人生の案内板
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#501 [幸]
『…時と場合によるかな…?

でも、かけるがいいなら
よかった。』




もし、私がかけると出会う前に
手話しているカップルがいたら
どんな目で見ていただろうか?

⏰:09/01/30 14:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#502 [幸]
おかしいの?
なぜみんな笑ってるの?



ただ話してるだけじゃん!?
それを笑ってるの!?


トントンとかけるに叩かれ
我に返った。

⏰:09/01/30 14:21 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#503 [幸]
‘場所を変えよう’


そう言われ、あまり人がいない
図書室へ行った。




すごく静かだった。
外にはありの集団のような人ごみ。

⏰:09/01/30 17:07 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#504 [幸]
『次どこに行く?』


私はワザと明るいふりをした。



‘なぁ、俺と一緒にいて
楽しい?’




かけるからそんなことを聞かれ
とてもショックを受けた。

⏰:09/01/30 17:09 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#505 [幸]
『楽しくなきゃ一緒に
回ろうなんて誘わないから。』



‘なんか…今のその顔
つまらなさそう。’


『なんで!?』
‘俺は耳が悪い分、
人の顔を人一倍よく見る。

かなさんの顔、つまらなさそう。’

⏰:09/01/30 17:12 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#506 [幸]
『そんなことない!!
それは被害妄想じゃないの!?』



私が言った途端、かけるは
とても怖い顔をした。

‘かなさんは分からないんだよ!!
俺の気持ちが。

被害妄想してしまうほど
しょっちゅう笑われてたんだよ!!’

⏰:09/01/30 17:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#507 [幸]
やっぱり…無理なのかな?


健常者と障害者が仲良くなるって。




自然に涙が出てきた…


かけるは私の涙をみて
ぎょっとした顔をしてた。

⏰:09/01/30 17:17 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#508 [幸]
『トイレに行ってくる』

と手話で言い、私は
トイレで大粒の涙を流した。




『はぁ〜』
鏡を見てみると目が赤かった。

⏰:09/01/30 17:21 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#509 [幸]
『あれ?ここの高校だったの!?』



トイレから出てみると
あのチンピラのグループがいた。



なんでこんな所にいるんだぁ!?
普通いなくね?

泣いてた顔が一気に青白い顔になった。

⏰:09/01/30 17:23 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#510 [幸]
『お前、かけるって叫んだろ?
叫んでも来るわけね―だろ!』

『本当だよ。
かけるは耳聞こえなくなったんだからなぁ』




今度はチンピラの言葉が
しっかりと聞こえた。

⏰:09/01/30 17:25 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#511 [幸]
『脅かしやがって…』



よく私の顔覚えてるな…



そう思い、逃げようとした時、
誰かにぶつかった。

⏰:09/01/30 17:27 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#512 [幸]
『なに逃げようとしてんだよ!!』


そう1人が叫び、
近くにあったゴミ箱を蹴った。




『かける…』

私がそうつぶやいた。

⏰:09/01/30 17:28 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#513 [あすか]
がんばってください

この小説大好きです!

⏰:09/01/30 18:22 📱:P703i 🆔:iv0qlvd.


#514 [幸]
>>513
ありがとうございます


かなり励みになります~

⏰:09/01/30 20:13 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#515 [幸]
>>512から


そう呟いた時、見覚え
のある人差し指が現れた。


‘どうした?’


顔をあげてみる。


かける……なんで?

⏰:09/01/30 20:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#516 [幸]
『うっ……かける兄…』

1人の男がそう呟いた。


かける…兄!?

…兄!?


