人生の案内板
最新 最初 全
#151 [幸]
『鮎川?どうするの?』
小早川君の声に気づき
『ごめん、今日は無理なんだ』
と、とっさに言ってしまった
何言ってんだ?私。
なんで素直になれないの!?
思っていたことと、
全く逆の言葉が出てくる
:08/12/26 18:09 :W53H :5QU1jOMg
#152 [幸]
『そっか、じゃあ
今度は鮎川が都合のいい日で』
『……うん!!』
精一杯の笑顔で返事した。
すると小早川君も笑顔で返してくれた。
そして小早川君は
教室を去った。
キャーと叫びたくなる
ような笑顔だった。
あの笑顔は反則だよ。
:08/12/26 18:12 :W53H :5QU1jOMg
#153 [幸]
『かなぁ〜』
ちなみが走ってきた。
『なによ?』
私は少しだるそうにして聞いた
『ひど!!小早川君には
あんなに優しい声で話してたのに』
『そ…そんなことないよ。』
きっと。
:08/12/26 18:47 :W53H :5QU1jOMg
#154 [幸]
『かな、小早川君のこと…?』
ちなみはニヤニヤしながら聞いてきた
『…知らん!!』
『自分の気持ち、
伝えたら〜?』
『ちなみはどうなん?』
するとちなみは、
『私は無理みたい。』
:08/12/26 18:49 :W53H :5QU1jOMg
#155 [幸]
笑顔でそう言ったが
声は寂しそうだった。
無性に悲しかった。
私はちなみに、
家事が終わったら
レストランに行こうと誘った。
今度は嬉しそうな声で
返事した。
:08/12/26 18:53 :W53H :5QU1jOMg
#156 [幸]
私は家事を終え、
レストランに着いた。
約束の時間の5分前に
椅子に座った。
『かな〜。』
ちなみの声が聞こえた。
私たちは暫く、好きな
アイドルの話で盛り上がった。
そして私はドリアを、
ちなみはパスタを注文した。
:08/12/26 18:58 :W53H :5QU1jOMg
#157 [幸]
『ちなみ、何かあったの?』
私は注文してすぐそう聞いた。
ちなみは少し深呼吸をし話し出した。
『陸って知ってるよね?』
:08/12/26 23:58 :W53H :5QU1jOMg
#158 [幸]
陸…。
ちなみの彼氏。
ちなみと同じ中学で、
今は男子校に通っている。
『陸君がどうかしたの?』
『べージェクト病なの』
ちなみはとても深刻そう
に言った。
しかし、私はさっぱり
わからなかった。
:08/12/27 00:01 :W53H :nlA3ocY.
#159 [幸]
『目が…見えなくなっちゃうんだって。
別れようって言われちゃったぁ。』
ちなみの目には、たくさん
涙がたまっていた。
きっと、私の顔が見れないくらいに。
:08/12/27 00:55 :W53H :nlA3ocY.
#160 [幸]
『目が見えなくても、
私は陸を支えてあげたい…
別れたくない…』
たまっていた涙を
一気に流した。
ちなみは泣きながら、
苦しんでいたと思う。
この苦しみを私は
とうてい味わうことなどできない。
私はそこまで恋に溺れたことがないからだ。
:08/12/27 01:27 :W53H :nlA3ocY.
#161 [幸]
『陸の目になってあげたいのに。』
ちなみは何度もそう言った。
その涙が、何よりも
その思いが伝わってくる
:08/12/27 01:28 :W53H :nlA3ocY.
#162 [幸]
『ちなみならできるよ。
優しいじゃん?
ちなみは。』
『…ありがと……』
本気で思った。
優しさがあれば、相手にもその
優しさが伝わり、支え
になることができるって。
でも、実際は違う。
そんなこと、ただの
綺麗事だ。
そう分かったのは、
後の話になるが。
:08/12/27 01:34 :W53H :nlA3ocY.
#163 [幸]
夏祭り。
今日は年に1回の夏祭り。
勉強ばかりなので、
たまには羽でも伸ばすかぁ!!
そう思い、
中学の友達と
地元の夏祭りに行った。
:08/12/27 01:37 :W53H :nlA3ocY.
#164 [幸]
あれから、警察も来ない。
彼は一体、どうなったのだろう。
今は以前ほど、そこまで
疑問に思わなくなってきた。
:08/12/27 01:39 :W53H :nlA3ocY.
#165 [我輩は匿名である]
今日始めから一気に読みました。
この小説すっごく好きになりました
頑張って(・ω・´*)
:08/12/27 01:48 :SH905i :IVh/BtIs
#166 [幸]
>>165うわ
好きになったなんて…
めっちゃ嬉しいです
ぁりがとぅござぃますx
:08/12/27 10:01 :W53H :nlA3ocY.
