人生の案内板
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#401 [幸]
『ならよかったぁ。
気をつけてね。』
『はい!!』
『あれ?かなさん、
少し顔、赤くない?』
『そうですか?
走ってきたからだと
思いますよ。』
多分……。
:09/01/22 00:13 :W53H :ORnfeSKs
#402 [幸]
そういえば、あの人も
私のこと名前で呼んでるんだから
私も名前で呼ばないと。
『すみません、名前
なんて言うんですか?』
『ああ―源蔵。
変な名前でしょ?
だからかけるみたいに
“じじさん”って呼んで?』
『…じじさん…』
私は口にだした。
:09/01/22 00:16 :W53H :ORnfeSKs
#403 [幸]
『いやだ…?』
『いえ、店の主人と
こういうあだ名で呼び合う
って凄いうれしいっていうか…』
『そうかい、じゃあね。』
じじさん……
本当にいい人だなぁ。
改めて思った。
:09/01/22 00:18 :W53H :ORnfeSKs
#404 [幸]
私は歩きながら携帯で
文字を打って、
かけると話した。
じじさんとの関係など
色んな話をした。
“両親が亡くなったらしく、
俺の育ての親なんだ。
でもじじいみたいだから
俺がじじさんってあだ名考えたんだ。”
かけるはじじさんの話をするとき
子供のようにはしゃいでいた。
:09/01/22 00:22 :W53H :ORnfeSKs
#405 [幸]
…それにしても暑い。
まだ秋だからかな?
今は温暖化だし。
さっき走って、今歩いてるせいか…?
ああ…かけるが一生懸命
携帯打ってる。
まだ話したいことがあるんだ…。
でも………
:09/01/22 00:24 :W53H :ORnfeSKs
#406 [幸]
そう―。
かけるは耳が聞こえないんだ。
だから私が倒れてた音が聞こえなかった。
おまけに携帯打ってる のに集中してるから、
なおさら――。
:09/01/22 00:25 :W53H :ORnfeSKs
#407 [幸]
隣で歩く気配がない…。
あれ?
かな……?
ようやくかなが倒れてることに気づいたかけるは、
慌てて来た道を戻った。
:09/01/22 11:48 :W53H :ORnfeSKs
#408 [幸]
かな!!
かな!!
心の中で叫んでも
誰も気づかないし、
返事も聞こえないこの世界。
かけるはこんな自分を
どう思ったのだろうか?
:09/01/23 19:59 :W53H :ORM6OE96
#409 [幸]
一方、私は頭はボ―っとしていて
体も熱かった。
か…かける…。
世の中は酷いなぁ。
人が倒れてるのに
知らんふりかよ。
:09/01/23 20:01 :W53H :ORM6OE96
#410 [幸]
誰もタスケテクレナイ…
自分しか、守れないんだ。
自分で立ち上がらなきゃ…。
ザザっと音がした。
誰かが私の前に立っていた。
:09/01/23 20:04 :W53H :ORM6OE96
#411 [幸]
顔を踏ん張ってあげてみる。
かける……?
かけるだ…
息が荒い、かけるの吐息が
頬に当たる。
必死に人差し指を左右に振っている。
:09/01/23 20:06 :W53H :ORM6OE96
#412 [幸]
たしか…その手話は…
私は少し上半身をあげ
左右の胸の少し上を
片手でタッチした。
‘大丈夫だよ……’
その後のことは覚えてない。
:09/01/23 20:10 :W53H :ORM6OE96
#413 [幸]
柔らかい匂い。
ああ、私この匂い好き。
なんだろ?
なぜこんなに癒されるんだろ?
母さん…?
:09/01/24 00:50 :W53H :x4n0L59A
#414 [幸]
母さんがスタスタと歩いてる。
私は必死に追いかけた。
『母さん!!』
やっと追いつき、
母さんの腕を掴んだ。
『…かな。』
母さんは少し悲しい顔で振り向いた。
:09/01/24 00:51 :W53H :x4n0L59A
#415 [幸]
『どうしたの?』
私がそう聞くと、母さんは
さらに悲しい顔をした。
『あんた……L大に行くんでしょ?』
『えっ……?』
母さん………?
