人生の案内板
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#2 [幸]
『やっぱ無理だわ!!』

『鮎川に学力で勝てる奴いねーよな』




小、中とずうっとそう言われ続けてきた
全ては母さんのため

私は母さんが勉強しろ
って言われるから
今までしてきた。

⏰:08/12/07 21:42 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#3 [幸]
今、私は高校3年生
受験生だ。
しかし、今年の4月。
母さんが交通事故で亡くなった。



そのため父さんと2人暮らしだ
兄はいるが就職のため
兄は一人暮らしをして
いるので家にはめったに帰ってこない。

⏰:08/12/07 21:46 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#4 [幸]
父さんは母さんより
教育熱心ではない。
いたって普通の父親だ



それにしても家事は大変だ
今まで勉強しかしてなかったから
家事なんてしたことなかった。

ご飯を作って、皿洗って、洗濯物して、アイロンして…
おまけにそうじもして
正直それだけで疲れてしまい、
昔ほど勉強をしなくなった。

⏰:08/12/07 21:49 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#5 [幸]
今は7月。
母さんが亡くなって
私たち家族は放心状態だった。

口うるさい母さんだったが大好きだった

父さんが一番絶望的な
顔をしていた。


しかし今は皆、現実を受け止めようとしている

泣いたって母さんは帰ってこない

⏰:08/12/07 21:53 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#6 [幸]
だいぶ昔のように元気
になってきたが、
私の学力は下がる一方だ


『鮎川さん!!どうした!?
お前はT大学に行くんじゃなかったのか!?』

うぜー先生。
お前、私が今までどれほど
苦しんだと思っているんだ

⏰:08/12/07 21:56 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#7 [幸]
『かな!!』
『ちなみ。。』
『今はまだ大丈夫だょ
家事で大変だと思うけど
かなならまた成績伸びるよ。』



ちなみ……
本当に優しいなぁ
ちなみが唯一の私の友達

⏰:08/12/07 21:58 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#8 [幸]
私が帰るときにそう励ましてくれた。

『久しぶりにどう?』
ちなみにマックへ行こうと誘われたが
私は昨日は家事ばっかりだったので
勉強できなかったから
今日はその分図書館で
勉強すると言い、断った


今日、父さんは夜遅い
夜ご飯は一人で外食しよう。

⏰:08/12/07 22:20 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#9 [幸]
私はそう思い、図書館である程度勉強したら
レストランへ行くと予定した。




学校から徒歩15分。
それにしても…ここの図書館は
私と同じ高校の奴ら多いなぁ。
まぁ、しょうがないか…

⏰:08/12/07 22:22 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#10 [幸]
私の高校は毎年T大学
に向け、勉学に励んでいる

県内ではトップクラスだ
遊んでる奴なんていない



みんなこの図書館にきて勉強している。
私だって負けていられない!!
母さんのためにも
私はT大学に行くんだ!!

⏰:08/12/07 22:24 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#11 [幸]
カリカリ……
シャーペンが動いている音

この音……好きだなぁ
例え、答えが間違っていても
勉強してるっていう気になれる。

1時間半勉強したら
休憩として、10分間
本を読む。
これが私の勉強法だ

⏰:08/12/07 22:27 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#12 [幸]
その勉強法を何回か
繰り返してみると、時間
があっという間に過ぎていた。



気づけば7時半だ。
私はレストランへ向かった

⏰:08/12/07 22:29 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#13 [幸]
ガヤガヤ…
レストランで会話しながら
ご飯を食べている。
この声、好きだなぁ。

みんな栄養を楽しく取っているんだなぁ。



私はパスタを頼み、
待っている間、数学を解いていた。

⏰:08/12/07 22:31 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#14 [幸]
『鮎川さん?』
後ろから声がした。

振り返ってみると
そこにはあの小早川君がいた。



『こ…小早川君……』

なんでこんな所に…
ヤバい……
なんて話したらいいか…

⏰:08/12/07 22:33 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#15 [幸]
そう…私は小早川君の
こと好きっていうか
憧れています!!