『かっ…風見先輩っっ』

他の人たちもみな、言葉を失った。

⏰:09/01/30 20:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#517 [幸]
『知り合いなの?』


私は手話で聞いてみる。しかしかけるは黙っていた。




『姉ちゃん!!通訳してくれ。』

チンピラの1人がこう頼んだ。
私は黙ってうなずいた。

⏰:09/01/30 20:22 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#518 [幸]
かけるはチンピラたちを
見ながら手話を始めた。


『‘もうお前らと話すことはない。
早く俺の前から消えろ。’と…。』


『かける兄!!
俺ら…あんたに謝りたくて…』


私は一生懸命通訳をする。

⏰:09/01/30 20:27 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#519 [幸]
『‘嫌、あの時は俺の
方が悪かった。
すまなかった…。
だから早く俺の前から
消えろ。

さもないと、俺の体が
耳がてめえらを許さない。’と…。』




『すみませんでした!!』

と、チンピラは大きな声をあげながら
消えて行った。

⏰:09/01/30 20:30 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#520 [幸]
かけるはゆっくり歩き始めた。


『かけるっ!!』



私は必死にかけるの腕を
掴もうとした。

しかし、かけるはくるっと振り返った。



そして手話をし始めた。

⏰:09/01/30 20:33 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#521 [幸]
‘さっきはごめん…
八つ当たりしてた。

やっぱ羨ましかった。
かなさんが。’



『ううん…私の方こそ
ごめん…。
かけるさんの気持ち
わからなくて。』



その時あの匂いがした。
柔らかい、私の大好きな匂いが…。

⏰:09/01/30 20:37 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#522 [幸]
文化祭も終わり、
かけると一緒にレストランへ向かった。



私はそこで勉強をし、
かけるはピアノを弾いていた。



じじさんが私の方に来て
『今日は何かあったの?』

と聞いてきた。

⏰:09/01/30 20:39 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#523 [幸]
『今日は私の高校の
文化祭だったので一緒に
回ったんです!!』


私はウキウキして答えた。



『楽しかったのかい!?』

じじさんが優しく聞いた。


『はいっ!』


私は笑顔で答えた。

⏰:09/01/30 20:42 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#524 [幸]
『ちょっと話して大丈夫かね?』


『大丈夫ですよ。
休憩しようと思ったんで。』



するとじじさんが
コ―ヒ―を一口飲み、
ゆっくりと語り始めた。

⏰:09/01/30 20:44 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#525 [幸]
かけるはY高校の
不良……だったんだ。
この辺でも有名でね。

あっ、不良っていっても
いきがってる程度でね。


いつも通り、喧嘩をしてたんだって。

でもその喧嘩は激しくて…
そこでかけるは聴力をなくしたんだ。

⏰:09/01/30 20:49 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#526 [幸]
「聞こえねー聞こえねー!!
なんでだ!?
なぜ音が聞こえねーんだぁぁ!?」


裏の倉庫で叫びながら泣いてた。
私はかけるとそこで初めて出会った。


私はかけるをこの店に呼んで
しばらく話たの。

⏰:09/01/30 20:54 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#527 [幸]
話したっていっても筆記でね。


「病院に行こう?
私が連れて行くから。
親は?」


「知らない。」

「なんで?」


「親は金だけ置いて行く。」




なんかね…ショック受けたね。
あの時は。

⏰:09/01/30 20:58 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#528 [幸]
それでね一旦かけるの家に戻って
お金と保険証を取りに来たんだ。


いや―封筒の中に20万あったのは
びっくりしたね。




それで病院に行った…。

⏰:09/01/30 23:05 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#529 [幸]
私もかけるも、喧嘩で
鼓膜が切れただけかと思った。

でも違った…。



神経に障害があったんだ。
その障害のせいで
かけるの耳は奪われたんだ。


手術しても治らない…。

⏰:09/01/30 23:16 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#530 [幸]
『今まで、聞こえてたんだ…。』



自分がいつ、不自由になるかわからない。


五体満足の人たちは
その有り難さがわからないだろう。

自分が、あるいは周りにいる人たちが
五体不満足になったら
初めて実感する……。



私はそうだった。

⏰:09/01/30 23:19 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#531 [幸]
『私がなぜかなさんに
この事を話したかというとね、

……かけるが笑ったんだ。』



『えっ?』


かけるのピアノが静かに
流れていた。

⏰:09/01/30 23:34 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#532 [幸]
『かなさんから文化祭
一緒に回ろうって誘われた!

