双子の秘密
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#441 [ゆーちん]
でも、ここまで悲しむ為に園田さんと付き合っているんじゃない。
運良く休憩時間が同じになり思い切って話しかけてみた。
「園田さん、私彼氏できました。」
園田さんの動きは止まり、私に大きな目を向けた。
悲しんで。
ダメだって言って。
叱って。
:08/12/11 10:25 :SH901iC :uyR.lwfs
#442 [ゆーちん]
そんな試すような事をしても、辛くなるのは自分なのに…。
「そうなんだ。」
「…え。」
「良かったね。」
私に向けられた目は手元の携帯電話に戻った。
きっとゲームをしているんだと思う。
鼻の奥が痛い。
:08/12/11 10:26 :SH901iC :uyR.lwfs
#443 [ゆーちん]
私は休憩室を飛び出して、トイレに駆け込んだ。
静かに、静かに泣いた。
良かったね、って何。
やっぱり所詮は不倫なんだ。
泣くな、私。
こんなの予想できた事でしょ?
この辛さを含めて、不倫する事を決めたんじゃない。
泣くな。
泣くな。
:08/12/11 10:27 :SH901iC :uyR.lwfs
#444 [ゆーちん]
その時だった。
にぎりしめていた携帯電話が慌ただしく震えたのは。
メールだ。
画面が涙でかすむ。
目を疑った。
だけど事実だった。
メールの送り主は園田さん。
《俺を悲しませないで。俺だけの斗羽でいてよ。好きだから。》
:08/12/11 10:29 :SH901iC :uyR.lwfs
#445 [ゆーちん]
余計に涙が出たのは言うまでもない。
何なの、それ。
ゲームしてたんじゃないの?
私に、このメール打ってくれてたの?
好きだなんて、簡単に言わないでよ。
あんなに悲しかった涙が、急に嬉しい涙に変わっちゃったじゃない。
:08/12/11 10:30 :SH901iC :uyR.lwfs
#446 [ゆーちん]
《会いたい。》
素直な気持ちだった。
私も悲しかったよとか、私も好きだよとか、そんな事を伝える前に1番の望みをねだっていた。
《いいよ。休憩、あと30分しかないから急いで俺の車に来て。》
メールを確認した後、涙を拭いて、トイレを飛び出した。
:08/12/11 10:31 :SH901iC :uyR.lwfs
#447 [ゆーちん]
駐車場まで走った。
暑い風が私の頬を撫でた。
園田さんの車に到着した時、私の息は上がっていた。
久しぶりの運動と、緊張。
窓を覗くと、笑顔の園田さんがいた。
おいで、と手招きをしてくれている。
:08/12/11 10:32 :SH901iC :uyR.lwfs
#448 [ゆーちん]
ドアを開けて、中に飛び乗った。
「園田さ‥」
いきなりのキスは、涙が出るほど嬉しかった。
この優しさと、このキスが欲しかった。
目から、ゆっくりと温かい涙が流れる。
上がっていた息は、さらに上がっていく。
:08/12/11 10:33 :SH901iC :uyR.lwfs
#449 [ゆーちん]
社員駐車場はお蔭さまで人目に付かない場所にある。
誰にも気付かれずに、車内で何度も何度もキスを交わした。
やっと離れた唇からは、私の不満が一気に溢れた。
「園田さんのバカ。私だって悲しかった。私だって好き。全然相手にされなくて…すごく…辛かった。」
:08/12/11 10:33 :SH901iC :uyR.lwfs
#450 [ゆーちん]
「ごめんね。」
優しい声だった。
「言い訳しないんですか?」
「しないよ。」
「…辛かった。ずっと無視されて、こんなに好きにさせといて、もう相手にされないのかなって。」
園田さんは私の涙を拭き取ってくれる。
:08/12/11 10:35 :SH901iC :uyR.lwfs
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