人生の案内板
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#201 [幸]
ねぇ…なぜ?
なぜあなたはそんなに……
『…我慢するの?』
かまわないでって。。
そんな嘘、誰だって見破れる。
あなたは本当は…
助けてほしいくせに。
なぜ我慢するの?
:08/12/28 23:49 :W53H :rI5HnOXg
#202 [幸]
『我慢なんてしてねーから。』
『嘘だ!!
我慢してる!!』
私は力強く言った。
彼は少し驚いていたが
また口を開いた。
『あんたに俺の何がわかるんだ?』
:08/12/28 23:51 :W53H :rI5HnOXg
#203 [幸]
まただ…
『我慢してるって、
世の中我慢しなきゃ
生きていけねーんだよ!!
俺は弟のことで何度も
耐えてきた。。
我慢すればこの苦しみから解放されるって
信じて……
障害者と関わりのない
あんたには俺の気持ちが分かるかっ!!』
:08/12/28 23:53 :W53H :rI5HnOXg
#204 [幸]
彼の声は部屋中に響いた。
また…震えてる声だった。
障害者と関わりのない?
そうか…だから私は彼の気持ちが
わからないのか。。。
だからといって、
私は彼をほっておきたくない。
:08/12/28 23:55 :W53H :rI5HnOXg
#205 [幸]
『なんで…面会に来たの?』
心細い声で彼が聞いた。
『なんで来たの?
ほっとけばよかったじゃねえか。
俺のことなんて…
ほっといて、大学に向けて
受験すればいいじゃねか。
あの時おにぎりを渡してくれた。
それだけで十分だ…』
:08/12/28 23:59 :W53H :rI5HnOXg
#206 [幸]
言葉がでなかった…
私はただ、おにぎりを
あげただけなのに。
彼がそこまで感動するとは
予想外だった。
今まで、優しくされたことが
なかったの…?
今まで、彼を誰も
支えてくれなかったの?
今まで、彼の周りにいた人たちは
何をしてたの?
:08/12/30 00:13 :W53H :aR7PgfF2
#207 [幸]
強く叫びたかった。
訴えたかった。
『ありがとう…』
彼はそう言って、
私の前から消えた…。
何が‘ありがとう’なの?
なぜあなたが感謝するの?
:08/12/30 00:15 :W53H :aR7PgfF2
#208 [幸]
疑問を持つだけの私。
警察の人が外にどうぞと
導いてくれた。
私は八つ当たりをしたのか、
思いっきりその警察の人
を睨みつけた。
:08/12/30 11:26 :W53H :aR7PgfF2
#209 [幸]
私はゆっくりと歩いて帰った。
彼を助けたい…
彼は被害者だよ。
頭を使え…
私は頭がいいんだから。
私は今まで以上に頭を
使った。
ひねった。考えた。
:08/12/30 11:28 :W53H :aR7PgfF2
#210 [幸]
なんで…!!
なんでわからないの?
私は頭良いって言われてきたのに。
なんで彼を救う方法を
考えられないの!?
自分を責めたい。
初めて思った。
私って…馬鹿なんだ。と
:08/12/30 11:30 :W53H :aR7PgfF2
#211 [幸]
学力がよくたって…
アイデアが浮かばなかったら
意味がないんだよね。
ははは…そうか……
だからなぜT大学に行って
何を勉強するのかも
わからなかったんだ。
:08/12/30 11:33 :W53H :aR7PgfF2
#212 [幸]
悔しい……
悔しい…!!!
私はその場にしゃがみこんだ。
涙がたくさん出てきた。
周りからどういう目で
見られてるかな?
変な人って思われてるのかな?
:08/12/30 11:35 :W53H :aR7PgfF2
#213 [幸]
ああ…そうか。
障害者って健常者から
‘変な人’って思われてるんだ。
だからその兄弟の彼の
ことも変だって、断定
するんだ。
はは…なんて虚しい。
悲しい。悔しい…。
:08/12/30 11:37 :W53H :aR7PgfF2
#214 [幸]
私は人目気にせずに泣いた。
すると、私の目の前に
ハンカチが出てきた。
私はびっくりして顔をあげた。
すると、優しい男の顔
が現れた。
:08/12/30 11:39 :W53H :aR7PgfF2
#215 [幸]
『……//』
恥ずかしかった。
思いっきり泣いてる顔を
しかもアップで…。
私はハンカチを取り、
『借ります。』
と言い、ハンカチを使った。
:08/12/30 12:11 :W53H :aR7PgfF2
#216 [幸]
男は私の髪を撫でながら
優しく微笑んだ。
何かに許された気がした。
何に?
