双子の秘密
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#41 [ゆーちん]
部屋に行き、久しぶりに涙を流した。
腹が立った時に出る涙や、悔し涙や悲しい涙。
黒い涙が顔中を濡らす。
泣いて泣いて泣き切った後に、私は思う。
ママを困らせたい。
心配されたい。
こうして私はまた援助交際を繰り返すの。
:08/12/08 17:31 :SH901iC :xLeVnYmI
#42 [ゆーちん]
お客さんに体を触られてる時は『ママが悲しむだろうな』と思いながら過ごしている。
援助交際の事をバラして困らせたい反面、稼ぎ口が無くなる心配からバラされたくないという気持ちもある。
わがままなんだ、私って。
:08/12/08 17:32 :SH901iC :xLeVnYmI
#43 [ゆーちん]
「斗美、おはよう。」
斗羽が毎朝話し掛けてくる。
「おはよ。」
「今日お笑い番組あるから一緒に見ようね。」
「何で?」
「何で、って。斗美が好きな芸人が出るから‥」
「だからってどうして斗羽と一緒に見なきゃいけないの。」
「…ごめん。」
:08/12/08 17:33 :SH901iC :xLeVnYmI
#44 [ゆーちん]
いつもこうやって強く当たってしまうのに、斗羽はめげずに毎日話し掛けて来る。
話されるたびに嫌いになる。
家族なのに、妹なのに…嫌いになってしまう。
:08/12/08 17:33 :SH901iC :xLeVnYmI
#45 [ゆーちん]
比べられるのが嫌い。
その原点となる【斗羽】が嫌い。
だけど紛れもない妹。
同じ顔、同じ声、同じ体格。
変える事のできない事実。
心の底から嫌いになれればいいのに…なぜか完璧に嫌いになれないのは【妹】だからなのかな。
中途半端な私。
欠点だらけ。
なのに妹の斗羽ときたら…羨む事ばかりだよ。
:08/12/08 17:34 :SH901iC :xLeVnYmI
#46 [ゆーちん]
悲しい顔をする斗羽を残し、私は先に学校へ登校した。
「お、斗美。おはよ。」
「おはよ。」
顔の広い私は登校中、何度も友達と遭遇する。
私と斗羽は、雑誌用語なんかで区別するのなら…ギャル系と清楚系。
:08/12/08 17:35 :SH901iC :xLeVnYmI
#47 [ゆーちん]
だから私の友達と、そういうギャルで派手な子が多かった。
て、言っても所詮は中学生だから、どこか中途半端。
目だけ真っ黒のパンダ化粧とか、汚い靴下履いた子とか。
私はそういうのは嫌。
完璧にしたいの。
斗羽が何事にも完璧だから、私も完璧中の完璧になりたい。
斗羽を…追い越したい。
:08/12/08 17:35 :SH901iC :xLeVnYmI
#48 [ゆーちん]
〔斗羽〕
斗美が私を嫌っていると薄々気付き始めていた。
斗美と比べられるのは嫌だけど、斗美は嫌いじゃない。
私の大切のお姉ちゃんだもの。
仲良くしたくて話し掛けても冷たい態度だし、いつの間にか斗美と私には溝が生じていたみたいだ。
:08/12/08 17:36 :SH901iC :xLeVnYmI
#49 [ゆーちん]
「はぁ…。」
「ため息ついてると幸せ逃げるよ。」
中1の秋から付き合っている彼氏の【聡志】が笑いかけてくる。
「斗美が私に冷たいの。」
「今に始まった事じゃないんだろ?」
:08/12/08 17:37 :SH901iC :xLeVnYmI
#50 [ゆーちん]
聡志には何でも話せる。
付き合う前は名前も知らない他人だったのに、会うたび話すたび離れるたびに好きになっていく。
「そうだけど。今日だって朝から怒らせたし…」
「斗美ちゃんみたいになりたいけど、比べられるのは嫌。わがままだよな、斗羽って。」
歯を見せて笑う聡志。
:08/12/08 17:37 :SH901iC :xLeVnYmI
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