W53H :vvhWMjeI
#456 [幸]
『いや〜失敬。
鮎川は顔に似合わずやってるんだなぁ。』
クラスがざわっと笑いだした。
弁当の時、
ちえみは卵焼きを一口
くちに入れて聞いた。
:09/01/28 19:40 :W53H :vvhWMjeI
#457 [幸]
『どうしたの?
本当に数学の先生時、
変な顔してたよ。』
『だって…
あれから一週間もメール来てないんだよ!?
絶対嫌われた…。』
…………。
かける……。
:09/01/28 19:43 :W53H :vvhWMjeI
#458 [幸]
『男はメール嫌いじゃん』
『私とのメールに飽きたの?』
『いや、…てか付き合ってないじゃん
かなたち。』
『だって、かけるは電話
できないんだよ?
メールしか連絡取れないんだよ?』
『うん…そだけど…』 『てことは…私と連絡取りたくないんだぁ!!』
:09/01/28 19:50 :W53H :vvhWMjeI
#459 [幸]
『わ…私だって陸から
メールこないときあるよ!』
と、ちえみは言った。
『でも一週間はないでしょ!?』
『あのね―!一応私たちは
つき合ってるからね。』
テンションが低いこの頃。
:09/01/28 19:55 :W53H :vvhWMjeI
#460 [幸]
そして帰りのHRに模試の結果が配られた。
お……L大A判定だ!!
さすが私。(笑)
『T大もAだし。
この調子で頑張れ!!』
担任にそう言われ、
ますます気合いがわいてきた。
:09/01/28 20:58 :W53H :vvhWMjeI
#461 [幸]
今日は父さんはご飯いらないってメールきたし、
あのレストランに行くぞ!
そう思い、急いで学校をでた。
:09/01/28 21:00 :W53H :vvhWMjeI
#462 [幸]
一週間ぶりにきたあのレストラン。
思い切って中に入った。
『やぁ、かなさん。』 じじさんが優しい声で
迎えてくれた。
:09/01/29 10:55 :W53H :WAe8sHqk
#463 [幸]
『じじさん、かけるって
生きてるの?』
『いきなり凄いこと聞くね。
生きてるよ。』
そう話してると、ピアノの音が聞こえた。
私はかけるだと思い
見てみたが、違う人だった。
:09/01/29 10:57 :W53H :WAe8sHqk
#464 [幸]
『かけるがどうかしたの?』
『…メールが来ないんです。』
私はじじさんに話すと
じじさんは腹を抱えて笑っていた。
そんなに笑うことかな?
『んでここに来たと。
でもかなさん、今日は
かける、バイトじゃないんだよ。』
:09/01/29 11:01 :W53H :WAe8sHqk
#465 [幸]
『そうですか…』
私は失礼しましたと言い
レストランをでた。
レストランを出て、
暫く歩いて気づいた。
ご飯食べるんだった…と。
:09/01/29 11:03 :W53H :WAe8sHqk
#466 [幸]
『鮎川!!』
振り向くと、小早川君がいた。
『小早川君…。』
『鮎川!!
国語教えて!!』
私は正直、小早川君と
勉強をしたくなかった。
:09/01/29 11:07 :W53H :WAe8sHqk
#467 [幸]
『なっなんで?』
『俺、今日返ってきた模試
悪くて……。
だからお願い!!』
家に帰ってもかけるから
メール来ないし、
別にいいか。
そう思い、小早川君の頼みを承諾し、
小早川君の後を歩いた。
:09/01/29 11:13 :W53H :WAe8sHqk
#468 [幸]
私は今まで1人で家に
いたことがない。
1人になると、勉強も
スムーズにできないからだ。
1人になると、必ず図書館などで勉強をする。
でもかけると知り合って、
家でも勉強をできるようになった。
勉強すれば、かけるからメールが来るからだ。
なんて単純な理由…。
:09/01/29 11:16 :W53H :WAe8sHqk
#469 [幸]
『鮎川…?』
小早川君がいつもより
低い声で私の名前を呼んだ。
『なあに?』
『図書館、この時間帯
開いてないから
俺んち、来ないか?』
『…いい……。』
:09/01/29 11:19 :W53H :WAe8sHqk
#470 [幸]
なんか…嫌だった…。
『頼むよ…。
俺、国語さえよければ
いいんだよ…。
鮎川っ!!手伝ってくれよ。』
小早川君はだんだんと
大きい声をあげ、
私の肩に手をかけた。
『T大に行きてぇんだよ!!』
小早川君が大声で叫んだ。
:09/01/29 11:24 :W53H :WAe8sHqk
#471 [幸]
『わかったよ…。』
『鮎川っ!!ありがと!』
承諾しちゃった…。
大丈夫だよね…
小早川君は勉強のことしか
頭にないよね……?
私はそう言い聞かせながら
小早川君の家へ向かった。
:09/01/29 11:26 :W53H :WAe8sHqk
#472 [幸]
『大きい…。』
小早川君の家に到着。
にしても、大きい…。
『俺の部屋。』
そう小早川君に誘導され入った。
参考書でいっぱいの部屋だった。
:09/01/29 11:29 :W53H :WAe8sHqk
#473 [幸]
『模試の見直しやろう!』
小早川君はそう言って
準備をし始めた。
…私、なに勘違いしてたんだ…
ちょ―恥ずかしい…。
そう思いながら私も
準備を始めた。
:09/01/29 11:31 :W53H :WAe8sHqk
#474 [幸]
『これさぁ、なんでこうなるの?』
小早川君の質問に私は
丁寧に答えた。
また、私は政治経済が
わからなかったので
お互いに質問し、答えてた。
2時間、模試の見直しをした。
:09/01/29 11:33 :W53H :WAe8sHqk
#475 [幸]
『じゃあ、私そろそろ…』
気づけば8時。
お腹すいたし、帰りたかった。
私が帰ろうとした時
小早川君が私の腕を掴んだ。
『鮎川……』
小早川君の顔がゆっくりと
近づいてくる。
:09/01/29 11:36 :W53H :WAe8sHqk
#476 [幸]
『こっ小早川君…。』
『鮎川って、好きな人いるの?』
その質問に戸惑った。
暫く何も言わなかった。
『いるんだ…。』
:09/01/29 11:38 :W53H :WAe8sHqk
#477 [幸]
『かっ帰るね…。』
私は小早川君の腕を振り払った。
そして逃げるように去った。
『よう、今暇なの―?』
見知らぬ男にからまれた。
:09/01/29 11:43 :W53H :WAe8sHqk
#478 [幸]
時計は8時半を指していた。
私は今までこんな夜に、
1人で出歩いたことがなかった。
だからこんな経験も初めて。
『すみません…。』
そう言って逃げようとしたが
囲まれていた。
:09/01/29 11:45 :W53H :WAe8sHqk
#479 [幸]
何か話しているが、
全く耳に入らなかった。
怖い……
怖い。。
嫌…
『かける―!』
思わず、叫んでしまった。
:09/01/29 11:49 :W53H :WAe8sHqk
#480 [幸]
『かっ…かけるだとぉ!?』
『やべーよ、この女。』
『逃げるぞ。』
と、逃げていった…。
………?
なぜに?
:09/01/29 11:51 :W53H :WAe8sHqk
#481 [幸]
私はなるべく大通りを
通って帰った。
玄関に誰かがいた。
『かける……?』
かけるがこっちを振り返った。
:09/01/29 12:02 :W53H :WAe8sHqk
#482 [幸]
‘今日、じじさんの所
に行ったらかなさんが
来たって言われて…’
携帯でそう打たれていた。
私も携帯で打った。
『私の父さんがご迷惑
をおかけしました。』
:09/01/29 12:04 :W53H :WAe8sHqk
#483 [幸]
‘娘思いのいい父親だよ’
『そうかな?』
‘ああ。’
なぜか、かけるといると
自然に笑いがこみ上げてくる。
:09/01/29 12:06 :W53H :WAe8sHqk
#484 [幸]
‘テストだったからメール
できなかった。
ごめんな。’
『大丈夫だよ。』
‘本当に?’
『本当だよ!!』
なんだ…テストだったのか。
今までの私、なんだったんだ…。
:09/01/29 12:08 :W53H :WAe8sHqk
#485 [幸]
『と、言うわけなんです。』
翌日、学校でさっそく
ちえみに話した。
小早川君のことを除いて。
『あんたも早とちりなんだから。』
ちえみは笑いながらそう言った。
:09/01/29 12:10 :W53H :WAe8sHqk
#486 [幸]
『てか、文化祭来るの?』
ちえみがワクワクしながら聞いてきた。
文化祭……。
ここの文化祭は主に
2年生がメインだ。
3年生は受験なので…
だからカップルはよく
一緒に回っていた。
:09/01/29 12:14 :W53H :WAe8sHqk
#487 [幸]
『ちえみは?』
『陸が来てくれるんだぁ!!』
幸せそうに笑うちえみ。
私もかけるに聞いてみよう!!
:09/01/29 12:15 :W53H :WAe8sHqk
#488 [幸]
私はその夜、メールで
かけるに文化祭のことを言った。
‘いいよ。
高校の文化祭懐かしいな。’
と来た。
いやっったぁぁ!
私は今まで勉強と両立して手話も勉強してた。
文化祭の日までなるべく
携帯を使わないでかけると話せるようになる!!
と決めた。
:09/01/29 12:39 :W53H :WAe8sHqk
#489 [幸]
文化祭当日。
『陸くん、いる!?』
私はちえみに聞いた。
『ちえみ!!』
その時、金髪の男がそう叫んで
こっちに来た。
:09/01/29 15:01 :W53H :WAe8sHqk
#490 [幸]
『陸…』
ちえみは恥ずかしがっていたが
嬉しそうだった。
『あなたがかなさん?
ちえみがいつもお世話に
なってます。』
外見怖いのに、すごく
礼儀のある人でした。
:09/01/29 15:02 :W53H :WAe8sHqk
#491 [幸]
『いえ…こちらこそ。』
私も挨拶をした。
『かな!!かけるさんが
来たらメールしてね!!』
ちえみはこう言うと
陸くんと一緒に回った。
:09/01/29 15:05 :W53H :WAe8sHqk
#492 [幸]
予定より5分遅れている。
暫く待つことにした。
突然ツンツンと突かれた。
この匂い…かけるだっ!!
