人生の案内板
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#630 [幸]
‘中途半端な優しさ
やらねー方がいい。
もし本当にその少年たちを
救いたいならよく考えてから
行動しろよ。’
『なんで…?』
‘障害を持っていた子どもの
家族だからだ。’
:09/02/07 00:50 :W53H :jdZX7Qp2
#631 [幸]
『そんなの関係ない!!』
私はそう言ったが
かけるは怖い顔で手話ひし始めた。
‘障害を持ってる人や
その周りの人は
人の優しさに惚れてしまうんだよ
そしてやがてはその
優しい人に頼ってしまう…’
『それは別にいいじゃない!!
人はお互いに支えあいながら
生きてくんだから…』
:09/02/07 00:54 :W53H :jdZX7Qp2
#632 [幸]
‘あなたは何もわかっていない!!
支えあうなんて無理だ!!
いづれ健常者は障害者に
嫌気をさしてしまう!!
それが当たり前なんだ。
健常者なんだから…。
だから障害者の気持ちなどわからない!!
あの家族は今まで助けてくれる
人がいなかった…
だから殺害をしたんだ
ところがあなたが出てきた
とても嬉しかったと思う。
でも、だからこそ…’
『言ってる意味がわからない!!』
:09/02/07 00:58 :W53H :jdZX7Qp2
#633 [幸]
かけるは困った顔をしていた。
その顔がさらに私を苦しめる。
‘……あなたは本当に
あの少年を助けたいの?’
『…私はあの少年のおかげで
心理学に興味を持った。
心理学に関わる仕事をしたいと思った。
でも何よりも……
あの少年のようなことを
繰り返しに起こしたくない。』
:09/02/07 01:07 :W53H :jdZX7Qp2
#634 [幸]
かけるは黙って聞いてくれた。
『私は何のために勉強
していたのか分からなかった。
でも、あの少年のように
苦しんでる人がいるなら
その人たちのために
私はなにをできるか?
そのために勉強したい…
だから心理学の有名な
L大学に受験した…。』
:09/02/07 01:10 :W53H :jdZX7Qp2
#635 [幸]
‘夢…あったんだね……。’
かけるの顔がいつの間にか
優しい顔になっていた。
『でも、これってさぁ
どういう職業なの?』
‘カウンセラー…かな?’
:09/02/07 01:12 :W53H :jdZX7Qp2
#636 [幸]
カウンセラー…
‘話ができてよかったよ’
かけるは笑顔で話した。
『なんで?』
‘絶対悩んでるって思ったから。
実は俺、あなたに話したいことがある…。’
かけるの顔が真剣な顔になった。
:09/02/07 01:15 :W53H :jdZX7Qp2
#637 [幸]
『なあに?』
とは聞いたのも、実際は
聞きたくなかった。
なぜか、嫌だったからだ。
‘俺………、
アメリカに行く……。’
:09/02/07 01:16 :W53H :jdZX7Qp2
#638 [幸]
えっ……?
今、 何て言った?
‘じじさんの所で
ピアノ弾いてたら、
偶然そこにいた客が
アメリカで修行しないかって
誘ってきて。
小説の夢は諦めてない
でも俺、ピアノ弾きたいんだ…。
そして……歌いたい……。’
:09/02/07 01:20 :W53H :jdZX7Qp2
#639 [幸]
涙が出てきた。
かけると もう会えないの?
‘初めてあなたの前で
ピアノを弾いたとき
気持ちよかった…
耳を傾けてくれる。
俺の音楽…思いを聞いてくれるって思うと、
ワクワクして…’
なんでそんなに嬉しそうなの?
:09/02/07 01:29 :W53H :jdZX7Qp2
#640 [幸]
かけるにとって私は
何だったの?
‘…どうした?’
私が泣いてることを
ようやく気づいたかける。
何も話したくなかった
かけるは私のことなど
どうでもいいのね。
私はかけるに背中を向いて去った。
:09/02/07 01:32 :W53H :jdZX7Qp2
#641 [我輩は匿名である]
頑張ってください
:09/02/07 15:49 :P703i :FsufpeMA
#642 [幸]
:09/02/08 12:43 :W53H :rl7D203I
#643 [幸]
がしっと、掴まれた私の左手。
‘どうした?’
…どうした?じゃねぇ〜!
その気持ちもあったが
悲しみの方が上回ったみたいだ。
涙がどんどんでてくる。
:09/02/09 00:20 :W53H :jQ/U2XNo
#644 [幸]
気がついたら私はかけるの腕の中。
されるがままの私。
涙はまだ流れていたが
大好きなかけるの匂いに
酔ってしまいそうだった。
なぜこんなにも落ち着くのか?
