人生の案内板
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#890 [わをん◇◇]
インカレにも入ってないし、バイト先も年近い人はいないらしいし‥ナンパされるような派手さもない。自然が彼女を縛り付けてるようだ。
「4年かー‥すげぇな。
沙耶乃ちゃん、いいお嫁さんになりそうだな。料理もできるし、しっかりしてるし、一途そうだし」
:23/01/06 19:11 :Android :pRdUKMH2
#891 [わをん◇◇]
沈んだレモンをぼんやり見つめて無心で潰す。うっすらと濁り出す。
「そうかなー。嫁とか‥気が早くない?」
早くも、哲は3杯目。なんか今日ペース早いな‥大丈夫か?
:23/01/06 19:11 :Android :pRdUKMH2
#892 [わをん◇◇]
「いやいやいや。もうここまで来たらさ、今後自分にそこまで尽くしてくれる人は現れないと思うよ?いい女なんて‥そうはいないし」
ふと、哲のグラスを持つ左手に目がいく。何だか以前より、さっぱりしたように見える。全体的に細いから関節の出っ張りが目立つ。
:23/01/06 19:11 :Android :pRdUKMH2
#893 [わをん◇◇]
女の子の好きそうな手。
「あれ?‥指輪は?」
薬指についていたシルバーの指輪。ひとつ上の彼女とのペアリングだと聞いた。
「あぁ‥」
:23/01/06 19:11 :Android :pRdUKMH2
#894 [わをん◇◇]
そう言うと、哲はどこか寂しげに笑って頭を掻いた。そして"フラれた"と、さらっと口にした。やってしまった、と、はっとしても……最早手遅れ。なんて言葉をかけるべきか。イケメンが振られる世の中。こんな俺に彼女がいていいのか?
:23/01/06 19:11 :Android :pRdUKMH2
#895 [わをん◇◇]
「あぁ‥そっか。まぁ、哲はイケメンだしモテるし‥もっと‥」
恐る恐る顔をのぞくと、目が虚ろ‥違う。酒が回ってるのか。哲は眠くなるタイプなんだー‥ありがたい
「哲ー‥?」
:23/01/06 19:12 :Android :pRdUKMH2
#896 [わをん◇◇]
「弘夢、やべ」
しばらくしてやっと口を開いた。空っぽのグラスと散らばった串、レモンの絞り粕、何だか急に寂しくなった。
:23/01/06 19:12 :Android :pRdUKMH2
#897 [わをん◇◇]
「どした‥?吐く?吐いちゃう?」
おろおろして辺りを見渡し、何か受け皿を探していると
「いや‥そうじゃなくて」
あぁ‥終電何時だっけ?
:23/01/06 19:12 :Android :pRdUKMH2
#898 [わをん◇◇]
[もうひとつの終電の話/完]
:23/01/06 19:12 :Android :pRdUKMH2
#899 [わをん◇◇]
:23/01/06 19:12 :Android :pRdUKMH2
#900 [わをん◇◇]
:23/01/06 19:13 :Android :pRdUKMH2
#901 [わをん◇◇]
TITLE「 終電の話 」
「何、最近彼女とうまくいってないの?」
:23/01/06 19:15 :Android :pRdUKMH2
#902 [わをん◇◇]
輪切りされたレモン、グラスに入った焼酎、スーパーで買った焼き鳥。
「んー‥そうでもないんだけど。何て言うか‥うーん」
:23/01/06 19:15 :Android :pRdUKMH2
#903 [わをん◇◇]
レンジから取り出した串刺しのそれを、可能な限り口に放り込む……うまい
「倦怠期‥なのかなぁ?」
「なるほどー‥。まぁ長いもんな。何年?」
:23/01/06 19:15 :Android :pRdUKMH2
#904 [わをん◇◇]
「高1からだから、4年?」
申し訳ないけど、今のこの微妙な関係にも何とも思わない。何とかなるような気もするし、なるようになればいいと思うし‥どっかにきっと安心感がある。
:23/01/06 19:16 :Android :pRdUKMH2
#905 [わをん◇◇]
だって沙耶乃は女子大。インカレにも入ってないし、バイト先も年近い人はいないらしいし‥ナンパされるような派手さもない。自然が彼女を縛り付けてるようだ。
:23/01/06 19:16 :Android :pRdUKMH2
#906 [わをん◇◇]
「4年かー‥すげぇな。
沙耶乃ちゃん、いいお嫁さんになりそうだな。料理もできるし、しっかりしてるし、一途そうだし」
沈んだレモンをぼんやり見つめて無心で潰す。うっすらと濁り出す。
:23/01/06 19:16 :Android :pRdUKMH2
#907 [わをん◇◇]
「そうかなー。嫁とか‥気が早くない?」
早くも、哲は3杯目。なんか今日ペース早いな‥大丈夫か?