:09/01/24 00:53 :W53H :x4n0L59A
#416 [幸]
『私が死んだ日、
誓ってくれたわよね?
絶対T大に行くって…』
『ごめん……
でも私、L大に行きたい…。
約束破っちゃうけど、
違う……母さんとの約束を破ってまで
L大に行きたい…。』
こんなに自分の意見を主張したことがなかった。
:09/01/24 00:55 :W53H :x4n0L59A
#417 [幸]
母さんはどう思ってるのかな?
少し心配になったので
母さんの顔をよく見ようとした。
すると母さんは
『そう…。ならなんで
母に言わなかったの?
最近、私寂しいの。
あなたが仏壇に来てくれなくて。』
:09/01/24 00:58 :W53H :x4n0L59A
#418 [幸]
と、また悲しい顔をした。
『春の頃はよく仏壇に
来て、話しかけてくれたのに。
私との約束を破ってまで
行きたい大学ならそれてよい。
しかし、私にちゃんと
言ってほしかった…。
あなたは私の子どもなんだから。。。』
そう言いながら抱きしめてくれた。
『母さん……。
ごめんね。これからは
ちゃんと話しかけるから…。』
そう言った。
:09/01/24 01:01 :W53H :x4n0L59A
#419 [幸]
『かな。
人の心のわかる人になってね…。』
そう母さんが言うと
私から離れようとした。
『待って!!
なるから行かないで!!
私を置いてかないで!!』
とっさにそう叫んだが
母さんは消えてしまった。
:09/01/24 01:03 :W53H :x4n0L59A
#420 [幸]
『母さん!!』
そこで目覚めた私。
夢……。
んだよ、夢かよ…
てか、ここは…?
見覚えのない風景。
私は記憶を遡ってみる。
:09/01/24 01:05 :W53H :x4n0L59A
#421 [幸]
時計は…!?
携帯で時間を見てみると
7時を回っていた。
『しっ…7時!?』
私は起き上がろうとしたが
体がふらついてしまって、そのままベッドに倒れた。
:09/01/24 01:32 :W53H :x4n0L59A
#422 [幸]
‘こら〜ちゃんと寝なきゃ。’
この文字がいきなり現れた。
かけるの字だ。
かけるが私の顔に近づいてきた。
な…なになになに〜?
心臓が速く動いているのがはっきりわかる。
:09/01/24 01:34 :W53H :x4n0L59A
#423 [幸]
『も、もう大丈夫ですカっっラ…。』
そんなに顔を近づけられると
何を話せばいいのか解らなくなってくる。
かけるは急いでノ―ト
に何かを書き出した。
:09/01/24 01:36 :W53H :x4n0L59A
#424 [幸]
‘熱を計らせて頂いたよ’
『えっ…?』
‘8度もあれば倒れる
てか、俺がもう少し早く
気づいてやれば…’
かけるは悲しい顔をしていた。
その顔が夢の中で出てきた
母さんととてもかぶった。
:09/01/24 01:38 :W53H :x4n0L59A
#425 [幸]
『ううん……
てか、私の話してる事
わかるの?』
今まで普通に話してきたのに…。
そう疑問を持った。
本当はこの話しを反らしたかっただけだが。
‘今、補聴器をつけてるからね
多少聞こえる。’
:09/01/24 01:40 :W53H :x4n0L59A
#426 [幸]
『そうなんだぁ。』
すると、お粥が出された。
『作ったの?』
‘当たり前だろ
食べないと元気でないからな’
私は一口一口、味わいながら食べた。
:09/01/25 23:49 :W53H :9aEmbiE.
#427 [幸]
『おいしい…』
‘誰が作ってもそんな味だよ’
かけるはそうノ―トに書くと
薬の水を出した。
ううん…
かけるが作ったと
わかっているから余計
嬉しくて元気がでるんだよ。
そう心の中で言った。
:09/01/25 23:52 :W53H :9aEmbiE.
#428 [幸]
‘明日も学校だよな?
休んだ方がいいよ’
明日は土曜日。
いつも通り学校はある。
しかし、私はL大合格
を目指している。
時間を無駄にしたくない。
:09/01/25 23:56 :W53H :9aEmbiE.
#429 [幸]
『嫌…。私、一応受験生だし。』
‘風邪治してからの方が
頭に入るよ?’
