双子の秘密
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#438 [ゆーちん]
園田さんと付き合って、太一くんとも付き合う。


この夏、私にとって一生忘れられない季節になるんだ。


『また連絡する。』と言って太一くんは窓から帰って行った。


園田さんが相手してくれないから、太一くんに傾く。


弱い人間なんだ、私は。

⏰:08/12/11 10:23 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#439 [ゆーちん]
さ迷う気持ちは留まる事を知らない。


園田さん。


太一くん。


いけない恋ばかりしてしまう自分に嫌気がさす一方、幸せを奪えと邪悪に考える自分もいる。


どうして自ら辛い恋ばかり選ぶんだろう…。


自分がわからないよ。

⏰:08/12/11 10:23 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#440 [ゆーちん]
翌日のバイトは苦痛だった。


園田さんとすれ違う事ですら、心臓が飛び出しそう。


園田さんに遊ばれているだけの付き合いかもしれない、って覚悟はしている。


だから素っ気ない態度を取られても文句は言えない。

⏰:08/12/11 10:25 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#441 [ゆーちん]
でも、ここまで悲しむ為に園田さんと付き合っているんじゃない。


運良く休憩時間が同じになり思い切って話しかけてみた。


「園田さん、私彼氏できました。」


園田さんの動きは止まり、私に大きな目を向けた。


悲しんで。


ダメだって言って。


叱って。

⏰:08/12/11 10:25 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#442 [ゆーちん]
そんな試すような事をしても、辛くなるのは自分なのに…。


「そうなんだ。」

「…え。」

「良かったね。」


私に向けられた目は手元の携帯電話に戻った。


きっとゲームをしているんだと思う。


鼻の奥が痛い。

⏰:08/12/11 10:26 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#443 [ゆーちん]
私は休憩室を飛び出して、トイレに駆け込んだ。


静かに、静かに泣いた。


良かったね、って何。


やっぱり所詮は不倫なんだ。


泣くな、私。


こんなの予想できた事でしょ?


この辛さを含めて、不倫する事を決めたんじゃない。


泣くな。


泣くな。

⏰:08/12/11 10:27 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#444 [ゆーちん]
その時だった。


にぎりしめていた携帯電話が慌ただしく震えたのは。


メールだ。


画面が涙でかすむ。


目を疑った。


だけど事実だった。


メールの送り主は園田さん。


《俺を悲しませないで。俺だけの斗羽でいてよ。好きだから。》

⏰:08/12/11 10:29 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#445 [ゆーちん]
余計に涙が出たのは言うまでもない。


何なの、それ。


ゲームしてたんじゃないの?


私に、このメール打ってくれてたの?


好きだなんて、簡単に言わないでよ。


あんなに悲しかった涙が、急に嬉しい涙に変わっちゃったじゃない。

⏰:08/12/11 10:30 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#446 [ゆーちん]
《会いたい。》


素直な気持ちだった。


私も悲しかったよとか、私も好きだよとか、そんな事を伝える前に1番の望みをねだっていた。


《いいよ。休憩、あと30分しかないから急いで俺の車に来て。》


メールを確認した後、涙を拭いて、トイレを飛び出した。

⏰:08/12/11 10:31 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#447 [ゆーちん]
駐車場まで走った。


暑い風が私の頬を撫でた。


園田さんの車に到着した時、私の息は上がっていた。


久しぶりの運動と、緊張。


窓を覗くと、笑顔の園田さんがいた。


おいで、と手招きをしてくれている。

⏰:08/12/11 10:32 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#448 [ゆーちん]
ドアを開けて、中に飛び乗った。


「園田さ‥」


いきなりのキスは、涙が出るほど嬉しかった。


この優しさと、このキスが欲しかった。


目から、ゆっくりと温かい涙が流れる。


上がっていた息は、さらに上がっていく。

⏰:08/12/11 10:33 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#449 [ゆーちん]
社員駐車場はお蔭さまで人目に付かない場所にある。


誰にも気付かれずに、車内で何度も何度もキスを交わした。


やっと離れた唇からは、私の不満が一気に溢れた。


「園田さんのバカ。私だって悲しかった。私だって好き。全然相手にされなくて…すごく…辛かった。」

⏰:08/12/11 10:33 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#450 [ゆーちん]
「ごめんね。」


優しい声だった。


「言い訳しないんですか?」

「しないよ。」

「…辛かった。ずっと無視されて、こんなに好きにさせといて、もう相手にされないのかなって。」


園田さんは私の涙を拭き取ってくれる。

⏰:08/12/11 10:35 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#451 [ゆーちん]
「ごめんね。」


