人生の案内板
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#551 [幸]
『な…なぜですか?
そんなこと、言われませんよ。』


『そ―かい。ん〜…』


じじさんはしばらく考えこんでいた。


『どうしたんですか?』


と、聞いてみた

⏰:09/01/31 17:46 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#552 [幸]
『いや、聞いてみただけ。
センター、頑張ってな!!』



じじさんはそう言うと、
仕事を始めた。


クリスマスね…
そりゃ、かけると過ごしたい…。

でも無理だよね。

⏰:09/02/01 12:35 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#553 [幸]
私はいつも通り、
かけるの綺麗なピアノを聞きながら
勉強をした。





‘帰ろう’

かけるにそう言われ
いつも通り一緒に帰った。

しかし、いつもとは違う雰囲気だった。

⏰:09/02/01 12:38 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#554 [幸]
いつもならくだらない会話で盛り上がるのに、

今日は会話など全くしない。




『どうしたの?』

聞いてみた。
するとかけるは頭をかいて
ゆっくり手話を始めた。

⏰:09/02/01 12:40 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#555 [幸]
‘明日も勉強するの?’

『うん…。』



心臓の音が五月蝿い。
なんでかけるだと
こんなにも心臓が騒ぎだすのか?

⏰:09/02/01 12:42 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#556 [幸]
‘夜ご飯だけ…時間とれる?’




いつもとは遅いペースで
手話をした。



きた―!
よしっっ!!

『うん!!』


と、返事をした。
今、私はどんな顔をしてるのかな?

かわいい顔ならいいんだけどなぁ。

⏰:09/02/02 00:15 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#557 [幸]
‘まじで!?’

かけるの手話がいつもより
早くなった。


『まじで。』


この会話が筆記だったら
ハ―トをつけたい気分だった。

⏰:09/02/02 00:17 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#558 [幸]
クリスマス当日。
私は朝早く起きて勉強をした。


そして、家事をし
父さんの夜ご飯を作った。




慣れない化粧のせいか、
予想以上に時間がかかった。


集合は6時。
初めて出逢った所に。。

⏰:09/02/02 00:20 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#559 [幸]
私は早めに家を出た。
ゆっくりと歩き出す。



10分前に到着してしまった。

ここで、初めて出逢ったことを思い出した。



私が泣いてて…
いきなりハンカチだしてきて…。

⏰:09/02/02 00:22 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#560 [幸]
私からアドレスを聞いて…。


…あの少年と出逢ったからだ。
そして自分の愚かに呆れて
泣いたんだ。


あの少年に出逢ってなかったら
かけるに会うことはなかったんだ…。



あの少年は元気なのかな…?
うまくやってるのかな?

⏰:09/02/02 00:24 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#561 [幸]
あの少年のおかげで
心理学を学ぼうと思った。


今の私がいるのは…
あの少年のおかげ……。

そ―いやなんで私はあの時
おにぎりをあげたのかな?

⏰:09/02/02 00:26 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#562 [幸]
ツンツンと優しくつつかれた。


後ろにかけるがいた。
私は現実に戻り、
今ここにある幸せを感じた。



‘待った?’
『大丈夫だよ。』

⏰:09/02/02 00:28 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#563 [幸]
するとかけるはいきなり
私の右手をとった。
そして優しく繋いだ。




ドキッと心臓が大きく動いた。
そして小さくドキドキと
リズムに合わせて動き始めた。


‘だいぶ待っただろ?
手冷たいよ!’

⏰:09/02/02 00:31 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#564 [幸]
『じゅっ…10分くらいだけだよ』


急に恥ずかしくなり
手を離してしまった。



なにやってんだよ!?
私………
馬鹿か!?
こんないいチャンスを。

‘場所はどこがいい?’

⏰:09/02/02 00:34 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#565 [幸]
『かけるのピアノが聞きたい!』


私は慌てながら言った。

‘いつも聞いてるだろ’
『“耳なしほういち”
を聞きたいの!』




するとかけるは怒った顔で

‘ダメだっっ!!’


と手話をした。

⏰:09/02/02 00:37 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#566 [幸]
『…かける…?』


なんでそんなに怒るの?


かけるは少し慌てた様子で

‘俺ん家で聞かせるから’

と手話をした。

⏰:09/02/02 16:38 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#567 [幸]
『場所なんかどこでもいいから…』


‘そうか。’



なんであんなに慌てるのかな?



私たちはかけるの家へ目指した。

⏰:09/02/02 16:40 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#568 [幸]
かけるの家で“耳なしほういち”
を聞いた。


この曲を聞くと、本当に
他のことがどうでもよくなってくる。

⏰:09/02/03 11:04 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#569 [幸]
弾き終わった時
かけるが話をかけてきた。


‘耳なしほういちっていう話
しってるだろ?’

