人生の案内板
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#201 [幸]
ねぇ…なぜ?
なぜあなたはそんなに……


『…我慢するの?』



かまわないでって。。
そんな嘘、誰だって見破れる。
あなたは本当は…


助けてほしいくせに。
なぜ我慢するの?

⏰:08/12/28 23:49 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#202 [幸]
『我慢なんてしてねーから。』

『嘘だ!!
我慢してる!!』



私は力強く言った。
彼は少し驚いていたが
また口を開いた。



『あんたに俺の何がわかるんだ?』

⏰:08/12/28 23:51 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#203 [幸]
まただ…


『我慢してるって、
世の中我慢しなきゃ
生きていけねーんだよ!!
俺は弟のことで何度も
耐えてきた。。
我慢すればこの苦しみから解放されるって
信じて……
障害者と関わりのない
あんたには俺の気持ちが分かるかっ!!』

⏰:08/12/28 23:53 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#204 [幸]
彼の声は部屋中に響いた。
また…震えてる声だった。




障害者と関わりのない?
そうか…だから私は彼の気持ちが
わからないのか。。。


だからといって、
私は彼をほっておきたくない。

⏰:08/12/28 23:55 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#205 [幸]
『なんで…面会に来たの?』



心細い声で彼が聞いた。

『なんで来たの?
ほっとけばよかったじゃねえか。
俺のことなんて…
ほっといて、大学に向けて
受験すればいいじゃねか。
あの時おにぎりを渡してくれた。
それだけで十分だ…』

⏰:08/12/28 23:59 📱:W53H 🆔:rI5HnOXg


#206 [幸]
言葉がでなかった…
私はただ、おにぎりを
あげただけなのに。



彼がそこまで感動するとは
予想外だった。
今まで、優しくされたことが
なかったの…?
今まで、彼を誰も
支えてくれなかったの?
今まで、彼の周りにいた人たちは
何をしてたの?

⏰:08/12/30 00:13 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#207 [幸]
強く叫びたかった。
訴えたかった。




『ありがとう…』


彼はそう言って、
私の前から消えた…。

何が‘ありがとう’なの?
なぜあなたが感謝するの?

⏰:08/12/30 00:15 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#208 [幸]
疑問を持つだけの私。



警察の人が外にどうぞと
導いてくれた。
私は八つ当たりをしたのか、
思いっきりその警察の人
を睨みつけた。

⏰:08/12/30 11:26 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#209 [幸]
私はゆっくりと歩いて帰った。



彼を助けたい…
彼は被害者だよ。


頭を使え…
私は頭がいいんだから。


私は今まで以上に頭を
使った。
ひねった。考えた。

⏰:08/12/30 11:28 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#210 [幸]
なんで…!!

なんでわからないの?
私は頭良いって言われてきたのに。
なんで彼を救う方法を
考えられないの!?




自分を責めたい。
初めて思った。


私って…馬鹿なんだ。と

⏰:08/12/30 11:30 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#211 [幸]
学力がよくたって…
アイデアが浮かばなかったら
意味がないんだよね。



ははは…そうか……
だからなぜT大学に行って
何を勉強するのかも
わからなかったんだ。

⏰:08/12/30 11:33 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#212 [幸]
悔しい……
悔しい…!!!




私はその場にしゃがみこんだ。
涙がたくさん出てきた。
周りからどういう目で
見られてるかな?
変な人って思われてるのかな?

⏰:08/12/30 11:35 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#213 [幸]
ああ…そうか。
障害者って健常者から
‘変な人’って思われてるんだ。


だからその兄弟の彼の
ことも変だって、断定
するんだ。




はは…なんて虚しい。
悲しい。悔しい…。

⏰:08/12/30 11:37 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#214 [幸]
私は人目気にせずに泣いた。



すると、私の目の前に
ハンカチが出てきた。

私はびっくりして顔をあげた。



すると、優しい男の顔
が現れた。

⏰:08/12/30 11:39 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#215 [幸]
『……//』



恥ずかしかった。
思いっきり泣いてる顔を
しかもアップで…。



私はハンカチを取り、
『借ります。』


と言い、ハンカチを使った。

⏰:08/12/30 12:11 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#216 [幸]
男は私の髪を撫でながら
優しく微笑んだ。




何かに許された気がした。
何に?
わからないが、そんな気がした。

⏰:08/12/30 12:13 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#217 [幸]
私は立ち上がり、
優しい顔の男を見た。