『嫌。』
かけるは顔で会話してるかのように
表情が豊かだった。
話さなくても、
かけるの言いたいことが分かる。
:09/01/26 14:44 :W53H :yU/awDHY
#430 [幸]
かけるは悲しそうな顔をした。
なぜか私がイジメてるみたいだ。
『わかったよ!!
学校には行かないから
私ん家まで送ってほしいんだけど…。』
‘いいよ。
車に乗れよ’
車!?
えっ…まじ!?
:09/01/26 14:48 :W53H :yU/awDHY
#431 [幸]
かけるはすぐさま、
車の鍵を持って行ってしまったので
私はしぶしぶかけるの車に乗った。
ふと、車の横の建物を見た。
大きな綺麗なアパートがある。
:09/01/26 14:52 :W53H :yU/awDHY
#432 [幸]
ここの二階の一番左に
かけるの部屋があった。
私はかけるがいつも寝ているベッドで…
キャ―と叫びたくなった。
かけるの匂いが体にしみてるかのように
覚えてる。
今乗っている車も
少しだけかけるの匂いがする。
:09/01/26 14:54 :W53H :yU/awDHY
#433 [幸]
そう思ってる時、
かけるが運転席に乗り
隣にいる私に携帯で文字を打ち、
聞いた。
‘かなさんの家の近くに何がある?’
私も携帯で文字を打ち
『〇〇ラ―メン屋がある』
と言った。
:09/01/26 14:57 :W53H :yU/awDHY
#434 [幸]
‘了解’
かけるはそう手話でし、
カ―ナビで〇〇ラ―メン屋を調べ、
そこに向かってアクセルを踏んだ。
運転中の時は話せない。
ちょっと寂しかったが
信号で止まるたびに、
かけるがその時にしか
見せない笑顔で私に微笑みかけてくれた。
その瞬間が無性にかわいくて
頭が重いはずなのに、
忘れてしいそう。
:09/01/26 15:01 :W53H :yU/awDHY
#435 [幸]
そして私の家に到着。
さきほどよりフラフラ
しなくなったが
頭がまだ痛い。
かけるは私の部屋まで
寄り添いながら私を運んでくれた。
さっきはそんなこと
しなかったくせに。
:09/01/26 17:04 :W53H :yU/awDHY
#436 [幸]
‘おれん家にあった風邪薬
ここに置いとく。’
かけるはそうノ―トに書き
私の机の上に薬を置いた。
『ありがと…。』
確か、ありがとの手話は…。
よく思い出しながら
私はお礼の手話をした。
:09/01/26 17:07 :W53H :yU/awDHY
#437 [幸]
するとかけるはとても
嬉しそうに笑った。
‘手話できるの?’
『ううん。挨拶しか…』
‘でも上手だよ
〈大丈夫〉も上手だった’
:09/01/26 17:11 :W53H :yU/awDHY
#438 [幸]
『えっ…えへっ』
‘なに照れてんの?’
『べっ、別に照れてないし。』
‘はいはい。
でもなんで手話を?’
言えるか―!!?
:09/01/26 17:15 :W53H :yU/awDHY
#439 [幸]
絶対言いたくない。
言ったら調子こくもん。
私はしばらく黙っているとかけるは
‘まぁ、別にいいけど’
そうノ―トに書いた。
なぜか寂しかった。
するとかけるは私の机
にあったL大の赤本を取った。
:09/01/26 17:19 :W53H :yU/awDHY
#440 [幸]
‘かなさん、L大目指しているの?’
『うん…
心理学を学びたくて。』
‘ふ〜ん。推薦で?’
…推薦。
:09/01/26 17:21 :W53H :yU/awDHY
#441 [幸]
‘でも心理学部の推薦
はむずいよ
全部論文だし。’
『私はセンターで受験するつもりだけど…』
‘あっ、そうなんだ。’
一般入試の論文をさけるためにね。
:09/01/26 17:23 :W53H :yU/awDHY
#442 [幸]
‘そなんだ。
じゃあ、頑張れよ
待ってっから。’
自分の顔が熱くなってるのが
よくわかった。
『早くかえれ!!』
と叫び、布団にもぐった。
:09/01/28 11:26 :W53H :vvhWMjeI
#443 [幸]
ツンツンと、綺麗な指で
つつるかける。
『なに?』
‘熱あがったんじゃん?
