人生の案内板
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#501 [幸]
『…時と場合によるかな…?

でも、かけるがいいなら
よかった。』




もし、私がかけると出会う前に
手話しているカップルがいたら
どんな目で見ていただろうか?

⏰:09/01/30 14:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#502 [幸]
おかしいの?
なぜみんな笑ってるの?



ただ話してるだけじゃん!?
それを笑ってるの!?


トントンとかけるに叩かれ
我に返った。

⏰:09/01/30 14:21 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#503 [幸]
‘場所を変えよう’


そう言われ、あまり人がいない
図書室へ行った。




すごく静かだった。
外にはありの集団のような人ごみ。

⏰:09/01/30 17:07 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#504 [幸]
『次どこに行く?』


私はワザと明るいふりをした。



‘なぁ、俺と一緒にいて
楽しい?’




かけるからそんなことを聞かれ
とてもショックを受けた。

⏰:09/01/30 17:09 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#505 [幸]
『楽しくなきゃ一緒に
回ろうなんて誘わないから。』



‘なんか…今のその顔
つまらなさそう。’


『なんで!?』
‘俺は耳が悪い分、
人の顔を人一倍よく見る。

かなさんの顔、つまらなさそう。’

⏰:09/01/30 17:12 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#506 [幸]
『そんなことない!!
それは被害妄想じゃないの!?』



私が言った途端、かけるは
とても怖い顔をした。

‘かなさんは分からないんだよ!!
俺の気持ちが。

被害妄想してしまうほど
しょっちゅう笑われてたんだよ!!’

⏰:09/01/30 17:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#507 [幸]
やっぱり…無理なのかな?


健常者と障害者が仲良くなるって。




自然に涙が出てきた…


かけるは私の涙をみて
ぎょっとした顔をしてた。

⏰:09/01/30 17:17 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#508 [幸]
『トイレに行ってくる』

と手話で言い、私は
トイレで大粒の涙を流した。




『はぁ〜』
鏡を見てみると目が赤かった。

⏰:09/01/30 17:21 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#509 [幸]
『あれ?ここの高校だったの!?』



トイレから出てみると
あのチンピラのグループがいた。



なんでこんな所にいるんだぁ!?
普通いなくね?

泣いてた顔が一気に青白い顔になった。

⏰:09/01/30 17:23 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#510 [幸]
『お前、かけるって叫んだろ?
叫んでも来るわけね―だろ!』

『本当だよ。
かけるは耳聞こえなくなったんだからなぁ』




今度はチンピラの言葉が
しっかりと聞こえた。

⏰:09/01/30 17:25 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#511 [幸]
『脅かしやがって…』



よく私の顔覚えてるな…



そう思い、逃げようとした時、
誰かにぶつかった。

⏰:09/01/30 17:27 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#512 [幸]
『なに逃げようとしてんだよ!!』


そう1人が叫び、
近くにあったゴミ箱を蹴った。




『かける…』

私がそうつぶやいた。

⏰:09/01/30 17:28 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#513 [あすか]
がんばってください

この小説大好きです!

⏰:09/01/30 18:22 📱:P703i 🆔:iv0qlvd.


#514 [幸]
>>513
ありがとうございます


かなり励みになります~

⏰:09/01/30 20:13 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#515 [幸]
>>512から


そう呟いた時、見覚え
のある人差し指が現れた。


‘どうした?’


顔をあげてみる。


かける……なんで?

⏰:09/01/30 20:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#516 [幸]
『うっ……かける兄…』

1人の男がそう呟いた。


かける…兄!?

…兄!?


『かっ…風見先輩っっ』

他の人たちもみな、言葉を失った。

⏰:09/01/30 20:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#517 [幸]
『知り合いなの?』


私は手話で聞いてみる。しかしかけるは黙っていた。




『姉ちゃん!!通訳してくれ。』

チンピラの1人がこう頼んだ。
私は黙ってうなずいた。

⏰:09/01/30 20:22 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#518 [幸]
かけるはチンピラたちを
見ながら手話を始めた。


『‘もうお前らと話すことはない。
早く俺の前から消えろ。’と…。』


『かける兄!!
俺ら…あんたに謝りたくて…』


私は一生懸命通訳をする。

⏰:09/01/30 20:27 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#519 [幸]
『‘嫌、あの時は俺の
方が悪かった。
すまなかった…。
だから早く俺の前から
消えろ。