私は男の優しさに吸い込まれそうだった。
すごい心が暖かい。



私は思わず笑ってしまった。
すると男は、私の顔を
一時見、歩いていってしまった。

⏰:08/12/30 12:17 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#218 [幸]
『あのぉっ、すみません!!』



大声で叫んだつもりだったが
聞こえなかったのか、
男は一度も振り返らず
そのまま歩いていってしまった。



ハンカチ…どうしよ。

⏰:08/12/30 12:19 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#219 [幸]
そのハンカチには、
独特な匂いがした。
柔らかく、私を包み込む
優しい匂い。




家に着いても私は
ハンカチから手放さなかった。

勉強するときも
かぎたくなったら
ハンカチをかいでいた。

⏰:08/12/30 12:23 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#220 [幸]
変態だ。私。
でもその匂いをかがないわけにはいかなかった。




私は予備校に行ってないので
わからない問題があったら、
学校に行き先生に聞いていた。

⏰:08/12/30 12:30 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#221 [幸]
私がだいたい学校に行く時間と
あの男に会った時間が同じだ。
だから少し早く家を出、
初めて会った場所で
ハンカチを持って待っていた。




しかし、ほぼ毎日来ても
なかなか男と会わなかった。

⏰:08/12/30 12:53 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#222 [幸]
夏休みの終わりの頃。
私はいつも通りの生活をしてた


流れてあった、あるニュースに
目が入った。



‘え―7才の女の子が
実の母親に殺害されました。
その女の子は小学校で
特別学級に通っており
母親は育てるのに
疲れたと述べていました’

⏰:08/12/30 13:00 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#223 [幸]
障害者……胸が痛かった。



最近、こんな事件ばかりだ。
健常者と共生なんて
できないのかな。


悲しくなってきた。

⏰:08/12/30 13:02 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#224 [幸]
あの少年はどうなったのかな?



私は学校に行ってから警察署に寄った。





私は彼と面会はせず、
彼の担当の警察の人に
話を聞いた。

⏰:08/12/30 13:04 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#225 [幸]
『彼はどうなるんですか?』


『一応、人殺したからね。』

『そんな…彼は母親の
ために…』


『相手は殺人犯だぞ?
そんなこといちいち
受けとめていたら私たちだってやっていけないよ。』

⏰:08/12/30 13:08 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#226 [幸]
『あなたの気持ち、
わからなくもないよ?』

『彼をそこまで追い詰めたのは
彼の周りにいた大人の
せいですよ!?』



私の声は震えていた。


警察の人は困っていた。

⏰:08/12/30 13:14 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#227 [幸]
『あなた、あの少年に
おにぎりを渡したんですよね?』



警察の人は困ってた顔から
何かをひらめいた顔に
変化した。


『はい…』
『あなたなら、心を開いて
くれるかもしれない。』

⏰:08/12/30 13:17 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#228 [幸]
『しかし、以前面会した時
かまわないでと言われた
ばかりなんです。
嘘だと感じるのですが…』


『はい、私どももそう思います。
私もあの時いたんです。
しかし彼、私と話す時
よりあなたと話す時の
方が話しやすいと思うのです。』

⏰:08/12/30 13:21 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#229 [幸]
ちょっと嬉しかった。
さらに警察の人は話し出した。


『私の考えでは、あの少年は
嘘をついている。』


『はい?』
『殺したのはあの少年
ではないと思うのです。』



想像もしてなかった。
そんなこと……

⏰:08/12/30 13:24 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#230 [幸]
『なぜ?』
『こちらの、犯罪心理学者が
鑑定したところ、
例え母親のためとは
言えども人を殺めた時
パニクるのですが、
あの少年はそのようなことを
しなかったのです。』



私は彼と初めて話したことを
思い出そうとした。

⏰:08/12/30 13:27 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#231 [幸]
……
あの出来事が走馬灯の
ように頭をよぎった。




『大丈夫かね?』

警察の人の声に我に返った。


『何か思い出したら
また来てくれるかな?』
『はい…』

⏰:08/12/30 13:30 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#232 [幸]
警察署に出た。
また暗い気持ちになった。



そして初めてあの男と
出会った場所に足を止めた。



この時間帯にいないよね。

⏰:08/12/30 13:36 📱:W53H 🆔:aR7PgfF2


#233 [幸]
明けましておめでとうございます

⏰:09/01/04 15:06 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#234 [幸]
>>232つづき…



