人生の案内板
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#420 [幸]
『母さん!!』
そこで目覚めた私。
夢……。
んだよ、夢かよ…
てか、ここは…?
見覚えのない風景。
私は記憶を遡ってみる。
:09/01/24 01:05 :W53H :x4n0L59A
#421 [幸]
時計は…!?
携帯で時間を見てみると
7時を回っていた。
『しっ…7時!?』
私は起き上がろうとしたが
体がふらついてしまって、そのままベッドに倒れた。
:09/01/24 01:32 :W53H :x4n0L59A
#422 [幸]
‘こら〜ちゃんと寝なきゃ。’
この文字がいきなり現れた。
かけるの字だ。
かけるが私の顔に近づいてきた。
な…なになになに〜?
心臓が速く動いているのがはっきりわかる。
:09/01/24 01:34 :W53H :x4n0L59A
#423 [幸]
『も、もう大丈夫ですカっっラ…。』
そんなに顔を近づけられると
何を話せばいいのか解らなくなってくる。
かけるは急いでノ―ト
に何かを書き出した。
:09/01/24 01:36 :W53H :x4n0L59A
#424 [幸]
‘熱を計らせて頂いたよ’
『えっ…?』
‘8度もあれば倒れる
てか、俺がもう少し早く
気づいてやれば…’
かけるは悲しい顔をしていた。
その顔が夢の中で出てきた
母さんととてもかぶった。
:09/01/24 01:38 :W53H :x4n0L59A
#425 [幸]
『ううん……
てか、私の話してる事
わかるの?』
今まで普通に話してきたのに…。
そう疑問を持った。
本当はこの話しを反らしたかっただけだが。
‘今、補聴器をつけてるからね
多少聞こえる。’
:09/01/24 01:40 :W53H :x4n0L59A
#426 [幸]
『そうなんだぁ。』
すると、お粥が出された。
『作ったの?』
‘当たり前だろ
食べないと元気でないからな’
私は一口一口、味わいながら食べた。
:09/01/25 23:49 :W53H :9aEmbiE.
#427 [幸]
『おいしい…』
‘誰が作ってもそんな味だよ’
かけるはそうノ―トに書くと
薬の水を出した。
ううん…
かけるが作ったと
わかっているから余計
嬉しくて元気がでるんだよ。
そう心の中で言った。
:09/01/25 23:52 :W53H :9aEmbiE.
#428 [幸]
‘明日も学校だよな?
休んだ方がいいよ’
明日は土曜日。
いつも通り学校はある。
しかし、私はL大合格
を目指している。
時間を無駄にしたくない。
:09/01/25 23:56 :W53H :9aEmbiE.
#429 [幸]
『嫌…。私、一応受験生だし。』
‘風邪治してからの方が
頭に入るよ?’
『嫌。』
かけるは顔で会話してるかのように
表情が豊かだった。
話さなくても、
かけるの言いたいことが分かる。
:09/01/26 14:44 :W53H :yU/awDHY
#430 [幸]
かけるは悲しそうな顔をした。
なぜか私がイジメてるみたいだ。
『わかったよ!!
学校には行かないから
私ん家まで送ってほしいんだけど…。』
‘いいよ。
車に乗れよ’
車!?
えっ…まじ!?
:09/01/26 14:48 :W53H :yU/awDHY
#431 [幸]
かけるはすぐさま、
車の鍵を持って行ってしまったので
私はしぶしぶかけるの車に乗った。
ふと、車の横の建物を見た。
大きな綺麗なアパートがある。
:09/01/26 14:52 :W53H :yU/awDHY
#432 [幸]
ここの二階の一番左に
かけるの部屋があった。
私はかけるがいつも寝ているベッドで…
キャ―と叫びたくなった。
かけるの匂いが体にしみてるかのように
覚えてる。
今乗っている車も
少しだけかけるの匂いがする。
:09/01/26 14:54 :W53H :yU/awDHY
#433 [幸]
そう思ってる時、
かけるが運転席に乗り
隣にいる私に携帯で文字を打ち、
聞いた。
‘かなさんの家の近くに何がある?’
私も携帯で文字を打ち
『〇〇ラ―メン屋がある』
と言った。
:09/01/26 14:57 :W53H :yU/awDHY
#434 [幸]
‘了解’
かけるはそう手話でし、
カ―ナビで〇〇ラ―メン屋を調べ、
そこに向かってアクセルを踏んだ。
運転中の時は話せない。
ちょっと寂しかったが
信号で止まるたびに、
かけるがその時にしか
見せない笑顔で私に微笑みかけてくれた。
その瞬間が無性にかわいくて
頭が重いはずなのに、
忘れてしいそう。
:09/01/26 15:01 :W53H :yU/awDHY
#435 [幸]
そして私の家に到着。
さきほどよりフラフラ
しなくなったが
頭がまだ痛い。
かけるは私の部屋まで
寄り添いながら私を運んでくれた。
さっきはそんなこと
しなかったくせに。
:09/01/26 17:04 :W53H :yU/awDHY
#436 [幸]
‘おれん家にあった風邪薬
ここに置いとく。’
かけるはそうノ―トに書き
私の机の上に薬を置いた。
『ありがと…。』
確か、ありがとの手話は…。
よく思い出しながら
私はお礼の手話をした。
:09/01/26 17:07 :W53H :yU/awDHY
#437 [幸]
するとかけるはとても
嬉しそうに笑った。
‘手話できるの?’