振り向くとかけるが笑っていた。
:09/01/29 15:07 :W53H :WAe8sHqk
#493 [幸]
『遅い〜!』
‘悪い悪い…’
私たちも歩き始めた。
‘手話うまくなったね’
『だって頭いいから』
‘言ったよ〜この子。’
:09/01/29 15:09 :W53H :WAe8sHqk
#494 [幸]
かけるとの会話が楽しかった。
私が手話を勉強したので
さらに楽しいと感じた。
‘クレ―プ食べたい’
『じゃあ並んでるね』
:09/01/29 15:13 :W53H :WAe8sHqk
#495 [幸]
かけるって甘いもの好きなんだ!
するとかけるが千円を私にくれた。
『えっいいよ。』
‘いいから。’
まだ曖昧な手話なのに
かけるは嬉しそうに手話で話してくれた。
会話することがこんなにも
楽しいことがわかった。
:09/01/29 15:17 :W53H :WAe8sHqk
#496 [幸]
あっ…
『かける!何がいい?』
と手話で聞いた。
‘チョコで’
『わかった』
かけるは本当に表情が豊か。
でもかけるの心の中までは
わからなかった。
:09/01/29 15:20 :W53H :WAe8sHqk
#497 [幸]
『おいし〜』
‘食べすぎると太るよ’
『太らないよ。』
何かの視線に気づいた。
ふと周りを見てみると
みんな私たちのことを見ていた。
:09/01/29 15:24 :W53H :WAe8sHqk
#498 [幸]
もしかして…私たちの
手話を見て―?
私はかけるの顔を見た。
かけるはその視線に最初から気づいていたのか
寂しく笑っていた。
『無理に手話をしなくても…』
私は小さい声で話した。
:09/01/29 15:27 :W53H :WAe8sHqk
#499 [幸]
‘別にいいさ。
俺は。慣れてる。
こういう目で見られてるの。’
かけるは携帯でこう打った。
どうすればいいかわからなかった。
今まで私に見せた笑顔は
偽りの笑顔だったのか?
それさえ疑問を持つようになった。
:09/01/29 15:32 :W53H :WAe8sHqk
#500 [幸]
『本当に?』
私は手話で聞いた。
‘かなさんは人目を
気にするの?’
かけるも手話でこう聞いた。
:09/01/29 15:34 :W53H :WAe8sHqk
#501 [幸]
『…時と場合によるかな…?
でも、かけるがいいなら
よかった。』
もし、私がかけると出会う前に
手話しているカップルがいたら
どんな目で見ていただろうか?
:09/01/30 14:19 :W53H :Pzd97v82
#502 [幸]
おかしいの?
なぜみんな笑ってるの?
ただ話してるだけじゃん!?
それを笑ってるの!?
トントンとかけるに叩かれ
我に返った。
:09/01/30 14:21 :W53H :Pzd97v82
#503 [幸]
‘場所を変えよう’
そう言われ、あまり人がいない
図書室へ行った。
すごく静かだった。
外にはありの集団のような人ごみ。
:09/01/30 17:07 :W53H :Pzd97v82
#504 [幸]
『次どこに行く?』
私はワザと明るいふりをした。
‘なぁ、俺と一緒にいて
楽しい?’
かけるからそんなことを聞かれ
とてもショックを受けた。
:09/01/30 17:09 :W53H :Pzd97v82
#505 [幸]
『楽しくなきゃ一緒に
回ろうなんて誘わないから。』
‘なんか…今のその顔
つまらなさそう。’
『なんで!?』
‘俺は耳が悪い分、
人の顔を人一倍よく見る。
かなさんの顔、つまらなさそう。’
:09/01/30 17:12 :W53H :Pzd97v82
#506 [幸]
『そんなことない!!
それは被害妄想じゃないの!?』
私が言った途端、かけるは
とても怖い顔をした。
‘かなさんは分からないんだよ!!
俺の気持ちが。
被害妄想してしまうほど
しょっちゅう笑われてたんだよ!!’
:09/01/30 17:16 :W53H :Pzd97v82
#507 [幸]
やっぱり…無理なのかな?
健常者と障害者が仲良くなるって。
自然に涙が出てきた…
かけるは私の涙をみて
ぎょっとした顔をしてた。
:09/01/30 17:17 :W53H :Pzd97v82
#508 [幸]
『トイレに行ってくる』
と手話で言い、私は
トイレで大粒の涙を流した。
『はぁ〜』
鏡を見てみると目が赤かった。
:09/01/30 17:21 :W53H :Pzd97v82
#509 [幸]
『あれ?ここの高校だったの!?』
トイレから出てみると
あのチンピラのグループがいた。
なんでこんな所にいるんだぁ!?
普通いなくね?
泣いてた顔が一気に青白い顔になった。
:09/01/30 17:23 :W53H :Pzd97v82
#510 [幸]
『お前、かけるって叫んだろ?
叫んでも来るわけね―だろ!』
『本当だよ。
かけるは耳聞こえなくなったんだからなぁ』
今度はチンピラの言葉が
しっかりと聞こえた。
:09/01/30 17:25 :W53H :Pzd97v82
#511 [幸]
『脅かしやがって…』
よく私の顔覚えてるな…
そう思い、逃げようとした時、
誰かにぶつかった。
:09/01/30 17:27 :W53H :Pzd97v82
#512 [幸]
『なに逃げようとしてんだよ!!』
そう1人が叫び、
近くにあったゴミ箱を蹴った。
『かける…』
私がそうつぶやいた。
:09/01/30 17:28 :W53H :Pzd97v82
#513 [あすか]
がんばってください
この小説大好きです!
:09/01/30 18:22 :P703i :iv0qlvd.
#514 [幸]
>>513ありがとうございます
かなり励みになります~
:09/01/30 20:13 :W53H :Pzd97v82
#515 [幸]
>>512から
そう呟いた時、見覚え
のある人差し指が現れた。
‘どうした?’
顔をあげてみる。
かける……なんで?
:09/01/30 20:16 :W53H :Pzd97v82
#516 [幸]
『うっ……かける兄…』
1人の男がそう呟いた。
かける…兄!?
…兄!?
『かっ…風見先輩っっ』
他の人たちもみな、言葉を失った。
:09/01/30 20:19 :W53H :Pzd97v82
#517 [幸]
『知り合いなの?』
私は手話で聞いてみる。しかしかけるは黙っていた。
『姉ちゃん!!通訳してくれ。』
チンピラの1人がこう頼んだ。
私は黙ってうなずいた。
:09/01/30 20:22 :W53H :Pzd97v82
#518 [幸]
かけるはチンピラたちを
見ながら手話を始めた。
『‘もうお前らと話すことはない。
早く俺の前から消えろ。’と…。』
『かける兄!!
俺ら…あんたに謝りたくて…』
私は一生懸命通訳をする。
:09/01/30 20:27 :W53H :Pzd97v82
#519 [幸]
『‘嫌、あの時は俺の
方が悪かった。
すまなかった…。
だから早く俺の前から
消えろ。
さもないと、俺の体が
耳がてめえらを許さない。’と…。』
『すみませんでした!!』
と、チンピラは大きな声をあげながら
消えて行った。
:09/01/30 20:30 :W53H :Pzd97v82
#520 [幸]
かけるはゆっくり歩き始めた。
『かけるっ!!』
私は必死にかけるの腕を
掴もうとした。
しかし、かけるはくるっと振り返った。
そして手話をし始めた。
:09/01/30 20:33 :W53H :Pzd97v82
#521 [幸]
‘さっきはごめん…
八つ当たりしてた。
やっぱ羨ましかった。
かなさんが。’
『ううん…私の方こそ
ごめん…。
かけるさんの気持ち
わからなくて。』
その時あの匂いがした。
柔らかい、私の大好きな匂いが…。
:09/01/30 20:37 :W53H :Pzd97v82
#522 [幸]
文化祭も終わり、
かけると一緒にレストランへ向かった。
私はそこで勉強をし、
かけるはピアノを弾いていた。
じじさんが私の方に来て
『今日は何かあったの?』
と聞いてきた。
:09/01/30 20:39 :W53H :Pzd97v82
#523 [幸]
『今日は私の高校の
文化祭だったので一緒に
回ったんです!!』
私はウキウキして答えた。
『楽しかったのかい!?』
じじさんが優しく聞いた。
『はいっ!』
私は笑顔で答えた。
:09/01/30 20:42 :W53H :Pzd97v82
#524 [幸]
『ちょっと話して大丈夫かね?』
『大丈夫ですよ。
休憩しようと思ったんで。』
するとじじさんが
コ―ヒ―を一口飲み、
ゆっくりと語り始めた。
:09/01/30 20:44 :W53H :Pzd97v82
#525 [幸]
かけるはY高校の
不良……だったんだ。
この辺でも有名でね。
あっ、不良っていっても
いきがってる程度でね。
いつも通り、喧嘩をしてたんだって。
でもその喧嘩は激しくて…
そこでかけるは聴力をなくしたんだ。
:09/01/30 20:49 :W53H :Pzd97v82
#526 [幸]
「聞こえねー聞こえねー!!
なんでだ!?
なぜ音が聞こえねーんだぁぁ!?」
裏の倉庫で叫びながら泣いてた。
私はかけるとそこで初めて出会った。
私はかけるをこの店に呼んで
しばらく話たの。
:09/01/30 20:54 :W53H :Pzd97v82
#527 [幸]
話したっていっても筆記でね。
「病院に行こう?
私が連れて行くから。
親は?」
「知らない。」
「なんで?」
「親は金だけ置いて行く。」
なんかね…ショック受けたね。
あの時は。
:09/01/30 20:58 :W53H :Pzd97v82
#528 [幸]
それでね一旦かけるの家に戻って
お金と保険証を取りに来たんだ。
いや―封筒の中に20万あったのは
びっくりしたね。
それで病院に行った…。
:09/01/30 23:05 :W53H :Pzd97v82
#529 [幸]
私もかけるも、喧嘩で
鼓膜が切れただけかと思った。
でも違った…。
神経に障害があったんだ。
その障害のせいで
かけるの耳は奪われたんだ。
手術しても治らない…。
:09/01/30 23:16 :W53H :Pzd97v82
#530 [幸]
『今まで、聞こえてたんだ…。』
自分がいつ、不自由になるかわからない。
五体満足の人たちは
その有り難さがわからないだろう。
自分が、あるいは周りにいる人たちが
五体不満足になったら
初めて実感する……。
私はそうだった。
:09/01/30 23:19 :W53H :Pzd97v82
#531 [幸]
『私がなぜかなさんに
この事を話したかというとね、
……かけるが笑ったんだ。』
『えっ?』
かけるのピアノが静かに
流れていた。
:09/01/30 23:34 :W53H :Pzd97v82
#532 [幸]
『かなさんから文化祭
一緒に回ろうって誘われた!