そう思い、家に帰ろうとしたとき
あの優しい匂いがぷ〜んと
匂ってきた。


胸が弾む気持ちになった。

⏰:09/01/04 15:08 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#235 [幸]
私は必死にあの男を探した。
ふと、あの匂いが私の前に来た。



……見つけた…。


『あっ、あの…』


声が小さいせいか、
なかなかこちらに気づかない

⏰:09/01/04 17:55 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#236 [幸]
『まっ、待って!!』


私はとっさにその男の腕を掴んだ。



男は驚いた顔でこちらを向いた。



……なんて綺麗な目。
見とれてしまう。

⏰:09/01/04 17:57 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#237 [幸]
『あっ、あのハンカチ
ありがとうございました。』


私はそう言い、ハンカチを出した。



男は微笑みながら、会釈した。



ど、どうする私?
こんな素敵な出会いは
めったにないぞ。

⏰:09/01/04 18:00 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#238 [幸]
このまま一気にメアド
を聞いてしまうか。
それともこの出会いは
これで終わりか!?

こんなのやだ!!


向こうから聞いてこないかなぁ。
でも向こうはそんな気ないよね。

あああ、やっぱり私から
聞いた方がいいよね

⏰:09/01/04 18:53 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#239 [幸]
『あの、メアド教えて
下さい!!』



うわ〜言った!!
…やっぱ無理かな。
初対面なのに教えてくれないよね。

⏰:09/01/04 18:57 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#240 [幸]
男の顔が赤くなったのがわかった。
そして男はバックから
ノ―トとボ―ルペンを
取り出し何か書き始めた。



‘僕は耳が聞こえません
こんな僕でもメールを
しても楽しいことないですよ’



えっ……

⏰:09/01/04 19:02 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#241 [幸]
↑すみません
‘こんな僕でも’
ではなく
‘こんな僕が’です

⏰:09/01/04 19:04 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#242 [幸]
男は悲しい顔をした。
私はノ―トとボ―ルペン
をその男から奪い、


‘それでもいい。
あなたとメールをしたいんです
あなたが嫌なら諦めます’


と、書いた。

⏰:09/01/04 19:07 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#243 [幸]
男はノ―トを読むと
悲しい顔から笑顔になった。
クシャッと笑った顔が
とても可愛く思った。




私たちは赤外線をし、
アドレスを交換した。

⏰:09/01/04 19:09 📱:W53H 🆔:7dozr8Kk


#244 [幸]
そして彼は
‘これからバイトなので
これで。
またメールでね’


そう書き、走って行ってしまった。



その時また匂いがした。

⏰:09/01/05 00:19 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#245 [幸]
素敵……
なんて素敵なのかしら


その時メールが来た。




小早川君からだ。


えっ!?
なぜに!?

⏰:09/01/05 00:20 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#246 [幸]
‘メール遅れてごめんなぁ
小早川きいのアドレス
登録よろしくなぁ’



ああ、夏祭りの時
小早川君のアドレス聞いたなぁ。


私は了解とメールをし、
家へ帰った。

⏰:09/01/05 00:22 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#247 [幸]
私は家事を終わらせ
勉強をしてた。

11時に携帯の受信音が鳴った。


私は携帯を急いで見た。


‘よぉ。かなちゃん
よろしくなぁ!!’

⏰:09/01/05 16:37 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#248 [幸]
かなちゃんだってぇ!!
どうしよう!!


私は久しぶりに興奮した。



‘こちらこそ
バイトだったんですか?’

送信。

⏰:09/01/05 16:39 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#249 [幸]
‘そだよ。’



私は携帯が鳴るたびに
勉強を途中で止め、
メールに夢中になってしまった。


男の名前はかける。

かけるはずるい。
こっちが質問したくなるようなメールばかりだ。

⏰:09/01/05 16:41 📱:W53H 🆔:KT5aN9Mc


#250 [幸]
翌日。
午前中は勉強に集中し
午後は家事をしながら
かけるとメールをした。

メールで分かったことは
かけるはL大学生の1年生。


あの少年が行きたがっていた大学だ。

⏰:09/01/06 00:17 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#251 [幸]
私はL大学のことが気になった。


家事を終わらせ、パソコンで
L大学について調べた。


L大学は心理学の名門校だ。
心理学部だけ偏差値が高い。

⏰:09/01/06 00:19 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#252 [幸]
T大学と同じくらいだ。結構意外だ。



‘何学部なの?’