#167 [幸]
『かな〜あんず!!』
中学の唯一の友達、
あきがあんずを食べたいと言った。
『食べる!』
私はそう言い、
お金を出そうとした。
:08/12/27 10:03 :W53H :nlA3ocY.
#168 [幸]
しかし、人ごみのせいで
400円を落としてしまった。
『やば…』
私はしゃがんでお金を
拾った。
すると、大きい影が
こちらに近づいてきた。
:08/12/27 10:06 :W53H :nlA3ocY.
#169 [幸]
誰……?
『はい、これで400円だろ。』
そう言って100円をくれた。
『小早川君!?』
大声で叫んでしまった。
:08/12/27 10:08 :W53H :nlA3ocY.
#170 [幸]
『おう、何?鮎川1人?』
小早川君の格好は上は
ワイシャツ、下は黒の
スーツっぽいズボンを
はいていた。
シンプルな格好がとても
似合っていた。
…かっこいい……
:08/12/27 10:10 :W53H :nlA3ocY.
#171 [幸]
『鮎川?』
はっ!!
いけない、また…
いや、今度は見とれてただけ!!
『地元の友達と…』
私は目を反らし、そう言った。
:08/12/27 10:12 :W53H :nlA3ocY.
#172 [幸]
『そうなんだ。』
小早川君はニコニコ笑っていた。
なんでそんなに笑うのだろう。
あなたの笑顔を見ると
心が癒される…
『かな〜』
あきの声だ。
:08/12/27 10:13 :W53H :nlA3ocY.
#173 [幸]
『あき…』
の後ろに男性もこっちに来た。
『つばさ!?』
『きい?きいじゃないか』
…え〜と、お二人さん
は知り合いなのかな?
:08/12/27 10:15 :W53H :nlA3ocY.
#174 [幸]
『鮎川、こいつ俺と同じ中学の
つばさ。』
小早川君が丁寧に教えてくれた。
『そして私と同じ高校』
あきも丁寧に教えてくれた。
なんか、凄い出会い方。
私は心の中で笑った。
:08/12/27 10:18 :W53H :nlA3ocY.
#175 [幸]
『なあ、4人でまわらない?』
つばさ君がそう言った。
賛成と、いうことになったので
4人でまわることになった。
歩いていると、あきの
顔が赤くなっている事
に気づいた。
:08/12/27 10:21 :W53H :nlA3ocY.
#176 [幸]
は〜ん。
なるほど……
『ねえ、ごめん!あき
私トイレ行きたくなったの。
一緒についてくれない?』
私はあきの前に立ち、
そう言った。
あきはいいよと言ってくれたので
小早川君たちは時計の
下で待っててくれた。
:08/12/27 10:24 :W53H :nlA3ocY.
#177 [幸]
私とあきの2人きり。
私はあきに問いただした。
『つばさ君のこと…』 『うん…』
やっぱり。
『かな、まさかそのために?』
:08/12/27 10:25 :W53H :nlA3ocY.
#178 [幸]
『えへ』
あきの顔がみるみる赤く
なった。
かわいいやつ。
私たちは小早川君たち
の所へ戻り、
再び歩き始めた。
:08/12/27 10:27 :W53H :nlA3ocY.
#179 [幸]
……
どのタイミングで上手く
2人きりにさせるか…
私は結構悩んでた。
すると、突然右手を引っ張られた。
『あれ?かな?』
『きいもいねーし』
:08/12/27 10:30 :W53H :nlA3ocY.
#180 [幸]
2人の声が遠く聞こえた。
一方、私はまだ引っ張られていた
人ごみをさけ、誰もいない道に出た。
『鮎川…』
小早川君!?
:08/12/27 10:32 :W53H :nlA3ocY.
#181 [幸]
小早川君、ナイスだよ。
そう思った。
『悪いな、突然こんなことして。』
『ううん…』
暫く沈黙が続いた。
:08/12/27 10:34 :W53H :nlA3ocY.
#182 [幸]
『つばさのやつ、
鮎川の友達のこと…』
『え?まじ!?あきもなんだよ』
うわー両思いだったのかあ!!
小早川君と笑いあった。
彼の笑顔…好きだなぁ。
:08/12/27 10:36 :W53H :nlA3ocY.
#183 [幸]
って、何思ってんだ!?
私……。
『こんな俺だけど、
一緒にまわってくれる?』
『うん。』
嬉しいよ。小早川君。
こんなって言う、顕著
な所がもういい!!
:08/12/27 10:38 :W53H :nlA3ocY.
#184 [幸]
あなたのことが
好きです。
心の中でそう呟いた。
『ただいま〜』
って言っても誰もいない。
:08/12/27 10:40 :W53H :nlA3ocY.