さもないと、俺の体が
耳がてめえらを許さない。’と…。』




『すみませんでした!!』

と、チンピラは大きな声をあげながら
消えて行った。

⏰:09/01/30 20:30 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#520 [幸]
かけるはゆっくり歩き始めた。


『かけるっ!!』



私は必死にかけるの腕を
掴もうとした。

しかし、かけるはくるっと振り返った。



そして手話をし始めた。

⏰:09/01/30 20:33 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#521 [幸]
‘さっきはごめん…
八つ当たりしてた。

やっぱ羨ましかった。
かなさんが。’



『ううん…私の方こそ
ごめん…。
かけるさんの気持ち
わからなくて。』



その時あの匂いがした。
柔らかい、私の大好きな匂いが…。

⏰:09/01/30 20:37 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#522 [幸]
文化祭も終わり、
かけると一緒にレストランへ向かった。



私はそこで勉強をし、
かけるはピアノを弾いていた。



じじさんが私の方に来て
『今日は何かあったの?』

と聞いてきた。

⏰:09/01/30 20:39 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#523 [幸]
『今日は私の高校の
文化祭だったので一緒に
回ったんです!!』


私はウキウキして答えた。



『楽しかったのかい!?』

じじさんが優しく聞いた。


『はいっ!』


私は笑顔で答えた。

⏰:09/01/30 20:42 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#524 [幸]
『ちょっと話して大丈夫かね?』


『大丈夫ですよ。
休憩しようと思ったんで。』



するとじじさんが
コ―ヒ―を一口飲み、
ゆっくりと語り始めた。

⏰:09/01/30 20:44 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#525 [幸]
かけるはY高校の
不良……だったんだ。
この辺でも有名でね。

あっ、不良っていっても
いきがってる程度でね。


いつも通り、喧嘩をしてたんだって。

でもその喧嘩は激しくて…
そこでかけるは聴力をなくしたんだ。

⏰:09/01/30 20:49 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#526 [幸]
「聞こえねー聞こえねー!!
なんでだ!?
なぜ音が聞こえねーんだぁぁ!?」


裏の倉庫で叫びながら泣いてた。
私はかけるとそこで初めて出会った。


私はかけるをこの店に呼んで
しばらく話たの。

⏰:09/01/30 20:54 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#527 [幸]
話したっていっても筆記でね。


「病院に行こう?
私が連れて行くから。
親は?」


「知らない。」

「なんで?」


「親は金だけ置いて行く。」




なんかね…ショック受けたね。
あの時は。

⏰:09/01/30 20:58 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#528 [幸]
それでね一旦かけるの家に戻って
お金と保険証を取りに来たんだ。


いや―封筒の中に20万あったのは
びっくりしたね。




それで病院に行った…。

⏰:09/01/30 23:05 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#529 [幸]
私もかけるも、喧嘩で
鼓膜が切れただけかと思った。

でも違った…。



神経に障害があったんだ。
その障害のせいで
かけるの耳は奪われたんだ。


手術しても治らない…。

⏰:09/01/30 23:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#530 [幸]
『今まで、聞こえてたんだ…。』



自分がいつ、不自由になるかわからない。


五体満足の人たちは
その有り難さがわからないだろう。

自分が、あるいは周りにいる人たちが
五体不満足になったら
初めて実感する……。



私はそうだった。

⏰:09/01/30 23:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#531 [幸]
『私がなぜかなさんに
この事を話したかというとね、

……かけるが笑ったんだ。』



『えっ?』


かけるのピアノが静かに
流れていた。

⏰:09/01/30 23:34 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#532 [幸]
『かなさんから文化祭
一緒に回ろうって誘われた!

耳が聞こえなくなってから
初めて女に誘われたって
喜んで私の所に来たよ。』



じじさんも、まるで
かけるを息子のように
可愛がっているせいか、
嬉しそうに話していた。


…そうか……。
だからここはこんなにも
暖かいんだぁ。

⏰:09/01/30 23:37 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#533 [幸]
『なんでもじじさんに
話すんですね。』


私はそう言い、水を一気飲みした。



『そりゃ、かけるは私の子。
…だと思って育ててるもん!』

じじさんは少し強調して言った。

⏰:09/01/30 23:43 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#534 [幸]
『じじさん!!
私今ね、手話覚えてる
最中なの!

じじさん、私と会話してる時も
なるべく手話で話してくれませんか?』




じじさんが羨ましかった。
かけるは私には何も話してくれないし。



って……嫉妬!?

