人生の案内板
最新 最初 全
#501 [幸]
『…時と場合によるかな…?
でも、かけるがいいなら
よかった。』
もし、私がかけると出会う前に
手話しているカップルがいたら
どんな目で見ていただろうか?
:09/01/30 14:19 :W53H :Pzd97v82
#502 [幸]
おかしいの?
なぜみんな笑ってるの?
ただ話してるだけじゃん!?
それを笑ってるの!?
トントンとかけるに叩かれ
我に返った。
:09/01/30 14:21 :W53H :Pzd97v82
#503 [幸]
‘場所を変えよう’
そう言われ、あまり人がいない
図書室へ行った。
すごく静かだった。
外にはありの集団のような人ごみ。
:09/01/30 17:07 :W53H :Pzd97v82
#504 [幸]
『次どこに行く?』
私はワザと明るいふりをした。
‘なぁ、俺と一緒にいて
楽しい?’
かけるからそんなことを聞かれ
とてもショックを受けた。
:09/01/30 17:09 :W53H :Pzd97v82
#505 [幸]
『楽しくなきゃ一緒に
回ろうなんて誘わないから。』
‘なんか…今のその顔
つまらなさそう。’
『なんで!?』
‘俺は耳が悪い分、
人の顔を人一倍よく見る。
かなさんの顔、つまらなさそう。’
:09/01/30 17:12 :W53H :Pzd97v82
#506 [幸]
『そんなことない!!
それは被害妄想じゃないの!?』
私が言った途端、かけるは
とても怖い顔をした。
‘かなさんは分からないんだよ!!
俺の気持ちが。
被害妄想してしまうほど
しょっちゅう笑われてたんだよ!!’
:09/01/30 17:16 :W53H :Pzd97v82
#507 [幸]
やっぱり…無理なのかな?
健常者と障害者が仲良くなるって。
自然に涙が出てきた…
かけるは私の涙をみて
ぎょっとした顔をしてた。
:09/01/30 17:17 :W53H :Pzd97v82
#508 [幸]
『トイレに行ってくる』
と手話で言い、私は
トイレで大粒の涙を流した。
『はぁ〜』
鏡を見てみると目が赤かった。
:09/01/30 17:21 :W53H :Pzd97v82
#509 [幸]
『あれ?ここの高校だったの!?』
トイレから出てみると
あのチンピラのグループがいた。
なんでこんな所にいるんだぁ!?
普通いなくね?
泣いてた顔が一気に青白い顔になった。
:09/01/30 17:23 :W53H :Pzd97v82
#510 [幸]
『お前、かけるって叫んだろ?
叫んでも来るわけね―だろ!』
『本当だよ。
かけるは耳聞こえなくなったんだからなぁ』
今度はチンピラの言葉が
しっかりと聞こえた。
:09/01/30 17:25 :W53H :Pzd97v82
#511 [幸]
『脅かしやがって…』
よく私の顔覚えてるな…
そう思い、逃げようとした時、
誰かにぶつかった。
:09/01/30 17:27 :W53H :Pzd97v82
#512 [幸]
『なに逃げようとしてんだよ!!』
そう1人が叫び、
近くにあったゴミ箱を蹴った。
『かける…』
私がそうつぶやいた。
:09/01/30 17:28 :W53H :Pzd97v82
#513 [あすか]
がんばってください
この小説大好きです!
:09/01/30 18:22 :P703i :iv0qlvd.
#514 [幸]
>>513ありがとうございます
かなり励みになります~
:09/01/30 20:13 :W53H :Pzd97v82
#515 [幸]
>>512から
そう呟いた時、見覚え
のある人差し指が現れた。
‘どうした?’
顔をあげてみる。
かける……なんで?
:09/01/30 20:16 :W53H :Pzd97v82
#516 [幸]
『うっ……かける兄…』
1人の男がそう呟いた。
かける…兄!?
…兄!?
『かっ…風見先輩っっ』
他の人たちもみな、言葉を失った。
:09/01/30 20:19 :W53H :Pzd97v82
#517 [幸]
『知り合いなの?』
私は手話で聞いてみる。しかしかけるは黙っていた。
『姉ちゃん!!通訳してくれ。』
チンピラの1人がこう頼んだ。
私は黙ってうなずいた。
:09/01/30 20:22 :W53H :Pzd97v82
#518 [幸]
かけるはチンピラたちを
見ながら手話を始めた。
『‘もうお前らと話すことはない。
早く俺の前から消えろ。’と…。』
『かける兄!!
