人生の案内板
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#201 [幸]
ねぇ…なぜ?
なぜあなたはそんなに……
『…我慢するの?』
かまわないでって。。
そんな嘘、誰だって見破れる。
あなたは本当は…
助けてほしいくせに。
なぜ我慢するの?
:08/12/28 23:49 :W53H :rI5HnOXg
#202 [幸]
『我慢なんてしてねーから。』
『嘘だ!!
我慢してる!!』
私は力強く言った。
彼は少し驚いていたが
また口を開いた。
『あんたに俺の何がわかるんだ?』
:08/12/28 23:51 :W53H :rI5HnOXg
#203 [幸]
まただ…
『我慢してるって、
世の中我慢しなきゃ
生きていけねーんだよ!!
俺は弟のことで何度も
耐えてきた。。
我慢すればこの苦しみから解放されるって
信じて……
障害者と関わりのない
あんたには俺の気持ちが分かるかっ!!』
:08/12/28 23:53 :W53H :rI5HnOXg
#204 [幸]
彼の声は部屋中に響いた。
また…震えてる声だった。
障害者と関わりのない?
そうか…だから私は彼の気持ちが
わからないのか。。。
だからといって、
私は彼をほっておきたくない。
:08/12/28 23:55 :W53H :rI5HnOXg
#205 [幸]
『なんで…面会に来たの?』
心細い声で彼が聞いた。
『なんで来たの?
ほっとけばよかったじゃねえか。
俺のことなんて…
ほっといて、大学に向けて
受験すればいいじゃねか。
あの時おにぎりを渡してくれた。
それだけで十分だ…』
:08/12/28 23:59 :W53H :rI5HnOXg
#206 [幸]
言葉がでなかった…
私はただ、おにぎりを
あげただけなのに。
彼がそこまで感動するとは
予想外だった。
今まで、優しくされたことが
なかったの…?
今まで、彼を誰も
支えてくれなかったの?
今まで、彼の周りにいた人たちは
何をしてたの?
:08/12/30 00:13 :W53H :aR7PgfF2
#207 [幸]
強く叫びたかった。
訴えたかった。
『ありがとう…』
彼はそう言って、
私の前から消えた…。
何が‘ありがとう’なの?
なぜあなたが感謝するの?
:08/12/30 00:15 :W53H :aR7PgfF2
#208 [幸]
疑問を持つだけの私。
警察の人が外にどうぞと
導いてくれた。
私は八つ当たりをしたのか、
思いっきりその警察の人
を睨みつけた。
:08/12/30 11:26 :W53H :aR7PgfF2
#209 [幸]
私はゆっくりと歩いて帰った。
彼を助けたい…
彼は被害者だよ。
頭を使え…
私は頭がいいんだから。
私は今まで以上に頭を
使った。
ひねった。考えた。
:08/12/30 11:28 :W53H :aR7PgfF2
#210 [幸]
なんで…!!
なんでわからないの?
私は頭良いって言われてきたのに。
なんで彼を救う方法を
考えられないの!?
自分を責めたい。
初めて思った。
私って…馬鹿なんだ。と
:08/12/30 11:30 :W53H :aR7PgfF2
#211 [幸]
学力がよくたって…
アイデアが浮かばなかったら
意味がないんだよね。
ははは…そうか……
だからなぜT大学に行って
何を勉強するのかも
わからなかったんだ。
:08/12/30 11:33 :W53H :aR7PgfF2
#212 [幸]
悔しい……
悔しい…!!!
私はその場にしゃがみこんだ。
涙がたくさん出てきた。
周りからどういう目で
見られてるかな?
変な人って思われてるのかな?
:08/12/30 11:35 :W53H :aR7PgfF2
#213 [幸]
ああ…そうか。
障害者って健常者から
‘変な人’って思われてるんだ。
だからその兄弟の彼の
ことも変だって、断定
するんだ。
はは…なんて虚しい。
悲しい。悔しい…。
:08/12/30 11:37 :W53H :aR7PgfF2
#214 [幸]
私は人目気にせずに泣いた。
すると、私の目の前に
ハンカチが出てきた。
私はびっくりして顔をあげた。
すると、優しい男の顔
が現れた。
:08/12/30 11:39 :W53H :aR7PgfF2
#215 [幸]
『……//』
恥ずかしかった。
思いっきり泣いてる顔を
しかもアップで…。
私はハンカチを取り、
『借ります。』
と言い、ハンカチを使った。
:08/12/30 12:11 :W53H :aR7PgfF2
#216 [幸]
男は私の髪を撫でながら
優しく微笑んだ。
何かに許された気がした。
何に?
