人生の案内板
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#516 [幸]
『うっ……かける兄…』
1人の男がそう呟いた。
かける…兄!?
…兄!?
『かっ…風見先輩っっ』
他の人たちもみな、言葉を失った。
:09/01/30 20:19 :W53H :Pzd97v82
#517 [幸]
『知り合いなの?』
私は手話で聞いてみる。しかしかけるは黙っていた。
『姉ちゃん!!通訳してくれ。』
チンピラの1人がこう頼んだ。
私は黙ってうなずいた。
:09/01/30 20:22 :W53H :Pzd97v82
#518 [幸]
かけるはチンピラたちを
見ながら手話を始めた。
『‘もうお前らと話すことはない。
早く俺の前から消えろ。’と…。』
『かける兄!!
俺ら…あんたに謝りたくて…』
私は一生懸命通訳をする。
:09/01/30 20:27 :W53H :Pzd97v82
#519 [幸]
『‘嫌、あの時は俺の
方が悪かった。
すまなかった…。
だから早く俺の前から
消えろ。
さもないと、俺の体が
耳がてめえらを許さない。’と…。』
『すみませんでした!!』
と、チンピラは大きな声をあげながら
消えて行った。
:09/01/30 20:30 :W53H :Pzd97v82
#520 [幸]
かけるはゆっくり歩き始めた。
『かけるっ!!』
私は必死にかけるの腕を
掴もうとした。
しかし、かけるはくるっと振り返った。
そして手話をし始めた。
:09/01/30 20:33 :W53H :Pzd97v82
#521 [幸]
‘さっきはごめん…
八つ当たりしてた。
やっぱ羨ましかった。
かなさんが。’
『ううん…私の方こそ
ごめん…。
かけるさんの気持ち
わからなくて。』
その時あの匂いがした。
柔らかい、私の大好きな匂いが…。
:09/01/30 20:37 :W53H :Pzd97v82
#522 [幸]
文化祭も終わり、
かけると一緒にレストランへ向かった。
私はそこで勉強をし、
かけるはピアノを弾いていた。
じじさんが私の方に来て
『今日は何かあったの?』
と聞いてきた。
:09/01/30 20:39 :W53H :Pzd97v82
#523 [幸]
『今日は私の高校の
文化祭だったので一緒に
回ったんです!!』
私はウキウキして答えた。
『楽しかったのかい!?』
じじさんが優しく聞いた。
『はいっ!』
私は笑顔で答えた。
:09/01/30 20:42 :W53H :Pzd97v82
#524 [幸]
『ちょっと話して大丈夫かね?』
『大丈夫ですよ。
休憩しようと思ったんで。』
するとじじさんが
コ―ヒ―を一口飲み、
ゆっくりと語り始めた。
:09/01/30 20:44 :W53H :Pzd97v82
#525 [幸]
かけるはY高校の
不良……だったんだ。
この辺でも有名でね。
あっ、不良っていっても
いきがってる程度でね。
いつも通り、喧嘩をしてたんだって。
でもその喧嘩は激しくて…
そこでかけるは聴力をなくしたんだ。
:09/01/30 20:49 :W53H :Pzd97v82
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