:09/02/09 00:23 :W53H :jQ/U2XNo
#645 [幸]
そしてかけるは私をゆっくり離し
私の流れた涙を親指で
拭いた。
‘本当は行きたくなかった…
でも、耳が聞こえなくなる前からの夢だったんだ。
俺の音楽をみんなに聞かせることが…’
私は黙ってかけるの手話を見つめた。
:09/02/09 00:27 :W53H :jQ/U2XNo
#646 [幸]
『小説は耳が聞こえなくなってから…?』
‘そうだよ’
……本当に?
かけるは表情が豊か。
なぜか本当のことを言ってないような
気がする。
私の、いや!女の感。
:09/02/09 00:29 :W53H :jQ/U2XNo
#647 [幸]
『…いつアメリカに
行っちゃうの?』
‘2月の最後の日。’
もうすぐじゃん…
なんで私はドラマのような
素敵な恋ができないの?
なんでこんな困難が訪れるの?
:09/02/09 00:38 :W53H :jQ/U2XNo
#648 [幸]
‘14日、暇?’
かけるがいきなり聞いてきた。
『…わかんない。』
‘会えない?
てか、会おう!?’
本当にかけるがアメリカに行ってしまいそうで
悲しかった。
:09/02/09 00:40 :W53H :jQ/U2XNo
#649 [幸]
14日。
結局会うことになった私たち。
最初は2人で散歩をした。
そして写真をたくさん撮った。
この時間と感情は決して
忘れてはいけない。
:09/02/09 00:43 :W53H :jQ/U2XNo
#650 [幸]
ポツンと雨が降り出した。
『うわ〜最悪…。』
‘風邪ひくぞ。一旦
雨宿りしよ’
私たちは近くにあった
神社に行った。
:09/02/09 00:45 :W53H :jQ/U2XNo
#651 [幸]
‘結構雨凄いな…。’
『…うん…』
しかし、この雨は私の
今の本当の気持ちを表してくれている。
止みそうにない、この雨が。
:09/02/09 00:47 :W53H :jQ/U2XNo
#652 [幸]
‘らちあかねぇ!
俺ん家行こう!?
タオルでちゃんと拭いた方がいい’
『大丈夫なの?』
‘風邪ひかれたら困るからな’
私は別にこのなみだなら
濡れてもいい…。
そう思ったが、くしゃみが出たので
かけるの家に行くことになった。
:09/02/09 00:50 :W53H :jQ/U2XNo
#653 [幸]
『お邪魔します…』
私はかけるの部屋を見渡した。
この光景が2週間後には
なくなると思うと胸が
キシキシと痛くなる。
‘風呂先入れ。
着替えは置いとくから’
かけるにいきなり言われ
戸惑う私。
『でも…』
:09/02/09 00:53 :W53H :jQ/U2XNo
#654 [幸]
‘下着は濡れてないだろ?’
『うん…』
弱々しく答えた。
かけるの聞き方がいつもより
あまりにもキツかったから
少し怖かった。
私は黙ってお風呂に入った。
:09/02/09 00:55 :W53H :jQ/U2XNo
#655 [幸]
ザ―っと聞こえる雨。
どうやら私はまだ泣いているようだ。
しかも大量に、声をあげて。
風呂から出ると、着替えがあった。
着てはみたが、ブカブカ。
鏡に映った私を見て
思わず笑ってしまった。
雨はさっきより弱くなっていた。
:09/02/09 00:58 :W53H :jQ/U2XNo
#656 [幸]
‘何笑ってんだ?’
かけるが鏡の中に現れた。
『いつからいたの?』
私は驚きながら後ろを向き、聞いた。
‘今さっきだよ’
『だって私、着替えてた!!』
:09/02/09 01:00 :W53H :jQ/U2XNo
#657 [幸]
‘俺が覗いたとでも言いたいの?’
『別にそんなんじゃ…』
するとかけるは近寄ってきた。
無性に恥ずかしくなって
思わず下を向いてしまった。
‘次は俺が風呂入るから
どいて。’
:09/02/09 01:03 :W53H :jQ/U2XNo
#658 [幸]
そう話すと洋服を脱ぎだした。
その時ぐぅ〜っと、
かけるのお腹が泣き出した。
かけるは恥ずかしそうに
私を見た。
私は思わず笑ってしまった。
するとかけるもつられて笑ってしまった。
:09/02/09 01:05 :W53H :jQ/U2XNo
#659 [幸]
『しょ―がないから
なんか作るよ。』
‘作れるの?’
『一応ね。』
かけるは風呂に、
私は台所へ向かった。
:09/02/09 01:06 :W53H :jQ/U2XNo
#660 [幸]
冷蔵庫の中を見た。
焼きそばがあったので
焼きそばを作った。
テ―ブルに運ぶとき
ズボンのすそが長かったので
ぐいっと折り曲げた。
トントンと肩を叩かれた。
‘うまそうじゃん’
かけるは笑いながら話した。
:09/02/09 01:10 :W53H :jQ/U2XNo
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