さっき顔が赤かった。’
『いいから早くかえれ!!』
と、叫びながら玄関まで
かけるの背中を押した。
:09/01/28 11:29 :W53H :vvhWMjeI
#444 [幸]
ガチャ―
玄関の開ける音。
『かな?』
『父さん!?』
父さんがこちらをびっくりした顔でみていた。
『だっ……だっ…』
顔をピクピクさせながら
そうきいた。
:09/01/28 11:31 :W53H :vvhWMjeI
#445 [幸]
『父さんこの人は…『お前は黙ってろ!!』
私が言おうとした瞬間、
父さんが怒鳴った。
‘娘さんの友達です。
娘さん、風邪気味だったので
家まで送りました。
では失礼します。’
かけるはそうノ―トに書くと、
私に会釈して帰った。
:09/01/28 12:06 :W53H :vvhWMjeI
#446 [幸]
『なんだよ。ノ―トに
こまこま書きやがって。
そんで俺が来た途端に
逃げやがって。
情けない男。』
私は父のその一言がすごく傷ついた。
それと同時に憤りを覚えた。
『そんなこと言わないで!!
彼は耳が聞こえないの
話さないんじゃない!!
話せないの!!
なんで気づかないの?』
:09/01/28 19:05 :W53H :vvhWMjeI
#447 [幸]
怒鳴り声をあげた私と裏腹に
父は静かな声で言った。
『世の中にはな、かな
みたいな人ばかりじゃないんだよ。
俺みたいに鈍感なやつもいるんだよ。』
そして父は速やかにテレビのスイッチを押した。
:09/01/28 19:07 :W53H :vvhWMjeI
#448 [幸]
一言、謝ればいいのに。
そう思いながら布団に入った。
翌日。
熱もすっかり下がったので
学校に行った。
:09/01/28 19:12 :W53H :vvhWMjeI
#449 [幸]
『かな!!』
ちえみの声に反応してしまった。
いつもなら喜ぶのに。
『ちえみ……』
『私はT大を目指す。
だから…お互い頑張ろ。
あなたは私の友達。
そしてライバル。
私はずうっとこの関係でいたいんよ。』
:09/01/28 19:18 :W53H :vvhWMjeI
#450 [幸]
私はちえみの言葉を決して
忘れないだろう。
こんな友達、初めて。
『私も……。』
私がちえみの立場だったら
こんなことが言えるのか?
いや、ちえみの性格だからこそ
言えるのだ。
そういう所が尊敬してしまう。
:09/01/28 19:21 :W53H :vvhWMjeI
#451 [幸]
もうこの時期になると
休み時間の時でもみんな
勉強している。
勿論、私も。そしてちえみも。
しかし私は休み時間に
なった時必ず携帯をチェックする。
:09/01/28 19:24 :W53H :vvhWMjeI
#452 [幸]
メール……来てません。
一応かけるに謝罪のメールをしたが
返ってきません。
怒ってるのかな…。
ああ〜…
かけるのばか!!
返事よこせ!!
:09/01/28 19:30 :W53H :vvhWMjeI
#453 [幸]
弁当の時、
ちえみが話しかけてきた。
『さっき落ち込んだ顔してたでしょ?
どうしたの?』
弁当の時しか、こういう話をすることができないので、
私は一気に話した。
:09/01/28 19:31 :W53H :vvhWMjeI
#454 [幸]
『向こうはね、大学生よ。
そんな早く来るかな?』
『だって!!』
『かな〜。
あなたって、かける君
がいなきゃだめなのね!』
『んなことない!!』
ちえみは卵焼きを、
私は梅干しを食べていた。
:09/01/28 19:34 :W53H :vvhWMjeI
#455 [幸]
『鮎川!!
何ボ―っとしてる!?』
授業中、数学の先生に怒られた。
『一応、問題解いてますから。』
『その顔でか!?』
カチンときたので、
今まで解いてたノートを見せた。
:09/01/28 19:37 :W53H :vvhWMjeI
#456 [幸]
『いや〜失敬。
鮎川は顔に似合わずやってるんだなぁ。』
クラスがざわっと笑いだした。
弁当の時、
ちえみは卵焼きを一口
くちに入れて聞いた。
:09/01/28 19:40 :W53H :vvhWMjeI
#457 [幸]
『どうしたの?