耳が聞こえなくなってから
初めて女に誘われたって
喜んで私の所に来たよ。』



じじさんも、まるで
かけるを息子のように
可愛がっているせいか、
嬉しそうに話していた。


…そうか……。
だからここはこんなにも
暖かいんだぁ。

⏰:09/01/30 23:37 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#533 [幸]
『なんでもじじさんに
話すんですね。』


私はそう言い、水を一気飲みした。



『そりゃ、かけるは私の子。
…だと思って育ててるもん!』

じじさんは少し強調して言った。

⏰:09/01/30 23:43 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#534 [幸]
『じじさん!!
私今ね、手話覚えてる
最中なの!

じじさん、私と会話してる時も
なるべく手話で話してくれませんか?』




じじさんが羨ましかった。
かけるは私には何も話してくれないし。



って……嫉妬!?

まさかね。相手は男なんだから……。

⏰:09/01/30 23:46 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#535 [幸]
『いいよ。じゃあ今から
始めよう!』



にもかかわらず、じじさんは
笑って答えてくれた。

⏰:09/01/30 23:48 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#536 [幸]
月日は流れ、12月。


クラスメートはみな、
模試の結果で大学を決めてるので、
前よりさらにカリカリしてた。


一方私は1、2年生より
勉強してない。

でも、本当に行きたい
大学が決まったせいか、
家事をしながらの勉強の方が
頭に入る。

⏰:09/01/30 23:52 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#537 [幸]
『かな!』
『ちえみ!!』


今年最後の模試の結果が
配られた。



『A判定だった!!』
『私も!!』


ちえみと一緒にA判定が取れて
嬉しかったというより
ホッとした。

⏰:09/01/30 23:55 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#538 [幸]
『かなはセンターでL大でしょ〜?
頑張ってよ!!』


『オッス!!』



私はセンターのみで受験する。
ちえみはセンターの8割
を取らないと一般を受験
させてもらえないらしい。


でも、お互い頑張らなきゃ!!

⏰:09/01/30 23:57 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#539 [幸]
『かなは〜まだかけるさんと
付き合わないの〜?』


『ブッ!!』



私がパンを食べてる時に
ちえみがそんなことを
言うから、びっくり
して吐いてしまった。


『うわ―!汚い!!』

『ちょ…ちえみのせいでしょ!!』

⏰:09/01/30 23:59 📱:W53H 🆔:Pzd97v82


#540 [幸]
『かなから先に告白
した方がいいと思うけどなぁ。』


『ゴホッ…なんで?』

『障害がある人って
なかなか自分に素直になれないと思う。

もしかなが本当に好きなら
告白したら〜?』



ちえみの言うとおりかも…。

⏰:09/01/31 00:02 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#541 [幸]
『いいこと言うね!!』

『ちえみ様だから!』



ちえみはこうなんだから…。
でも、それがちえみのいいところ……。


告白…かぁ。。。

⏰:09/01/31 00:04 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#542 [幸]
告白……。

しばらく考えこんだ。


『むっ…無理!!』



ガタンと音をたてながら
座っていたイスから立ち上がった。


ちえみも、クラスメートも
驚いた顔で私を見た。

⏰:09/01/31 00:25 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#543 [ぽぽ]
この小説、一番好き
頑張って下さいね

⏰:09/01/31 01:17 📱:F01A 🆔:5XQ2sksE


#544 [幸]
>>543
本当にありがとうございます



頑張らさせていただきます

⏰:09/01/31 01:41 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#545 [幸]
ここ最近、
私はかけるがピアノを弾く日は
必ず私も勉強をしながら
演奏を聞いていた。



そして終わった後、
私を家まで送ってくれる。

それが当たり前のようになっていた。
でも、その当たり前があって
本当に嬉しかった。

⏰:09/01/31 01:44 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#546 [幸]
かけるがピアノを弾いている日は
月、水、金曜日。

火、土曜日は普通にあそこで
バイトをしてる。



私は正直、かけるの過去も今も知りたい…。

でも、この前、じじさんから聞いた
かけるの過去。

⏰:09/01/31 01:46 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#547 [幸]
私には両親亡くなったって
言ったくせに……。



この疑問が今になっても消えない。

…私もまだ聞きたくないのかもしれないが……。

⏰:09/01/31 01:47 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#548 [幸]
『明日から冬休みだ!!