謝るだけの園田さん。


「連絡もくれないし。もう私は、園田さんに捨てられたんだって思ってました。私なんかいらないんだって。」

「そんな事言わないで。俺には斗羽が必要だから。」


そんな嬉しい事、言わないで。


優しい嘘に聞こえてしまう。

⏰:08/12/11 10:35 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#452 [ゆーちん]
「嫌いになったんですか?バイト中、普通に接してよ。お願いですから…」

「嫌いになるわけないじゃん。俺、不器用だから…」

「私だって不器用だよ!もう…やだ…私、こんなに園田さんの事、好きになってるなんて思わなかった。」

⏰:08/12/11 10:36 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#453 [ゆーちん]
泣きじゃくる私は、園田さんの腕の中に包まれた。


「不器用だからさ、普通にできないの。きっと今まで通りに話したりしてると我慢できなくなる。」

「…何ですか、それ。」

「触れたいし、抱きしめたいし、キスしたくなるもん。こうやって車で会えたりもできるけど毎回って訳にはいかないし。」

⏰:08/12/11 10:37 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#454 [ゆーちん]
園田さんは続けた。


「ずっとこれからも斗羽と一緒にいたいから、わざと冷たくしてたの。俺の理性が保てるように。ごめんね。それが原因で悲しませちゃって。」


園田さんの言い訳は、涙が止まらなくなる程の言葉だった。

⏰:08/12/11 10:38 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#455 [ゆーちん]
「これからもきっと冷たくしちゃうと思う。連絡もなかなか取れないかも。だけどいつも斗羽の事、考えてるから。嫌いになんないで。」


私もバカじゃないんだ。


この沼にハマると、また涙を流す回数が増える事、わかってるんだ。


だけど、私はそれを望んだ。

⏰:08/12/11 10:38 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#456 [ゆーちん]
「園田さんも…私の事…嫌いにならないで。」

「ならない。好きだよ、ずっと。たまにしかデート出来ないけど、夏休みだからどっか出かけような。」


頷く私の髪にキスをする園田さん。


そのキスは、髪から唇へと移動して、私は悲しみを埋めるように園田さんに絡み付いた。

⏰:08/12/11 10:39 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#457 [ゆーちん]
涙が入ってしょっぱいキス。


自分で選んだこの道を、後悔しないようにしないと。


障害だらけの恋だってわかってて、私は園田さんを好きになったんだから。

⏰:08/12/11 10:40 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#458 [ゆーちん]
〔斗美〕


「ごめんね。」

「納得いかないな。」


今、私の目の前にいるのは特別な人だった。


淀江さんと言って、私にきっかけを作ってくれた人。


中1の春休み、私は街で淀江さんに出会った。

⏰:08/12/11 10:41 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#459 [ゆーちん]
コンビニの前の段差に座っていると、急に私の隣に座って来たんだ。


『誰?』とそっけない態度の私にニコニコと笑い続ける中年のおじさん。


見た目は不審者のカケラもないのに、中身はとんでもない変態だった。


だけど淀江さんに援助交際というアルバイトがあると教わったんだ。

⏰:08/12/11 10:42 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#460 [ゆーちん]
他の客なんか、『もう援交しない。』ってメールか電話で済ませられるけど、淀江さんはそういう訳にはいかないと思った。


だから、近くのカフェで待ち合わせて今に至る。


「淀江さんのおかげで、今まで良い思いもしてきたけど…もうお金いらないから。」

⏰:08/12/11 10:43 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#461 [ゆーちん]
「お金いらないから、って。僕が君にいくら注いだかわかってるのか?」


淀江さんが怒るのも訳ない。


SEX1回3万、フェラ1回1万とは別に、淀江さんはおこずかいを毎回くれた。


ブランド品だってプレゼントしてくれる。

⏰:08/12/11 10:43 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#462 [ゆーちん]
『いつもごめんね。』と謝ると、『構わないよ。ずっと僕の相手をしてくれるって約束するなら。』と淀江さんは言った。


『もちろん!一生淀江さんから離れないよ。』と、軽はずみで言った言葉。


淀江さんと出会って、2年と少しが経った。

⏰:08/12/11 10:44 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#463 [ゆーちん]
私が淀江さんとSEXした価値より、プレゼントしてもらった価値の方が大きいのはわかってる。


あのプレゼント分の価値をSEXで返さないといけないとしたら、私はまだまだ淀江さんには頭が上がらない。

⏰:08/12/11 10:45 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#464 [ゆーちん]
「現金は返せないけど、バッグとか財布なら返せ‥」