本当に数学の先生時、
変な顔してたよ。』
『だって…
あれから一週間もメール来てないんだよ!?
絶対嫌われた…。』
…………。
かける……。
:09/01/28 19:43 :W53H :vvhWMjeI
#458 [幸]
『男はメール嫌いじゃん』
『私とのメールに飽きたの?』
『いや、…てか付き合ってないじゃん
かなたち。』
『だって、かけるは電話
できないんだよ?
メールしか連絡取れないんだよ?』
『うん…そだけど…』 『てことは…私と連絡取りたくないんだぁ!!』
:09/01/28 19:50 :W53H :vvhWMjeI
#459 [幸]
『わ…私だって陸から
メールこないときあるよ!』
と、ちえみは言った。
『でも一週間はないでしょ!?』
『あのね―!一応私たちは
つき合ってるからね。』
テンションが低いこの頃。
:09/01/28 19:55 :W53H :vvhWMjeI
#460 [幸]
そして帰りのHRに模試の結果が配られた。
お……L大A判定だ!!
さすが私。(笑)
『T大もAだし。
この調子で頑張れ!!』
担任にそう言われ、
ますます気合いがわいてきた。
:09/01/28 20:58 :W53H :vvhWMjeI
#461 [幸]
今日は父さんはご飯いらないってメールきたし、
あのレストランに行くぞ!
そう思い、急いで学校をでた。
:09/01/28 21:00 :W53H :vvhWMjeI
#462 [幸]
一週間ぶりにきたあのレストラン。
思い切って中に入った。
『やぁ、かなさん。』 じじさんが優しい声で
迎えてくれた。
:09/01/29 10:55 :W53H :WAe8sHqk
#463 [幸]
『じじさん、かけるって
生きてるの?』
『いきなり凄いこと聞くね。
生きてるよ。』
そう話してると、ピアノの音が聞こえた。
私はかけるだと思い
見てみたが、違う人だった。
:09/01/29 10:57 :W53H :WAe8sHqk
#464 [幸]
『かけるがどうかしたの?』
『…メールが来ないんです。』
私はじじさんに話すと
じじさんは腹を抱えて笑っていた。
そんなに笑うことかな?
『んでここに来たと。
でもかなさん、今日は
かける、バイトじゃないんだよ。』
:09/01/29 11:01 :W53H :WAe8sHqk
#465 [幸]
『そうですか…』
私は失礼しましたと言い
レストランをでた。
レストランを出て、
暫く歩いて気づいた。
ご飯食べるんだった…と。
:09/01/29 11:03 :W53H :WAe8sHqk
#466 [幸]
『鮎川!!』
振り向くと、小早川君がいた。
『小早川君…。』
『鮎川!!
国語教えて!!』
私は正直、小早川君と
勉強をしたくなかった。
:09/01/29 11:07 :W53H :WAe8sHqk
#467 [幸]
『なっなんで?』
『俺、今日返ってきた模試
悪くて……。
だからお願い!!』
家に帰ってもかけるから
メール来ないし、
別にいいか。
そう思い、小早川君の頼みを承諾し、
小早川君の後を歩いた。
:09/01/29 11:13 :W53H :WAe8sHqk
#468 [幸]
私は今まで1人で家に
いたことがない。
1人になると、勉強も
スムーズにできないからだ。
1人になると、必ず図書館などで勉強をする。
でもかけると知り合って、
家でも勉強をできるようになった。
勉強すれば、かけるからメールが来るからだ。
なんて単純な理由…。
:09/01/29 11:16 :W53H :WAe8sHqk
#469 [幸]
『鮎川…?』
小早川君がいつもより
低い声で私の名前を呼んだ。
『なあに?』
『図書館、この時間帯
開いてないから
俺んち、来ないか?』
『…いい……。』
:09/01/29 11:19 :W53H :WAe8sHqk
#470 [幸]
なんか…嫌だった…。
『頼むよ…。
俺、国語さえよければ
いいんだよ…。
鮎川っ!!手伝ってくれよ。』
小早川君はだんだんと
大きい声をあげ、
私の肩に手をかけた。
『T大に行きてぇんだよ!!』
小早川君が大声で叫んだ。
:09/01/29 11:24 :W53H :WAe8sHqk
#471 [幸]
『わかったよ…。』
『鮎川っ!!ありがと!』
承諾しちゃった…。
大丈夫だよね…
小早川君は勉強のことしか
頭にないよね……?