耳が聞こえなくなってから
初めて女に誘われたって
喜んで私の所に来たよ。』
じじさんも、まるで
かけるを息子のように
可愛がっているせいか、
嬉しそうに話していた。
…そうか……。
だからここはこんなにも
暖かいんだぁ。
:09/01/30 23:37 :W53H :Pzd97v82
#533 [幸]
『なんでもじじさんに
話すんですね。』
私はそう言い、水を一気飲みした。
『そりゃ、かけるは私の子。
…だと思って育ててるもん!』
じじさんは少し強調して言った。
:09/01/30 23:43 :W53H :Pzd97v82
#534 [幸]
『じじさん!!
私今ね、手話覚えてる
最中なの!
じじさん、私と会話してる時も
なるべく手話で話してくれませんか?』
じじさんが羨ましかった。
かけるは私には何も話してくれないし。
って……嫉妬!?
まさかね。相手は男なんだから……。
:09/01/30 23:46 :W53H :Pzd97v82
#535 [幸]
『いいよ。じゃあ今から
始めよう!』
にもかかわらず、じじさんは
笑って答えてくれた。
:09/01/30 23:48 :W53H :Pzd97v82
#536 [幸]
月日は流れ、12月。
クラスメートはみな、
模試の結果で大学を決めてるので、
前よりさらにカリカリしてた。
一方私は1、2年生より
勉強してない。
でも、本当に行きたい
大学が決まったせいか、
家事をしながらの勉強の方が
頭に入る。
:09/01/30 23:52 :W53H :Pzd97v82
#537 [幸]
『かな!』
『ちえみ!!』
今年最後の模試の結果が
配られた。
『A判定だった!!』
『私も!!』
ちえみと一緒にA判定が取れて
嬉しかったというより
ホッとした。
:09/01/30 23:55 :W53H :Pzd97v82
#538 [幸]
『かなはセンターでL大でしょ〜?
頑張ってよ!!』
『オッス!!』
私はセンターのみで受験する。
ちえみはセンターの8割
を取らないと一般を受験
させてもらえないらしい。
でも、お互い頑張らなきゃ!!
:09/01/30 23:57 :W53H :Pzd97v82
#539 [幸]
『かなは〜まだかけるさんと
付き合わないの〜?』
『ブッ!!』
私がパンを食べてる時に
ちえみがそんなことを
言うから、びっくり
して吐いてしまった。
『うわ―!汚い!!』
『ちょ…ちえみのせいでしょ!!』
:09/01/30 23:59 :W53H :Pzd97v82
#540 [幸]
『かなから先に告白
した方がいいと思うけどなぁ。』
『ゴホッ…なんで?』
『障害がある人って
なかなか自分に素直になれないと思う。
もしかなが本当に好きなら
告白したら〜?』
ちえみの言うとおりかも…。
:09/01/31 00:02 :W53H :93T71IzM
#541 [幸]
『いいこと言うね!!』
『ちえみ様だから!』
ちえみはこうなんだから…。
でも、それがちえみのいいところ……。
告白…かぁ。。。
:09/01/31 00:04 :W53H :93T71IzM
#542 [幸]
告白……。
しばらく考えこんだ。
『むっ…無理!!』
ガタンと音をたてながら
座っていたイスから立ち上がった。
ちえみも、クラスメートも
驚いた顔で私を見た。
:09/01/31 00:25 :W53H :93T71IzM
#543 [ぽぽ]
この小説、一番好き
頑張って下さいね
:09/01/31 01:17 :F01A :5XQ2sksE
#544 [幸]
>>543本当にありがとうございます
頑張らさせていただきます
:09/01/31 01:41 :W53H :93T71IzM
#545 [幸]
ここ最近、
私はかけるがピアノを弾く日は
必ず私も勉強をしながら
演奏を聞いていた。
そして終わった後、
私を家まで送ってくれる。
それが当たり前のようになっていた。
でも、その当たり前があって
本当に嬉しかった。
:09/01/31 01:44 :W53H :93T71IzM
#546 [幸]
かけるがピアノを弾いている日は
月、水、金曜日。
火、土曜日は普通にあそこで
バイトをしてる。
私は正直、かけるの過去も今も知りたい…。
でも、この前、じじさんから聞いた
かけるの過去。
:09/01/31 01:46 :W53H :93T71IzM
#547 [幸]
私には両親亡くなったって
言ったくせに……。
この疑問が今になっても消えない。
…私もまだ聞きたくないのかもしれないが……。
:09/01/31 01:47 :W53H :93T71IzM
#548 [幸]
『明日から冬休みだ!!
いいなっ!!受験生の
クリスマスとお正月は
3月だっ!!
3月にクリスマスツリーや
鏡餅を飾りなさい!!』
『んな奴いねーよ。』
伊勢のいい声をあげる先生と
どっと笑うクラス。
あと少しでセンター試験。
:09/01/31 01:51 :W53H :93T71IzM
#549 [幸]
やはり、かけるに告白なんてできない。
だって、今センター試験の勉強なんだもん!!
今日は金曜日。
私は6時まで学校で勉強し、
かけるのレストランへ行った。
:09/01/31 01:53 :W53H :93T71IzM
#550 [幸]
『やあ、かなさん。』
『じじさん、こんちは。』
私はいつもの席に座った。
『クリスマス、かけると過ごすの?』
じじさんにいきなりそう聞かれ、
驚く私。
:09/01/31 01:55 :W53H :93T71IzM
#551 [幸]
『な…なぜですか?
そんなこと、言われませんよ。』
『そ―かい。ん〜…』
じじさんはしばらく考えこんでいた。
『どうしたんですか?』
と、聞いてみた
:09/01/31 17:46 :W53H :93T71IzM
#552 [幸]
『いや、聞いてみただけ。
センター、頑張ってな!!』
じじさんはそう言うと、
仕事を始めた。
クリスマスね…
そりゃ、かけると過ごしたい…。
でも無理だよね。
:09/02/01 12:35 :W53H :M8rkFUEs
#553 [幸]
私はいつも通り、
かけるの綺麗なピアノを聞きながら
勉強をした。
‘帰ろう’
かけるにそう言われ
いつも通り一緒に帰った。
しかし、いつもとは違う雰囲気だった。
:09/02/01 12:38 :W53H :M8rkFUEs
#554 [幸]
いつもならくだらない会話で盛り上がるのに、
今日は会話など全くしない。
『どうしたの?』
聞いてみた。
するとかけるは頭をかいて
ゆっくり手話を始めた。
:09/02/01 12:40 :W53H :M8rkFUEs
#555 [幸]
‘明日も勉強するの?’
『うん…。』
心臓の音が五月蝿い。
なんでかけるだと
こんなにも心臓が騒ぎだすのか?
:09/02/01 12:42 :W53H :M8rkFUEs
#556 [幸]
‘夜ご飯だけ…時間とれる?’
いつもとは遅いペースで
手話をした。
きた―!
よしっっ!!
『うん!!』
と、返事をした。
今、私はどんな顔をしてるのかな?
かわいい顔ならいいんだけどなぁ。
:09/02/02 00:15 :W53H :ksjK79ro
#557 [幸]
‘まじで!?’
かけるの手話がいつもより
早くなった。
『まじで。』
この会話が筆記だったら
ハ―トをつけたい気分だった。
:09/02/02 00:17 :W53H :ksjK79ro
#558 [幸]
クリスマス当日。
私は朝早く起きて勉強をした。
そして、家事をし
父さんの夜ご飯を作った。
慣れない化粧のせいか、
予想以上に時間がかかった。
集合は6時。
初めて出逢った所に。。
:09/02/02 00:20 :W53H :ksjK79ro
#559 [幸]
私は早めに家を出た。
ゆっくりと歩き出す。
10分前に到着してしまった。
ここで、初めて出逢ったことを思い出した。
私が泣いてて…
いきなりハンカチだしてきて…。
:09/02/02 00:22 :W53H :ksjK79ro
#560 [幸]
私からアドレスを聞いて…。
…あの少年と出逢ったからだ。
そして自分の愚かに呆れて
泣いたんだ。
あの少年に出逢ってなかったら
かけるに会うことはなかったんだ…。
あの少年は元気なのかな…?
うまくやってるのかな?
:09/02/02 00:24 :W53H :ksjK79ro
#561 [幸]
あの少年のおかげで
心理学を学ぼうと思った。
今の私がいるのは…
あの少年のおかげ……。
そ―いやなんで私はあの時
おにぎりをあげたのかな?
:09/02/02 00:26 :W53H :ksjK79ro
#562 [幸]
ツンツンと優しくつつかれた。
後ろにかけるがいた。
私は現実に戻り、
今ここにある幸せを感じた。
‘待った?’
『大丈夫だよ。』
:09/02/02 00:28 :W53H :ksjK79ro
#563 [幸]
するとかけるはいきなり
私の右手をとった。
そして優しく繋いだ。
ドキッと心臓が大きく動いた。
そして小さくドキドキと
リズムに合わせて動き始めた。
‘だいぶ待っただろ?
手冷たいよ!’
:09/02/02 00:31 :W53H :ksjK79ro
#564 [幸]
『じゅっ…10分くらいだけだよ』
急に恥ずかしくなり
手を離してしまった。
なにやってんだよ!?
私………
馬鹿か!?
こんないいチャンスを。
‘場所はどこがいい?’
:09/02/02 00:34 :W53H :ksjK79ro
#565 [幸]
『かけるのピアノが聞きたい!』
私は慌てながら言った。
‘いつも聞いてるだろ’
『“耳なしほういち”
を聞きたいの!』
するとかけるは怒った顔で
‘ダメだっっ!!’
と手話をした。
:09/02/02 00:37 :W53H :ksjK79ro
#566 [幸]
『…かける…?』
なんでそんなに怒るの?
かけるは少し慌てた様子で
‘俺ん家で聞かせるから’
と手話をした。
:09/02/02 16:38 :W53H :ksjK79ro
#567 [幸]
『場所なんかどこでもいいから…』
‘そうか。’
なんであんなに慌てるのかな?
