人生の案内板
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#700 [幸]
‘27日。会いたい’
私は思い切ってかけるに
メールをした。
…これでかけると会うのは
これで最後だ。
そう自分に言い聞かせた。
:09/02/14 01:20 :W53H :v0nXhjkM
#701 [幸]
27日。
私がかけるの家に行くことになった。
これで最後……。
これで最後。。。
私はなるべく笑顔で
かけると話した。
かけるは静かに笑っていた。
:09/02/14 01:22 :W53H :v0nXhjkM
#702 [幸]
『知ってる?
ゴリラは大人になると
笑わなくなるんだって!!』
‘それCMのやつだろ?’
他愛もないこの時間が
愛しく思えた。
こんな会話をしてる時
かけるが急に私を抱き寄せた。
:09/02/14 01:24 :W53H :v0nXhjkM
#703 [幸]
あぁ…この匂いだ。
私は一番最初にこの匂いに惚れた。
もう明日になったら
かげなくなるの?
するとかけるが一旦
私を離し手話を始めた。
:09/02/14 01:27 :W53H :v0nXhjkM
#704 [幸]
‘かな……
今、この世界は障害者と
健常者は共存できてないと思う。
それは昔も今もそうだと思うけど、
なかなかこの差別を乗り越えて
生きていけないと思う。
かなみたいな頭がいい人もいれば
俺みたいに…自分が障害者
になって初めて気づく
馬鹿な人もいる’
:09/02/14 01:30 :W53H :v0nXhjkM
#705 [幸]
私はかけるのこの姿を
目に焼き付けた。
‘だから……
かなはその差別を少しでも
なくなるような世界にしてほしい。
カウンセラーとして
あの少年みたいな子を
救ってほしい……。
そしていつか、障害者と
健常者が共存できるように
してほしい……。’
:09/02/14 01:34 :W53H :v0nXhjkM
#706 [幸]
…かけるがなぜアメリカへ行くのか
なんとなくわかったような気がした。
でも私はあえてかけるに聞かず
かけるに抱きしめた。
深く…身も心も絡み合った。
:09/02/14 01:38 :W53H :v0nXhjkM
#707 [幸]
終わった後、
ベッドでかけるとたくさん話した。
‘二年で戻ってくるから
大学で会えるよ。’
『うん…』
‘本当はアメリカに行きたくない…’
:09/02/14 01:45 :W53H :v0nXhjkM
#708 [幸]
口パクでかけるがそう言ったのを
私はわかった。
『なんで?』
そう聞いてもかけるは
優しく私の髪を撫でるだけだった。
‘今のはうそ。’
と手話で話して……。
:09/02/14 01:47 :W53H :v0nXhjkM
#709 [幸]
28日。
私は病院へ行った。
『鮎川さん、どうぞ』
看護婦さんに案内され
個室に入った。
そこにはやつれた、
白髪ばかりで、
しわの多い女性がいた。
:09/02/14 01:53 :W53H :v0nXhjkM
#710 [幸]
『あなたが…鮎川さんですか?』
かすれた声で聞いてきた。
また警察官の人に支えられながら
一歩ずつ私に近よった。
『はい……』
私は静かに答えた。
:09/02/14 01:55 :W53H :v0nXhjkM
#711 [幸]
『あの事件の真相を
話してください。』
警察官がそう言うと、
その女性が呟いた。
『私には、2人の…
息子がいました。
一番上が心の優しい子
でして、いつも障害者を
持ってた弟のことを
優先に考えてくれました。』
:09/02/14 01:57 :W53H :v0nXhjkM
#712 [幸]
『私は二番目が障害者だなんて
初めは信じられませんでした。
でも上の子とは違う。
そうわかってきました。
しかし親戚からも親からも…
しまいには夫からも
私のしつけが悪いと言われ続けてきました。
違う……この子は障害者なの…
しつけで治らないの…
あっ、失礼しました、
弟の方は自閉症という
障害で、見た目は普通ですが
おかしな行動をとる障害なんです。』
:09/02/14 02:02 :W53H :v0nXhjkM
#713 [幸]
かすれた声をだしながら
話しは続いた。
『事件当日。私は相談をする
相手もいなくて……
二番目を殺そうと思ったの。
例え、育ててもこの子は
幸せにはなれない、
1人では生きていられない…。
そう思って………。』
やつれた女性は涙を流してた。
:09/02/14 02:06 :W53H :v0nXhjkM
#714 [幸]
『二番目を殺害した時の
あの驚きの顔……
「どうして……?」
っていう顔をしてて……
最後に「お母さん」って
言うんですのも…。
私も死ななきゃと思った……
でも上の子に止められ…
上の子は火を放したの。』
:09/02/14 02:10 :W53H :v0nXhjkM
#715 [幸]
…これが現実なの……?
‘障害者のことを何もわかってない!!’
かけるにそう言われたことが
脳裏に浮かんだ。
『上の子が火を放した時
私はまだこの子がいる。
育てなきゃ……
そう思って2人で逃げたんだけど
あの子…気づいたらいなくなってて。
それで私はおかしくなって
病院でずうっと入院してたの。』
:09/02/14 02:14 :W53H :v0nXhjkM
#716 [幸]
『そうだったんですか…』
私はそう言った。
涙が出てきた。
『あなたが、上の子に
食べ物をあげたと聞いたので
一度お礼をしたくて…
それにね、あの子、
本当のことを警察に言うなって……
でも私がやっと普通になれたから
私から本当のことを言っちゃった。』
:09/02/14 02:21 :W53H :v0nXhjkM
#717 [幸]
『息子さんは…
本当にお母さんのこと
好きだったんです…。
だから……』
『それじゃあ駄目。』
私はなんとかフォローを
しようとしたが
お母さんの一言で、できなかった。
:09/02/14 02:24 :W53H :v0nXhjkM
#718 [幸]
『私は二番目の息子を
殺してしまったわ。
だからその罪を背負って
償わなきゃいけない…。』
『…あなたがいなくては
息子さん、どうするんですか?』
私は思わず叫んでしまった。
これは周りにいた人たち
みんな驚いていた。
:09/02/14 02:27 :W53H :v0nXhjkM
#719 [幸]
『気持ちは嬉しいけど…
私はちゃんと罪を償わなうわ。』
『近所の人たち、みんな
知ってたんですよね?
あなたの息子さんが
障害を持ってることを。
なのに…なぜ誰も助けてくれなかったの…?
あなた1人のせいでは
ありません!!』
私はそう言った。
言ってしまった。
:09/02/14 02:32 :W53H :v0nXhjkM
#720 [幸]
『鮎川さん!!』
警察官にそう言われたが
私は引き下がらなかった。
『だって可笑しいでしょ!?
周りにいた人たちだって
この親子に対して差別を
してたんですよ!?
聞いたんだから…
あの少年に…。』
:09/02/14 02:34 :W53H :v0nXhjkM
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