人生の案内板
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#390 [幸]
『人の意見を勝手に
拒否って…
私の意見が正しいわけじゃないのに。』
そう言って私は歩き出した。
すると小早川君は笑顔で
『これで仲直りだな』
と答えた。
私も笑顔で返事した。
:09/01/21 23:45 :W53H :M3EENPQc
#391 [幸]
『あのさぁ、手話の本を借りて
習得したいの?』
小早川君の突然の質問に驚いた。
でも、なんとか答えた。
『うん、勉強の気晴らしに
手話の本を読んで
日常会話くらいは覚えたいの。』
『なんで?』
『手話で話したいから!!』
:09/01/21 23:48 :W53H :M3EENPQc
#392 [幸]
私は笑顔で言った。
『……誰と?』
小早川君は足を止めて聞いた。
『ん〜私が怪我をした時
ハンカチをくれた人と。』
さすがに本当のことは
言えなかった。
:09/01/21 23:50 :W53H :M3EENPQc
#393 [幸]
『そっかぁ。』
小早川君は再び歩き始めた。
そして、そのまま別れた。
ふと携帯を見てみると、
メールが来ていた。
:09/01/21 23:52 :W53H :M3EENPQc
#394 [幸]
相手はかけるだった。
“今すぐあのレストランに恋。”
うれしかったが
なぜ来いっていう字が恋なんだか。
私は急いでレストランに向かった。
:09/01/21 23:55 :W53H :M3EENPQc
#395 [幸]
『はぁはぁはぁ…。』
レストランの看板には
“準備中”と書いてあった。
私は気にせずに入った。
『やぁ、かなさん。
いらっしゃーい!!』
と、またあの男性がいた。
:09/01/21 23:56 :W53H :M3EENPQc
#396 [幸]
『かけるに呼ばれたんですけど…』
『かけるが聞いてほしいって。』
奥を見ると、かけると
目があった。
その途端、ピアノの演奏が始まった。
:09/01/21 23:59 :W53H :M3EENPQc
#397 [幸]
とても綺麗だった…
イライラしてた気分が
一気に忘れさせてくれる。
かけるのピアノ好きだなぁ。
かけるのピアノは
どこまでも続いていた。
:09/01/22 00:00 :W53H :ORnfeSKs
#398 [幸]
かけるは弾き終わると
私に手話で話しかけてきた。
『‘昨日わごめん!!
このピアノで許して?’だって。』
男性が手話を通訳してくれた。
『平気だよ。
素敵な音楽、ありがと』
かけるは私の口で読んだのか、
ゆっくり笑顔を見せた。
:09/01/22 00:04 :W53H :ORnfeSKs
#399 [幸]
そしてまた手話をした。
『‘家まで送る’だって』
『えっ?いいよ。』
『‘少しぐらい格好つけさせろ’だって。』
『じゃあ、お言葉に甘えて。』
:09/01/22 00:06 :W53H :ORnfeSKs
#400 [幸]
2人でずうっと笑いあってた。
この時間がとても愛しく思えた。
『ごめんね〜。
今日は定休日だったし
かけるがいきなりピアノ
貸してって言うからさ―
ご飯ないの。』
と、男性が言った。
『いいえ、ピアノを
聞くために来たんですから。』
本当はかけると話したかっただけだけど。
:09/01/22 00:11 :W53H :ORnfeSKs
#401 [幸]
『ならよかったぁ。
気をつけてね。』
『はい!!』
『あれ?かなさん、
少し顔、赤くない?』
『そうですか?
走ってきたからだと
思いますよ。』
多分……。
:09/01/22 00:13 :W53H :ORnfeSKs
#402 [幸]
そういえば、あの人も
私のこと名前で呼んでるんだから
私も名前で呼ばないと。
『すみません、名前
なんて言うんですか?』
『ああ―源蔵。
変な名前でしょ?
だからかけるみたいに
“じじさん”って呼んで?』
『…じじさん…』
私は口にだした。
:09/01/22 00:16 :W53H :ORnfeSKs
#403 [幸]
『いやだ…?』
『いえ、店の主人と
こういうあだ名で呼び合う
って凄いうれしいっていうか…』
『そうかい、じゃあね。』
じじさん……
本当にいい人だなぁ。
改めて思った。
:09/01/22 00:18 :W53H :ORnfeSKs
#404 [幸]
私は歩きながら携帯で
文字を打って、
かけると話した。
じじさんとの関係など
色んな話をした。
“両親が亡くなったらしく、
俺の育ての親なんだ。
でもじじいみたいだから
俺がじじさんってあだ名考えたんだ。”
かけるはじじさんの話をするとき
子供のようにはしゃいでいた。
:09/01/22 00:22 :W53H :ORnfeSKs
#405 [幸]
…それにしても暑い。
まだ秋だからかな?
