双子の秘密
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#616 [ゆーちん]
ふと気付いた。


園田さんの繋がれていない方の手に、指輪があった。


嘘でしょ?って叫びたくなった。


いつもつけてないじゃない。


奥さんの前ではつけるの?


そんなの…ズルい。


いつもポケットに入れてたりしてたのかな。

⏰:08/12/11 14:16 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#617 [ゆーちん]
いつもどこかに奥さんとの愛を潜めて、私に笑ったりキスしたり抱きしめたりしてたのかな。


…涙は出なかった。


出たのは溜め息だけ。


もう、終わりだ。


キリがついた。


あんな姿見せられて、これ以上付き合えないよ。

⏰:08/12/11 14:17 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#618 [ゆーちん]
《映画には行かないです。もう会うのも辞めましょう。奥さんと仲良くしてください。元気な赤ちゃんが生まれますように。》


最後の文は嫌味だった。


二人の姿を見たよ、っていう皮肉たっぷりの言葉。


もう園田さんに愛を囁かれる事はない。

⏰:08/12/11 14:18 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#619 [ゆーちん]
前のように優しくされても、丸め込まれたりなんかしない。


ちゃんと断れる。


最初から不毛な恋だったんだ。


クリスマスイヴに終わった恋。


何もこんなイベントに終わらなくても…。


でも、こんな恋にはピッタリの終わり方だったのかもね。

⏰:08/12/11 14:19 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#620 [ゆーちん]
嫌な事は重なる物で、私にはもう一つ辛い事が降りかかってきた。


コンビニに寄ったのがいけなかったんだ。


「斗羽ちゃんっ!」


恵の笑顔の後ろには、目を反らす太一くんがいた。


「バイト帰り?」

「あ、うん…」

⏰:08/12/11 14:21 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#621 [ゆーちん]
「私は今からたっくんち。お菓子買いに来たんだぁ。」

「そうなんだ。」


私の笑顔は引きつっていなかった?


太一くんの笑顔は、引きつってたよ。


「斗羽ちゃんは明日どうするの?バイト?」

「バイトは休み。」

「じゃあ誰かと出掛けるの?」

⏰:08/12/11 14:21 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#622 [ゆーちん]
太一くんは私を見ない。


何でよ。


こっち見てよ。


せっかく会えたのに。


「彼氏と過ごすの。」


小声になった私。


だって嘘だもん。


彼氏なんかいない。


「彼氏いたんだぁ!今度紹介してね?」

「…うん。」

「じゃあまた遊ぼうね!」

⏰:08/12/11 14:22 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#623 [ゆーちん]
支払いを済ませていた二人はコンビニから出て行く。


その瞬間、私は見逃さなかった。


太一くんから恵の手を繋ぎに行った事。


そんな連続で繋いだ手は見たくないよ。

⏰:08/12/11 14:23 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#624 [ゆーちん]
もう太一くんとも終わりだって思った。


私から別れを切り出さなくても、太一くんはわかってくれたはず。


彼氏いるって嘘ついて、自分以外にもそういう相手がいるんだって思えばいい。


あれが私の精一杯の反抗。


最後の意地悪だよ。


…もう何もいらない。

⏰:08/12/11 14:23 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#625 [ゆーちん]
夜道を歩いていると、やっぱり携帯電話が鳴った。


《彼氏できたの?》


太一くんから。


やっぱりそこに食いついて来たか。


恵に隠れて送って来たんだ。


《太一くんに関係ない。恵と仲良くね。もう終わりにしよう。バイバイ。》

⏰:08/12/11 14:24 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


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