わからないが、そんな気がした。
:08/12/30 12:13 :W53H :aR7PgfF2
#217 [幸]
私は立ち上がり、
優しい顔の男を見た。
私は男の優しさに吸い込まれそうだった。
すごい心が暖かい。
私は思わず笑ってしまった。
すると男は、私の顔を
一時見、歩いていってしまった。
:08/12/30 12:17 :W53H :aR7PgfF2
#218 [幸]
『あのぉっ、すみません!!』
大声で叫んだつもりだったが
聞こえなかったのか、
男は一度も振り返らず
そのまま歩いていってしまった。
ハンカチ…どうしよ。
:08/12/30 12:19 :W53H :aR7PgfF2
#219 [幸]
そのハンカチには、
独特な匂いがした。
柔らかく、私を包み込む
優しい匂い。
家に着いても私は
ハンカチから手放さなかった。
勉強するときも
かぎたくなったら
ハンカチをかいでいた。
:08/12/30 12:23 :W53H :aR7PgfF2
#220 [幸]
変態だ。私。
でもその匂いをかがないわけにはいかなかった。
私は予備校に行ってないので
わからない問題があったら、
学校に行き先生に聞いていた。
:08/12/30 12:30 :W53H :aR7PgfF2
#221 [幸]
私がだいたい学校に行く時間と
あの男に会った時間が同じだ。
だから少し早く家を出、
初めて会った場所で
ハンカチを持って待っていた。
しかし、ほぼ毎日来ても
なかなか男と会わなかった。
:08/12/30 12:53 :W53H :aR7PgfF2
#222 [幸]
夏休みの終わりの頃。
私はいつも通りの生活をしてた
流れてあった、あるニュースに
目が入った。
‘え―7才の女の子が
実の母親に殺害されました。
その女の子は小学校で
特別学級に通っており
母親は育てるのに
疲れたと述べていました’
:08/12/30 13:00 :W53H :aR7PgfF2
#223 [幸]
障害者……胸が痛かった。
最近、こんな事件ばかりだ。
健常者と共生なんて
できないのかな。
悲しくなってきた。
:08/12/30 13:02 :W53H :aR7PgfF2
#224 [幸]
あの少年はどうなったのかな?
私は学校に行ってから警察署に寄った。
私は彼と面会はせず、
彼の担当の警察の人に
話を聞いた。
:08/12/30 13:04 :W53H :aR7PgfF2
#225 [幸]
『彼はどうなるんですか?』
『一応、人殺したからね。』
『そんな…彼は母親の
ために…』
『相手は殺人犯だぞ?
そんなこといちいち
受けとめていたら私たちだってやっていけないよ。』
:08/12/30 13:08 :W53H :aR7PgfF2
#226 [幸]
『あなたの気持ち、
わからなくもないよ?』
『彼をそこまで追い詰めたのは
彼の周りにいた大人の
せいですよ!?』
私の声は震えていた。
警察の人は困っていた。
:08/12/30 13:14 :W53H :aR7PgfF2
#227 [幸]
『あなた、あの少年に
おにぎりを渡したんですよね?』
警察の人は困ってた顔から
何かをひらめいた顔に
変化した。
『はい…』
『あなたなら、心を開いて
くれるかもしれない。』
:08/12/30 13:17 :W53H :aR7PgfF2
#228 [幸]
『しかし、以前面会した時
かまわないでと言われた
ばかりなんです。
嘘だと感じるのですが…』
『はい、私どももそう思います。
私もあの時いたんです。
しかし彼、私と話す時
よりあなたと話す時の
方が話しやすいと思うのです。』
:08/12/30 13:21 :W53H :aR7PgfF2
#229 [幸]
ちょっと嬉しかった。
さらに警察の人は話し出した。
『私の考えでは、あの少年は
嘘をついている。』
『はい?』
『殺したのはあの少年
ではないと思うのです。』
想像もしてなかった。
そんなこと……
:08/12/30 13:24 :W53H :aR7PgfF2
#230 [幸]
『なぜ?』
『こちらの、犯罪心理学者が
鑑定したところ、
例え母親のためとは
言えども人を殺めた時
パニクるのですが、
あの少年はそのようなことを
しなかったのです。』
私は彼と初めて話したことを
思い出そうとした。
:08/12/30 13:27 :W53H :aR7PgfF2
#231 [幸]
……
あの出来事が走馬灯の
ように頭をよぎった。
『大丈夫かね?』
警察の人の声に我に返った。
『何か思い出したら
また来てくれるかな?』
『はい…』
:08/12/30 13:30 :W53H :aR7PgfF2
#232 [幸]
警察署に出た。
また暗い気持ちになった。
そして初めてあの男と
出会った場所に足を止めた。
この時間帯にいないよね。
:08/12/30 13:36 :W53H :aR7PgfF2
#233 [幸]
:09/01/04 15:06 :W53H :7dozr8Kk
#234 [幸]
>>232つづき…
そう思い、家に帰ろうとしたとき
あの優しい匂いがぷ〜んと
匂ってきた。
胸が弾む気持ちになった。
:09/01/04 15:08 :W53H :7dozr8Kk
#235 [幸]
私は必死にあの男を探した。
ふと、あの匂いが私の前に来た。
……見つけた…。
『あっ、あの…』
声が小さいせいか、
なかなかこちらに気づかない
:09/01/04 17:55 :W53H :7dozr8Kk
#236 [幸]
『まっ、待って!!』
私はとっさにその男の腕を掴んだ。
男は驚いた顔でこちらを向いた。
……なんて綺麗な目。
見とれてしまう。
:09/01/04 17:57 :W53H :7dozr8Kk
#237 [幸]
『あっ、あのハンカチ
ありがとうございました。』
私はそう言い、ハンカチを出した。
男は微笑みながら、会釈した。
ど、どうする私?