今は温暖化だし。
さっき走って、今歩いてるせいか…?
ああ…かけるが一生懸命
携帯打ってる。
まだ話したいことがあるんだ…。
でも………
:09/01/22 00:24 :W53H :ORnfeSKs
#406 [幸]
そう―。
かけるは耳が聞こえないんだ。
だから私が倒れてた音が聞こえなかった。
おまけに携帯打ってる のに集中してるから、
なおさら――。
:09/01/22 00:25 :W53H :ORnfeSKs
#407 [幸]
隣で歩く気配がない…。
あれ?
かな……?
ようやくかなが倒れてることに気づいたかけるは、
慌てて来た道を戻った。
:09/01/22 11:48 :W53H :ORnfeSKs
#408 [幸]
かな!!
かな!!
心の中で叫んでも
誰も気づかないし、
返事も聞こえないこの世界。
かけるはこんな自分を
どう思ったのだろうか?
:09/01/23 19:59 :W53H :ORM6OE96
#409 [幸]
一方、私は頭はボ―っとしていて
体も熱かった。
か…かける…。
世の中は酷いなぁ。
人が倒れてるのに
知らんふりかよ。
:09/01/23 20:01 :W53H :ORM6OE96
#410 [幸]
誰もタスケテクレナイ…
自分しか、守れないんだ。
自分で立ち上がらなきゃ…。
ザザっと音がした。
誰かが私の前に立っていた。
:09/01/23 20:04 :W53H :ORM6OE96
#411 [幸]
顔を踏ん張ってあげてみる。
かける……?
かけるだ…
息が荒い、かけるの吐息が
頬に当たる。
必死に人差し指を左右に振っている。
:09/01/23 20:06 :W53H :ORM6OE96
#412 [幸]
たしか…その手話は…
私は少し上半身をあげ
左右の胸の少し上を
片手でタッチした。
‘大丈夫だよ……’
その後のことは覚えてない。
:09/01/23 20:10 :W53H :ORM6OE96
#413 [幸]
柔らかい匂い。
ああ、私この匂い好き。
なんだろ?
なぜこんなに癒されるんだろ?
母さん…?
:09/01/24 00:50 :W53H :x4n0L59A
#414 [幸]
母さんがスタスタと歩いてる。
私は必死に追いかけた。
『母さん!!』
やっと追いつき、
母さんの腕を掴んだ。
『…かな。』
母さんは少し悲しい顔で振り向いた。
:09/01/24 00:51 :W53H :x4n0L59A
#415 [幸]
『どうしたの?』
私がそう聞くと、母さんは
さらに悲しい顔をした。
『あんた……L大に行くんでしょ?』
『えっ……?』
母さん………?
:09/01/24 00:53 :W53H :x4n0L59A
#416 [幸]
『私が死んだ日、
誓ってくれたわよね?
絶対T大に行くって…』
『ごめん……
でも私、L大に行きたい…。
約束破っちゃうけど、
違う……母さんとの約束を破ってまで
L大に行きたい…。』
こんなに自分の意見を主張したことがなかった。
:09/01/24 00:55 :W53H :x4n0L59A
#417 [幸]
母さんはどう思ってるのかな?
少し心配になったので
母さんの顔をよく見ようとした。
すると母さんは
『そう…。ならなんで
母に言わなかったの?
最近、私寂しいの。
あなたが仏壇に来てくれなくて。』
:09/01/24 00:58 :W53H :x4n0L59A
#418 [幸]
と、また悲しい顔をした。
『春の頃はよく仏壇に
来て、話しかけてくれたのに。
私との約束を破ってまで
行きたい大学ならそれてよい。
しかし、私にちゃんと
言ってほしかった…。
あなたは私の子どもなんだから。。。』
そう言いながら抱きしめてくれた。
『母さん……。
ごめんね。これからは
ちゃんと話しかけるから…。』
そう言った。
:09/01/24 01:01 :W53H :x4n0L59A
#419 [幸]
『かな。
人の心のわかる人になってね…。』
そう母さんが言うと
私から離れようとした。
『待って!!
なるから行かないで!!
私を置いてかないで!!』
とっさにそう叫んだが
母さんは消えてしまった。
:09/01/24 01:03 :W53H :x4n0L59A
#420 [幸]
『母さん!!』
そこで目覚めた私。
夢……。
んだよ、夢かよ…
てか、ここは…?
見覚えのない風景。
私は記憶を遡ってみる。
:09/01/24 01:05 :W53H :x4n0L59A
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