俺ら…あんたに謝りたくて…』
私は一生懸命通訳をする。
:09/01/30 20:27 :W53H :Pzd97v82
#519 [幸]
『‘嫌、あの時は俺の
方が悪かった。
すまなかった…。
だから早く俺の前から
消えろ。
さもないと、俺の体が
耳がてめえらを許さない。’と…。』
『すみませんでした!!』
と、チンピラは大きな声をあげながら
消えて行った。
:09/01/30 20:30 :W53H :Pzd97v82
#520 [幸]
かけるはゆっくり歩き始めた。
『かけるっ!!』
私は必死にかけるの腕を
掴もうとした。
しかし、かけるはくるっと振り返った。
そして手話をし始めた。
:09/01/30 20:33 :W53H :Pzd97v82
#521 [幸]
‘さっきはごめん…
八つ当たりしてた。
やっぱ羨ましかった。
かなさんが。’
『ううん…私の方こそ
ごめん…。
かけるさんの気持ち
わからなくて。』
その時あの匂いがした。
柔らかい、私の大好きな匂いが…。
:09/01/30 20:37 :W53H :Pzd97v82
#522 [幸]
文化祭も終わり、
かけると一緒にレストランへ向かった。
私はそこで勉強をし、
かけるはピアノを弾いていた。
じじさんが私の方に来て
『今日は何かあったの?』
と聞いてきた。
:09/01/30 20:39 :W53H :Pzd97v82
#523 [幸]
『今日は私の高校の
文化祭だったので一緒に
回ったんです!!』
私はウキウキして答えた。
『楽しかったのかい!?』
じじさんが優しく聞いた。
『はいっ!』
私は笑顔で答えた。
:09/01/30 20:42 :W53H :Pzd97v82
#524 [幸]
『ちょっと話して大丈夫かね?』
『大丈夫ですよ。
休憩しようと思ったんで。』
するとじじさんが
コ―ヒ―を一口飲み、
ゆっくりと語り始めた。
:09/01/30 20:44 :W53H :Pzd97v82
#525 [幸]
かけるはY高校の
不良……だったんだ。
この辺でも有名でね。
あっ、不良っていっても
いきがってる程度でね。
いつも通り、喧嘩をしてたんだって。
でもその喧嘩は激しくて…
そこでかけるは聴力をなくしたんだ。
:09/01/30 20:49 :W53H :Pzd97v82
#526 [幸]
「聞こえねー聞こえねー!!
なんでだ!?
なぜ音が聞こえねーんだぁぁ!?」
裏の倉庫で叫びながら泣いてた。
私はかけるとそこで初めて出会った。
私はかけるをこの店に呼んで
しばらく話たの。
:09/01/30 20:54 :W53H :Pzd97v82
#527 [幸]
話したっていっても筆記でね。
「病院に行こう?
私が連れて行くから。
親は?」
「知らない。」
「なんで?」
「親は金だけ置いて行く。」
なんかね…ショック受けたね。
あの時は。
:09/01/30 20:58 :W53H :Pzd97v82
#528 [幸]
それでね一旦かけるの家に戻って
お金と保険証を取りに来たんだ。
いや―封筒の中に20万あったのは
びっくりしたね。
それで病院に行った…。
:09/01/30 23:05 :W53H :Pzd97v82
#529 [幸]
私もかけるも、喧嘩で
鼓膜が切れただけかと思った。
でも違った…。
神経に障害があったんだ。
その障害のせいで
かけるの耳は奪われたんだ。
手術しても治らない…。
:09/01/30 23:16 :W53H :Pzd97v82
#530 [幸]
『今まで、聞こえてたんだ…。』
自分がいつ、不自由になるかわからない。
五体満足の人たちは
その有り難さがわからないだろう。
自分が、あるいは周りにいる人たちが
五体不満足になったら
初めて実感する……。
私はそうだった。
:09/01/30 23:19 :W53H :Pzd97v82
#531 [幸]
『私がなぜかなさんに
この事を話したかというとね、
……かけるが笑ったんだ。』
『えっ?』
かけるのピアノが静かに
流れていた。
:09/01/30 23:34 :W53H :Pzd97v82
#532 [幸]
『かなさんから文化祭
一緒に回ろうって誘われた!
