人生の案内板
最新 最初 全
#521 [幸]
‘さっきはごめん…
八つ当たりしてた。
やっぱ羨ましかった。
かなさんが。’
『ううん…私の方こそ
ごめん…。
かけるさんの気持ち
わからなくて。』
その時あの匂いがした。
柔らかい、私の大好きな匂いが…。
:09/01/30 20:37 :W53H :Pzd97v82
#522 [幸]
文化祭も終わり、
かけると一緒にレストランへ向かった。
私はそこで勉強をし、
かけるはピアノを弾いていた。
じじさんが私の方に来て
『今日は何かあったの?』
と聞いてきた。
:09/01/30 20:39 :W53H :Pzd97v82
#523 [幸]
『今日は私の高校の
文化祭だったので一緒に
回ったんです!!』
私はウキウキして答えた。
『楽しかったのかい!?』
じじさんが優しく聞いた。
『はいっ!』
私は笑顔で答えた。
:09/01/30 20:42 :W53H :Pzd97v82
#524 [幸]
『ちょっと話して大丈夫かね?』
『大丈夫ですよ。
休憩しようと思ったんで。』
するとじじさんが
コ―ヒ―を一口飲み、
ゆっくりと語り始めた。
:09/01/30 20:44 :W53H :Pzd97v82
#525 [幸]
かけるはY高校の
不良……だったんだ。
この辺でも有名でね。
あっ、不良っていっても
いきがってる程度でね。
いつも通り、喧嘩をしてたんだって。
でもその喧嘩は激しくて…
そこでかけるは聴力をなくしたんだ。
:09/01/30 20:49 :W53H :Pzd97v82
#526 [幸]
「聞こえねー聞こえねー!!
なんでだ!?
なぜ音が聞こえねーんだぁぁ!?」
裏の倉庫で叫びながら泣いてた。
私はかけるとそこで初めて出会った。
私はかけるをこの店に呼んで
しばらく話たの。
:09/01/30 20:54 :W53H :Pzd97v82
#527 [幸]
話したっていっても筆記でね。
「病院に行こう?
私が連れて行くから。
親は?」
「知らない。」
「なんで?」
「親は金だけ置いて行く。」
なんかね…ショック受けたね。
あの時は。
:09/01/30 20:58 :W53H :Pzd97v82
#528 [幸]
それでね一旦かけるの家に戻って
お金と保険証を取りに来たんだ。
いや―封筒の中に20万あったのは
びっくりしたね。
それで病院に行った…。
:09/01/30 23:05 :W53H :Pzd97v82
#529 [幸]
私もかけるも、喧嘩で
鼓膜が切れただけかと思った。
でも違った…。
神経に障害があったんだ。
その障害のせいで
かけるの耳は奪われたんだ。
手術しても治らない…。
:09/01/30 23:16 :W53H :Pzd97v82
#530 [幸]
『今まで、聞こえてたんだ…。』
自分がいつ、不自由になるかわからない。
五体満足の人たちは
その有り難さがわからないだろう。
自分が、あるいは周りにいる人たちが
五体不満足になったら
初めて実感する……。
私はそうだった。
:09/01/30 23:19 :W53H :Pzd97v82
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194