双子の秘密
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#232 [ゆーちん]
夜道を進むと公園の中で、園田さんが携帯電話を触っている姿が見えた。
「園田さんっ!」
「おっ!って、あぁー!」
私に気付いて驚いたのと、携帯から鳴り響く機械音にも驚く園田さん。
:08/12/09 13:22 :SH901iC :8SSDAWso
#233 [ゆーちん]
「どうしました?」
「…ゲームオーバー。」
見せてくれた画面には虚しい文字が並んでいた。
「アハハ。ゲームしてたんですか。」
「うん。でも来るの早かったね。」
「すぐ近くなんで。」
「走って来たの?」
「え?いや…別に。」
小声になる私。
:08/12/09 13:24 :SH901iC :8SSDAWso
#234 [ゆーちん]
走ったなんて、なんだか少し恥ずかしくってさ。
俯いていると園田さんは私の手を握った。
「車あっちに停めてあるから。行こっか。」
「…はい。」
短く、甘い、デートが始まるんだ。
:08/12/09 13:24 :SH901iC :8SSDAWso
#235 [ゆーちん]
◆◇◆◇◆◇◆
初めてのデート
◆◇◆◇◆◇◆
:08/12/09 13:25 :SH901iC :8SSDAWso
#236 [ゆーちん]
園田さんの車は、居心地が悪かった。
奥さんも乗っているのだろうか。
所々、奥さんの趣味が出ている。
娘さんが使うようなタオルも後部座席に忘れている。
:08/12/09 13:26 :SH901iC :8SSDAWso
#237 [ゆーちん]
『どこ行きたい?』なんて園田さんは聞かなかった。
ただ車をスイスイ走らせるだけ。
嫌な気分になりつつ、園田さんの時々見せてくれる笑顔でまた幸せになれる。
天国と地獄の差が激しいんだね、不倫って。
:08/12/09 13:27 :SH901iC :8SSDAWso
#238 [ゆーちん]
初めて入ったラブホテルは甘ったるい匂いがした。
デートって言っても、きっとこういう事なんだって覚悟はしていた。
不倫=体だけ、って事もわかってるつもりだった。
だけどどこか期待していた。
:08/12/09 13:39 :SH901iC :8SSDAWso
#239 [ゆーちん]
聡志と付き合っていた頃のデートって言うのは、食事をしたり買い物をしたり映画を見たり。
だけど聡志の時とは違う。
これは不倫だから。
園田さんが迷いもせずにラブホテルに入った事が、私たちはそういう関係なんだと無言で訴えられてる気がして変に心が痛かった。
:08/12/09 13:39 :SH901iC :8SSDAWso
#240 [ゆーちん]
宿泊じゃなく、休憩にしたところがまた辛い。
わかってるんだけど辛い。
だけどこの辛さも含めて、私は園田さんとの関係を決めたんだ。
「おいで。」
ベットの上から手招きする園田さん。
:08/12/09 13:40 :SH901iC :8SSDAWso
#241 [ゆーちん]
鞄をテーブルの上に置き、私は彼の傍に寄った。
「園田さん。」
「ん?」
私の肩を抱き、髪にキスをする彼の左手に、やっぱり指輪はなかった。
「好き。」
「うん。俺も。」
髪から頬に移動した唇は、ゆっくりと私の口を塞いだ。
:08/12/09 13:41 :SH901iC :8SSDAWso
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