いいなっ!!受験生の
クリスマスとお正月は
3月だっ!!

3月にクリスマスツリーや
鏡餅を飾りなさい!!』




『んな奴いねーよ。』

伊勢のいい声をあげる先生と
どっと笑うクラス。


あと少しでセンター試験。

⏰:09/01/31 01:51 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#549 [幸]
やはり、かけるに告白なんてできない。


だって、今センター試験の勉強なんだもん!!




今日は金曜日。
私は6時まで学校で勉強し、
かけるのレストランへ行った。

⏰:09/01/31 01:53 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#550 [幸]
『やあ、かなさん。』
『じじさん、こんちは。』


私はいつもの席に座った。

『クリスマス、かけると過ごすの?』

じじさんにいきなりそう聞かれ、
驚く私。

⏰:09/01/31 01:55 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#551 [幸]
『な…なぜですか?
そんなこと、言われませんよ。』


『そ―かい。ん〜…』


じじさんはしばらく考えこんでいた。


『どうしたんですか?』


と、聞いてみた

⏰:09/01/31 17:46 📱:W53H 🆔:93T71IzM


#552 [幸]
『いや、聞いてみただけ。
センター、頑張ってな!!』



じじさんはそう言うと、
仕事を始めた。


クリスマスね…
そりゃ、かけると過ごしたい…。

でも無理だよね。

⏰:09/02/01 12:35 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#553 [幸]
私はいつも通り、
かけるの綺麗なピアノを聞きながら
勉強をした。





‘帰ろう’

かけるにそう言われ
いつも通り一緒に帰った。

しかし、いつもとは違う雰囲気だった。

⏰:09/02/01 12:38 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#554 [幸]
いつもならくだらない会話で盛り上がるのに、

今日は会話など全くしない。




『どうしたの?』

聞いてみた。
するとかけるは頭をかいて
ゆっくり手話を始めた。

⏰:09/02/01 12:40 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#555 [幸]
‘明日も勉強するの?’

『うん…。』



心臓の音が五月蝿い。
なんでかけるだと
こんなにも心臓が騒ぎだすのか?

⏰:09/02/01 12:42 📱:W53H 🆔:M8rkFUEs


#556 [幸]
‘夜ご飯だけ…時間とれる?’




いつもとは遅いペースで
手話をした。



きた―!
よしっっ!!

『うん!!』


と、返事をした。
今、私はどんな顔をしてるのかな?

かわいい顔ならいいんだけどなぁ。

⏰:09/02/02 00:15 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#557 [幸]
‘まじで!?’

かけるの手話がいつもより
早くなった。


『まじで。』


この会話が筆記だったら
ハ―トをつけたい気分だった。

⏰:09/02/02 00:17 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#558 [幸]
クリスマス当日。
私は朝早く起きて勉強をした。


そして、家事をし
父さんの夜ご飯を作った。




慣れない化粧のせいか、
予想以上に時間がかかった。


集合は6時。
初めて出逢った所に。。

⏰:09/02/02 00:20 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#559 [幸]
私は早めに家を出た。
ゆっくりと歩き出す。



10分前に到着してしまった。

ここで、初めて出逢ったことを思い出した。



私が泣いてて…
いきなりハンカチだしてきて…。

⏰:09/02/02 00:22 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#560 [幸]
私からアドレスを聞いて…。


…あの少年と出逢ったからだ。
そして自分の愚かに呆れて
泣いたんだ。


あの少年に出逢ってなかったら
かけるに会うことはなかったんだ…。



あの少年は元気なのかな…?
うまくやってるのかな?

