人生の案内板
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#330 [幸]
ひょいと、かけるの顔
が現れた。
びっくりして、一歩退いた。
普通人が下向いてる時
覗くかぁ!?
私がそう思っていると、
ノートがでてきた
:09/01/18 13:18 :W53H :D39xBK4k
#331 [幸]
‘すごいたんこぶだね
どうしたね?’
……
あんたのせいだ!!
と、私は乱暴に書いた。
するとかけるは
自分の手提げの袋をあさり、
‘ああ、楽譜かぁ。
いやぁごめん。’
:09/01/18 13:20 :W53H :D39xBK4k
#332 [幸]
と、ノートに書いた。
楽譜……
ピアノ弾けるのかな…?
そう思った。
するとかけるは私の手を掴み、
‘ついて来て’
と口パクで言った。
:09/01/18 13:22 :W53H :D39xBK4k
#333 [幸]
タッタッタッ…
走る音。
私はおどおどしながらも
かけると走った。
なぜか周りのことなど
気にしなかった。
2人だけの世界にいるみたいだった。
:09/01/18 13:25 :W53H :D39xBK4k
#334 [幸]
知らないレストランに入った。
そこは高級感が溢れてた。
すると、40代くらいの
男性が出てきた。
『やあ、かける君。
ん…隣の女の子……
もしや…』
男性は手話をしながら声をだして話した。
:09/01/18 13:27 :W53H :D39xBK4k
#335 [幸]
‘まさか’
かけるは手話でそう言った。
当時、手話もできない私には
なんて言ったのか
全く分からなかった。
『すごいたんこぶだね。
かけるくん、女の子には
優しくしなきゃ。』
そう男性が言った。
‘俺のせいじゃない。’
:09/01/18 13:30 :W53H :D39xBK4k
#336 [幸]
『でも、手当てぐらいは
してきなさいよ。』
‘もうすぐ仕事なんだよ
だからじじさんが代わりに
手当てしてよ’
『そのためにこの子と
一緒に来たのかよ。』
‘まあね、
じゃあ着替えてくる’
:09/01/18 13:32 :W53H :D39xBK4k
#337 [幸]
かけるは楽譜を持って
奥の方に行った。
『やあ、いらっしゃい
さっき手話でね、
かけるに手当てしてって
頼まれたから手当てするか。』
男性はそう言うと
救急箱を取り出し
私のおでこに湿布を貼ってくれた。
:09/01/18 13:34 :W53H :D39xBK4k
#338 [幸]
『じゃあ、これで失礼します。
湿布、ありがとうございました。』
私はそう言うと、
『せっかくだから
かけるのピアノ聞いたら?
かけるのピアノは凄いよ〜
それに、俺の楽譜が
あなたに傷を負わし
ちゃったからお詫びに
おごってあげるって。』
と男性が言った。
:09/01/18 13:47 :W53H :D39xBK4k
#339 [幸]
ピアノ……
するとかけるがス―ツ
みたいな洋服を着、
楽譜を持って現れた。
そして優しく、強く
弾いた。
レストランの中にいた客は
ゆっくり、その音楽に
耳をすましていた。
『きれぃ……』
思わず口に出した。
:09/01/18 14:04 :W53H :D39xBK4k
#340 [幸]
『かけるは一時期、
音大にスカウトされたんだ。
でも、小説を書きたいって言って
音大を蹴ったらしいよ。
ちなみにこの曲は
かけるが自分で作曲した…
“耳なしほういち”だよ』
『そうなんですか…』
:09/01/18 14:08 :W53H :D39xBK4k
#341 [幸]
男性がこれしき何も
言わずに仕事をした。
ああ、なんて綺麗なのだろう。
私の濁った心が綺麗に
洗い流されるよいな…
私はずうっとこの曲を聞いていた。
:09/01/18 14:10 :W53H :D39xBK4k
#342 [幸]
『何時まで平気なの?』
男性がそう聞いた。
この声に我に返った。
気がつけば7時を回っていた
『あっ…まぁいいや…』
私はそう言い、
同時にここでご飯を食べたら
帰ろうと思った。
:09/01/18 14:12 :W53H :D39xBK4k
#343 [幸]
『はい、これかけるの
大好きなもの。
ちなみにかけるのおごり。』
そう男性に言われたので
一応男性にお礼を言い
食べた。
:09/01/18 14:15 :W53H :D39xBK4k
#344 [幸]
『やぁかける、ありがとね。
今日はどうしても耳なしほういち
を聞きたいって客から
リクエストされたからね』
私は料理の半分食べ終わると
かけるがやってきた。
‘この時間帯ならなんとか’
:09/01/18 18:04 :W53H :D39xBK4k
#345 [幸]
『でも、もうすぐ大学の
テストじゃないのか?』
‘なんとかなるよ’
かけるは私の隣に座り
‘かなちゃんはいつテストなの?’