『確か、師匠さんが
とりつかれている坊主に
呪文を書いたが
耳だけ書かなかったから
耳だけ取られた…』



‘ああ’

⏰:09/02/03 11:07 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#570 [幸]
かけるは私の側に来て
また話し始めた。



‘俺もそんな気分だったよ
…あの時。

普通に生活してある日
突然……。’



なぜ人はみな普通の、
健康な体にはならないのか?

なにかしら障害があるのか?

⏰:09/02/03 11:11 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#571 [幸]
‘文化祭のとき変な奴ら
いたろ?

あいつらと昔連んでたんだ。


んでその中の1人な、
障害者の金を取ったんだ。
俺らみんなでそいつを
殴った。
弱い者から金とっても
うれしくね―って感じで。

そのケンカで耳が聞こえなくなった…’

⏰:09/02/03 11:18 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#572 [幸]
‘俺、最初パニクって
半殺し程度に棒でそいつを
殴っちゃって…。


それから学校も辞めて
通信に通ったんだ…。’


かけるが全部話した後
私を見た。
私はかけるの話の内容が
グロすぎて青くなっていた。

⏰:09/02/03 11:21 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#573 [幸]
‘だっ…大丈夫か?’


『かけるって…凄い
高校生活だったんだね。』



しばらく見つめ合った。
どんなに変な話の内容でも
かけるがいれば笑いたくなる。

しばらく見つめ合った後
笑いあった。

⏰:09/02/03 11:26 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#574 [幸]
夜ご飯はかけるが作った
パスタを食べた。



誰にでも作れるような
パスタだったが
頬が落ちる程おいしかった。


食後にケ―キも食べた。

⏰:09/02/03 11:29 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#575 [幸]
ケ―キもおいしかった。

かけると一緒に食べると
なんでもおいしいと感じるのはなぜ?



なんて幸せ。
この幸せがこの先ずうっと続いたら……。

⏰:09/02/03 11:32 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#576 [幸]
翌日。
クリスマスも終わったから
今日からはずうっと勉強だっ!!



そう気合いを入れ
机に向かった。



12時に昼ご飯を作って食べて
また勉強を再開した。

⏰:09/02/03 11:35 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#577 [幸]
7時頃。
私が夜ご飯の最中に
かけるからメールが来た。

メールを開いてみた。

‘勉強お疲れ様。
元旦、一緒に初詣に行かないか?’

⏰:09/02/03 11:39 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#578 [幸]
が…元旦!?
うわっ……
ちょ―嬉しい!

好きな人と初詣なんて。。。
来年は絶対いい年になるっっ!!



‘はいっ!’


送信……。

⏰:09/02/05 23:48 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#579 [幸]
元旦まであと5日!!
真面目に頑張るっ!!

私は朝ご飯も食べずに
勉強を始めた。



恋をすると人は異常に
頑張れる気になる。

最近の中高生は恋愛に
はまっている。
彼氏がいないと馬鹿にされる。
私はそうだった。

だから勉強ばかりな私には
恋なんて馬鹿みたいだと思ってた。

⏰:09/02/05 23:53 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#580 [幸]
でも違うんだね。
やっぱり恋はいいと思う。


特に勉強ばかりしていた私にとって。

⏰:09/02/05 23:59 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#581 [幸]
元旦―。



‘9時に神社で待ち合わせ’

と、メールが来たので
行ってみる。

初詣は今まで友達と
行ったことがあったので
そのたびに母さんが
着付けをしてくれた。


でも今年は無理だ。

⏰:09/02/06 00:02 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#582 [幸]
「悪いな、着付けできなくて…」


そう謝ってくれた父さんが
とても愛くるしかった。


私は私服で電車に乗った。
みんな可愛らしい着物を着ていた。
羨ましかったけど、
私は我慢しなきゃ。

父さんに悪いから…。
ガキじゃないし…。

⏰:09/02/06 00:04 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#583 [幸]
‘やぁ!!’
『かける!!』


かけるは私より先に神社に来ていた。
かけるも私服だった。



‘さぁ、お祈りに行きましょう’
『うん!!』


それにしても凄い人だ。

⏰:09/02/06 00:08 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#584 [幸]
当たり前か。
みんな考えてることは
私と一緒だもん。




いざ、お祈りへ。
かけるは自分の財布から
5円玉を投げ、手を2回
誰よりも大きく叩いて
祈った。



とても真剣に…。

⏰:09/02/06 00:10 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#585 [幸]
私は100円を投げようとしたが、
それを見たかけるに止められた。


‘100円も?’
『え…駄目?』
‘別にいいけど。’


私は100円を投げ
手を2回叩いて祈った

⏰:09/02/06 00:13 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#586 [幸]
私たちは神社の周りを
散歩した。
そしてかけるに

‘手話上手くなったね’
と、誉められた。


『勉強したもん!!』
私は鼻を高くして言った。

『ねえ、なんでさっきは100円投げようとしたら、止めたの?』

ついでたからそう聞いた

⏰:09/02/06 00:17 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#587 [幸]
‘いや…俺は神様とか
信じないから…かな?