⏰:09/02/02 00:24 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#561 [幸]
あの少年のおかげで
心理学を学ぼうと思った。


今の私がいるのは…
あの少年のおかげ……。

そ―いやなんで私はあの時
おにぎりをあげたのかな?

⏰:09/02/02 00:26 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#562 [幸]
ツンツンと優しくつつかれた。


後ろにかけるがいた。
私は現実に戻り、
今ここにある幸せを感じた。



‘待った?’
『大丈夫だよ。』

⏰:09/02/02 00:28 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#563 [幸]
するとかけるはいきなり
私の右手をとった。
そして優しく繋いだ。




ドキッと心臓が大きく動いた。
そして小さくドキドキと
リズムに合わせて動き始めた。


‘だいぶ待っただろ?
手冷たいよ!’

⏰:09/02/02 00:31 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#564 [幸]
『じゅっ…10分くらいだけだよ』


急に恥ずかしくなり
手を離してしまった。



なにやってんだよ!?
私………
馬鹿か!?
こんないいチャンスを。

‘場所はどこがいい?’

⏰:09/02/02 00:34 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#565 [幸]
『かけるのピアノが聞きたい!』


私は慌てながら言った。

‘いつも聞いてるだろ’
『“耳なしほういち”
を聞きたいの!』




するとかけるは怒った顔で

‘ダメだっっ!!’


と手話をした。

⏰:09/02/02 00:37 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#566 [幸]
『…かける…?』


なんでそんなに怒るの?


かけるは少し慌てた様子で

‘俺ん家で聞かせるから’

と手話をした。

⏰:09/02/02 16:38 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#567 [幸]
『場所なんかどこでもいいから…』


‘そうか。’



なんであんなに慌てるのかな?



私たちはかけるの家へ目指した。

⏰:09/02/02 16:40 📱:W53H 🆔:ksjK79ro


#568 [幸]
かけるの家で“耳なしほういち”
を聞いた。


この曲を聞くと、本当に
他のことがどうでもよくなってくる。

⏰:09/02/03 11:04 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#569 [幸]
弾き終わった時
かけるが話をかけてきた。


‘耳なしほういちっていう話
しってるだろ?’

『確か、師匠さんが
とりつかれている坊主に
呪文を書いたが
耳だけ書かなかったから
耳だけ取られた…』



‘ああ’

⏰:09/02/03 11:07 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#570 [幸]
かけるは私の側に来て
また話し始めた。



‘俺もそんな気分だったよ
…あの時。

普通に生活してある日
突然……。’



なぜ人はみな普通の、
健康な体にはならないのか?

なにかしら障害があるのか?

⏰:09/02/03 11:11 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#571 [幸]
‘文化祭のとき変な奴ら
いたろ?

あいつらと昔連んでたんだ。


んでその中の1人な、
障害者の金を取ったんだ。
俺らみんなでそいつを
殴った。
弱い者から金とっても
うれしくね―って感じで。

そのケンカで耳が聞こえなくなった…’

⏰:09/02/03 11:18 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#572 [幸]
‘俺、最初パニクって
半殺し程度に棒でそいつを
殴っちゃって…。


それから学校も辞めて
通信に通ったんだ…。’


かけるが全部話した後
私を見た。
私はかけるの話の内容が
グロすぎて青くなっていた。

⏰:09/02/03 11:21 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#573 [幸]
‘だっ…大丈夫か?’


『かけるって…凄い
高校生活だったんだね。』



しばらく見つめ合った。
どんなに変な話の内容でも
かけるがいれば笑いたくなる。

しばらく見つめ合った後
笑いあった。

⏰:09/02/03 11:26 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#574 [幸]
夜ご飯はかけるが作った
パスタを食べた。



誰にでも作れるような
パスタだったが
頬が落ちる程おいしかった。


食後にケ―キも食べた。

⏰:09/02/03 11:29 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#575 [幸]
ケ―キもおいしかった。

かけると一緒に食べると
なんでもおいしいと感じるのはなぜ?