とノートに書き、見せた。
:09/01/18 18:07 :W53H :D39xBK4k
#346 [幸]
『私はまだ先だよ』
と言い、書いた。
‘へえ―’
かけるは私の食べてる
残りのご飯を見た。
そして
‘これおいしいだろ?’
と言った。
:09/01/18 18:10 :W53H :D39xBK4k
#347 [幸]
『うん、ありがとね。
なんかおごらせて貰って。』
するとかけるは驚いた顔をした。
そして男性に手話で話しかけた
‘おい、じじさん!!’
『それくらいいいだろ』
男性はそう言いながら笑っていた。
:09/01/18 18:13 :W53H :D39xBK4k
#348 [幸]
『では、今日はありがとうございました。
おいしいご飯に綺麗な音楽。
最高でした。』
私は食べた後、そうお礼した。
『1人で帰るの?
危険だよ。
かける送ってあげなよ。』
男性は手話をしながら
そう言った。
:09/01/18 18:23 :W53H :D39xBK4k
#349 [幸]
‘えっ?なんで俺!?’
『お前が連れてきたんだろ。
借りたものは返すんだよ。』
‘しょうがねぇなあ。’
次にかけるはノートに
‘俺が食べ終わるまで
待ってろ’
と書いた。
:09/01/18 18:25 :W53H :D39xBK4k
#350 [幸]
『そんな、平気だよ』
私はそうノートに書いたが
押しに弱い私はかけるに
送ってもらうことになった。
内心、嬉しかったかも。
:09/01/18 18:27 :W53H :D39xBK4k
#351 [幸]
2人だけでいると
周りの雑音が大きく聞こえる。
“なんで泣いてたの?”
かけるは自分の携帯で
そう打ち、私に見せた。
私は言いたくなかったので
下を向いた。
:09/01/19 12:48 :W53H :stkJuNbg
#352 [幸]
“言いたくない?”
本当にかけるはずるい。
そんな顔で聞かれると
言うしかない。
『13才の少年が障害の弟を
殺害した事件を知ってる?』
と聞いた。
:09/01/19 12:51 :W53H :stkJuNbg
#353 [幸]
“ああ〜あの事件がどうかしたの?”
私は少年のことを話した。
かけるは私が打った文字を
黙って読んだ。
:09/01/19 12:54 :W53H :stkJuNbg
#354 [幸]
“君が泣く必要ないよ
君のせいじゃないから
君は自分がやりたい事をすればいいんだ。”
とても嬉しかったが
私は納得できなかった。
『私ね、夢とかないんだ。
だから人のためになる仕事をしたい…
でもこんな私でも心理学
に興味を持ったの
だから心理学に関わる仕事をしたいんだ。』
:09/01/20 12:54 :W53H :k.nwwmC2
#355 [幸]
するとかけるは私の前に立った。
いつもの優しい顔ではなかった。
見下ろして私を見てたから
余計怖かった。
“かなちゃんは人のために
生きてるの?
違うだろ。”
胸がズ―ン…と鳴ったみたいだった。
:09/01/20 12:59 :W53H :k.nwwmC2
#356 [幸]
図星だったからだ。
かけるは私の本当の気持ちを
察してくれた。
:09/01/20 13:03 :W53H :k.nwwmC2
#357 [幸]
自分も認めたくはないが
そうだと思った。
でも知られたら無性に
腹が立ってきた。
私の何を知ってるの?
何も知らないくせに…
:09/01/21 17:33 :W53H :M3EENPQc
#358 [幸]
『私の勝手でしょ…
これは私の勝手な生き方なの!!』
知ったような口調で言わないで…
“俺は思ったことをただ…”
かけるは驚いてた。
そりゃそうだよね。
:09/01/21 17:35 :W53H :M3EENPQc
#359 [幸]
『…ごめんなさい。
ここでいいよ。
家近いし。
じゃあ、ありがとう。』
そう言って私は走った。
母さんのため…
私は母さんのためにT大
に行こうとした。
自分の人生なのに…。
:09/01/21 17:38 :W53H :M3EENPQc
#360 [幸]
“人ために生きてるの?”
その言葉が邪魔で仕方なかった。
私のこと何も知らないくせに…
私は暫くそう頭で言い続けてた。
すると、あの少年が脳裏に浮かんだ。
:09/01/21 17:40 :W53H :M3EENPQc
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