私はかけるにメールを送信した。


‘文学部だよ
一応小説家を目指してる’


と来た。

⏰:09/01/06 00:21 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#253 [幸]
小説家!?
凄い…と思った同時に
夢があるんだぁ、という
関心を持った。



そのメールの下の文に

‘かなちゃんは?
夢とかあるの?
K校だからありそう(笑)’


と書かれてあった。

⏰:09/01/06 00:23 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#254 [幸]
…ない。
ただ、こういう大人になりたいだけで
なりたい職業なんてない。



‘ないよ。早く見つけなきゃ!!’


と、送信。

⏰:09/01/06 00:25 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#255 [幸]
‘別に焦る必要ないよ
なりたいじゃなくて
興味のある職業とかないの?’




と、来た、


私はそのメールにすごく
励まされた。
また、別の観点から職業を
探すということに気づいた。

⏰:09/01/06 00:27 📱:W53H 🆔:chY9fFUg


#256 [幸]
私はメールを止め、
自分の興味を探した。


何が好きかな?
国語!?
いや、国語から職業探すの大変だろ。


いざ自分の興味は?
と聞かれると、なかなか答えられないもんだ。

⏰:09/01/07 23:57 📱:W53H 🆔:mOdiFZ8M


#257 [幸]
…そういえば
あの少年、心理学を
学びたいって言ってたな。
心理学ってなんだろ?



インターネットで調べてみるのも、
なかなかいい答えが見つからない。


そうだ。
L大学のオ―プンキャンパスに行こう。

⏰:09/01/08 00:00 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#258 [幸]
私は早速L大学の
オ―プンキャンパスの日程を調べた。




えっ……
もう、終わっちゃった…?


少しショックを受けた。

⏰:09/01/08 00:02 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#259 [幸]
夏休みも終わり2学期が始まる。



私は始業式当日早起きをし、
英語を勉強した。
そして朝ご飯を食べながら
テレビを見た。


星座占いが場面に出てきた

⏰:09/01/08 00:07 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#260 [幸]
‘てんびん座のあなた
2つの選択肢をちゃんと考えてから
選ぶようにしましょう!!’



私は腹が立ち、リモコンで
テレビを消した。

⏰:09/01/08 00:10 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#261 [幸]
テレビなんかに私の気持ちが
わかるか!!
こんな占い信じるか!!
信じてるから当たるもんなんだよ。
所詮、占いはそんなもんさ。



そう思い、家を出た。

⏰:09/01/08 00:11 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#262 [幸]
『鮎川!!』


歩いていると後ろから
声がした。


この声は…
『こっ小早川君!?』



『久しぶりだな。
祭り以来?』

⏰:09/01/08 00:12 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#263 [幸]
『そだね。』

『今月の模試、必ず
鮎川に勝つからな!!』


『こっちだって負けないよ』



元気のいい会話だった。
前まではこんなスラスラ
話せなかったのに。

⏰:09/01/08 00:14 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#264 [幸]
『最近、小早川君
みょうにかなに近づこうとしてない?』



教室に入った瞬間、
ちなみにそう言われた。

『だって、私のこと
ライバル視してるし。』
普通に答えると、
ちなみは驚いた顔をした。

⏰:09/01/08 00:16 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#265 [幸]
『な、なによ?』

『かな、もう好きじゃなくなったの?』



はい!?
私ちなみに、小早川君のこと
好きなんて言ったっけ?
いや、絶対言ってない!!

『…好きなんて言った?』


焦りながらも、
なんとかそう聞いた。

⏰:09/01/08 00:18 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#266 [幸]
『だいたい、かなの顔を見れば
わかるよ〜』



『そ、そう?』

私ってそんなに顔にだすタイプ?


『もう勉強一筋になったのか?
それか他に好きな人が…?』


ちなみはニヤニヤしながら聞いた。

⏰:09/01/08 00:20 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#267 [幸]
ちなみに好きな人と言われた時
脳裏に浮かんだのは
かけるだった…。

待て!!待て。私。
夏祭りのとき、小早川君が好きだって
思ったじゃん!!


もしかして…二股!?
私が!?


そう考える度に
あの占いが頭の中に蘇ってくる。

⏰:09/01/08 00:23 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#268 [幸]
『お〜い。
かな、大丈夫かぁ?』


『…ちなみ、私二股かも。』


『はぁ?』


私はかけるのこと、
夏祭りに小早川君と同行
したことをちなみに話した。

⏰:09/01/08 00:25 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#269 [幸]
『…匂いって、あんた
犬か?』




ちなみの第一声はそれだった。

そして、
『でも私、かなはその
かける君の方が好きだと感じる。
かける君のことを話す時
嬉しそうだし。
小早川君のことは…
なんだろ、先生って感じに聞こえる。』

⏰:09/01/08 00:29 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#270 [幸]
と、言われた。


それは言えてるかも。
私も納得してしまった。
気づいたらかけるのことを考えてる。
…一目惚れってやつ?



