双子の秘密
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#148 [ゆーちん]
やだ、やだ。
早く帰ろ…。
と、その時だった。
「桜井さん。」
心臓が跳ね上がった。
誰もいないと思っていたのに後ろから声をかけられ、私は慌てて振り返った。
:08/12/08 21:14 :SH901iC :xLeVnYmI
#149 [ゆーちん]
「あ…園田さん。」
後ろにいたのは園田さんだった。
バイト先の正社員の人。
確か25歳って言ったかな。
「ごめん、驚かしちゃった?」
無邪気に笑う園田さんと、10も歳が離れてるなんて思えない。
:08/12/08 21:15 :SH901iC :xLeVnYmI
#150 [ゆーちん]
「あの、何してるんですか?こんな道で…」
「さて問題。園田さんは何をしてるんでしょーか?」
園田さんは歩き出した。
私は園田さんの隣を歩く。
「まだ勤務中ですよね。あ、わかった!買い出しだ。」
「お〜、さすが頭のいい高校行ってるだけあるね。正解。」
:08/12/08 21:15 :SH901iC :xLeVnYmI
#151 [ゆーちん]
久しぶり。
聡志以来だ。
この道を誰かと歩いて、怖いと感じなかったのは。
「やっぱり。何の買い出しですか?」
「ティッシュ。ストック切れてるのも忘れてたんだって。店長ボケてんじゃねーの?」
声を出して笑い合った。
:08/12/08 21:16 :SH901iC :xLeVnYmI
#152 [ゆーちん]
「店長にチクりますよ?」
「んな事したら桜井さんのロッカーにカエル入れてやるし。」
「やー!絶対嫌です!やめて下さいよ?」
「アハハ。桜井さん次第だねー。」
「言いませんよー!でも、なんでこんな道歩いてるんですか?駅前のコンビニでもティッシュぐらいありますよ。」
:08/12/08 21:17 :SH901iC :xLeVnYmI
#153 [ゆーちん]
「だってコンビニ高いじゃん。ここ通って行ったらドラッグストアあるっしょ?あそこ安いし、俺ポイントカードあるもん。」
「ポイントカードって!」
「あれ?ポイントカード、バカにしちゃう系?」
「バカにはしてないですけど、園田さんはポイントカードとか似合わなくって。」
:08/12/08 21:17 :SH901iC :xLeVnYmI
#154 [ゆーちん]
「あー、よく言われる。でもうちの奥さん、ポイントカードとか割引券とか好きでさ。その影響。」
…驚いた。
結婚、してたんだ。
私だけが知らなかったのかもしれないけど、指輪はしていないし、誰からも聞かなかったから驚きで言葉が出なかった。
:08/12/08 21:18 :SH901iC :xLeVnYmI
#155 [ゆーちん]
「煙草吸っていい?」
「あ、はい。」
歩き煙草する人は嫌い。
だけど園田さんは嫌いじゃない。
出たよ、私のわがままっぷり。
わがままって言うか矛盾してる筋の通ってないだけの女、みたいな。
やだな。
:08/12/08 21:20 :SH901iC :xLeVnYmI
#156 [ゆーちん]
「車で行けば一瞬だけどガソリン高いじゃん?どうせ仕事サボれるんだから、歩いて時間掛けまくってやろーって思ってさ。」
「健康にも、いいですもん…ね。」
「俺がメタボ予備軍とでも言いたいのか、女子高生め!」
「アハッ。違いますよ。」
結婚してるなんて驚きだったけど、私には関係ない。
:08/12/08 21:20 :SH901iC :xLeVnYmI
#157 [ゆーちん]
家の近くで別れ、園田さんは24時の閉店時間までの勤務を『仕方ないから頑張るわー。』と言って、ドラッグストアに向かって歩いて行った。
大きな背中を見えなくなるまで見送り、私は家に帰る。
「ただいま。」
「おかえり。遅かったわね。」
ママが出迎えてくれた。
:08/12/08 21:21 :SH901iC :xLeVnYmI
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