“小早川きい”
彼は凄い人なんです
スポーツも凄くて
頭もいい。
おまけに私好みの顔

私の高校のアイドル的
存在。



…が、なぜここにいる?

⏰:08/12/07 22:39 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#16 [幸]
『鮎川一人?』
小早川君はそう聞くと
私の向かい側に座った



おいーっっ!!
なんで座るの!?
なんでそこに座るの!?

小早川君も一人で来た
のかなぁ。
まさかね。友達がいる
に決まってる
それか、彼女かもしれない

まぁそんなこと、どうでもいい!!
問題は“なぜ小早川君は
私の向かい側の席に座ったのか”だ。

⏰:08/12/07 22:43 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#17 [幸]
もしかして。
私が一人でいたから
寂しそうだなぁって
思って情けでそこに座ってくれてるかもしれない。

だとしたら私は寂しそうな行動したんだ。
ぁぁ、なんて私は馬鹿
なんだろ
どうして思ったことを
すぐ顔とかに出るのかなぁ。



『おーい。聞いてる!?』
『えっ?……
ああーうん。聞いてるよ』

⏰:08/12/07 22:46 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#18 [幸]
いけない。
私ったら。
本当にダメだわ。
慣れてない人から話し
かけられると深く考えちゃう
癖がある。



『ほらー鮎川は今一人なの?』

小早川君は優しい声で
そう聞いた。

『うん…』
私は小さな声でそう言った。

⏰:08/12/07 22:48 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#19 [幸]
『そうなんだ。
俺も一人なんだぁ。
よかったら一緒に食べない?』

えっ?
えぇぇぇ!?!
なんだろう。この気持ちは
後ろ振り向いたらお化けがいて
びっくりしてるくらい
心臓の動きが速い。
落ち着け
私。

相手はお化けじゃない
人間だ。

『うん。』
私は精一杯の笑顔で答えた。

⏰:08/12/07 22:52 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#20 [幸]
『よかったぁ。
ん?数学かぁ。』

小早川君は私のノート
を見てそう聞いた。

『うん。数学だけが
足ひっぱているからね』


『鮎川は数学嫌いなの!?』

『…うん。』
『へぇ。意外。数学の
偏差値いくつよ?』

⏰:08/12/07 22:54 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#21 [幸]
…ヤバい……
今…てか、さっきから
“鮎川”って呼び捨て
だよ。
呼び捨てで呼ばれるの好き。。。



『この前の模試は69
だったよ。』

『69で足ひっぱている
のかよ。』
『えっ…』
『負けたよ。俺65だったんだぁ。
やっぱ鮎川には勝てないなぁ。』

⏰:08/12/07 22:57 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#22 [幸]
『そんなことないよ
下がってきてるんだ
成績が…』

私は下を向いて話した


『でも鮎川なら余裕だろ
他の教科でカバーすれば』

『日本史が70前半だったんだぁ。
それで今日、先生に叱られちゃった。』

『鮎川が…信じられね
俺だって80越えたぞ
簡単だったじゃん。』

⏰:08/12/07 23:01 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#23 [幸]
私はその言葉を聞いて
ショックを受けた。



『まぁ、たまには
そういうこともあるよ』
小早川君はサラっと言い
ドリンクを飲んだ。


小早川君もメニューを
頼み、私と一緒に数学
の問題を解いていた

⏰:08/12/07 23:38 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#24 [幸]
そして料理が運ばれ
政治経済について話した
お互いに政経が得意
なのでその話しで大いに盛り上がった。



小早川君と話してると
日本が小さく見えた
小早川君は日本の経済
だけではなく、外国の
経済にも興味があるからだ。

正直、凄いなぁって
感心した。

⏰:08/12/07 23:41 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#25 [幸]
ご飯を食べ、小早川君
と別れた。



レストランから家まで徒歩30分。
結構遠いのだ。

……にしてもここは
こんなに暗かったっけ?