『そ〜いや、ちなみは?』


私たちは、恋愛話で盛り上がった。

⏰:09/01/08 00:31 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#271 [幸]
『陸ったらひどいんだよ?』



…どうやら陸君はベ―ジェクト病ではなかったらしい。

ちなみが勉強ばかりだから
恋に関わる心理テストをしたらしい。


そして、それがこれか。
これは心理テストって言えるのか?

⏰:09/01/08 00:35 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#272 [幸]
まぁ陸君、無事でよかったよ。



…心理テスト…
そうか、それだけで人の心が分かるんだ!!

やばい!!
おもしろい!!



私は始業式が終わった後
資料室へ向かった。

⏰:09/01/08 00:38 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#273 [幸]
そこに、私の親しみのある先生がいるからだ。



『先生〜?高城先生!?』

3回目でやっと返事がした。
声の高い、男の先生が
やってきた。

⏰:09/01/08 00:41 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#274 [幸]
私は心理学について話してみた。


『心理学に興味を持ったか〜』

先生は困った顔をした。

『鮎川、お前は馬鹿じゃない、
心理学で最も有名な大学
調べたろな?』

『L大でしょ?
なんで?そこの大学やばいの?』

⏰:09/01/08 00:45 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#275 [幸]
『ん〜お前も知ってると思うが
うちの高校は進学校なの。
そんなL大に合格したって
なんの得にもならないんだよ。』



『でも心理学部は凄いじゃん!!』

『大学生からすればな。
だが中学生の受験生が
L大に合格って格下
だと思われるだろ!!』



先生の言い方に憤りを感じた。

⏰:09/01/08 00:49 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#276 [幸]
『私は心理学を学びたいの!!
T大はL大より特別
よくないじゃん!!』


『お前はT大に受かる
ためにこの高校に来たんだろ!?』




凄く胸に響いた。
そうだ…T大に行くために
来たんだ……。

私は無言で資料室から出た。

⏰:09/01/08 00:52 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#277 [幸]
…夢…
私は夢なんてない。
しいて言えばT大に合格
することだなぁ。

なんてちっぽけな夢。
その先の事も考えずに。


私って…本当に馬鹿だなぁ。

⏰:09/01/08 00:55 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#278 [幸]
『鮎川…』


私が資料室から出て
廊下を少し歩くと
小早川君が立っていた。


『こ、小早川君…』
『お前、L大に行きたいの?』


予想外の質問をされた。
私は驚き何も言わずに歩こうとした。

⏰:09/01/08 17:57 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#279 [幸]
『待てよ!
なんでL大なの?
T大は?』



ここで何か言わなきゃ
前に進まないような気がした。

『わ…私、心理学を学びたいの。
だからT大止めようかなって…。』

⏰:09/01/08 17:59 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#280 [幸]
『なんだよ、それ。
みんなお前を目指して頑張ってきたんだよ!?

鮎川はいつも1番だから
俺のいや、みんなの目標なんだよ?』



小早川君の声はいつもより
低かった。
それがとても怖かった。

⏰:09/01/08 18:02 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#281 [幸]
『私ね、夢なんてない。
だからT大に行っても
何を勉強すればいいか
分からなかったの。

でも、心理学に興味を持ったの。
だから大学に行ったら
心理学を勉強したいの!!
T大よりL大の方が心理学は有名なの。
だから…』



小早川君…!?
私がまだ全部を話してないのに
気づいたら小早川君の腕の中にいた。

⏰:09/01/08 18:06 📱:W53H 🆔:jLrAXSwQ


#282 [幸]
『こっ…小早川君…?』



突然の包容に驚愕してしまった。

私はどうすればいいか分からず
ただ、ここに人が来ないようにと
祈っていた。

⏰:09/01/09 16:30 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#283 [幸]
『あっ…悪い…』

小早川君はそう言うと
スッと立ち去った。




…はっ初めて抱きしめられた!
あの小早川君に!?

小早川君、身長大きいから
私の顔が丁度小早川君の胸あたりだったなぁ


…かけるだったら―…?

