人生の案内板
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#196 [幸]
『どうぞ。』
警察の人に案内され
前にあった椅子に座った。
あのドアの向こうに
彼が来る……
ガチャー
:08/12/27 22:53 :W53H :nlA3ocY.
#197 [幸]
彼が来た。
私はまじまじと彼の顔
を見た。
彼の顔は、あの日と同じ
目だけがギラギラしていた。
『なんで来たんだよ?』
:08/12/27 22:54 :W53H :nlA3ocY.
#198 [幸]
彼が椅子に座る当時にそう聞いた。
『私、あなたに言われてから
考えるようになった。
なんでT大学に行くのか。
またはなぜ勉強をするのか。
考えたけど、無理みたい。
私にはなりたい職業がない。
あれば、また違ってたかもしれないのに。』
:08/12/27 22:57 :W53H :nlA3ocY.
#199 [幸]
『まだ気にしてんのか?
忘れろ!!
俺は妬いてたんだ!
俺、受験なんてまだまだ
だけどK高校に行って
L大学に行って、心理学
を学びたかったんだ。
でも行きたくても
俺は無理なんだ。
金がないから…。
それなのに、夢も
学びたいこともない
あんたが大学に進学して
ずるいよ…
だったら、俺と交換しろよ。
そう思っただけだ。
だから妬いてただけなんだよ。』
:08/12/27 23:02 :W53H :nlA3ocY.
#200 [幸]
彼の声は…
震えていた。
悔しさがひしひしと
伝わってくる。
『俺のせいで、あんたが
苦しんだならごめん。
だから、もう俺にかまわなきて
いいよ。』
:08/12/27 23:04 :W53H :nlA3ocY.
#201 [幸]
ねぇ…なぜ?
なぜあなたはそんなに……
『…我慢するの?』
かまわないでって。。
そんな嘘、誰だって見破れる。
あなたは本当は…
助けてほしいくせに。
なぜ我慢するの?
:08/12/28 23:49 :W53H :rI5HnOXg
#202 [幸]
『我慢なんてしてねーから。』
『嘘だ!!
我慢してる!!』
私は力強く言った。
彼は少し驚いていたが
また口を開いた。
『あんたに俺の何がわかるんだ?』
:08/12/28 23:51 :W53H :rI5HnOXg
#203 [幸]
まただ…
『我慢してるって、
世の中我慢しなきゃ
生きていけねーんだよ!!
俺は弟のことで何度も
耐えてきた。。
我慢すればこの苦しみから解放されるって
信じて……
障害者と関わりのない
あんたには俺の気持ちが分かるかっ!!』
:08/12/28 23:53 :W53H :rI5HnOXg
#204 [幸]
彼の声は部屋中に響いた。
また…震えてる声だった。
障害者と関わりのない?
そうか…だから私は彼の気持ちが
わからないのか。。。
だからといって、
私は彼をほっておきたくない。
:08/12/28 23:55 :W53H :rI5HnOXg
#205 [幸]
『なんで…面会に来たの?』
心細い声で彼が聞いた。
『なんで来たの?
ほっとけばよかったじゃねえか。
俺のことなんて…
ほっといて、大学に向けて
受験すればいいじゃねか。
あの時おにぎりを渡してくれた。
それだけで十分だ…』
:08/12/28 23:59 :W53H :rI5HnOXg
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