耳が聞こえなくなってから
初めて女に誘われたって
喜んで私の所に来たよ。』
じじさんも、まるで
かけるを息子のように
可愛がっているせいか、
嬉しそうに話していた。
…そうか……。
だからここはこんなにも
暖かいんだぁ。
:09/01/30 23:37 :W53H :Pzd97v82
#533 [幸]
『なんでもじじさんに
話すんですね。』
私はそう言い、水を一気飲みした。
『そりゃ、かけるは私の子。
…だと思って育ててるもん!』
じじさんは少し強調して言った。
:09/01/30 23:43 :W53H :Pzd97v82
#534 [幸]
『じじさん!!
私今ね、手話覚えてる
最中なの!
じじさん、私と会話してる時も
なるべく手話で話してくれませんか?』
じじさんが羨ましかった。
かけるは私には何も話してくれないし。
って……嫉妬!?
まさかね。相手は男なんだから……。
:09/01/30 23:46 :W53H :Pzd97v82
#535 [幸]
『いいよ。じゃあ今から
始めよう!』
にもかかわらず、じじさんは
笑って答えてくれた。
:09/01/30 23:48 :W53H :Pzd97v82
#536 [幸]
月日は流れ、12月。
クラスメートはみな、
模試の結果で大学を決めてるので、
前よりさらにカリカリしてた。
一方私は1、2年生より
勉強してない。
でも、本当に行きたい
大学が決まったせいか、
家事をしながらの勉強の方が
頭に入る。
:09/01/30 23:52 :W53H :Pzd97v82
#537 [幸]
『かな!』
『ちえみ!!』
今年最後の模試の結果が
配られた。
『A判定だった!!』
『私も!!』
ちえみと一緒にA判定が取れて
嬉しかったというより
ホッとした。
:09/01/30 23:55 :W53H :Pzd97v82
#538 [幸]
『かなはセンターでL大でしょ〜?
頑張ってよ!!』
『オッス!!』
私はセンターのみで受験する。
ちえみはセンターの8割
を取らないと一般を受験
させてもらえないらしい。
でも、お互い頑張らなきゃ!!
:09/01/30 23:57 :W53H :Pzd97v82
#539 [幸]
『かなは〜まだかけるさんと
付き合わないの〜?』
『ブッ!!』
私がパンを食べてる時に
ちえみがそんなことを
言うから、びっくり
して吐いてしまった。
『うわ―!汚い!!』
『ちょ…ちえみのせいでしょ!!』
:09/01/30 23:59 :W53H :Pzd97v82
#540 [幸]
『かなから先に告白
した方がいいと思うけどなぁ。』
『ゴホッ…なんで?』
『障害がある人って
なかなか自分に素直になれないと思う。
もしかなが本当に好きなら
告白したら〜?』
ちえみの言うとおりかも…。
:09/01/31 00:02 :W53H :93T71IzM
#541 [幸]
『いいこと言うね!!』
『ちえみ様だから!』
ちえみはこうなんだから…。
でも、それがちえみのいいところ……。
告白…かぁ。。。
:09/01/31 00:04 :W53H :93T71IzM
#542 [幸]
告白……。
しばらく考えこんだ。
『むっ…無理!!』
ガタンと音をたてながら
座っていたイスから立ち上がった。
ちえみも、クラスメートも
驚いた顔で私を見た。
:09/01/31 00:25 :W53H :93T71IzM
#543 [ぽぽ]
この小説、一番好き
頑張って下さいね
:09/01/31 01:17 :F01A :5XQ2sksE
#544 [幸]
>>543本当にありがとうございます
頑張らさせていただきます
:09/01/31 01:41 :W53H :93T71IzM
#545 [幸]
ここ最近、
私はかけるがピアノを弾く日は
必ず私も勉強をしながら
演奏を聞いていた。
そして終わった後、
私を家まで送ってくれる。
それが当たり前のようになっていた。
でも、その当たり前があって
本当に嬉しかった。
:09/01/31 01:44 :W53H :93T71IzM
#546 [幸]
かけるがピアノを弾いている日は
月、水、金曜日。
火、土曜日は普通にあそこで
バイトをしてる。
私は正直、かけるの過去も今も知りたい…。
でも、この前、じじさんから聞いた
かけるの過去。
:09/01/31 01:46 :W53H :93T71IzM
#547 [幸]
私には両親亡くなったって
言ったくせに……。
この疑問が今になっても消えない。
…私もまだ聞きたくないのかもしれないが……。
:09/01/31 01:47 :W53H :93T71IzM
#548 [幸]
『明日から冬休みだ!!