わからないが、そんな気がした。
:08/12/30 12:13 :W53H :aR7PgfF2
#217 [幸]
私は立ち上がり、
優しい顔の男を見た。
私は男の優しさに吸い込まれそうだった。
すごい心が暖かい。
私は思わず笑ってしまった。
すると男は、私の顔を
一時見、歩いていってしまった。
:08/12/30 12:17 :W53H :aR7PgfF2
#218 [幸]
『あのぉっ、すみません!!』
大声で叫んだつもりだったが
聞こえなかったのか、
男は一度も振り返らず
そのまま歩いていってしまった。
ハンカチ…どうしよ。
:08/12/30 12:19 :W53H :aR7PgfF2
#219 [幸]
そのハンカチには、
独特な匂いがした。
柔らかく、私を包み込む
優しい匂い。
家に着いても私は
ハンカチから手放さなかった。
勉強するときも
かぎたくなったら
ハンカチをかいでいた。
:08/12/30 12:23 :W53H :aR7PgfF2
#220 [幸]
変態だ。私。
でもその匂いをかがないわけにはいかなかった。
私は予備校に行ってないので
わからない問題があったら、
学校に行き先生に聞いていた。
:08/12/30 12:30 :W53H :aR7PgfF2
#221 [幸]
私がだいたい学校に行く時間と
あの男に会った時間が同じだ。
だから少し早く家を出、
初めて会った場所で
ハンカチを持って待っていた。
しかし、ほぼ毎日来ても
なかなか男と会わなかった。
:08/12/30 12:53 :W53H :aR7PgfF2
#222 [幸]
夏休みの終わりの頃。
私はいつも通りの生活をしてた
流れてあった、あるニュースに
目が入った。
‘え―7才の女の子が
実の母親に殺害されました。
その女の子は小学校で
特別学級に通っており
母親は育てるのに
疲れたと述べていました’
:08/12/30 13:00 :W53H :aR7PgfF2
#223 [幸]
障害者……胸が痛かった。
最近、こんな事件ばかりだ。
健常者と共生なんて
できないのかな。
悲しくなってきた。
:08/12/30 13:02 :W53H :aR7PgfF2
#224 [幸]
あの少年はどうなったのかな?
私は学校に行ってから警察署に寄った。
私は彼と面会はせず、
彼の担当の警察の人に
話を聞いた。
:08/12/30 13:04 :W53H :aR7PgfF2
#225 [幸]
『彼はどうなるんですか?』
『一応、人殺したからね。』
『そんな…彼は母親の
ために…』
『相手は殺人犯だぞ?
