双子の秘密
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#140 [ゆーちん]
〔斗羽〕
高校生になってバイトを始めた。
駅前のカフェ。
人見知りをするというコンプレックスがあるからこそ、あえて接客業を選んだ。
どんな時でも笑顔を作ってなきゃいけないという役割。
:08/12/08 21:09 :SH901iC :xLeVnYmI
#141 [ゆーちん]
最初は恥ずかしかったものの、1ヵ月もすれば自然に笑顔を浮かべる事ができていた。
「斗羽ちゃん!」
「あ、いらっしゃいませ。来てくれたんだ。」
このバイトのおかげで人見知りが少しは治ったのか、中学時代なんかと比べられないくらい友達が増えた。
:08/12/08 21:10 :SH901iC :xLeVnYmI
#142 [ゆーちん]
「カフェオレ1つね。たっくんは?」
友達の恵は彼氏と来てくれた。
「俺アイスカプチーノ。」
「カフェオレ1つとアイスカプチーノ1つですね。合計720円になります。」
「はいよ〜ん。」
「あ、俺出すわ。」
たっくんと呼ばれる彼氏がお金を払うと、恵は甘えた声で『ありがとう。』と何度もお礼を言っていた。
:08/12/08 21:10 :SH901iC :xLeVnYmI
#143 [ゆーちん]
彼氏ねー…。
聡志以来、彼氏はいない。
欲しいと思うけど、今度付き合うならHなんかしない人がいいなー、なんて。
そんな性欲ゼロの人なんていないか。
:08/12/08 21:11 :SH901iC :xLeVnYmI
#144 [ゆーちん]
「ごゆっくりどうぞ。」
「ありがとね、斗羽。」
商品を受け取ると恵たちは奥のテーブルに向かった。
その後、店はなかなか忙しくて恵たちが、いつ帰ったのか気付かなかった。
いつの間にか上がる時間になっていて、店長から『上がっていいよ。』と言われたので、店の制服から学校の制服に着替え、家へと歩き出す。
:08/12/08 21:11 :SH901iC :xLeVnYmI
#145 [ゆーちん]
駅前は明るく賑わっているので怖くない。
だけど駅前から少し離れると急に暗くて不気味な道があり、いつもビクビクしながら帰ってた。
こんな時、送り届けてくれる彼氏とかいたらなー…。
:08/12/08 21:12 :SH901iC :xLeVnYmI
#146 [ゆーちん]
梅雨が明けると夏が来る。
店内は涼しくて、お客さんは涼みついでに来店してくるので毎日忙しかった。
「桜井さん、申し訳ないんだけど1時間延長してもらえる?」
店長に頭を下げられちゃ断るにも断れないよ…。
夜道が怖いから、出来るだけ早く帰りたいけど…仕方ないよね。
「はい、わかりました。」
:08/12/08 21:13 :SH901iC :xLeVnYmI
#147 [ゆーちん]
いつも21時に上がるけど、今日は22時上がり。
「お疲れ様でした。」
店を出ると、ムッとした暑さが私を待ち構えていた。
明るい駅前を歩き、嫌いな暗い道を歩く。
一人ぼっちだと怖い。
だけど誰かいても怖い。
どっちにしろ、この道は怖い。
:08/12/08 21:13 :SH901iC :xLeVnYmI
#148 [ゆーちん]
やだ、やだ。
早く帰ろ…。
と、その時だった。
「桜井さん。」
心臓が跳ね上がった。
誰もいないと思っていたのに後ろから声をかけられ、私は慌てて振り返った。
:08/12/08 21:14 :SH901iC :xLeVnYmI
#149 [ゆーちん]
「あ…園田さん。」
後ろにいたのは園田さんだった。
バイト先の正社員の人。
確か25歳って言ったかな。
「ごめん、驚かしちゃった?」
無邪気に笑う園田さんと、10も歳が離れてるなんて思えない。
:08/12/08 21:15 :SH901iC :xLeVnYmI
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