「冗談じゃない!」


…だよね。


淀江さんからしてみれば、冗談じゃないって感じだもんね。


「ごめん。でも本当にもう援交したくないんだ。」

「…彼氏か?」


私は頷いた。

⏰:08/12/11 10:46 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#465 [ゆーちん]
「そんなちっぽけな男ごときで、大金の入る仕事を放棄するなんて。これからの人生、損するぞ?」


変態親父の意見は私の心を揺さぶるはずもなく、援交を辞めたいという気持ちは変わらなかった。


「損してもいい。彼氏が好きだから。お金なんかいらない。」

⏰:08/12/11 10:47 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#466 [ゆーちん]
淀江さんはひるまなかった。


「そんな一時の気の迷いで、今までの客もパァだ。僕だってそう。君は、頑張って来たじゃないか。」


頑張って来たよ。


また客に買ってもらえるように、笑顔だってサービスだって完璧にやりこなした。

⏰:08/12/11 10:47 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#467 [ゆーちん]
その努力が先生の存在で水の泡と、淀江さんは言いたいのだろう。


…上等だよ。


お金なんかより、大切なものを見つけたんだもん。


水の泡だろうが、宇宙のチリだろうが何にでもなればいい。


そんな哀れむな努力なんて。

⏰:08/12/11 10:48 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#468 [ゆーちん]
「今まで彼氏ができても援交辞めようなんて思わなかったけど、今の彼氏は初めて辞めたいって思えた人なの。」

「…本気なのか?」

「本気。だから援交なんかしてるってバレたら…彼氏が悲しむでしょ?悲しませたくないの。」


今すぐにでもここを飛び出して、携帯電話から淀江さんの連絡先を消す事だってできる。

⏰:08/12/11 10:49 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#469 [ゆーちん]
だけどそんな事したら、後々大変だってわかる。


この人は執念深い人。


2年付き合って、わかったの。


私をストーカーしたり、金を返せと言って来るかもしれない。


先生にも迷惑をかけるだろう。

⏰:08/12/11 10:49 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#470 [ゆーちん]
初めて話しかけて来てくれた、あの優しい淀江さんはもういない。


納得いかない顔で、私を睨む。


「どうして最近の若い子は、こうもわがままなんだ。」

「ごめんなさい。でも、もう決めたの。彼氏以外とはヤんないって。」

⏰:08/12/11 10:50 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#471 [ゆーちん]
「君みたいな子が辞めるなんて、勿体なくて頭が痛いよ。」

「私も頭が痛い。どうして援交なんて始めたんだろって、後悔してるよ。」

「…。」


それから淀江さんは何も言ってこなかった。

⏰:08/12/11 10:51 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#472 [ゆーちん]
「淀江さんには本当に感謝してる。淀江さんあっての私だったから。だけどもう決めたの。辞めるって。淀江さんにはちゃんと話したかったから。今日は忙しいのにわざわざありがと。」

「…もういい。わかった。君とは、これっきりだ。」


淀江さんは伝票を手に取り、レジで会計を済ませ、店から出て行った。


私を一度も見ずに。

⏰:08/12/11 10:52 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#473 [ゆーちん]
誰もいなくなった目の前の席を見た途端、急に嬉しさが込み上げた。


…終わった。


私の援交生活は終わったんだ。


とんでもない開放感に満ち溢れながら、私も店を出た。

⏰:08/12/11 10:53 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#474 [ゆーちん]
足は自然と910号室に向かっていた。


ブランド物のキーケースから合い鍵取り出し、中に入る。


このキーケースだって、淀江さんからもらった物だ。


捨てるべきか、返すべきか。


…どっちも嫌。

⏰:08/12/11 10:54 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#475 [ゆーちん]
辞めたと思った途端、急に焦りが出た事は隠せなかった。


もらったブランド物を捨てるなんて勿体なくてできない。


だからって使わないのは、この品物に対して悪いでしょ。


これを売ったらいくらになるかな、とか…そんな事を考えてしまう。


それも、先生の部屋の中で。

⏰:08/12/11 10:55 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#476 [ゆーちん]
先生はまだ帰って来ていなかった。


午前中に掃除と洗濯を済ませてから、淀江さんに会いに行ったので、夕方のこの時間、する事がなくて暇だった。


よく考えれば、ほとんど毎日のように援交して、こんな赤い太陽をこの部屋から見るなんて事は滅多になかった。

⏰:08/12/11 10:56 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#477 [ゆーちん]
だけどこれからは毎日見れるんだという事実が、私の心を弾ませてくれた。


今まで稼いだお金は、ちゃんと通帳に入っている。


プレゼントされたブランド物だって、たくさんある。

⏰:08/12/11 10:56 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#478 [ゆーちん]
今の財布が壊れたら、クローゼットの中にあるたくさんの財布の中から好きなものを使えばいい。