そんなこといちいち
受けとめていたら私たちだってやっていけないよ。』
:08/12/30 13:08 :W53H :aR7PgfF2
#226 [幸]
『あなたの気持ち、
わからなくもないよ?』
『彼をそこまで追い詰めたのは
彼の周りにいた大人の
せいですよ!?』
私の声は震えていた。
警察の人は困っていた。
:08/12/30 13:14 :W53H :aR7PgfF2
#227 [幸]
『あなた、あの少年に
おにぎりを渡したんですよね?』
警察の人は困ってた顔から
何かをひらめいた顔に
変化した。
『はい…』
『あなたなら、心を開いて
くれるかもしれない。』
:08/12/30 13:17 :W53H :aR7PgfF2
#228 [幸]
『しかし、以前面会した時
かまわないでと言われた
ばかりなんです。
嘘だと感じるのですが…』
『はい、私どももそう思います。
私もあの時いたんです。
しかし彼、私と話す時
よりあなたと話す時の
方が話しやすいと思うのです。』
:08/12/30 13:21 :W53H :aR7PgfF2
#229 [幸]
ちょっと嬉しかった。
さらに警察の人は話し出した。
『私の考えでは、あの少年は
嘘をついている。』
『はい?』
『殺したのはあの少年
ではないと思うのです。』
想像もしてなかった。
そんなこと……
:08/12/30 13:24 :W53H :aR7PgfF2
#230 [幸]
『なぜ?』
『こちらの、犯罪心理学者が
鑑定したところ、
例え母親のためとは
言えども人を殺めた時
パニクるのですが、
あの少年はそのようなことを
しなかったのです。』
私は彼と初めて話したことを
思い出そうとした。
:08/12/30 13:27 :W53H :aR7PgfF2
#231 [幸]
……
あの出来事が走馬灯の
ように頭をよぎった。
『大丈夫かね?』
警察の人の声に我に返った。
『何か思い出したら
また来てくれるかな?』
『はい…』
:08/12/30 13:30 :W53H :aR7PgfF2
#232 [幸]
警察署に出た。
また暗い気持ちになった。
そして初めてあの男と
出会った場所に足を止めた。
この時間帯にいないよね。
:08/12/30 13:36 :W53H :aR7PgfF2
#233 [幸]
:09/01/04 15:06 :W53H :7dozr8Kk
#234 [幸]
>>232つづき…
そう思い、家に帰ろうとしたとき
あの優しい匂いがぷ〜んと
匂ってきた。
胸が弾む気持ちになった。
:09/01/04 15:08 :W53H :7dozr8Kk
#235 [幸]
私は必死にあの男を探した。
ふと、あの匂いが私の前に来た。
……見つけた…。
『あっ、あの…』
声が小さいせいか、
なかなかこちらに気づかない
:09/01/04 17:55 :W53H :7dozr8Kk
#236 [幸]
『まっ、待って!!』
私はとっさにその男の腕を掴んだ。
男は驚いた顔でこちらを向いた。
……なんて綺麗な目。
見とれてしまう。
:09/01/04 17:57 :W53H :7dozr8Kk
#237 [幸]
『あっ、あのハンカチ
ありがとうございました。』
私はそう言い、ハンカチを出した。
男は微笑みながら、会釈した。
ど、どうする私?
こんな素敵な出会いは
めったにないぞ。
:09/01/04 18:00 :W53H :7dozr8Kk
#238 [幸]
このまま一気にメアド
を聞いてしまうか。
それともこの出会いは
これで終わりか!?
こんなのやだ!!
向こうから聞いてこないかなぁ。
でも向こうはそんな気ないよね。
あああ、やっぱり私から
聞いた方がいいよね
:09/01/04 18:53 :W53H :7dozr8Kk
#239 [幸]
『あの、メアド教えて
下さい!!』
うわ〜言った!!
…やっぱ無理かな。
初対面なのに教えてくれないよね。
:09/01/04 18:57 :W53H :7dozr8Kk
#240 [幸]
男の顔が赤くなったのがわかった。
そして男はバックから
ノ―トとボ―ルペンを
取り出し何か書き始めた。
‘僕は耳が聞こえません
こんな僕でもメールを
しても楽しいことないですよ’
えっ……
:09/01/04 19:02 :W53H :7dozr8Kk
#241 [幸]
↑すみません
‘こんな僕でも’
ではなく
‘こんな僕が’です
:09/01/04 19:04 :W53H :7dozr8Kk
#242 [幸]
男は悲しい顔をした。
私はノ―トとボ―ルペン
をその男から奪い、
‘それでもいい。
あなたとメールをしたいんです
あなたが嫌なら諦めます’
と、書いた。
:09/01/04 19:07 :W53H :7dozr8Kk
#243 [幸]
男はノ―トを読むと
悲しい顔から笑顔になった。
クシャッと笑った顔が
とても可愛く思った。
私たちは赤外線をし、
アドレスを交換した。
:09/01/04 19:09 :W53H :7dozr8Kk
#244 [幸]
そして彼は
‘これからバイトなので
これで。
またメールでね’
そう書き、走って行ってしまった。
その時また匂いがした。
:09/01/05 00:19 :W53H :KT5aN9Mc
#245 [幸]
素敵……
なんて素敵なのかしら
その時メールが来た。
小早川君からだ。
えっ!?
