双子の秘密
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#114 [ゆーちん]
私は聞いてみた。
「私、先生に授業教わってない。」
「うん、そうねー。」
「何で私の名前知ってんの?」
「教師だもん。」
「ふーん。私のクラス全員の名前わかるの?」
「わかんねぇよ?斗美だけしか知らない。」
「だから何で私だけの名前知ってんの?」
:08/12/08 20:48 :SH901iC :xLeVnYmI
#115 [ゆーちん]
呆れ笑い混じりの質問に先生は笑顔で答えた。
「男だもん。」
「…意味、わかんない。」
「んー、わかんない?斗美の名前だけ、ちゃんと知ってるんだよ、俺。」
「どうして?」
「言ってんじゃん。俺だって男だもん。」
見つめ合いながら無言の会話をした。
:08/12/08 20:49 :SH901iC :xLeVnYmI
#116 [ゆーちん]
自惚れても、いいのかな。
いつもなら私に好意がある男が現れても動揺なんてしないけど…先生のような20代の人と付き合った事がない私は、戸惑うばかりだった。
:08/12/08 20:49 :SH901iC :xLeVnYmI
#117 [ゆーちん]
「え…あの…」
「ブッ。テンパりすぎ。」
「だって意味が…」
「バカだから意味もわかんないのか〜。残念だな。」
先生はニコッと笑い、私の肩に手を乗せ、グッと立ち上がった。
「バカだけどバカじゃないし。」
「そういう発言がバカっぽいんだよ。」
「…うるさいな、もう。」
:08/12/08 20:50 :SH901iC :xLeVnYmI
#118 [ゆーちん]
怒ったフリをすると先生は声を出して笑った。
「ハハッ。んじゃ俺は戻るねー。」
「さっさとどっか行っちゃえ。」
「可愛くねーの。バイバイ。」
「…バイバイ。」
:08/12/08 20:51 :SH901iC :xLeVnYmI
#119 [ゆーちん]
煙草臭い中に甘い香水の匂いがした。
ほんの少しの甘い匂いを残し、先生は屋上から降りて行く。
再び一人ぼっちになった屋上で、運動場を見下ろしながら考えた。
さっきの先生が言った意味、やっぱそういう意味なのかな。
自意識過剰になってもいいのかな。
先生、私に好意持ってくれてるのかな。
だとしたら、どうすればいい?
付き合うの?
:08/12/08 20:52 :SH901iC :xLeVnYmI
#120 [ゆーちん]
いつもの私なら告白されれば大体OK。
来る者拒まず。
誰にでも足開いててさ。
でもね、最近はちょっと違うんだ。
上辺だけの恋人とかSEXとか…面倒なんだよね。
もし先生に告白されても、今の私なら断ると思う。
って、自惚れすぎか。
:08/12/08 20:54 :SH901iC :xLeVnYmI
#121 [ゆーちん]
ファンの子に屋上から突き落とされかねないね。
変な妄想をストップさせ、私も屋上を降りた。
ちょうどチャイムが校内に鳴り響いた時だった。
:08/12/08 20:55 :SH901iC :xLeVnYmI
#122 [ゆーちん]
その2日後。
また屋上で、私の隣で美味しそうに煙草を吸う由良先生の姿があった。
「先生さぁ。」
「ん?」
「いつから煙草吸ってんの?」
「斗美ぐらいの時から。」
「ふーん。」
:08/12/08 20:55 :SH901iC :xLeVnYmI
#123 [ゆーちん]
最初は、先生が隣にいるから昼寝できないじゃんって思ったけど、話をしてるうちに睡魔なんか飛んでっちゃった。
他愛もない話をしながら空を見上げる二人に、今日も優しい風が吹く。
:08/12/08 20:56 :SH901iC :xLeVnYmI
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