人生の案内板
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#823 [わをん◇◇]
ならば。いつ、わたしは生き返ったのだろうか。いやそれより、何故、わたしは肉体に戻れないのだろうか。これは意識不明の昏睡(こんすい)状態というものか。それとも植物状態というものか。それより。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#824 [わをん◇◇]
問題は“からだ”に戻れないこと。何度試しても、映画のように魂が肉体に戻ることはなかった。これじゃあ、生き返ったなんて言えない。肉体は生き返っても、わたしのこころはこうして死んだままだ。

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#825 [わをん◇◇]
でも、悲しくはない。ようやく希望が見えた。生きているとわかったその時から、わたしのこころの中心は、あるカンジョウに支配されていた。あの時、奥深くに封印したはずの想いが、いつの間にか溢れ出していた。

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#826 [わをん◇◇]
孝。

 この数日、孝は悲しんでいただけかも知れないけど、わたしは変わったと思う。孝には悪いけど、わたしはもう止まれない。例え希望が断たれても、突き進むと決めた。まだやり残したことがある。

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#827 [わをん◇◇]
孝の気持ちを聞いていない。盗み聞きはよくないと思うが、いまじゃなきゃ、出来ないのも事実だ。わたしはまた走っていた。学校に行ってみたが今日は孝はいなかった。ならばと、家まで押しかけたが、生憎(あいにく)の不在。

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#828 [わをん◇◇]
だったら、と、次の場所にすぐさま向かう。脱力感は最高潮に達していた。だって。もしあそこにいなかったら、しばらく動けなくなるに違いない。

⏰:23/01/06 18:50 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#829 [わをん◇◇]
一歩進む度に、孝に近付いているのだろうか。鎖(くさり)が巻き付いたような重い足を踏み出しながら、歩を進める。やがて足は動かなくなり、そして完全に停止した。


「も、動けない」

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#830 [わをん◇◇]
膝に手をつきながら顔を上げる。


「けど……間に合ったっ!」

正面にはあの公園。そしてベンチには大嫌いだったあの男。わたしは微笑みながら足を引きずって、隣に座った。

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#831 [わをん◇◇]
「あんたさあ、いい加減にしてよね。死んでからもわたしをいじめる気?」

笑ってみせるが、やけに清々(すがすが)しい。孝は静かに正面を見据えつつ、足を組んでいる。馬鹿馬鹿しい。わたしがこんなに一生懸命になるなんて、生きてた時は思ってもいなかった。

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#832 [わをん◇◇]
だが、悪い気分ではない。

「今日はいつもみたいに、退かないからね。答えを聞くまで、粘るよ」

ベンチに身を委ねて空を仰げば、隣から声が響く。

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