双子の秘密

今までの彼氏は、太ももなんか触らなかった。

触るのは援交の客ぐらい。

てことは、先生も親父と同じエロ思考って事？

えー。

なんかショックー、すっごいヤダー。

「ねぇ、何で足なんか触んの？」

「気持ち良いからじゃん。」

「気持ち良い？こんなプニプニな足が？」

「張りあってスベスベでプニプニじゃん？おっさんにもなれば若い子に触ると興奮すんだよー。」

あぁ、やっぱそうなんだ。

「こっちはくすぐったいだけだし。」

「ま、別に興奮したいだけで触ってるんじゃないし。」

「え？」

…何？

他にも何かエロスな理由でもあるのかな。

先生は上目になりながら言った。

「好きだから触れたいんだよー。」

…ヤバイ。

今いい事言ったよ、由良先生。

体が一気に熱くなった。

「ねぇ。」

「はい？」

「…今日、放課後、先生とデートしたい。」

「喜んで。」

夏休みが近付く暑苦しいあの日、私は初めて自分からデートの誘いを入れた。

緊張なんてしなかった。

誘わずにはいられなかったから。

バイトはキャンセルだ。

今日はこの人と居たい。

この人と笑いたい。

この人に触れたいし、触れられたい。

こんな事を思ったのは初めてだった。

とびっきり甘いキスをしてから、先生は私の乱れた服を整えてくれた。

「放課後の楽しみが出来たので、６時間目は頑張って乗り越えましょうね。」

「アハハ。先生もね！」

足の上から降りると、妙にスカートの中が寒く感じた。

こんな暑い日でも人肌はやっぱり心地いいものなんだ。

待ち合わせ場所は私の家の玄関前。

ヘタに待ち合わせとかして目撃されると後々面倒だから。

学校から家までの地図を書いて写メールを送っておいた。

便利な世の中。

勤務時間が終わった先生は今まさに、その地図を見ながらこっちに向かって来てくれている。

段々と涼しくなる風に、髪を揺らされながら先生が来るのを待った。

…まだかな。

早く、逢いたい。

こんな気持ちになるのは生まれて初めてだった。

ピカピカッと車のライトが私を照らした。

私の顔は自然に緩み、待ち侘びたお迎えに走り寄った。

助手席の窓が開いていて、覗き込むといつもの笑顔が車内に潜んでいる。

「お待たせー。」

「ううん、カッコイイ車じゃん！」

「でしょ？はい、乗ってー。」