いいなっ!!受験生の
クリスマスとお正月は
3月だっ!!
3月にクリスマスツリーや
鏡餅を飾りなさい!!』
『んな奴いねーよ。』
伊勢のいい声をあげる先生と
どっと笑うクラス。
あと少しでセンター試験。
:09/01/31 01:51 :W53H :93T71IzM
#549 [幸]
やはり、かけるに告白なんてできない。
だって、今センター試験の勉強なんだもん!!
今日は金曜日。
私は6時まで学校で勉強し、
かけるのレストランへ行った。
:09/01/31 01:53 :W53H :93T71IzM
#550 [幸]
『やあ、かなさん。』
『じじさん、こんちは。』
私はいつもの席に座った。
『クリスマス、かけると過ごすの?』
じじさんにいきなりそう聞かれ、
驚く私。
:09/01/31 01:55 :W53H :93T71IzM
#551 [幸]
『な…なぜですか?
そんなこと、言われませんよ。』
『そ―かい。ん〜…』
じじさんはしばらく考えこんでいた。
『どうしたんですか?』
と、聞いてみた
:09/01/31 17:46 :W53H :93T71IzM
#552 [幸]
『いや、聞いてみただけ。
センター、頑張ってな!!』
じじさんはそう言うと、
仕事を始めた。
クリスマスね…
そりゃ、かけると過ごしたい…。
でも無理だよね。
:09/02/01 12:35 :W53H :M8rkFUEs
#553 [幸]
私はいつも通り、
かけるの綺麗なピアノを聞きながら
勉強をした。
‘帰ろう’
かけるにそう言われ
いつも通り一緒に帰った。
しかし、いつもとは違う雰囲気だった。
:09/02/01 12:38 :W53H :M8rkFUEs
#554 [幸]
いつもならくだらない会話で盛り上がるのに、
今日は会話など全くしない。
『どうしたの?』
聞いてみた。
するとかけるは頭をかいて
ゆっくり手話を始めた。
:09/02/01 12:40 :W53H :M8rkFUEs
#555 [幸]
‘明日も勉強するの?’
『うん…。』
心臓の音が五月蝿い。
なんでかけるだと
こんなにも心臓が騒ぎだすのか?
:09/02/01 12:42 :W53H :M8rkFUEs
#556 [幸]
‘夜ご飯だけ…時間とれる?’
いつもとは遅いペースで
手話をした。
きた―!
よしっっ!!
『うん!!』
と、返事をした。
今、私はどんな顔をしてるのかな?
かわいい顔ならいいんだけどなぁ。
:09/02/02 00:15 :W53H :ksjK79ro
#557 [幸]
‘まじで!?’
かけるの手話がいつもより
早くなった。
『まじで。』
この会話が筆記だったら
ハ―トをつけたい気分だった。
:09/02/02 00:17 :W53H :ksjK79ro
#558 [幸]
クリスマス当日。
私は朝早く起きて勉強をした。
そして、家事をし
父さんの夜ご飯を作った。
慣れない化粧のせいか、
予想以上に時間がかかった。
集合は6時。
初めて出逢った所に。。
:09/02/02 00:20 :W53H :ksjK79ro
#559 [幸]
私は早めに家を出た。
ゆっくりと歩き出す。
10分前に到着してしまった。
ここで、初めて出逢ったことを思い出した。
私が泣いてて…
いきなりハンカチだしてきて…。
:09/02/02 00:22 :W53H :ksjK79ro
#560 [幸]
私からアドレスを聞いて…。
…あの少年と出逢ったからだ。
そして自分の愚かに呆れて
泣いたんだ。
あの少年に出逢ってなかったら
かけるに会うことはなかったんだ…。
あの少年は元気なのかな…?