私たちはかけるの家へ目指した。
:09/02/02 16:40 :W53H :ksjK79ro
#568 [幸]
かけるの家で“耳なしほういち”
を聞いた。
この曲を聞くと、本当に
他のことがどうでもよくなってくる。
:09/02/03 11:04 :W53H :J3LKlyhs
#569 [幸]
弾き終わった時
かけるが話をかけてきた。
‘耳なしほういちっていう話
しってるだろ?’
『確か、師匠さんが
とりつかれている坊主に
呪文を書いたが
耳だけ書かなかったから
耳だけ取られた…』
‘ああ’
:09/02/03 11:07 :W53H :J3LKlyhs
#570 [幸]
かけるは私の側に来て
また話し始めた。
‘俺もそんな気分だったよ
…あの時。
普通に生活してある日
突然……。’
なぜ人はみな普通の、
健康な体にはならないのか?
なにかしら障害があるのか?
:09/02/03 11:11 :W53H :J3LKlyhs
#571 [幸]
‘文化祭のとき変な奴ら
いたろ?
あいつらと昔連んでたんだ。
んでその中の1人な、
障害者の金を取ったんだ。
俺らみんなでそいつを
殴った。
弱い者から金とっても
うれしくね―って感じで。
そのケンカで耳が聞こえなくなった…’
:09/02/03 11:18 :W53H :J3LKlyhs
#572 [幸]
‘俺、最初パニクって
半殺し程度に棒でそいつを
殴っちゃって…。
それから学校も辞めて
通信に通ったんだ…。’
かけるが全部話した後
私を見た。
私はかけるの話の内容が
グロすぎて青くなっていた。
:09/02/03 11:21 :W53H :J3LKlyhs
#573 [幸]
‘だっ…大丈夫か?’
『かけるって…凄い
高校生活だったんだね。』
しばらく見つめ合った。
どんなに変な話の内容でも
かけるがいれば笑いたくなる。
しばらく見つめ合った後
笑いあった。
:09/02/03 11:26 :W53H :J3LKlyhs
#574 [幸]
夜ご飯はかけるが作った
パスタを食べた。
誰にでも作れるような
パスタだったが
頬が落ちる程おいしかった。
食後にケ―キも食べた。
:09/02/03 11:29 :W53H :J3LKlyhs
#575 [幸]
ケ―キもおいしかった。
かけると一緒に食べると
なんでもおいしいと感じるのはなぜ?
なんて幸せ。
この幸せがこの先ずうっと続いたら……。
:09/02/03 11:32 :W53H :J3LKlyhs
#576 [幸]
翌日。
クリスマスも終わったから
今日からはずうっと勉強だっ!!
そう気合いを入れ
机に向かった。
12時に昼ご飯を作って食べて
また勉強を再開した。
:09/02/03 11:35 :W53H :J3LKlyhs
#577 [幸]
7時頃。
私が夜ご飯の最中に
かけるからメールが来た。
メールを開いてみた。
‘勉強お疲れ様。
元旦、一緒に初詣に行かないか?’
:09/02/03 11:39 :W53H :J3LKlyhs
#578 [幸]
が…元旦!?
うわっ……
ちょ―嬉しい!
好きな人と初詣なんて。。。
来年は絶対いい年になるっっ!!
‘はいっ!’
送信……。
:09/02/05 23:48 :W53H :QrNZpdn.
#579 [幸]
元旦まであと5日!!
真面目に頑張るっ!!
私は朝ご飯も食べずに
勉強を始めた。
恋をすると人は異常に
頑張れる気になる。
最近の中高生は恋愛に
はまっている。
彼氏がいないと馬鹿にされる。
私はそうだった。
だから勉強ばかりな私には
恋なんて馬鹿みたいだと思ってた。
:09/02/05 23:53 :W53H :QrNZpdn.
#580 [幸]
でも違うんだね。
やっぱり恋はいいと思う。
特に勉強ばかりしていた私にとって。
:09/02/05 23:59 :W53H :QrNZpdn.
#581 [幸]
元旦―。
‘9時に神社で待ち合わせ’
と、メールが来たので
行ってみる。
初詣は今まで友達と
行ったことがあったので
そのたびに母さんが
着付けをしてくれた。
でも今年は無理だ。
:09/02/06 00:02 :W53H :Li7Rh2v.
#582 [幸]
「悪いな、着付けできなくて…」
そう謝ってくれた父さんが
とても愛くるしかった。
私は私服で電車に乗った。
みんな可愛らしい着物を着ていた。
羨ましかったけど、
私は我慢しなきゃ。
父さんに悪いから…。
ガキじゃないし…。
:09/02/06 00:04 :W53H :Li7Rh2v.
#583 [幸]
‘やぁ!!’
『かける!!』
かけるは私より先に神社に来ていた。
かけるも私服だった。
‘さぁ、お祈りに行きましょう’
『うん!!』
それにしても凄い人だ。
:09/02/06 00:08 :W53H :Li7Rh2v.
#584 [幸]
当たり前か。
みんな考えてることは
私と一緒だもん。
いざ、お祈りへ。
かけるは自分の財布から
5円玉を投げ、手を2回
誰よりも大きく叩いて
祈った。
とても真剣に…。
:09/02/06 00:10 :W53H :Li7Rh2v.
#585 [幸]
私は100円を投げようとしたが、
それを見たかけるに止められた。
‘100円も?’
『え…駄目?』
‘別にいいけど。’
私は100円を投げ
手を2回叩いて祈った
:09/02/06 00:13 :W53H :Li7Rh2v.
#586 [幸]
私たちは神社の周りを
散歩した。
そしてかけるに
‘手話上手くなったね’
と、誉められた。
『勉強したもん!!』
私は鼻を高くして言った。
『ねえ、なんでさっきは100円投げようとしたら、止めたの?』
ついでたからそう聞いた
:09/02/06 00:17 :W53H :Li7Rh2v.
#587 [幸]
‘いや…俺は神様とか
信じないから…かな?
金やればいいことするのかよ
って思って、
神様は賄賂してんのかよ
って感じてたからさぁ。’
かけるはちょっと照れくさそうに話した。
私は思わず笑ってしまった。
:09/02/06 00:19 :W53H :Li7Rh2v.
#588 [幸]
『あはっ!賄賂って…』
‘だってそうじゃん?’
『でも、そのわりには
真剣に祈ってたじゃん?
手もあんなに大きく叩いて。』
‘じゃあ、神様ってどこにいると思う?’
突然の質問に私は口止まってしまった。
:09/02/06 00:23 :W53H :Li7Rh2v.
#589 [幸]
『ん〜天の上…?』
‘神社の中の神様は
後ろを向いてるんだ。
しかも戸も閉まってる。
だから人と同じような
音の大きさで叩いても
神様だって気づかないだろ?
だから人よりも目立つことをして
神様にわからせてあげなきゃ’
『へぇ〜』
知らなかった…
:09/02/06 00:27 :W53H :Li7Rh2v.
#590 [幸]
『なんでそんなに詳しいの?』
‘一応大学生だからね。
文学部に入れば教えて貰えるよ。’
やはり、大学はそんな
細かい所も勉強して
凄いと感じた。
:09/02/06 00:29 :W53H :Li7Rh2v.
#591 [幸]
『ん…?
てことは、やっぱりかけるだって
神様信じてるの?』
‘信じてねーよ。
俺から誘ったんだから
祈らなきゃじゃん!?’
『じゃあ神社に行こう
なんて誘わなきゃよかったじゃん?』
するとかけるは、
私の肩を両手で掴み…
:09/02/06 00:33 :W53H :Li7Rh2v.
#592 [幸]
‘そんなの、お前と会うための
口実だよ’
と話した。
ドキッと大きく心臓が動いた。
私の手話の読みとり方
間違ってないよね?
そう自分に説いきかせながら
真剣な目のかけるを見続けた。
:09/02/06 00:35 :W53H :Li7Rh2v.
#593 [幸]
‘かな…’
かけるはおそらく
指文字で手話をしたのか、
私には分からなかった。
ただかけるの後ろから
自転車のベルが鳴っていた。
:09/02/06 00:38 :W53H :Li7Rh2v.
#594 [幸]
私はとっさに
『危ない!』
と言い、かけるの二の腕を取り
精一杯の力で私の方に
引っ張った。
なんとか自転車と
ぶつからずにすんだが、
私とかけるとの距離が短くなった。
:09/02/06 00:41 :W53H :Li7Rh2v.
#595 [幸]
‘ありがと’
かけるは一歩後ろに下がり
礼を言った。
その顔はとても悲しそうだった。
‘そろそろ帰ろうか?
勉強頑張らなきゃだし。’
かけるはそう話すと歩き出した。
:09/02/06 00:43 :W53H :Li7Rh2v.
#596 [幸]
やめてよ。
そんな顔、嫌い…。
私の前では笑ってよ。
私の大好きなあなたの笑顔を見たい。
しかし、そんな私の願いは叶わず
かけるは私の家に送るまで
ずうっと、所々暗い顔をしていた。
もしかしたら、この一年、
最悪な一年になるのかもしれない…
:09/02/06 00:48 :W53H :Li7Rh2v.
#597 [幸]
『聞いたよ。
かけると一緒に初詣に
行ったんだって?』
私はじじさんの所で
勉強をしていたらそう聞かれた。
『はい…
でもその前に、
明けましておめでとうございます。』
『あっ、おめでとうございます』
新年の挨拶をした。
:09/02/06 00:53 :W53H :Li7Rh2v.
#598 [幸]
『どうだった?』
じじさんは興味津々に
聞いてきた。
『別に…。
てか!今気づいた!!』
私は思わず立ち上がってしまった。
『なにを?』
じじさんは驚いてた。
:09/02/06 00:55 :W53H :Li7Rh2v.
#599 [幸]
『かけるって、ある日
突然耳が聞こえなくなった…
てことは、しゃべれるじゃん!?』
するとじじさんは
“それか…”と呟き
アイスティ―を飲んだ。
聞いちゃいけなかったかな?
そんな雰囲気がした。
:09/02/06 00:58 :W53H :Li7Rh2v.
#600 [幸]
『自分の話してる声が
聞こえないから
どのくらいの音量で話せばいいか
わからないんだよ。
それでもかけるは試そうとしたけど
余計にだめで…
さらには精神的な問題で
話せなくなったんだ…。』
風が強い日だった。
窓がその強い風のせいで泣いていた。
:09/02/06 01:01 :W53H :Li7Rh2v.