『ううん。挨拶しか…』
‘でも上手だよ
〈大丈夫〉も上手だった’
:09/01/26 17:11 :W53H :yU/awDHY
#438 [幸]
『えっ…えへっ』
‘なに照れてんの?’
『べっ、別に照れてないし。』
‘はいはい。
でもなんで手話を?’
言えるか―!!?
:09/01/26 17:15 :W53H :yU/awDHY
#439 [幸]
絶対言いたくない。
言ったら調子こくもん。
私はしばらく黙っているとかけるは
‘まぁ、別にいいけど’
そうノ―トに書いた。
なぜか寂しかった。
するとかけるは私の机
にあったL大の赤本を取った。
:09/01/26 17:19 :W53H :yU/awDHY
#440 [幸]
‘かなさん、L大目指しているの?’
『うん…
心理学を学びたくて。』
‘ふ〜ん。推薦で?’
…推薦。
:09/01/26 17:21 :W53H :yU/awDHY
#441 [幸]
‘でも心理学部の推薦
はむずいよ
全部論文だし。’
『私はセンターで受験するつもりだけど…』
‘あっ、そうなんだ。’
一般入試の論文をさけるためにね。
:09/01/26 17:23 :W53H :yU/awDHY
#442 [幸]
‘そなんだ。
じゃあ、頑張れよ
待ってっから。’
自分の顔が熱くなってるのが
よくわかった。
『早くかえれ!!』
と叫び、布団にもぐった。
:09/01/28 11:26 :W53H :vvhWMjeI
#443 [幸]
ツンツンと、綺麗な指で
つつるかける。
『なに?』
‘熱あがったんじゃん?
さっき顔が赤かった。’
『いいから早くかえれ!!』
と、叫びながら玄関まで
かけるの背中を押した。
:09/01/28 11:29 :W53H :vvhWMjeI
#444 [幸]
ガチャ―
玄関の開ける音。
『かな?』
『父さん!?』
父さんがこちらをびっくりした顔でみていた。
『だっ……だっ…』
顔をピクピクさせながら
そうきいた。
:09/01/28 11:31 :W53H :vvhWMjeI
#445 [幸]
『父さんこの人は…『お前は黙ってろ!!』
私が言おうとした瞬間、
父さんが怒鳴った。
‘娘さんの友達です。
娘さん、風邪気味だったので
家まで送りました。
では失礼します。’
かけるはそうノ―トに書くと、
私に会釈して帰った。
:09/01/28 12:06 :W53H :vvhWMjeI
#446 [幸]
『なんだよ。ノ―トに
こまこま書きやがって。
そんで俺が来た途端に
逃げやがって。
情けない男。』
私は父のその一言がすごく傷ついた。
それと同時に憤りを覚えた。
『そんなこと言わないで!!
彼は耳が聞こえないの
話さないんじゃない!!
話せないの!!
なんで気づかないの?』
:09/01/28 19:05 :W53H :vvhWMjeI
#447 [幸]
怒鳴り声をあげた私と裏腹に
父は静かな声で言った。
『世の中にはな、かな
みたいな人ばかりじゃないんだよ。
俺みたいに鈍感なやつもいるんだよ。』
そして父は速やかにテレビのスイッチを押した。
:09/01/28 19:07 :W53H :vvhWMjeI
#448 [幸]
一言、謝ればいいのに。
そう思いながら布団に入った。
翌日。
熱もすっかり下がったので
学校に行った。
:09/01/28 19:12 :W53H :vvhWMjeI
#449 [幸]
『かな!!』
ちえみの声に反応してしまった。
いつもなら喜ぶのに。
『ちえみ……』
『私はT大を目指す。
だから…お互い頑張ろ。
あなたは私の友達。
そしてライバル。
私はずうっとこの関係でいたいんよ。』
:09/01/28 19:18 :W53H :vvhWMjeI
#450 [幸]
私はちえみの言葉を決して
忘れないだろう。
こんな友達、初めて。
『私も……。』
私がちえみの立場だったら
こんなことが言えるのか?
いや、ちえみの性格だからこそ
言えるのだ。
そういう所が尊敬してしまう。
:09/01/28 19:21 :W53H :vvhWMjeI
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