いつもは車が結構通るのに
今日だけ少なかった。
やけに不気味に感じた

⏰:08/12/07 23:44 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#26 [幸]
ザザっ…


『きゃっ!!』
…ーなんだよ。
風の音かよ

風の音でびっくりして
しまった。
私は開き直り、歩き始めた。



ドサッ!

⏰:08/12/07 23:45 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#27 [幸]
『いやぁぁぁ!!』
白い物体が突然目の前
に倒れてきた。

私は怖くなって、
その場から足が動けなかった

どうしよう。
警察に連絡しようかな
でも、襲われてないし
そんなことを考えていた


しかし
『はぁ…はぁ…』


白い物体の息が荒いのが分かった

⏰:08/12/07 23:56 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#28 [幸]
私は恐る恐る白い物体
に近づいてみた。



『大丈夫ですか?』
私はそう聞きながら
白い物体を触ろうとした
しかし、手を掴まれ
凄い目で私を見た

⏰:08/12/07 23:57 📱:W53H 🆔:5Pz.8V5A


#29 [幸]
怖くて怖くて…
声が出なかった。


なんて目……
人間ってこんな目もやればできるんだ



一気に手が震えだした



しばらくその白い物体
と見つめ合っていた

怖くて怖くて、
目が動かなかったからだ

⏰:08/12/08 00:01 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#30 [幸]
ぐるるるー…


お腹の音が鳴った
しかし私のお腹ではない
するとその白い物体は
私の手を放し
お腹を押さえた。



なぜだろう。
今思えばそう疑問を持つ
なぜあの時私は走って
おにぎりとジンジャエールを
買ったのだろうか。

⏰:08/12/08 00:28 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#31 [幸]
『はい。はぁ…はぁ』
私はおにぎりとジンジャエール
を白い物体にあげた。



その白い物体は暫く
私の顔を見ると、最初
はためらったが、一気に
袋の中からおにぎりを
取り出し下を向きながら食べた。

⏰:08/12/08 00:35 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#32 [幸]
『…うめぇ…さんきゅ』

その白い物体はそう言うと
おにぎりをぺろっと食べ
ジンジャエールをガブガブ飲んだ。



人って食べる時、
笑いながら食べるのだとばかり思っていた
しかし彼を見ると
そんなことは決してない
そう感じさせた

⏰:08/12/08 00:38 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#33 [幸]
『ふー』


満腹を感じたのか、
とても幸せそうな顔で
座っていた。



私は今まで人は話しながら食べると
ご飯がおいしくなると
思っていた。
また幸せだと感じると
思っていた。
でも彼は違う。

彼は生きるためにご飯を食べ
生きるために幸せを感じる
凄く、生きるのに一生懸命なのだ。

⏰:08/12/08 00:42 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#34 [幸]
『あの、もっと食べる?』


あのときの恐怖はどこ
にいってしまったのか
普通に話しをかけた。


『いや、平気だ。
わざわざすまなかった


っっー…』

⏰:08/12/08 00:46 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#35 [幸]
彼は足をおさえていた
私が彼の足を見てみると
そこには痛々しくすり傷があった。



私はいつも常備している
オロナインをカバンから出した。

⏰:08/12/08 00:48 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#36 [幸]
『先、水で洗って。』
私は彼にハンカチを
渡した。

『…いらねえよ
そんなもん。』



彼はそう言い、自分で
公園まで歩いて行った

ここから公園はさほど遠くない。
私も彼に付いて行った

⏰:08/12/08 00:50 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#37 [幸]
私は彼が足を洗うのを
終わるのを待っていた