#601 [幸]
>>592すみませんホホ
手話の読みとり方
ではなく、
口パクの読みとり方でしたm(_ _)m
:09/02/06 01:05 :W53H :Li7Rh2v.
#602 [幸]
あと2日でセンター試験に迫った。
私はそれまで、一生懸命勉強した。
かけるは初詣の日以来
どこか私には不自然な態度をとっていた。
メールでは普通なのに…。
でも、だからといって
落ち込んでる暇はない。
と、いうより私は
その悲しみを勉強にぶつけていた。
:09/02/06 01:23 :W53H :Li7Rh2v.
#603 [幸]
学校は、もう1月の始業式から
家庭研修で休みだ。
私は週に2、3回は
じじさんの所で勉強をしていた。
かけるの綺麗な音楽を聞くために。
しかし本当はかけるに会うために…。
:09/02/06 01:25 :W53H :Li7Rh2v.
#604 [幸]
今日は家で勉強。
明日じじさんの所に行って
本番を迎えよう!!
そう思い、勉強に励んだ。
翌日。
:09/02/06 01:27 :W53H :Li7Rh2v.
#605 [幸]
『おっ?頑張ってますね〜』
と、じじさん。
『明日なんで。』
辺りを見回すがかけるの姿は
見えなかった。
『あの、かけるは?』
恐る恐る聞いてみた。
:09/02/06 01:29 :W53H :Li7Rh2v.
#606 [幸]
『なんか、大学の教授と
面談だから来れないって。』
『えっ…そうですか…。』
まじ‥‥
かなりショック。
:09/02/06 01:31 :W53H :Li7Rh2v.
#607 [幸]
私はその夜、早めに寝ようと思い、
いつもより早くベッドに行った。
〜♪〜♪
メール着信音。
この着信音はかけるからだ…。
私は急いでメールを見た。
動画つきだった。
:09/02/06 01:52 :W53H :Li7Rh2v.
#608 [幸]
再生……。
かけるが手話で話してる動画だった。
‘ちゃんと勉強しとるか?
本当は今日渡したかったけど
教授に呼ばれて渡せなかった。
明日、早起きしたら渡すから。
じゃあ、明日は頑張れよ!
おやすみ’
:09/02/06 01:56 :W53H :Li7Rh2v.
#609 [幸]
……『ありがとう…』
嬉しい…なんでこんなにも
嬉しいのだろう。
かける、本当にありがとう。
‘動画ありがとう!
まじ頑張る!
だから明日早起きしてほしいな〜’
そう送信して、眠った。
:09/02/06 01:59 :W53H :Li7Rh2v.
#610 [幸]
翌朝、玄関の所に行くと
ス―パ―の袋がぶら下がっていた。
袋の中身はキットカットと
ホッカイロと手紙だった。
感謝しろよ
手紙の内容はそれだけだった。
:09/02/06 02:01 :W53H :Li7Rh2v.
#611 [幸]
2日間の試験を終え、
次の日学校で自己採点をした。
『かな〜!』
『ちえみ!!』
『かな、大丈夫?
かなの場合、センターだめだったら…』
ちえみは聞きずらそうに聞いてきた。
:09/02/06 02:04 :W53H :Li7Rh2v.
#612 [幸]
『大丈夫!!』
私はそう断定した。
だって、父さんの手作り弁当と
兄さんのポッキーと
かけるのキットカットが
あったからだもん!!
先生と面談をし、
センターの点数を大学に
速達した。
:09/02/06 02:07 :W53H :Li7Rh2v.
#613 [幸]
『お疲れ様』
早速、じじさんの所へ行った。
そこに、かけるもいた。
『ありがとうございます!!』
私はそう答えた。
:09/02/06 02:09 :W53H :Li7Rh2v.
#614 [幸]
‘結果はいつ?’
『まだ先だよ』
‘輸送?’
『電話だよ。』
かけるはソワソワしていた。
そのせいでじじさんに怒られていた。
‘なんでお前はそんなに
冷静なんだ?
俺は一般だったけど
そんな冷静じゃなかったぞ’
:09/02/06 02:12 :W53H :Li7Rh2v.
#615 [幸]
かけるはそう聞いた。
『自信あるから。』
私は自信満々に答えた。
そして結果発表の日がきた。
家には誰もいない。
1人で見る。
自信満々とは言え、
やはり緊張はするもんだ。
:09/02/06 02:14 :W53H :Li7Rh2v.
#616 [幸]
私は深呼吸をすると
一気に開けた。
合格
の字が見えた。
:09/02/06 02:15 :W53H :Li7Rh2v.
#617 [幸]
いやったぁぁぁ!!
私は早速、父さんに電話、
兄さんにメールを送った。
そしてじじさんとかけるには
この紙を見せに行った。
:09/02/06 02:16 :W53H :Li7Rh2v.
#618 [幸]
『よかったね!』
『おめでとう』
この言葉が返ってきた。
学校にも報告し、父さんと一緒に
手続きをした。
:09/02/06 02:18 :W53H :Li7Rh2v.
#619 [幸]
ここまで、順調だったのに…。
不幸は突然訪れる。
人は誰だって、人生最後まで
幸せなはずがない。
それはそうだ…。
でも、納得できない!
私たち人間はどうしても
他人との幸せを比べてしまう生き物だからだ。
知能があるだけ、そうしてしまうのだ。
:09/02/06 02:21 :W53H :Li7Rh2v.
#620 [幸]
>>614すみませんホホ
『電話だよ』
ではなく
『そうだよ』
ですm(_ _)m
:09/02/06 09:41 :W53H :Li7Rh2v.
#621 [幸]
2月の中旬だった。
とある、普通のニュースを見ていた。
学校はもう休み。
受験には無事合格したので
朝はゴロゴロしていた。
「昨年の7月。
障害を持っていた弟を
殺害容疑で兄が逮捕されたんですが
精神的ショックを受け、
記憶を失っていた母親が
昨晩、自白したということが
明らかになりました。…」
:09/02/07 00:28 :W53H :jdZX7Qp2
#622 [幸]
えっ……?
私はある程度家事をしてから
警察署に向かった。
警察署の前は報道陣でいっぱいだった。
:09/02/07 00:30 :W53H :jdZX7Qp2
#623 [幸]
私はどうしていいか分からず
その場にずうっと立っていた。
『鮎川さん…?』
私の名が呼ばれたので
振り返ってみた。
そこには、あの時の
雰囲気のいい警察官がいた。
:09/02/07 00:33 :W53H :jdZX7Qp2
#624 [幸]
『あの少年は!?』
私はすぐに聞いてみた。
『あの少年の母親が…
あなたと話したいそうだ。。。
いいかね?』
『なっ…なぜ?』
『それは…話したときに
聞いてみるがいい。』
そう言い残し、私の前から消えた。
:09/02/07 00:36 :W53H :jdZX7Qp2
#625 [幸]
おそらく…あの時のお礼かな?
私はあまり深く考えなかった。
私はあまりにもの、
かけるへの思いに
あの少年のことを助けたいという気持ちを
忘れていたことに気づいた。
:09/02/07 00:38 :W53H :jdZX7Qp2
#626 [幸]
私って、口だけの女だ……。
その日の夜、
かけるからあの少年の話しを切り出した。
メールだと話しが長くなるので
次の日に会うことになった。
:09/02/07 00:40 :W53H :jdZX7Qp2
#627 [幸]
翌日。
会う場所は……
初めて出会った場所だった。
『かける!』
‘やぁ。’
かけるはどう思ったのかな?
そしてこれからも……
:09/02/07 00:43 :W53H :jdZX7Qp2
#628 [幸]
しばらく沈黙が続いた。
『警察の人にね…
今度、少年の母親に会ってほしいって。』
私はいきなり話しを切り出した。
‘そうか…’
かけるは素っ気ない返事をした。
:09/02/07 00:45 :W53H :jdZX7Qp2
#629 [幸]
また沈黙が続いた。
いつもと違う空気が流れた。
‘会うの?’
今度はかけるから切り出した。
『そう頼まれたからね。』
するとかけるは一気に話し出した。
:09/02/07 00:47 :W53H :jdZX7Qp2
#630 [幸]
‘中途半端な優しさ
やらねー方がいい。
もし本当にその少年たちを
救いたいならよく考えてから
行動しろよ。’
『なんで…?』
‘障害を持っていた子どもの
家族だからだ。’
:09/02/07 00:50 :W53H :jdZX7Qp2
#631 [幸]
『そんなの関係ない!!』
私はそう言ったが
かけるは怖い顔で手話ひし始めた。
‘障害を持ってる人や
その周りの人は
人の優しさに惚れてしまうんだよ
そしてやがてはその
優しい人に頼ってしまう…’
『それは別にいいじゃない!!
人はお互いに支えあいながら
生きてくんだから…』
:09/02/07 00:54 :W53H :jdZX7Qp2
#632 [幸]
‘あなたは何もわかっていない!!
支えあうなんて無理だ!!
いづれ健常者は障害者に
嫌気をさしてしまう!!
それが当たり前なんだ。
健常者なんだから…。
だから障害者の気持ちなどわからない!!
あの家族は今まで助けてくれる
人がいなかった…
だから殺害をしたんだ
ところがあなたが出てきた
とても嬉しかったと思う。
でも、だからこそ…’
『言ってる意味がわからない!!』
:09/02/07 00:58 :W53H :jdZX7Qp2
#633 [幸]
かけるは困った顔をしていた。
その顔がさらに私を苦しめる。
‘……あなたは本当に
あの少年を助けたいの?’
『…私はあの少年のおかげで
心理学に興味を持った。
心理学に関わる仕事をしたいと思った。
でも何よりも……
あの少年のようなことを
繰り返しに起こしたくない。』
:09/02/07 01:07 :W53H :jdZX7Qp2
#634 [幸]
かけるは黙って聞いてくれた。
『私は何のために勉強
していたのか分からなかった。
でも、あの少年のように
苦しんでる人がいるなら
その人たちのために
私はなにをできるか?
そのために勉強したい…
だから心理学の有名な
L大学に受験した…。』
:09/02/07 01:10 :W53H :jdZX7Qp2
#635 [幸]
‘夢…あったんだね……。’
かけるの顔がいつの間にか
優しい顔になっていた。
『でも、これってさぁ
どういう職業なの?』
‘カウンセラー…かな?’