⏰:09/01/09 16:33 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#284 [幸]
って。
何かけるのこと想像してんだよ?
私……。





翌日。
気が晴れないまま学校に登校した。

⏰:09/01/09 16:35 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#285 [幸]
確か…5時間目が始まる休み時間だった。



『鮎川!!』

うざい担任に呼ばれた。
どうやらあの少年と
警察が来てるらしい。


なぜわざわざ学校に来るんだよ?
私はそう思いながら
校長室に向かった。

⏰:09/01/09 16:37 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#286 [幸]
校長室に入ると、
3人の警察と少年、
高城先生と教頭先生がいた。



私は昨日のことを思い出し
高城先生の顔をあまり見れなかった。


『たびたびすみません。』

⏰:09/01/09 16:39 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#287 [幸]
そう言ったのは、
私が夏休みに警察署に行った
あの雰囲気のいい警察だった。

⏰:09/01/09 16:40 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#288 [幸]
『いえ、この度はどういう用件で?』


丁寧に聞くと、
少年が

『最後にあんたに
お礼を言いたいんだ。』
と、ギラギラした目で言った。


『最……後?』

⏰:09/01/09 16:47 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#289 [幸]
『ええ、この子は
田舎に預けられること
になったんだ。
精神的なこともあるし

それに親戚の人はみな……』




言葉が出なかった。

すると、
『2人で話したい。
席を空けてくれ。』


少年はそう言うと、
校長室に私と少年の2人きりになった。

⏰:09/01/09 16:50 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#290 [幸]
『…田舎に行くの?』


私から最初に切り出した。

『ああ。』
『なぜ?父親は?』


少年は暫く黙っていた。

⏰:09/01/09 16:51 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#291 [幸]
『…父親1人じゃ、
俺を育てる自信がないんだと。

だから寺のお坊さん?
みたいな人に預かって貰えるんだ。


一回、面会した時
すんげぇ感じのいい人でさぁ。』


最初はイキイキして話していたのに
最後は悲しげな口調になった。


『…私もね。あなたに
お礼言いたいんだ。』



話しをずらした。

⏰:09/01/09 16:55 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#292 [幸]
『お…俺に?』


少年は嬉しそうな、
驚いているような声をだした。


『私ね、興味を持つようになったの。』

『興味?』
『心理学に。』


少年は“おおっ”と
声をあげた。

⏰:09/01/09 16:57 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#293 [幸]
『心理学を勉強したら
人のちょっとした行動で
相手の気持ちが分かるようになるんだよ?
私、そう思うともう
ワクワクしちゃって…

まだ将来の夢は決まってないけど
興味のあるものを勉強して
それに導くような職に就きたいの。』



少年の顔が少しだけど
笑った。

私もつられて笑ってしまった。

⏰:09/01/09 17:00 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#294 [幸]
『…なぁ、前から聞きたかった。
なんで俺を助けたの?』

『…わかんない。』



私は笑顔で答えた。


『はっ?』

⏰:09/01/09 17:01 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#295 [幸]
『その質問にはまだ
答えられない。』


すると少年はふっと
鼻で笑い、

『じゃあ、また今度聞くよ。』

と言った。

⏰:09/01/09 17:03 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#296 [幸]
沈黙が漂った。
私は何か話そうと思ったが
なかなか話題が出てこない。



『俺…』

少年はいきなり
こう言った。

⏰:09/01/09 17:05 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#297 [幸]
『本当は行きたくない…
ここを離れたくない…』


少年の目には涙がたまっていた。

私はいたまれない気持ちになった。

⏰:09/01/09 17:07 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#298 [幸]
『こんなこと言うの
勝手だけど…
また家族揃って一緒に生きたい…

ただそれだけなのに…
当たり前のことなのに

俺が弟を殺さなければ
家族、バラバラにならずにすんだのかな?

俺は…あの時の俺は
ただ、母さんを守りたかったのに。
実際、守れてなかった…。』



『なんで、あの日殺そうと…?』


私はそう質問した。

⏰:09/01/09 17:10 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#299 [幸]
母さんのため…
もし、それが本当なら









弟を殺せるはずがない。
前にあの警察の人が言ってた…
この少年は殺してないかもと。

⏰:09/01/09 17:12 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


#300 [幸]
“実際、母さんを守れてない”

少年はそう言ったよね?
殺すことによって
お母さんが救われるなど
思わないはずだ。



私は一番最初に会った
少年の話しを思い出した。

⏰:09/01/09 17:14 📱:W53H 🆔:lFHCHULI


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