双子の秘密
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#421 [ゆーちん]
秘密がどんどん増えて行く自分に、少し情けなく思ってはいるものの、なかなか抜け出せないんだ。
「最近あの映画の宣伝、かなりしてるよな。」
「三部作だもんね。」
「俺、1つ目も2つ目も見てないんだよねー。斗羽ちゃん見た?」
:08/12/10 22:10 :SH901iC :0Xqg4XG.
#422 [ゆーちん]
「見たよ。うちにDVDあるよ?1も2も。」
「マジで?」
「うん。貸してあげるよ。」
「やったー!ありがとな。」
「…取りに行く?すぐそこだし。」
「いいの?」
「うん。」
2人で公園を出て、一緒に私の家まで歩く。
夜風が気持ち良くて、8月らしい気候だった。
:08/12/10 22:11 :SH901iC :0Xqg4XG.
#423 [ゆーちん]
家の前に到着すり直前、太一くんはとんでもない事を言い出した。
「斗羽ちゃん、脱走した事ある?」
「へ?脱走?」
「夜遊びするのに窓から抜け出したりさ。」
あるわけない。
でも…方法は知っていた。
:08/12/10 22:11 :SH901iC :0Xqg4XG.
#424 [ゆーちん]
2階の物置部屋の窓を使えば、上手く屋根をつたって抜け出せる。
斗美が脱走しているのを何度か見た事があるから。
「ある…かな。」
「本当?」
家の前に付き、私は2階を指差した。
「うん、あそこ。この壁を登って屋根をつたえば、あの部屋に入れるはず。」
:08/12/10 22:20 :SH901iC :0Xqg4XG.
#425 [ゆーちん]
「じゃあその作戦な!」
「…え?」
「斗羽ちゃんの部屋、行きたいんだけど。無理?」
断れなかった私は、1人で玄関から入って行き、物置部屋に向かった。
鍵を外し、窓を開けて下を見ると太一くんが待ってくれていた。
:08/12/10 22:21 :SH901iC :0Xqg4XG.
#426 [ゆーちん]
OKサインを出すと、猿のように簡単に登ってみせた太一くんは窓から初来訪。
「どうぞ。私の部屋。」
部屋に入った太一くんは、カーペットの上に腰を降ろした。
「はい、これ。」
DVDを差し出すと太一くんは笑顔を咲かせて『ありがとう。』と言った。
:08/12/10 22:21 :SH901iC :0Xqg4XG.
#427 [ゆーちん]
これで、太一くんがこの部屋にいる理由はなくなった。
だけど帰る様子は無し。
そもそもDVDを渡すだけなら、こんな風にこっそり侵入して来なくても玄関前で済む事だ。
中に入ったと言う事はDVDを渡す以外にも用があるという事。
:08/12/10 22:22 :SH901iC :0Xqg4XG.
#428 [ゆーちん]
私は、わかってないフリをしながら、それはわかっていたんだ。
用はDVDだけじゃない、って。
もしかしたら…と薄々気付いてしまっている、これから起こる事を。
どこかで期待していたのかもしれない。
また、私に悪さが増えてしまうんだ。
:08/12/11 07:56 :SH901iC :uyR.lwfs
#429 [ゆーちん]
「恵とさ。」
太一くんは静かに話し始めた。
恵の話なんか今まで一度もしなかったのに。
:08/12/11 07:57 :SH901iC :uyR.lwfs
#430 [ゆーちん]
「恵?」
「うん。恵と俺、上手くいってないんだ。」
「…そうなの。」
なぜか心が撫でおりた。
だけど顔は作っている。
ちょっと悲しむ女。
どうしたの?
大丈夫?
気にかけている感じ。
偽善者。
:08/12/11 07:57 :SH901iC :uyR.lwfs
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