うまくやってるのかな?
:09/02/02 00:24 :W53H :ksjK79ro
#561 [幸]
あの少年のおかげで
心理学を学ぼうと思った。
今の私がいるのは…
あの少年のおかげ……。
そ―いやなんで私はあの時
おにぎりをあげたのかな?
:09/02/02 00:26 :W53H :ksjK79ro
#562 [幸]
ツンツンと優しくつつかれた。
後ろにかけるがいた。
私は現実に戻り、
今ここにある幸せを感じた。
‘待った?’
『大丈夫だよ。』
:09/02/02 00:28 :W53H :ksjK79ro
#563 [幸]
するとかけるはいきなり
私の右手をとった。
そして優しく繋いだ。
ドキッと心臓が大きく動いた。
そして小さくドキドキと
リズムに合わせて動き始めた。
‘だいぶ待っただろ?
手冷たいよ!’
:09/02/02 00:31 :W53H :ksjK79ro
#564 [幸]
『じゅっ…10分くらいだけだよ』
急に恥ずかしくなり
手を離してしまった。
なにやってんだよ!?
私………
馬鹿か!?
こんないいチャンスを。
‘場所はどこがいい?’
:09/02/02 00:34 :W53H :ksjK79ro
#565 [幸]
『かけるのピアノが聞きたい!』
私は慌てながら言った。
‘いつも聞いてるだろ’
『“耳なしほういち”
を聞きたいの!』
するとかけるは怒った顔で
‘ダメだっっ!!’
と手話をした。
:09/02/02 00:37 :W53H :ksjK79ro
#566 [幸]
『…かける…?』
なんでそんなに怒るの?
かけるは少し慌てた様子で
‘俺ん家で聞かせるから’
と手話をした。
:09/02/02 16:38 :W53H :ksjK79ro
#567 [幸]
『場所なんかどこでもいいから…』
‘そうか。’
なんであんなに慌てるのかな?
私たちはかけるの家へ目指した。
:09/02/02 16:40 :W53H :ksjK79ro
#568 [幸]
かけるの家で“耳なしほういち”
を聞いた。
この曲を聞くと、本当に
他のことがどうでもよくなってくる。
:09/02/03 11:04 :W53H :J3LKlyhs
#569 [幸]
弾き終わった時
かけるが話をかけてきた。
‘耳なしほういちっていう話
しってるだろ?’
『確か、師匠さんが
とりつかれている坊主に
呪文を書いたが
耳だけ書かなかったから
耳だけ取られた…』
‘ああ’
:09/02/03 11:07 :W53H :J3LKlyhs
#570 [幸]
かけるは私の側に来て
また話し始めた。
‘俺もそんな気分だったよ
…あの時。
普通に生活してある日
突然……。’
なぜ人はみな普通の、
健康な体にはならないのか?
なにかしら障害があるのか?
:09/02/03 11:11 :W53H :J3LKlyhs
#571 [幸]
‘文化祭のとき変な奴ら
いたろ?
あいつらと昔連んでたんだ。
んでその中の1人な、
障害者の金を取ったんだ。
俺らみんなでそいつを
殴った。
弱い者から金とっても
うれしくね―って感じで。
そのケンカで耳が聞こえなくなった…’
:09/02/03 11:18 :W53H :J3LKlyhs
#572 [幸]
‘俺、最初パニクって
半殺し程度に棒でそいつを
殴っちゃって…。
それから学校も辞めて
通信に通ったんだ…。’
かけるが全部話した後
私を見た。
私はかけるの話の内容が
グロすぎて青くなっていた。
:09/02/03 11:21 :W53H :J3LKlyhs
#573 [幸]
‘だっ…大丈夫か?’
『かけるって…凄い
高校生活だったんだね。』
しばらく見つめ合った。
どんなに変な話の内容でも
かけるがいれば笑いたくなる。
しばらく見つめ合った後
笑いあった。
:09/02/03 11:26 :W53H :J3LKlyhs
#574 [幸]
夜ご飯はかけるが作った
パスタを食べた。
誰にでも作れるような
パスタだったが
頬が落ちる程おいしかった。
食後にケ―キも食べた。
:09/02/03 11:29 :W53H :J3LKlyhs
#575 [幸]
ケ―キもおいしかった。
かけると一緒に食べると
なんでもおいしいと感じるのはなぜ?
