双子の秘密
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#444 [ゆーちん]
その時だった。
にぎりしめていた携帯電話が慌ただしく震えたのは。
メールだ。
画面が涙でかすむ。
目を疑った。
だけど事実だった。
メールの送り主は園田さん。
《俺を悲しませないで。俺だけの斗羽でいてよ。好きだから。》
:08/12/11 10:29
:SH901iC
:uyR.lwfs
#445 [ゆーちん]
余計に涙が出たのは言うまでもない。
何なの、それ。
ゲームしてたんじゃないの?
私に、このメール打ってくれてたの?
好きだなんて、簡単に言わないでよ。
あんなに悲しかった涙が、急に嬉しい涙に変わっちゃったじゃない。
:08/12/11 10:30
:SH901iC
:uyR.lwfs
#446 [ゆーちん]
《会いたい。》
素直な気持ちだった。
私も悲しかったよとか、私も好きだよとか、そんな事を伝える前に1番の望みをねだっていた。
《いいよ。休憩、あと30分しかないから急いで俺の車に来て。》
メールを確認した後、涙を拭いて、トイレを飛び出した。
:08/12/11 10:31
:SH901iC
:uyR.lwfs
#447 [ゆーちん]
駐車場まで走った。
暑い風が私の頬を撫でた。
園田さんの車に到着した時、私の息は上がっていた。
久しぶりの運動と、緊張。
窓を覗くと、笑顔の園田さんがいた。
おいで、と手招きをしてくれている。
:08/12/11 10:32
:SH901iC
:uyR.lwfs
#448 [ゆーちん]
ドアを開けて、中に飛び乗った。
「園田さ‥」
いきなりのキスは、涙が出るほど嬉しかった。
この優しさと、このキスが欲しかった。
目から、ゆっくりと温かい涙が流れる。
上がっていた息は、さらに上がっていく。
:08/12/11 10:33
:SH901iC
:uyR.lwfs
#449 [ゆーちん]
社員駐車場はお蔭さまで人目に付かない場所にある。
誰にも気付かれずに、車内で何度も何度もキスを交わした。
やっと離れた唇からは、私の不満が一気に溢れた。
「園田さんのバカ。私だって悲しかった。私だって好き。全然相手にされなくて…すごく…辛かった。」
:08/12/11 10:33
:SH901iC
:uyR.lwfs
#450 [ゆーちん]
「ごめんね。」
優しい声だった。
「言い訳しないんですか?」
「しないよ。」
「…辛かった。ずっと無視されて、こんなに好きにさせといて、もう相手にされないのかなって。」
園田さんは私の涙を拭き取ってくれる。
:08/12/11 10:35
:SH901iC
:uyR.lwfs
#451 [ゆーちん]
「ごめんね。」
謝るだけの園田さん。
「連絡もくれないし。もう私は、園田さんに捨てられたんだって思ってました。私なんかいらないんだって。」
「そんな事言わないで。俺には斗羽が必要だから。」
そんな嬉しい事、言わないで。
優しい嘘に聞こえてしまう。
:08/12/11 10:35
:SH901iC
:uyR.lwfs
#452 [ゆーちん]
「嫌いになったんですか?バイト中、普通に接してよ。お願いですから…」
「嫌いになるわけないじゃん。俺、不器用だから…」
「私だって不器用だよ!もう…やだ…私、こんなに園田さんの事、好きになってるなんて思わなかった。」
:08/12/11 10:36
:SH901iC
:uyR.lwfs
#453 [ゆーちん]
泣きじゃくる私は、園田さんの腕の中に包まれた。
「不器用だからさ、普通にできないの。きっと今まで通りに話したりしてると我慢できなくなる。」
「…何ですか、それ。」
「触れたいし、抱きしめたいし、キスしたくなるもん。こうやって車で会えたりもできるけど毎回って訳にはいかないし。」
:08/12/11 10:37
:SH901iC
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