私はそう言い聞かせながら
小早川君の家へ向かった。
:09/01/29 11:26 :W53H :WAe8sHqk
#472 [幸]
『大きい…。』
小早川君の家に到着。
にしても、大きい…。
『俺の部屋。』
そう小早川君に誘導され入った。
参考書でいっぱいの部屋だった。
:09/01/29 11:29 :W53H :WAe8sHqk
#473 [幸]
『模試の見直しやろう!』
小早川君はそう言って
準備をし始めた。
…私、なに勘違いしてたんだ…
ちょ―恥ずかしい…。
そう思いながら私も
準備を始めた。
:09/01/29 11:31 :W53H :WAe8sHqk
#474 [幸]
『これさぁ、なんでこうなるの?』
小早川君の質問に私は
丁寧に答えた。
また、私は政治経済が
わからなかったので
お互いに質問し、答えてた。
2時間、模試の見直しをした。
:09/01/29 11:33 :W53H :WAe8sHqk
#475 [幸]
『じゃあ、私そろそろ…』
気づけば8時。
お腹すいたし、帰りたかった。
私が帰ろうとした時
小早川君が私の腕を掴んだ。
『鮎川……』
小早川君の顔がゆっくりと
近づいてくる。
:09/01/29 11:36 :W53H :WAe8sHqk
#476 [幸]
『こっ小早川君…。』
『鮎川って、好きな人いるの?』
その質問に戸惑った。
暫く何も言わなかった。
『いるんだ…。』
:09/01/29 11:38 :W53H :WAe8sHqk
#477 [幸]
『かっ帰るね…。』
私は小早川君の腕を振り払った。
そして逃げるように去った。
『よう、今暇なの―?』
見知らぬ男にからまれた。
:09/01/29 11:43 :W53H :WAe8sHqk
#478 [幸]
時計は8時半を指していた。
私は今までこんな夜に、
1人で出歩いたことがなかった。
だからこんな経験も初めて。
『すみません…。』
そう言って逃げようとしたが
囲まれていた。
:09/01/29 11:45 :W53H :WAe8sHqk
#479 [幸]
何か話しているが、
全く耳に入らなかった。
怖い……
怖い。。
嫌…
『かける―!』
思わず、叫んでしまった。
:09/01/29 11:49 :W53H :WAe8sHqk
#480 [幸]
『かっ…かけるだとぉ!?』
『やべーよ、この女。』
『逃げるぞ。』
と、逃げていった…。
………?
なぜに?
:09/01/29 11:51 :W53H :WAe8sHqk
#481 [幸]
私はなるべく大通りを
通って帰った。
玄関に誰かがいた。
『かける……?』
かけるがこっちを振り返った。
:09/01/29 12:02 :W53H :WAe8sHqk
#482 [幸]
‘今日、じじさんの所
に行ったらかなさんが
来たって言われて…’
携帯でそう打たれていた。
私も携帯で打った。
『私の父さんがご迷惑
をおかけしました。』
:09/01/29 12:04 :W53H :WAe8sHqk
#483 [幸]
‘娘思いのいい父親だよ’
『そうかな?』
‘ああ。’
なぜか、かけるといると
自然に笑いがこみ上げてくる。
:09/01/29 12:06 :W53H :WAe8sHqk
#484 [幸]
‘テストだったからメール
できなかった。
ごめんな。’
『大丈夫だよ。』
‘本当に?’