キーケースも、ストールも、時計も、アクセサリーも。


よく考えると、私は本気に頑張ったと思う。

⏰:08/12/11 10:57 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#479 [ゆーちん]
そこら辺の高校生が、あんなたくさんのブランド物をプレゼントされるなんて、早々ない事だよ。


キャバクラじゃないんだし。


淀江さん以外にも、みんな私には良くしてくれた。


SEXは嫌いじゃない。


親父たちも嫌いじゃないけど、好きでもない。

⏰:08/12/11 10:57 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#480 [ゆーちん]
都合のいい世の中だな、っていつも思ってた。


お金が欲しい私。


SEXがしたい客。


SEXぐらいいくらでもしてあげるよ。


お金ぐらいいくらでも払ってやる。


互いの需要と供給が見事なくらいバランスが取れているバイトだった。

⏰:08/12/11 10:58 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#481 [ゆーちん]
やっぱり淀江さんの言う通りだよ。


辞めるのは惜しかったのかも。


だけど、その金欲や物欲に勝るものが、この部屋の中に詰め込まれてんの。


淀江さんにはわかって欲しい。


初めての大恋愛なんだよ。

⏰:08/12/11 11:00 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#482 [ゆーちん]
ガチャ…


この大恋愛だけは大切にしたいと思った。


「あら、いたの。珍しいね。」


この笑顔の為なら、全て捨てていいと思えたんだ。


「バイト辞めたの。」


だから後悔はもうしない。


ふっ切るんだ。

⏰:08/12/11 11:02 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#483 [ゆーちん]
「じゃあ俺が養ってやるよ。」

「…無理だってば。私、金のかかる女だもん。」

「くっそ。何でこんな金のかかる女に、俺は引っ掛かったんだろ。」

「フフッ。引っ掛けて来たのはそっちじゃん。」

「あ、バカなのにそんな事は覚えてんだ。」

「うるさい!」


私はこの人の為に生きるよ。

⏰:08/12/11 11:02 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#484 [ゆーちん]
先生とほとんど毎日顔を会わせられる夏休みは、あっという間に過ぎて行こうとしていた。


泊まったのはほんの数回。


SEXだって、数える程しかしていない。


今までの付き合い方が少しおかしかったのかな?


先生との過ごし方が新鮮だし、新発見だし、魅力的だった。

⏰:08/12/11 11:04 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#485 [ゆーちん]
「亮治!」

「…え?」

「返事は、はい!」

「はい…」

「何、その気の抜けるような返事。」

「だって…斗美が下の名前で呼ぶから。」

「悪い?」

「悪くないけど…その呼び方、お袋に叱られる時の呼び方に似てたからビビった。」

⏰:08/12/11 11:05 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#486 [ゆーちん]
普段は【先生】って呼んでいるので、滅多に【亮治】なんて呼ばない。


甘える時か…怒った時だけ。


「お袋だと思ってビビっただ?こんの…へたれ野郎!」

「何、何よ。ごめんって。何怒ってんの。生理?」

「今日は何月何日!?」

「8月31日。」

⏰:08/12/11 11:06 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#487 [ゆーちん]
「明日から9月だね!」

「そうですね。新学期ですね。宿題終わりましたか?」

「終わってる訳ないでしょ。明日から新学期ってわかってて、この有様はわざと?」


時刻は夜の8時。


お風呂上がりの先生は、パンツ1枚でソファーでくつろいでいた。

⏰:08/12/11 11:08 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#488 [ゆーちん]
「何?宿題見て欲しいの?」


怯えた顔が妙に可愛かったけど、そんなんじゃ怒りは静まらないよ。


「宿題なんかどーでもいい。」

「じゃあ何に怒ってるんですかー?」

「私だってビックリだよ。亮治さんが、この夏休み中、1回しか、デートに、連れてって、くんなかったんだからっ!」

⏰:08/12/11 11:09 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#489 [ゆーちん]
一言一言、リアクションを付けながら訴えた。


「…エヘッ。」


なのに先生はとぼけた顔をしただけ。


「笑って済ませないで下さーい!今からでも遅くないよ。デート行こっ。夜景連れてってもらってないもん!」

⏰:08/12/11 11:10 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#490 [ゆーちん]
「あー…夜景。」


先生は曖昧な返事をした。


「覚えてないの?夏休み前、私が海連れってって言ったら山ならいいって。夜景連れてってやるって言ったじゃんかー!今日で夏休み終わるんですけどー!」

「こういうとこだけ記憶力いいんだな。」

⏰:08/12/11 11:12 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#491 [ゆーちん]
「忘れてたの?最悪!先生なんか嫌い!」