こんな素敵な出会いは
めったにないぞ。
:09/01/04 18:00 :W53H :7dozr8Kk
#238 [幸]
このまま一気にメアド
を聞いてしまうか。
それともこの出会いは
これで終わりか!?
こんなのやだ!!
向こうから聞いてこないかなぁ。
でも向こうはそんな気ないよね。
あああ、やっぱり私から
聞いた方がいいよね
:09/01/04 18:53 :W53H :7dozr8Kk
#239 [幸]
『あの、メアド教えて
下さい!!』
うわ〜言った!!
…やっぱ無理かな。
初対面なのに教えてくれないよね。
:09/01/04 18:57 :W53H :7dozr8Kk
#240 [幸]
男の顔が赤くなったのがわかった。
そして男はバックから
ノ―トとボ―ルペンを
取り出し何か書き始めた。
‘僕は耳が聞こえません
こんな僕でもメールを
しても楽しいことないですよ’
えっ……
:09/01/04 19:02 :W53H :7dozr8Kk
#241 [幸]
↑すみません
‘こんな僕でも’
ではなく
‘こんな僕が’です
:09/01/04 19:04 :W53H :7dozr8Kk
#242 [幸]
男は悲しい顔をした。
私はノ―トとボ―ルペン
をその男から奪い、
‘それでもいい。
あなたとメールをしたいんです
あなたが嫌なら諦めます’
と、書いた。
:09/01/04 19:07 :W53H :7dozr8Kk
#243 [幸]
男はノ―トを読むと
悲しい顔から笑顔になった。
クシャッと笑った顔が
とても可愛く思った。
私たちは赤外線をし、
アドレスを交換した。
:09/01/04 19:09 :W53H :7dozr8Kk
#244 [幸]
そして彼は
‘これからバイトなので
これで。
またメールでね’
そう書き、走って行ってしまった。
その時また匂いがした。
:09/01/05 00:19 :W53H :KT5aN9Mc
#245 [幸]
素敵……
なんて素敵なのかしら
その時メールが来た。
小早川君からだ。
えっ!?
なぜに!?
:09/01/05 00:20 :W53H :KT5aN9Mc
#246 [幸]
‘メール遅れてごめんなぁ
小早川きいのアドレス
登録よろしくなぁ’
ああ、夏祭りの時
小早川君のアドレス聞いたなぁ。
私は了解とメールをし、
家へ帰った。
:09/01/05 00:22 :W53H :KT5aN9Mc
#247 [幸]
私は家事を終わらせ
勉強をしてた。
11時に携帯の受信音が鳴った。
私は携帯を急いで見た。
‘よぉ。かなちゃん
よろしくなぁ!!’
:09/01/05 16:37 :W53H :KT5aN9Mc
#248 [幸]
かなちゃんだってぇ!!
どうしよう!!
私は久しぶりに興奮した。
‘こちらこそ
バイトだったんですか?’
送信。
:09/01/05 16:39 :W53H :KT5aN9Mc
#249 [幸]
‘そだよ。’
私は携帯が鳴るたびに
勉強を途中で止め、
メールに夢中になってしまった。
男の名前はかける。
かけるはずるい。
こっちが質問したくなるようなメールばかりだ。
:09/01/05 16:41 :W53H :KT5aN9Mc
#250 [幸]
翌日。
午前中は勉強に集中し
午後は家事をしながら
かけるとメールをした。
メールで分かったことは
かけるはL大学生の1年生。
あの少年が行きたがっていた大学だ。
:09/01/06 00:17 :W53H :chY9fFUg
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