人生の案内板
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#814 [わをん◇◇]
昨日から何かが変だ。前向きだが、何かが違う。わたしは母が家に入って来ないことに気付いた。母の声が再生される。


「私もこのまま出ます」

 出る?

⏰:23/01/06 18:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#815 [わをん◇◇]
何処へ?何故、一昨日帰ってこなかった?何故、一昨日普段着だった?

 何かに弾かれたように家を出る。キョロキョロと辺りを見渡せば、彼方に母の後ろ姿が見えた。わたしは走って後を追う。おかしい。人間のあたまで考えるのも変だが、どうもおかしい。わたしは死んだ。それならば。消滅するのはいつだ?

⏰:23/01/06 18:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#816 [わをん◇◇]
三途の川はどこ?そこにはいつ行くの?それに、まだ見ていない。わたしという死者が存在しているのに、わたし以外の死者の姿を。


 わたしは何だ?

⏰:23/01/06 18:47 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#817 [わをん◇◇]
ひとつの希望があたまに浮かんだ。希望を断たれた時に傷付くのは嫌だが、往生際が悪いのはわたしの性格だ。だが、それに賭けてみたかった。わたしは死んでしまった。だけど、夢くらいは見ても罰は当たらないだろう。希望くらいは持っても、神様は許してくれるだろう。

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#818 [わをん◇◇]
母の隣を歩き、やがてある建物に着いた。ここは、


「病院?」

 白に統一された建物を見て、気持ちは高鳴った。落ち着け、わたし。まだ早い。答えは母について行けばわかるだろう。

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#819 [わをん◇◇]
施設に入ると、内部を一瞥(いちべつ)してから母は受付を済ました。エレベーターで三階に上がると、廊下を通り抜け、ある病室の前で立ち止まる。母がドアを開ければ、中は個室になっていた。室内を見て、目を丸くした。

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#820 [わをん◇◇]
「なんで?」

そこには。病室のベッドに身を埋めて眠る自分の姿があった。口元には呼吸を助けるためなのか、規則正しい音を出す機械が伸びている。呆然とするわたしの前で、母は、せっせと世話をし始めた。

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#821 [わをん◇◇]
花瓶の水を変えている母を眺めていたら、ふと我に返る。即座に病室の前の名札を見に行けば、桜井千恵と書かれていた。間違いない……わたしだ。もう一度目を向けると、ベッドの上の自分は眠るように胸を上下させていた。予想は当たっていた?わたしは死んでなかった?

⏰:23/01/06 18:48 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#822 [わをん◇◇]
夢を見ているのではないか。喜びと同時に疑問も溢れた。母や父が元気になった理由は頷ける。


 しかし、自分の葬式は確かにあった。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


#823 [わをん◇◇]
ならば。いつ、わたしは生き返ったのだろうか。いやそれより、何故、わたしは肉体に戻れないのだろうか。これは意識不明の昏睡(こんすい)状態というものか。それとも植物状態というものか。それより。

⏰:23/01/06 18:49 📱:Android 🆔:pRdUKMH2


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