:09/02/07 01:12 :W53H :jdZX7Qp2
#636 [幸]
カウンセラー…
‘話ができてよかったよ’
かけるは笑顔で話した。
『なんで?』
‘絶対悩んでるって思ったから。
実は俺、あなたに話したいことがある…。’
かけるの顔が真剣な顔になった。
:09/02/07 01:15 :W53H :jdZX7Qp2
#637 [幸]
『なあに?』
とは聞いたのも、実際は
聞きたくなかった。
なぜか、嫌だったからだ。
‘俺………、
アメリカに行く……。’
:09/02/07 01:16 :W53H :jdZX7Qp2
#638 [幸]
えっ……?
今、 何て言った?
‘じじさんの所で
ピアノ弾いてたら、
偶然そこにいた客が
アメリカで修行しないかって
誘ってきて。
小説の夢は諦めてない
でも俺、ピアノ弾きたいんだ…。
そして……歌いたい……。’
:09/02/07 01:20 :W53H :jdZX7Qp2
#639 [幸]
涙が出てきた。
かけると もう会えないの?
‘初めてあなたの前で
ピアノを弾いたとき
気持ちよかった…
耳を傾けてくれる。
俺の音楽…思いを聞いてくれるって思うと、
ワクワクして…’
なんでそんなに嬉しそうなの?
:09/02/07 01:29 :W53H :jdZX7Qp2
#640 [幸]
かけるにとって私は
何だったの?
‘…どうした?’
私が泣いてることを
ようやく気づいたかける。
何も話したくなかった
かけるは私のことなど
どうでもいいのね。
私はかけるに背中を向いて去った。
:09/02/07 01:32 :W53H :jdZX7Qp2
#641 [我輩は匿名である]
頑張ってください
:09/02/07 15:49 :P703i :FsufpeMA
#642 [幸]
:09/02/08 12:43 :W53H :rl7D203I
#643 [幸]
がしっと、掴まれた私の左手。
‘どうした?’
…どうした?じゃねぇ〜!
その気持ちもあったが
悲しみの方が上回ったみたいだ。
涙がどんどんでてくる。
:09/02/09 00:20 :W53H :jQ/U2XNo
#644 [幸]
気がついたら私はかけるの腕の中。
されるがままの私。
涙はまだ流れていたが
大好きなかけるの匂いに
酔ってしまいそうだった。
なぜこんなにも落ち着くのか?
:09/02/09 00:23 :W53H :jQ/U2XNo
#645 [幸]
そしてかけるは私をゆっくり離し
私の流れた涙を親指で
拭いた。
‘本当は行きたくなかった…
でも、耳が聞こえなくなる前からの夢だったんだ。
俺の音楽をみんなに聞かせることが…’
私は黙ってかけるの手話を見つめた。
:09/02/09 00:27 :W53H :jQ/U2XNo
#646 [幸]
『小説は耳が聞こえなくなってから…?』
‘そうだよ’
……本当に?
かけるは表情が豊か。
なぜか本当のことを言ってないような
気がする。
私の、いや!女の感。
:09/02/09 00:29 :W53H :jQ/U2XNo
#647 [幸]
『…いつアメリカに
行っちゃうの?』
‘2月の最後の日。’
もうすぐじゃん…
なんで私はドラマのような
素敵な恋ができないの?
なんでこんな困難が訪れるの?
:09/02/09 00:38 :W53H :jQ/U2XNo
#648 [幸]
‘14日、暇?’
かけるがいきなり聞いてきた。
『…わかんない。』
‘会えない?
てか、会おう!?’
本当にかけるがアメリカに行ってしまいそうで
悲しかった。
:09/02/09 00:40 :W53H :jQ/U2XNo
#649 [幸]
14日。
結局会うことになった私たち。
最初は2人で散歩をした。
そして写真をたくさん撮った。
この時間と感情は決して
忘れてはいけない。
:09/02/09 00:43 :W53H :jQ/U2XNo
#650 [幸]
ポツンと雨が降り出した。
『うわ〜最悪…。』
‘風邪ひくぞ。一旦
雨宿りしよ’
私たちは近くにあった
神社に行った。
:09/02/09 00:45 :W53H :jQ/U2XNo
#651 [幸]
‘結構雨凄いな…。’
『…うん…』
しかし、この雨は私の
今の本当の気持ちを表してくれている。
止みそうにない、この雨が。
:09/02/09 00:47 :W53H :jQ/U2XNo
#652 [幸]
‘らちあかねぇ!
俺ん家行こう!?
タオルでちゃんと拭いた方がいい’
『大丈夫なの?』
‘風邪ひかれたら困るからな’
私は別にこのなみだなら
濡れてもいい…。
そう思ったが、くしゃみが出たので
かけるの家に行くことになった。
:09/02/09 00:50 :W53H :jQ/U2XNo
#653 [幸]
『お邪魔します…』
私はかけるの部屋を見渡した。
この光景が2週間後には
なくなると思うと胸が
キシキシと痛くなる。
‘風呂先入れ。
着替えは置いとくから’
かけるにいきなり言われ
戸惑う私。
『でも…』
:09/02/09 00:53 :W53H :jQ/U2XNo
#654 [幸]
‘下着は濡れてないだろ?’
『うん…』
弱々しく答えた。
かけるの聞き方がいつもより
あまりにもキツかったから
少し怖かった。
私は黙ってお風呂に入った。
:09/02/09 00:55 :W53H :jQ/U2XNo
#655 [幸]
ザ―っと聞こえる雨。
どうやら私はまだ泣いているようだ。
しかも大量に、声をあげて。
風呂から出ると、着替えがあった。
着てはみたが、ブカブカ。
鏡に映った私を見て
思わず笑ってしまった。
雨はさっきより弱くなっていた。
:09/02/09 00:58 :W53H :jQ/U2XNo
#656 [幸]
‘何笑ってんだ?’
かけるが鏡の中に現れた。
『いつからいたの?』
私は驚きながら後ろを向き、聞いた。
‘今さっきだよ’
『だって私、着替えてた!!』
:09/02/09 01:00 :W53H :jQ/U2XNo
#657 [幸]
‘俺が覗いたとでも言いたいの?’
『別にそんなんじゃ…』
するとかけるは近寄ってきた。
無性に恥ずかしくなって
思わず下を向いてしまった。
‘次は俺が風呂入るから
どいて。’
:09/02/09 01:03 :W53H :jQ/U2XNo
#658 [幸]
そう話すと洋服を脱ぎだした。
その時ぐぅ〜っと、
かけるのお腹が泣き出した。
かけるは恥ずかしそうに
私を見た。
私は思わず笑ってしまった。
するとかけるもつられて笑ってしまった。
:09/02/09 01:05 :W53H :jQ/U2XNo
#659 [幸]
『しょ―がないから
なんか作るよ。』
‘作れるの?’
『一応ね。』
かけるは風呂に、
私は台所へ向かった。
:09/02/09 01:06 :W53H :jQ/U2XNo
#660 [幸]
冷蔵庫の中を見た。
焼きそばがあったので
焼きそばを作った。
テ―ブルに運ぶとき
ズボンのすそが長かったので
ぐいっと折り曲げた。
トントンと肩を叩かれた。
‘うまそうじゃん’
かけるは笑いながら話した。
:09/02/09 01:10 :W53H :jQ/U2XNo
#661 [幸]
『じゃあ、食べようか。』
いただきます
と言い食べ始めた。
食べ終わった時
かけるがあまりにも
かわいい顔で
‘うまかった’
って話すから思わず涙が出てしまった。
:09/02/09 01:12 :W53H :jQ/U2XNo
#662 [幸]
かけるは呆れながらも
私の隣に来て、涙を拭いてくれた。
しばらく見つめ合った。
そして優しくキスをした。
初めてのキスは焼きそばの味。
顔を離すとかけるも泣いていた。
:09/02/09 01:15 :W53H :jQ/U2XNo
#663 [幸]
‘かな……’
初めて…私の名前を手話で
呼んでくれた。
しかし、私の名前を呼んだかけるの顔を見て
なんだか切ない気分になったので
あまり嬉しくなかった。
かけるは手話を続けた。
:09/02/09 01:18 :W53H :jQ/U2XNo
#664 [幸]
‘悪い…勝手にキスしちゃって…’
かけるはそう話すと
2人分の食器を台所に運んだ。
かける……
その時、ちえみが話した事を思い出した。
「障害者ってなかなか自分に
素直になれないと思う」
:09/02/09 01:21 :W53H :jQ/U2XNo
#665 [幸]
かけるは私にキスをしてくれた。
じゃあ私は……。
私はかけるの方へ行き
後ろから抱きついた。
するとかけるはばっと
私の方を向いてもう一度
抱きしめた。
:09/02/09 01:23 :W53H :jQ/U2XNo
#666 [幸]
優しい匂い。
大きな手。
茶髪の綺麗な髪。
優しい目。
広い背中。
全てが私を狂わしてく…。
私は一度、かけるを離してから
手話で話した。
『好き』
と。
:09/02/09 01:26 :W53H :jQ/U2XNo
#667 [幸]
かけるはしばらく黙っていた。
私と目も合わせなかった。
私は心配になって
『かける…?』
と聞いてみた。
かけるはため息をつき
話した。
:09/02/09 01:28 :W53H :jQ/U2XNo
#668 [幸]
‘俺みたいな男を?
他にいっぱい男がいるだろ!?
かなも見る目なさすぎだよ!!
俺なんて…
例えば車が後ろからきた時
気づかなくて事故る
しょぼい奴だし。
後は…’
また見つめ合った。
:09/02/09 01:32 :W53H :jQ/U2XNo
#669 [幸]
『かけるといると
まるで、自分が酔ってるみたいに
癒されるの……。
全てが…好きなの。
アメリカに行くって言われて
会えなくなって、
……辛いよ。
毎回会うだけですごく嬉しがる
自分がいる……
それなのに……。』
今の感情を全て言葉に表した。
:09/02/09 01:36 :W53H :jQ/U2XNo
#670 [幸]
するとかけるはまた私を抱きしめた。
抱きしめられると
かけるの匂いがもっと
嗅ぐことができる。
もっと一緒にいたいって
いう気持ちになる…。
‘もう…我慢できない…’
かけるは一旦、私を離し、手話で話した。
:09/02/09 01:39 :W53H :jQ/U2XNo
#671 [幸]
『えっ……?』
かけるは私をお姫様だっこをし、
ベッドまで運んだ。
すると、かけるは私に
近寄ってきた。
『こっ、怖い…』
思わず言ってしまった。
‘……ごめん…頭冷やしてくる’
:09/02/09 01:42 :W53H :jQ/U2XNo
#672 [幸]
…かける……
なにやってんだよ私!!