金やればいいことするのかよ
って思って、
神様は賄賂してんのかよ
って感じてたからさぁ。’


かけるはちょっと照れくさそうに話した。

私は思わず笑ってしまった。

⏰:09/02/06 00:19 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#588 [幸]
『あはっ!賄賂って…』
‘だってそうじゃん?’


『でも、そのわりには
真剣に祈ってたじゃん?
手もあんなに大きく叩いて。』


‘じゃあ、神様ってどこにいると思う?’


突然の質問に私は口止まってしまった。

⏰:09/02/06 00:23 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#589 [幸]
『ん〜天の上…?』


‘神社の中の神様は
後ろを向いてるんだ。
しかも戸も閉まってる。
だから人と同じような
音の大きさで叩いても
神様だって気づかないだろ?
だから人よりも目立つことをして
神様にわからせてあげなきゃ’



『へぇ〜』

知らなかった…

⏰:09/02/06 00:27 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#590 [幸]
『なんでそんなに詳しいの?』

‘一応大学生だからね。
文学部に入れば教えて貰えるよ。’




やはり、大学はそんな
細かい所も勉強して
凄いと感じた。

⏰:09/02/06 00:29 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#591 [幸]
『ん…?
てことは、やっぱりかけるだって
神様信じてるの?』

‘信じてねーよ。
俺から誘ったんだから
祈らなきゃじゃん!?’


『じゃあ神社に行こう
なんて誘わなきゃよかったじゃん?』



するとかけるは、
私の肩を両手で掴み…

⏰:09/02/06 00:33 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#592 [幸]
‘そんなの、お前と会うための
口実だよ’

と話した。



ドキッと大きく心臓が動いた。

私の手話の読みとり方
間違ってないよね?

そう自分に説いきかせながら
真剣な目のかけるを見続けた。

⏰:09/02/06 00:35 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#593 [幸]
‘かな…’


かけるはおそらく
指文字で手話をしたのか、
私には分からなかった。

ただかけるの後ろから
自転車のベルが鳴っていた。

⏰:09/02/06 00:38 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#594 [幸]
私はとっさに
『危ない!』

と言い、かけるの二の腕を取り
精一杯の力で私の方に
引っ張った。


なんとか自転車と
ぶつからずにすんだが、
私とかけるとの距離が短くなった。

⏰:09/02/06 00:41 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#595 [幸]
‘ありがと’


かけるは一歩後ろに下がり
礼を言った。
その顔はとても悲しそうだった。



‘そろそろ帰ろうか?
勉強頑張らなきゃだし。’

かけるはそう話すと歩き出した。

⏰:09/02/06 00:43 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#596 [幸]
やめてよ。
そんな顔、嫌い…。
私の前では笑ってよ。
私の大好きなあなたの笑顔を見たい。



しかし、そんな私の願いは叶わず
かけるは私の家に送るまで
ずうっと、所々暗い顔をしていた。


もしかしたら、この一年、
最悪な一年になるのかもしれない…

⏰:09/02/06 00:48 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#597 [幸]
『聞いたよ。
かけると一緒に初詣に
行ったんだって?』



私はじじさんの所で
勉強をしていたらそう聞かれた。


『はい…
でもその前に、
明けましておめでとうございます。』

『あっ、おめでとうございます』


新年の挨拶をした。

⏰:09/02/06 00:53 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#598 [幸]
『どうだった?』

じじさんは興味津々に
聞いてきた。


『別に…。
てか!今気づいた!!』

私は思わず立ち上がってしまった。

『なにを?』
じじさんは驚いてた。

⏰:09/02/06 00:55 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#599 [幸]
『かけるって、ある日
突然耳が聞こえなくなった…
てことは、しゃべれるじゃん!?』



するとじじさんは
“それか…”と呟き
アイスティ―を飲んだ。

聞いちゃいけなかったかな?

そんな雰囲気がした。

⏰:09/02/06 00:58 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#600 [幸]
『自分の話してる声が
聞こえないから
どのくらいの音量で話せばいいか
わからないんだよ。

それでもかけるは試そうとしたけど
余計にだめで…
さらには精神的な問題で
話せなくなったんだ…。』



風が強い日だった。
窓がその強い風のせいで泣いていた。

⏰:09/02/06 01:01 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


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