今まで彼がしゃがんでいたから
小さく見えたせいか、
実際立ったら大きいんだなぁ


彼は足を洗うのが終わって
私の方へ来た。

⏰:08/12/08 01:02 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#38 [幸]
私はハンカチで膝から浸ってくる
水を拭いた。
そしてオロナインを塗った


『痛っ!』
『ご、ごめんなさい』

とは言いつつ塗り続けた。

⏰:08/12/08 01:04 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#39 [幸]
『もういい、ありがとう』



彼はそう言い立ち上がった


『あの、』
私は疑問に持ったことを聞いた
『どうしたんですか?
家は!?』

⏰:08/12/08 13:52 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#40 [幸]
『…家は……いや、
家出した。』

『はっ!?』
金も何も持たずに家出したの?
ただのバカでしょ
絶対嘘だなぁ。


『嘘じゃねーよ』

こいつ…私の気持ちを読んだの!?
なんでその言葉が出てくる

⏰:08/12/08 13:55 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#41 [幸]
『…だとしたらあなた
相当頭悪いよね。』
なんてことを言ったんだ!!
私………


『もっとバカな話し
聞きたい?』

私は何も言わずに首だけ“うん”と答えた


『弟を殺した』

⏰:08/12/08 13:57 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#42 [幸]
『えっ…』
何を言ってるの?
この人。。。


私はなんて反応したらいいか分からず
ただ驚くばかりだ。

だたそこには夏なのに
冷たい風が吹いていたことが
はっきりと覚えてる

⏰:08/12/08 14:00 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#43 [幸]
“弟を殺した”
そう言った彼の顔は私をからかおうとしたのか
笑っていた。
しかし私には目だけが
泣いているように見えた


それよりも彼はそんなことをなぜ私に言ったのか?
私が彼を助けたから?

さすがにそのことは聞けず、
ただ吹いてきた冷たい風が当たるばかりだった

⏰:08/12/08 14:03 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#44 [幸]
『…それで逃げてきたの?』



『自首したよ』


じゃーなんでここにいるんだよ!?
『…ムカついたから。』
彼はボソッと話した

コイツは一体何をしたかったの?

⏰:08/12/08 14:07 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#45 [幸]
『お前…馬鹿だな。
人殺しの俺に握り飯
なんてあげちゃって。』

彼は笑いながらそう言った。
しかし私には泣いているようにしか見えなかった。


『お腹一杯になったから別にいいじゃん』

私はただそう言うしかなかった

⏰:08/12/08 14:12 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#46 [幸]
『…何言ってんの?
人殺しをお腹満腹させたら……』


『私が助けたいと思ったから助けただけだ!』



暫く見つめ合った。
彼の顔が月の明かりで
見えてきた。

やっと彼の顔がはっきり見えた

⏰:08/12/08 14:15 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#47 [幸]
彼の顔は薄汚れていた。
しかし目だけがギラギラ
と輝いていた。




『ねぇ、なんで弟を殺したの?』

普通は警察に通報するのに
私は違った。
“なぜ?”という疑問しかなかったからだ。

⏰:08/12/08 14:19 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#48 [幸]
『あんたに言って何になるんだ?』

『聞いちゃダメ?』
『あんた面白いね』
『答えてくれないの?』



彼は急に大人しくなった

⏰:08/12/08 14:21 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#49 [幸]
しかし暫くすると
『だから、あんたに言って
何かいいことあんのか
って聞いてるの』


彼は少し面倒くさそうに聞いた。

『あなたは何をしてもらいたいの?』

『……てめぇで考えろ』



知るかよ

⏰:08/12/08 14:24 📱:W53H 🆔:Ut2bnqm2


#50 [幸]
『お前…その制服から
すればK高校だろ?』


いきなり彼が言ってきた


『……で?』
『頭いいんだな。
勿論T大学を目指してるの?』

淡々と話してくる。
私は一つひとつの質問に鮮明に答えた

⏰:08/12/09 18:02 📱:W53H 🆔:GBaDNQzs


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