なんて幸せ。
この幸せがこの先ずうっと続いたら……。
:09/02/03 11:32 :W53H :J3LKlyhs
#576 [幸]
翌日。
クリスマスも終わったから
今日からはずうっと勉強だっ!!
そう気合いを入れ
机に向かった。
12時に昼ご飯を作って食べて
また勉強を再開した。
:09/02/03 11:35 :W53H :J3LKlyhs
#577 [幸]
7時頃。
私が夜ご飯の最中に
かけるからメールが来た。
メールを開いてみた。
‘勉強お疲れ様。
元旦、一緒に初詣に行かないか?’
:09/02/03 11:39 :W53H :J3LKlyhs
#578 [幸]
が…元旦!?
うわっ……
ちょ―嬉しい!
好きな人と初詣なんて。。。
来年は絶対いい年になるっっ!!
‘はいっ!’
送信……。
:09/02/05 23:48 :W53H :QrNZpdn.
#579 [幸]
元旦まであと5日!!
真面目に頑張るっ!!
私は朝ご飯も食べずに
勉強を始めた。
恋をすると人は異常に
頑張れる気になる。
最近の中高生は恋愛に
はまっている。
彼氏がいないと馬鹿にされる。
私はそうだった。
だから勉強ばかりな私には
恋なんて馬鹿みたいだと思ってた。
:09/02/05 23:53 :W53H :QrNZpdn.
#580 [幸]
でも違うんだね。
やっぱり恋はいいと思う。
特に勉強ばかりしていた私にとって。
:09/02/05 23:59 :W53H :QrNZpdn.
#581 [幸]
元旦―。
‘9時に神社で待ち合わせ’
と、メールが来たので
行ってみる。
初詣は今まで友達と
行ったことがあったので
そのたびに母さんが
着付けをしてくれた。
でも今年は無理だ。
:09/02/06 00:02 :W53H :Li7Rh2v.
#582 [幸]
「悪いな、着付けできなくて…」
そう謝ってくれた父さんが
とても愛くるしかった。
私は私服で電車に乗った。
みんな可愛らしい着物を着ていた。
羨ましかったけど、
私は我慢しなきゃ。
父さんに悪いから…。
ガキじゃないし…。
:09/02/06 00:04 :W53H :Li7Rh2v.
#583 [幸]
‘やぁ!!’
『かける!!』
かけるは私より先に神社に来ていた。
かけるも私服だった。
‘さぁ、お祈りに行きましょう’
『うん!!』
それにしても凄い人だ。
:09/02/06 00:08 :W53H :Li7Rh2v.
#584 [幸]
当たり前か。
みんな考えてることは
私と一緒だもん。
いざ、お祈りへ。
かけるは自分の財布から
5円玉を投げ、手を2回
誰よりも大きく叩いて
祈った。
とても真剣に…。
:09/02/06 00:10 :W53H :Li7Rh2v.
#585 [幸]
私は100円を投げようとしたが、
それを見たかけるに止められた。
‘100円も?’
『え…駄目?』
‘別にいいけど。’
私は100円を投げ
手を2回叩いて祈った
:09/02/06 00:13 :W53H :Li7Rh2v.
#586 [幸]
私たちは神社の周りを
散歩した。
そしてかけるに
‘手話上手くなったね’
と、誉められた。
『勉強したもん!!』
私は鼻を高くして言った。
『ねえ、なんでさっきは100円投げようとしたら、止めたの?』
ついでたからそう聞いた
:09/02/06 00:17 :W53H :Li7Rh2v.
#587 [幸]
‘いや…俺は神様とか
信じないから…かな?
金やればいいことするのかよ
って思って、
神様は賄賂してんのかよ
って感じてたからさぁ。’
かけるはちょっと照れくさそうに話した。
私は思わず笑ってしまった。
:09/02/06 00:19 :W53H :Li7Rh2v.
#588 [幸]
『あはっ!賄賂って…』
‘だってそうじゃん?’
『でも、そのわりには
真剣に祈ってたじゃん?
手もあんなに大きく叩いて。』
‘じゃあ、神様ってどこにいると思う?’
突然の質問に私は口止まってしまった。
:09/02/06 00:23 :W53H :Li7Rh2v.