なぜに!?
:09/01/05 00:20 :W53H :KT5aN9Mc
#246 [幸]
‘メール遅れてごめんなぁ
小早川きいのアドレス
登録よろしくなぁ’
ああ、夏祭りの時
小早川君のアドレス聞いたなぁ。
私は了解とメールをし、
家へ帰った。
:09/01/05 00:22 :W53H :KT5aN9Mc
#247 [幸]
私は家事を終わらせ
勉強をしてた。
11時に携帯の受信音が鳴った。
私は携帯を急いで見た。
‘よぉ。かなちゃん
よろしくなぁ!!’
:09/01/05 16:37 :W53H :KT5aN9Mc
#248 [幸]
かなちゃんだってぇ!!
どうしよう!!
私は久しぶりに興奮した。
‘こちらこそ
バイトだったんですか?’
送信。
:09/01/05 16:39 :W53H :KT5aN9Mc
#249 [幸]
‘そだよ。’
私は携帯が鳴るたびに
勉強を途中で止め、
メールに夢中になってしまった。
男の名前はかける。
かけるはずるい。
こっちが質問したくなるようなメールばかりだ。
:09/01/05 16:41 :W53H :KT5aN9Mc
#250 [幸]
翌日。
午前中は勉強に集中し
午後は家事をしながら
かけるとメールをした。
メールで分かったことは
かけるはL大学生の1年生。
あの少年が行きたがっていた大学だ。
:09/01/06 00:17 :W53H :chY9fFUg
#251 [幸]
私はL大学のことが気になった。
家事を終わらせ、パソコンで
L大学について調べた。
L大学は心理学の名門校だ。
心理学部だけ偏差値が高い。
:09/01/06 00:19 :W53H :chY9fFUg
#252 [幸]
T大学と同じくらいだ。結構意外だ。
‘何学部なの?’
私はかけるにメールを送信した。
‘文学部だよ
一応小説家を目指してる’
と来た。
:09/01/06 00:21 :W53H :chY9fFUg
#253 [幸]
小説家!?
凄い…と思った同時に
夢があるんだぁ、という
関心を持った。
そのメールの下の文に
‘かなちゃんは?
夢とかあるの?
K校だからありそう(笑)’
と書かれてあった。
:09/01/06 00:23 :W53H :chY9fFUg
#254 [幸]
…ない。
ただ、こういう大人になりたいだけで
なりたい職業なんてない。
‘ないよ。早く見つけなきゃ!!’
と、送信。
:09/01/06 00:25 :W53H :chY9fFUg
#255 [幸]
‘別に焦る必要ないよ
なりたいじゃなくて
興味のある職業とかないの?’
と、来た、
私はそのメールにすごく
励まされた。
また、別の観点から職業を
探すということに気づいた。
:09/01/06 00:27 :W53H :chY9fFUg
#256 [幸]
私はメールを止め、
自分の興味を探した。
何が好きかな?
国語!?
いや、国語から職業探すの大変だろ。
いざ自分の興味は?
と聞かれると、なかなか答えられないもんだ。
:09/01/07 23:57 :W53H :mOdiFZ8M
#257 [幸]
…そういえば
あの少年、心理学を
学びたいって言ってたな。
心理学ってなんだろ?
インターネットで調べてみるのも、
なかなかいい答えが見つからない。
そうだ。
L大学のオ―プンキャンパスに行こう。
:09/01/08 00:00 :W53H :jLrAXSwQ
#258 [幸]
私は早速L大学の
オ―プンキャンパスの日程を調べた。
えっ……
もう、終わっちゃった…?
少しショックを受けた。
:09/01/08 00:02 :W53H :jLrAXSwQ
#259 [幸]
夏休みも終わり2学期が始まる。
私は始業式当日早起きをし、
英語を勉強した。
そして朝ご飯を食べながら
テレビを見た。
星座占いが場面に出てきた
:09/01/08 00:07 :W53H :jLrAXSwQ
#260 [幸]
‘てんびん座のあなた
2つの選択肢をちゃんと考えてから
選ぶようにしましょう!!’