『本当だよ!!』
なんだ…テストだったのか。
今までの私、なんだったんだ…。
:09/01/29 12:08 :W53H :WAe8sHqk
#485 [幸]
『と、言うわけなんです。』
翌日、学校でさっそく
ちえみに話した。
小早川君のことを除いて。
『あんたも早とちりなんだから。』
ちえみは笑いながらそう言った。
:09/01/29 12:10 :W53H :WAe8sHqk
#486 [幸]
『てか、文化祭来るの?』
ちえみがワクワクしながら聞いてきた。
文化祭……。
ここの文化祭は主に
2年生がメインだ。
3年生は受験なので…
だからカップルはよく
一緒に回っていた。
:09/01/29 12:14 :W53H :WAe8sHqk
#487 [幸]
『ちえみは?』
『陸が来てくれるんだぁ!!』
幸せそうに笑うちえみ。
私もかけるに聞いてみよう!!
:09/01/29 12:15 :W53H :WAe8sHqk
#488 [幸]
私はその夜、メールで
かけるに文化祭のことを言った。
‘いいよ。
高校の文化祭懐かしいな。’
と来た。
いやっったぁぁ!
私は今まで勉強と両立して手話も勉強してた。
文化祭の日までなるべく
携帯を使わないでかけると話せるようになる!!
と決めた。
:09/01/29 12:39 :W53H :WAe8sHqk
#489 [幸]
文化祭当日。
『陸くん、いる!?』
私はちえみに聞いた。
『ちえみ!!』
その時、金髪の男がそう叫んで
こっちに来た。
:09/01/29 15:01 :W53H :WAe8sHqk
#490 [幸]
『陸…』
ちえみは恥ずかしがっていたが
嬉しそうだった。
『あなたがかなさん?
ちえみがいつもお世話に
なってます。』
外見怖いのに、すごく
礼儀のある人でした。
:09/01/29 15:02 :W53H :WAe8sHqk
#491 [幸]
『いえ…こちらこそ。』
私も挨拶をした。
『かな!!かけるさんが
来たらメールしてね!!』
ちえみはこう言うと
陸くんと一緒に回った。
:09/01/29 15:05 :W53H :WAe8sHqk
#492 [幸]
予定より5分遅れている。
暫く待つことにした。
突然ツンツンと突かれた。
この匂い…かけるだっ!!
振り向くとかけるが笑っていた。
:09/01/29 15:07 :W53H :WAe8sHqk
#493 [幸]
『遅い〜!』
‘悪い悪い…’
私たちも歩き始めた。
‘手話うまくなったね’
『だって頭いいから』
‘言ったよ〜この子。’
:09/01/29 15:09 :W53H :WAe8sHqk
#494 [幸]
かけるとの会話が楽しかった。
私が手話を勉強したので
さらに楽しいと感じた。
‘クレ―プ食べたい’
『じゃあ並んでるね』
:09/01/29 15:13 :W53H :WAe8sHqk
#495 [幸]
かけるって甘いもの好きなんだ!
するとかけるが千円を私にくれた。
『えっいいよ。』
‘いいから。’
まだ曖昧な手話なのに
かけるは嬉しそうに手話で話してくれた。
会話することがこんなにも
楽しいことがわかった。
:09/01/29 15:17 :W53H :WAe8sHqk
#496 [幸]
あっ…
『かける!何がいい?』
と手話で聞いた。
‘チョコで’
『わかった』
かけるは本当に表情が豊か。
でもかけるの心の中までは
わからなかった。
:09/01/29 15:20 :W53H :WAe8sHqk
#497 [幸]
『おいし〜』
‘食べすぎると太るよ’
『太らないよ。』
何かの視線に気づいた。
ふと周りを見てみると
みんな私たちのことを見ていた。
:09/01/29 15:24 :W53H :WAe8sHqk
#498 [幸]
もしかして…私たちの
手話を見て―?
私はかけるの顔を見た。
かけるはその視線に最初から気づいていたのか
寂しく笑っていた。
『無理に手話をしなくても…』
私は小さい声で話した。
:09/01/29 15:27 :W53H :WAe8sHqk
#499 [幸]
‘別にいいさ。
俺は。慣れてる。
こういう目で見られてるの。’
かけるは携帯でこう打った。
どうすればいいかわからなかった。
今まで私に見せた笑顔は
偽りの笑顔だったのか?
それさえ疑問を持つようになった。
:09/01/29 15:32 :W53H :WAe8sHqk
#500 [幸]
『本当に?』
私は手話で聞いた。
‘かなさんは人目を
気にするの?’
かけるも手話でこう聞いた。
:09/01/29 15:34 :W53H :WAe8sHqk
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