:23/01/06 19:16 :Android :pRdUKMH2
#908 [わをん◇◇]
「いやいやいや。もうここまで来たらさ、今後自分にそこまで尽くしてくれる人は現れないと思うよ?いい女なんて‥そうはいないし」
:23/01/06 19:16 :Android :pRdUKMH2
#909 [わをん◇◇]
ふと、哲のグラスを持つ左手に目がいく。何だか以前より、さっぱりしたように見える。全体的に細いから関節の出っ張りが目立つ。女の子の好きそうな手。
「あれ?‥指輪は?」
:23/01/06 19:17 :Android :pRdUKMH2
#910 [わをん◇◇]
薬指についていたシルバーの指輪。ひとつ上の彼女とのペアリングだと聞いた。
「あぁ‥」
そう言うと、哲はどこか寂しげに笑って頭を掻いた。そして"フラれた"と、さらっと口にした。
:23/01/06 19:17 :Android :pRdUKMH2
#911 [わをん◇◇]
やってしまった、と、はっとしても……最早手遅れ。なんて言葉をかけるべきか。イケメンが振られる世の中。こんな俺に彼女がいていいのか?
「あぁ‥そっか。まぁ、哲はイケメンだしモテるし‥もっと‥」
:23/01/06 19:17 :Android :pRdUKMH2
#912 [わをん◇◇]
恐る恐る顔をのぞくと、目が虚ろ‥違う。酒が回ってるのか。哲は眠くなるタイプなんだー‥ありがたい
「哲ー‥?」
「弘夢、やべ」
:23/01/06 19:17 :Android :pRdUKMH2
#913 [わをん◇◇]
しばらくしてやっと口を開いた。空っぽのグラスと散らばった串、レモンの絞り粕、何だか急に寂しくなった。
「どした‥?吐く?吐いちゃう?」
おろおろして辺りを見渡し、何か受け皿を探していると、
:23/01/06 19:17 :Android :pRdUKMH2
#914 [わをん◇◇]
「いや‥そうじゃなくて」
あぁ‥終電何時だっけ?
[もうひとつの終電の話/完]
:23/01/06 19:17 :Android :pRdUKMH2
#915 [わをん◇◇]
:23/01/06 19:18 :Android :pRdUKMH2
#916 [わをん◇◇]
:23/01/06 19:18 :Android :pRdUKMH2
#917 [わをん◇◇]
:23/01/06 19:18 :Android :pRdUKMH2
#918 [わをん◇◇]
:23/01/06 19:18 :Android :pRdUKMH2
#919 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑
:23/01/06 19:18 :Android :pRdUKMH2
#920 [わをん◇◇]
TITLE「 心の奥底 」
:23/01/06 19:21 :Android :pRdUKMH2
#921 [わをん◇◇]
「ひーくん!ひーくんってば!」
「んあ‥ごめん、どした?」
何か思い悩んだように、遠くばかりみつめて。会話が続かない。なんだか素っ気ない気もした。
:23/01/06 19:21 :Android :pRdUKMH2
#922 [わをん◇◇]
「‥体調でも悪いの?」
「あぁ‥いや。大丈夫」
せっかくのデートだと言うのに‥寂しいじゃない。"なら良いんだけど"と自分に言い聞かせるように呟いて、手を握る。少しだけソコに視線を向けて、もどかしそうにまた遠くを見た。
:23/01/06 19:21 :Android :pRdUKMH2
#923 [わをん◇◇]
「あ、そうだ!ひーくん‥お願いがあるんだけど」
「‥何?」
「彼女いない友達を、3人くらい集めてほしいの」
:23/01/06 19:21 :Android :pRdUKMH2
#924 [わをん◇◇]
「それって‥合コン?」
「うん‥まぁ、そうかな」
ひーくんの友達と私の友達がくっつけば、めでたさは2倍な気がした。マンネリ化してきた私たちにとって、他人の初々しい恋愛を間近で見守ることは‥たぶん多少なりとも刺激になるはず。
:23/01/06 19:21 :Android :pRdUKMH2
#925 [わをん◇◇]
ややあって、ひーくんは2、3度頷いた。
「じゃあ、後々予定も立てていくから‥できたら来月までには、ね」
笑顔が引きつってるのだろうか‥ひーくんの笑顔も引きつっていた。壁は厚く、高くなる一方だ。
:23/01/06 19:22 :Android :pRdUKMH2
#926 [わをん◇◇]
「ひーくん‥好きだよ?」
確認する意味でそう言った。"好き?"は、重すぎるし、余計に離れていくと思った。
「‥うん。俺も」
:23/01/06 19:22 :Android :pRdUKMH2
#927 [わをん◇◇]
前までは、こんなに言葉にこだわらなかったのに‥ね。普段からあまり言わないのも、わかってる。それが彼なのに‥ものすごく孤独を感じたよ。目を閉じて、触れるだけのキスをした。
:23/01/06 19:22 :Android :pRdUKMH2
#928 [わをん◇◇]
「 心の奥底 完」
:23/01/06 19:22 :Android :pRdUKMH2
#929 [わをん◇◇]
:23/01/06 19:22 :Android :pRdUKMH2
#930 [わをん◇◇]
:23/01/06 19:23 :Android :pRdUKMH2
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