私は腹が立ち、リモコンで
テレビを消した。
:09/01/08 00:10 :W53H :jLrAXSwQ
#261 [幸]
テレビなんかに私の気持ちが
わかるか!!
こんな占い信じるか!!
信じてるから当たるもんなんだよ。
所詮、占いはそんなもんさ。
そう思い、家を出た。
:09/01/08 00:11 :W53H :jLrAXSwQ
#262 [幸]
『鮎川!!』
歩いていると後ろから
声がした。
この声は…
『こっ小早川君!?』
『久しぶりだな。
祭り以来?』
:09/01/08 00:12 :W53H :jLrAXSwQ
#263 [幸]
『そだね。』
『今月の模試、必ず
鮎川に勝つからな!!』
『こっちだって負けないよ』
元気のいい会話だった。
前まではこんなスラスラ
話せなかったのに。
:09/01/08 00:14 :W53H :jLrAXSwQ
#264 [幸]
『最近、小早川君
みょうにかなに近づこうとしてない?』
教室に入った瞬間、
ちなみにそう言われた。
『だって、私のこと
ライバル視してるし。』
普通に答えると、
ちなみは驚いた顔をした。
:09/01/08 00:16 :W53H :jLrAXSwQ
#265 [幸]
『な、なによ?』
『かな、もう好きじゃなくなったの?』
はい!?
私ちなみに、小早川君のこと
好きなんて言ったっけ?
いや、絶対言ってない!!
『…好きなんて言った?』
焦りながらも、
なんとかそう聞いた。
:09/01/08 00:18 :W53H :jLrAXSwQ
#266 [幸]
『だいたい、かなの顔を見れば
わかるよ〜』
『そ、そう?』
私ってそんなに顔にだすタイプ?
『もう勉強一筋になったのか?
それか他に好きな人が…?』
ちなみはニヤニヤしながら聞いた。
:09/01/08 00:20 :W53H :jLrAXSwQ
#267 [幸]
ちなみに好きな人と言われた時
脳裏に浮かんだのは
かけるだった…。
待て!!待て。私。
夏祭りのとき、小早川君が好きだって
思ったじゃん!!
もしかして…二股!?
私が!?
そう考える度に
あの占いが頭の中に蘇ってくる。
:09/01/08 00:23 :W53H :jLrAXSwQ
#268 [幸]
『お〜い。
かな、大丈夫かぁ?』
『…ちなみ、私二股かも。』
『はぁ?』
私はかけるのこと、
夏祭りに小早川君と同行
したことをちなみに話した。
:09/01/08 00:25 :W53H :jLrAXSwQ
#269 [幸]
『…匂いって、あんた
犬か?』
ちなみの第一声はそれだった。
そして、
『でも私、かなはその
かける君の方が好きだと感じる。
かける君のことを話す時
嬉しそうだし。
小早川君のことは…
なんだろ、先生って感じに聞こえる。』
:09/01/08 00:29 :W53H :jLrAXSwQ
#270 [幸]
と、言われた。
それは言えてるかも。
私も納得してしまった。
気づいたらかけるのことを考えてる。
…一目惚れってやつ?
『そ〜いや、ちなみは?』
私たちは、恋愛話で盛り上がった。
:09/01/08 00:31 :W53H :jLrAXSwQ
#271 [幸]
『陸ったらひどいんだよ?』
…どうやら陸君はベ―ジェクト病ではなかったらしい。
ちなみが勉強ばかりだから
恋に関わる心理テストをしたらしい。
そして、それがこれか。
これは心理テストって言えるのか?
:09/01/08 00:35 :W53H :jLrAXSwQ
#272 [幸]
まぁ陸君、無事でよかったよ。
…心理テスト…
そうか、それだけで人の心が分かるんだ!!
やばい!!
おもしろい!!