まさかね。相手は男なんだから……。

⏰:09/01/30 23:46 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#535 [幸]
『いいよ。じゃあ今から
始めよう!』



にもかかわらず、じじさんは
笑って答えてくれた。

⏰:09/01/30 23:48 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#536 [幸]
月日は流れ、12月。


クラスメートはみな、
模試の結果で大学を決めてるので、
前よりさらにカリカリしてた。


一方私は1、2年生より
勉強してない。

でも、本当に行きたい
大学が決まったせいか、
家事をしながらの勉強の方が
頭に入る。

⏰:09/01/30 23:52 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#537 [幸]
『かな!』
『ちえみ!!』


今年最後の模試の結果が
配られた。



『A判定だった!!』
『私も!!』


ちえみと一緒にA判定が取れて
嬉しかったというより
ホッとした。

⏰:09/01/30 23:55 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#538 [幸]
『かなはセンターでL大でしょ〜?
頑張ってよ!!』


『オッス!!』



私はセンターのみで受験する。
ちえみはセンターの8割
を取らないと一般を受験
させてもらえないらしい。


でも、お互い頑張らなきゃ!!

⏰:09/01/30 23:57 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#539 [幸]
『かなは〜まだかけるさんと
付き合わないの〜?』


『ブッ!!』



私がパンを食べてる時に
ちえみがそんなことを
言うから、びっくり
して吐いてしまった。


『うわ―!汚い!!』

『ちょ…ちえみのせいでしょ!!』

⏰:09/01/30 23:59 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#540 [幸]
『かなから先に告白
した方がいいと思うけどなぁ。』


『ゴホッ…なんで?』

『障害がある人って
なかなか自分に素直になれないと思う。

もしかなが本当に好きなら
告白したら〜?』



ちえみの言うとおりかも…。

⏰:09/01/31 00:02 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#541 [幸]
『いいこと言うね!!』

『ちえみ様だから!』



ちえみはこうなんだから…。
でも、それがちえみのいいところ……。


告白…かぁ。。。

⏰:09/01/31 00:04 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#542 [幸]
告白……。

しばらく考えこんだ。


『むっ…無理!!』



ガタンと音をたてながら
座っていたイスから立ち上がった。


ちえみも、クラスメートも
驚いた顔で私を見た。

⏰:09/01/31 00:25 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#543 [ぽぽ]
この小説、一番好き
頑張って下さいね

⏰:09/01/31 01:17 📱:F01A 🆔:5XQ2sksE


#544 [幸]
>>543
本当にありがとうございます



頑張らさせていただきます

⏰:09/01/31 01:41 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#545 [幸]
ここ最近、
私はかけるがピアノを弾く日は
必ず私も勉強をしながら
演奏を聞いていた。



そして終わった後、
私を家まで送ってくれる。

それが当たり前のようになっていた。
でも、その当たり前があって
本当に嬉しかった。

⏰:09/01/31 01:44 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#546 [幸]
かけるがピアノを弾いている日は
月、水、金曜日。

火、土曜日は普通にあそこで
バイトをしてる。



私は正直、かけるの過去も今も知りたい…。

でも、この前、じじさんから聞いた
かけるの過去。

⏰:09/01/31 01:46 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#547 [幸]
私には両親亡くなったって
言ったくせに……。



この疑問が今になっても消えない。

…私もまだ聞きたくないのかもしれないが……。

⏰:09/01/31 01:47 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#548 [幸]
『明日から冬休みだ!!

いいなっ!!受験生の
クリスマスとお正月は
3月だっ!!

3月にクリスマスツリーや
鏡餅を飾りなさい!!』




『んな奴いねーよ。』

伊勢のいい声をあげる先生と
どっと笑うクラス。


あと少しでセンター試験。

⏰:09/01/31 01:51 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#549 [幸]
やはり、かけるに告白なんてできない。


だって、今センター試験の勉強なんだもん!!




今日は金曜日。
私は6時まで学校で勉強し、
かけるのレストランへ行った。

⏰:09/01/31 01:53 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#550 [幸]
『やあ、かなさん。』
『じじさん、こんちは。』


私はいつもの席に座った。

『クリスマス、かけると過ごすの?』

じじさんにいきなりそう聞かれ、
驚く私。

⏰:09/01/31 01:55 📱:W53H 🆔:93T71IzM


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