双子の秘密
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#426 [ゆーちん]
OKサインを出すと、猿のように簡単に登ってみせた太一くんは窓から初来訪。
「どうぞ。私の部屋。」
部屋に入った太一くんは、カーペットの上に腰を降ろした。
「はい、これ。」
DVDを差し出すと太一くんは笑顔を咲かせて『ありがとう。』と言った。
:08/12/10 22:21 :SH901iC :0Xqg4XG.
#427 [ゆーちん]
これで、太一くんがこの部屋にいる理由はなくなった。
だけど帰る様子は無し。
そもそもDVDを渡すだけなら、こんな風にこっそり侵入して来なくても玄関前で済む事だ。
中に入ったと言う事はDVDを渡す以外にも用があるという事。
:08/12/10 22:22 :SH901iC :0Xqg4XG.
#428 [ゆーちん]
私は、わかってないフリをしながら、それはわかっていたんだ。
用はDVDだけじゃない、って。
もしかしたら…と薄々気付いてしまっている、これから起こる事を。
どこかで期待していたのかもしれない。
また、私に悪さが増えてしまうんだ。
:08/12/11 07:56 :SH901iC :uyR.lwfs
#429 [ゆーちん]
「恵とさ。」
太一くんは静かに話し始めた。
恵の話なんか今まで一度もしなかったのに。
:08/12/11 07:57 :SH901iC :uyR.lwfs
#430 [ゆーちん]
「恵?」
「うん。恵と俺、上手くいってないんだ。」
「…そうなの。」
なぜか心が撫でおりた。
だけど顔は作っている。
ちょっと悲しむ女。
どうしたの?
大丈夫?
気にかけている感じ。
偽善者。
:08/12/11 07:57 :SH901iC :uyR.lwfs
#431 [ゆーちん]
いつからこんなズルい技を覚えるようになってしまったんだろう。
自分でも不思議。
「もう別れようと思ってんだ。」
「そんな事言うと恵が悲しむんじゃ‥」
「斗羽ちゃん付き合おうよ。」
:08/12/11 07:58 :SH901iC :uyR.lwfs
#432 [ゆーちん]
太一くんの強い言葉で話を遮られ、強い瞳に心を奪われる。
「…え。」
「俺、斗羽ちゃんの事好きになっちゃったんだ。」
期待していた。
待ち望んでいた。
太一くんから好かれる事を。
:08/12/11 08:17 :SH901iC :uyR.lwfs
#433 [ゆーちん]
「斗羽ちゃんが好き。」
『私は園田さんが好き。』なんて、言える訳ない。
だけど太一くんからの告白は嬉しかった。
心が安らいだ。
このまま…甘えようと思った。
「付き合おう?」
頷いた私に、太一くんは優しい口づけをする。
:08/12/11 08:18 :SH901iC :uyR.lwfs
#434 [ゆーちん]
ほんの数秒触れた唇は物足りなさを感じながらも、彼女持ちの彼から離れた。
…浮気。
別れると言っても、まだ別れていない。
太一くんは恵という彼女がいる男。
そんな男とキスした私は、最低女。
不倫して浮気して、きっといつか罪を受ける。
:08/12/11 08:19 :SH901iC :uyR.lwfs
#435 [ゆーちん]
だけど止められない自分の気持ちは、再び太一くんの唇に重なる事だった。
太一くんとキスをすると、園田さんの事は頭に無かった。
あんなに好きな人なのに、目の前の心地いいキスがあれば忘れてしまう。
こんな最低な自分が嫌い。
だけど辞めるつもりはこれっぽっちも無かった。
:08/12/11 08:19 :SH901iC :uyR.lwfs
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