すねた私はリビングから逃げ出した。


脱衣所で服を脱ぎ捨て、湯舟に飛び込む。


「と〜みちゃん。」


扉の向こうで先生が私を呼んだ。


「そんな子いないよ!」

「ごめんねー。どっこも連れてってやれなくて。」

⏰:08/12/11 11:12 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#492 [ゆーちん]
仕事が忙しかったのはわかってるんだ。


お盆休みも少なくて、実家に帰るか私と遊ぶか真剣に悩んでくれてた事も知ってる。


今年のお正月も帰省していないって言ってたから、『実家帰った方がいいよ。』って勧めたのも私。


「ねぇ。」

「ん?」

⏰:08/12/11 11:13 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#493 [ゆーちん]
「私ってわがままなのかな。」

「うーん。どうだろ。」

「デート出来ないから毎日この部屋に転がり込んで、好き勝手させてもらって…なのにデートしたいって。わがままだよね。」

「それはわがままじゃないよ、別に。」

⏰:08/12/11 11:14 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#494 [ゆーちん]
先生はそう言ってくれたけど、わがままだってわかってた。


でもね、わがままだって言いたくなるんだよ。


援交辞めて、これから先生漬けになれるって楽しみだったのに…ちょっと寂しかったんだよ。


「ごめんなさい。夜景はまた今度でいいや。」

⏰:08/12/11 11:15 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#495 [ゆーちん]
冷静になって考えると、私が悪かった。


お風呂に入ってよかった。


湯舟が私を落ち着かせてくれた。


「謝らなくていいよ。俺が悪かったんだもん。三連休にでもデートしような。」

「うん。」

「よし、仲直り。さっさと出て来いよ。」

⏰:08/12/11 11:16 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#496 [ゆーちん]
ドアをコツンと叩いてから先生はリビングに戻って行った。


湯舟から出て、髪や体を洗って、先生の言う通りさっさとお風呂から出た。


「出たー?」


リビングから先生の声。


「…うん、出たよ。」


何でそんな事聞くんだろ。


先生もう入ったじゃん。

⏰:08/12/11 11:17 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#497 [ゆーちん]
不思議に思いながらバスタオルを戸棚から降ろしていると、先生は現れた。


「…何?」

「タオル貸してみ。」


私の手から、先生の手にバスタオルが渡った。


「私まだ体拭いてな‥」

⏰:08/12/11 11:17 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#498 [ゆーちん]
一気に白い世界に包まれた。


「え、先生?」

「拭いたげるわー。」

「へ?」


髪をグシャグシャとタオルで拭いて、体の雫も拭き取って行く。


「お詫び。」

「何の?」

「約束守れなかったお詫び。」

「…もういいって。」

「ばんざーい!」

⏰:08/12/11 11:47 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#499 [ゆーちん]
子供を操るような口調に、つい笑ってしまった。


逆らわずに両手を上げる自分がちょっと好き。


素直に恋してる感じだから。


拭き終わると体にバスタオル巻いた先生。

⏰:08/12/11 11:47 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#500 [ゆーちん]
「あー。」

「あ?」


いきなり何?


先生壊れた?


「いー。」

「えっ、い?」

「うー。」

「う?」


なるほど。


オウム返しが狙いだったんだ。

⏰:08/12/11 11:48 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#501 [ゆーちん]
【う】で唇を突き出すと、先生は自分の唇を重ねた。


小技の効いたキスにやられた私は、脱衣所から去って行く先生を見送った。


頭を抱えながら照れていると、リビングから『アイス食べる?』と、先生の声が聞こえた。


「食べる!」


そう答えて、私は急いで服を着た。

⏰:08/12/11 11:49 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#502 [ゆーちん]
〔斗羽〕


夏休みが終わって数日が経った。


夏休み中、朝から夕方までだったバイトも、学校が始まったので勤務時間が短くなった。


園田さんに会える割合は減ったけど、前より全然大丈夫だった。


少し強くなれた?