私は始業式が終わった後
資料室へ向かった。
:09/01/08 00:38 :W53H :jLrAXSwQ
#273 [幸]
そこに、私の親しみのある先生がいるからだ。
『先生〜?高城先生!?』
3回目でやっと返事がした。
声の高い、男の先生が
やってきた。
:09/01/08 00:41 :W53H :jLrAXSwQ
#274 [幸]
私は心理学について話してみた。
『心理学に興味を持ったか〜』
先生は困った顔をした。
『鮎川、お前は馬鹿じゃない、
心理学で最も有名な大学
調べたろな?』
『L大でしょ?
なんで?そこの大学やばいの?』
:09/01/08 00:45 :W53H :jLrAXSwQ
#275 [幸]
『ん〜お前も知ってると思うが
うちの高校は進学校なの。
そんなL大に合格したって
なんの得にもならないんだよ。』
『でも心理学部は凄いじゃん!!』
『大学生からすればな。
だが中学生の受験生が
L大に合格って格下
だと思われるだろ!!』
先生の言い方に憤りを感じた。
:09/01/08 00:49 :W53H :jLrAXSwQ
#276 [幸]
『私は心理学を学びたいの!!
T大はL大より特別
よくないじゃん!!』
『お前はT大に受かる
ためにこの高校に来たんだろ!?』
凄く胸に響いた。
そうだ…T大に行くために
来たんだ……。
私は無言で資料室から出た。
:09/01/08 00:52 :W53H :jLrAXSwQ
#277 [幸]
…夢…
私は夢なんてない。
しいて言えばT大に合格
することだなぁ。
なんてちっぽけな夢。
その先の事も考えずに。
私って…本当に馬鹿だなぁ。
:09/01/08 00:55 :W53H :jLrAXSwQ
#278 [幸]
『鮎川…』
私が資料室から出て
廊下を少し歩くと
小早川君が立っていた。
『こ、小早川君…』
『お前、L大に行きたいの?』
予想外の質問をされた。
私は驚き何も言わずに歩こうとした。
:09/01/08 17:57 :W53H :jLrAXSwQ
#279 [幸]
『待てよ!
なんでL大なの?
T大は?』
ここで何か言わなきゃ
前に進まないような気がした。
『わ…私、心理学を学びたいの。
だからT大止めようかなって…。』
:09/01/08 17:59 :W53H :jLrAXSwQ
#280 [幸]
『なんだよ、それ。
みんなお前を目指して頑張ってきたんだよ!?
鮎川はいつも1番だから
俺のいや、みんなの目標なんだよ?』
小早川君の声はいつもより
低かった。
それがとても怖かった。
:09/01/08 18:02 :W53H :jLrAXSwQ
#281 [幸]
『私ね、夢なんてない。
だからT大に行っても
何を勉強すればいいか
分からなかったの。
でも、心理学に興味を持ったの。
だから大学に行ったら
心理学を勉強したいの!!
T大よりL大の方が心理学は有名なの。
だから…』
小早川君…!?
私がまだ全部を話してないのに
気づいたら小早川君の腕の中にいた。
:09/01/08 18:06 :W53H :jLrAXSwQ
#282 [幸]
『こっ…小早川君…?』
突然の包容に驚愕してしまった。
私はどうすればいいか分からず
ただ、ここに人が来ないようにと
祈っていた。
:09/01/09 16:30 :W53H :lFHCHULI
#283 [幸]
『あっ…悪い…』
小早川君はそう言うと
スッと立ち去った。
…はっ初めて抱きしめられた!
あの小早川君に!?
小早川君、身長大きいから
私の顔が丁度小早川君の胸あたりだったなぁ
…かけるだったら―…?
:09/01/09 16:33 :W53H :lFHCHULI
#284 [幸]
って。
何かけるのこと想像してんだよ?
私……。
翌日。
気が晴れないまま学校に登校した。
:09/01/09 16:35 :W53H :lFHCHULI
#285 [幸]
確か…5時間目が始まる休み時間だった。
『鮎川!!』
うざい担任に呼ばれた。
どうやらあの少年と
警察が来てるらしい。
なぜわざわざ学校に来るんだよ?