なんて幸せ。
この幸せがこの先ずうっと続いたら……。

⏰:09/02/03 11:32 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#576 [幸]
翌日。
クリスマスも終わったから
今日からはずうっと勉強だっ!!



そう気合いを入れ
机に向かった。



12時に昼ご飯を作って食べて
また勉強を再開した。

⏰:09/02/03 11:35 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#577 [幸]
7時頃。
私が夜ご飯の最中に
かけるからメールが来た。

メールを開いてみた。

‘勉強お疲れ様。
元旦、一緒に初詣に行かないか?’

⏰:09/02/03 11:39 📱:W53H 🆔:J3LKlyhs


#578 [幸]
が…元旦!?
うわっ……
ちょ―嬉しい!

好きな人と初詣なんて。。。
来年は絶対いい年になるっっ!!



‘はいっ!’


送信……。

⏰:09/02/05 23:48 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#579 [幸]
元旦まであと5日!!
真面目に頑張るっ!!

私は朝ご飯も食べずに
勉強を始めた。



恋をすると人は異常に
頑張れる気になる。

最近の中高生は恋愛に
はまっている。
彼氏がいないと馬鹿にされる。
私はそうだった。

だから勉強ばかりな私には
恋なんて馬鹿みたいだと思ってた。

⏰:09/02/05 23:53 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#580 [幸]
でも違うんだね。
やっぱり恋はいいと思う。


特に勉強ばかりしていた私にとって。

⏰:09/02/05 23:59 📱:W53H 🆔:QrNZpdn.


#581 [幸]
元旦―。



‘9時に神社で待ち合わせ’

と、メールが来たので
行ってみる。

初詣は今まで友達と
行ったことがあったので
そのたびに母さんが
着付けをしてくれた。


でも今年は無理だ。

⏰:09/02/06 00:02 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#582 [幸]
「悪いな、着付けできなくて…」


そう謝ってくれた父さんが
とても愛くるしかった。


私は私服で電車に乗った。
みんな可愛らしい着物を着ていた。
羨ましかったけど、
私は我慢しなきゃ。

父さんに悪いから…。
ガキじゃないし…。

⏰:09/02/06 00:04 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#583 [幸]
‘やぁ!!’
『かける!!』


かけるは私より先に神社に来ていた。
かけるも私服だった。



‘さぁ、お祈りに行きましょう’
『うん!!』


それにしても凄い人だ。

⏰:09/02/06 00:08 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#584 [幸]
当たり前か。
みんな考えてることは
私と一緒だもん。




いざ、お祈りへ。
かけるは自分の財布から
5円玉を投げ、手を2回
誰よりも大きく叩いて
祈った。



とても真剣に…。

⏰:09/02/06 00:10 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#585 [幸]
私は100円を投げようとしたが、
それを見たかけるに止められた。


‘100円も?’
『え…駄目?』
‘別にいいけど。’


私は100円を投げ
手を2回叩いて祈った

⏰:09/02/06 00:13 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#586 [幸]
私たちは神社の周りを
散歩した。
そしてかけるに

‘手話上手くなったね’
と、誉められた。


『勉強したもん!!』
私は鼻を高くして言った。

『ねえ、なんでさっきは100円投げようとしたら、止めたの?』

ついでたからそう聞いた

⏰:09/02/06 00:17 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#587 [幸]
‘いや…俺は神様とか
信じないから…かな?

金やればいいことするのかよ
って思って、
神様は賄賂してんのかよ
って感じてたからさぁ。’


かけるはちょっと照れくさそうに話した。

私は思わず笑ってしまった。

⏰:09/02/06 00:19 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#588 [幸]
『あはっ!賄賂って…』
‘だってそうじゃん?’


『でも、そのわりには
真剣に祈ってたじゃん?
手もあんなに大きく叩いて。』


‘じゃあ、神様ってどこにいると思う?’