もう会えなくなるのに…
でもやっぱり怖い!!
でもこのまま帰りたくない!!
かける…
:09/02/09 01:44 :W53H :jQ/U2XNo
#673 [幸]
ねぇ、もしかけるが
耳聞こえてたら普通に
好きって言えたのかな?
誰だって恋はするのに
自分の気持ちを伝えられないのは
悲しいね……。
むくっと起きた。
時計を見ると4時になっていた。
:09/02/09 01:48 :W53H :jQ/U2XNo
#674 [幸]
はっ……?
寝てた?
‘やっと起きたかよ’
かけるは引っ越しの準備をしてたのか
ダンボールがいくつかあった。
『ごめんなさい…』
:09/02/09 01:50 :W53H :jQ/U2XNo
#675 [幸]
‘本当だよ…’
私は思い切って大胆な
行動をとった。
自分からかけるにキスを
した。
かけるは最初、戸惑っていたが
だんだんと深くなってきた。
‘いいの?’
かけるに聞かれ
こくっと頷いた。
:09/02/09 01:53 :W53H :jQ/U2XNo
#676 [幸]
かける……
かける……
あなたに出会えて良かった。
こんなに嬉しいことを
味わうことができた。
他の男じゃ、かけるの代わりにならないんだよ。
かけるじゃないと私が
嫌なんだよ…。
:09/02/09 01:56 :W53H :jQ/U2XNo
#677 [幸]
‘平気か…?’
かけるは私を腕まくらをし
右手で私の髪を撫でながら聞いた。
『……うん』
幸せ……。
:09/02/11 00:10 :W53H :nFnq5eKM
#678 [幸]
次の日の夕方。
じじさんの所へ行き
チョコを渡した。
『いや〜初めてもらった』
じじさんはとても嬉しそうだった。
初めてだったんだ…
じじさんは確かにおじさんみたいな顔立ちだが
目が女みたいにくりっとしている。
だからチョコぐらい一回は
もらってると思ってた。
:09/02/11 00:16 :W53H :nFnq5eKM
#679 [幸]
そこへかけるが来た。
『昨日、渡すの忘れてた。』
と言い、かけるに渡した。
‘大事なこと忘れるな’
『うるさいな〜』
こんな日が続いたらいいのに。
:09/02/11 00:18 :W53H :nFnq5eKM
#680 [幸]
いつも通りかけるに家まで送ってもらった。
そして別れる時は…
おやすみのキス。
受験が終わっても、
勉強は続けている。
勉強しなきゃ一般を受験
する人たちとの差が開くからだ。
私は勉強をし、深い眠りに落ちた。
:09/02/11 00:21 :W53H :nFnq5eKM
#681 [幸]
刻々と、かけると別れる日が近づいてくる。
でも私たちは、1日1日を
大切に過ごしてきた。
21日。
一本の電話がかかってきた。
:09/02/11 00:23 :W53H :nFnq5eKM
#682 [幸]
『もしもし!?』
『鮎川かなさんですか?』
あの警察官からだった。
『あなたにお会いしたいって
前に話してたことを
覚えてる?』
『はい……』
『28日でお願いします
って言われたんだけど…。』
えっ………? 28日………。
:09/02/11 00:26 :W53H :nFnq5eKM
#683 [幸]
『その日じゃないと
ダメなんですか?』
『ええ、どうしてもって…。』
神様………
あなたはどうしてこんなにも
意地悪なのか?
:09/02/11 00:28 :W53H :nFnq5eKM
#684 [幸]
『その日は無理です!!
日にちを変えることは
できないんですか!?』
私はそう強く聞いたが
答えはNOだった。
『…考えさせて下さい…』
私はそう言い、電話を切った。
:09/02/11 00:30 :W53H :nFnq5eKM
#685 [幸]
私はじじさんの所へ
走って行った。
バンっと乱暴に開け
私は涙目でじじさんの腕を掴んだ。
『かける、今日の午後
暇だから大学に行ってみな!?』
じじさんにそう言われたので
L大に行った。
:09/02/11 00:33 :W53H :nFnq5eKM
#686 [幸]
私はメールで
“そっちに行くから待ってて”
と送信し、門に行った。
門にはかけるがボ〜っと
立っていた。
‘勝手に来てどうした!?’
かけるは私に気づき、
そう聞いた。
:09/02/11 00:36 :W53H :nFnq5eKM
#687 [幸]
『…ねぇ、どうしよ……』
私は警察官からの電話の事を話した。
するとかけるは真剣な顔で
手話をし始めた。
‘俺の見送りなどいい!!
そっちの方へ行け…’
『……やだ』
:09/02/11 00:38 :W53H :nFnq5eKM
#688 [幸]
‘かな!!’
『やだよ!!ちゃんと
かけるを見送りたい…』
‘あの少年を救いたいんじゃないのか!?
救いたいんだろ?
中途半端な覚悟じゃないんだろ?’
『……でも…でも』
涙が私の頬に流れてきた。
:09/02/11 00:41 :W53H :nFnq5eKM
#689 [幸]
『かけるが……好きなの!!』
私は大声で言った。
周りのL大の生徒たちに
聞かれたのか、こっちを
何人か見ていた。
‘かな…
男を追いかける女になるな!!
かなは、夢に向かって
走れ!!’
:09/02/11 00:44 :W53H :nFnq5eKM
#690 [幸]
『かける……』
泣いてるせいで
うまく話せなかった。
‘俺も夢に向かって
アメリカへ行く…。
かなもそうしろ…。
夢に向かって生きろ。
そこで恋愛をするんだ!!
…俺より素敵な人と。’
:09/02/11 00:48 :W53H :nFnq5eKM
#691 [幸]
『かける!?』
‘やっぱ無理だ…。
俺たちは障害者と健常者。
つりあえなってない…。
俺……が……
かなに支えられると
惨めな気持ちになるんだ。
どうしても。’
かけるの顔も悲しい顔をしていた。
:09/02/11 00:53 :W53H :nFnq5eKM
#692 [幸]
‘かなは、ただ耳が聞こえないだけと
思ってるだろ!?
でも、こっちは大きな問題なんだ。
障害者はこの問題を
一生背負って生きてく。
この気持ちと覚悟、
健常者じゃ決して分からない。
障害者と恋愛をするって
こういうことなんだよ。
普通に恋愛すると…
普通になりたいって思ってきて
惨めになってくるんだ’
:09/02/11 00:59 :W53H :nFnq5eKM
#693 [幸]
『……なんで!?』
時間が止まったように
感じた。
‘健常者は偏見な目で
障害者…俺を見てるから。
例えば、駅の切符売り場で点字を
読んでる人を偏見な目で
見下してる。
知的障害者がいれば
その人をからかう子供や大人。
俺は耳が聞こえなくなって
気づいたんだ……。’
:09/02/11 01:04 :W53H :nFnq5eKM
#694 [幸]
『…私を…信じてなかったの?』
‘かなみたいな人、
めったにいないよ…。
かなはカウンセラーの
仕事をしてみたいんだろ?
このチャンスを生かして
健常者に障害者のことを伝えてほしい’
:09/02/11 01:08 :W53H :nFnq5eKM
#695 [幸]
『…え?』
‘伝えてほしい…
少しでもいいから、
障害者のことを理解してほしい。’
かけるは空を見上げた。
‘助けてあげてとは言わないけど
偏見はしない…
そんな都合のいい世界には
なれないと思うけど
理解してほしいんだ。
俺たちはただ、それを
願ってる。’
:09/02/11 01:17 :W53H :nFnq5eKM
#696 [幸]
‘かなには、そういう人
になってほしい。
いや、別にならなくてもいいけど…
とにかく、俺のために
自分の夢が遠ざかる事は
よしてくれ’
私は手で自分の顔を覆った。
そして14日の雨のように泣いた。
:09/02/11 01:20 :W53H :nFnq5eKM
#697 [幸]
かけるは私のその姿を
黙って見ていた。
何もしてこないかけるを見て
私はもう無理なんだと思い
かけるの横を通って
ふらふらと歩いた。
:09/02/14 01:11 :W53H :v0nXhjkM
#698 [幸]
私……
もう一度聞いてみるよ…
そして、なんとかかけるの見送りに
行くよ………。
そう何度も思った。
しかし、電話で聞いてみたが
母親は精神的な病気
なので無理だった。
:09/02/14 01:14 :W53H :v0nXhjkM
#699 [幸]
私は自分の部屋に着き
ベッドに寝転んだ。
2月最後の日。
28日が刻一刻と迫ってくる。
:09/02/14 01:18 :W53H :v0nXhjkM
#700 [幸]
‘27日。会いたい’
私は思い切ってかけるに
メールをした。
…これでかけると会うのは
これで最後だ。
そう自分に言い聞かせた。
:09/02/14 01:20 :W53H :v0nXhjkM
#701 [幸]
27日。
私がかけるの家に行くことになった。
これで最後……。
これで最後。。。
私はなるべく笑顔で
かけると話した。
かけるは静かに笑っていた。
:09/02/14 01:22 :W53H :v0nXhjkM
#702 [幸]
『知ってる?
ゴリラは大人になると
笑わなくなるんだって!!』
‘それCMのやつだろ?’
他愛もないこの時間が
愛しく思えた。
こんな会話をしてる時
かけるが急に私を抱き寄せた。
:09/02/14 01:24 :W53H :v0nXhjkM
#703 [幸]
あぁ…この匂いだ。
私は一番最初にこの匂いに惚れた。
もう明日になったら
かげなくなるの?
