人生の案内板
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#332 [幸]
と、ノートに書いた。



楽譜……
ピアノ弾けるのかな…?

そう思った。
するとかけるは私の手を掴み、

‘ついて来て’
と口パクで言った。

⏰:09/01/18 13:22 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#333 [幸]
タッタッタッ…
走る音。

私はおどおどしながらも
かけると走った。



なぜか周りのことなど
気にしなかった。
2人だけの世界にいるみたいだった。

⏰:09/01/18 13:25 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#334 [幸]
知らないレストランに入った。
そこは高級感が溢れてた。


すると、40代くらいの
男性が出てきた。

『やあ、かける君。
ん…隣の女の子……
もしや…』


男性は手話をしながら声をだして話した。

⏰:09/01/18 13:27 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#335 [幸]
‘まさか’


かけるは手話でそう言った。
当時、手話もできない私には
なんて言ったのか
全く分からなかった。



『すごいたんこぶだね。
かけるくん、女の子には
優しくしなきゃ。』


そう男性が言った。


‘俺のせいじゃない。’

⏰:09/01/18 13:30 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#336 [幸]
『でも、手当てぐらいは
してきなさいよ。』


‘もうすぐ仕事なんだよ
だからじじさんが代わりに
手当てしてよ’


『そのためにこの子と
一緒に来たのかよ。』


‘まあね、
じゃあ着替えてくる’

⏰:09/01/18 13:32 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#337 [幸]
かけるは楽譜を持って
奥の方に行った。


『やあ、いらっしゃい
さっき手話でね、
かけるに手当てしてって
頼まれたから手当てするか。』



男性はそう言うと
救急箱を取り出し
私のおでこに湿布を貼ってくれた。

⏰:09/01/18 13:34 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#338 [幸]
『じゃあ、これで失礼します。
湿布、ありがとうございました。』


私はそう言うと、


『せっかくだから
かけるのピアノ聞いたら?
かけるのピアノは凄いよ〜

それに、俺の楽譜が
あなたに傷を負わし
ちゃったからお詫びに
おごってあげるって。』

と男性が言った。

⏰:09/01/18 13:47 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#339 [幸]
ピアノ……
するとかけるがス―ツ
みたいな洋服を着、
楽譜を持って現れた。




そして優しく、強く
弾いた。

レストランの中にいた客は
ゆっくり、その音楽に
耳をすましていた。


『きれぃ……』



思わず口に出した。

⏰:09/01/18 14:04 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#340 [幸]
『かけるは一時期、
音大にスカウトされたんだ。

でも、小説を書きたいって言って
音大を蹴ったらしいよ。
ちなみにこの曲は
かけるが自分で作曲した…
“耳なしほういち”だよ』



『そうなんですか…』

⏰:09/01/18 14:08 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


#341 [幸]
男性がこれしき何も
言わずに仕事をした。


ああ、なんて綺麗なのだろう。

私の濁った心が綺麗に
洗い流されるよいな…



私はずうっとこの曲を聞いていた。

⏰:09/01/18 14:10 📱:W53H 🆔:D39xBK4k


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