突然の質問に私は口止まってしまった。

⏰:09/02/06 00:23 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#589 [幸]
『ん〜天の上…?』


‘神社の中の神様は
後ろを向いてるんだ。
しかも戸も閉まってる。
だから人と同じような
音の大きさで叩いても
神様だって気づかないだろ?
だから人よりも目立つことをして
神様にわからせてあげなきゃ’



『へぇ〜』

知らなかった…

⏰:09/02/06 00:27 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#590 [幸]
『なんでそんなに詳しいの?』

‘一応大学生だからね。
文学部に入れば教えて貰えるよ。’




やはり、大学はそんな
細かい所も勉強して
凄いと感じた。

⏰:09/02/06 00:29 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#591 [幸]
『ん…?
てことは、やっぱりかけるだって
神様信じてるの?』

‘信じてねーよ。
俺から誘ったんだから
祈らなきゃじゃん!?’


『じゃあ神社に行こう
なんて誘わなきゃよかったじゃん?』



するとかけるは、
私の肩を両手で掴み…

⏰:09/02/06 00:33 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#592 [幸]
‘そんなの、お前と会うための
口実だよ’

と話した。



ドキッと大きく心臓が動いた。

私の手話の読みとり方
間違ってないよね?

そう自分に説いきかせながら
真剣な目のかけるを見続けた。

⏰:09/02/06 00:35 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#593 [幸]
‘かな…’


かけるはおそらく
指文字で手話をしたのか、
私には分からなかった。

ただかけるの後ろから
自転車のベルが鳴っていた。

⏰:09/02/06 00:38 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#594 [幸]
私はとっさに
『危ない!』

と言い、かけるの二の腕を取り
精一杯の力で私の方に
引っ張った。


なんとか自転車と
ぶつからずにすんだが、
私とかけるとの距離が短くなった。

⏰:09/02/06 00:41 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#595 [幸]
‘ありがと’


かけるは一歩後ろに下がり
礼を言った。
その顔はとても悲しそうだった。



‘そろそろ帰ろうか?
勉強頑張らなきゃだし。’

かけるはそう話すと歩き出した。

⏰:09/02/06 00:43 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#596 [幸]
やめてよ。
そんな顔、嫌い…。
私の前では笑ってよ。
私の大好きなあなたの笑顔を見たい。



しかし、そんな私の願いは叶わず
かけるは私の家に送るまで
ずうっと、所々暗い顔をしていた。


もしかしたら、この一年、
最悪な一年になるのかもしれない…

⏰:09/02/06 00:48 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#597 [幸]
『聞いたよ。
かけると一緒に初詣に
行ったんだって?』



私はじじさんの所で
勉強をしていたらそう聞かれた。


『はい…
でもその前に、
明けましておめでとうございます。』

『あっ、おめでとうございます』


新年の挨拶をした。

⏰:09/02/06 00:53 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#598 [幸]
『どうだった?』

じじさんは興味津々に
聞いてきた。


『別に…。
てか!今気づいた!!』

私は思わず立ち上がってしまった。

『なにを?』
じじさんは驚いてた。

⏰:09/02/06 00:55 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#599 [幸]
『かけるって、ある日
突然耳が聞こえなくなった…
てことは、しゃべれるじゃん!?』



するとじじさんは
“それか…”と呟き
アイスティ―を飲んだ。

聞いちゃいけなかったかな?

そんな雰囲気がした。

⏰:09/02/06 00:58 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#600 [幸]
『自分の話してる声が
聞こえないから
どのくらいの音量で話せばいいか
わからないんだよ。

それでもかけるは試そうとしたけど
余計にだめで…
さらには精神的な問題で
話せなくなったんだ…。』



風が強い日だった。
窓がその強い風のせいで泣いていた。

⏰:09/02/06 01:01 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


#601 [幸]
>>592
すみませんホホ

手話の読みとり方

ではなく、

口パクの読みとり方でしたm(_ _)m

⏰:09/02/06 01:05 📱:W53H 🆔:Li7Rh2v.


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