愛の力かもね。

⏰:08/12/11 11:50 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#503 [ゆーちん]
「斗羽ちゃーん!」

「あ、恵。」


太一くんとは、まだ話ができていない。


園田さんと仲直りした日の夜、太一くんにやっぱり付き合えない事を告げた。


だけど納得してくれなくて…ちゃんと会って話そうって事になった。

⏰:08/12/11 11:50 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#504 [ゆーちん]
だけど全然時間が合わなくて、会えずにいた。


「夏休み中、斗羽ちゃんのバイト先に何回か遊びに行ったけど一度も会わなかったね。」

「そうだね。私結構入ってたのに。休憩中とか雑用させられてた時だったのかもね。」

「アハハ。タイミング悪かった系?」

「きっとそうだよ。」

⏰:08/12/11 11:52 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#505 [ゆーちん]
恵を見た瞬間、ゾッとしたけど…案外平気だった。


平然を装える自分に驚くばかり。


恵と話していた時だ。


太一くんからのメール。


《今日の夜、公園来れる?》


恵が目の前にいるのに…本当、タイミング悪い。

⏰:08/12/11 11:53 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#506 [ゆーちん]
「あれ、メール?誰からぁ?」

「友達だよ。」

「そうなんだ。つまんなーい。斗羽ちゃん彼氏いないの?」

「うん、いないよ。」


園田さんは彼氏として、友達なんかに紹介できない。


妻子持ちの彼氏がいるだなんて言って、祝福されるはずない。

⏰:08/12/11 11:53 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#507 [ゆーちん]
「たっくんに頼んで、誰か紹介してもらおっか?」


たっくんねぇ…。


そのたっくんとも付き合っちゃったんだよ、私。


恵、今目の前にいる私はたっくんの浮気相手だよ。


「仲良しだね。恵と彼氏。」

⏰:08/12/11 11:54 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#508 [ゆーちん]
「仲良しだよぉ!夏休み中はあんまり会えなかったんだけど、毎日連絡くれたし。」

「別れの危機とかなかったの?」

「危機?ぜ〜んぜんっ!超ラブラブだよ。」


ラブラブ。


その言葉に嫉妬した。

⏰:08/12/11 12:18 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#509 [ゆーちん]
「いいね、ラブラブ。」

「エヘッ。絶対結婚するからねー。」


恵とは別れるって、あの日言ってたのに。


別れる気なんか更々ないんじゃん。


「結婚式呼んでね!」


作り笑顔を残し、私は恵とバイバイした。


これ以上聞きたくない。

⏰:08/12/11 12:19 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#510 [ゆーちん]
《いいよ。》


太一くんに返事をして、そのままポケットに携帯電話を入れた。


9月の風はまだ温かい。


夜になれば涼しくなるだろうか。


夜になれば私の悩みは軽くなっているだろうか。

⏰:08/12/11 12:20 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#511 [ゆーちん]
太一くんときちんと終わらせている事を願いながら、バイトに向かった。


こんな日に限って園田さんは休み。


顔が見たかったのに…タイミングの悪魔にでも取り付かれてんじゃないかな、私。


「いらっしゃいませ。」


レジで笑顔を売るバイトが始まった。

⏰:08/12/11 12:21 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#512 [ゆーちん]
一生懸命笑顔を作った。


心が不安定なせいでミスが出てしまわないように仕事に集中した。


おかげで上がりの時間までものすごく早かった。


「お疲れ様でした。」


毎日歩き慣れた暗い夜道を少し急ぎ足で歩く。

⏰:08/12/11 12:21 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#513 [ゆーちん]
《着いたよ。》


そんなメールが10分前に受信してあったから。


小走りで公園に向かうと、ベンチに座りながら携帯電話を触っている太一くんがいた。


「…お待たせ。」

「あ、斗羽ちゃん。」


私に気付いた太一くんは携帯電話をポケットに入れた。

⏰:08/12/11 12:22 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#514 [ゆーちん]
隣に座った途端、太一くんは口を開いた。


「久しぶり。」

「うん、久しぶり。」

「元気だった?」

「元気だよ。太一くんは?」


こんな話をしてる場合じゃない。


ちゃんと話を切り出さないと。


「元気じゃない。」

「え?どうかしたの?」

⏰:08/12/11 12:23 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#515 [ゆーちん]
「斗羽ちゃんに別れようって言われた。」


ありがたい事に太一くんから話を切り出してくれた。


「その事なんだけど、好きな人がいるんだ。だから太一くんとは付き合えない。」

「…。」


太一くんは何も言わずに私を見ていた。

⏰:08/12/11 12:27 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#516 [ゆーちん]
「前に言ったでしょ?複雑なの、この恋は。太一くんが絡むと余計に複雑なる。」


少しキツい言い方だった。


これで私が嫌われればいいのに。


なのに太一くんは引かなかった。


「2番目でもいいから…別れるなんて言わないで。」

⏰:08/12/11 12:28 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#517 [ゆーちん]
何でそんな事言うのかがわからない。


「私は太一くんの2番目なんて嫌だよ。」

「何言ってんの。斗羽ちゃんは1番だから。」

「嘘つかなくていいよ。恵と今日話したの。毎日たっくんはメールくれるって。結婚するんだって。」

⏰:08/12/11 12:29 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#518 [ゆーちん]
太一くんの目が一瞬それた。