#185 [幸]
夏祭りも終わり、
私は途中まで小早川君
に送ってもらった。
やばかったね。
いや、本当に。
私は部屋着に着替え
ベッドの上で携帯を持った。
:08/12/27 10:42 :W53H :nlA3ocY.
#186 [幸]
メール受信の音。
きたぁぁぁ!!
…ん?
あきだ。
私はあきからのメール
を読んだ。
最初は、途中で2人とも消える
からびっくりした
だって!!かわいい。
:08/12/27 10:44 :W53H :nlA3ocY.
#187 [幸]
そして最後の行には、
付き合ったっていう文字が…
うわぁ!!おめでとう!!
暫くあきとメールをしてた。
その内、寝てしまった。
:08/12/27 10:46 :W53H :nlA3ocY.
#188 [幸]
翌日。
父さんが電話だぞ。
と起こした。
『まじ!?誰から?』
私は目をこすりながら
聞いた。
父さんは低い声で
『警察から』
と言った。
:08/12/27 10:47 :W53H :nlA3ocY.
#189 [幸]
あの少年のことか。
私はそう思い、
電話を代わった。
『もしもし?』
『鮎川かなさんですか?』
『はい。』
『当時の様子を伺いたいので
〇〇警察署まで来て頂けません?』
:08/12/27 14:36 :W53H :nlA3ocY.
#190 [幸]
私はしぶしぶ返事をし、
洋服に着替えた。
カレンダーをふと目に
入った。
今日は日曜日。
だから父さんがいたんだぁ。
:08/12/27 22:40 :W53H :nlA3ocY.
#191 [幸]
『あの少年のことか?』
父さんが靴ひもを結ぶ
私にそう聞いた。
『うん…』
『お前の気持ちを伝えろ。
お前は母さんと違って
頭がいい。
相手を納得できるような
説明しろよ。』
:08/12/27 22:42 :W53H :nlA3ocY.
#192 [幸]
『わかった!!』
私は笑顔で家を出た。
警察は、あの少年をどうするつもりなのか?
そういえば、あれ以来
ニュースとか報道されてない。
:08/12/27 22:44 :W53H :nlA3ocY.
#193 [幸]
『鮎川さんですね?』
警察署に着いた。
私は警察の人たちと
一つの小さな部屋で
話した。
『あなたは、どこで
会ったんですか?』
『〇〇公園の近くの
路地裏です。』
私はあの日のことを
1から10まで話した。
:08/12/27 22:47 :W53H :nlA3ocY.
#194 [幸]
警察の人は、時々頷きながら
聞いてくれた。
この人は、きっと話を
ちゃんと理解してくれる。
そう感じた。
『あの少年がね、
なんで君が俺のこと
助けてくれたのか、
わからないって。
会ってみない?』
:08/12/27 22:50 :W53H :nlA3ocY.
#195 [幸]
『えっ?』
『自分の口から本人に
伝えた方がいいでしょ?』
何かが救われた気持ちになった。
彼に会えば、私の今までの
考えをかき消してくれるような
気がしたからだ。
なんのため勉強するか
という、難問に。
:08/12/27 22:52 :W53H :nlA3ocY.
#196 [幸]
『どうぞ。』
警察の人に案内され
前にあった椅子に座った。
あのドアの向こうに
彼が来る……
ガチャー
:08/12/27 22:53 :W53H :nlA3ocY.
#197 [幸]
彼が来た。
私はまじまじと彼の顔
を見た。
彼の顔は、あの日と同じ
目だけがギラギラしていた。
『なんで来たんだよ?』
:08/12/27 22:54 :W53H :nlA3ocY.
#198 [幸]
彼が椅子に座る当時にそう聞いた。
『私、あなたに言われてから
考えるようになった。
なんでT大学に行くのか。
またはなぜ勉強をするのか。
考えたけど、無理みたい。
私にはなりたい職業がない。
あれば、また違ってたかもしれないのに。』
:08/12/27 22:57 :W53H :nlA3ocY.
#199 [幸]
『まだ気にしてんのか?
忘れろ!!
俺は妬いてたんだ!
俺、受験なんてまだまだ
だけどK高校に行って
L大学に行って、心理学
を学びたかったんだ。
でも行きたくても
俺は無理なんだ。
金がないから…。
それなのに、夢も
学びたいこともない
あんたが大学に進学して
ずるいよ…
だったら、俺と交換しろよ。
そう思っただけだ。
だから妬いてただけなんだよ。』
:08/12/27 23:02 :W53H :nlA3ocY.
#200 [幸]
彼の声は…
震えていた。
悔しさがひしひしと
伝わってくる。
『俺のせいで、あんたが
苦しんだならごめん。
だから、もう俺にかまわなきて
いいよ。』
:08/12/27 23:04 :W53H :nlA3ocY.
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194