するとかけるが一旦
私を離し手話を始めた。
:09/02/14 01:27 :W53H :v0nXhjkM
#704 [幸]
‘かな……
今、この世界は障害者と
健常者は共存できてないと思う。
それは昔も今もそうだと思うけど、
なかなかこの差別を乗り越えて
生きていけないと思う。
かなみたいな頭がいい人もいれば
俺みたいに…自分が障害者
になって初めて気づく
馬鹿な人もいる’
:09/02/14 01:30 :W53H :v0nXhjkM
#705 [幸]
私はかけるのこの姿を
目に焼き付けた。
‘だから……
かなはその差別を少しでも
なくなるような世界にしてほしい。
カウンセラーとして
あの少年みたいな子を
救ってほしい……。
そしていつか、障害者と
健常者が共存できるように
してほしい……。’
:09/02/14 01:34 :W53H :v0nXhjkM
#706 [幸]
…かけるがなぜアメリカへ行くのか
なんとなくわかったような気がした。
でも私はあえてかけるに聞かず
かけるに抱きしめた。
深く…身も心も絡み合った。
:09/02/14 01:38 :W53H :v0nXhjkM
#707 [幸]
終わった後、
ベッドでかけるとたくさん話した。
‘二年で戻ってくるから
大学で会えるよ。’
『うん…』
‘本当はアメリカに行きたくない…’
:09/02/14 01:45 :W53H :v0nXhjkM
#708 [幸]
口パクでかけるがそう言ったのを
私はわかった。
『なんで?』
そう聞いてもかけるは
優しく私の髪を撫でるだけだった。
‘今のはうそ。’
と手話で話して……。
:09/02/14 01:47 :W53H :v0nXhjkM
#709 [幸]
28日。
私は病院へ行った。
『鮎川さん、どうぞ』
看護婦さんに案内され
個室に入った。
そこにはやつれた、
白髪ばかりで、
しわの多い女性がいた。
:09/02/14 01:53 :W53H :v0nXhjkM
#710 [幸]
『あなたが…鮎川さんですか?』
かすれた声で聞いてきた。
また警察官の人に支えられながら
一歩ずつ私に近よった。
『はい……』
私は静かに答えた。
:09/02/14 01:55 :W53H :v0nXhjkM
#711 [幸]
『あの事件の真相を
話してください。』
警察官がそう言うと、
その女性が呟いた。
『私には、2人の…
息子がいました。
一番上が心の優しい子
でして、いつも障害者を
持ってた弟のことを
優先に考えてくれました。』
:09/02/14 01:57 :W53H :v0nXhjkM
#712 [幸]
『私は二番目が障害者だなんて
初めは信じられませんでした。
でも上の子とは違う。
そうわかってきました。
しかし親戚からも親からも…
しまいには夫からも
私のしつけが悪いと言われ続けてきました。
違う……この子は障害者なの…
しつけで治らないの…
あっ、失礼しました、
弟の方は自閉症という
障害で、見た目は普通ですが
おかしな行動をとる障害なんです。』
:09/02/14 02:02 :W53H :v0nXhjkM
#713 [幸]
かすれた声をだしながら
話しは続いた。
『事件当日。私は相談をする
相手もいなくて……
二番目を殺そうと思ったの。
例え、育ててもこの子は
幸せにはなれない、
1人では生きていられない…。
そう思って………。』
やつれた女性は涙を流してた。
:09/02/14 02:06 :W53H :v0nXhjkM
#714 [幸]
『二番目を殺害した時の
あの驚きの顔……
「どうして……?」
っていう顔をしてて……
最後に「お母さん」って
言うんですのも…。
私も死ななきゃと思った……
でも上の子に止められ…
上の子は火を放したの。』
:09/02/14 02:10 :W53H :v0nXhjkM
#715 [幸]
…これが現実なの……?
‘障害者のことを何もわかってない!!’
かけるにそう言われたことが
脳裏に浮かんだ。
『上の子が火を放した時
私はまだこの子がいる。
育てなきゃ……
そう思って2人で逃げたんだけど
あの子…気づいたらいなくなってて。
それで私はおかしくなって
病院でずうっと入院してたの。』
:09/02/14 02:14 :W53H :v0nXhjkM
#716 [幸]
『そうだったんですか…』
私はそう言った。
涙が出てきた。
『あなたが、上の子に
食べ物をあげたと聞いたので
一度お礼をしたくて…
それにね、あの子、
本当のことを警察に言うなって……
でも私がやっと普通になれたから
私から本当のことを言っちゃった。』
:09/02/14 02:21 :W53H :v0nXhjkM
#717 [幸]
『息子さんは…
本当にお母さんのこと
好きだったんです…。
だから……』
『それじゃあ駄目。』
私はなんとかフォローを
しようとしたが
お母さんの一言で、できなかった。
:09/02/14 02:24 :W53H :v0nXhjkM
#718 [幸]
『私は二番目の息子を
殺してしまったわ。
だからその罪を背負って
償わなきゃいけない…。』
『…あなたがいなくては
息子さん、どうするんですか?』
私は思わず叫んでしまった。
これは周りにいた人たち
みんな驚いていた。
:09/02/14 02:27 :W53H :v0nXhjkM
#719 [幸]
『気持ちは嬉しいけど…
私はちゃんと罪を償わなうわ。』
『近所の人たち、みんな
知ってたんですよね?
あなたの息子さんが
障害を持ってることを。
なのに…なぜ誰も助けてくれなかったの…?
あなた1人のせいでは
ありません!!』
私はそう言った。
言ってしまった。
:09/02/14 02:32 :W53H :v0nXhjkM
#720 [幸]
『鮎川さん!!』
警察官にそう言われたが
私は引き下がらなかった。
『だって可笑しいでしょ!?
周りにいた人たちだって
この親子に対して差別を
してたんですよ!?
聞いたんだから…
あの少年に…。』
:09/02/14 02:34 :W53H :v0nXhjkM
#721 [幸]
『鮎川さん……』
お母さんが泣きながら呼んだ。
するとバッグから本を
取り出した。
『この本、知ってる?』
見たことがない本だったが
作者の名前には見たことがある名前があった。
:09/02/14 02:38 :W53H :v0nXhjkM
#722 [幸]
そこには、
風見かける
と書かれてあった。
かける……?
いつ本なんて……
『この本、どうしたんですか!?』
思わず聞いてしまった。
:09/02/14 02:41 :W53H :v0nXhjkM
#723 [幸]
『この本ね、実は
販売されてないの。』
目の前が真っ暗になった。
『この小説ね、障害者の
苦悩の話しなの。
でも…内容が国民的に
良くなかったのかもね…
“障害者独立支援法”反対!!
っていう内容だったの。』
:09/02/14 02:45 :W53H :v0nXhjkM
#724 [幸]
『ちょっ……ちょっと待って下さい!!
なんで!?
それじゃあ表現の自由に反してますよ!?』
私の声は震えていた。
自分でもよくわかった。
『ましてや、難聴だったからね。
この作者。
だから余計潰せやすかったのよ。
聞いた話し、この作者は
ピアノは上手いらしいけど
プロ並みではない。』
:09/02/14 02:50 :W53H :v0nXhjkM
#725 [幸]
ちょっと腹がたったが
黙って聞いた。
『それなのに、ピアノの推薦で
アメリカで修行してこいと
大学側からも言われ
多額のお金をあげたの。
この作者のご両親、
つい最近営業に失敗して
お金に困ってたからね…。』
…かける…
私はその場で暴れたかった。
:09/02/14 02:53 :W53H :v0nXhjkM
#726 [幸]
『んで、私は知り合いに
内緒で本を印刷してって
頼んだの。』
“……馬鹿らしい…”
思わず呟いた。
:09/02/14 02:55 :W53H :v0nXhjkM
#727 [幸]
『えっ……?』
『上の連中が違法してるのに、
国民には法律を守れってか…
上の連中が守らないのも
国民が守るかって…』
:09/02/14 02:58 :W53H :v0nXhjkM
#728 [幸]
『最近の子どもは…って
よく大人は言うけど
違う……
大人がそういう汚いことをするから
子どもだって…
…悔しい…』
私はそう言いながら
何度も心の中で
かける
と叫んだ。
:09/02/14 03:01 :W53H :v0nXhjkM
#729 [幸]
『あなたが…子どもたちに
教えればいいじゃない。』
『えっ?』
『あなたが、子どもに
大人は汚い。でも
あなたたちはそういう
大人になるなって…』
私はしばらく黙り込んだ。
そして、あることを決心し、
こう話した。
:09/02/14 03:03 :W53H :v0nXhjkM
#730 [幸]
『そうします…
私、カウンセラーになって
相談に来た人たち、子どもに
このことを教えます!!
そして人生に迷った人たちの…
案内板になってあげたい…
こういう道がありますって。
でも最終的に決めるのは自分。
そしてあなたの息子さんのような
子どもをもうだしたくない!!
だから案内板になります…
人生の案内板に……』
END
:09/02/14 03:08 :W53H :v0nXhjkM
#731 [幸]
完結しますたぁホホ
誤字が結構ありましたことを
お詫びしますホ
すみませんホ
最後まで読んでくれた方
ありがとうございました。
:09/02/14 03:10 :W53H :v0nXhjkM
#732 [我輩は匿名である]
お疲れさまです
それぞれの"その後"も気になるので.書いて欲しいです
:09/02/14 09:48 :SH906i :GaH4wDHg
#733 [我輩は匿名である]
続き気になります!
:09/02/14 13:47 :W51S :znqH8BVI
#734 [幸]
>>732>>733様
コメントありがとうございましたx
では、リクエストにお答えしますN
次の作品もよろしくお願いしますm(_ _)m
:09/02/14 14:30 :W53H :v0nXhjkM
#735 [我輩は匿名である]
主さんありがとうございます
楽しみにしてます
:09/02/14 15:47 :SH906i :GaH4wDHg
#736 [ちぃ]
:09/02/18 20:43 :D705i :/RyWQVQE
#737 [ちぃ]
:09/02/18 20:45 :D705i :/RyWQVQE
#738 [翼]
:09/02/18 22:05 :SO706i :BEthy1Jo
#739 [我輩は匿名である]
:09/03/13 09:23 :SH905i :XdT7dI4s
#740 [我輩は匿名である]
:09/09/21 17:35 :auKC3O :lhhQffoc
#741 [我輩は匿名である]
:09/09/21 17:40 :auKC3O :lhhQffoc
#742 [ん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑
:22/10/27 04:57 :Android :DE5DdzBs
#743 [ん◇◇]
:22/10/27 05:42 :Android :DE5DdzBs
#744 [ん◇◇]
:22/10/27 05:58 :Android :DE5DdzBs
#745 [ん◇◇]
:22/10/27 06:05 :Android :DE5DdzBs
#746 [ん◇◇]
:22/10/27 06:06 :Android :DE5DdzBs
#747 [ん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑
:22/10/27 06:27 :Android :DE5DdzBs
#748 [ん◇◇]
考えさせられました。
:22/10/27 06:42 :Android :DE5DdzBs
#749 [ん◇◇]
:22/10/27 06:50 :Android :DE5DdzBs
#750 [ん◇◇]
:22/10/27 06:50 :Android :DE5DdzBs
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