「恵にはバレてない。だから今のうちに別れて、もう終わらそう。」

「恵とは…別れるから。」

「その言葉、前にも聞いた。」


太一くんは苦い顔を浮かべた。


恵と別れる気なんかないんなら、私に手を出さないで欲しかった。

⏰:08/12/11 12:30 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#519 [ゆーちん]
その手を握りしめた私も悪かったけど…嘘の優しさはもういらない。


「太一くんの事、好きだったよ。今までありがとうね。バイバイ。」


私はベンチから立ち上がった。


何も言わない太一くんを残して公園から出た。

⏰:08/12/11 12:31 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#520 [ゆーちん]
その時だった。


走り寄る音がして、腕を掴まれて、振り返った時には太一くんの顔が目の前にあった。


…辞めて。


そんなキスなんかいらない。

⏰:08/12/11 12:33 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#521 [ゆーちん]
首を振って、逃げようとすればするほど、太一くんが私の頭を押さえる力が強くなる。


痛い。


心が痛い。


嘘もいらないしキスもいらない。


2番目なんてもっといらない。

⏰:08/12/11 12:33 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#522 [ゆーちん]
そう決めたんだから…そんな優しいキスしないで。


涙が出た。


太一くんの勝手さに?


いきなりキスをされたから?


違う。


自分の弱さに泣けて来たんだ。

⏰:08/12/11 12:34 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#523 [ゆーちん]
あれだけ恵にラブラブ話を聞かされて、別れを決意したのに。


あれほど私には園田さんしかいないって、特別な恋を覚悟したのに。


もう、2番目の女って役割は園田さんだけで充分だよ。


なのに…太一くんのキスを受け入れた私は、彼の体を抱きしめていた。

⏰:08/12/11 12:35 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#524 [ゆーちん]
頭と体の意見が噛み合ってない自分の弱さに涙が止まらなかった。


きっと、どこかに悪が潜んでいるんだ。


園田さんが好き。


だけど私は園田さんにとって2番目でしょ?


だったら私も他の人と付き合ってもいいんじゃないかな、って。

⏰:08/12/11 12:36 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#525 [ゆーちん]
太一くんにも恵がいる。


どうせ私は2番目だから。


2番目。


普通の恋がしたいだけだったのに。


こんな不毛な恋をしてるって聡志が知ったら、笑われちゃうかな。


「…別れるなんて嘘だよな?」

⏰:08/12/11 12:37 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#526 [ゆーちん]
太一くんのその質問に、特に返事などはせず、ただ彼の唇に自分から重ねに行った。


もう…どうにでもなれって思った。


園田さんも太一くんもどっちも好きなの。


叶わない恋だけど、私はそれでいいって決めたから…だから、このキスをもう少しだけ楽しませて。

⏰:08/12/11 12:37 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#527 [ゆーちん]
〔斗美〕


「やだ!辞めて!辞めろってば!やだー!」


最悪。


これだから暗い夜道は嫌い。


もうすぐで家だったのに。


「静かにしろ!」

「離して!辞めて!」

⏰:08/12/11 12:38 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#528 [ゆーちん]
いくら抵抗しても敵わない。


悔しい。


女である事、力がない事、そして…援交をしていた事を後悔した。


「淀江さんに言われたんでしょ?離して!こんな事して何になんのよ!」


変態親父の繋がりってのはわからない物で、今、私を車に無理矢理乗せようとしている男3人は以前の客。

⏰:08/12/11 12:39 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#529 [ゆーちん]
よりによってこの3人は他の親父よりも、やや若め。


力がある男をわざわざ選んで、私を誘拐ですか。


車に乗せられ、どこかに向かって走りだした。


「どこ行くのよ。」

「大人しく座ってて。」


縛られたり目隠しなどはされていない。


なので怖くはなかった。

⏰:08/12/11 12:40 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#530 [ゆーちん]
ただ、怒りだけが沸き上がっているだけ。


今ドアを開けて無理矢理車から脱出してやろうか。


だけどそんな事をしても、またこいつらは誘拐しに来るんだろうな。


無駄な抵抗はよせ、ってか。

⏰:08/12/11 12:41 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#531 [ゆーちん]
着いた先は事務所のようなビルだった。


何ここ。


私、何されるの。


ドアを開けて中に入れられると、やっぱり予感的中。


淀江さんがいた。


「…何の用?」

「ここは僕の事務所だから楽にしてくれていいよ。」

「事務所?てゆーかこの人達と何で知り合いなわけ?」

⏰:08/12/11 12:42 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#532 [ゆーちん]
私を誘拐した3人を指差した。