#589 [幸]
『ん〜天の上…?』
‘神社の中の神様は
後ろを向いてるんだ。
しかも戸も閉まってる。
だから人と同じような
音の大きさで叩いても
神様だって気づかないだろ?
だから人よりも目立つことをして
神様にわからせてあげなきゃ’
『へぇ〜』
知らなかった…
:09/02/06 00:27 :W53H :Li7Rh2v.
#590 [幸]
『なんでそんなに詳しいの?』
‘一応大学生だからね。
文学部に入れば教えて貰えるよ。’
やはり、大学はそんな
細かい所も勉強して
凄いと感じた。
:09/02/06 00:29 :W53H :Li7Rh2v.
#591 [幸]
『ん…?
てことは、やっぱりかけるだって
神様信じてるの?』
‘信じてねーよ。
俺から誘ったんだから
祈らなきゃじゃん!?’
『じゃあ神社に行こう
なんて誘わなきゃよかったじゃん?』
するとかけるは、
私の肩を両手で掴み…
:09/02/06 00:33 :W53H :Li7Rh2v.
#592 [幸]
‘そんなの、お前と会うための
口実だよ’
と話した。
ドキッと大きく心臓が動いた。
私の手話の読みとり方
間違ってないよね?
そう自分に説いきかせながら
真剣な目のかけるを見続けた。
:09/02/06 00:35 :W53H :Li7Rh2v.
#593 [幸]
‘かな…’
かけるはおそらく
指文字で手話をしたのか、
私には分からなかった。
ただかけるの後ろから
自転車のベルが鳴っていた。
:09/02/06 00:38 :W53H :Li7Rh2v.
#594 [幸]
私はとっさに
『危ない!』
と言い、かけるの二の腕を取り
精一杯の力で私の方に
引っ張った。
なんとか自転車と
ぶつからずにすんだが、
私とかけるとの距離が短くなった。
:09/02/06 00:41 :W53H :Li7Rh2v.
#595 [幸]
‘ありがと’
かけるは一歩後ろに下がり
礼を言った。
その顔はとても悲しそうだった。
‘そろそろ帰ろうか?
勉強頑張らなきゃだし。’
かけるはそう話すと歩き出した。
:09/02/06 00:43 :W53H :Li7Rh2v.
#596 [幸]
やめてよ。
そんな顔、嫌い…。
私の前では笑ってよ。
私の大好きなあなたの笑顔を見たい。
しかし、そんな私の願いは叶わず
かけるは私の家に送るまで
ずうっと、所々暗い顔をしていた。
もしかしたら、この一年、
最悪な一年になるのかもしれない…
:09/02/06 00:48 :W53H :Li7Rh2v.
#597 [幸]
『聞いたよ。
かけると一緒に初詣に
行ったんだって?』
私はじじさんの所で
勉強をしていたらそう聞かれた。
『はい…
でもその前に、
明けましておめでとうございます。』
『あっ、おめでとうございます』
新年の挨拶をした。
:09/02/06 00:53 :W53H :Li7Rh2v.
#598 [幸]
『どうだった?』
じじさんは興味津々に
聞いてきた。
『別に…。
てか!今気づいた!!』
私は思わず立ち上がってしまった。
『なにを?』
じじさんは驚いてた。
:09/02/06 00:55 :W53H :Li7Rh2v.
#599 [幸]
『かけるって、ある日
突然耳が聞こえなくなった…
てことは、しゃべれるじゃん!?』
するとじじさんは
“それか…”と呟き
アイスティ―を飲んだ。
聞いちゃいけなかったかな?
そんな雰囲気がした。
:09/02/06 00:58 :W53H :Li7Rh2v.
#600 [幸]
『自分の話してる声が
聞こえないから
どのくらいの音量で話せばいいか
わからないんだよ。
それでもかけるは試そうとしたけど
余計にだめで…
さらには精神的な問題で
話せなくなったんだ…。』
風が強い日だった。
窓がその強い風のせいで泣いていた。
:09/02/06 01:01 :W53H :Li7Rh2v.
#601 [幸]
>>592すみませんホホ
手話の読みとり方
ではなく、
口パクの読みとり方でしたm(_ _)m
:09/02/06 01:05 :W53H :Li7Rh2v.
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194