私はそう思いながら
校長室に向かった。
:09/01/09 16:37 :W53H :lFHCHULI
#286 [幸]
校長室に入ると、
3人の警察と少年、
高城先生と教頭先生がいた。
私は昨日のことを思い出し
高城先生の顔をあまり見れなかった。
『たびたびすみません。』
:09/01/09 16:39 :W53H :lFHCHULI
#287 [幸]
そう言ったのは、
私が夏休みに警察署に行った
あの雰囲気のいい警察だった。
:09/01/09 16:40 :W53H :lFHCHULI
#288 [幸]
『いえ、この度はどういう用件で?』
丁寧に聞くと、
少年が
『最後にあんたに
お礼を言いたいんだ。』
と、ギラギラした目で言った。
『最……後?』
:09/01/09 16:47 :W53H :lFHCHULI
#289 [幸]
『ええ、この子は
田舎に預けられること
になったんだ。
精神的なこともあるし
それに親戚の人はみな……』
言葉が出なかった。
すると、
『2人で話したい。
席を空けてくれ。』
少年はそう言うと、
校長室に私と少年の2人きりになった。
:09/01/09 16:50 :W53H :lFHCHULI
#290 [幸]
『…田舎に行くの?』
私から最初に切り出した。
『ああ。』
『なぜ?父親は?』
少年は暫く黙っていた。
:09/01/09 16:51 :W53H :lFHCHULI
#291 [幸]
『…父親1人じゃ、
俺を育てる自信がないんだと。
だから寺のお坊さん?
みたいな人に預かって貰えるんだ。
一回、面会した時
すんげぇ感じのいい人でさぁ。』
最初はイキイキして話していたのに
最後は悲しげな口調になった。
『…私もね。あなたに
お礼言いたいんだ。』
話しをずらした。
:09/01/09 16:55 :W53H :lFHCHULI
#292 [幸]
『お…俺に?』
少年は嬉しそうな、
驚いているような声をだした。
『私ね、興味を持つようになったの。』
『興味?』
『心理学に。』
少年は“おおっ”と
声をあげた。
:09/01/09 16:57 :W53H :lFHCHULI
#293 [幸]
『心理学を勉強したら
人のちょっとした行動で
相手の気持ちが分かるようになるんだよ?
私、そう思うともう
ワクワクしちゃって…
まだ将来の夢は決まってないけど
興味のあるものを勉強して
それに導くような職に就きたいの。』
少年の顔が少しだけど
笑った。
私もつられて笑ってしまった。
:09/01/09 17:00 :W53H :lFHCHULI
#294 [幸]
『…なぁ、前から聞きたかった。
なんで俺を助けたの?』
『…わかんない。』
私は笑顔で答えた。
『はっ?』
:09/01/09 17:01 :W53H :lFHCHULI
#295 [幸]
『その質問にはまだ
答えられない。』
すると少年はふっと
鼻で笑い、
『じゃあ、また今度聞くよ。』
と言った。
:09/01/09 17:03 :W53H :lFHCHULI
#296 [幸]
沈黙が漂った。
私は何か話そうと思ったが
なかなか話題が出てこない。
『俺…』
少年はいきなり
こう言った。
:09/01/09 17:05 :W53H :lFHCHULI
#297 [幸]
『本当は行きたくない…
ここを離れたくない…』
少年の目には涙がたまっていた。
私はいたまれない気持ちになった。
:09/01/09 17:07 :W53H :lFHCHULI
#298 [幸]
『こんなこと言うの
勝手だけど…
また家族揃って一緒に生きたい…
ただそれだけなのに…
当たり前のことなのに
俺が弟を殺さなければ
家族、バラバラにならずにすんだのかな?
俺は…あの時の俺は
ただ、母さんを守りたかったのに。
実際、守れてなかった…。』
『なんで、あの日殺そうと…?』
私はそう質問した。
:09/01/09 17:10 :W53H :lFHCHULI
#299 [幸]
母さんのため…
もし、それが本当なら
弟を殺せるはずがない。
前にあの警察の人が言ってた…
この少年は殺してないかもと。
:09/01/09 17:12 :W53H :lFHCHULI
#300 [幸]
“実際、母さんを守れてない”
少年はそう言ったよね?
殺すことによって
お母さんが救われるなど
思わないはずだ。
私は一番最初に会った
少年の話しを思い出した。
:09/01/09 17:14 :W53H :lFHCHULI
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