「知り合いも何も、僕の部下だ。」

「部下?」


男は言った。


「淀江さんはここの社長なんだよ。」


あー。


なるほど。


全て繋がった。

⏰:08/12/11 12:43 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#533 [ゆーちん]
お金の羽振りがいい事や、高級なプレゼントを惜しみなく与えてくれる事。


ここの3人が文句も言わずに、一致団結してる事。


「で、その社長さんは私に何の用ですか?もう淀江さんと私は何の関係もないでしょ?」

「そんな寂しい事言わないでくれよ。」


淀江さんは笑った。

⏰:08/12/11 12:44 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#534 [ゆーちん]
「帰して。いくら淀江さんだからって誘拐はダメでしょ。警察にチクるよ?」

「そんな事したら家族にも彼氏にも、今までのバイトの事がバレるんだぞ?」

「…彼氏にも?」


それはダメ。


親にバレてもどうって事ない。

⏰:08/12/11 12:44 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#535 [ゆーちん]
だけど先生にバレる訳にはいかない。


「私にどうして欲しいの。」

「こうして欲しいんだよ。」


そう言った淀江さんに、押し倒された。


先生の家よりフカフカのソファーが憎い。


「やだ!」

⏰:08/12/11 12:46 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#536 [ゆーちん]
「君は抜け出せないんだよ。SEXのプロだ。いつかはそういう道に進めばいいと僕は計画を立てている。」

「は?計画?私を風俗にでも売るつもり?」

「そうだ。君は人気者になれるよ。」


誰だ、こいつ。


私が知ってる淀江さんじゃない。

⏰:08/12/11 12:46 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#537 [ゆーちん]
私の知ってる淀江さんは、いつも私に優しいんだ。


信用できる人だったの。


こんなふざけた事をする人じゃない。


「信じてたのに…淀江さんの事。」

「信じてた?僕を?」


スカートから伸びている私の足を撫でる淀江さんの手は乱暴だった。

⏰:08/12/11 12:48 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#538 [ゆーちん]
「誰よりも私に優しかったし、私に援交を教えてくれたから。」

「フフッ。たかが男が喜ぶSEXと金の稼ぎ方を教えただけで信用?」

「私に良くしてくれた。プレゼントもくれた。」


右手は足を、左手は胸を、楽しそうに散歩していた。

⏰:08/12/11 12:49 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#539 [ゆーちん]
「そんなの、君に好かれたいからに決まってるじゃんか。困ったな。好意じゃなくて信頼を得てしまったよ。」


淀江さんが笑うと、部下の3人も笑った。


「好意?」

「好かれると、油断してくれるじゃないか。」

「意味わかんない。何の油断?私をSEXのプロにさせて、風俗に売るつもりだった?まさかね。」

⏰:08/12/11 12:50 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#540 [ゆーちん]
「何だ、わかってるじゃないか。だったら文句言わずに、風俗かポルノ女優にでもなれるようにこれからも頑張りなさい。」


怒り、憎しみ、後悔。


全てが混ざって、吐きそうなくらい複雑な気分になった。

⏰:08/12/11 12:50 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#541 [ゆーちん]
最初から、私を商品としてしか見ていなかったって事か。


バカみたい。


淀江さんに騙されて、私は勝手に舞い上がっちゃってて…本当バカだよ、私。


先生の言う通り。


私はバカだ。


「泣いても無駄だ。君はこれからも援交をしてスキルアップするんだ。辞めるなんて許さない。」

⏰:08/12/11 12:51 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#542 [ゆーちん]
私、何か淀江さんと契約でもした?


してないよね?


だから私にそんな事を命令する権利なんて淀江さんにはない。


「こんな事バレると捕まるのは淀江さんだよ。もう辞めて…」

⏰:08/12/11 12:52 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#543 [ゆーちん]
抵抗する体力がどんどん弱くなる。


「だから言ってるじゃん。彼氏にバレるよ、って。」


やだ。


先生にバレるわけにいかない。


だからって援交続けるわけにもいかない。


どうすればいい。


「自業自得だ、私。」


泣きながら目を閉じた。


何も見たくない。

⏰:08/12/11 12:53 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


#544 [ゆーちん]
「嫌がってるわりに、体は素直だ。」


淀江さんのその言葉に、また涙した。


私、最低。


この体は先生にしか反応しちゃいけないんだよ。


なのに、何なの。


この有様は。


SEX独特の快楽に顔を歪める私を殴り殺してやりたいとまで思った。

⏰:08/12/11 12:53 📱:SH901iC 🆔:uyR.lwfs


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